特許第6215037号(P6215037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215037
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】屋根架設方法および屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/35 20060101AFI20171005BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   E04B1/35 D
   E04G21/14
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-263405(P2013-263405)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-117559(P2015-117559A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武彦
(72)【発明者】
【氏名】島村 高平
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−068454(JP,A)
【文献】 特開昭59−220561(JP,A)
【文献】 特開平11−148179(JP,A)
【文献】 特開2003−221875(JP,A)
【文献】 特開昭53−071452(JP,A)
【文献】 米国特許第06027295(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/35
E04G 21/14
E04G 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行な一対の鉄骨梁と、当該一対の鉄骨梁間に架設される屋根と、を備える構造物について、当該屋根を架設する屋根架設方法であって、
前記屋根は、複数の屋根ユニットに分割され、
当該屋根ユニットは、それぞれ、前記一対の鉄骨梁同士の間に架設される屋根梁と、当該屋根梁に支持された板状の屋根材と、を備え、
前記鉄骨梁の上面には、当該鉄骨梁に沿って延びる一対のレールが設けられ、
前記屋根梁の下面には、前記一対のレールを挟んで配置されてかつ前記鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材が設けられ、
前記鉄骨梁上の所定位置にて、前記屋根ユニットを組み立てる第1の工程と、
前記屋根ユニットを前記鉄骨梁に沿ってスライド移動して設置位置に配置する第2の工程と、
当該移動した屋根ユニットを既に配置された屋根ユニットに連結する第3の工程と、
前記第1から第3の工程を繰り返して、前記屋根を完成させる第4の工程と、を備えることを特徴とする屋根架設方法。
【請求項2】
前記一対のレールは、それぞれ、鉄骨梁を構成する鋼材同士の接合部分で途切れており、
前記ガイド部材の長さは、前記レールの途切れた部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の屋根架設方法。
【請求項3】
略平行な一対の鉄骨梁と、当該一対の鉄骨梁間に架設される屋根と、を備える構造物の当該屋根の構造であって、
前記屋根は、複数の屋根ユニットに分割され、
当該屋根ユニットは、それぞれ、前記一対の鉄骨梁同士の間に架設される屋根梁と、当該屋根梁に支持された板状の屋根材と、を備え、
前記鉄骨梁の上面には、当該鉄骨梁に沿って延びる一対のレールが設けられ、
前記屋根梁の下面には、前記一対のレールを挟んで配置されてかつ前記鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材が設けられることを特徴とする屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大規模構造物の鉄骨屋根を架設する屋根架設方法およびこの鉄骨屋根の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大空間構造物の鉄骨屋根の架設方法として、以下のような方法が提案されている。
例えば、この大空間構造物は、鉄筋コンクリート造の下部躯体と、この下部躯体上に架設される鉄骨屋根と、を備える。そこで、鉄骨屋根を複数の屋根ユニットに分割して、各屋根ユニットを下部躯体の一端側にて構築し、下部躯体上を設置位置までスライド移動させる(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、各屋根ユニットには、下部躯体の側面に当接するガイド部材を設けておき、このガイド部材により、各屋根ユニットのスライド移動を案内する。
【0004】
この方法によれば、屋根ユニットを下部躯体の一端側にて構築すればよいので、下部躯体の全面に亘って鉄骨屋根を施工する必要がなく、足場や揚重機械などの仮設費を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3855784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、鉄骨トラス梁上に鉄骨屋根を架設したい場合がある。この場合、上述のような鉄骨屋根の架設方法を採用すると、以下のような問題が生じる。
すなわち、鉄骨梁は、所定長さの鋼材同士をボルト接合して構成されるが、上述のような鉄骨屋根の架設方法では、鉄骨梁のウエブ側面にガイド部材を当接させることになる。
【0007】
すると、ガイド部材が鉄骨梁の接合部分のボルトに引っ掛かってしまい、屋根ユニットを円滑にスライド移動させることが困難となるおそれがあった。
【0008】
本発明は、鉄骨梁上の屋根ユニットを円滑にスライド移動できる屋根架設方法および屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の屋根架設方法は、略平行な一対の鉄骨梁(例えば、後述のキールトラス11)と、当該一対の鉄骨梁間に架設される屋根(例えば、後述の屋根20)と、を備える構造物(例えば、後述の大規模構造物1)について、当該屋根を架設する屋根架設方法であって、前記屋根は、複数の屋根ユニット(例えば、後述の屋根ユニット20A)に分割され、当該屋根ユニットは、それぞれ、前記一対の鉄骨梁同士の間に架設される屋根梁(例えば、後述の屋根梁21)と、当該屋根梁に支持された板状の屋根材と、を備え、前記鉄骨梁の上面には、当該鉄骨梁に沿って延びる一対のレール(例えば、後述のレール50)が設けられ、前記屋根梁の下面には、前記一対のレールを挟んで配置されてかつ前記鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材(例えば、後述のガイド部材45)が設けられ、前記鉄骨梁上の所定位置(例えば、後述の所定位置X)にて、前記屋根ユニットを組み立てる第1の工程(例えば、後述のステップS1)と、前記屋根ユニットを前記鉄骨梁に沿ってスライド移動して設置位置(例えば、後述の設置位置Y)に配置する第2の工程(例えば、後述のステップS2)と、当該移動した屋根ユニットを既に配置された屋根ユニットに連結する第3の工程(例えば、後述のステップS3)と、前記第1から第3の工程を繰り返して、前記屋根を完成させる第4の工程(例えば、後述のステップS4)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、屋根を複数の屋根ユニットに分割し、各屋根ユニットを、鉄骨梁上の所定位置にて組み立てて、鉄骨梁に沿ってスライド移動して設置位置に配置した。したがって、所定位置に足場や揚重機械を設置して、屋根ユニットを所定位置にて構築するので、鉄骨梁の全面に亘って屋根を施工する必要がなく、足場や揚重機械などの仮設費を削減できる。
【0011】
また、鉄骨梁の上面にこの鉄骨梁に沿って延びる一対のレールを設け、屋根梁の下面には、これら一対のレールを挟んで配置されてかつ鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材を設けた。したがって、屋根ユニットを鉄骨梁上に沿ってスライド移動する際、ガイド部材がレールに当接することで、屋根梁が鉄骨梁の上から脱落するのを防止できるから、鉄骨梁上の屋根ユニットを円滑にスライド移動できる。
【0012】
また、鉄骨梁や屋根梁に用いる鋼材の幅寸法が異なっても、これら鋼材の所定位置にレールやガイド部材を取り付けることで、一対のレールを挟んで一対のガイド部材を配置できるから、屋根ユニットを確実にスライド移動できる。したがって、構造物に用いる部材のサイズが大きく制限されないので、構造物の設計の自由度を向上できる。
【0013】
請求項2に記載の屋根架設方法は、前記一対のレールは、それぞれ、鉄骨梁を構成する鋼材同士の接合部分で途切れており、前記ガイド部材の長さ(例えば、後述の長さL)は、前記レールの途切れた部分の長さ(例えば、後述の長さD)よりも長いことを特徴とする。
【0014】
鉄骨梁は、H形鋼をボルト接合あるいは溶接接合して構成される。したがって、各レールを各H形鋼に取り付けると、H形鋼同士の接合部分では、レールが途切れてしまう。
そこで、この発明によれば、ガイド部材の長さを、レールの途切れた部分の長さよりも長くした。これにより、ガイド部材は、レールの側面に常に位置しているので、屋根ユニットが鉄骨梁の上から脱落するのをより確実に防止できる。
【0015】
請求項3に記載の屋根構造は、略平行な一対の鉄骨梁と、当該一対の鉄骨梁間に架設される屋根と、を備える構造物の当該屋根の構造であって、前記屋根は、複数の屋根ユニットに分割され、当該屋根ユニットは、それぞれ、前記一対の鉄骨梁同士の間に架設される屋根梁と、当該屋根梁に支持された板状の屋根材と、を備え、前記鉄骨梁の上面には、当該鉄骨梁に沿って延びる一対のレールが設けられ、前記屋根梁の下面には、前記一対のレールを挟んで配置されてかつ前記鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材が設けられることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、請求項1と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、屋根を複数の屋根ユニットに分割し、各屋根ユニットを、鉄骨梁上の所定位置にて組み立てて、鉄骨梁に沿ってスライド移動して設置位置に配置した。したがって、所定位置に足場や揚重機械を設置して、屋根ユニットを所定位置にて構築するので、鉄骨梁の全面に亘って屋根を施工する必要がなく、足場や揚重機械などの仮設費を削減できる。また、鉄骨梁の上面にこの鉄骨梁に沿って延びる一対のレールを設け、屋根梁の下面には、これら一対のレールを挟んで配置されてかつ鉄骨梁に沿って延びる一対のガイド部材を設けた。したがって、屋根ユニットを鉄骨梁上に沿ってスライド移動する際、ガイド部材がレールに当接することで、屋根梁が鉄骨梁の上から脱落するのを防止できるから、鉄骨梁上の屋根ユニットを円滑にスライド移動できる。また、鉄骨梁や屋根梁に用いる鋼材の幅寸法が異なっても、これら鋼材の所定位置にレールやガイド部材を取り付けることで、一対のレールを挟んで一対のガイド部材を配置できるから、屋根ユニットを確実にスライド移動できる。したがって、構造物に用いる部材のサイズが大きく制限されないので、構造物の設計の自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る屋根架設方法が適用された構造物の平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1のB−B断面図である。
図4】前記実施形態に係る鉄骨梁の側面図である。
図5】前記実施形態に係る鉄骨梁の断面図である。
図6】前記実施形態に係る屋根と鉄骨梁との取合い部分の平面図である。
図7】前記実施形態に係る屋根と鉄骨梁との取合い部分の側面図である。
図8】前記実施形態に係る屋根と鉄骨梁との取合い部分の断面図である。
図9】前記実施形態に係る構造物の屋根を架設する手順のフローチャートである。
図10】前記実施形態に係る構造物の屋根を架設する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る屋根架設方法が適用された大規模構造物1の平面図である。図2は、図1のA−A断面図であり、図3は、図1のB−B断面図である。なお、図1図3において、理解の容易のため、屋根材の表示を省略している。
【0020】
大規模構造物1は、地盤2掘削して形成された凹部10と、この凹部10を跨いで架設された略平行な一対の鉄骨梁としてのキールトラス11と、凹部10に設けられてキールトラス11を支持する4本の支柱12と、キールトラス11に支持されて凹部10を覆う屋根20と、を備える。
【0021】
支柱12は、各キールトラス11の2箇所に配置されている。各支柱12の柱頭部とキールトラス11とは一対のケーブル13で連結されており、これにより、支柱12は、キールトラス11を支持している。
【0022】
また、各キールトラス11は、4箇所で仮受けベント14により支持されている。これら仮受けベント14は、仮設構造物であり、キールトラス11の構築が完了した後に撤去される。
【0023】
屋根20は、複数の屋根ユニット20Aに分割されている。つまり、屋根20は、複数の屋根ユニット20Aを連結して構成される(図10参照)。
屋根ユニット20Aは、それぞれ、一対のキールトラス11同士の間に架設された屋根梁21と、これら屋根梁21に支持される図示しない板状の屋根材と、を備える。
【0024】
図4は、キールトラス11の側面図である。図5は、キールトラス11の断面図である。
キールトラス11は、鉄骨トラス梁であり、互いに略平行に延びる一対の下弦材30と、これら一対の下弦材30の上方に配置されて互いに略平行に延びる一対の上弦材31と、一対の下弦材30同士を連結する複数の下面束材32と、一対の上弦材31同士を連結する複数の上面束材33と、下弦材30と上弦材31とを連結する複数の側面束材34と、を備える。
このキールトラス11の上面には、キールトラス11に沿って延びる仮設通路35が設けられている。
【0025】
屋根梁21は、一対のキールトラス11同士の間に所定間隔おきに架設された屋根大梁23と、これら屋根大梁23同士を連結する屋根小梁24(図1参照)と、を備える。
屋根大梁23は、それぞれ、下弦材40と、この下弦材40の上方に配置された上弦材41と、下弦材40と上弦材41とを連結する束材42と、上弦材41からキールトラス11の上弦材31の上面まで延出する延出部43と、を備える。
【0026】
図6図8は、屋根20の延出部43とキールトラス11との取合い部分の平面図、側面図、および断面図である。
キールトラス11の上弦材31の上フランジ上面の両端側には、上弦材31に沿って延びる一対のレール50が設けられている。これらレール50は、平鋼を上弦材31の上フランジ溶接したものである。
【0027】
キールトラス11の上弦材31は、所定長さの鋼材をボルト接合あるいは溶接接合したものであり、一対のレール50は、それぞれ、上弦材31を構成する鋼材同士の接合部分で途切れている。この途切れた部分の長さをDとする。
【0028】
屋根梁21の延出部43の下面には、キールトラス11の上弦材31の上面に当接するスライド支承44と、一対のレール50を挟んで配置されてかつキールトラス11に沿って延びる一対のガイド部材45と、が設けられている。
ガイド部材45の長さLは、レール50の途切れた部分の長さDよりも長くなっている。
【0029】
以下、大規模構造物1の屋根20を架設する手順について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ステップS1では、図10に示すように、鉄骨梁上の所定位置Xにて、屋根ユニット20Aを組み立てる。このとき、この屋根ユニット20Aの先端側に、既に配置された屋根ユニット20Aに接合するための屋根小梁24を取り付けておく。
【0030】
ステップS2では、図10中矢印で示すように、屋根ユニット20Aをキールトラス11に沿ってスライド移動して、設置位置Yに配置する。
【0031】
具体的には、キールトラス11上に、屋根ユニット20Aの進行方向側(牽引側)および進行方向の反対側(おしみ側)にそれぞれ図示しないジャッキを設置し、牽引側のジャッキにより、屋根ユニット20Aを引っ張りながら、おしみ側のジャッキにより、屋根ユニット20Aの移動によるねじれを抑制する。これにより、屋根ユニット20Aのスライド支承44がキールトラス11の上弦材31の上面を摺動して、屋根ユニット20Aがスライド移動する(図8参照)。このとき、ガイド部材45がレール50に当接して、屋根ユニット20Aの移動を案内する。
【0032】
ここで、スライド支承44と上弦材31との間に、フッ素樹脂系のシート材または板状材を挟み込むことにより、摩擦係数を低減させて、スライド支承44を設けた屋根梁21を滑らかにスライド移動させてもよい。
また、屋根梁21の下面にスライド支承44を設けることなく、レール50の上面にフッ素樹脂系のシート材または板状材を配置することで、屋根ユニット20Aを構成する屋根梁21の下面が、直接、レール50の上面を摺動するようにしてもよい。
【0033】
この屋根ユニット20Aのスライド移動時には、キールトラス11上のレール50に所定間隔おきにマーキングしておき、このマーキングに基づいて屋根梁21の延出部43の位置を計測して、この計測位置の目標位置に対するずれが許容量以下であることを確認しながら、屋根ユニット20Aの移動作業を実施する。
【0034】
ステップS3では、移動した屋根ユニット20Aを既に配置された屋根ユニット20Aに連結する。
ステップS4では、ステップS1〜S3を繰り返して、屋根20を完成させる。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)屋根20を複数の屋根ユニット20Aに分割し、各屋根ユニット20Aを、キールトラス11上の所定位置Xにて組み立てて、キールトラス11に沿ってスライド移動して設置位置Yに配置した。したがって、所定位置Xに足場や揚重機械を設置して、屋根ユニット20Aを所定位置Xにて構築するので、キールトラス11の全面に亘って屋根20を施工する必要がなく、足場や揚重機械などの仮設費を削減できる。
【0036】
また、キールトラス11の上弦材31の上面の両端側に、この上弦材31に沿って延びる一対のレール50を設け、屋根梁21の延出部43の下面には、これら一対のレール50を挟んで配置されてかつ上弦材31に沿って延びる一対のガイド部材45を設けた。
したがって、屋根ユニット20Aを上弦材31上に沿ってスライド移動する際、ガイド部材45がレール50に当接することで、屋根梁21が鉄骨梁の上から脱落するのを防止できるから、キールトラス11上の屋根ユニット20Aを円滑にスライド移動できる。
【0037】
また、キールトラス11や屋根梁21に用いる鋼材の幅寸法が異なっても、これら鋼材の所定位置にレール50やガイド部材45を取り付けることで、一対のレール50を挟んで一対のガイド部材45を配置できるから、屋根ユニット20Aを確実にスライド移動できる。したがって、大規模構造物1に用いる部材のサイズが大きく制限されないので、大規模構造物1の設計の自由度を向上できる。
【0038】
(2)ガイド部材45の長さLを、レール50の途切れた部分の長さDよりも長くした。これにより、図6中破線で示すように、ガイド部材45は、レール50の側面に常に位置しているので、屋根ユニット20Aがキールトラス11の上から脱落するのをより確実に防止できる。
【0039】
(3)屋根ユニット20Aの先端側には屋根小梁24を予め取り付けたので、屋根ユニット20A同士を連結する際に、新たに屋根小梁24を揚重する必要がなく、施工効率が向上する。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1…大規模構造物(構造物)
2…地盤
10…凹部
11…キールトラス(鉄骨梁)
12…支柱
13…ケーブル
14…仮受けベント
20…屋根
20A…屋根ユニット
21…屋根梁
23…屋根大梁
24…屋根小梁
30…下弦材
31…上弦材
32…下面束材
33…上面束材
34…側面束材
35…仮設通路
40…下弦材
41…上弦材
42…束材
43…延出部
44…スライド支承
45…ガイド部材
50…レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10