(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
図1及び
図2は、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムの概要を示す。また、
図3及び
図4は、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムにおいて、キー上にキャラクターを重畳表示する場合の概要を示す。
【0010】
(タイピング訓練システム1の概要)
本実施の形態に係るタイピング訓練システム1は、表示部10と表示部10に重ねて配置されるタッチパネル部12とを備えるタブレットパソコン、モバイルパソコン、及び/又はスマートフォン等の情報端末において、ソフトウェアキーボード2を用い、タッチタイピングにおける正しい指使いを訓練するシステムである。なお、本実施の形態ではQWERTY配列のキーボードを例に挙げて説明するが、他の配列のキーボードに対しても同様に本実施の形態に係るタイピング訓練システム1を適用できる。また、本実施の形態では、表示部10に実質的なフルキーボードを表示させてユーザーに両手を用いたタイピング訓練をさせる例を挙げて説明するが、表示部10のサイズが小さい場合、表示部10にフルキーボードの半分の大きさを有するキーボードを表示させ、ユーザーに片手だけでタイピング訓練させることもできる。
【0011】
タッチタイピングにおいては、まず、両手の10本の指のうち、両親指を除いた残りの8本の指をホームポジションに置く。本実施の形態において「ホームポジション」とは、キーボードに対する指の初期位置であり、左手の人差し指306をキーボードの「F」キーに、左手の中指304をキーボードの「D」キーに、左手の薬指302をキーボードの「S」キーに、左手の小指300をキーボードの「A」キーに置き、右手の人差し指308をキーボードの「J」キーに、右手の中指310をキーボードの「K」キーに、右手の薬指312をキーボードの「L」キーに、右手の小指314をキーボードの「;」キーに置く配置である。なお、ソフトウェアキーボード2においては、キー配列が変則的になっているので、右手の小指314はキーボードの「エンターキー」、「エンターキー」近傍、若しくは他のキーの近傍に置かれる場合、又はいずれのキーにも接触していない場合がある。
【0012】
ユーザーが所定のキーを正しくタイプする場合には、当該キーをタイプする正しい指を用い、ホームポジションから当該正しい指を離し、当該キーを当該正しい指でタイプする。例えば、ユーザーがホームポジションに8本の指を置いた場合、左手の人差し指306はキーボードの「F」キーに置かれる。そして、ユーザーがキーボードの「T」キーをタイプする場合、左手の人差し指306を「F」キーから離してキーボードの「T」キーをタイプする。このように、各キーをタイプすべき指は、原則として予め定められている。
【0013】
タイピング訓練システム1は、まず、複数の指、好ましくはユーザーの両親指を除く8本の指がホームポジションに置かれたか否かを検知する。そして、タイピング訓練システム1は、ユーザーに対して特定のキーをタイプすることを指示する。タイピング訓練システム1は、当該特定のキーをタイプする場合に用いる指がホームポジションから離れたか否かを検知すると共に、当該指がホームポジションから離れた後、当該特定のキーがタイプされたか否かを検知する。これにより、タイピング訓練システム1は、当該特定のキーが、当該特定のキーをタイプすべき正しい指でタイプされたか否かを判断する。そして、タイピング訓練システム1は、正しい指で当該特定のキーがタイプされたか否かの結果を、ユーザーに対して知覚可能にフィードバックする。
【0014】
例えば、タイピング訓練システム1は、タッチタイプの訓練を開始する場合、ユーザーに対してホームポジションに各指を接触させる指示をする。そして、
図1に示すように、タイピング訓練システム1は、ユーザーの8本の指がソフトウェアキーボード2のホームポジションとして設定されている複数の基準キーのそれぞれに接触しているか否かを、タッチパネル部12を介して判定する。
【0015】
具体的に、基準キー200は「A」キーであり、基準キー202は「S」キーであり、基準キー204は「D」キーであり、基準キー206は「F」キーである。また、基準キー208は「J」キーであり、基準キー210は「K」キーであり、基準キー212は「L」キーであり、基準キー214は「エンターキー」である。なお、タイピング訓練システム1は、ユーザーの右手の小指314が基準キー214に接触していなくても、他の基準キーのそれぞれに指が接触していると判定した場合には、ユーザーがホームポジションに各指を適切に接触させたと判定することもできる。
【0016】
次に、タイピング訓練システム1は、ユーザーに対し、ユーザーにタイプさせるキーである目標キーをタイプする指示をする。例えば、
図2に示すように、タイピング訓練システム1は、目標キー216として「T」キーを設定した場合、「T」キーをタイプする指示をユーザーに知覚可能に出力する。一例として、タイピング訓練システム1は、表示部10の予め定められた領域にアルファベットの「t」を表示すると共に、「正しい指でキーをタイピングしていこう」というテキストメッセージ及び/又は音声をユーザーに対して出力することで、ユーザーに目標キー216をタイプする指示をする。
【0017】
そして、タイピング訓練システム1は、上記指示を出力した後、ホームポジションの各基準キーに指が接触している状態からいずれの基準キーへの接触が非接触になったか否かに基づいて、正しい指を目標キー216のタイプに用いたか否かを判断する。例えば、タイピング訓練システム1は、目標キー216として「T」キーを設定した場合、「T」キーをタイプすべき指は左手の人差し指306であるので、基準キー206への接触状態が非接触になると共に他の基準キーへの接触状態が維持されている場合、目標キー216のタイプに正しい指をユーザーが用いたと判断する。更に、タイピング訓練システム1は、目標キー216がタイプされたか否かを判断する。そして、タイピング訓練システム1は、目標キー216がタイプされた場合、ユーザーが正しい指で正しいキーをタイプしたと判断し、ユーザーに対してその旨を知覚可能に出力する。
【0018】
一方、タイピング訓練システム1は、基準キー206への接触状態が非接触にならず、他の基準キーの接触状態が非接触になった場合、目標キー216のタイプにユーザーは誤った指を用いたと判断する。この場合、タイピング訓練システム1は、ユーザーに対し、誤った指を用いた旨を知覚可能に出力する。また、タイピング訓練システム1は、ユーザーが正しい指を用いた場合であっても、目標キー216とは異なるキーをタイプした場合、誤ったキーをタイプした旨をユーザーに対して知覚可能に出力する。タイピング訓練システム1は、ユーザーが誤った指を用いて目標キー216とは異なるキーをタイプした場合、及び誤った指を用いて目標キー216をタイプした場合にも誤ったことを示す情報をユーザーに対して知覚可能に出力する。
【0019】
また、タイピング訓練システム1は、
図3に示すように、ソフトウェアキーボード2の各キーのうち、ユーザーがタイプすべきキー、及び/又はユーザーが指を置くべくキーに架空の生物等を表したキャラクターの画像(以下、「キャラクター画像」と表す)を重畳表示する。例えば、タイピング訓練システム1は、キーに対応づけられているアルファベットを頭文字に有する名称を含むキャラクター画像を、予め定められたタイミングでキー上に重畳表示する。
【0020】
例えば、タイピング訓練システム1は、タイピング訓練開始時であって、ユーザーに対してホームポジションに各指を接触させる指示をする場合に、複数の基準キーのそれぞれに、各基準キーに対応づけられているアルファベットを頭文字に有する名称のキャラクター画像を各基準キーに重畳表示する。一例として、タイピング訓練システム1は、タイピング訓練開始時に、基準キー200上にキャラクター画像400を重畳表示し、基準キー202上にキャラクター画像402を重畳表示し、基準キー204上にキャラクター画像404を重畳表示し、基準キー206上にキャラクター画像406を重畳表示する。同様に、タイピング訓練システム1は、基準キー208上にキャラクター画像410を重畳表示し、基準キー210上にキャラクター画像412を重畳表示し、基準キー212上にキャラクター画像414を重畳表示する。
【0021】
また、タイピング訓練システム1は、ユーザーがタッチパネル部12上に指を接触させていないと判断している間、ユーザーが指を接触させるべきソフトウェアキーボード2のキー上に、指の形状を有する指画像を半透明状にして重畳表示することもできる。一例として、
図3に示すように、タイピング訓練システム1は、タイピング訓練開始時、及び/又はユーザーが指をホームポジションに戻すべき時に、複数の基準キーのそれぞれに、指画像(例えば、指画像600、指画像602、指画像604、指画像606、指画像608、指画像610、指画像612、及び指画像614)を重畳表示することができる。
【0022】
更に、タイピング訓練システム1は、
図4に示すように、目標キー上にキャラクター画像を重畳表示する。例えば、タイピング訓練システム1は、ユーザーに対して目標キー216としての「T」キーをタッチさせる指示を出力した場合に、「T」キー上に「T」を頭文字に有する名称のキャラクター画像408を重畳表示する。
【0023】
また、タイピング訓練システム1は、目標キーのタイプに用いるべきユーザーの指を除く他の指が予め定められた基準キーに接触しているか否かに基づいて、正しい指で目標キーがタイプされたか否かを判断することもできる。例えば、タイピング訓練システム1は、目標キーをタイプすべき指示を出力した後、まず、目標キーがタイプされたか否かを検知する。次に、タイピング訓練システム1は、目標キーをタイプすべき指を除く他の指が予め定められた基準キーに接触している状態であるか否かに基づいて、正しい指を目標キーのタイプに用いたか否かを判断する。
【0024】
例えば、タイピング訓練システム1は、目標キー216として「T」キーを設定した場合、「T」キーがタイプされたか否かをまず検知する。タイピング訓練システム1は、「T」キーがタイプされなかった場合、ユーザーが正しいキーをタイプしなかったことをユーザーに知覚可能に出力する。
【0025】
一方、タイピング訓練システム1は、「T」キーがタイプされた場合、「T」キーをタイプすべき指は左手の人差し指306であるので、基準キー206を除く他の複数の基準キーへの接触状態が維持されているか否か検知する。続いて、タイピング訓練システム1は、基準キー206を除く他の複数の基準キーへの接触状態が接触のまま維持されている場合、目標キー216のタイプに正しい指をユーザーが用いたと判断する。そして、タイピング訓練システム1は、ユーザーが正しい指で正しいキーをタイプしたことをユーザーに知覚可能に出力する。
【0026】
他方、タイピング訓練システム1は、基準キー206を除く他の複数の基準キーの少なくとも一部への接触状態が接触から非接触になったことを検知した場合、基準キー206への指の接触が維持されていることを検知した場合、又は基準キー206への指の接触が維持されており、かつ、基準キー206を除く他の複数の基準キーの少なくとも一部への接触状態が接触から非接触になったことを検知した場合、目標キー216のタイプに誤った指をユーザーが用いたと判断する。そして、タイピング訓練システム1は、ユーザーが誤った指でキーをタイプしたことをユーザーに知覚可能に出力する。
【0027】
このように本実施の形態に係るタイピング訓練システム1は、タッチタイピングの訓練においてユーザーが正しい指をタイプに用いているか否かをタッチパネル部12への指の接触動作を用いて自動的に判断できるので、単に正しいキーをタイプしているか否かを判断するだけでは訓練させることができない正しい指使いをユーザーに訓練させることができる。更に、タイピング訓練システム1は、キー上にユーザーの興味を引くキャラクターを重畳表示させるので、ユーザーのタイピング訓練に対する興味を持続させることができる。
【0028】
(タイピング訓練システム1の詳細)
図5は、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムの機能構成の一例を示す。
【0029】
(タイピング訓練システム1の構成の概要)
タイピング訓練システム1は、文字、図形、記号等を表示する表示部10と、表示部10に重ねて配置されるタッチパネル部12と、表示部10の表示を制御する表示制御部14と、表示部10に表示させるソフトウェアキーボード2のキーボード配列に関する情報を格納するキー配列格納部16と、ソフトウェアキーボード2に重畳表示する画像を格納する画像格納部18と、ユーザーが正しい指を用いてタイプしたか否かを判断するタイプ判断部20と、タッチパネル部12に接触したユーザーの指の位置を検知する接触位置検知部22と、タッチパネル部12に接触したユーザーの指の位置と表示部10に表示されているソフトウェアキーボード2のキーの位置とが対応しているか否か判定する接触位置判定部24と、ユーザーが指示されたキーを正しい指でタイプしたか否か判断する正解判断部26とを備える。
【0030】
また、タイピング訓練システム1は、正解判断部26の判断結果に基づいて、ソフトウェアキーボード2に重畳表示させるキャラクター画像を変更するキャラクター変更部28と、ユーザーに対してタイピングの訓練を指示する訓練指示部30と、正解判断部26の判断結果を格納する成績格納部32と、正解判断部26の判断結果に基づいて表示部10等を振動させる振動部34と、訓練指示部30の指示内容、及び/又は正解判断部26の判断結果を出力部38に出力させる出力制御部36とを備える。
【0031】
(表示部10、タッチパネル部12)
表示部10は、複数のキーを含んで構成されるソフトウェアキーボード2を所定の領域に表示する。また、表示部10は、訓練指示部30の指示に応じ、ユーザーに対するタイピング訓練に関する指示を所定の領域にテキストデータ、及び/又は画像データを用いて表示する。更に、表示部10は、表示制御部14に制御され、ソフトウェアキーボード2のキー上にキャラクター画像及び/又は指画像を重畳表示する。タッチパネル部12は、表示部10に重ねて配置され、ソフトウェアキーボード2に対する入力操作を受け付ける。タッチパネル部12は、例えば、マルチポイントタッチパネルである。
【0032】
(表示制御部14、キー配列格納部16)
表示制御部14は、表示部10への文字、図形、記号、若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の表示を制御する。表示制御部14は、キー配列格納部16に格納されている情報を取得して、取得した情報に基づいて表示部10の所定の領域にソフトウェアキーボード2を表示する。具体的に、キー配列格納部16は、ソフトウェアキーボード2のキー配列を設定するキー配列設定情報を格納する。そして、表示制御部14は、キー配列格納部16からキー配列設定情報を取得して、取得したキー配列設定情報によって規定されるキー配列を有するソフトウェアキーボード2を表示部10に表示する。表示制御部14は、ソフトウェアキーボード2を表示部10に表示した場合、ソフトウェアキーボード2を構成する複数のキーの表示部10上における位置を示す表示位置の情報を接触位置判定部24に供給する。
【0033】
また、表示制御部14は、画像格納部18に格納されているキャラクター画像、及び/又は指画像をソフトウェアキーボード2の各キー上に重畳表示する。表示制御部14は、キャラクター画像、及び/又は指画像の透明度を変化させて各キー上に重畳表示することもできる。更に、表示制御部14は、訓練指示部30からの働きかけに応じ、表示部10の予め定められた領域に、タイピング訓練をユーザーに促す情報を表示する。そして、表示制御部14は、正解判断部26からの働きかけに応じ、ユーザーのタイピング訓練の結果を表示部10に表示する。
【0034】
(画像格納部18)
画像格納部18は、架空の生物、実在の生物、オブジェクト、及び/又は架空の生物に予め対応づけられた技名、及び/又は実在の生物の特徴等を表したキャラクター画像を格納する。具体的に、画像格納部18は、ソフトウェアキーボード2の複数のキーそれぞれに対応づけて、複数のキーそれぞれに対応する文字、記号を頭文字に含む名称を有するキャラクター画像を格納する。すなわち、画像格納部18は、アルファベット及び記号のそれぞれに対応づけてキャラクター画像を格納する。
【0035】
例えば、ソフトウェアキーボード2の各キーには、各キーそれぞれに対応するアルファベットを頭文字に有する名称を含むキャラクターが対応づけられる。一例として、基準キー「A」には「アーボック(Arbok)」という名称のキャラクターが対応づけられ、基準キー「S」には「ソーナンス(Sonans)」という名称のキャラクターが対応づけられ、基準キー「D」には「ドゴーム(Dogohmb)」という名称のキャラクターが対応づけられ、基準キー「F」には「フシギソウ(Fushigisou)」という名称のキャラクターが対応づけられる。また、基準キー「J」には「ジュプトル(Juptile)」という名称のキャラクターが対応づけられ、基準キー「K」には「キノココ(Kinococo)」という名称のキャラクターが対応づけられ、基準キー「L」には「ルナトーン(Lunatone)」という名称のキャラクターが対応づけられる。他の複数のキーそれぞれにも同様にキャラクターが対応づけられる。画像格納部18は、一のキーに対応づけて、当該一のキーに対応するアルファベットを頭文字に有する名称のキャラクターのキャラクター画像を格納する。
【0036】
また、画像格納部18は、一のキーに対応づけて複数のキャラクター画像を格納する場合、ユーザーのタイピング訓練における当該一のキーの正答率に応じた複数のキャラクター画像を格納することもできる。例えば、画像格納部18は、正答率を複数の範囲に区切り、各正答率の範囲のそれぞれに異なるキャラクター画像を対応させて格納できる。更に、画像格納部18は、ソフトウェアキーボード2のキー上に重畳表示する指の形状を有する指画像を格納する。画像格納部18は、表示制御部14からの働きかけに応じてキャラクター画像、及び/又は指画像を表示制御部14に供給する。
【0037】
(接触位置検知部22、接触位置判定部24)
接触位置検知部22は、タッチパネル部12に接触しているユーザーの指のタッチパネル部12に対する位置である接触位置を検知する。具体的に、接触位置検知部22は、タッチパネル部12に対するユーザーの複数の指それぞれの複数の接触位置を検知する。接触位置検知部22は、検知した接触位置を示す情報(以下、「接触位置情報」と表す)を接触位置判定部24に供給する。
【0038】
接触位置判定部24は、接触位置情報が示す接触位置と、表示制御部14から受け取った基準キー及び/又は目標キーの表示部10上における表示位置とが対応しているか否かを判定する。まず、接触位置判定部24は、タイピング訓練開始時において、予め定められた複数の基準キーの表示部10上における複数の表示位置のそれぞれと、複数の接触位置とが予め定められた対応をしているか否かを判定する。すなわち、接触位置判定部24は、ホームポジションにユーザーの指が置かれているか否かを判定する。接触位置判定部24は、ホームポジションとは異なるキーにユーザーの指が接触していると判定した場合、指が異なるキーに接触していることを示す接触エラー情報を訓練指示部30に供給する。
【0039】
また、接触位置判定部24は、タイピング訓練開始後においてユーザーに目標キーをタイプさせる場合、当該目標キーをタイプする指が接触している基準キーに対するユーザーの指の接触が非接触になったか否かを判定する。例えば、目標キーが「U」キーである場合、「U」キーをタイプすべき指は右手の人差し指である。この場合、接触位置判定部24は、基準キー208への指の接触が非接触になったか否かを判定する。また、この場合において接触位置判定部24は、目標キーをタイプする指を除く他の指の少なくとも一部が、基準キーに接触した状態を維持しているか否かを判定する。例えば、接触位置判定部24は、目標キーがタイプされる前に、目標キーをタイプする指を除く他の指の少なくとも一部の基準キーへの接触状態が接触から非接触になったことを検知することができる(すなわち、接触位置判定部24は、目標キーがタイプされる前に、目標キーをタイプする指の基準キーへの接触状態が接触したままであり、目標キーをタイプする指を除く他の指の少なくとも一部の基準キーへの接触状態が接触から非接触になったことを検知することとなる。)。
【0040】
更に、接触位置判定部24は、基準キーへの指の接触が非接触になったと判定した場合、非接触になった後にユーザーの指が接触したタッチパネル部12に対する接触位置と目標キーの表示部10上における表示位置とが対応しているか否かを判定する。
【0041】
また、接触位置判定部24は、ユーザーに目標キーをタイプさせる場合、当該目標キーをタイプする指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーを除く他の基準キーそれぞれに、指が接触しているか否かを判定する。例えば、目標キーが「T」キーである場合、「T」キーをタイプすべき指は左手の人差し指である。この場合、接触位置判定部24は、基準キー206を除く他の複数の基準キーへの指の接触が接触状態であるか否かを判定する。なお、接触位置判定部24は、ユーザーの目標キーのタイプ時点から予め定められた時間内に予め定められた複数の基準キーにユーザーの指が接触しているか否かを判定する。一例として、接触位置判定部24は、ユーザーが目標キーをタイプした時点で、当該目標キーをタイプする指が接触すべき基準キーを除く他の基準キーそれぞれに、指が接触しているか否かを判定する。すなわち、接触位置判定部24は、ユーザーが目標キーをタイプしたか否かと、予め定められた複数の基準キーにユーザーの指が接触しているか否かを実質的に同時点で判定する。接触位置判定部24は、判定結果を示す情報をタイプ判断部20及び訓練指示部30に供給する。
【0042】
(タイプ判断部20)
タイプ判断部20は、ユーザーの指の接触位置が基準キーの表示位置に対応していると接触位置判定部24が判定した後に、ユーザーの指が基準キーに接触しているか否か、又は基準キーから離れたか否かを判断する。具体的に、タイプ判断部20は、複数の接触位置の少なくとも一部と複数の基準キーの複数の表示位置とが対応していると接触位置判定部24が判定した後に(つまり、接触位置判定部24が予め定められた複数の基準キーの表示部10上における複数の表示位置のそれぞれと、複数の接触位置とが予め定められた対応になっていると判定した後に)、ユーザーの指が基準キーに接触しているか否か、又は基準キーから離れたか否かを判断する。すなわち、タイプ判断部20は、ユーザーの複数の指のすべて若しくは一部がホームポジションに置かれたと接触位置判定部24が判定した後に、ユーザーの指が基準キーに接触しているか否か、又は基準キーから離れたか否かを判断する。なお、タイプ判断部20は、ユーザーが目標キーをタイプした後、若しくは目標キーをタイプした時点で、ユーザーの指が基準キーに接触しているか否か、又は基準キーから離れたか否かを判断することもできる。
【0043】
そして、タイプ判断部20は、ユーザーにタイプさせるキーである目標キーのタイプに用いるユーザーの指の予め定められた基準キーに対する接触状態に基づいて、正しい指で目標キーがタイプされたか否かを判断する。具体的に、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から受け取った判定結果が、目標キーをタイプすべき指が接触している基準キーへの指の接触が非接触になったことを示す場合に、ユーザーの指が予め定められた基準キーから離れたと判断する。ここで、タイプ判断部20は、目標キーをタイプすべき指を除く他の指の少なくとも一部において基準キーへの接触が非接触になったことを示す場合、ユーザーの指の少なくとも一部が他の基準キーからも離れたと判断する。
【0044】
そして、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から受け取った判定結果が、基準キーへの指の接触が非接触になった後、ユーザーの指が接触したタッチパネル部12に対する接触位置と目標キーの表示部10上における表示位置とが対応していることを示す場合に、ユーザーが目標キーをタイプしたと判断する。
【0045】
一方、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から、目標キーをタイプする指が接触している基準キーへユーザーの指が接触したままであり、他の基準キーに対するユーザーの指の接触が非接触になったことを示す情報を取得した場合に、ユーザーの指が予め定められた基準キーから離れていないと判断する。そして、この場合に、タイプ判断部20は、誤った指で目標キーがタイプされたと判断する。
【0046】
また、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から受け取った判定結果が、目標キーをタイプすべき指を除く他の指それぞれが、当該他の指それぞれに対応する複数の基準キーそれぞれへ接触していることを示す場合に、ユーザーがタイピングに正しい指を用いたと判断することもできる。より具体的に、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から受け取った判定結果が、目標キーへの指の接触が接触状態になった時点で、当該目標キーをタイプする指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーを除く他の複数の基準キーへの指の接触が接触状態であることを示す場合に、ユーザーが正しい指で目標キーをタイプしたと判断する。
【0047】
一方、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から、目標キーへの指の接触があり、かつ、目標キーをタイプする指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーに対し、指が接触した状態を示す情報を取得した場合に、ユーザーの指が予め定められた基準キーに接触したままであると判断する。そして、この場合に、タイプ判断部20は、誤った指で目標キーがタイプされたと判断する。また、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から目標キーへの指の接触が検知されたことを示す情報を取得する前において、目標キーをタイプすべき指を除く他の指が接触しているべき基準キーの少なくとも一部への接触状態が非接触であることを示す情報を接触位置判定部24から取得した場合に、ユーザーが誤った指を用いたと判断することもできる(すなわち、タイプ判断部20は、接触位置判定部24から目標キーへの指の接触が検知されたことを示す情報を取得する前において、目標キーをタイプすべき指が基準キーに接触した状態であり、当該指を除く他の指が接触しているべき基準キーの少なくとも一部への接触状態が非接触であることを示す情報を接触位置判定部24から取得した場合に、ユーザーが誤った指を用いたと判断することもできる。)。タイプ判断部20は、判断結果を示す情報を正解判断部26に供給する
【0048】
(正解判断部26)
正解判断部26は、タイプ判断部20の判断結果に基づいて、ユーザーが正しい指をタイプに用いたか否か、及びユーザーが目標キーを正しくタイプしたか否かを判断する。具体的に、正解判断部26は、タイプ判断部20が正しい指を用いたと判断し、かつ、目標キーがタイプされたと判断した場合、当該目標キーに対するユーザーのタイプが正解であると判断する。一方、正解判断部26は、タイプ判断部20が正しい指を用いたと判断した場合であっても、目標キーがタイプされなかったと判断した場合、及びタイプ判断部20が誤った指を用いたと判断した場合、当該目標キーに対するユーザーのタイプが誤答であると判断する。
【0049】
また、正解判断部26は、複数のキーそれぞれに対し、ユーザーのタイピングの正答率を算出する。例えば、正解判断部26は、一のキーが目標キーとして指定された回数と、一のキーに対するユーザーのタイピングが正解であった正解数とから当該一のキーに対する正答率を算出する。正解判断部26は、複数のキーのそれぞれに対応づけて各キーの正解数若しくは誤答数、及び/又は複数のキーのそれぞれに対応づけて算出した正答率を示す正答率情報をキャラクター変更部28に供給する。また、正解判断部26は、複数のキーのそれぞれに対応づけて、各キーに対するユーザーのタイピングの正解を示す情報、及び誤答を示す情報を時系列に沿ってキャラクター変更部28に供給することもできる。
【0050】
また、正解判断部26は、正解か否かを示す判断結果を示す情報である正解判断情報と各キーに対する正答率とを訓練指示部30、成績格納部32、及び出力制御部36に供給する。更に、正解判断部26は、正解判断情報を振動部34に供給する。そして、正解判断部26は、正解判断情報を表示制御部14に供給する。表示制御部14は、正解であることを示す正解判断情報を受け取った場合、表示部10にユーザーの目標キーに対するタイプが正解であることを示すメッセージを表示する。
【0051】
なお、表示制御部14は、表示部10に正解数、若しくは正答率に応じて変化するゲージを表示させることができる。例えば、表示制御部14は、時間の経過に応じて減少するゲージを表示部10に表示させる。ここで、表示制御部14は、正解判断部26から正解であることを示す正解判断情報を受け取った場合、当該ゲージの減少量を抑制することができる。また、表示制御部14は、正解判断部26から正解であることを示す正解判断情報を予め定められた回数、連続して受け取った場合、減少したゲージを増加若しくは回復させることもできる。更に、表示制御部14は、正解判断部26から誤答であることを示す正解判断情報を受け取った場合、ゲージの減少量を増加させることもできる。このように表示部10が、視覚的に確認できるゲージを表示することで、ユーザーのタイピング訓練に対する意欲を増加させることができる。
【0052】
(キャラクター変更部28)
キャラクター変更部28は、正解判断部26の判断結果に基づいて、表示部10が目標キーに重畳表示するキャラクターを他のキャラクターに変更する。具体的に、キャラクター変更部28は、正解判断部26から複数のキーそれぞれの正答率情報を受け取った場合、当該正答率情報が示す正答率に対応づけて画像格納部18に格納されているキャラクター画像を、表示制御部14を介して表示部10に表示させる。なお、キャラクター変更部28は、正答率情報が示す正答率が100%である場合、目標キーにキャラクター画像を重畳表示させないことを示す情報を表示制御部14に供給することもできる。また、キャラクター変更部28は、タイピングの誤答を示す情報を正解判断部26から受け取った場合において、当該情報が予め定められた回数、誤答が連続していることを示す場合、目標キーに重畳表示するキャラクター画像を変更させないで維持することもできる。これにより、キャラクター変更部28は、ユーザーがタイピング訓練を継続し、正しい指を用いて正しいキーをタイプする成功率が向上するにつれて、キー上に重畳表示するキャラクター画像を変更若しくは消去することができるので、ユーザーのタイピング訓練に対する意欲を維持、向上させることができる。
【0053】
(訓練指示部30)
訓練指示部30は、複数の基準キーに複数の指を接触させる指示、及び目標キーをタイプさせる指示を、表示部10及び/又は出力部38を介してユーザーに知覚可能に出力する。具体的に、訓練指示部30は、タイピング訓練開始時に、予め定められた複数の基準キーのそれぞれに指を正しくタッチさせる指示を表示部10及び/又は出力部38を介してユーザーに知覚可能に出力する。例えば、訓練指示部30は、表示制御部14に働きかけて、ホームポジションにすべての指を正しくタッチさせる旨を指示するテキストを表示部10の所定の領域に表示させる。また、訓練指示部30は出力制御部36に働きかけて、ホームポジションにすべての指を正しくタッチさせる旨を指示する音声を出力部38に出力させることもできる。
【0054】
また、訓練指示部30は、接触位置判定部24から接触エラー情報を受け取った場合、ユーザーに対し、ホームポジションとして正しいキーに指を接触させる指示を表示部10及び/又は出力部38を介してユーザーに知覚可能に出力することもできる。更に、訓練指示部30は、タイピング訓練開始後に、目標キーをタッチさせる指示を表示部10及び/又は出力部38を介してユーザーに知覚可能に出力する。そして、正解判断部26から正解判断情報を受け取った場合、訓練指示部30は、例えば、以下のように機能する。
【0055】
まず、正解判断部26から正解を示す正解判断情報を受け取った場合、訓練指示部30は、表示制御部14を介して表示部10に、ユーザーのタイプが正解であることを示す情報を表示させた後、次にタイプすべき目標キーをタイプさせる指示を出力させる。一方、正解判断部26から誤答を示す正解判断情報を受け取った場合、訓練指示部30は、表示制御部14を介して表示部10に、ユーザーのタイプが誤答であることを示す情報を表示させた後、再度、同一の目標キーをタイプさせる指示、又は別の目標キーをタイプさせる指示を出力させる。
【0056】
(成績格納部32)
成績格納部32は、正解判断情報と各キーに対する正答率とを格納する。成績格納部32は、出力制御部36からの働きかけに応じ、格納している正解判断情報及び正答率を出力制御部36に供給する。
【0057】
(振動部34)
振動部34は、正解判断部26から受け取った正解判断情報に基づいて、表示部10若しくはタッチパネル部12を予め定められたパターンで振動させる。例えば、振動部34は、ユーザーが誤ったキーをタイプしたことを正解判断情報が示す場合、表示部10若しくはタッチパネル部12を振動させる。具体的に、振動部34は、正解判断部26から誤答を示す正解判断情報を受け取った場合、表示部10若しくはタッチパネル部12を予め定められた第1の振動パターンで振動させる。また、振動部34は、正解判断部26から正解を示す正解判断情報を受け取った場合、表示部10若しくはタッチパネル部12を第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動させる。これにより、例えば、耳が不自由なユーザーに対し、ユーザーのタイピングが正解であるか誤答であるかを触覚的に知覚させることができる。
【0058】
(出力制御部36、出力部38)
出力制御部36は、出力部38から出力させる情報を制御する。また、出力部38は、例えば、音声を出力する音声出力部、出力制御部36から受け取った情報を電子データとして外部に出力する出力インターフェースである。例えば、出力制御部36は、訓練指示部30からの指示に応じ、ホームポジションに複数の指をタッチさせる音声による指示、及び目標キーをタッチさせる音声による指示を出力部38に出力させる。また、出力制御部36は、正解判断部26の判断結果に応じ、ユーザーが目標キーのタイプに正解したことを示す音声、又はユーザーが目標キーのタイプに失敗したことを示す音声を出力部38から出力させることもできる。
【0059】
(タイピング訓練システム1の動作の概要)
図6から
図9はそれぞれ、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムの動作の概要を示す。
【0060】
まず、
図6を参照する。訓練指示部30は、ユーザーがタイピング訓練を開始する場合、表示制御部14に働きかけて、ホームポジションに指を置くことを指示する情報を表示部10に表示させる。例えば、表示部10は、ソフトウェアキーボード2を表示する領域とは異なる領域である指示情報表示領域に「さあ、まずは、ホームポジションにすべての指を正しくタッチさせよう!」と表示する。この場合に、表示制御部14は、複数の基準キーのそれぞれにキャラクター画像を重畳表示させる(例えば、表示制御部14は、基準キー200上にキャラクター画像400を重畳表示する。)。そして、接触位置判定部24は、ユーザーがホームポジションにすべての指をタッチしたか否か判断する。
【0061】
次に、
図7を参照する。訓練指示部30は、ユーザーがタイピング訓練を開始した後、ユーザーに対して目標キーをタイプすることを指示する。例えば、表示部10は、指示情報表示領域に「では、バトル開始だ。正しい指でキーをタイピングしていこう。」と表示すると共に、タイピングすべき目標キーを表示する。そして、表示制御部14は、目標キーに対応づけられて画像格納部18に格納されているキャラクター画像を目標キーに重畳表示する。例えば、目標キー216が「T」キーである場合、表示制御部14は、「T」に対応づけて画像格納部18に格納されているキャラクター画像408を目標キー216上に重畳表示する。ユーザーは目標キー216に重畳表示されたキャラクター画像408を目標にしてタイピングすることができる。なお、一例として、キー「T」には「テッポウウオ(Teppouo)」という名称のキャラクターが対応づけられる。
【0062】
更に、表示部10は、接触位置と表示位置とが対応していると接触位置判定部24が判定した場合(すなわち、ホームポジションにユーザーのすべての指が置かれた場合)、目標キーのタイプに用いるユーザーの指が接触している基準キーから当該目標キーに向けて、当該目標キーをタイプすることを促すタイプ位置指定マーク500を表示する。例えば、訓練指示部30が目標キーを指定した場合、表示制御部14は、当該目標キーをタイプすべき指が接触している基準キーから当該目標キーに向けて複数の三角形を連ねて構成される矢印をタイプ位置指定マーク500として表示部10に表示させる。なお、表示制御部14は、タイプ位置指定マーク500を複数の三角形を連ねて構成する場合、複数の三角形のそれぞれの大きさ、色を個別に変化させることもできる。また、表示制御部14は、これら複数の三角形を点滅表示させることもできる。更に、タイプ位置指定マーク500は、ユーザーに知覚しやすい形状であれば他の形状にすることもできる。これにより、ユーザーは、左手の人差し指306が、目標キー216をタイプする正しい指であると認識することができる。
【0063】
そして、タイプ判断部20は、ユーザーが正しい指を用いて目標キー216をタイプしたか否かを判断する。ユーザーが正しい指を用いて目標キー216をタイプしたと正解判断部26が判断した場合、表示制御部14は、正解したことを示すテキストを表示部10の指示情報表示領域に表示させる。一例として、表示制御部14は、表示部10に「よくできたね。テポウウオのTだ。その調子だ。次のバトルにチャレンジだ。」と表示させる。そして、訓練指示部30は、表示制御部14に働きかけて表示部10に「よし、また、ホームポジションに指をタッチし、準備しよう。」と表示させる。そして、訓練指示部30は、上記と同様にして訓練指示を繰り返す。
【0064】
一方、タイプ判断部20は、ユーザーが誤った指を用いて目標キー216をタイプしたと正解判断部26が判断した場合、表示制御部14は、表示部10の指示情報表示領域に、一例として「残念だ。タイプする指が違っている。もう一度バトルにチャレンジだ。」と表示させる。そして、タイピング訓練システム1は、上記と同様にして同一の目標キー216のタイピングをユーザーに訓練させる。なお、タイピング訓練システム1は、ユーザーのタイプが誤っている場合、異なる目標キーを設定してタイピング訓練を続行することもできる。
【0065】
次に、
図8を参照する。
図8の例では、ユーザーがホームポジションに指を置いている場合において、目標キーがユーザーの指によって隠されている例を示す。この場合において表示制御部14は表示部10に、基準キー204の上方部分から目標キーに向けて延びるタイプ位置指定マーク500を表示させる。これにより、指によってタイプ位置指定マーク500の一部が隠されていたとしても、目標キーをタイプする指と当該指を動かす方向とをユーザーに分かりやすく知覚させることができる。
【0066】
次に、
図9を参照する。
図9の例では、目標キーをタイプする指だけを基準キーから離し、他の複数の指を基準キーに接触させた状態を維持することが難しい場合を説明する。例えば「X」キー等をタイプする場合のように、左手の薬指302だけをタッチパネル部12の表面から離し、かつ、目標キーに向けて移動させることが身体的に難しい場合がある。一例として、左手の薬指302によって「X」キーをタイプする場合に、不可抗力で左手の小指300が基準キーから離れた場合を想定する。この場合、タイプ判断部20は、目標キーである「X」キーをタイプする左手の薬指302と左手の小指300とのそれぞれの基準キーへの接触が非接触になった場合であっても、ユーザーの指が予め定められた基準キーから離れたと判断する。これにより、正解判断部26は、不可抗力により基準キーへの接触が非接触になった場合でも、適切に正解か否かを判断できる。
【0067】
また、接触位置判定部24は、接触位置と表示位置とが対応しているか否か判定する基準(以下、「対応判定基準」と表す)を、正解判断部26が算出する正答率に応じて変化させることができる。例えば、対応判定基準が高い場合、接触位置判定部24は、接触位置と表示位置との対応を厳密に判定する。一方、対応判定基準が低い場合、接触位置判定部24は、接触位置と表示位置との対応を緩やかに判定する。
【0068】
一例として、接触位置判定部24は、正解判断部26が算出する正答率が予め定められた閾値未満の場合(つまり、ユーザーの習熟度が十分ではない場合)に対応判定基準を引き上げる。また、接触位置判定部24は、正答率が当該閾値以上の場合(つまり、ユーザーの習熟度が高い場合)に対応判定基準を引き下げる。これにより、タイピング訓練システム1は、訓練が不十分なユーザーに対し、より正確な指使いを訓練させることができる。
【0069】
なお、
図9の目標キーを「X」キー等の左手のいずれかの指でタイプすべきキーに設定している場合、右手の各指は基準キーに接触していることを要する。すなわち、ユーザーが目標キーのタイプに用いる指が存在していない側の手の各指は、ユーザーが目標キーをタイプしている間、基準キーに接触していることが要求される。したがって、例えば、目標キーを「X」キー等の左手のいずれかの指でタイプすべきキーに設定している場合、タイプ判断部20は、右手の各指のいずれか1つでも基準キーから離れた場合、ユーザーの指が予め定められた基準キーから離れていないと判断することもできる。
【0070】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るタイピング訓練システム1は、ホームポジションに置かれた指が基準キーから離れたか否かに基づいて、正しい指を用いてタイピングしているか否かを判断するので、タイピング訓練システム1以外に特別な構成を要さずに、ユーザーに正しい指を用いたタイピングを訓練させることができる。
【0071】
近年、スマートフォンやタブレットパソコン等、タッチパネルを用いた小型の情報端末が販売されている。それらの情報端末の入力画面は比較的小さいので、これらの情報端末単独でデスクトップパソコンに付属しているようなキーボードを用いた入力はできない。そこで、これらの情報端末においては、例えば、フリック入力方式を採用している。しかしながら、フリック入力方式等、小型の情報端末に慣れたユーザーがデスクトップパソコン等に付属しているキーボードに接した場合、文字入力の方法に不慣れであることから、文字入力に手間取ることが想定される。本実施の形態に係るタイピング訓練システム1は、そのようなユーザーに対して正しい指を用いたタイピングを訓練させることができるので、普段はフリック入力方式を用いているユーザーであっても、デスクトップパソコン等に接した場合に戸惑うことなくタイピングすることができる。
【0072】
(タイピング訓練システム1の処理の流れの概要)
図10は、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムにおける処理の流れの一例を示す。
【0073】
まず、表示部10がソフトウェアキーボード2を表示した状態で、訓練指示部30は、表示制御部14に働きかけて、ホームポジションに指を置くことを指示する情報を表示部10に表示させる。そして、接触位置判定部24は、基準キーの表示位置とユーザーの指の接触位置とが対応しているか否かを判定する(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)。接触位置判定部24は、判定結果を示す情報をタイプ判断部20及び訓練指示部30に供給する。接触位置判定部24が表示位置と接触位置とが対応していると判定した場合(S10:Yes)、訓練指示部30は、ユーザーにタイプさせるキーである目標キーを表示制御部14に働きかけて表示部10に表示させる(S20)。一方、接触位置判定部24が表示位置と接触位置とが対応していないと判定した場合(S10:No)、訓練指示部30は、ユーザーにホームポジションにすべての指を正しく置くように修正する指示を表示部10に表示させる。
【0074】
次に、タイプ判断部20は、ユーザーの指の予め定められた基準キーに対する接触状態を判断する。例えば、タイプ判断部20は、ユーザーの指が予め定められた基準キーから離れたか否かを判断する(S25)。予め定められた基準キーとは、訓練指示部30が指示した目標キーをタイプすべき指が接触している基準キーである。タイプ判断部20が予め定められた基準キーからユーザーの指が離れたと判断した場合(S25:Yes)、タイプ判断部20は、更に、正しいキー(すなわち、訓練指示部30が指示した目標キー)がタイプされたか否かを判断する(S30)。タイプ判断部20は、判断結果を示す情報を正解判断部26に供給する。タイプ判断部20が正しいキーがタイプされたと判断した場合(S35:Yes)、正解判断部26は、正解処理としてユーザーが目標キーを正しくタイプしたと判断する(S35)。
【0075】
なお、タイプ判断部20は、所定のキーがタイプされた時点で、当該キーが目標キーであるか否かを判断することもできる。そして、この場合、タイプ判断部20は、目標キーをタイプすべき指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーを除く他の基準キーに指が接触した状態であると判断した場合に、ユーザーが正しい指で目標キーをタイプしたと判断することもできる。具体的に、タイプ判断部20は、目標キーがタイプされた時点で、目標キーをタイプすべき指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーを除く他の基準キーに指が接触した状態であると判断した場合に、ユーザーが目標キーを正しい指でタイプしたと判断する。また、タイプ判断部20は、目標キーがタイプされなかった場合、及び目標キーがタイプされたものの、目標キーをタイプすべき指がホームポジションにおいて接触すべき基準キーに指が接触していると判断した場合に、ユーザーが正しく目標キーをタイプしなかったと判断する。
【0076】
タイプ判断部20が予め定められた基準キーからユーザーの指が離れていないと判断した場合(S25:No)、正解判断部26は、当該目標キーに対するユーザーのタイプが誤答であると判断する。正解判断部26は、判断結果を示す情報を訓練指示部30に供給する。そして、訓練指示部30は、ユーザーに正しい指を用いてタイプする指示を表示部10に表示させる(S40)。また、タイプ判断部20が正しいキーがタイプされていない判断した場合(S35:No)、正解判断部26は、当該目標キーに対するユーザーのタイプが誤答であると判断する。正解判断部26は、当該判断結果を訓練指示部30に供給する。そして、訓練指示部30は、ユーザーに正しいキーをタイプする指示、若しくは新たに設定した目標キーをタイプする指示を表示部10に表示させる(S40)。
【0077】
図11は、本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システムのハードウェア構成の一例を示す。
【0078】
本発明の実施の形態に係るタイピング訓練システム1は、CPU1500と、グラフィックコントローラ1520と、RandomAccessMemory(RAM)、Read−OnlyMemory(ROM)及び/又はフラッシュROM等のメモリ1530と、データを記憶する記憶装置1540と、記録媒体からデータを読み込み及び/又は記録媒体にデータを書き込む読込み/書込み装置1545と、データを入力する入力装置1560と、外部の通信機器とデータを送受信する通信インターフェース1550と、CPU1500とグラフィックコントローラ1520とメモリ1530と記憶装置1540と読込み/書込み装置1545と入力装置1560と通信インターフェース1550とを互いに通信可能に接続するチップセット1510とを備える。なお、CPU1500等の構成要素は、1つ以上のCPU等であって、複数のCPU等を含んで構成することもできる。
【0079】
チップセット1510は、メモリ1530と、メモリ1530にアクセスして所定の処理を実行するCPU1500と、外部の表示装置の表示を制御するグラフィックコントローラ1520とを相互に接続することにより、各構成要素間のデータの受渡しを実行する。CPU1500は、メモリ1530に格納されたプログラムに基づいて動作して、各構成要素を制御する。グラフィックコントローラ1520は、メモリ1530内に設けられたバッファ上に一時的に蓄えられた画像データに基づいて、画像を所定の表示装置に表示させる。
【0080】
また、チップセット1510は、記憶装置1540と、読込み/書込み装置1545と、通信インターフェース1550とを接続する。記憶装置1540は、タイピング訓練システムのCPU1500が使用するプログラムとデータとを格納する。記憶装置1540は、例えば、フラッシュメモリである。読込み/書込み装置1545は、プログラム及び/又はデータを記憶している記憶媒体からプログラム及び/又はデータを読み取って、読み取ったプログラム及び/又はデータを記憶装置1540に格納する。読込み/書込み装置1545は、例えば、通信インターフェース1550を介し、インターネット上のサーバーから所定のプログラムを取得して、取得したプログラムを記憶装置1540に格納する。
【0081】
通信インターフェース1550は、通信ネットワークを介して外部の装置とデータの送受信を実行する。また、通信インターフェース1550は、通信ネットワークが不通の場合、通信ネットワークを介さずに外部の装置とデータの送受信を実行することもできる。そして、タブレット、マイク等の入力装置1560は、所定のインターフェースを介してチップセット1510と接続する。
【0082】
記憶装置1540に格納されるタイピング訓練プログラムは、インターネット等の通信ネットワーク、又は磁気記録媒体、光学記録媒体等の記録媒体を介して記憶装置1540に提供される。そして、記憶装置1540に格納されたタイピング訓練プログラムは、CPU1500により実行される。
【0083】
タイピング訓練システム1により実行されるタイピング訓練プログラムは、CPU1500に働きかけて、タイピング訓練システム1を、
図1から
図10にかけて説明した表示部10、タッチパネル部12、表示制御部14、キー配列格納部16、画像格納部18、タイプ判断部20、接触位置検知部22、接触位置判定部24、正解判断部26、キャラクター変更部28、訓練指示部30、成績格納部32、振動部34、出力制御部36、及び出力部38として機能させる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。更に、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品とのような複数の部分に分割されて適用されるようにすることもできる。