(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着手段は、テープ基材に接着剤を有する転写テープからなり接着剤のシートへの塗布はこの転写テープが接着位置に移動することで行われ、この転写テープの接着位置への移動に連動して転写テープの新たな接着面を繰り出すように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
前記接着手段は、テープ基材に接着剤を有する転写テープからなりこの転写テープを上記接着位置で転写テープの繰り出しとシートへの接着剤の塗布を行うことを特徴とする請求項5に記載の接着剤塗布装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図示の好適な実施の態様に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる画像形成装置と後処理装置を組み合わせた全体構成を示し、
図2はシート処理装置の全体構成の説明図を、
図3以下はこのシート処理装置の機構構成を示す説明図である。そこで
図1に示す装置は画像形成装置Aとシート処理装置Bで構成され、シート処理装置Bにはユニットとして接着剤塗布装置50が組み込まれている。
【0026】
[画像形成装置の構成]
図1に示す画像形成装置Aは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに印刷した後、本体の排紙口3からシートを搬出する。給紙部1は複数のサイズのシートが給紙カセット1a、1b、1cに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。画像形成部2は例えば静電ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と現像器6と、転写チャージャ7と定着器8が配置され、静電ドラム4上にレーザ発光器5で静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着する。このように画像形成されたシートは本体排紙口3から順次搬出される。図示9は循環経路であり、定着器8から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路10で表裏反転された後、本体の排紙口3から搬出される。
【0027】
図示11は画像読取装置であり、原稿プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、反射ミラー、集光レンズを経て光電変換素子14で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ貯蔵部17に転送され、前記レーザ発光器5に画像信号を送る。また、図示15は原稿送り装置であり、スタッカ16に収容した原稿シートを原稿プラテン12に給送するフィーダ装置である。
【0028】
上記構成の画像形成装置Aには制御部(コントローラ)が設けられ、コントローラパネル18から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット13で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部17に蓄積され、このデータ貯蔵部から画像データはバッファメモリ19に転送され、このバッファメモリ19から順次、レーザ発光器5にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0029】
上記コントローラパネル18からは画像形成条件と同時に後処理条件も入力指定される。この後処理条件は例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「接着シート束折りモード」などが指定される。そして画像形成装置Aは画像形成条件及び後処理条件に応じてシート上に画像形成する。
【0030】
[シート処理装置の構成]
上述の画像形成装置Aに連結されたシート処理装置Bは、画像形成装置Aの本体排紙口3から画像形成されたシートを受け入れ、1.このシートを第1排紙トレイ21に収容するか(前述の「プリントアウトモード」)、2.本体排紙口3からのシートを束状に部揃えしてステープル綴じした後、第1排紙トレイ21に収納するか、(前述の「ステープル綴じモード」)、3.本体の排紙口3からのシートを束状に部揃えした後、シート間を接着した後冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納(前述の「接着シート束折りモード」)するように構成されている。
【0031】
このため、シート処理装置Aは
図2に示すようにケーシング20に上記第1排紙トレイ21と第2排紙トレイ22を備え、本体排紙口3に連なる搬入口23を有するシート搬入経路P1が設けられている。このシート搬入経路P1はケーシング20に略々水平方向の直線経路で構成されている。そしてこのシート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1スイッチバック搬送路SP1と第2スイッチバック搬送路SP2が配置されている。そして第1スイッチバック搬送路SP1が経路下流側で、第2スイッチバック搬送路SP2が経路上流側でそれぞれシート搬入経路P1から分岐され、両搬送路は互いに距離を隔て対置に配置されている。
【0032】
このような経路構成でシート搬入経路P1には搬入ローラ24と排紙ローラ25が配置され、これらのローラは正逆転可能な駆動モータ(M1)に連結されている。またシート搬入経路P1には第2スイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片27が配置されソレノイドなどの作動手段に連結されている。またシート搬入経路P1には搬入口23からのシートにパンチ孔を処理するパンチユニット(穿孔装置)28が搬入ローラ24の下流側に設けられている。図示のパンチユニット28はケーシング20に装置仕様によって着脱装着可能なように搬入口23で、搬入ローラ24の上流側に配置してある。
【0033】
[第1スイッチバック搬送路SP1の構成]
図2のシート搬入経路P1の下流側(装置後端部)に配置された第1スイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1にはその出口端に排紙ローラ25と排紙口25aが設けられ、この排紙口25aと段差を隔てた下方に第1の処理トレイ(以下「処理トレイ29」という)が設けられている。この処理トレイ29は排紙口25aからのシートを積載支持するトレイで構成されている。この処理トレイ29の上方には正逆転ローラ30設けられている。この正逆転ローラ30には正逆転モータM1が連結され処理トレイ29上にシートが進入する際は同図時計方向に回転し、シート後端がトレイ上に進入した後は反時計方向に回転するように制御される。この正逆転ローラ30にはキャタピラベルトに連結されトレイに接した位置とトレイから離間した位置に移動する昇降ローラ31が設けられている。従って上記第1の処理トレイ29上に第1スイッチバック搬送路SP1が構成されている。
【0034】
上述の第1スイッチバック搬送路SP1の下流側には第1排紙トレイ21が配置され、この第1排紙トレイ21は第1スイッチバック搬送路SP1及び第2スイッチバック搬送路SP2に導かれるシートの先端側を支持するように構成されている。
【0035】
以上の構成によって排紙口25aからのシートは、処理トレイ29上に進入し正逆転ローラ30で第1排紙トレイ21に向って移送され、シート後端が排紙口から処理トレイ29上に進入した後は正逆転ローラ30を逆回転(図示反時計方向)させると処理トレイ29上のシートは排紙方向と逆方向に移送される。このときキャタピラベルトに連結された昇降ローラ31はトレイに接する位置で正逆転ロ−ラ30と協働してシート後端を処理トレイ29に沿ってスイッチバック搬送することとなる。
【0036】
上記第1の処理トレイ29の排紙方向後端部には、シート後端を位置規制する後端規制部材33と端面綴じステープラ35が配置されている。図示の端面綴じステープラ35は端面綴じステープラ35で構成され、トレイ上に集積されたシート束の後端縁の1個所若しくは複数個所にステープル綴じする。また上記後端規制部材33はステープル綴じされたシート束を処理トレイ29の下流側に配置された第1排紙トレイ21に搬出する機能を兼用するため処理トレイ29に沿って排紙方向に往復動自在に構成されている。図示の後端規制部材33は図示しない束排出モータ(M7)に連結され往復動する。
【0037】
また上記処理トレイ29にはトレイ上に集積されたシートの幅方向を整合するサイド整合板36が設けてあり、このサイド整合板36はセンター基準でシートを整合するように左右(
図2前後)一対の整合板で構成されシート中央に接近及び離反するように構成され図示しないサイド整合板モータ(M6)に連結されている。
【0038】
上述のように構成された第1スイッチバック搬送路SP1は前記「ステープル綴じモード」のときには排紙口25aからのシートを処理トレイ29上に部揃えし、このシート束を端面綴じステープラ35で後端縁の1個所又は複数個所をステープル綴じする。また前記「プリントアウトモード」のときには排紙口25aからのシートをスイッチバック搬送することなく、処理トレイ29に沿って送られたシートを正逆転ローラ30で第1排紙トレイ21に搬出する。このように図示のものはステープル綴じするシートを処理トレイ29と第1排紙トレイ21とでブリッジ支持することによって装置をコンパクトに構成している。
【0039】
[第2スイッチバック搬送路SP2の構成]
前記シート搬入経路P1から分岐された第2スイッチバック搬送路SP2の構成について説明する。この第2スイッチバック搬送路SP2は
図2に示すようにケーシング20に略々鉛直方向に配置され、経路入口に経路搬入ローラ45が、経路出口に搬送ローラ46が配置されている。この搬送ローラ46はシートに対してニップする位置とシートから離間した位置とに離間可能に構成されている。この構成は後述する。
【0040】
上記第2スイッチバック搬送路SP2の経路入口に配置された経路搬入ローラ45は正逆転可能に構成され、下流側の第1スイッチバック搬送路SP1に搬入されるシートを一時的にこの第2スイッチバック搬送路SP2に保持(滞留)するようになっている。これは先行するシートを処理トレイ29に集積し、ジョブ終了信号でステープル綴じ処理し、次いでこのシート束を第1排紙トレイ21に搬出する間に画像形成装置Aからシート搬入経路P1に送られたシートを第2スイッチバック搬送路SP2に一時的に保持し、先行シートの処理が終了した後、この待機シートを第1スイッチバック搬送路SP1から処理トレイ29上に搬送する為である。
【0041】
また、第2スイッチバック搬送路SP2であるとともにシート搬入の経路でもある搬入経路41の下流側にはこの搬送路から送られたシートを部揃えし一時集積する第2の処理トレイを構成するスタッカ部40が設けられている。図示のスタッカ部40はシートを移送する搬送ガイドで構成されている。こ搬送ガイドはスタッカ上ガイド40aとスタッカ下ガイド40bから形成され、このガイド内にシートを積載収納するように構成されている。図示のスタッカ部40は搬入経路41に連なり、ケーシング20の左右中央部に略々鉛直方向に配置されている。これによって装置を小型コンパクトに構成している。このスタッカ部40は内部に最大サイズシートを収納する長さ形状に形成されている。また、スタッカ部40内部にはシートに接着剤を塗布する接着剤塗布部としての接着剤塗布装置50とシートを折りこむ折りブレード86と折りローラ81からなる折り処理部80が配置されている。これらの構成については後述する。
【0042】
[退避経路(第3のスイッチバック路SP3)の説明]
上記スタッカ部40の搬送方向後端側には前述の第2スイッチバック搬送路SP2であるともにスタッカ部40へシートを搬入する搬入経路41から分岐し、この搬入経路出口端とオーバーラップしてシートをスイッチバック進入する第3のスイッチバック経路SP3である退避経路47が連設されている。この退避経路47は、
図2、
図3に示されるように板材からなるスイッチバックガイド42で構成されている。このスイッチバックガイド42はシート搬送方向に沿って表面にリブが突出されていてシートの搬送をスムーズにしている。また、スイッチバックガイド42は、仮に退避経路内でシート束詰まり等が発生した場合に、ガイド解放軸43を中心に回動して解放できるように構成されている。
【0043】
この退避経路47へのスイッチバック搬送は、搬入経路41からスタッカ部40に搬入したシートの後端がこの搬入経路41から分岐した位置を通過すると、シートの先端規制部材としてのストッパ部90によって移動(上昇)されてスタッカ部40内のシート束とともに、シートの後端側がこの退避経路47にスイッチバック搬送される。
【0044】
この搬入経路41と退避経路47の合流点には退避経路47のスイッチバックガイド42側に付勢する偏向ガイド44が設けられている。また、合流点にはこの偏向ガイド44直後にシートに接着剤を塗布する接着剤塗布装置50が配置されている。この接着剤塗布装置50は接着手段としての粘着テープスタンパ51を備えている。この接着剤塗布装置50の構成については後述するが、この装置の粘着テープスタンパ51で先行したシートに粘着テープを塗布(転写)した後に、次シートを搬入経路41から搬入すると次シートの先端がこの先行シートの塗布部分に接着してしまいシート束を構成する搬送方向の中央部分に接着剤が塗布できない。このため、先行シートの接着剤の塗布部分がシートの搬入に支障とならないようにこの退避経路47にスイッチバック搬送させてから次シートを粘着テープスタンパ51に搬送するようにしている。従って、この退避経路47は、接着剤を塗布したシートを退避させる通路として機能する。
【0045】
また、この退避経路47にスイッチバックさせることにより、第2スイッチバック搬送路SP2でもある搬入経路41の搬送ローラ46から送られる次(後続)シートの先端とこのスタッカ部40に支持されている積載済(先行)シートの後端をオーバーラップさせることによって集積するシートのページ順位を確保するとの機能も果たすことになる。
【0046】
[退避経路からストッパ部までの概要]
ここで、
図2及び
図3に基づいて、搬入経路41から分岐した退避経路47からストッパ部90までの構成の概要を説明する。
まず、搬入経路41と退避経路47との合流点には、シートを退避経路47のスイッチバックガイド42側に軽く押圧するようにバネが張設された偏向ガイド44を設けている。この偏向ガイドはシートへの接着剤の塗布位置を避けた櫛歯条に設定されている。従って接着剤が塗布済みのシートもこの偏向ガイド44の下を通過しても接着剤が搬送路内に付着することがない。これらのシートの流れについては別途説明する。
【0047】
この偏向ガイド44の下流側の搬入経路41と退避経路47との前記合流点には、
図3によく示されているように、シートに接着剤を塗布する接着剤塗布装置50がスタッカ部40内に配置されている。この接着剤塗布装置50にはストッパ部90に向かって、接着のために接着位置で停止したシートを規制するために押圧するシート押え65が昇降可能に取り付けられている。このシート押え65の先端側には昇降することによりシートを押えるとともに接着剤としての粘着テープATを繰り出すシート押えスライダ71を配置している。このシート押えスライダ71の上方にはリールから繰り出される粘着テープATをバックアップする転写ヘッド72が設けられ、この転写ヘッド72もシートを押圧して粘着テープATをシートに塗布する接着位置とシートから離間してシートの搬送・移動を許容する離間位置に移動する。
なお、本発明における塗布とは、シートを押圧しながら接着剤をテープから移し替えるいわゆる転写も含むものとする。また、シートを押圧しながら接着剤を吹き付けるものも含む。
【0048】
上記接着剤塗布装置50の下流側にはその両側にシートの幅方向に移動してスタッカ部40内のシート側縁を押圧するシート側縁整合部材48が配置されている。このシート側縁整合部材48は略U字形状をしており、その中央には折り処理部としての折りローラ81a、81bとこの折りローラにシートを押圧する折りブレード86がシートに対して押圧・離間するように移動可能となっている。上記シート側縁整合部材48の直後には、スタッカ部40を構成する一方のガイドであるスタッカ下ガイド40bに離接するように離間可能な加圧ローラ49が設けられている。この加圧ローラ49はシート先端がこのローラ位置を過ぎるまでは離間しており、シート先端が通過するとシートをスタッカ下ガイド40bに押圧するようにシートを押圧しながら回転する。
【0049】
スタッカ部40の下端側には、シートの搬入方向先端を規制する先端規制部材(以下、ストッパ部90という)が配置してある。このストッパ部90はスタッカ部40に沿って移動可能に装置フレームのガイドレールなどに支持され、上下方向に位置する上プリー94aと下プリー94bに張設された移動ベルト93によって昇降自在に構成されている。これらのプリー94をモータ(M10)で移動することにより移動ベルト93を移動する。この移動ベルト93は、次に述べるようにSh0、Sh1、Sh2、Sh3、Sh4の各位置に停止しかつ移動するようになっている。
【0050】
まず、最下端位置のSh0は、ストッパ部のホームポジションであって、この位置をセンサ(図示せず)で検出して初期位置を設定する。Sh1は、最初のシートの受け入れ位置であり、また順次積み重なるシートの後端が搬入経路41を通過し、後端が偏向ガイド44により退避経路47のスイッチバックガイド側に押圧する位置である。Sh2は、束形成されたシートをシート搬送方向の1/2位置で折り処理する位置である。Sh3は、シートの搬送方向の略1/2位置でシート幅方向に接着手段としての粘着テープスタンパ51で粘着テープATをシートに塗布(転写)する位置である。Sh4は、シートに接着手段を塗布した塗布位置を退避経路47まで移動する位置である。この位置は次シートを搬入経路41からスタッカ部40に搬入するに際し、先行シートの接着剤塗布位置に、次シートが接触し、紙詰まりや予定しない位置に接着剤が付着するのを防止するように、次シートの搬入経路から離れた位置(塗布隠し位置100)に先行シートの塗布位置を退避することができる。この装置では、シートの搬入、シートに接着剤を塗布、塗布位置を退避経路に移動、次シートの搬入、次シートに接着剤塗布を繰り返してシート同士を接着剤で貼り合わせつつ束形成を行うものである。尚、この束形成については後ほど順を追って説明する。
【0051】
このシート束形成後、折り処理部80で二つ折りにして、束蹴りだし片95aが設けられた束排紙ローラ95により、第2排紙トレイに二つ折りしたシート束を排出する。排出されたシート束は束が開き積載範囲が少なくなるのを防止する束押えガイド96、その下流側に位置する束押え97で第2トレイに集積される。
【0052】
[接着剤塗布装置の説明]
次に
図3から
図8までにおいて接着剤塗布装置50について説明する。
図3の破線で囲まれた範囲が本実施例における接着剤塗布装置50の断面説明図である。
図4は接着剤塗布装置50の斜視図でこの装置範囲をユニットとしてシート処理装置Bに装着する。
図5は接着ユニットとしての粘着テープユニット50a、50bの主要部分の説明図で、(a)はカム部材57等の平面図、(b)はカム部材57とスタンパーホルダ52の係合状態を示す正面図、(c)上段に示すものは粘着テープスタンパ51がシートから離間した位置、下段はシートに接し、プラテン79側にスタンパーホルダ52を押圧する位置に移動したカム部材57の説明図である。
図6は接着手段としての粘着テープスタンパ51の説明図で、(a)は斜視図、(b)内部機構図、(c)と(d)はスタンプ動作で転写テープATを巻き取る駆動説明図である。
図7と
図8は粘着テープスタンパ51を複数支持した粘着テープユニット50a、50bで粘着テープをシートに塗布・転写する動作説明図である。
【0053】
図3の破線で囲まれた範囲が本実施例における接着剤塗布装置50であるが、この範囲には、粘着テープスタンパ51、この粘着テープスタンパ51をグループ化して並列支持するスタンパーホルダ52、このスタンパーホルダ52をプラテン79に近接させ粘着テープスタンパ51をシートに押圧して接着剤をシートに塗布する位置と、プラテン79から離間した位置との間で昇降させるカム部材57、及びこのカム部材57をシートの搬送方向と交差する方向に移動するカム移動モータ60(M13)が配置されている。また、複数の粘着テープユニット50a、50bを1つのユニット化された接着剤塗布装置50としてシート処理装置Bに装着可能に構成されている。さらに、接着剤塗布装置50は、シートのスタッカ部40への搬入や退避経路47へのスイッチバックの際の用紙がずれないように、搬入経路41の一部、偏向ガイド44、分岐した退避経路47の一部及びプラテン79もこのユニットとしてこの装置内に取り付けている。これらが
図3に破線で囲まれた範囲の接着剤塗布装置50であり、
図4に斜視図で表している。
【0054】
この接着剤塗布装置50は、左右の塗布装置フレーム50cとこの左右の塗布装置フレーム50cを中央で結合する中央支持フレーム63、後方で結合する後方支持フレーム64a、プラテン79の下方で結合する下方支持フレーム64bで1つの筐体を構成している。この一方の塗布装置フレーム50cにはカム移動モータ60が取り付けられている。このカム移動モータ60の駆動はギア列59を介して移動ベルト58に伝達されている。この移動ベルト58は、左右の塗布装置フレーム50c間の2本のカム案内ロッド57aにシート幅方向に摺動可能なカム部材57に結合されている。従って、カム移動モータ60を駆動するとその回転方向に応じてカム部材57は左右に移動することとなる。
【0055】
さて、このカム部材57には、
図5(b)(c)に示されるようなカム溝61が形成されている。このカム溝61は、図示のようにカム部材57の上方側に設けた上水平溝カム61aと下方側に設けた下水平溝カム61cとこれらを連通する傾斜カム溝61bが位置している。これらのカム溝61は図示のように左右に2本形成しているが、これらの位相は多少異なっている。このカム溝61にはスタンパーホルダ52を昇降するための移動ブロック54にカムフォロアーとしてのコロ56が嵌合されている。
【0056】
このカム溝61に勘合係合したコロは、軸を介して移動ブロック54に固設されている。ここで
図7(a)を参照すると、(この図は
図4に示されるカム部材57の裏側から見た説明図であるが)移動ブロック54は粘着テープスタンパ51を支持するスタンパーホルダ52に設けられた上下に伸びる4本の案内ロッド53のうち内側の2本の案内ロッド53に摺動可能に支持されている。一方、外側の2本の案内ロッド53夫々は、左右の塗布装置フレーム50cを結合する中央支持フレーム63に固定された支持ブロック55に摺動可能に支持されている。従って、粘着テープスタンパ51を支持するスタンパーホルダ52は外側の案内ロッド53が摺動する支持ブロック55によって支持されている。
【0057】
一方、スタンパーホルダ52の中央には2本の案内ロッド53に、移動ブロック54が摺動自在に取り付けられ、この移動ブロック54は上述のカム溝61にカムフォロアーとして係合するコロ56に固設してある。また、この移動ブロック54の底面とスタンパーホルダ52の底面52bの裏面52cには加圧スプリング62が中央の案内ロッド53に巻回されている。この加圧スプリング62は、常時移動ブロック54をスタンパーホルダ上部52aに押圧する方向に付勢している。従って、カム部材57が移動しカム溝61に係合しているコロ56が下降すると、後述する粘着テープスタンパ51の転写ヘッド72がシートに当接しスタンパーホルダ52の下降が停止する。そして、移動ブロック54の底面とスタンパーホルダ52の底面52bの裏側52cとの間で加圧スプリング62圧縮される。これにより、移動ブロック54より圧縮され加圧スプリング62の弾性力により転写ヘッド72がより強くシートに押圧され、転写テープAT上の接着剤を確実にシートに塗布(転写)できる。
【0058】
また、カム溝61に係合するコロ56が勘合された左右のカム溝61は
図5(c)図示のようにその位相が異なっているとともにコロ56のカム溝61の初期位置も異なっている。このため、同図左側のコロ56が早く下降を開始し、右側のコロ56は遅れて下水平溝61cに達する。この為左側の下水平溝61cは右側よりも長く設定されている。これは、粘着テープスタンパ51を夫々有する左側の粘着テープユニット50aが右側の粘着テープユニット50bよりも早くシートを押圧し、その後に右側の粘着テープユニット50aが遅れてシートを押圧する。これは各粘着テープユニット50a、50bが、一度にシートに押圧するにはかなりの押圧力を必要とするので、カム部材57の移動をより大きな駆動モータを用いなければならないが分散することによりモータの小型化やフレームの軽量化が図れる。
【0059】
[接着手段(粘着テープスタンパ)の説明]
ここで、粘着テープユニット50a、50bを構成するスタンパーホルダ52に着脱できる粘着テープスタンパ51について
図6を用いて説明する。まず、
図6(a)外観を示し、スタンパーカバー70と、テープ基材に接着剤を有し順次繰りだされる転写テープATと、この転写テープが巻きつけられ、転写テープATをシートに押圧するためにバックアップする転写ヘッド72と、この転写ヘッド72の横に位置し転写ヘッド72から突出した位置と転写ヘッド72の同じ位置まで退避する位置との間で昇降移動可能なシート押えスライダ71とが表れている。このシート押えスライダ71は、転写ヘッド72が下降して転写テープATをシートに塗布・転写する際にシート押えスライダ71の下にあるシートを押えるとともにこの押え動作により、転写テープATを繰り出し、新しい転写面が繰りだされ、これを転写ヘッド72でバックアップ押圧して、シートに接着剤を塗布・転写する。
【0060】
次に、シート押えスライダ71の伸縮により転写テープATを繰り出す構成について説明する。
図6(b)に示されるように、スタンパーカバー70内には、未使用の転写テープATが巻きつけられた供給リール軸74aに回転自在の供給リール74と、この供給リール74から繰り出され転写ヘッド72に架け渡されて転写テープATを巻き取る巻き取りリール軸75aに回転自在の巻き取りリール75を配置している。
図6(c)は供給リール74から転写テープATが繰りだされる前の状態を示しているが、スタンパーカバー70内に伸縮するシート押えスライダ71の上方にはスライダラック77が樹脂で形成されている。このスライダラック77は巻き取りリール75と一体となって回転するギアに係合している。また、この巻き取りリール75のギアはリール間ギア76を介して供給リール74と一体的に回転するギアに噛み合っている。
【0061】
また、シート押えスライダ71内にはスライダスプリング73が設けられ、常時シート押えスライダ71を外側(
図6下側)に付勢している。従って、
図6(c)のスライダスプリング73が伸びた状態から
図6(d)の状態の粘着テープスタンパ51を押し下げるとスライダスプリング73が圧縮される。これとともにスライダラック77が巻き取りリール75の巻き取りリールギア75bに係合し巻き取りリール75を図示時計方向に回転する。また、巻き取りリールギア75bは、リール間ギア76に歯合させており、このリール間ギア76の他方は供給リールギア74bに歯合している。従って巻き取りリール75が図示時計方向に回転すると供給リール74も回転し粘着テープATは巻き取りリールに巻き取られる一方供給リールから繰り出されて、新しい粘着面が転写ヘッド72に位置する。
【0062】
次に、
図6(d)の状態から粘着テープスタンパ51を上昇させるとスライダスプリング73が弾性復帰し、シート押えスライダ71を下方に押し下げる。このとき巻き取りリールギア75bはスライダラック77と歯合しているので、反時計方向に回転するが、巻き取りリール75との間に一方方向にしか伝達しないラチェット機構を介在しているので、巻き取りリール75は回転しない。また、巻き取りリールギア75bと歯合しているリール間ギア76及び供給リールギア74bも反時計方向に回転するが、供給リール74との間にも一方方向にしか伝達しないラチェット機構を介在しているので、供給リール74は回転しない。このような機構から、シート押えスライダ71を押し下げた場合のみ供給リール74及び巻き取りリール75が回転し粘着テープATの新しい粘着面が転写ヘッド72に繰り出されて位置する。尚、本実施例では特にラチェット機構は図示していないが、各リールギアとリールとの間で一方向のみにしか回転を伝達しないワンウェイクラッチなどを採用してもよい。
【0063】
本実施例における
図6(c)から同(d)への移動は、粘着テープスタンパ51を複数支持するスタンパーホルダ52がカム部材57で昇降移動されることで行われる。この機構はこれまで説明してきた通りである。尚、スタンパーホルダ52と粘着テープスタンパ51との間には、
図3に示されるように昇降動作の衝撃を緩衝する発砲樹脂などからなるクッション材52aを介在させて支持している。これにより、粘着テープATからシートへの接着剤の塗布(転写)が向上する。
ところで、実施例における粘着テープATは、テープ基材に接着剤を有し、これをシートに押圧することで、この接着剤がシートに転写するように構成されている。
【0064】
[スタンパーホルダ隣接のシート束押えについての説明]
次に、
図6で説明した粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71がシートを接着位置であるプラテン79に押圧する前に、シートの移動やばたつきを規制するシート押え65について、
図3、
図4、特に
図7(a)により説明する。
すでに説明したように、接着剤塗布装置50にはプラテン79に向かって、接着のために接着位置で停止したシートを規制するために押圧するシート押え65が昇降可能に取り付けられている。
図7(a)に図示のように、粘着テープスタンパ51を支持する2つのスタンパーホルダ52の両側にシート押え65を有するシート押え案内ロッド68を摺動支持するシート押え支持ブロック67が設けられている。このシート押え支持ブロック67は図示の丸孔がねじなどにより中央支持フレーム63に固設してある。また、このシート押え支持ブロック67とシート押え65の側縁押え65aの両側端にシート押え案内ロッド68に巻回した加圧スプリング65cを配置している。
【0065】
また、シート束押え65は常時シートを押圧する方向に付勢されているが、一方(
図7の左側)のスタンパーホルダ52とシート押え65とが係合部69で係合し、プラテン79上のシートから離間した位置にシート押え65を係止している。従って、スタンパーホルダ52がカム部材57の移動により下降しないときは、このシート押え65もシートから離間した位置に止まってシートの搬送を許容している。カム部材57の移動によりスタンパーホルダ52がシートに向かって下降を開始すると、
図7(c)に示す様にスタンパーホルダ52とシート押え65の係合部69の係合部が下降し、シート押え65が下降し、プラテン79上のシートずれやばたつきが発生しないように規制する。この規制により、さらにスタンパーホルダ52が下降してシート押えスライダ71がシートを押圧する時や、さらに下降して粘着テープATを支持しシートに押圧する転写ヘッド72がシートを押圧する際もシートの位置ずれやばたつきを抑えることができる。
【0066】
二つのスタンパーホルダ52の下降によりシート幅方向に各粘着テープスタンパ51による粘着テープATの接着剤の塗布(転写)が完了すると、今度はカム部材がもとの
図7(b)戻るとシート押え65の係合部がスタンパーホルダ52に係合し、スタンパーホルダ52の上昇によってシートから退避した位置に上昇する。以上のように、本実施例のシート押え65はスタンパーホルダ52の昇降に連動して、他の部材より先にシートを押圧しているが、このシート押えをソレノイド等によりスタンパーホルダ52の下降に先んじて移動させてもよい。また、シート幅全域にわたって押圧するように側縁押え65a、中央押え65bを設けているが、必要に応じて側縁押え65aのみや中央押え65bのみであってもよく、要は接着剤の塗布前にシートの移動がないようにすればよい。
【0067】
[接着剤塗布装置の動作説明]
ここで、接着剤塗布装置50によりシートに接着剤を塗布(転写)する動作を
図7から
図8を用いてその動作を説明する。この
図7、
図8は
図4の粘着テープスタンパ51と反対側のカム部材57の裏側から見た説明図である。
図7(a)の図で構成に触れると、カム部材57が初期位置にあり、このカム部材57のカム溝61に粘着テープスタンパ51が装着されたスタンパーホルダ52を内側の案内ロッド53に沿って摺動する移動ブロック54とコロ56とが係合している。すでに説明したように移動ブロック54はスタンパーホルダ52との間に加圧スプリング62が介在し、
図7(a)のように移動ブロック54でスタンパーホルダ52の裏面52cに当接するように押圧している。また、塗布装置フレーム50cを中央で連結する中央支持フレーム63に固設した支持ブロック55に各々スタンパーホルダ52を昇降自在に外側の案内ロッド53に摺動するように構成されている。
【0068】
この
図7(a)では、スタンパーホルダ52及びこれに係止されているシート押え65もプラテン79から離間して、シートが移動可能な隙間を維持している。この状態では粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71及び転写ヘッド72もシートから最も離れたところに位置している。他方のスタンパーホルダ52も同じ位置にある。
【0069】
次に、
図7(b)では、シートが接着位置に位置し、粘着テープATを塗布する信号によりカム移動モータ60が駆動しカム部材57が図示右方向に移動する。すると、図示左側のコロ56が傾斜カム溝61bに沿って下方への移動を開始する。この移動により、左側のスタンパーホルダ52も支持ブロック55に案内ロッド53が摺動して下降する。このスタンパーホルダ52の下降によりこれに係止されている係合部69も下降して、プラテン79上のシートの押えを開始する。一方粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71及び転写ヘッド72も下降はするがシートには接していない。図示右側のスタンパーホルダ52はコロ56がカム溝61の上水平カム溝61a部分を移動しただけなので、下降動作は生じていない。
【0070】
さらに、カム部材57が移動すると
図7(c)に示す様に、図示左側のコロ56が傾斜カム溝をさらに下降する。この下降により、シート押え65と右側のスタンパーホルダ52との係合部69の係止が解除される。この係止が解除されるとシート押え65はシート押え支持ブロック67との間に介在する加圧スプリング65cによりシートをより確実に押えて位置規制する。一方、粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71はシートとの接触を開始し、この接触により、
図6(c)から(d)に示すように粘着テープATも移動して新しい粘着面を露呈するようになる。この位置でも転写ヘッド72は、いまだシートには接していない。また、図示右側のスタンパーホルダ52もコロ56がカム溝61の上水平カム溝61a部分を移動しただけなので、下降動作は生じていない。
【0071】
引き続き、カム部材57が
図8(a)に示す様に図示右側に移動すると、図示左側のスタンパーホルダ52が下降しシート押えスライダ71及び転写ヘッド72がシートに当接する。このときスタンパーホルダ52は転写ヘッド72がシートに当接するとそれ以上の下降が止められるが、移動ブロック54はさらに下降するように傾斜カム溝61bを移動する。するとこの移動により加圧スプリング62の圧縮が開始されこの弾性力がスタンパーホルダ52を介して転写ヘッド72の加圧力として作用し、粘着テープATをより強くシートに押しつけることになる。これによりシートに接着剤を確実に塗布転写できる。
一方、図示右側のスタンパーホルダ52のコロ56も傾斜カム溝61bの下降を開始し、右側の粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71がシートの押えを開始する。
【0072】
さらに、カム部材57が移動し
図8(b)の状態になると、図示左側のスタンパーホルダ52は加圧スプリング62の弾性力で加圧状態を維持している。一方、図示右側のスタンパーホルダ52のコロ56も傾斜カム溝61bの下降の終点位置に至り、これにより右側の粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71及び転写ヘッド72もシートを押える状態となる。
【0073】
図8(c)に示す様に、カム部材57が最も右側に位置すると、図示左側のスタンパーホルダ52は加圧スプリング62の弾性力で加圧状態をさらに維持している状態になっている。一方、図示右側のスタンパーホルダ52のコロ56も下水平カム溝61cに至り、これにより左側の粘着テープスタンパ51のシート押えスライダ71及び転写ヘッド72がシートを押え、さらに加圧スプリング62が圧縮され、この弾性力が図示右側のスタンパーホルダ52を介して転写ヘッド72の加圧力として作用し、粘着テープATをより強くシートに押しつけることになる。これによりシートに接着剤を確実に塗布(転写)できる。
【0074】
左右のスタンパーホルダ52の下降により夫々の転写ヘッド72がシートに接着剤を塗布が完了すると、今度はカム部材57が図示左側に移動し、下降と逆順序でスタンパーホルダ52を上昇させ、
図7(b)に至ると左側のスタンパーホルダ52がシート押え65の係合部69と係合してこのシート押え65をシートから離間した位置に移動し、さらに
図7(a)の状態に復帰し、次シートへの接着剤の塗布に備える。
【0075】
以上のように、本実施例のものは、粘着テープスタンパ51の転写ヘッド72がシートに接着剤を塗布する前にシートをシート押え65で予め押圧して規制しているので、シートの位置ずれやばたつくことなく、シート上の予定した位置で塗布することができる。また、転写ヘッド72がシートに当接した後もこの転写ヘッド72を支持するスタンパーホルダ52を加圧スプリング62で押圧するようにしたので、転写ヘッド72をシートにより強く押圧することができ、粘着テープAT上の接着剤を確実にシートに移すことができる。
さらに、接着剤塗布装置の動作説明で述べたように、
図7及び
図8に図示の左右のスタンパーホルダ52が、左右とも同時にシートに転写ヘッド72を押圧するものではなく、まず左側の転写ヘッド72グループをシートに押圧し、この状態をカム部材57で維持しつつ、右側の転写ヘッド72グループをシートに押圧するように、順次押圧するタイミングをずらしているので、一度に押圧するものに比べて駆動力を小さく、ひいてはカム移動モータ60を小型化できるとともに、装置フレームが多少脆弱であっても装置を構成でき、軽量化がなされる。
【0076】
次に、スタッカ部40内の接着剤塗布装置50下流側に位置するシート側縁整合部材48、この整合動作中はシートから離間する搬送ローラ46と加圧ローラ49、及びスタッカ部40に搬入するシート先端を規制するストッパ部90及びこのストッパ部90に設けられシートを把持可能なグリッパ91について順次説明する。
【0077】
[シート側縁整合機構の説明]
先に、説明したように、上記接着剤塗布装置50の下流側にはその両側にシートの幅方向に移動してスタッカ部40内のシート側縁を押圧するシート側縁整合部材48が配置されている。この構成について
図9によりさらに説明する。シート側縁整合部材48はシート幅方向の両側に、シート搬送方向上流側に位置する上流側整合板110とこれよりも搬送方向の幅が多少広めの下流側整合板111が整合板連結部112で結合している。この整合板連結部112には、シート幅方向に相互に伸びるラック114を左右のラック結合部113で整合板連結部112に固設してある。この左右のラック114の中央にはラック歯に歯合するピニオン116が設けられ、整合モータ117(M12)に結合してある。この整合モータ117の正逆回転によりピニオン116が回転し、これに歯合するラック114によって上流側整合板110と下流側整合板111がシート幅方向に往復動を行いシートの側縁を押圧して揃え動作を行う。
【0078】
上記の整合モータ117は、後述のシート綴じ・接着処理動作制御部201によって、駆動回転制御する。本実施例にあっては、接着剤が塗布され接着されたシートの接着の塗布位置が退避経路47に退避する。これにより、次に接着する新たなシートが搬入経路41に位置し両シートの先端がストッパ部90に当接しているような跨った状態のシートも整合できる。また、この位置にこのシート側縁整合部材48を配置しているので、表面に接着が塗布されたシートと次シートを貼り合わせる直前に整合するので、貼り合せシートの整合精度が向上する。
【0079】
[搬送ローラ等の離間機構の説明]
次に、上記シート側縁整合部材48の整合動作時に、シートとのニップ及び圧接を解除しておく必要がある。この機構について
図10により説明する。
図10(a)は、搬入経路41の下流側に位置する搬送ローラ46のニップ及びニップ解除の構成を示している。
図10(b)は、スタッカ部40の中程で折り処理部80の直ぐ下流側に位置し、シートをスタッカ下ガイド40bに押圧してストッパ部90側への搬送力を付与する加圧ローラ49の圧接離間構成を示している
【0080】
まず、
図10(a)の搬送ローラ46について説明する。正逆転する搬送モータM2からローラ伝達ベルト124によって回転する搬送ローラ46は駆動ローラ120とこれ離接するピンチローラ125からなる。搬送ローラ46のニップ解除はピンチローラ125が駆動ローラ120から離間することによってなされている。このピンチローラ125はこれを支える支持ブラケット126とこの支持ブラケット126を回動支持する回動軸127を備えている。この回動軸127は装置機端部で回動ギア129に固設してある。この回動ギア129は、離間モータギア130を介して離間モータ131(M3)に係合してある。回動軸127には軸に下端側が埋設して上端を突出させた突出ピン127aが、支持ブラケット126のピン受け溝128に係合している。このピン受け溝128は突出ピン127aが所定範囲で自由に移動できるようにしている。また、支持ブラケット126と図示しない装置フレームとの間に回動軸127を巻回して架け渡した巻きばね122が位置してある。
【0081】
従って、常時この巻きばね122でピンチローラ125は駆動ローラ120に付勢されシートに搬送力を付与している。一方、前述したシート側縁整合部材48を動作する際にこのピンチローラ125の駆動ローラ120から離間する信号がシート搬送制御部195から出力されると、ピンチローラ125の離間モータ131を駆動する。この駆動により離間モータギア130を介して回転軸を固設させた回動ギア129を図示方向に回転する。この回転により回動軸127上の突出ピン127aも図示矢印方向にピン受け溝128内を回転し、このピン受け溝128の突出壁と当接すると、支持ブラケット126が移動しピンチローラ125を駆動ローラ120から離間し、シートのニップが解除される。逆にシートを搬送するためにピンチローラ125を駆動ローラ120に圧接させるには、離間モータ131を逆転すると、突出ピン127aは元のピン受け溝128のほぼ真ん中に位置する。従って、支持ブラケット126は巻きばね122の弾性力でピンチローラ125が駆動モータに圧接することになり、シートに一定の搬送力が付与できる。
【0082】
次に、
図10(b)は、スタッカ部40のスタッカ下ガイド40bに離接するように移動可能な加圧ローラ49が示されている。この加圧ローラ49は、シートの先端が通過するまでは離間しており、シート先端が通過するとシートをスタッカ下ガイド40bに押圧するようにシートを押圧しながら回転する。図示の加圧ローラ49はシート幅方向の略中央に設けられている。この加圧ローラ49は両側の支持アーム132に支持され、中間軸135に固設された中間軸ホルダー136とアームホルダー132aとの間に巻回されたバネクラッチ134により、加圧ローラ49の昇降動作を行うように構成されている。この加圧ローラ49の駆動は中間軸135の回動によってなされる。この中間軸135の駆動は、中間伝達ベルト137、中間ギア138、この中間ギア138を駆動する駆動軸139、この駆動軸139を回動する加圧ローラ駆動モータ141(M9)との間のモータ伝達ベルト140によってなされる。
【0083】
以上の構成からなる加圧ローラ49は、スタッカ部40内でシートの先端が加圧ローラ49を通過したことを検知し、スタッカ部集積動作制御部200によって加圧ローラ駆動モータ141を正回転すると中間軸ホルダー136も正方向に回転する。この方向の回転によりバネクラッチ134が緩み方向となりアームホルダー132aは、規制が解除されシートに対して自重で加圧ローラ49が圧接する。この加圧ローラ49の圧接中はシートを下流側に搬送する回転が付与されシートは図示ストッパ部90方向に搬送される。
一方、スタッカ部40に進入したシートを整合する場合やシートを上流側(例えば、退避経路47へのスイッチバック搬送方向)に搬送する場合は、加圧ローラ駆動モータ141を逆回転するとバネクラッチ134が締り方向となり、加圧ローラ49を上昇する。この状態で加圧ローラ駆動モータ141を停止しても、モータトルクとバネクラッチにより加圧ローラ49はシートから離間した退避位置に保持される。尚、加圧ローラ49の昇降は直接ソレノイドなどに結合して、昇降させてもよい。
【0084】
[ストッパ部のグリッパ開閉機構の説明]
図11により、ストッパ部90の先端に位置するグリッパ91のシートを把持する閉状状態と把持を解除した開状態を説明する。尚、ストッパ部90の昇降についてはすでに説明したので、ここでの説明は省略する。
図11(a)はグリッパ91の移動範囲全域を示し上下位置のものを仮想線で示している。
図11(b)はグリッパ91をストッパ部90ともに上方からみた平面図である。グリッパ91は、ストッパ部90の先端に配置され、ストッパ部の90固定片91aから移動片91bが離接して構成されている。この移動片91bのグリッパ連結部152はストッパ部90及びストッパ連結部151の下方に進退自在に重ねられて配置されている。また、移動片91bの下方には常時この移動片91bを綴じ方向に付勢する圧縮スプリング91cが設けられている。
【0085】
ところで、上記グリッパ連結部152はストッパ部90から後方に突出する開口孔を有した連結アーム153を有している。この連結アーム153の開口孔に貫通して上下で回動バー156を支持する回動ブラケット154が設けられている。この回動ブラケット154は回動支点155を支点として
図11(b)に示す様に、回動支点155の反対側が図示矢印方向に回動する。この回動はこの回動ブラケット154は、回動カム157はブラケット押圧面158を有している。この回動カム157はグリッパ開閉モータ160(M11)により回転する。この回転によりブラケット押圧面158が回動ブラケット154を押すと、回動支点155を中心に揺動する。この揺動により上下でこの回動ブラケット154に支持された回動バー156も進退移動する。回動バー156は連結アーム153の開口孔を貫通しているので、連結アーム153の先端の移動片91bがストッパ部90の固定片91aに対して離接することになる。
【0086】
また、
図11(a)に示したように上述の連結アーム153はストッパ部90が昇降しても、この昇降範囲に回動バー156が位置しているので、何れの昇降位置でもグリッパ91を構成する移動片91bを進退移動することが可能となる。従って、スタッカ部集積動作制御部200によりグリッパ開閉モータ160の回動によりグリッパ91がシートを把持する閉状態、把持を解除する開状態になる。スタッカ部40は同図に示す様に、傾斜した状態に配置されているので、回動ブラケット154は常時、回動カム157に当接した状態になっている。尚、回動カム157への当接を、回動ブラケットが回動カム157側にスプリング等などで付勢されてもよい。
【0087】
[接着によるシート束生成動作の説明]
次に、
図12から
図19により、画像形成装置Aから搬送されるシートに、スタッカ部40内の接着剤塗布装置50により接着剤を塗布してシート相互を接着したシート束の生成動作を順次説明する。
まず、画像形成装置において、本体排紙口3からのシートを束状に部揃えした後、シート間を接着した後冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納する「接着シート束折りモード」を指示する。
【0088】
これにより、
図12(a)に示す様に、画像形成装置Aの本体排出口3から像形成された1枚目のシートがシート処理装置(
図2)のシート搬入経路P1、第1スイッチバック経路SP1を経て第2スイッチバック経路SP2でもある搬入経路41で経路搬入ローラ45及び搬送ローラ46に搬送している状態を示している。このときスタッカ部40に搬入されるシートの先端を規制するストッパ部90は、図示の初期ホームポジションSh0からシートの後端が搬入経路41と退避経路47との分岐した位置に至るシート長さのシート(束)後端の分岐通過位置Sh1に移動して待機する。
【0089】
図12(b)は、スタッカ部40にシートが搬入されシート後端が上記の分岐した位置にあることを示している。この位置まで搬送されるシートはシート(束)後端の分岐通過位置Sh1で待機しているストッパ部90に当接するまでシートを搬送される。この搬送中にシート先端は搬入経路41の出口付近に位置する偏向ガイド44を押しあげて搬送される。その後、加圧ローラ49の位置を通過した時点でこの加圧ローラ49がシートを押圧する位置に移動し、シートがストッパ部90に搬送するようにする。このストッパ部90の先端に配置されたグリッパ91は固定片91aから移動片91bが離間した状態でシート受けるように把持を解除した位置にある。シートの先端がストッパ部90に当接した時点でシートシート後端は上記の分岐した位置に位置するとともにシート後端は偏向ガイド44により第3スイッチバック経路SP3の退避経路47側に向けられる。
【0090】
図13(a)は、シート後端が分岐した位置を通過した時点でグリッパ91によりシートを把持し、この把持した状態でストッパ部90を上昇している状態を示している。この場合、シートの後端は偏向ガイド44により退避経路47側に向けられているので、シートはこの退避経路中をスイッチバック搬送される。なお、このとき2枚目のシートがシート搬入経路P1に搬入される。
【0091】
図13(b)は、1枚目のシートをストッパ部90により上昇させこのシートの搬送方向の1/2の位置が接着剤塗布装置50の接着位置(粘着テープスタンパ51のシート押圧位置)であるSh3粘着テープ転写位置で、ストッパ部90によるシートの移動を停止する。ここで停止状態にあるシートに対して上記の接着剤塗布装置50に隣接して配置しているシート側縁整合部材48でシートの幅方向の側縁を叩いて位置整合を行う。この整合動作が終了すると接着剤塗布装置50のカム移動モータ60を駆動し、粘着テープスタンパ51をシート側に移動し、まずシート押え65によりシートを押え、次にシート押えスライダ71がシートを押圧する。その後転写ヘッド72をシートに押圧して粘着テープATの接着剤をシートに塗布する。塗布後シートを押えていた各部材をシートから離間する。尚、塗布中はグリッパ91でシート先端を把持している。
【0092】
図14(a)は、転写ヘッド72、シート押えスライダ71、シート押え65をシートから離間後、接着剤が塗布したシートの塗布位置が次のシートの搬送の妨げにならないように、この塗布位置を退避経路47に位置に退避させるようにストッパ部90を粘着テープ隠し位置(次シート受け入れ位置)Sh4に移動する。装置上のこの塗布位置がスイッチバックする距離は上記の接着位置から35ミリ程度の退避経路中としている(図示符号100の位置)。この移動距離は接着剤が塗布された部分が搬送ガイドや偏向ガイド44に付着しないようになるべく短く設定することが望ましい。また、偏向ガイド44等シートに接触する部材は接着剤の塗布条間に配置している。この先行するシートの塗布位置が退避位置(図示符号100の位置)に移動後、塗布中及び移動中把持状態にあったグリッパ91を解除するように固定片91aから移動片91bを離間させる。
【0093】
図14(b)では、上記グリッパ91が解除された状態で、次シートは図示のように搬入経路41を移動しスタッカ部40への搬入を開始する。この搬入に際して先行シートの塗布位置は退避経路中に退避し隠れているので、次シートは何ら支障なく先行シート上に搬入ができる。ストッパ部90は粘着テープ隠し位置(次シート受け入れ位置/図示符号100の位置)Sh4で次シートの搬入を待つ。
【0094】
図15(a)は、前述のストッパ部90が粘着テープ隠し位置(次シート受け入れ位置/図示符号100の位置)Sh4で次シートの先端を受け止める。この状態では、先行するシートの後端は塗布位置を含め退避経路47に位置し、次シートの後端側は搬入経路41に位置している。また、この先行シートと次シートの先端側はストッパ部90に当接した状態となっている。尚、加圧ローラ49は次シートの先端が加圧ローラ49を通過したときに次シートに加圧するように下降圧接させ、搬送力を付与している。先行シートと次シートがストッパ部90に当接した後、この両シートを整合するためにシート側縁整合部材48を作動するが、この整合動作に先立ち、搬入経路41に位置する搬送ローラ46のニップを解除し、また加圧ローラ49をシートから離間する。その後、シート側縁整合部材48で搬入経路41と退避経路47に跨って重なっている各シートの側縁を押圧して整合する。本実施例では各シート側縁整合部材48で2回シートを押圧している。なお、この整合動作では、グリッパ91はシートの把持を解除した開状態となっている。
【0095】
上記整合動作が完了すると、
図15(b)に示す様に搬入経路41の搬送ローラ46でニップし、加圧ローラ49をシートに押圧する。また、グリッパ91がシートを把持状態にする。この把持状態でストッパ部90を2枚目の次シートの後端が分岐位置を通過するシート(束)後端分岐通過位置Sh1まで移動する。ここでは、一枚目の先行シートの接着剤が塗布された位置が加圧ローラ49を通過するのでこのローラの加圧により、次シートの接着がある程度なされる。なお、3枚目のシートはシート搬入経路P1に搬入されつつある。
【0096】
次の
図16(a)は、ストッパ部90をシート(束)後端分岐通過位置Sh1から粘着テープ転写位置Sh3に移動する。この移動の開始では、2枚目の次シートの後端は偏向ガイド44によって退避経路47側に付勢されているので、1枚目の先行シートと束になって退避経路47をスイッチバック搬送される。このSh3は、先に説明したようにシート搬送方向の1/2の位置が接着剤塗布装置50の粘着テープスタンパ51が転写テープATをシートに押圧して接着剤を2枚目シートに塗布する位置である。この接着剤塗布装置50を作動して次シートに接着剤を塗布するとともに、先行シートとの押圧を行いシート間の接着を行う。特に、この位置では接着剤が塗布されている位置の上から転写ヘッド72が、シート押圧するのでシート間の貼り合せ接着がより確実になる。尚、三枚目のシートは搬入経路41にその先端が進入しつつある。
【0097】
図16(b)では、接着剤が塗布され貼りあわされた1枚目2枚目の接着剤塗布位置を退避経路47に搬入するように、ストッパ部90を粘着テープ隠し位置(次シート受け入れ位置/図示符号100の位置)Sh4に移動し、3枚目の搬入を待つ。ストッパ部90のグリッパ91はシート束の移動中と接着剤塗布中はシートを把持しているが、次シート受け入れ時は把持を解放している。この
図16(b)は
図14(b)と同じ状態であり、以後最終紙の一枚前までのシートが所望の束枚数になるまで、
図14(b)から
図16(b)繰り返す。
本実施例では3枚目が束の最終枚数の場合として以後を説明する。
【0098】
図17(a)では、接着剤が塗布済の2枚目シートの塗布位置が退避経路47に位置し、最終枚数である3枚目のシートが搬入され、ストッパ部90にシート先端が当接する。この状態で3枚目とその一部が退避経路47にある2枚目までのシートとの揃えを行うためシート側縁整合部材48を作動してシート側縁を押圧して整合動作を行う。この整合動作を行う際は、搬送ローラ46のニップ解除、加圧ローラ49のシート押圧位置からの退避、グリッパ91の把持解除を行う点は2枚目の同位置のものと同様である。従って、2枚目以降の後端側は退避経路47にあり、3枚目は搬入経路41に位置して分岐し、先端側を重ね合わせた状態で整合動作をおこなう。
【0099】
図17(b)では、上記の整合動作完了後、搬送ローラ46のニップ、加圧ローラ49のシート押圧位置への移動、グリッパ91の把持を行い、粘着テープ転写位置Sh3の近傍(この実施例にあっては、転写ヘッド72の上流側に位置するシート押えスライダ71でシート押えるため、接着する粘着テープ転写位置Sh3よりも5mm程度上流としている。
図2のZ位置)に移動する。これは、最終紙にあっては接着剤を塗布しないため、転写ヘッド72の位置ではなく、シートのみを押圧する位置で押え、シート間の接着を行うためである。
【0100】
図18(a)は、3枚目の最終枚目が先行する2枚目までに接着後、3枚目のシート後端が搬入経路41と退避経路47との分岐点を超える位置であるシート(束)後端通過位置Sh1にストッパ部90のグリッパ91で把持された状態で移動する。また、加圧ローラ49はすでにシート押圧位置にあるので、この加圧ローラ49によってもシートを圧着してより接着剤の接着を確実にすることができる。
【0101】
図18(b)のシート(束)後端通過位置Sh1から今度は上方側の接着束折り位置Sh2の方向にグリッパ91で把持した状態でストッパ部90を移動する。この移動によりシート束の上流端は、偏向ゲート退避経路47に搬入され、3枚のシート束全てがスイッチバック搬送される。
【0102】
図19は、グリッパ91が把持した状態で、接着束折り位置Sh2に移動するとシート束の移動を停止するともに、グリッパ91の把持を解除し、折りローラ81と折りブレード86による折り処理を行われる。この折りブレード86もシートの接着剤の塗布位置を押圧するので、シート間の接着がより強化される。
【0103】
ところで、本実施例における最終シートに対する
図17(a)から
図19までのストッパ部90の移動位置は、粘着テープ隠し位置Sh4→粘着テープ転写位置Sh3から5mm上流位置→シート後端分岐通過位置Sh1→接着束折り位置Sh2として折り位置への移動前に、粘着テープ転写位置Sh3でのシート押えスライダ71よるシートの押圧、加圧ローラ49によるシート押圧と複数個所で行うのでシート間の接着が強くなる。
【0104】
なお、接着剤の種類に応じ、あるいは束とするシートに応じて、この搬送順序を変えることも可能である。例えば第2の最終紙の送り手順として、Sh4→Sh1→Sh3−5mm→Sh2とすることにより先に加圧ローラ49でシート間を押圧し、その後シート押えスライダ71で押圧してもよい。また、第3の最終紙の送り手順とて、Sh4→Sh1→Sh2とすることにより先に加圧ローラ49でシート間を押圧し、その後のシート押えスライダ71の押圧を省略してもよい。さらに、もっとも早く接着束折り位置Sh2に移動できるように、Sh4→Sh3−5mm→Sh2とすればシート押えスライダ71でシート間を押圧した後折り処理に移行できる。この場合は、3枚目は搬入経路41にその後端が位置し、2枚目までは退避経路47にその後端が位置しながら折り処理される。なお、上述の各実施例にあって、Sh3−5mmは、粘着テープ転写位置から5mm上方のシート押えスライダ71の位置で、最終紙以外の各シートに接着剤を塗布した位置を停止させてこのシート押えスライダ71で貼り合わせのために押圧することを示しているが、この5mmの位置は適宜変更可能で、要は最終に接着剤をせずに最終紙前の塗布位置を押圧して貼り合わせのための押圧を行えばよい。
【0105】
[折り処理部の機構及び動作説明]
次に、接着された束が接着束折り位置Sh2に移動しこの位置で折り処理する折り処理部80の構成について説明する。上述の接着剤塗布装置50の下流側に配置された折位置Yには、
図20(a)に示すように接着したシート束を折り合わせる折りローラ81とこの折りローラ81のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード86が備えられている。折りローラ81は互いに圧接したローラ81a、81bで構成され、各ローラは略々最大シートの幅長さに形成されている。この折りローラ81を構成するローラ81a、81bは互いに圧接して接合するように回転軸81ax、81bxを図示しない装置フレームの長溝に嵌合され、圧縮スプリング81aS、81bSで圧接方向に付勢されている。尚、このローラは少なくとも一方が圧接方向に移動可能に軸支持され、その一方に付勢スプリングを掛け渡す構造であっても良い。
【0106】
上記一対の折りローラ81a、81bはゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成されている。これはゴムなどの軟質材によってシートを折曲げながら回転方向に移送する為であり、ゴム質材をライニング加工することによって形成しても良い。
【0107】
次に上述の折りローラ81でシートを折り合わせる動作を
図20(a)乃至(b)に従って説明する。この一対の折りローラ81a、81bは前記スタッカ部40の上方で接着剤塗布装置50の下方に位置し、スタッカ部40に支持された接着したシート束を挟んで対向する位置にナイフエッジを有する折りブレード86が設けられている。この折りブレード86は
図20(a)の待機位置から同図(c)のニップ位置との間で往復動可能に装置フレームに支持されている。
【0108】
そこで前記スタッカ部40に束状に支持されたシート束は同図(a)の状態で先端のストッパ部90に係止され、その折り目位置は粘着テープスタンパ51で接着剤が塗布された位置が折り位置として位置決めされる。このシート束のセット終了信号を得て、駆動制御手段(後述の「シート折り処理制御部202」;以下同様)は、クラッチ手段をOFFする。
【0109】
そこでシート束折り動作制御部202は折りブレード86を待機位置からニップ位置に向かって所定速度で移動する。そこで
図20(b)の状態にシート束は折り目位置を折りブレード86によって屈曲されローラ間に挿入される。このとき一対の折りローラ81は、夫々折りブレード86によって移動するシートに連なって従動回転する。そしてシート束折り動作制御部172はシート束が所定のニップ位置に到達する見込み時間の後、ブレード駆動モータ(不図示)を停止し、折りブレード86を同図(c)の位置で静止させる。これと前後してシート束折り動作制御部202は図示しないクラッチ手段をON状態に切換えて折りローラ81を駆動回転する。すると、シート束は繰り出し方向(同図左側)に送り出される。その後、シート束折り動作制御部202は同図(d)の状態に折りローラ81によるシート束の繰り出しと並行してニップ位置に位置する折りブレード86を待機位置に向けて移動復帰させる。
【0110】
このように折り合わされたシート束は、まず一対の折りローラ81間に喰え込まれる際に、ローラ表面と接するシートが回転するローラによってローラ間に引き込まれることがない。つまり折りローラ81は挿入される(押し込まれる)シートに追随(従動)して回転するため、ローラと接するシートのみが先に巻き込まれることがない。またこの挿入されるシートにローラが追随して従動回転するため、ローラ表面とこれと接するシートが擦れることがなく、画像擦れを招くことがない。
【0111】
ここで
図2に戻って、前述の折りローラ81の下流側には折りシート束とした冊子を収納する第2排紙トレイ22に折シートを案内するシート移送経路(以下「移送経路」という)が設けられ、その出口に設けられた蹴りだし片を有する束排出ローラ95により、折りローラ81で冊子状に二つに折り合わせたシート束を第2排紙トレイ22に搬出する。搬出されるシート束は束押えガイド96、及びシート束の二つ折りの開きを抑える束押え97により整列よく集積される。
【0112】
[制御構成の説明]
上述した画像形成装置のシステム制御構成を
図21のブロック図に従って説明する。
図1に示す画像形成装置のシステムは画像形成装置Aの画像形成装置制御部180とシート処理装置Bのシート処理制御部191を備えている。画像形成装置制御部180は画像形成制御部181と給紙制御部186と入力部183を備えている。そしてこの入力部183に設けられたコントロールパネル18から「画像形成モード」「シート処理モード」の設定を行う。画像形成モードは前述したように、プリントアウト部数、シートサイズ、カラー・モノクロ印刷、拡大・縮小印刷、両面・片面印刷、その他の画像形成条件を設定する。そして画像形成装置制御部180はこの設定された画像形成条件に応じて画像形成制御部及び給紙制御部を制御し、所定のシートに画像形成した後、本体の排紙口3からシートを順次搬出する。
【0113】
これと同時にコントローラパネル18からの入力でシート処理モードが設定される。処理モードは、例えば、「プリントアウトモード」「ステープル綴じ仕上げモード」「接着シート束折りモード」等に設定される。そこで画像形成装置制御部180はシート処理制御部191にシートの処理仕上げモードとシート枚数、部数情報と綴じあるいは接着モード(1個所止綴じか2個所以上複数綴じか)情報を転送する。
【0114】
シート処理制御部191は、指定された仕上げモードに応じてシート処理装置Bを動作させる制御CPU192と、動作プログラムを記憶したROM193と、制御データを記憶するRAM194を備えている。そしてこの制御CPU192は、搬入口23に送られたシートの搬送を実行するシート搬送制御部195と、パンチユニット28でシートに穿孔処理を行うシート穿孔制御部196と、処理トレイ29でシートの集積動作を行う処理トレイ集積動作制御部197と、この処理トレイ29から束となったシートを排出する処理トレイ排出動作制御部198と、この処理トレイ29から排出されるシートやシート束を集積量に応じて第1排出トレイを昇降する第1排出トレイ動作制御部199を備えている。
【0115】
さらに、スタッカ部40にシートを集積しながら接着しシート束折りする際に制御するために、スタッカ部集積動作制御部200、シートを接着する動作を指示するシート綴じ・接着処理動作制御部201、接着剤で貼り合わされたシート束を二つ折りにするシート折り処理制御部202を備える。なお、シート綴じ・接着処理動作制御部201は処理トレイ29上に集積したシートをステープル針で綴じ処理を行う端面綴じステープラ35も制御している。尚、特に図示していないが各制御部はシート搬送経路や各部材の位置を検出するセンサーからの位置信号が入力されている。
【0116】
さらに、
図21により各制御部とモータ各部とのつながりを述べる。まず、シート搬送制御部195は画像形成装置Aからのシートを受け入れ搬送する搬入ローラ24等の駆動を制御するように駆動モータM1の制御回路に連結されている。また、このシート搬送制御部195は、処理トレイ29にシートを搬入する際に一端第2スイッチバック経路SP2にシートをスイッチバック待機させ、次シートと合わせて処理トレイ29に排出している。これは、画像形成装置A側の作動を止めることなく処理できるようにするためであるが、このスイッチバック搬送ができるように搬入経路41中の経路搬入ローラ45を正逆搬送可な駆動モータM2を制御している。また、スタッカ部40にその先端側を位置させ、後端側をこの搬入経路41に位置させてシート同士の整合を行う際にピンチローラ125を駆動ローラ120から離間させる離間モータ131(M3)も制御している。
【0117】
次に、シート穿孔制御部196はシートにパンチ孔を穿孔するためパンチ穿孔モータM4の制御回路に接続されている。
処理トレイ集積動作制御部197は、処理トレイ29や第1排紙トレイ21への搬入や処理トレイ29からシート束の搬出するため排紙ローラ25をニップまたは離間させるニップ離間モータM5の制御回路に接続されている。また、処理トレイ29上のシートを整合するためサイド整合板36をシート幅方向に往復動させるサイド整合板モータM6の制御回路に結線されている。
【0118】
処理トレイ排出動作制御部198は、処理トレイ29で端面綴じステープラ35で端部が綴じられたシート束を第1排紙トレイに排出するために後端規制部材33を排紙口25aに向けて移動する束排紙モータM7の制御回路に接続されている。また、第1排紙トレイ21を収納するシートの量に応じて昇降する第1トレイ昇降モータM8の制御回路は、第1排紙トレイシート積載動作制御部199に結線されて制御される。
【0119】
次に、シート搬送方向の1/2の位置に接着剤を塗布してシート同士を貼り合せるとともにこの接着剤の塗布位置で折りこむ制御部について図面に従って概説する。まず、スタッカ部集積動作制御部200は、スタッカ部40の中程に位置し、スタッカ部40に搬入するシートを押圧して下流側への搬送を行う加圧ローラ49の押圧位置への移動と回転駆動及び逆転してシートからの離間を行う加圧ローラ駆動/ニップ離間駆動モータ141(M9)の制御回路に接続されて制御する。
【0120】
また、スタッカ部40に進入するシートの位置を制御して、初期ホームポジションSh0、シートの後端が搬入経路41と退避経路47経路との分岐位置にあるシート(束)後端分岐通過位置Sh1、接着済みのシート束を二つ折りにする接着束折り位置Sh2、粘着テープをシートの中央に塗布する粘着テープ転写位置Sh3、搬入経路41から次シートがスタッカ部40に搬入する際に、先行シートの接着塗布位置が貼りつくのを防止するため退避経路47にスイッチバックして待機する粘着テープ隠し位置Sh4に移動位置決めするストッパ部90移動モータM10の制御回路に接続している。この各位置のシート流れなどの関係などは、
図12から
図19までに詳述した通りである。
【0121】
また、上記スタッカ部シート集積動作制御部200は、ストッパ部90の先端でシートの先端を把持したり、この把持を開示したりするように開閉動作を行うグリッパ開閉モータ160(M11)の制御回路にも接続されて制御している。このグリッパの把持のタイミングなどはすでに述べたので、その説明は省く。さらに、このスタッカ部シート集積動作制御部200はシート先端がスタッカ部40に位置し、後端が搬入経路41と退避経路47に夫々跨って位置しているシートであっても整合可能なシート側縁整合部材48をシート幅方向に往復動する整合モータ117(M3)の制御回路にも結線されて制御している。
【0122】
シート綴じ・接着処理動作制御部201は、接着剤塗布装置50の粘着テープスタンパ51をシートに押圧して接着剤を塗布する位置とシートから離間する位置に移動するカム部材57を往復動するカム移動モータ60(M13)の制御回路に接続されている。また、このシート綴じ・接着処理動作制御部201は、処理トレイ29の端面綴じステープラ35に結線されている。
【0123】
最後に、シート折り処理制御部202は、既に説明したように、折りブレード86、折りローラ81a、81b、束排紙ローラ95を共通のモータで回転駆動または往復移動するように構成され、この駆動モータM15も制御するように駆動回路と結線されている。
【0124】
上述のように構成された制御部はシート処理装置に次の処理動作を実行させる。
「プリントアウトモード」
このモードでは画像形成装置Aで画像形成されたシートはシート処理装置Bのシート搬入経路P1を経て、第1排紙トレイ21に収容され、例えばフェースダウンの姿勢で1ページから順次nページの順に上方に積載収納されることとなる。
【0125】
「ステープル綴じ仕上げモード」
このモードでは画像形成装置Aは前述のモードと同様に一連の文書を第1ページからnページの順に画像形成し、フェースダウンの状態で本体排紙口3から搬出する。そこでシート搬入経路P1に送られた後、第1スイッチバック搬送路SP1に沿って処理トレイ29上にスイッチバック搬送される。このシート搬送を繰り返すことによって第1の処理トレイ29に一連のシートがフェースダウンの状態で束状に集積される。この束集積後、端面綴じステープラ35を動作させトレイ上に集積されたシート束の後端縁を綴じ合わせる。ステープル綴じされたシート束を第1排紙トレイ21上に搬出収納する。これによって画像形成装置Aで画像形成した一連のシートをステープル綴じして第1排紙トレイ21に収納することとなる。
【0126】
「接着シート束折りモード」
このモードでは画像形成装置Aはシート処理装置Bで接着剤を塗布しシートを貼り合せて冊子状に仕上げる。この為シート処理装置Bはシート搬入経路P1に送られたシートを第2スイッチバック搬送路SP2に導き、そしてこの経路に配置された経路搬入ローラ45、搬送ローラ46に導かれスタッカ部40に案内される。
これ以降のシートの流れ、シートを接着する動作、先行シートと次シートの関係などはすでに
図12から
図19で説明したので、ここでの説明を省略するが、このモードの特徴は次の通りとなる。
先行シートに接着剤塗布装置50を塗布後、次シートに接着剤が付着しないように先行シートを退避経路47に退避させる動作を束作成が完了するまで繰り返す。
接着剤塗布装置50は、シートに接着剤を塗布するとともにすでに接着剤が塗布された先行シートに押し付けて束形成を行う。これを束作成が完了するまで繰り返す。
シート後端側が搬入経路41と退避経路47にそれぞれ位置し、先端側がストッパ部90に当接して重なり合った状態でシート側縁整合部材48により接着剤塗布前に整合する。
上記の接着剤塗布装置50の接着剤塗布時及びスタッカ部40でのシート移動にはストッパ部90の移動とともにシート先端をグリッパ91で把持した状態で行う。また、整合時及び次シートのストッパ部90への受け入れ時は、この把持を解除する。
接着剤塗布装置50は粘着テープスタンパ51をグループ化してグループごとにシートに押圧して接着剤の塗布を行う。
粘着テープスタンパ51をシートに押圧時、加圧スプリング62のバネ力より一定の押圧力がかかるように一定時間押圧する。
接着剤塗布装置50はシートに接着剤を塗布する前から、シートが位置ずれしたり、ばたついたりすることを防止するように予めシート押え65で押えておく。
以上の制御により、スタッカ部内での接着剤の塗布と束生成を行った後、シート束に折り処理を施し、このシート束を第2排紙トレイ22に搬出する。