(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、1台のバッファステーションに収納可能なウェーハの枚数は、バッファステーションのサイズによって制限される。EFEMの設置導入現場からは、単独のEFEMにおいて可能な限り多くのウェーハを取り扱いたいという要望があり、このような要望に応えるべく、例えばバッファステーション1台当たりの高さ寸法を大きく設定することで、バッファステーションの収納スペースを拡大してウェーハ収納枚数を増加させる態様が考えられる。
【0008】
しかしながら、バッファステーションの高さ寸法が大きければ大きい程、ウェーハ搬送ロボットの昇降ストローク(高さ方向の移動距離)も長くなり、ウェーハ搬送ロボットの大型化を招来する。そして、ウェーハ搬送ロボットの大型化は、ウェーハ搬送ロボットを内部に配置するウェーハ搬送室の大型化にもつながり、EFEM全体のフットプリント(設置面積)が増大することになるため、ウェーハ搬送ロボットの大型化はできる限り回避したいところである。また、ウェーハ搬送ロボットの昇降ストロークが長くなれば、ウェーハ搬送ロボットの動作スピードを従来よりも速く設定しない限りウェーハ1枚当たりの搬送処理に要する時間も長くなるため、この点においてもウェーハ搬送ロボットの昇降ストロークの長大化を伴うバッファステーションの高さ方向における収納スペースの拡大化は最良の選択であるとはいえない。
【0009】
EFEMで取り扱うウェーハのサイズはSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格として標準化されているが、生産性向上の観点からウェーハの大径化が進められ、これまでの直径300(半径150)mmから直径450(半径225)mmのウェーハへの移行が推進されている。そして、ウェーハの大径化に伴って、ウェーハ1枚あたりの重さも増加することから、ウェーハ搬送ロボット自体の強度も高める必要があり、ウェーハ搬送ロボットの大型化によって強度向上を実現することも考えられる。
【0010】
しかしながら、上述したように、設置面積の増大化を伴うウェーハ搬送ロボットの大型化は必要最小限に抑えたいところであり、EFEMの設置導入現場からは、直径300mmのウェーハを搬送可能なこれまでのウェーハ搬送ロボットと同じか略同じスペックのウェーハ搬送ロボットによって直径450mmのウェーハを取り扱いたいという要望がある。
【0011】
なお、SEMI規格により、FOUP内やバッファステーション内において直径450mmのウェーハを高さ方向に複数収容する場合、高さ方向に隣り合うウェーハ同士の間隔(ウェーハスロットピッチ)は、直径300mmのウェーハを収容する場合のウェーハスロットピッチよりも大きい値に設定されており、ウェーハスロットピッチの関係により、同じ枚数分のウェーハを収容するために確保すべき高さ方向のサイズは、直径300mmのウェーハよりも直径450mmのウェーハを収容する場合の方が大きくなる。このようなウェーハスロットピッチを確保するためにバッファステーションの高さ方向における収納スペースを拡大することは設計上受け入れざるを得ないが、ウェーハスロットピッチ以外の条件によってバッファステーションの高さ寸法が大きくなる事態は、上述したように、ウェーハ搬送ロボットの大型化及び設置面積の増大化を招来し得るため、避けたいところである。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、ウェーハ搬送ロボットの昇降ストローク量の増大化(ウェーハ搬送ロボットの大型化)及びEFEM全体の設置面積の増大化を防止・抑制可能な構成でありながら、ウェーハの大径化にも対応しつつ多数枚のウェーハを取り扱うことが可能なEFEMを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち本発明は、ウェーハ搬送ロボットを内部空間に配置したウェーハ搬送室と、ウェーハ搬送室の前面に隣接して設けたロードポートと、ウェーハを一時的に収容可能な
ステーションとを備え、ウェーハ搬送室の後面に半導体処理装置を隣接して配置可能なEFEMに関するものである。ここで、本発明のEFEMは、少なくともウェーハ搬送室と、ロードポートと、
ステーションとを備えたものであり、半導体処理装置は本発明のEFEMを構成する装置ではない。
【0014】
そして、本発明に係るEFEMは、ウェーハ搬送室の両側面のうち少なくとも何れか一方の側面に、
ステーションをウェーハ搬送室の前後方向に2台併設し
、ウェーハ搬送ロボットとして、先端部に設けたハンドを進退移動させることが可能なアームと、アームの基端部を旋回可能に支持し且つウェーハ搬送室の幅方向に走行する走行部とを備えたものを適用し、これらアーム及び走行部をウェーハ搬送室の内部空間に配置していることを特徴としている。本発明における「ウェーハ搬送室の前後方向」は、ウェーハ搬送室の前面と後面が対向する方向であり、ウェーハ搬送室の奥行き方向と同義である。
【0015】
このように、本発明に係るEFEMであれば、ウェーハ搬送室の少なくとも何れか一方の側面に
ステーションを前後方向に2台併設するという斬新なレイアウトを採用することによって、単独のEFEMにおける
ステーションに収容可能なウェーハの枚数を増加させることができるとともに、例えば、
ステーション1台に収容可能なウェーハ枚数の増加分に応じて
ステーションにおける高さ方向の収容スペースを大きく設定する必要がないため、ウェーハ搬送ロボットの大型化に直結するウェーハ搬送ロボットの昇降ストローク量の増大化も回避することができる。さらに、本発明に係るEFEMでは、
ステーションをウェーハ搬送室の側面に2台併設する構成であるため、
ステーションを1台のみウェーハ搬送室の側面に配置する構成と比較して
ステーション1台分だけ設置面積が増加するものの、多数枚のウェーハを
ステーションに収容したいがために
ステーションにおける高さ方向の収容スペースを大きく設定した場合と比較して、ウェーハ搬送ロボットの大型化及びウェーハ搬送室の大型化を招来しない点で有利である。加えて、本発明のEFEMであれば、2台併設する
ステーション1台あたりのサイズを周知の
ステーションのサイズと同一又は略同一に設定することが可能であり、その場合、ウェーハ搬送ロボットやウェーハ搬送室も周知の仕様のものを適用することができ、この点においても、
ステーションの高さ寸法を大きく設定した構成と比較して優れている。
【0016】
なお、ウェーハの大型化に伴って、バッファステーションに収容したウェーハの高さ方向のピッチ(ウェーハスロットピッチ)も大きく確保しなければならず、その分バッファステーションの高さ寸法も大きく設定せざるを得ないことはSEMI規格を満たすために必要であるが、本発明のEFEMであれば、ウェーハスロットピッチ以外の条件(具体的には従来のバッファステーション1台で収容可能なウェーハ枚数の例えば2倍以上のウェーハをバッファステーションに収容できるようにするという条件)を満たすためにバッファステーションの高さ寸法が大きくなる事態を回避することができる。
【0017】
また、本発明のEFEMは、ウェーハ搬送室の何れか一方の側面に併設する
ステーションの台数を2台に限定している。これは、ウェーハ搬送室の側面に
ステーションを3台以上併設するレイアウトを採用した場合に、2台の
ステーションを併設した態様と比較して、
ステーションの併設スペースも前後方向に大きくなり、フットプリントも増大するとともに、併設した3台以上の各
ステーションに対して例えば共通のウェーハ搬送ロボットでウェーハを出し入れする処理(搬出入処理)の制御やウェーハ搬送ロボットに付帯するケーブルの処理も複雑になるというデメリットが生じるからである。
【0018】
特に、本発明に係るEFEMにおいて、ウェーハ搬送ロボットとして、先端部に設けたハンドを進退移動させることが可能なアームと、アームの基端部を旋回可能に支持し且つウェーハ搬送室の幅方向に走行する走行部とを備えたものを適用するとともに、各
ステーションに対してハンドが、走行部の走行経路上における所定の位置から各
ステーションに向かう直線状の移動経路に沿って進退移動するように構成
し、前後方向に並ぶ各ステーションに対するハンドの移動経路の起点を走行経路上に設定し、起点に配置されたハンドが2台のステーションのうち相対的に前側のステーションに到達する直線状の移動経路と、走行経路とがなす交差角度は鋭角であり、起点に配置されたハンドが2台のステーションのうち相対的に後側のステーションに到達する直線状の移動経路と、走行経路とがなす交差角度は鋭角であり、走行経路の任意の位置から等距離となる位置に2台のステーションを配置すれば、ハンドが各
ステーションに対してアクセスする際に、ウェーハ搬送室の前後方向(奥行き方向)に沿った直線状の移動経路と、走行部の走行経路(ウェーハ搬送室の幅方向)に平行な直線状の移動経路とを順に屈曲して辿るように構成した場合と比較して、ハンドの移動距離を短くすることができ、
ステーションに対するウェーハの搬出入処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0019】
ここで、併設した2台のバッファステーションに対するハンドのそれぞれの移動経路に一致する2つの直線が、走行部の走行経路に一致する直線に対して、共通の位置で交差するように設定するのが好適であるが、相互に異なる位置で交差するように設定してもよい。
【0020】
本発明のEFEMは、ウェーハ搬送室の何れか一方の側面にのみバッファステーションを2台併設し、他方の側面にはバッファステーションを配置していない構成や、ウェーハ搬送室の何れか一方の側面にのみバッファステーションを2台併設し、他方の側面にバッファステーションを1台配置した構成を包含するものであるが、ウェーハの収容枚数を最も多く確保できる点で優れている構成としては、ウェーハ搬送面の両側面にそれぞれバッファステーションを前後方向に2台併設している構成を挙げることができる。
【0021】
本発明において、ステーションの少なくとも1台が、ウェーハ搬送ロボットによるアクセスを許容するバッファ開口部を有するバッファステーションである場合、バッファステーションとして、高さ方向に所定ピッチで複数形成された保持用スロットを備え、且つ前後方向に並ぶ各ステーションに対するハンドの移動経路の起点に向かってバッファ開口部の開口縁が開口しているものを適用することができる。
また、EFEMには、ウェーハのアライメントを行うアライナがウェーハ搬送室の一側面に配置されるのが通例であり、本発明に係るEFEMでも、
ステーションは、ウェーハが仮置きされるバッファステーション又はアライナであり、ステーションの少なくとも1台がアライナであれば、アライナをウェーハ搬送室の何れか一方の側面に配置することができる。この場合、アライナはバッファステーション
等の他のステーションに干渉しない位置に配置することが好ましく、ウェーハ搬送室の一方の側面にのみバッファステーションを配置した構成(第1レイアウト)、又はウェーハ搬送室の両側面にそれぞれバッファステーションを配置した構成(第2レイアウト)の何れにおいてもアライナをウェーハ搬送室の何れか一方の側面に配置することができる。
【0022】
第1レイアウトの場合には、ウェーハ搬送室の一方の側面に2台のバッファステーションを配置し、その下方にアライナを配置すれば、EFEMのフットプリントを最小限にとどめることができる。また、ウェーハ搬送室の一方の側面に2台のバッファステーションを配置し、他方の側面にアライナを配置して、バッファステーションの高さ範囲内にアライナの高さ位置を設定すれば、ウェーハ搬送ロボットの高さ方向への可動範囲を最小限にとどめ、昇降駆動用のモータを大型化させることなく、ウェーハ搬送ロボットの大型化、ひいてはウェーハ搬送室の大型化を抑制することができる。
【0023】
また、第2レイアウトの場合には、ウェーハ搬送室の何れか一方の側面においてバッファステーションの下方にアライナを配置することで、最大限のウェーハ収容力を確保しつつ、EFEMのフットプリントの増大を抑制することができる。この場合、ウェーハ搬送室の両側面に配置するバッファステーションを全て同じ高さ位置に設定したり、アライナと共通の側面に配置するバッファステーションを、他方の側面に配置するバッファステーションとは異なる高さ位置に設定することも可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ウェーハ搬送室の少なくとも何れか一方の側面にバッファステーションを前後方向に2台併設するという斬新なレイアウトを採用することによって、ウェーハの大径化に対応しつつEFEM全体におけるバッファステーションでのウェーハ収容枚数を増加することができ、バッファステーションの高さ寸法を大きくすることによるウェーハ搬送ロボットの昇降ストローク量の増大化及びウェーハ搬送ロボット自体の大型化を回避し、フットプリントの増大化も最小限に抑えることが可能なEFEMを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態に係るEFEM1は、
図1に示すように、共通のクリーンルーム内に相互に隣接する位置に設けたロードポート2、ウェーハ搬送室3及びバッファステーション4を主体として構成されたものである。ウェーハ搬送室3の後面33(背面)には例えばウェーハ処理装置M(本発明の「半導体処理装置M」に相当)が隣接して設けられ、クリーンルームにおいて、ウェーハ処理装置内MS、ウェーハ搬送室内3S、バッファステーション内4S及びロードポート2上に載置されるウェーハ収容器(FOUP)内は高清浄度に維持される一方、ロードポート2を配置した空間、換言すればウェーハ処理装置M外、ウェーハ搬送室3外及びバッファステーション4外は比較的低清浄度となる。なお、
図1は、ロードポート2、ウェーハ搬送室3及びバッファステーション4の相対位置関係、及びこれらロードポート2、ウェーハ搬送室3及びバッファステーション4を備えたEFEM1と、半導体処理装置Mとの相対位置関係を模式的に示した平面図であり、
図2は、
図1のX方向から見たEFEM1及び半導体処理装置Mの模式図である。
【0028】
ロードポート2は、ウェーハ搬送室3の前面32に隣接する位置に設けられ、内部に複数のウェーハWを高さ方向Hに多段状に収容可能な図示しないウェーハ収容器(FOUP)の扉を密着させて開閉し、ウェーハWをFOUP内とウェーハ搬送室3内との間で出し入れするために用いられるものである。このロードポート2は、ほぼ矩形板状をなし鉛直姿勢で配置されるフレーム21と、このフレーム21に略水平姿勢で設けた載置台22と、フレーム21のうち載置台22とほぼ同じ高さ位置に開口下縁を設定しウェーハ搬送室内3Sに連通し得る開口部を開閉するドア部23とを備えている。ロードポート2には、FOUP内にパージ用気体を注入し、FOUP内の気体雰囲気を窒素ガスなどのパージ用気体に置換可能なボトムパージ装置を設けることもできる。本実施形態のEFEM1は、このようなロードポート2を、ウェーハ搬送室3の前面32に複数(図示例では3台)並べて配置している。各ロードポート2は、ウェーハ搬送室3の前面32に沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT(Overhead Hoist Transfer)などのFOUP搬送装置によって搬送されたFOUPを各ロードポート2の上方から載置テーブル台22上に搬送して載置できるとともに、ウェーハ処理装置Mによって所定の処理を終えたウェーハWを格納したFOUPを各ロードポート2の載置テーブル台22上からFOUP搬送装置に引き渡すことができるように設定している。なお、本実施形態のEFEM1では、各ロードポート2として既知のものを適用することができる。
【0029】
ウェーハ処理装置Mは、ウェーハ搬送室3の後面33(背面)に隣接して配置されるものであり、相対的にウェーハ搬送室3から遠い位置に配置したウェーハ処理装置本体と、相対的にウェーハ搬送室3に近い位置に配置したロードロック室とを備えたものである。本実施形態では、
図1に示すように、EFEM1の前後方向Aにおいてロードポート2、ウェーハ搬送室3、ウェーハ処理装置Mをこの順で相互に密接させて配置している。
【0030】
ウェーハ搬送室3は、ウェーハWをFOUP又はバッファステーション4とウェーハ処理装置Mとの間で搬送可能なウェーハ搬送ロボット5を内部空間3Sに設けたものである。
図1では、ウェーハ搬送ロボット5が3台のロードポート2のうち中央のロードポート2に正対する位置にある状態を示し、
図2では、ウェーハ搬送ロボット5が3台のロードポート2のうち紙面向かって左端のロードポート2に正対する位置にある状態を示している。
【0031】
本実施形態では、ウェーハ搬送室3の内部空間3Sに1台のウェーハ搬送ロボット5を配置している。このウェーハ搬送ロボット5は、先端部に設けたハンド6を直線状の移動経路に沿って移動させることが可能なアーム7と、アーム7の基端部を構成するアームベース71を旋回可能に支持し且つウェーハ搬送室3の幅方向Bに走行する走行部8(本体部)とを備えたものである。
【0032】
アーム7は、
図1、
図3乃至
図8に示すように、走行部8の上面に配置され且つ旋回軸7a周りに水平旋回可能なアームベース71と、基端部をアームベース7に旋回可能に連結した第1リンク要素72と、第1リンク要素72の先端部に水平旋回可能に連結した第2リンク要素73と、第2リンク要素73の先端部に水平旋回可能に連結したエンドエフェクタであるハンド6とを備えたものである。このアーム7は、アーム長が最小になる折畳状態(
図1参照)と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態(
図3参照)との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)のものである。
図1等ではハンド6として先端を二股状に分岐させたフォーク状に形成したものを示しているが、例えば先端を平面視略矩形状に形成したのものなど、他の形状をなすハンド6を適用してもよい。
【0033】
このようなアーム7は、基端部であるアームベース71を旋回中心軸7a回りに水平旋回させたり、リンク要素72,73同士を関節部分で水平旋回させてアーム7全体の形状を適宜変形させながら、ハンド6を
図1等に示す移動始点位置(S)から
図3等に示す移動終点位置(E)に移動させて、ウェーハWを所定の搬送目的位置にまで搬送可能なものである。なお、
図1等では、リンク機構(第1リンク要素72、第2リンク要素)及びハンド6からなる組を共通のアームベース71に対して2組配置したツーハンドタイプ(ハンド6は高さ方向において重複している)のアーム7を例示しているが、リンク機構及びハンドを1組のみ有するアームを適用することもできる。後者の場合、アームベース70を備えず、伸張状態においてハンドから最も遠いリンク要素(本実施形態では第1リンク要素72に相当)の基端部を走行部8に旋回軸周りに水平旋回可能に取り付ける構成を採用してもよい。
【0034】
走行部8は、例えばウェーハ搬送室3の床面においてウェーハ搬送室3の幅方向Bに沿って直線状に延伸する図示しないスライドレールに沿ってスライド移動可能なものである。本実施形態では、外縁形状が平面視略円形の外周面を有する走行部8を適用し、外周面の中心とアーム7の旋回軸7aとを一致させている(
図1等では走行部8を破線で示す)。スライドレールに沿って移動する走行部8の走行経路8Lは、ウェーハ搬送室3の前後方向Aと直交又は略直交する方向に延伸する経路である。
図1及び
図3等では、走行部8を移動させた場合において走行部8のうち外周面の中心、つまりアーム7の旋回軸7aが通過する経路を走行部8の走行経路8Lとして図中に一点鎖線で示している。
【0035】
本実施形態のEFEM1では、アーム7が折畳状態にあってハンド6を移動始点位置(S)に位置付けたハンド6のうち平面視においてアーム7の旋回軸7aと一致する箇所をハンド基準点6aとすると、アーム7が折畳状態にあってハンド6を移動始点位置(S)に位置付けた状態で走行部8を走行経路8Lに沿って移動させた場合に動くハンド基準点6aの軌跡は、走行部8の走行経路8Lに一致する。
【0036】
本実施形態に係るウェーハ搬送ロボット5は、アーム7や走行部8の作動を図示しない制御部によって制御している。
【0037】
本実施形態では、ウェーハ搬送室3の前面32に併設した複数のロードポート2のうち選択した一のロードポート2に対してウェーハ搬送室3の前後方向Aにおいて正対する位置にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を位置付けて停止させた状態で、ハンド6をウェーハ搬送室3の前後方向Aに沿って移動始点位置(S)から移動終点位置(E)の間で進退移動させることで、ウェーハWを各ロードポート2上のFOUP内とウェーハ搬送室3内との間で搬出入することができる(
図1及び
図3参照)。
図1では、併設した3台のロードポート2のうち中央のロードポート2に正対する位置に走行部8を位置付け、且つハンド6が移動始点位置(S)にある状態を示し、
図3では、ハンド6を
図1に示す移動始点位置(S)から移動終点位置(E)に移動させた状態を示している。また、これら
図1及び
図3では、各ロードポート2に対するハンド6の移動経路6Lをそれぞれ破線で示している。なお、本実施形態では、ハンド6を移動始点位置(S)と移動終点位置(E)との間でハンド6を移動させた場合に動くハンド基準点6aの軌跡をハンド6の移動経路6L(後述する6L1,6L2も同様)とみなしている。
【0038】
本実施形態のEFEM1は、幅方向Bに複数並ぶロードポート2のうち中央のロードポート2と正対する位置にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を位置付け、且つ
図1に示すアーム7の向き(ロードポート2に対してハンド6がアクセス可能なアーム7の向き)をアーム7の基準角度とした場合、アーム7全体をこの基準角度に対して旋回軸7a周りに180度旋回させた状態で、ハンド6を移動始点位置(S)と半導体処理装置内MSに到達する移動終点位置(E)との間で直線状に進退移動させることによって、ウェーハWをウェーハ搬送室3と半導体処理装置M(具体的にはロードロック室)との間で搬送することができるように構成している。すなわち、本実施形態のEFEM1は、ウェーハ搬送ロボット5によって、ウェーハ処理装置Mに対するウェーハの搬出入処理を行うことができる。
【0039】
さらに、本実施形態のEFEM1は、
図4乃至
図9に示すように、バッファステーション4の仮置き部41とウェーハ搬送室内3Sとの間で搬出入できるように構成している。本実施形態では、ウェーハ搬送室3の両側面31にバッファステーション4をウェーハ搬送室3の前後方向Aに2台併設して配置している。したがって、本実施形態のEFEM1は、合計4台のバッファステーション4を備えたものである。
【0040】
各バッファステーション4には、複数枚のウェーハWを一時的に仮置き可能なウェーハ保持用スロット42を高さ方向Hに所定ピッチで複数形成した仮置き部41を備えている。本実施形態の仮置き部41は、
図1及び
図2等に示すように、高さ方向Hに対向する上壁43と下壁44との間に複数の柱45を設け、各柱45にウェーハWの一部が進入可能なウェーハ保持用スロット42(切り込み)を所定ピッチで形成し、同じ高さ位置にある各スロット42によってウェーハWを保持できるように構成したものである。なお、
図2では、仮置き部41において最上段及び最下段に収容したウェーハWのみを示すとともに、ウェーハ保持用スロット42を省略している。
【0041】
本実施形態では、直径450mmのウェーハWをバッファステーション4に収容可能に構成している。FOUP内やバッファステーション4において高さ方向Hに隣り合うウェーハW同士のピッチ(ウェーハスロットピッチ)は、SEMI規格で定められおり、本実施形態におけるバッファステーション4のウェーハ保持用スロット42のピッチもSEMI規格に則って所定の値に設定している。本実施形態のEFEM1では、1台あたり25枚のウェーハWを収容可能なバッファステーション4を適用しており、4台のバッファステーション4によって最大100枚のウェーハWを収容可能に構成している。なお、1台のバッファステーション4に収容可能なウェーハWの枚数は適宜設定することができるが、ウェーハWの収容枚数が多いほど各バッファステーション4の高さ寸法も大きくなる。SEMI規格では、上述したように、直径450mmのウェーハWのウェーハスロットピッチが、直径300mmのウェーハWのウェーハスロットピッチよりも大きい値に定められているため、バッファステーション4におけるウェーハWの収容枚数が同数である場合、直径450mmのウェーハWを収容可能に構成するにはウェーハスロットピッチ単位の増加分だけ高さ方向Hの収容スペースを大きく設定することが要求される。そして、ウェーハWの収容枚数の増加に応じてバッファステーション4の高さ寸法を大きく設定すれば、ウェーハ搬送ロボット5の高さ方向Hの移動距離(昇降ストローク)も長く設定しなければならず、昇降ストロークの増大に伴ってウェーハ搬送ロボット5の制御が複雑になったり、長い昇降ストロークに対応させるべくウェーハ搬送ロボット5を大型化してウェーハ搬送ロボット5自体の強度向上を実現した場合には、ウェーハ搬送室3の大型化及びフットプリント(設置面積)の増大化を招来する。
【0042】
そこで、本実施形態のEFEM1では、これまでの直径300mmのウェーハが処理されるEFEM1で適用されてきた左右1台ずつのバッファステーションが1台あたり25枚のウェーハを収容可能なものであることを考慮し、1台あたり25枚のウェーハWを収容可能なバッファステーション4を用いることで、バッファステーション4の高さサイズの大型化を、ウェーハスロットピッチを考慮した必要最小限にとどめ、ウェーハ搬送ロボット5の昇降ストロークも、これまでのものと略同じか若干長い値に設定している。本実施形態のEFEM1は、このようなバッファステーション4をウェーハ搬送室3の側面31において同じ高さ位置に合計4台配置している。
【0043】
各バッファステーション4には、ウェーハ搬送ロボット5による仮置き部41へのアクセスを許容するバッファ開口部4Kを形成し、これらバッファ開口部4Kを通じてウェーハ搬送ロボット5のハンド6がバッファステーション内4Sとウェーハ搬送室3内3Sとの間を移動可能に構成している。ここで、前後方向A(奥行き方向)に並ぶ2台のバッファステーション4は、ウェーハ搬送室3の前面32を形成する前壁34及び後面33を形成する後壁35とそれぞれ前後方向Aにおいて略同じ位置に配置されるバッファステーション前壁46及びバッファステーション後壁47と、これらバッファステーション前壁46及びバッファステーション後壁47の一方の側端部(ウェーハ搬送室3から遠い方の側端部)同士を接続するバッファステーション側壁48とによって囲まれた共通の空間を、バッファステーション側壁48からウェーハ搬送室3に向かって幅方向Bに所定寸法突出する仕切り壁49によって前後方向Aに仕切られた各空間4Sに
設定している。
【0044】
本実施形態では、相対的に前側のバッファステーション4(前側バッファステーション4)におけるバッファ開口部4Kの開口縁を、ウェーハ搬送室3の前面32を形成する前壁34の側縁と、仕切り壁49の突出端(ウェーハ搬送室3側の端)とによって形成するとともに、相対的に後側のバッファステーション4(後側バッファステーション4)におけるバッファ開口部4Kの開口縁を、ウェーハ搬送室3の後面33を形成する後壁35の側縁と、仕切り壁49の突出端とによって形成している。
【0045】
そして、本実施形態のEFEM1では、ウェーハ搬送ロボット5によって各バッファステーション4にウェーハWを搬出入処理する際に、ハンド6やウェーハWがバッファ開口部4Kの開口縁に接触しないように、バッファ開口部4Kの開口縁位置、より具体的には仕切り壁49の位置(突出端の位置)を設定している。本実施形態では、
図4等に示すように、仕切り壁49として、その突出端がウェーハ搬送室3の側面31に到達しないものを適用し、仕切り壁49の突出端とウェーハ搬送室3の前壁34の側縁とを結ぶ仮想直線4L1、及び仕切り壁49の突出端とウェーハ搬送室3の後壁35の側縁とを結ぶ仮想直線4L2を何れもウェーハWの直径よりも長く(換言すれば各バッファ開口部4Kの開口幅がウェーハWの直径よりも大きく)設定している。
【0046】
また、本実施形態に係るEFEM1では、このような各バッファステーション4の開口部4Kを通じて、ハンド6が移動始点位置(S)とバッファステーション内4Sに到達する移動終点位置(E)との間を直線状の移動経路6L1,6L2に沿って進退移動することで、ウェーハ搬送室3内に配置した単独のウェーハ搬送ロボット5によって4台全てのバッファステーション4にウェーハWを搬出入可能に構成している。
【0047】
具体的に、本実施形態のEFEM1では、ウェーハ搬送室3の側面31に併設した2台のバッファステーション4のうち、前側バッファステーション4に対してウェーハ搬送ロボット5のハンド6が、走行部8の走行経路8L上における所定の位置から前側バッファステーション4に向かう直線状の移動経路6L1に沿って
図4に示す移動始点位置(S)と
図5に示す移動終点位置(E)との間で進退移動することで、前側バッファステーション4にウェーハWを搬出入可能に構成している。前側バッファステーション4にアクセス可能なハンド6の移動経路6L1は、走行部8の走行経路8Lの一方の端を起点6L1a(始点)とするものである。ここで、
図6に示すように、走行部8の走行経路8Lに一致する直線であって、ハンド6の移動経路6L1aの起点6Laよりもウェーハ搬送室3の側面31側に伸びる仮想直線8Laを想定した場合、起点6L1aから前側バッファステーション4に向かうハンド6の移動経路6L1と仮想直線8Lは交差し、ウェーハ搬送室3の側面31側に開くその交差角度θ61が、90度よりも小さい角度(鋭角)となる。
【0048】
同様に、本実施形態のEFEM1では、ウェーハ搬送室3の側面31に併設した2台のバッファステーション4のうち、相対的に後側のバッファステーション4(後側バッファステーション4)に対してウェーハ搬送ロボット5のハンド6が、走行部8の走行経路8L上における所定の位置から後側バッファステーション4に向かう直線状の移動経路6L2に沿って
図7に示す移動始点位置(S)と
図8に示す移動終点位置(E)との間で進退移動することで、進退移動することで、後側バッファステーション4にウェーハWを搬出入可能に構成している。この場合のハンド6の移動経路6L2は、走行部8の走行経路8Lの一方の端を起点6L2a(始点)とするものである。つまり、本実施形態のEFEM1は、前後方向に並ぶ前側バッファステーション4及び後側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L1,6L2の起点を走行部8の走行経路8Lにおける同じ位置に設定している。ここで、
図6に示すように、走行部8の走行経路8Lに一致する直線であって、ハンド6の移動経路6L2の起点6L2aよりもウェーハ搬送室3の側面31側に伸びる仮想直線8Laを想定した場合、起点6L2aから後側バッファステーション4に向かうハンド6の移動経路6L2と仮想直線8Lは交差し、ウェーハ搬送室3の側面31側に開くその交差角度θ62が、90度よりも小さい角度(鋭角)となる。本実施形態では、この交差角度θ62を、例えば19度から25度の範囲内の所定角度に設定している。また、この交差角度θ62は、上述の前側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L1と仮想直線8Lとの交差角度θ61と同じであることが好ましいが、異ならせてもよい。
【0049】
本実施形態では、ウェーハ搬送室3の前面32に併設した複数台(図示例では3台)のロードポート2のうちウェーハ搬送室3の側面31に近いロードポート2(両サイドのロードポート2)上のFOUPに対してウェーハWの搬出入処理が可能な位置、つまり前後方向Aにおいて当該ロードポート2に正対させた位置にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を移動させた状態で、アーム7の基端部(本実施形態ではアームベース71)を旋回軸7a周りに所定角度旋回させる(アーム7を上述の基準角度に対して所定角度回転させる)ことで、その旋回角度におけるハンド6の進退移動方向が上述の移動経路6L1,6L2と一致し、ウェーハ搬送室3の側面31に併設した前側バッファステーション4や後側バッファステーションに対してハンド6をアクセス可能に設定している。
図5、
図6、
図8及び
図9には、移動経路6L1,6L2に沿ってハンド6を移動させた場合におけるハンド6上に保持したウェーハWの外周縁の軌跡Waを示している。
【0050】
なお、ウェーハ搬送室3の他方の側面31(
図4乃至
図9における紙面向かって右側面)に併設した2台のバッファステーション4に対するウェーハWの搬出入処理時のハンド6の移動経路6L1,6L2は、
図9に示すように、ウェーハ搬送室3の一方の側面31に併設した2台のバッファステーション4に対するウェーハWの搬出入処理時のハンド6の移動経路6L1,6L2に対して、ウェーハ搬送室3の幅方向中心を通り且つ前後方向Sに延伸する直線3L(3台のロードポート2のうち中央のロードポート2に対するハンド6の移動経路6Lと一致する直線3L)を対称軸とした線対称の位置関係となる。すなわち、前側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L1及び後側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L2の起点6L1a,6L2aは、走行部8の走行経路8L上における共通の位置にあり、走行部8の走行経路8Lに一致する上述の仮想直線8Laを想定した場合、起点6L1aから前側バッファステーション4に向かうハンド6の移動経路6L1と仮想直線8Lの交差角度θ61、及び起点6L2aから後側バッファステーション4に向かうハンド6の移動経路6L2と仮想直線8Lの交差角度θ62は、何れも鋭角となる。
【0051】
また、本実施形態のEFEM1は、ウェーハ搬送室3の何れか一方の側面31にアライナ9を設けている。アライナ9は、ハンド6上における正規の載置にウェーハWを載置するための位置合わせ装置であり、周知のものを適用することができる。本実施形態では、ウェーハ搬送室3の側面31において、前後方向Aに2台並べて配置したバッファステーション4よりも下方の領域に設定したアライナ配置用空間9Sにアライナ9を配置している。本実施形態のEFEM1は、少なくともバッファステーション4の底壁40(バッファステーション底壁40)よりも下方において高さ方向Hに対向する位置に配置したアライナ上壁91及びアライナ底壁92と、バッファステーション前壁46、バッファステーション後壁47及びバッファステーション側壁48にそれぞれ連続し且つアライナ底壁92まで延伸するアライナ前壁93、アライナ後壁94及びアライナ側壁95とによって囲まれたアライナ配置用空間9Sを形成し、アライナ底壁92上にアライナ9を載置している。本実施形態では、ウェーハ搬送室3の両側面31にそれぞれアライナ配置用空間9Sを形成し、そのうち一方のアライナ配置用空間9Sにアライナ9を配置している。
【0052】
次に、このような構成をなすEFEM1の使用方法及び作用について説明する。
【0053】
先ず、図示しないOHT等のFOUP搬送装置によりFOUPがロードポート2に搬送され、載置台22上に載置される。この際、例えば載置台22に設けた位置決め用突起がFOUPの位置決め用凹部に嵌まることによって、FOUPを載置台22上の所定の正規位置に載置することができる。本実施形態では、ウェーハ搬送室3の幅方向Bに3台並べて配置したロードポート2の載置台22にそれぞれFOUPを載置することができる。また、FOUPが載置台22上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)によりFOUPが載置台22上の正規位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
【0054】
次いで、本実施形態のEFEM1は、例えばFOUP内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで短時間で低下させ、FOUP内におけるウェーハWの周囲環境を、ボトムパージ処理開始前よりも低湿度環境及び低酸素環境にするボトムパージ処理を行い、引き続いて、FOUPの扉をロードポート2のドア部23で開けて、FOUPの内部空間とウェーハ搬送室3の内部空間3Sとを連通させた状態で、ウェーハ搬送室内3Sに設けたウェーハ搬送ロボット5によってFOUP内のウェーハWをウェーハ搬送室3内に順次払い出す。ここで、
図1及び
図3に示すように、ウェーハ搬送ロボット5は、各ロードポート2に対してウェーハ搬送室3の前後方向Aに正対する位置にまで走行部8を移動させた状態で、ハンド6をウェーハ搬送室3の前後方向A(換言すれば走行部8の走行経路8Lと直交する方向)に平行な移動経路6Lに沿って移動始点位置(S)とFOUP内に到達する移動終点位置(E)との間で直線状に進退移動させることで、FOUP内のウェーハWをウェーハ搬送室3内に取り出すことができる。
【0055】
引き続いて、本実施形態のEFEM1は、FOUP内から取り出したウェーハWを、ウェーハ搬送ロボット5によってウェーハ処理装置(具体的にはロードロック室)のポート上に載置したり、バッファステーション4の仮置き部41に搬送してウェーハWの外周縁部をウェーハ保持用スロット42に挿入して保持させた状態で収容したり、或いはアライナ9に搬送する。
【0056】
本実施形態では、ウェーハ搬送室3のうち後壁35における幅方向中央部分に、ウェーハ処理装置内MS(例えば図示しないロードロック室内)に連通する開口部を形成し、この開口部に対してウェーハ搬送室3の前後方向Aに正対する位置(この位置は、幅方向Bに複数並ぶロードポート2のうち真ん中のロードポート2と正対する位置と同じである)にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を位置付けた状態で、ハンド6をウェーハ搬送室3の前後方向Aに平行な移動経路6Lに沿って、ハンド6を移動始点位置(S)と、半導体処理装置内MSに到達する移動終点位置(E)との間で直線状に進退移動させることによって、ウェーハWをウェーハ搬送室3とウェーハ処理装置Mとの間で搬送することができる。
【0057】
アライナ9に対してウェーハWを搬出入する場合は、幅方向Bに複数並ぶロードポート2のうちアライナ9に最も近いロードポート2(
図1等における紙面向かって左端のロードポート2)と正対する位置にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を位置付けた状態で、ハンド6をウェーハ搬送室3の幅方向Bに沿って、ハンド6を移動始点位置(S)と、アライナ9に到達する移動終点位置(E)との間で直線状に進退移動させる。これにより、ウェーハWをウェーハ搬送室3とアライナ9との間で搬送することができる。
【0058】
また、本実施形態のEFEM1は、複数台(図示例では3台)並ぶロードポート2のうち両サイドのロードポート2
に対してウェーハ搬送室3の前後方向Aに正対する位置にウェーハ搬送ロボット5の走行部8を停止させて、折畳状態にあるアーム7全体を、ハンド6の進退方向が前側バッファステーション4に向かう移動経路6L1、又は後側バッファステーション4に向かう移動経路6L2と一致する角度まで旋回軸7a周りに水平旋回し、ハンド6を移動始点位置(S)と、バッファステーション内4Sに到達する移動終点位置(E)との間で直線状に進退移動させることによって、ウェーハWをウェーハ搬送室3と各バッファステーション4との間で搬送することができる。
【0059】
そして、本実施形態のEFEM1は、半導体処理装置Mによる適宜の処理工程を終えたウェーハWをウェーハ搬送ロボット5によって半導体処理装置M内からFOUP内に直接格納したり、バッファステーション4を経由してからFOUP内に順次格納し、FOUP内のウェーハWが全て半導体処理装置Mによる処理工程を終えたものになると、ロードポート2のドア部23をFOUPの扉に密着させた状態で開放位置から閉止位置に移動させて、ロードポート2の開口部及びFOUPの搬出入口を閉止する。その後、載置台22上のFOUPは図示しないFOUP搬送機構により次工程へと運び出される。
【0060】
このように、本実施形態のEFEM1は、多くのウェーハWをバッファステーション4に収容可能な構成を、バッファステーション4の高さ方向HにウェーハWの収容スペースを拡大することで実現するのではなく、ウェーハ搬送室3の側面31に2台のバッファステーション4を前後方向Aに併設するというこれまでに着想されることのなかったレイアウトを採用することで実現しているため、収容するウェーハWの枚数増加分に応じてバッファステーション4における高さ方向Hの収容スペースを大きく設定したり、ウェーハ搬送ロボット5の昇降ストロークを従来よりも過剰に大きく設定する必要がなく、ウェーハ搬送室3及びウェーハ搬送ロボット5の大型化を回避することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係るEFEM1では、ウェーハ搬送室3の側面31に2台併設する各バッファステーション4のサイズを周知のバッファステーションのサイズと同一又は略同一に設定することが可能であり、ウェーハ搬送ロボット5やウェーハ搬送室3も周知のスペックのものを適用することができ、この点においても、バッファステーション4の高さ寸法を大きく設定することでウェーハ収容枚数の増加を実現しようとする構成と比較して有利である。特に、4台のバッファステーション4にそれぞれ最大で25枚のウェーハWを収容可能に設定した本実施形態では、EFEM1全体で最大100枚のウェーハWをバッファステーション4に収容することができる。
【0062】
また、本実施形態のEFEM1は、同じ高さ位置に配置した4台のバッファステーション4に対して、ウェーハ搬送室内3Sに配置した単独のウェーハ搬送ロボット3によりウェーハWを搬送して収容したり、各バッファステーション4に収容されているウェーハWをバッファステーション4から取り出して所定の搬送先(ウェーハ処理装置内MS、FOUP内、或いはアライナ9)へ搬送することが可能であるため、バッファステーション4の台数分に応じて搬送ロボット3の数も増加しなければならない事態を回避することができ、搬送ロボット3の増加に伴う大幅なコストアップも回避することができる。
【0063】
本実施形態に係るEFEM1は、ウェーハ搬送室3の側面31に併設するバッファステーション4を2台にしているが、これは、ウェーハ搬送室3の側面31にバッファステーション4を3台以上併設するレイアウトを採用した場合、ウェーハ搬送室3の側面31にバッファステーション4を2台併設するレイアウトと比較して、バッファステーション4の設置スペースが前後方向Aに拡大し、EFEM1全体のフットプリントの増大を招来するとともに、3台以上併設した各バッファステーション4に対して共通のウェーハ搬送ロボット5でウェーハWの搬出入処理を行う制御やウェーハ搬送ロボット5に付帯するケーブルの処理も複雑になり、2台の場合よりも実用性の点で劣るからである。
【0064】
特に、本実施形態に係るEFEM1は、ウェーハ搬送ロボット5として、先端部に設けたハンド6を進退移動させることが可能なアーム7と、アーム7の基端部を旋回可能に支持し且つウェーハ搬送室3の幅方向Bに走行する走行部8とを備えたものを適用し、ウェーハ搬送室3の側面31において前後方向Aに並ぶ前側バッファステーション4,後側バッファステーション4に対してハンド6が、走行部8の走行経路8L上における所定の位置を起点6L1a,6L2aとして直線状の移動経路6L1,6L2に沿って進退移動することで各バッファステーション4に到達可能に構成している。これにより、ウェーハ搬送ロボット5のハンド6が各バッファステーション4に対してアクセスする際に、ウェーハ搬送室3の前後方向A(奥行き方向)に沿った直線状の移動経路と、走行部8の走行経路8Lに平行な直線状の移動経路とを順に辿るように構成した場合と比較して、ハンド6の移動距離を短くすることができ、バッファステーション4に対するウェーハWの搬出入処理に要する時間の短縮化(タクトタイムの短縮化)、ひいてはウェーハ処理効率の向上を実現することができる。
【0065】
加えて、本実施形態のEFEM1は、前後方向Aに2台並ぶ各バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L1,6L2を走行部8の走行経路8Lに対して平行ではなく所定の斜め方向に設定することで、
図1等に示すように、前側バッファステーション4におけるウェーハWの収容位置として、ウェーハWの外周縁が、ウェーハ搬送室3の前壁34における内向き面(前後方向Aにおけるウェーハ搬送室3の中心側を向く面)よりも前方となる位置に設定したり、後側バッファステーション4におけるウェーハWの収容位置として、ウェーハWの外周縁が、ウェーハ搬送室3の後壁35における内向き面(前後方向A中心側を向く面)よりも後方となる位置に設定することができ、各バッファステーション4のバッファ開口部4Kの開口方向を走行部8の走行経路8Lに対して平行となる方向に設定し且つハンド6が走行部8の走行経路8Lに平行な直線状の移動経路を辿るように設定した態様と比較して、ウェーハ搬送室3の内部空間3Sの奥行き寸法を規定する前壁34と後壁35の内向き面同士の離間寸法を相対的に小さく設定することができる。
【0066】
特に、本実施形態のEFEM1は、前後方向Aに並ぶ各バッファステーション4に対するハンド6の移動経路6L1,6L2の起点6L1a,6L2aを走行部8の走行経路8L上における同一位置に設定しているため、ウェーハ搬送室3の同じ側面31に並ぶ前側バッファステーション4及び後側バッファステーション4に対してウェーハWを搬出入する際におけるウェーハ搬送ロボット5の走行部8の位置を共通化することができ、前側バッファステーション4に対するウェーハ搬出入処理時の走行部8の位置と、後側バッファステーション4に対するウェーハ搬出入処理時の走行部8の位置とが相互に異なる場合と比較して、ウェーハ搬送ロボット5に関する制御の効率性を向上させることができる。さらには、本実施形態のEFEM1では、前側バッファステーション4に対してウェーハWを搬出入する際のハンド6の移動距離(移動経路6L1に相当)と、後側バッファステーション4に対してウェーハWを搬出入する際のハンド6の移動距離(移動経路6L2に相当)を同一又は略同一長さに設定していることもまたウェーハ搬送ロボット5の制御の単純化(高効率化)に貢献している。
【0067】
加えて、本実施形態のEFEM1では、前後方向Aに並ぶ2台のバッファステーションに対するハンド6の移動経路6L1,6L2同士が走行部8の走行経路8L上で交差する角度(
図6に示す「θ61」に「θ62」を足した角度)が、例えば所定の鋭角(例えば45度以下)となるように設定しているため、前側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路と、後側バッファステーション4に対するハンド6の移動経路が走行部8の走行経路8L上で例えば90度よりも大きな角度で交差する場合と比較して、前後方向Aに2台のバッファステーション4を配置するために確保すべき前後方向の寸法(奥行き寸法)が過度に大きくなる事態を防止できる。
【0068】
また、本実施形態に係るEFEM1は、ウェーハ搬送室3の何れか一方の側面31において2台並ぶバッファステーション4のフットプリントを増大せず且つ2台のバッファステーション4に干渉しない位置に1台のアライナ9を配置しているため、このアライナ9によってウェーハWの中心位置合わせ処理を行うことができる。また、本実施形態に係るEFEM1は、アライナ9を設けた構成においても各バッファステーション4の高さ位置を全て同じ高さ位置に設定することができる。
【0069】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、ウェーハとして直径450mmのものを例示したが、本発明に係るEFEMで取り扱い可能なウェーハはこれに限られず、他の径サイズのウェーハであっても構わない。ウェーハの直径が小さいほど、ウェーハスロットピッチも小さくすることが可能であるため、ウェーハの収容枚数が同数であれば各バッファステーションの高さサイズもウェーハスロットピッチの縮小分だけ小型にすることができる。
【0070】
また、前後方向に併設した2台のバッファステーションに対するハンドの各移動経路の起点(始点)が、走行部の走行経路に一致する直線(上述の8Laに相当)上における相互に異なる位置であっても構わない。つまり、本発明のEFEMでは、前側バッファステーションに対するハンドの移動経路に一致する直線と走行部の走行経路に一致する直線との交点が、後側バッファステーションに対するハンドの移動経路に一致する直線と走行部の走行経路に一致する直線との交点に一致しない設定を選択することが可能である。
【0071】
上述の実施形態では、全てのバッファステーションに対して、ウェーハ搬送室内に配置した単一のウェーハ搬送ロボットでウェーハを搬出入可能に構成した態様を例示したが、複数のウェーハ搬送ロボット(バッファステーションの台数と同数であってもよいし、同数でなくてもよい)によって各バッファステーションに対してウェーハの搬出入処理を行うように構成した態様であっても構わない。
【0072】
また、ウェーハ搬送ロボットとして、ハンドをウェーハ搬送室の前後方向及び幅方向の直交する2軸の方向にのみ移動可能に構成したものなど、種々のタイプのものを適用することができる。
【0073】
また、本発明においてEFEMに設けるアライナの配置箇所はウェーハ搬送室の何れか一方の側面であればよい。したがって、ウェーハ搬送室の何れか一方の側面にのみ2台のバッファステーションを配置した構成であれば、アライナは、ウェーハ搬送室のうちバッファステーションを配置している側面と同じ側面に配置してもよいし、他方の側面(バッファステーションを配置していない側面)に配置してもよい。
【0074】
また、各バッファステーションの高さ位置は同じであることが好ましいが、アライナの配置箇所を考慮して、敢えて異なる高さ位置に設定することも可能である。
【0075】
バッファステーション1台あたりのウェーハ収容枚数が25枚以外の枚数であってもよい。
【0076】
さらにはまた、ウェーハ搬送室の前面に配置するロードポートは1台であってもよいし、複数台であっても構わない。
【0077】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。