(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
医薬品等の分野においては、押出造粒機や高速撹拌造粒機などによって製造した湿式造粒物を乾燥させて顆粒状としたものや、それを打錠して錠剤化したものが多く用いられている。従来、湿式造粒物の乾燥には流動層乾燥装置が使用されており、造粒機にて製造された造粒物を適宜バッチ式(回分式)に乾燥処理し、所望の顆粒物を生成している。但し、このようなバッチ式の乾燥装置は連続的な処理が行えないため、特許文献1,2のように、ロータリーフィーダー等によって連続的に乾燥処理を行う装置も提案されている。
【0003】
また、顆粒の製造には、特許文献3のようなスプレードライヤー(噴霧乾燥装置)も使用されている。スプレードライヤーでは、原料粉末や溶媒、バインダ等によって構成されるスラリーをノズルや回転ディスク等の噴霧部により噴霧し、それを熱風で瞬時に乾燥させて顆粒物を生成する。一方、汚泥などの廃棄物やトナー粒子等の乾燥には、特許文献4〜6のようなループ型の気流式乾燥機も使用される。気流式乾燥機では、縦型のループ管に大風量の熱風と共に造粒物を送り込み、造粒物をループ管内にて循環させて乾燥させる。
【0004】
ところが、特許文献1,2のような連続式の流動層乾燥装置は、連続処理が可能なものの、乾燥時間が長く、乾燥状態が一定のものが得にくい。また、装置構成も大がかりになり、多大な設備コストが必要となる。一方、スプレードライヤーは、液体として流動性を持つものを乾燥させることには適しているが、水分量が少ない固形状・半固形状のものの乾燥には適さない。さらに、ループ型の気流式乾燥機は、ループ管が縦型配置で垂直部が存在するため、垂直部の下部に被処理物が堆積し、風量を多くしたり風圧を高くしたりする必要があり、せっかく造粒したものが粉化してしまう(元の粉末に戻ってしまう)という問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、ループ型乾燥機による高い乾燥能力を維持しつつ、その破砕能力を抑えて造粒物の粉化を防止した新発想の乾燥装置を考案した(特許文献6)。特許文献4の装置では、水平方向に横置きした環状の処理管(ループ管)が使用される。このループ管は、通常2〜4段程度上下方向に螺旋状に積み重ねられて配置される。ループ管内を流れる被処理物は、大風量や重力落下による大きな衝撃を受けることなく、遠心力を受けつつ熱風にて乾燥される。これにより、被処理物は、粉砕・粉化されることなく、顆粒状のまま乾燥される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である乾燥装置1が使用される連続顆粒製造システムの全体構成を示す説明図である。
図1に示すように、本発明による乾燥装置1が使用される連続顆粒製造システムは、湿式造粒工程と乾燥工程とから構成されている。当該システムにて製造された顆粒物は、ふるい・整粒工程を経た後、顆粒剤として製品化されたり、打錠機にて錠剤化されコーティング機にて適宜コーティングされたりした上で、錠剤として製品化される。
【0017】
湿式造粒工程は、公知の各種湿式造粒機が使用でき、例えば、高速撹拌造粒機2と押出造粒機3とから構成されており、湿式造粒工程にて作られた造粒物は、湿式造粒物連続供給装置4によって定量的に乾燥装置1に供給される。高速撹拌造粒機2は、粉体混合装置と粉体練合装置を兼ねた仕様となっており、原材料を容器内に投入し、アジテータ、チョッパーを高速で回転させることにより、原材料を撹拌・練合する。押出造粒機3は、スクリュー軸(例えば、2軸並列構成)を備えた湿式造粒装置であり、スクリューにて原料を圧縮・混練し、適宜水分を加えることにより、原材料を柱状の湿式造粒物とする。
【0018】
前述の高速撹拌造粒機2や押出造粒機3、などの構成はあくまでも一例であり、これらの装置は、撹拌、造粒、整粒の各機能を有する装置であれば、前記以外の装置であっても、その構成や動作形態を問わず広く適用可能である。さらに、造粒物の状態や製品の仕様に応じて整粒機(図示せず)を加えたり、湿式造粒物連続供給装置4を省いたりすることも可能である。
【0019】
図2は、
図1に示した乾燥装置1の構成を示す説明図である。
図1に示すように、乾燥装置1は、大きく分けて、造粒物投入部11と、乾燥処理部12及び製品排出部13とから構成されている。乾燥装置1は、気流式の連続乾燥装置であり、従来、垂直方向に沿って縦置きされていたループ管を、水平方向に沿う形で横置きした構成となっている(
図1では、乾燥装置1の乾燥処理部12が上方から見た状態にて示されている)。そして、これにより、従来のループ型気流式乾燥機の高い乾燥能力を生かしつつ、顆粒製造にとっては大きな問題であった造粒物の粉砕能力を抑え、大掛かりな装置を用いることなく、湿式造粒物の連続的な乾燥処理を実現している。
【0020】
造粒物投入部11は、外径50mm・肉厚2〜3mm程度のステンレス鋼管21にて形成されている。ステンレス鋼管21には、乾燥装置1の被処理物である湿式造粒物が投入される造粒物投入口22と、高圧の熱風(処理気体)が供給される熱風吹き込み口23が設けられている。造粒物投入口22には、ホッパ24が取り付けられており、前述の湿式造粒物連続供給装置4から湿式造粒物が供給される。熱風吹き込み口23は、造粒物投入口22の前段に配されており、熱風供給装置14と接続されている。
【0021】
乾燥処理部12は、造粒物投入部11の後段に配されており、金属製(例えば、ステンレス鋼製)のループ管(処理管)25を螺旋状に配置した構造となっている。ループ管25は、断面が円形となった外径75mm・肉厚2〜3mm程度の管状部材である。ループ管25の一端側は、直管パーツ35aを介してステンレス鋼管21に接続されている。ループ管25の他端側には直管パーツ35bが接続されており、直管パーツ35bは、接続管27を介して製品排出部13と接続されている。ループ管25の径は、造粒物投入部11のステンレス鋼管21よりも大きくなっている。
【0022】
ループ管25は、水平方向に沿って巻回されており、巻回径R(ループ管中心Oを通る円の直径)は700mm程度となっている。乾燥装置1では、ループ管25は2段(2巻き)を横置き(横倒し)した形で配置されている。ループ管25の1段目25a(以下、ループ管上段25a)は、ループ管25の2段目25b(以下、ループ管下段25b)と連通しつつ、コイルスプリングを巻くように上下に重ねて配置される。ループ管下段25bは、サポート脚41によって筐体42上に支持され、ループ管上段25aは、ジョイント部40(嵌合ジョイント43,ガイドジョイント44)によってループ管下段25bの上に載置される。なお、ループ管25を複数段重ねて配置する場合、ループ管25内には必ず勾配が生じるが、本発明におけるループ管25の「水平配置」は、このようなループ管内の勾配を排除するものではない。
【0023】
製品排出部13は、乾燥処理部12の後段に配されており、サイクロン捕集機(粉粒体捕集装置)26を備えている。サイクロン捕集機26は、接続管27を介して、ループ管25末端と接続されている。乾燥処理部12にて乾燥された造粒物は、サイクロン捕集機26の製品捕集管にて回収される。サイクロン捕集機26の後段には、ふるい・整粒工程を行う図示しない整粒装置が接続されている。
【0024】
図3は、ループ管25の構成を示す説明図である。
図3(a)に示すように、ループ管25は、各段ごとに2分割構造となっており、半円状のループ管ユニット(処理管ユニット)31を接合した構成となっている。ループ管ユニット31は、半円状の曲管部45と、直線状の接合部46とから構成されている。接合部46には、ステンレス鋼製のコネクタ32a,32bが取り付けられている。コネクタ32a,32bには、インロー結合部33a,33bが形成されており、ループ管ユニット31同士は、パッキン34a,34bを介して気密状態で接合される。
【0025】
図3(b)は、コネクタ32a,32bの構成を示す説明図である。
図3(b)に示すように、コネクタ32bには、外筒部47と内筒部48が設けられている。外筒部47と内筒部48は中心軸O(ループ管中心)に対し同心状に設けられており、内筒部48は、外筒部47の中央に軸方向に沿って突設されている。内筒部48と外筒部47との間には、コネクタ32aの先端部49が挿入される嵌合溝51が周回形成されている。内筒部48の外周には、リング状のパッキン34aが外装されている。また、嵌合溝51の最奥部にもリング状のパッキン34bが装着されている。
【0026】
図3(c)は、コネクタ32a,32bの接合状態を示す説明図である。
図3(c)に示すように、コネクタ32a,32bは、コネクタ32aの先端部49がコネクタ32bの嵌合溝51に挿入される形で接合される。このとき、パッキン34aは、コネクタ先端部49の内周面49aと押接し、第1シール部52を形成する。また、パッキン34bは、コネクタ先端部49の先端面49bと押接し、第2シール部53を形成する。このように、当該乾燥装置1では、ループ管ユニット31は、パッキン34a,34bによる二重シール構造を介して気密状態に接合される。また、ループ管25は、コネクタ32a,32bを接合させた状態で、中心軸Oを中心として回動可能となっている。すなわち、コネクタ32a,32bは、周方向に沿って互いに回動可能な状態で接合されている。
【0027】
図4は、ループ管25を2段積みにした乾燥装置1の構成を示す斜視図である。また、
図5は、ループ管下段25bの形成過程、
図6は、ループ管上段25aの形成過程をそれぞれ示した説明図である。乾燥装置1では、ループ管25は下から順に組み上げられ、ここではまず、ループ管下段25bを形成すべく、直管パーツ35bに下段前半のループ管ユニット31pを接続する(
図5(a))。乾燥装置1では、直管パーツ35bの一端側は、嵌合ジョイント54a,54bにて筐体42上に固定支持されており、その他端側にはコネクタ32bが設けられている。直管パーツ35bとループ管ユニット31pは、このコネクタ32bと、ループ管ユニット31の一端(31a)側のコネクタ32aによって接合される。直管パーツ35bに接続されたループ管ユニット31pは、サポート脚41a〜41cに支持され、筐体42上に載置される。サポート脚41a〜41cはその順に徐々に高くなっており、ループ管ユニット31pは、直管パーツ35bとの接合部分にて適宜回動されてサポート脚41a〜41c上に設置される。
【0028】
ループ管ユニット31pをサポート脚41bに取り付けると、ループ管ユニット31p側のコネクタ32aのコネクタ先端面49bが、直管パーツ35b側のコネクタ32bに装着されたパッキン34bに押接される。すなわち、サポート脚41bは、先端面49bとパッキン34bが押接するような寸法位置に配置されている。また、インロー結合部33a,33bの嵌合により、コネクタ32bのパッキン34aが、コネクタ32aの先端部内周面49aに押接される。これにより、直管パーツ35bとループ管ユニット31(31p)は気密状態で接合され、ループ管下段25bの半周部分が形成される。当該乾燥装置1では、ループ管25内は負圧状態となっているため、締結金具等を用いなくとも、パッキン34a,34bの二重シール構造により、コネクタ32a,32bの密接状態は実用上問題なく保持される。
【0029】
直管パーツ35bに下段前半のループ管ユニット31pを取り付けた後、ループ管ユニット31の他端(31b)に次のループ管ユニット31(31q)を接続し、ループ管下段25bの残り半周部分を形成する(
図5(b))。すなわち、ループ管ユニット31を下段前半とは前後を反対にし、ループ管ユニット31(31p)の端部(31b)に、コネクタ32b,32aを介して、ループ管ユニット31(31q)の一端(31a)を接続する。先のループ管ユニット31pと同様に、ループ管ユニット31qはサポート脚41d〜41fに支持される。サポート脚41d〜41fもまた、その順に徐々に高くなっており、下段後半のループ管ユニット31qも、下段前半のループ管ユニット31pとの接合部分にて適宜回動されてサポート脚41d〜41f上に設置される。なお、サポート脚41dとサポート脚41cは接合部分を両側で支える形となっており、両者とも同じ高さになっている。
【0030】
この場合も、ループ管ユニット31をサポート脚41eに取り付けると、下段後半のループ管ユニット31q側のコネクタ先端面49bが、下段前半のループ管ユニット31p側のコネクタ32bのパッキン34bに押接される。すなわち、サポート脚41eも、先端面49bとパッキン34bが押接するような寸法位置に配置されている。また、インロー結合部33a,33bの嵌合により、コネクタ32bのパッキン34aが、コネクタ32aの先端部内周面49aに押接される。これにより、下段前半のループ管ユニット31pと下段後半のループ管ユニット31qが気密状態で接合され、ループ管下段25bが形成される。このとき、下段後半のループ管ユニット31qの端部(31b)は、サポート脚41fに支持され、直管パーツ35bと下段前半のループ管ユニット31pとの接合部の上方に配置される。
【0031】
ループ管下段25bを形成した後、コネクタ32a,32bの接合部を適宜ひねりながら、さらにループ管ユニット31を2個接続し、ループ管上段25aを形成する。その際、ループ管上段25aでは、ジョイント部40を用いてループ管下段25bとの接続や位置決めが行われる。当該乾燥装置1では、ジョイント部40として、嵌合ジョイント43が1個、ガイドジョイント44が2個設けられている。嵌合ジョイント43は、ループ管ユニット31の中央に設けられている。ガイドジョイント44は、コネクタ32a,32bの近傍に設けられており、3個のジョイント43,44は等間隔に配置されている。
【0032】
図7(a)は嵌合ジョイント43、(b)はガイドジョイント44の構成をそれぞれ示している。
図7(a)に示すように、嵌合ジョイント43は、凸ジョイント43aと凹ジョイント43bとから構成されている。凸ジョイント43aは、凸ジョイント本体55と、凸ジョイント本体55の先端に突設されたジョイント突起56とから構成されている。凹ジョイント43bは、凹ジョイント本体57と、凹ジョイント本体57の先端に凹設された嵌合孔58とから構成されている。嵌合孔58はジョイント突起56よりも僅かに大径となっており、ジョイント突起56は嵌合孔58に挿入嵌合可能となっている。なお、直管パーツ35bの嵌合ジョイント54a,54bも同様の構造となっている。
【0033】
図7(b)に示すように、ガイドジョイント44もまた、凸ジョイント44aと凹ジョイント44bとから構成されている。この場合も、凸ジョイント44aは、凸ジョイント本体59と、凸ジョイント本体59の先端に突設されたジョイント突起61とから構成されている。これに対し、凹ジョイント44bは、凹ジョイント本体62と、凹ジョイント本体62の先端に凹設された嵌合孔63は、嵌合ジョイント43と同様の構成であるが、嵌合ジョイント43とは異なり、凹ジョイント本体62の先端面62aに、嵌合孔63に連なるガイド溝64が径方向に沿って凹設されている。ガイド溝64は、先端面62aの外周側から嵌合孔63に向かって帯状に形成されており、嵌合孔63側に近付くに従って深くなっている。ガイド溝64は、ジョイント突起61の外径よりも幅が広くなっており、ジョイント突起61は、ガイド溝64の斜面64aに案内される形で嵌合孔63に挿入嵌合可能となっている。
【0034】
ループ管上段25aの形成に際しては、ループ管ユニット31をループ管下段25bの後半のループ管ユニット31qと接合する。つまり、現在開放端となっている下段後半のループ管ユニット31qの端部(31b)にループ管ユニット31(31r)の一端(31a)を接続する(
図6(a))。その際、ループ管上段25aでは、ガイドジョイント44のジョイント突起61をガイド溝64に挿入しつつ、コネクタ32aにコネクタ32bを嵌め込む。このとき、ループ管ユニット31rは、ジョイント突起61をガイド溝64に滑り込ませるようにして、斜め上方からループ管ユニット31qに接合される。そして、ジョイント突起61が嵌合孔63に挿入されると、それと共に、嵌合ジョイント43のジョイント突起56も嵌合孔58に嵌合する。
【0035】
ガイドジョイント44のジョイント突起56と嵌合孔58が嵌合し、嵌合ジョイント43側もジョイント突起56と嵌合孔58が嵌合すると、上段前半のループ管ユニット31r側のコネクタ先端面49bが、下段後半のループ管ユニット31q側のコネクタ32bのパッキン34bに押接される。すなわち、嵌合ジョイント43のジョイント突起56と嵌合孔58は、先端面49bとパッキン34bが押接するような寸法位置に配置されている。また、インロー結合部33a,33bの嵌合により、コネクタ32bのパッキン34aが、コネクタ32aの先端部内周面49aに押接される。これにより、下段後半のループ管ユニット31qと上段前半のループ管ユニット31rが気密状態で接合され、ループ管上段25aの半周部分が形成される。
【0036】
次に、ループ管上段25aの残り半周部分を形成すべく、上段前半のループ管ユニット31rの端部(31b)に、コネクタ32b,32aを介して、上段後半のループ管ユニット31sの一端(31a)を接続する。その際、上段後半のループ管ユニット31sの他端(31b)も、造粒物投入部11の直管パーツ35aに接合する。この場合も、ガイドジョイント44のジョイント突起61をガイド溝64に挿入しつつ、コネクタ32aにコネクタ32bを嵌め込む。前述同様、上段後半のループ管ユニット31sは、ジョイント突起61をガイド溝64に滑り込ませるようにして、斜め上方から上段前半のループ管ユニット31rに接合される。そして、ジョイント突起61が嵌合孔63に挿入されると、それと共に、嵌合ジョイント43のジョイント突起56も嵌合孔58に嵌合する。
【0037】
ジョイント突起56が嵌合孔58に嵌合すると、上段後半のループ管ユニット31s側のコネクタ先端面49bが、上段前半のループ管ユニット31r側のコネクタ32bのパッキン34bに押接される。すなわち、この場合も嵌合ジョイント43のジョイント突起56と嵌合孔58は、先端面49bとパッキン34bが押接するような寸法位置に配置されている。また、前述同様、コネクタ32bのパッキン34aが、コネクタ32aの先端部内周面49aに押接される。これにより、上段前半のループ管ユニット31rと上段後半のループ管ユニット31sが気密状態で接合され、ループ管上段25aが形成される。
【0038】
また、造粒物投入部11側の直管パーツ35aの端部にもコネクタ32aが設けられており、ジョイント突起56を嵌合孔58に嵌合させると、上段後半のループ管ユニット31sのコネクタ32bのパッキン34bが、直管パーツ35a側のコネクタ先端面49bに押接される。また、コネクタ32bのパッキン34aも、コネクタ32aの先端部内周面49aに押接され、上段後半のループ管ユニット31sと直管パーツ35aが気密状態で接合され、乾燥処理部12と造粒物投入部11が接続される。
【0039】
一方、乾燥処理終了後は、前述とは逆の手順にてループ管25を解体する。すなわち、ループ管ユニット31を嵌合ジョイント43の部分で持ち上げ、ジョイント突起56を嵌合孔58から外し、斜め上方に引き上げる。これにより、ジョイント突起61が嵌合孔63から離脱し、ガイド溝64に沿って引き上げられ、ループ管ユニット31が相手方から取り外される。乾燥装置1では、上から順に解体され、ループ管上段25a、ループ管下段25bの順に各ループ管ユニット31が取り外される。
【0040】
このように、本発明による処理管設置構造を用いた乾燥装置1では、コネクタ32a,32bの接合部を回動させながら次のループ管ユニット31を接続することできる。また、嵌合ジョイント43とガイドジョイント44により、特別な締結具を用いることなく、簡単な手順で隣接するループ管ユニット31同士を気密状態に接合することができる。このため、本体部36をねじることなく、ループ管ユニット31を容易に気密状態で接合でき、特別な工具や締結具を用いることなく、ループ管25を容易に複数段積み上げることが可能となる。さらに、ループ管25の解体も特別な工具を用いることなく行うことができる。従って、ループ管25の着脱が容易となり、装置の組み立て・解体に要する工数が削減でき、洗浄も行い易くなる。
【0041】
加えて、当該乾燥装置1では、ループ管ユニット31自体が次段の支持体となるという形で螺旋構造を形成しているため、ループ管25を支持する部分を小さくすることができる。その結果、装置構造がシンプルとなり、装置の小型化が図られると共に、美観的にも優れた乾燥装置を提供することが可能となる。
【0042】
このような乾燥装置1では、次のようにして造粒物の乾燥処理が行われる。当該乾燥装置1ではまず、湿式造粒物連続供給装置4から造粒物投入口22に湿式造粒物が供給される。その際、造粒物投入部11のステンレス鋼管21内は、サイクロン捕集機26の吸引力によって負圧となっており、湿式造粒物連続供給装置4からホッパ24内に投入された造粒物は、吹き上がることなく、造粒物投入口22内に導入される。一方、熱風吹き込み口23には、熱風供給装置14から高圧の熱風(例えば、90°C・6〜7m/s)が供給されており、ステンレス鋼管21内に供給された造粒物は、この熱風によって乾燥処理部12側に搬送される。
【0043】
前述のように、ループ管25の径は、造粒物投入部11のステンレス鋼管21よりも大きくなっている。このため、熱風吹き込み口23から供給された熱風は、造粒物投入口22近傍での風速がループ管25内よりも高くなっている。従って、造粒物投入部11では、造粒物投入口22から供給された造粒物は、造粒物投入口22の付近に滞留することなく、ステンレス鋼管21からスムーズにループ管25内に導入される。
【0044】
乾燥処理部12側に搬送された造粒物は、ループ管25内を熱風に乗って流通し、乾燥される。当該乾燥装置1では、造粒物は1〜2秒程度でループ管25を通過する。そして、乾燥された造粒物は、熱風に乗ってループ管25から排出され、接続管27を介して、サイクロン捕集機26にて捕集される。
【0045】
ここで、乾燥装置1に供給される造粒物は整粒された状態でため、乾燥装置1内にて粉砕されることは好ましくない。前述のように、従来のループ型気流式乾燥機では、ループ管が縦置きされているため、造粒物を重力に逆らって持ち上げる必要があり、処理には大風量が必要であった。また、乾燥されて軽くなったものを装置外へ排出し、未乾燥のものは重力で落とす構成のため、造粒物は、大風量の下、ループ管内にて何回も循環して上昇・落下を繰り返し、造粒物が破砕される傾向があった。これは、そもそも従来のループ型気流式乾燥機が、汚泥やトナー粒子など、乾燥時の破砕が容認あるいは要求される造粒物を対象としていることに起因しており、乾燥時の破砕を回避したい顆粒物への適用は想定外であった。
【0046】
これに対し、乾燥装置1では、ループ管25内を流れる造粒物は、遠心力を受けつつ熱風にて乾燥されるが、ループ管25に供給される風量は、造粒物が管内に滞留しない下限ギリギリまで抑えられている。このため、従来の縦型のループ管とは異なり、造粒物には大風量や重力落下による大きな衝撃は加わらず、湿式造粒物は粉砕・粉化されることなく、顆粒状のまま乾燥される。発明者らの実験によれば、処理後に回収された造粒物にはほとんど微粉は含まれておらず、破砕能力が有効に低減されていることが確認できた。
【0047】
このように、乾燥装置1によれば、ループ型乾燥機による高い乾燥能力を維持しつつ、その破砕能力を抑制することが可能となる。従って、高速で効率の良い乾燥処理を実現しつつ、粒子径分布や得率などに関し、質の高い乾燥顆粒を得ることが可能となる。また、乾燥装置1は、ループ管25を巻回した構成となっているため、スペース効率が高く、コンパクトで高効率な乾燥装置を提供できる。発明者らの実験によれば、ループ管25を直線状に伸ばし、同風量にて乾燥処理を行ったところ、管内に造粒物の滞留が見られ、広いスペースが必要であるにもかかわらず、処理効率が良くないことが分かった。
【0048】
加えて、当該乾燥装置1と連続造粒装置や打錠機、コーティング機などを組み合わせることにより、
図1に示したような、乾燥工程を含む連続顆粒製造システムを構築することも可能となる。なお、前述のように、湿式造粒工程も含め、ふるい・整粒工程における整粒機や打錠機、コーティング機など、乾燥装置1と組み合わされる装置は、粉粒体の処理形態に応じて適宜選択・変更可能であり、
図1の連続顆粒製造システムは、前記装置の組み合わせには限定されない。
【0049】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態におけるループ管25の直径や巻回径、段数などはあくまでも例示であり、各種寸法・仕様は適宜変更可能であり、本発明は前記寸法・仕様には限定されない。また、ループ管25の分割数も2には限定されず、例えば4分割の構造も可能であり、分割数を増やすことにより、洗浄や目視確認がさらに容易となる。さらに、前述の実施形態では、嵌合ジョイント43を1個、ガイドジョイント44を2個設けた構成を示したが、ジョイントの個数は任意であり、上記の個数には限定されない。また、凸ジョイント43aと凹ジョイント43bは何れを上又は下に配しても良く、それらの設置位置は前述の形態には限定されない。