【実施例】
【0059】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
【0060】
以下の実施例
、参考例において、測定には下記装置を使用し、原料は、試薬メーカー(東京化成品、和光純薬品、ナカライテスク品、アズマックス品、信越化学品)から購入した一般的な試薬を用いた。
【0061】
赤外線吸収スペクトル(IR)測定
島津製IR Prestige-21。臭化カリウム0.1gと合成品0.005gを粉砕混合し、サンプル表面に赤外を反射させて測定した。
【0062】
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)測定
東ソー製HLC-8220。東ソー製TSK-gel Super3000、TSK-gel Super2000、SK-gel Super1000を使用し、リファレンスにTSK-gel SuperH-RCを2本使用した。溶媒はテトラヒドロフランを使用し、カラム流量を0.35mL/min、カラム温度は40℃、測定はRIで実施した。分子量分布の基準にはポリスチレン(東ソー製基準サンプル)を使用して分子量分布を算出した。
【0063】
ガスクロマトグラフィー(GC)測定
J&W社製キャピラリーカラムDB−5を用いて、島津製GC-2010シリーズで測定した。
【0064】
DSC測定
島津製作所製DSC-60。アルミニウム製クリンプセルに、合成品約8mgを入れたものを分析した。温度は-60〜150℃の範囲で、10℃/minで昇温した。
【0065】
エポキシ当量測定
塩酸−テトラヒドロフラン法にて測定した。合成品に、テトラヒドロフランと塩酸−テトラヒドロフラン溶液を加え反応させた後、水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。別途行ったブランク滴定の滴定量と、中和滴定の滴定量の差から、塩酸と反応したエポキシ基の当量を求め、得られた当量でエポキシ化合物の重量を除した値をエポキシ当量とした。
【0066】
樹脂の粉砕評価方法
合成品を100〜150℃で加熱融解させた後、SUS製の容器に樹脂を流し込んだ。樹脂が30℃以下になるまで冷却し、得られた固体樹脂をハンマー等により粉砕した。
【0067】
参考例1
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0068】
【化12】
【0069】
(構造式中の41:58:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン1473.7g、2−プロパノール736.9g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を24.8g(0.07モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.4当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン343.1g(1.39モル)、フェニルトリメトキシシラン390.3g(1.97モル)とメチルトリメトキシシラン4.6g(0.03モル)のトルエン368.4gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で6時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。次にこの系にクエン酸15.7g(0.08モル)と水575.6gの溶液を投入した。酢酸エチルと水を追加して抽出し、その後、水で溶液が中性になるまで洗浄した。油層を回収し、油層を減圧下で有機溶媒を除去して、目的の固体樹脂の共重合体450.1gを得た。
【0070】
得られた共重合体のデータを下記に示す。
【0071】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=2,680、Mw/Mn=1.24(ポリスチレン換算)。
【0072】
DSC分析データ:ガラス転移温度 40℃
エポキシ当量測定:1当量あたり380g 。
【0073】
参考例2
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0074】
【化13】
【0075】
(構造式中の41:58:1は使用原料のモル比)
実施例1に記載の原料であるH2O量を合計で原料モノマーの1.8当量に変更した以外は実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体458.7gを得た。
【0076】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0077】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=2,600、Mw/Mn=1.40(ポリスチレン換算)。
【0078】
DSC分析データ:ガラス転移温度 52℃
エポキシ当量測定:1当量あたり380g 。
【0079】
参考例3
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0080】
【化14】
【0081】
(構造式中の60:39:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン361.5g、2−プロパノール180.7g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5.8g(0.02モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.8当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン118.1g(0.48モル)、フェニルトリメトキシシラン61.7g(0.31モル)とメチルトリメトキシシラン1.1g(0.008モル)のトルエン90.3gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体120.2gを得た。
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0082】
IR分析データ:972-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2872-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=2,100、Mw/Mn=1.21(ポリスチレン換算)。
【0083】
DSC分析データ:ガラス転移温度 26℃
エポキシ当量測定:1当量あたり280g 。
【0084】
参考例4
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0085】
【化15】
【0086】
(構造式中の41:30:29は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン279.2g、2−プロパノール139.6g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5.1g(0.014モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.8当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン70.64g(0.29モル)、フェニルトリメトキシシラン41.6g(0.21モル)とメチルトリメトキシシラン27.6g(0.20モル)のトルエン69.8gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体93.0gを得た。
【0087】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0088】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=2,690、Mw/Mn=1.48(ポリスチレン換算)。
【0089】
DSC分析データ:ガラス転移温度 43℃
エポキシ当量測定:1当量あたり340g 。
【0090】
実施例
1
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・ナフチルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0091】
【化16】
【0092】
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン491.3g、2−プロパノール245.6g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を7.3g(0.02モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.8当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.9g(0.41モル)、ナフチルトリメトキシシラン143.8g(0.58モル)とメチルトリメトキシシラン1.4g(0.01モル)のトルエン122.8gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体170.0gを得た。
【0093】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0094】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=3,000、Mw/Mn=1.48(ポリスチレン換算)。
【0095】
DSC分析データ:ガラス転移温度 70℃
エポキシ当量測定:1当量あたり450g 。
【0096】
参考例
5
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0097】
【化17】
【0098】
(構造式中の45:54:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン155.1g(0.63モル)、フェニルトリメトキシシラン149.6g(0.76モル)とメチルトリメトキシシラン1.9g(0.01モル)、トルエンを765.3g仕込んだ。次に2−プロパノール306.1g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を10.2g(0.028モル)、合計で原料モノマーの1.38当量となるようH
2Oを加えた溶液を、35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で8時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の共重合体210.3gを得た。
【0099】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0100】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=1,930、Mw/Mn=1.18(ポリスチレン換算)。
【0101】
DSC分析データ:ガラス転移温度 26℃
エポキシ当量測定:1当量あたり360g 。
【0102】
参考例
6
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0103】
【化18】
【0104】
(構造式中の50:49:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン73.8g(0.30モル)、フェニルトリメトキシシラン58.2g(0.29モル)とメチルトリメトキシシラン0.8g(0.01モル)、トルエンを331.6g仕込んだ。次に2−プロパノール130.6g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を4.4g(0.012モル)、合計で原料モノマーの1.38当量となるようH
2Oを加えた溶液を、35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で8時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の共重合体91.6gを得た。
【0105】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0106】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=1,850、Mw/Mn=1.20(ポリスチレン換算)。
【0107】
DSC分析データ:ガラス転移温度 23℃
エポキシ当量測定:1当量あたり330g 。
【0108】
比較例1
γ−グリシドキシプロピルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0109】
【化19】
【0110】
(構造式中の41:58:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン293.4g、2−プロパノール146.7g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5.1g(0.014モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.5当量となるようH2Oを加えた。次にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン66.7g(0.29モル)、フェニルトリメトキシシラン80.3g(0.41モル)、メチルトリメトキシシランを1.0g(0.007モル)のトルエン73.3gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の液体樹脂の共重合体103.2gを得た。
【0111】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0112】
IR分析データ:999-1192cm
-1(C-O-C、Si-O)、1271 cm
-1(-O-)、2872-3073 cm
-1(C-H)、3200-3700 cm
-1(Si-OH)
GPC分析データ:Mw=2,230、Mw/Mn=1.24(ポリスチレン換算)。
【0113】
DSC分析データ:ガラス転移温度 −5℃以下
エポキシ当量測定:1当量あたり380g 。
【0114】
比較例2
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0115】
【化20】
【0116】
(構造式中の41:15:44は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン266.2g、2−プロパノール133.1g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5.1g(0.014モル)仕込み、合計で原料モノマーの1.8当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン70.6g(0.29モル)、フェニルトリメトキシシラン20.8g(0.11モル)とメチルトリメトキシシラン41.9g(0.31モル)のトルエン66.6gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体103.2gを得た。得られた固体樹脂はテトラヒドロフランをはじめとする一般的な有機溶媒に不溶であった。
【0117】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0118】
IR分析データ:IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
DSC分析データ:ガラス転移温度 160℃以上 。
【0119】
比較例3
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0120】
【化21】
【0121】
(構造式中の41:58:1は使用原料のモル比)
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン266.2g、2−プロパノール133.1g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5.1g(0.014モル)仕込み、合計で原料モノマーの11.0当量となるようH2Oを加えた。次に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン70.6g(0.29モル)、フェニルトリメトキシシラン20.8g(0.11モル)とメチルトリメトキシシラン41.9g(0.31モル)のトルエン66.6gの溶液を35〜45℃で滴下した。滴下終了後、同温度で4時間熟成させた。このときの反応溶液をGCで分析した結果、原料は残っていないことが分かった。その後、実施例1と同様の操作で目的の固体樹脂の共重合体を得た。得られた固体樹脂はテトラヒドロフランをはじめとする一般的な有機溶媒に不溶であった。
【0122】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0123】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
DSC分析データ:ガラス転移温度 160℃以上 。
【0124】
比較例4
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体の合成
【0125】
【化22】
【0126】
(構造式中の41:58:1は使用原料のモル比)
比較例3に記載の原料であるH2O量を合計で原料モノマーの0.9当量に変更した以外は比較例3と同様の操作で目的の液体樹脂の共重合体105.2gを得た。
【0127】
得られた共重合体のスペクトルデータを下記に示す。
【0128】
IR分析データ:999-1231cm
-1(C-O-C、Si-O)、2851-3073cm
-1(C-H)、3200-3700cm
-1(Si-OH)
DSC分析データ:ガラス転移温度 −5℃以下
エポキシ当量測定:1当量あたり380g 。
【0129】
実施例1〜7および比較例1〜4で得られた樹脂の常温での樹脂性状、ガラス転移点、1当量あたりのエポキシ当量を表1に示す。また、成形可否評価として、以下の様に判断した。
◎ 樹脂の粉砕が可能であり、べたつきがない
○ 樹脂の粉砕可能である
× 樹脂の粉砕不可
【0130】
【表1】