特許第6215020号(P6215020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215020
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20171005BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20171005BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   H01L21/82 F
   H01L27/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-245290(P2013-245290)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-160801(P2014-160801A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-12386(P2013-12386)
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 尚
【審査官】 小堺 行彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−165569(JP,A)
【文献】 米国特許第05879966(US,A)
【文献】 特開2008−071991(JP,A)
【文献】 特開平07−022508(JP,A)
【文献】 特開2003−282714(JP,A)
【文献】 特開平08−046048(JP,A)
【文献】 特開平08−125023(JP,A)
【文献】 特開2001−189385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0134457(US,A1)
【文献】 特開2003−037168(JP,A)
【文献】 特開2004−179358(JP,A)
【文献】 特開2001−185626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられたフィールド絶縁膜と、
前記フィールド絶縁膜の上に配置された抵抗体及びヒューズと、
前記ヒューズの上に設けられた第一の層間絶縁膜と、
前記第一の層間絶縁膜の上に設けられた第二の層間絶縁膜と、
前記第二の層間絶縁膜の上に設けられた、SOG層を間に有する第三の層間絶縁膜と、
前記第三の層間絶縁膜上に形成されたパッシベーション酸化膜と、
前記ヒューズの上に、前記パッシベーション酸化膜から前記第二の層間絶縁膜の途中まで、その間の膜を除去することで設けられたヒューズ開口部と、
前記パッシベーション酸化膜の上と前記ヒューズ開口部の側面および側底面を覆うパッシベーション窒化膜と、
を有し、
前記ヒューズ開口部の底面において前記第二の層間絶縁膜が前記パッシベーション窒化膜から露出するように、前記パッシベーション窒化膜が除去されていて、前記パッシベーション窒化膜は前記ヒューズ開口部とは異なる形状の開口部を有し、
1つの前記ヒューズ開口部には、複数の前記パッシベーション窒化膜の開口部と複数の前記ヒューズが配置され、
複数の前記パッシベーション窒化膜の開口部は、複数の前記ヒューズのそれぞれが部分的に露出するように、前記ヒューズごとに独立して設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ヒューズは第一の多結晶シリコンにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記抵抗体は前記第一の多結晶シリコンとはなる第二の多結晶シリコンから形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ヒューズ開口部の周囲を取り囲む、金属配線材料からなるガードリングをさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第一の層間絶縁膜がBPSGおよびNSG層で形成され、前記第二の層間絶縁膜がプラズマTEOSシリコン酸化膜で形成され、前記第三の層間絶縁膜がプラズマTEOSシリコン酸化膜とSOGとプラズマTEOSシリコン酸化膜で構成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCMOSトランジスタおよび抵抗および、レーザートリミング用のヒューズを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧検出器などの高精度のアナログICにおいて、トランジスタと抵抗体を組み合わせて所望の特性を得るために、たとえば多結晶シリコンの薄膜で構成されたレーザートリミング用のヒューズを、レーザー照射によって溶断することで抵抗体の組み合わせパターンを調節し、半導体ウェハの加工工程である前工程における製造バラツキによる特性のバラツキや回路の狙い値を調節する施策が一般的にとられている。
【0003】
このようなアナログICにおけるレーサートリミング用のヒューズについて図4から図6を参考に説明する。図4は平面図、図5は切断線C−Cにそった断面模式図、そして図6は切断線D−Dにそった断面模式図である。P型半導体基板201表面に形成されたフィールド絶縁膜203の上に多結晶シリコンの薄膜抵抗からなるヒューズ206が配置されている。ヒューズ206にレーザーが照射できるよう保護膜である窒化膜220、酸化膜119、および多層配線間の層間絶縁膜216、214を表面から部分的にエッチングし、ヒューズ開口部222が形成されるが、ヒューズ開口部222では窒素膜や層間絶縁膜の側壁がむき出しとなる。ここで、ダブルメタルプロセスもしくはそれ以上の多層配線プロセスにおいては、平坦化の1つの技術として例えばSOG(Spin on Glass)からなるSOG層をコートしたのちエッチバックする技術が用いられる。SOGはエッチバックに用いる材料として優れた特性を有するが、一般に吸湿性が高いという特徴を有している。そのため、エッチバックの後に、積層している層間絶縁膜の間のSOG層217が残ることで、そのSOG層から水分が浸入することによりICの素子特性変動をおこし、長期信頼性に関わる問題を生じうる。特にPMOSトランジスタにおいては高温状態において負のゲートバイアスを加えた場合に起こるNBTI(Negative Bias Temperature Instability)によりトランジスタの閾値電圧シフトが発生することが知られている。
【0004】
ヒューズ開口部についてさらに説明する。ヒューズ開口部222をフォトリソグラフィーでパターニング後エッチングしヒューズ上の層間絶縁膜の膜厚を調節することで、レーザートリミング時の切れ残りなどのトリミング不良が発生しないようにしている。そして従来構造においては、最終保護膜であるパッシベーション窒化膜220を堆積した後に、ヒューズ開口222と図示されていないPad部のパッシベーション窒化膜220を部分的に除去したのち、改めてヒューズ上部の層間絶縁膜が一定の厚さとなるようにエッチングをしている。
【0005】
尚、ヒューズ開口部222とICチップの間に水分侵入を防ぐための第1および第2の金属配線で形成されているガードリング221を配置している。このガードリング221を有することで図5おいて示すように層間絶縁膜として用いているSOG層217がチップ内部へ到達しないように寸断されている。
【0006】
しかしながら、ヒューズ開口部の層間絶縁膜の側壁においては、絶縁膜である酸化膜が露出している状態であり、SOGエッチバックを行っている絶縁膜層ではSOG層が露出するため水分浸入が起こりNBTIだけでなく、金属配線の腐食などが発生しICの特性劣化に至る可能性がある。
【0007】
そのヒューズ開口部からの水分侵入に起因する長期信頼性の劣化をさせないために、ヒューズ開口部よりICの内部に、障壁となるようメタルを用いてガードリングを形成することで水分の侵入を防止する対策が、例えば、特許文献1および特許文献2において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平05−63091号公報
【特許文献2】特開平07−22508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アナログICにおいてチップサイズ縮小のため、各要素回路部の縮小は必須となるが、ヒューズ部からの水分浸入により素子特性の変動や金属配線の腐食を抑制するためにヒューズ開口部からの距離を確保するとチップサイズの拡大となり、競争力を失う。
【0010】
またSOGを介した水分浸入を防ぐために金属配線で障壁となるガードリングを形成する対策においても、NBTIなどの特性シフトの抑制に効果はあるが、ヒューズ開口部にSOG層が露出しているため、金属配線のガードリングが配線腐食を起こす可能性を有することになる。
【0011】
そこで本発明は、ヒューズ開口部に起因する水分の浸入における長期信頼性の劣化および配線腐食を防止することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、請求項1記載の発明では、
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられたフィールド絶縁膜と、
前記フィールド絶縁膜の上に配置された抵抗体及びヒューズと、
前記ヒューズの上に設けられた第一の層間絶縁膜と、
前記第一の層間絶縁膜の上に設けられた第二の層間絶縁膜と、
前記第二の層間絶縁膜の上に設けられた、SOG層を間に有する第三の層間絶縁膜と、
前記第三の層間絶縁膜上に形成されたパッシベーション酸化膜と、
前記ヒューズの上に、前記パッシベーション酸化膜から前記第二の層間絶縁膜の途中まで、その間の膜を除去することで設けられたヒューズ開口部と、
前記パッシベーション酸化膜の上と前記ヒューズ開口部の側面および側底面を覆うパッシベーション窒化膜と、を有し、
前記ヒューズ開口部の底面において前記第二の層間絶縁膜が前記パッシベーション窒化膜から露出するように、前記パッシベーション窒化膜が除去されていることを特徴とする半導体装置とした。
【0013】
また請求項2記載の発明では、請求項1記載の半導体装置において、前記ヒューズは第一の多結晶シリコンにより形成されていることを特徴とする半導体装置とした。
【0014】
また請求項3記載の発明では、請求項2記載の半導体装置において、前記抵抗体は前記第一の多結晶シリコンとはことなる第二の多結晶シリコンから形成されていることを特徴とする半導体装置とした。
【0015】
また請求項4記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記第一の層間絶縁膜がBPSGおよびNSG層で形成され、前記第二の層間絶縁膜がプラズマTEOSシリコン酸化膜で形成され、前記第三の層間絶縁膜がプラズマTEOSシリコン酸化膜とSOGとプラズマTEOSシリコン酸化膜で構成されていることを特徴とする半導体装置とした。
【0016】
また請求項5記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記ヒューズ開口部の周囲を取り囲む、金属配線材料からなるガードリングをさらに有することを特徴とする半導体装置とした。
【発明の効果】
【0017】
多層配線を形成するICにおいて、長期信頼性劣化の起因となるような、ヒューズ開口部から積層された層間絶縁膜側壁からの水分進入経路を確実に遮断し、NBTIおよび配線腐食によるICの特性劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係るヒューズ部の模式平面図である。
図2】本発明の実施例1に係るヒューズ部を含む半導体装置のA−Aに沿った模式断面図である。
図3】本発明の実施例1に係るヒューズ部を含む半導体装置のB−Bに沿った模式断面図である。
図4】従来のヒューズ部の模式平面図である。
図5】従来のヒューズ部を含む半導体装置のC−Cに沿った模式断面図である。
図6】従来のヒューズ部を含む半導体装置のD−Dに沿った模式断面図である。
図7】本発明の実施例2に係るヒューズ部の模式平面図である。
図8】本発明の実施例2に係るヒューズ部を含む半導体装置のA−Aに沿った模式断面図である。
図9】本発明の実施例2に係るヒューズ部を含む半導体装置のB−Bに沿った模式断面図である。
図10】本発明の実施例3に係るヒューズ部の模式平面図である。
図11】本発明の実施例3の変形例に係るヒューズ部の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に本発明の実施例となる半導体装置のヒューズ部の平面図、図2および図3に同じ半導体装置の模式断面図を示す。
図2図1の切断線A−Aにおける半導体装置の模式断面図であり、図3図1の切断線B−Bにおける半導体装置の模式断面図である。P型シリコン半導体基板101上にPMOS領域に形成されたN型ウエル拡散層102と、特に記載はしないがNMOS領域にP型ウエル拡散層を形成し、LOCOS法により形成された酸化膜のフィールド絶縁膜103を例えば4000〜8000Å程形成している。
【0021】
そして熱酸化によるゲート絶縁膜104を100〜400Å程度形成し、所望の閾値電圧を得るようにイオン注入を行なった後、CVD法でゲート電極となる多結晶シリコン膜を堆積させ、フォトレジストでパターニングを施しゲート電極105とレーザートリミングでカットされるヒューズ106を形成している。このときゲート電極105およびヒューズ106となる多結晶シリコン膜中に、リンおよびボロンをイオン注入やDoped−CVD法で拡散させ、電極の極性をN型もしくはP型にしている。その後、第2の多結晶シリコンを堆積させ、抵抗体となるよう、第2の多結晶シリコンに低濃度不純物をイオン注入する。ここではP型抵抗体でもN型抵抗体でもどちらを形成してもかまわない。また、Doped−CVD法で形成してもかまわない。その後、フォトリソグラフィー工程の後、エッチングを施しパターンを形成し、高抵抗抵抗体107を作成する。
【0022】
その後、PMOSトランジスタのドレイン・ソースとなるP型高濃度不純物領域108、特に図示しないがNMOSトランジスタのソースおよびドレインとなるN型高濃度不純物領域を形成する。また、抵抗体のコンタクト部分の低抵抗化を図る為に、同時にP型またはN型の高濃度不純物のイオン注入を抵抗体の低濃度領域109に対して行い、抵抗体の両端に高濃度領域110を形成する。
【0023】
次に第一の層間絶縁膜111を例えば常圧CVD法にて5000〜20000Åの厚さとなるよう堆積させることで形成する。第一の層間絶縁膜はボロンとリンを含んだBPSG膜の単層構造や、ノンドープのNSG膜とBPSG膜の2層構造で構成してもよい。そして第一の層間絶縁膜を積層したのち、CMP工程で平坦化処理を行い所望の厚さ、例えばシリコン基板より10000Åの厚みにする。尚、ここでは平坦化処理としてCMPを用いたが、従来から使用されてきたリフロー処理にて平坦化してもよい。
【0024】
その後、接続孔112(コンタクトホール)を形成し、例えばタングステンなどの高融点金属を埋め込むいわゆるプラグ構造を形成したのち、第1の金属配線113を例えばスパッタ法で3000Å〜8000Å堆積させる。コンタクトのスパイク防止の為にタングステンを埋め込む前にTi、TiNからなるバリアメタル層を敷いてもよい。金属配線113にはAl−SiやAl−Si−Cu、Al−Cuを用いても構わない。そして第1の配線金属113をフォトリソグラフィー、エッチング工程で形成する。
【0025】
次に多層配線を形成するために、第二の層間絶縁膜114をたとえばプラズマCVD法によるTEOS酸化膜で5000Å〜15000Åの厚みで形成し、第一の層間絶縁膜の時と同様にCMP処理にて平坦化し、例えば5000Å程度の所望の厚みとなるような層間絶縁膜にする。その後第1の金属配線と接続するための接続孔を形成し、例えばタングステンなどの高融点金属を埋め込んだプラグ構造を形成した後、第2の金属配線115を例えばスパッタ法で3000Å〜8000Åの厚さで堆積させる。プラグ構造を形成する前には、Ti、TiNからなるバリアメタル層を敷いてもよいし、金属配線115にはAl−SiやAl−Si−Cu、Al−Cuを用いても構わない。そして第2の金属配線115のパターンをフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程で形成する。
【0026】
第2の金属配線115を形成後、第三の層間絶縁膜116をプラズマCVD法によるTEOS酸化膜にて堆積させる。このとき第三の層間絶縁膜の表面には平坦化のためにSOG(Spin On Glass)層117をコートしたのちエッチバックを施し、さらにTEOS酸化膜116を堆積させた構造としている。SOG法はCMPプロセスに対し簡便に平坦化が行えるため、多層配線プロセスにおいて最上層の金属配線を堆積させる層間絶縁膜にはSOG法を用いる場合がある。
【0027】
そしてプラズマCVD法で形成したTEOS酸化膜とSOG層で構成される第三の層間絶縁膜に接続孔を形成し、例えばタングステンなどの高融点金属を埋め込んだプラグ構造を形成した後、第3の金属配線118を、第1および第2の金属配線と同様に、例えばスパッタ法で3000〜30000Åの厚みで堆積させる。第3の金属配線118は例えばAl−SiやAl−Si−Cu、Al−Cuで構わない。そして第3の金属配線118のパターンをフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程で形成する。
【0028】
そして最終保護膜であるパッシベーション酸化膜119とパッシベーション窒化膜120の2層パッシベーション膜の形成とPad開口部およびヒューズ開口部122における酸化膜と絶縁膜およびパッシベーション窒化膜のパターニングを経て、半導体装置が形成される。
【0029】
ここで、ヒューズ開口部122の周囲にはヒューズ開口部122からICチップ内部への水分侵入を防ぐために、ヒューズ開口部122を取り囲むように、第1および第2の金属配線により形成されているガードリング121を矩形状に配置している。このガードリング121を配置することで、図2おいて示すように、層間絶縁膜として用いているSOG層117がICチップ内部へと直接延伸して到達しないようにSOG層117を寸断することができる。
【0030】
さらに本実施例では、図1図2および図3に示すようにヒューズ開口部122の層間絶縁膜が露出している側壁および底面と側壁が交わる底面の周辺領域である側底面をパッシベーション窒化膜120で覆う構造としている。ヒューズ開口部122の底面は側底面を除いてパッシベーション窒化膜120が除去されている。パッシベーション窒化膜120はヒューズ開口部122の底面においてヒューズ開口部122とは異なる形状の開口部123を有していることになる。従って、ヒューズ開口部122において露出している膜は、側底面を除いた底面の第二の層間絶縁膜だけである。このように構成することで、積層されている第一、第二および第三の層間絶縁膜の界面での密着性低下から、発生した隙間を解しての水分浸入を防ぐことを可能としている。またSOG層についても同様にパッシベーション窒化膜120で覆う構造としているためSOG層を介しての水分浸入を抑制できる構造となっている。
【0031】
また、ヒューズ開口部122のエッチングは第二の層間絶縁膜の途中で止まるようにしている。これは第一の層間絶縁膜まで到達させてしまうと、吸湿性のあるBPSG層が露出してしまい、側壁をパッシベーション窒化膜120で覆い被してもBPSG層を介してICチップ内へ水分浸入が容易となってしまうからである。また第三の層間絶縁膜116でヒューズ開口部122のエッチングを止めてしまうと、SOG層117がやはり露出してしまい水分浸入経路となりうるが、酸化膜でも水分浸入が少ないプラズマTEOS層である第二の層間絶縁膜で開口のエッチングを止めることで、ヒューズトリミング不良を抑制しつつ水分浸入によるIC特性の劣化を防ぐことが可能となっている。
【0032】
本実施例により示した半導体装置の製造方法は図示しないが、第3の金属配線を形成した後、2層パッシベーション膜のうちまずパッシベーション酸化膜119をプラズマCVD法で堆積させた後、ヒューズの開口を第二層間絶縁膜の途中までエッチングしてヒューズ開口部122を形成する。その後パッシベーション窒化膜を堆積させたのち、Padとヒューズ部分の開口を形成するためにパッシベーション窒化膜を部分的に除去することで本実施例により示した半導体装置の最終形態となる。
【実施例2】
【0033】
次に、実施例2となる、上記実施例1で示した実施形態からの変形例を図7から図9を用いて説明する。図7は変形例のヒューズ部を示す平面図であり、図8図7の切断線A−Aにおける半導体装置の模式断面図であり、図9図7の切断線B−Bにおける半導体装置の模式断面図である。
【0034】
図7から明らかなように、本変形例においては第1および第2の金属配線により形成されるガードリング(図1から図3において符号121で示されている)をヒューズ開口部の周囲に配置していない。そして、その他の部分に関しては、実施例1と同様の構成となっている。これは、パッシベーション窒化膜120の水分の浸入に対する耐性が十分であることが確認できる場合は、水分の浸入に対する二重の防御のひとつである第1および第2の金属配線により形成されるガードリングを省くことが可能となるからである。ヒューズ開口部の周囲にガードリングがないと、SOG層は寸断されず、図8および図9で示すようにSOG層がICチップ内部へと延伸する可能性があるが、ヒューズ開口部に形成されたパッシベーション窒化膜120が水分の浸入を十分に防ぐので、SOG層を介しての水分の浸入を懸念する必要がなくなるのである。
【0035】
実施例2の構成においては、ガードリングを省いた分、切断線A−Aに沿ったヒューズ全体の長さを、製造工程において許される限りにおいて短縮することが可能となるという効果を有する。
【実施例3】
【0036】
次に、実施例3を図10および図11を用いて説明する。図10は実施例3のヒューズ部を示す平面図であり、図11はその変形例となるヒューズ部を示す平面図である。実施例3においては、ヒューズ開口部の最終的な形状を決定しているパッシベーション窒化膜120の開口部123の形状を、それぞれのヒューズにおいて独立した開口部が配置されるようにしてある。それぞれのヒューズにおける開口部123の形状は図10では矩形(長方形)であり、変形例である図11では円形としている。開口部123の形状はパッシベーション窒化膜120のパターニングで決まるので、追加の工程は生じない。このようにそれぞれのヒューズにおいて独立した開口を配置することで、レーザートリミングにおいて切断されるヒューズの部分だけが露出され、その周囲はパッシベーション窒化膜120によって覆われることになるので、高温で溶断されたヒューズの残渣による汚染の影響を小さくし、さらに溶断されるヒューズの周囲の温度が上がることによる膨張の影響を抑制するという効果を有する。
【0037】
以上に示した実施例においては、3層の金属配線プロセスを例に説明したが、4層以上の多層配線プロセスにおいても同様に本発明を適用することが可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
101、201 P型シリコン半導体基板
102 N型ウエル拡散層
103、203 フィールド絶縁膜
104 ゲート絶縁膜
105 ゲート電極
106 ヒューズ
107 高抵抗抵抗体
108 P型高濃度不純物領域
109 抵抗体の低濃度領域
110 抵抗体の高濃度領域
111、211 第一の層間絶縁膜
112 接続孔
113 第一の金属配線
114、214 第二の層間絶縁膜
115 第二の金属配線
116、216 第三の層間絶縁膜
117、217 SOG層
118 第三の金属配線
119、219 パッシベーション酸化膜
120、220 パッシベーション窒化膜
121、221 ガードリング
122、222 ヒューズ開口部
123 パッシベーション窒化膜の開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11