(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
《発明の実施形態1》
図1〜
図9は、本発明の実施形態1を示している。
【0017】
図1は、本実施形態1におけるTFT基板の構造を示す断面図である。
図2は、本実施形態1におけるCMOSインバータ回路を示す平面図である。
図3は、CMOSインバータ回路の構成を示す回路図である。
図4は、液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
図5は、第2活性層が形成されたガラス基板を示す断面図である。
【0018】
図6は、複数のゲート電極が形成されたガラス基板を示す断面図である。
図7は、層間絶縁膜が形成されたガラス基板を示す断面図である。
図8は、ソース電極及びドレイン電極が形成されたガラス基板を示す断面図である。
図9は、複数の酸化物半導体層が形成されたガラス基板を示す断面図である。
【0019】
本実施形態では、本発明に係る表示装置として液晶表示装置1を例に挙げて説明する。液晶表示装置1は、
図4に示すように、液晶表示パネル10と、この液晶表示パネル10の背面側に配置された照明装置であるバックライトユニット20とを備えている。
【0020】
液晶表示パネル10は、回路基板であるアクティブマトリクス基板としてのTFT基板11と、TFT基板11に対向して配置された対向基板12と、TFT基板11及び対向基板12の間に設けられた液晶層13とを有する。
【0021】
また、液晶表示パネル10及びTFT基板11には、表示領域16と、その周囲外側に設けられた額縁状の非表示領域17とが形成されている。表示領域16には、マトリクス状に配置された複数の画素(図示省略)が形成されている。画素は例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色の何れかを表示し、R,G,Bの一組の画素からなる画素ユニットによって任意の色のカラー表示を行うようになっている。
【0022】
上記対向基板12には、それぞれ図示省略のカラーフィルタ及び共通電極等が形成されている。また、液晶層13は、上記TFT基板11と対向基板12との間に設けられたシール部材14によって封止されている。
【0023】
TFT基板11には、互いに並行して延びる複数のソース配線(図示省略)と、これらに直交して延びる複数のゲート配線(図示省略)とが形成されている。すなわち、ゲート配線及びソース配線からなる配線群は、全体として格子状に形成されている。その格子状の領域に、上記画素が形成されている。
【0024】
TFT基板11の表示領域16には、各画素毎に当該画素を駆動するための画素駆動用TFT41と、これに接続された画素電極26とが、ガラス基板21に形成されている。また、画素駆動用TFT41は、上記ソース配線及びゲート配線に接続されている。一方、TFT基板11の非表示領域17には、画素駆動用TFT41を駆動するための駆動回路用TFT42が、ガラス基板21上に直接に形成されている。
【0025】
画素駆動用TFT41はnチャネル型TFTであり、IGZO等の酸化物半導体からなる第1活性層31を有している。一方、駆動回路用TFT42はpチャネル型TFTであり、低温ポリシリコン(LTPS)等の非酸化物半導体からなる第2活性層32を有している。
【0026】
また、TFT基板11の非表示領域17には、CMOS回路としてのCMOSインバータ回路40が、ガラス基板21に直接に形成されている。CMOSインバータ回路40は、
図1〜
図3に示すように、上記駆動回路用TFT42により構成されたpチャネル型TFT42と、IGZO等の酸化物半導体からなる第3活性層33を揺するnチャネル型TFT43とを有している。
【0027】
ここで、CMOSインバータ回路40は、pチャネル型TFT42のゲート電極36と、nチャネル型TFT43のゲート電極37に同じ信号電圧Vinが同時に入力されるようになっている。pチャネル型TFT42のソース電極46には正電源VDDが接続される一方、nチャネル型TFT43のソース電極47は電気的に接地されている。また、pチャネル型TFT42及びnチャネル型TFT43は、共通のドレイン電極45を有しており、このドレイン電極45から信号電圧Voutが出力されるようになっている。
【0028】
次に、TFT基板11の構成について、
図1を参照して詳細に説明する。TFT基板11は透明な絶縁性基板としてのガラス基板21を有している。ガラス基板21の一方の表面には、ベースコート層22が形成されている。ベースコート層22は、例えばSiO
2膜やSiNx膜若しくはSiO
2膜及びSiNx膜を含む積層構造等からなる絶縁膜である。
【0029】
ベースコート層22の表面には、非表示領域17において低温ポリシリコンからなる第2活性層32が所定の形状に形成されている。そして、ベースコート層22上には、第2活性層32を覆うようにゲート絶縁膜23が形成されている。ゲート絶縁膜23は、例えばSiO
2膜等により構成されている。
【0030】
ゲート絶縁膜23の表面には、各TFT41,42,43を構成するゲート電極35,36,37が形成されている。すなわち、画素駆動用TFT41及び駆動回路用TFT42は、互いに同じ層に形成されたゲート電極35,36をそれぞれ有している。
図2に示すように、pチャネル型TFT42のゲート電極36は、nチャネル型TFT43のゲート電極37に並行して延びている。そして、ゲート絶縁膜23上には、各ゲート電極35,36,37を覆うように層間絶縁膜24が形成されている。
【0031】
層間絶縁膜24の表面には、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45が形成されている。ソース電極46及びドレイン電極45は、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に形成されたコンタクトホール29を介して第2活性層32に接続されている。
【0032】
すなわち、画素駆動用TFT41と、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43とは、層間絶縁膜24上に互いに離隔して配置されたソース電極39,47及びドレイン電極38,45を有している。層間絶縁膜24上には、ソース電極39及びドレイン電極38の間に離隔部51が形成されると共に、ソース電極47及びドレイン電極45の間に離隔部53が形成されている。
【0033】
そして、離隔部51と、離隔部51に隣接するソース電極39の一部及びドレイン電極38の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第1活性層31が設けられている。これと同様に、離隔部53と、離隔部53に隣接するソース電極47の一部及びドレイン電極45の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第3活性層33が設けられている。
【0034】
このように、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43は、画素駆動用TFT41におけるソース電極39、ドレイン電極38及び第1活性層31と同じ位置関係にあるソース電極47、ドレイン電極45及び第3活性層33を有している。
【0035】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、CMOSインバータ回路40におけるpチャネル型TFT42の第2活性層32とnチャネル型TFT43の第3活性層33とは、TFT基板11の表面の法線方向から見て互いに重ならないように配置されている。
【0036】
上記層間絶縁膜24の表面には、第1活性層31、第3活性層33、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を覆うようにパッシベーション膜25が形成されている。さらに、このパッシベーション膜25の表面には、平坦化膜27が形成されている。平坦化膜27は、感光性を有する絶縁膜によって構成されている。平坦化膜27の表面には例えばITO等の透明導電膜からなる画素電極26が形成されている。画素電極26は、平坦化膜27及びパッシベーション膜25に形成されたコンタクトホール28を介して画素駆動用TFT41のドレイン電極38に接続されている。
【0037】
−製造方法−
次に、上記液晶表示装置1の製造方法について、
図1、
図5〜
図9を参照して説明する。まず、
図5に示すように、ガラス基板21に形成したベースコート層22の表面に、例えばアモルファスシリコン(以下、a−Siともいう。)膜をPCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)等により例えば50nm程度の厚みに形成する。
【0038】
続いて、a−Si膜をエキシマレーザを用いた光照射によって結晶化させることにより、ポリシリコン(poly−Si)膜を形成する(エキシマレーザアニール法)。次に、ポリシリコン膜の上にレジスト層を形成し、このレジスト層をパターニングマスクとして、ポリシリコン膜をエッチングすることにより、島状の半導体層32を非表示領域17に形成する。
【0039】
次に、
図6に示すように、上記半導体層32を覆うようにゲート絶縁膜23を形成する。ゲート絶縁膜23は、例えば膜厚が50nm〜100nmであるSiO
2膜によって形成する。その後に、必要に応じて半導体層32全体に不純物の注入を行う。
【0040】
続いて、ゲート絶縁膜23の表面にゲート電極35,36,37を形成する。ゲート電極35,36,37は、スパッタ法又はCVD法等によってゲート絶縁膜23の表面に堆積させた導電膜を、フォトリソグラフィ等によって所定形状にパターニングする。このとき、ゲート電極36は、半導体層32のうちチャネル領域となる領域を覆うように形成する。
【0041】
そうして、画素駆動用TFT41のゲート電極35と、駆動回路用TFT42であるpチャネル型TFT42のゲート電極36と、nチャネル型TFT43のゲート電極37とを互いに同じ層に形成する。また、pチャネル型TFT42のゲート電極36を、nチャネル型TFT43のゲート電極37に並行して延びるように形成する。ここで、pチャネル型TFT42は、チャネル型TFT43と共にCMOSインバータ回路40を構成する。
【0042】
その後、ゲート電極36をマスクとして半導体層32に例えばボロンイオン等の不純物イオンを注入し、加熱による活性化処理を行う。こうして、半導体層32に低抵抗化されたソース領域及びドレイン領域を形成することにより、pチャネル型TFT42を構成すると共に非酸化物半導体からなる第2活性層32をTFT基板11の非表示領域17となる領域に形成する。
【0043】
次に、
図7に示すように、ガラス基板21の全体亘って(すなわち、TFT基板11の表示領域16となる領域と非表示領域17となる領域とに亘って)、ゲート絶縁膜23及びゲート電極35,36,37を覆うように、層間絶縁膜24を形成する。
【0044】
続いて、
図8に示すように、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に対し、第2活性層32の上方位置においてコンタクトホール29を形成する。その後、層間絶縁膜24上に形成した導電膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングすることによって、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を形成する。ソース電極46及びドレイン電極45は、コンタクトホール29を介して第2活性層32にそれぞれ接続される。このとき、画素駆動用TFT41を構成するソース電極39及びドレイン電極38を層間絶縁膜24上に互いに離間した状態で形成する。また、nチャネル型TFT43のソース電極47及びドレイン電極45を層間絶縁膜24上に互いに離間した状態で形成する。
【0045】
続いて、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を直接に覆うように、例えば膜厚が30nm〜100nm程度である酸化物半導体膜をスパッタリング法により形成する。次に、この酸化物半導体膜に対し、フォトリソグラフィ及びレジストマスクを用いたエッチングを行うことにより、
図9に示すように、離隔部51とこの離隔部51に隣接するソース電極39の一部及びドレイン電極38の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆う島状の第1活性層31を形成すると共に、離隔部53とこの離隔部53に隣接するソース電極47の一部及びドレイン電極45の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆う島状の第3活性層33を形成する。
【0046】
すなわち、第3活性層33は、第1活性層31と同じ酸化物半導体からなる。また、第1活性層31は、TFT基板11の表示領域16となる領域に形成する。一方、第3活性層33は、TFT基板11の非表示領域17となる領域に形成する。そして、この工程では、第3活性層33をTFT基板11の表面の法線方向から見て第2活性層32に重ならないように形成する。
【0047】
このようにして、ゲート電極36のガラス基板21側に低温ポリシリコンの第2活性層32が配置されたpチャネル型TFT(駆動回路用TFT)42と、ゲート電極35,37のガラス基板21と反対側に酸化物半導体の第1活性層31又は第3活性層33が配置された画素駆動用TFT41及びnチャネル型TFT43とを、同一のガラス基板21上に形成することができる。
【0048】
次に、上記第1活性層31及び第3活性層33を覆うようにパッシベーション膜25を形成し、続いて、このパッシベーション膜25の表面に平坦化膜27を形成する。その後、画素駆動用TFT41におけるドレイン電極38の上方位置において、パッシベーション膜25及び平坦化膜27にコンタクトホール28を形成する。続いて、平坦化膜27の表面に堆積させたITO等の透明導電膜をフォトリソグラフィによって所定形状にパターニングすることにより、画素電極26を形成する。
【0049】
そうして、画素電極26を覆うように配向膜(不図示)を形成し、TFT基板11を製造する。そして、TFT基板11と、別途形成しておいた対向基板12とを液晶層13及び枠状のシール部材14を介して互いに貼り合わせることにより、液晶表示パネル10を製造する。さらに、液晶表示パネル10におけるTFT基板11側にバックライトユニット20を対向配置させて、液晶表示装置1を製造する。
【0050】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、表示領域16において画素駆動用TFT41の第1活性層31をIGZO等の酸化物半導体によって構成したので、その画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減できる結果、他の回路機能を追加する必要がなくなり、開口率を大幅に高めることができる。さらに、非表示領域17において駆動回路用TFT(nチャネル型TFT)42の第2活性層32を非酸化物半導体である低温ポリシリコンによって構成したので、その閾値電圧を低くして高速駆動させることが可能になる。よって、周辺回路であるCMOSインバータ回路40と画素駆動用TFT41とを、ガラス基板21に一体に形成すると共に、その駆動回路用TFT42の信頼性を高めながら、画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減できることとなる。
【0051】
しかも、画素駆動用TFT41のソース電極39及びドレイン電極38の各一部を、当該ソース電極39及びドレイン電極38が配置されている層間絶縁膜24と反対側から第1活性層31によって覆う構成としたので、第1活性層31上にエッチングストッパ層を形成する必要がない。これと同様に、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43のソース電極47及びドレイン電極45の各一部を層間絶縁膜24と反対側から第3活性層33を覆うようにしたので、第3活性層33上にもエッチングストッパ層を設ける必要がない。よって、製造時に要するマスク枚数を減少させて製造コストを低減しながらも、ソース電極39,47等を形成する際のエッチングによる第1活性層31及び第3活性層33へのダメージを回避して、画素駆動用TFT41及びnチャネル型TFT43の電気特性を高めることができる。
【0052】
さらに、画素駆動用TFT41の第1活性層31と同じ酸化物半導体によって同時に形成した第3活性層33を有するnチャネル型TFT43と、低温ポリシリコンからなる第2活性層32を有するpチャネル型TFT42とによって、CMOSインバータ回路40を構成することができる。
【0053】
ここで、CMOSインバータ回路40を構成するnチャネル型TFTについて、従来のようにその活性層を低温ポリシリコンによって構成すれば、高速動作させるためにLDD(Lighty Doped Dorain)構造を形成する必要があり、製造工程が増加する問題がある。これに対し、本実施形態では、CMOSインバータ回路40を構成するnチャネル型TFT43について、酸化物半導体によって第3活性層33を形成するようにしたので、当該CMOSインバータ回路40の製造工程を減少させながらもその動作を高速化することができる。
【0054】
また、従来から知られているCMOSインバータ回路は、当該回路を構成するnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTが、それぞれ低温ポリシリコン(LTPS)等の非酸化物半導体からなる活性層を有している。そして、各活性層は、同じ層において互いに隣り合って配置されている。本実施形態では、CMOSインバータ回路40について、nチャネル型TFT43の第3活性層33を、TFT基板11の表面の法線方向から見て、pチャネル型TFT42の第2活性層32と重ねないように配置しており、従来の活性層がそれぞれLTPSからなるnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTを有するCMOSインバータ回路と同じ程度の占有面積で、CMOSインバータ回路40を形成することができる。
【0055】
《発明の実施形態2》
図10〜
図13は、本発明の実施形態2を示している。
【0056】
図10は、本実施形態2におけるTFT基板の構造を示す断面図である。
図11は、本実施形態2におけるCMOSインバータ回路を示す平面図である。
図12は、複数のゲート電極が形成されたガラス基板を示す断面図である。
図13は、複数の酸化物半導体層が形成されたガラス基板を示す断面図である。
【0057】
尚、以降の各実施形態では、
図1〜
図9と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態2は、上記実施形態1においてCMOSインバータ回路40の構成を変更したものである。すなわち、上記実施形態1では、TFT基板11の表面の法線方向から見てnチャネル型TFT43の第3活性層33がpチャネル型TFT42の第2活性層32と重ならないように配置したのに対し、本実施形態2では、
図10に示すように、第3活性層33をTFT基板11の表面の法線方向から見て第2活性層32に重なるように配置した。そして、pチャネル型TFT42及びnチャネル型TFT43は、共通のゲート電極36を有している。
【0059】
すなわち、上記実施形態1と同様に、TFT基板11は透明な絶縁性基板としてのガラス基板21を有している。ガラス基板21の一方の表面には、ベースコート層22が形成されている。ベースコート層22の表面には、非表示領域17において低温ポリシリコンからなる第2活性層32が所定の形状に形成されている。そして、ベースコート層22上には、第2活性層32を覆うようにゲート絶縁膜23が形成されている。ゲート絶縁膜23は、例えばSiO
2膜等により構成されている。
【0060】
ゲート絶縁膜23の表面には、各TFT41,42,43を構成するゲート電極35,36が形成されている。すなわち、画素駆動用TFT41及び駆動回路用TFT42は、互いに同じ層に形成されたゲート電極35,36をそれぞれ有している。
図10及び
図11に示すように、pチャネル型TFT42のゲート電極36は、nチャネル型TFT43のゲート電極36と同じである。そして、ゲート絶縁膜23上には、各ゲート電極35,36を覆うように層間絶縁膜24が形成されている。
【0061】
層間絶縁膜24の表面には、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45が形成されている。ソース電極46及びドレイン電極45は、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に形成されたコンタクトホール29を介して第2活性層32に接続されている。
【0062】
すなわち、画素駆動用TFT41と、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43とは、層間絶縁膜24上に互いに離隔して配置されたソース電極39,47及びドレイン電極38,45を有している。層間絶縁膜24上には、ソース電極39及びドレイン電極38の間に離隔部51が形成されると共に、ソース電極47及びドレイン電極45の間に離隔部53が形成されている。
【0063】
そして、離隔部51と、離隔部51に隣接するソース電極39の一部及びドレイン電極38の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第1活性層31が設けられている。これと同様に、離隔部53と、離隔部53に隣接するソース電極47の一部及びドレイン電極45の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第3活性層33が設けられている。
【0064】
上記層間絶縁膜24の表面には、第1活性層31、第3活性層33、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を覆うようにパッシベーション膜25が形成されている。さらに、このパッシベーション膜25の表面には、平坦化膜27が形成されている。平坦化膜27の表面には例えばITO等の透明導電膜からなる画素電極26が形成されている。画素電極26は、平坦化膜27及びパッシベーション膜25に形成されたコンタクトホール28を介して画素駆動用TFT41のドレイン電極38に接続されている。
【0065】
−製造方法−
上記液晶表示装置1を製造する場合には、まず、
図12に示すように、ガラス基板21に形成したベースコート層22の表面に、例えばa−Si膜をPCVD等により例えば50nm程度の厚みに形成する。続いて、エキシマレーザアニール法により、a−Si膜からポリシリコン膜を形成する。次に、ポリシリコン膜をエッチングすることにより、島状の半導体層32を非表示領域17に形成する。
【0066】
次に、上記半導体層32を覆うようにゲート絶縁膜23を形成する。ゲート絶縁膜23は、例えば膜厚が50nm〜100nmであるSiO
2膜によって形成する。その後に、必要に応じて半導体層32全体に不純物の注入を行う。続いて、スパッタ法又はCVD法等によってゲート絶縁膜23の表面に堆積させた導電膜を、フォトリソグラフィ等によって所定形状にパターニングすることにより、ゲート電極35,36を形成する。ゲート電極36は、pチャネル型TFT42及びnチャネル型TFT43に共通のゲート電極である。その後、ゲート電極36をマスクとして半導体層32に例えばボロンイオン等の不純物イオンを注入し、加熱による活性化処理を行うことにより、第2活性層32を形成する。
【0067】
次に、
図13に示すように、ガラス基板21の全体亘って、ゲート絶縁膜23及びゲート電極35,36を覆うように、層間絶縁膜24を形成する。続いて、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に対し、第2活性層32の上方位置においてコンタクトホール29を形成する。その後、層間絶縁膜24上に形成した導電膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングすることによって、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を形成する。
【0068】
このとき、nチャネル型TFT43のソース電極47の一部及びドレイン電極45の一部が、第2活性層32に重なるようにする。そうして、ソース電極46及びドレイン電極45は、コンタクトホール29を介して第2活性層32にそれぞれ接続される。
【0069】
続いて、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を直接に覆うように、例えば膜厚が30nm〜100nm程度である酸化物半導体膜をスパッタリング法により形成する。次に、この酸化物半導体膜に対し、フォトリソグラフィ及びレジストマスクを用いたエッチングを行うことにより、
図13に示すように、離隔部51,53をそれぞれ覆う島状の第1活性層31及び第3活性層33を形成する。このとき、第3活性層33を、TFT基板11の表面の法線方向から見て第2活性層32に重なるように形成する。
【0070】
次に、上記第1活性層31及び第3活性層33を覆うようにパッシベーション膜25を形成し、続いて、このパッシベーション膜25の表面に平坦化膜27を形成する。その後、画素駆動用TFT41におけるドレイン電極38の上方位置において、パッシベーション膜25及び平坦化膜27にコンタクトホール28を形成する。続いて、平坦化膜27の表面に堆積させたITO等の透明導電膜をフォトリソグラフィによって所定形状にパターニングすることにより、画素電極26を形成する。こうして、TFT基板11を製造する。
【0071】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によっても、上記実施形態1と同様に、第1活性層31をIGZO等の酸化物半導体によって構成したので、画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減でき、開口率を大幅に高めることができる。さらに、駆動回路用TFT(nチャネル型TFT)42の第2活性層32を低温ポリシリコンによって構成したので、その閾値電圧を低くして高速駆動させることが可能になる。よって、周辺回路であるCMOSインバータ回路40と画素駆動用TFT41とを、ガラス基板21に一体に形成すると共に、その駆動回路用TFT42の信頼性を高めながら、画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減できることとなる。
【0072】
しかも、画素駆動用TFT41のソース電極39及びドレイン電極38の各一部を、当該ソース電極39及びドレイン電極38が配置されている層間絶縁膜24と反対側から第1活性層31によって覆う構成とし、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43のソース電極47及びドレイン電極45の各一部を層間絶縁膜24と反対側から第3活性層33を覆う構成としたので、第1活性層31上及び第3活性層33上のそれぞれにエッチングストッパ層を形成する必要がない。よって、製造時に要するマスク枚数を減少させて製造コストを低減しながらも、ソース電極39,47等を形成する際のエッチングによる第1活性層31及び第3活性層33へのダメージを回避して、画素駆動用TFT41及びnチャネル型TFT43の電気特性を高めることができる。
【0073】
さらに、CMOSインバータ回路40を構成するnチャネル型TFT43について、酸化物半導体によって第3活性層33を形成するようにしたので、LDD構造を有する低温ポリシリコンの活性層を有する従来の構成に比べて、当該CMOSインバータ回路40の製造工程を減少させながらもその動作を高速化することができる。
【0074】
さらにまた、本実施形態では、CMOSインバータ回路40について、nチャネル型TFT43の第3活性層33を、TFT基板11の表面の法線方向から見て、pチャネル型TFT42の第2活性層32と重ねて配置したので、その専有面積を小さくしてCMOSインバータ回路40を小型化することができる。
【0075】
《発明の実施形態3》
図14〜
図18は、本発明の実施形態3を示している。
【0076】
図14は、本実施形態3におけるTFT基板の構造を示す断面図である。
図15は、
図16におけるXV−XV線断面の概略構成を示す断面図である。
図16は、本実施形態3におけるCMOSインバータ回路を示す平面図である。
図17は、複数のゲート電極が形成されたガラス基板を示す断面図である。
図18は、複数の酸化物半導体層が形成されたガラス基板を示す断面図である。
【0077】
本実施形態3は、上記実施形態1においてCMOSインバータ回路40の構成を変更したものである。すなわち、本実施形態3は、TFT基板11の表面の法線方向から見てnチャネル型TFT43の第3活性層33がpチャネル型TFT42の第2活性層32と重ならない点で、上記実施形態1と同様である。
【0078】
しかし、実施形態1ではCMOSインバータ回路40のゲート電極36,37が互いに並行して延びるように形成されていたのに対し、本実施形態3では、pチャネル型TFT42のゲート電極36は、nチャネル型TFT43のゲート電極36と互いに接続されて直線状に延びるように形成されている点で、相違している。
【0079】
すなわち、上記実施形態1と同様に、TFT基板11は透明な絶縁性基板としてのガラス基板21を有している。ガラス基板21の一方の表面には、ベースコート層22が形成されている。ベースコート層22の表面には、非表示領域17において低温ポリシリコンからなる第2活性層32が所定の形状に形成されている。そして、ベースコート層22上には、第2活性層32を覆うようにゲート絶縁膜23が形成されている。ゲート絶縁膜23は、例えばSiO
2膜等により構成されている。
【0080】
ゲート絶縁膜23の表面には、各TFT41,42,43を構成するゲート電極35,36が形成されている。すなわち、画素駆動用TFT41及び駆動回路用TFT42は、互いに同じ層に形成されたゲート電極35,36をそれぞれ有している。
図14〜
図16に示すように、pチャネル型TFT42のゲート電極36は、nチャネル型TFT43のゲート電極36と共通化されている。そして、ゲート絶縁膜23上には、各ゲート電極35,36を覆うように層間絶縁膜24が形成されている。
【0081】
層間絶縁膜24の表面には、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45が形成されている。ソース電極46及びドレイン電極45は、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に形成されたコンタクトホール29を介して第2活性層32に接続されている。
【0082】
すなわち、画素駆動用TFT41と、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43とは、層間絶縁膜24上に互いに離隔して配置されたソース電極39,47及びドレイン電極38,45を有している。層間絶縁膜24上には、ソース電極39及びドレイン電極38の間に離隔部51が形成されると共に、ソース電極47及びドレイン電極45の間にも離隔部(図示省略)が形成されている。
【0083】
そして、離隔部51と、離隔部51に隣接するソース電極39の一部及びドレイン電極38の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第1活性層31が設けられている。これと同様に、ソース電極47及びドレイン電極45の間の離隔部と、この離隔部に隣接するソース電極47の一部及びドレイン電極45の一部とを層間絶縁膜24と反対側から覆うように、酸化物半導体からなる第3活性層33が設けられている。
【0084】
第3活性層33は、TFT基板11の表面の法線方向から見て、第2活性層32に対してゲート電極36が延びる方向に互いにずれて配置され、互いに重ならないようになっている。
【0085】
上記層間絶縁膜24の表面には、第1活性層31、第3活性層33、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を覆うようにパッシベーション膜25が形成されている。さらに、このパッシベーション膜25の表面には、平坦化膜27が形成されている。平坦化膜27の表面には例えばITO等の透明導電膜からなる画素電極26が形成されている。画素電極26は、平坦化膜27及びパッシベーション膜25に形成されたコンタクトホール28を介して画素駆動用TFT41のドレイン電極38に接続されている。
【0086】
−製造方法−
上記液晶表示装置1を製造する場合には、まず、
図17に示すように、ガラス基板21に形成したベースコート層22の表面に、例えばa−Si膜をPCVD等により例えば50nm程度の厚みに形成する。続いて、エキシマレーザアニール法により、a−Si膜からポリシリコン膜を形成する。次に、ポリシリコン膜をエッチングすることにより、島状の半導体層32を非表示領域17に形成する。
【0087】
次に、上記半導体層32を覆うようにゲート絶縁膜23を形成する。ゲート絶縁膜23は、例えば膜厚が50nm〜100nmであるSiO
2膜によって形成する。その後に、必要に応じて半導体層32全体に不純物の注入を行う。続いて、スパッタ法又はCVD法等によってゲート絶縁膜23の表面に堆積させた導電膜を、フォトリソグラフィ等によって所定形状にパターニングすることにより、ゲート電極35,36を形成する。このとき、pチャネル型TFT42のゲート電極36を、nチャネル型TFT43のゲート電極37と互いに接続して直線状に延びるように形成する。
【0088】
その後、ゲート電極36をマスクとして半導体層32に例えばボロンイオン等の不純物イオンを注入し、加熱による活性化処理を行うことにより、第2活性層32を形成する。
【0089】
次に、
図18に示すように、ガラス基板21の全体亘って、ゲート絶縁膜23及びゲート電極35,36を覆うように、層間絶縁膜24を形成する。続いて、層間絶縁膜24及びゲート絶縁膜23に対し、第2活性層32の上方位置においてコンタクトホール29を形成する。その後、層間絶縁膜24上に形成した導電膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングすることによって、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を形成する。そうして、ソース電極46及びドレイン電極45は、コンタクトホール29を介して第2活性層32にそれぞれ接続される。
【0090】
続いて、ソース電極39,46,47及びドレイン電極38,45を直接に覆うように、例えば膜厚が30nm〜100nm程度である酸化物半導体膜をスパッタリング法により形成する。次に、この酸化物半導体膜に対し、フォトリソグラフィ及びレジストマスクを用いたエッチングを行うことにより、
図18に示すように、離隔部51又はソース電極47及びドレイン電極45の間の離隔部を覆う島状の第1活性層31及び第3活性層33を形成する。
【0091】
次に、上記第1活性層31及び第3活性層33を覆うようにパッシベーション膜25を形成し、続いて、このパッシベーション膜25の表面に平坦化膜27を形成する。その後、画素駆動用TFT41におけるドレイン電極38の上方位置において、パッシベーション膜25及び平坦化膜27にコンタクトホール28を形成する。続いて、平坦化膜27の表面に堆積させたITO等の透明導電膜をフォトリソグラフィによって所定形状にパターニングすることにより、画素電極26を形成する。こうして、TFT基板11を製造する。
【0092】
−実施形態3の効果−
したがって、この実施形態3によっても、上記実施形態1と同様に、第1活性層31をIGZO等の酸化物半導体によって構成したので、画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減でき、開口率を大幅に高めることができる。さらに、駆動回路用TFT(nチャネル型TFT)42の第2活性層32を低温ポリシリコンによって構成したので、その閾値電圧を低くして高速駆動させることが可能になる。よって、周辺回路であるCMOSインバータ回路40と画素駆動用TFT41とを、ガラス基板21に一体に形成すると共に、その駆動回路用TFT42の信頼性を高めながら、画素駆動用TFT41のオフリーク電流を大幅に低減できることとなる。
【0093】
しかも、画素駆動用TFT41のソース電極39及びドレイン電極38の各一部を、当該ソース電極39及びドレイン電極38が配置されている層間絶縁膜24と反対側から第1活性層31によって覆う構成とし、CMOSインバータ回路40のnチャネル型TFT43のソース電極47及びドレイン電極45の各一部を層間絶縁膜24と反対側から第3活性層33を覆う構成としたので、第1活性層31上及び第3活性層33上のそれぞれにエッチングストッパ層を形成する必要がない。よって、製造時に要するマスク枚数を減少させて製造コストを低減しながらも、ソース電極39,47等を形成する際のエッチングによる第1活性層31及び第3活性層33へのダメージを回避して、画素駆動用TFT41及びnチャネル型TFT43の電気特性を高めることができる。
【0094】
さらに、CMOSインバータ回路40を構成するnチャネル型TFT43について、酸化物半導体によって第3活性層33を形成するようにしたので、LDD構造を有する低温ポリシリコンの活性層を有する従来の構成に比べて、当該CMOSインバータ回路40の製造工程を減少させながらもその動作を高速化することができる。
【0095】
《その他の実施形態》
上記実施形態1〜3では、CMOSインバータ回路40を有する表示装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、NAND回路、AND回路、NOR回路、OR回路、シフトレジスタ回路、サンプリング回路、D/Aコンバータ回路、A/Dコンバータ回路、ラッチ回路、又はバッファ回路等を有する他のCMOS回路を有する表示装置についても同様に適用することが可能である。
【0096】
また、酸化物半導体の他の例としては、InGaO
3(ZnO)
5、MgxZn
1−xO(酸化マグネシウム亜鉛)、CdZn
1−xO(酸化カドミウム亜鉛)、CdO(酸化カドミウム)、又はa−IGZO(In−Ga−Zn−O系のアモルファス酸化物半導体)等を挙げることができる。また、1族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び17族元素のうち1種類又は複数種類の不純物元素が添加されたZnOの非晶質(アモルファス)状態、多結晶状態又は非晶質状態及び多結晶質状態が混在した微結晶状態のもの、又は不純物元素が添加されていないものを用いることも可能である。
【0097】
また、非酸化物半導体は低温ポリシリコン以外の他のシリコン等の半導体であってもよい。
【0098】
上記実施形態1〜3では液晶表示装置について本発明を説明したが、本発明は例えば有機EL表示装置等の他の表示装置についても同様に適用することができる。
【0099】
また、本発明は上記実施形態1〜3に限定されるものでなく、本発明には、これらの実施形態1〜3を適宜組み合わせた構成が含まれる。