(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215060
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】タイヤ成型用押圧ロール、タイヤ成型装置及びタイヤ成型方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/26 20060101AFI20171005BHJP
【FI】
B29D30/26
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-3896(P2014-3896)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-131428(P2015-131428A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】春日井 大
(72)【発明者】
【氏名】高久 和彦
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 佳史
【審査官】
鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/103688(WO,A1)
【文献】
特開2006−159813(JP,A)
【文献】
実開昭59−83833(JP,U)
【文献】
特開2008−87375(JP,A)
【文献】
特開2005−238478(JP,A)
【文献】
特開平6−55663(JP,A)
【文献】
米国特許第5975179(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持軸に軸方向に沿って配列されて支持される複数の押圧体を備えるタイヤ成型用押圧ロールであって、
前記押圧体は、成型ドラムの外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材の表面に当接する当接部と、前記当接部の内側に配置されるとともに前記支持軸に軸支される軸支部と、前記当接部と前記軸支部との間を連結するとともに弾性変形可能に形成され、曲線状に形成されている連結部とを備え、
前記連結部は、渦巻き状に形成されているとともに径方向の幅が内側から外側に行くに従い広くなるように形成されているタイヤ成型用押圧ロール。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤ成型用押圧ロールにおいて、
前記連結部は、径方向に隣接する部分の間隙が内側から外側に行くに従い広くなるように設定されているタイヤ成型用押圧ロール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたタイヤ成型用押圧ロールにおいて、
複数配列された前記押圧体の少なくとも一部は、前記連結部の弾性係数が異なっているタイヤ成型用押圧ロール。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたタイヤ成型用押圧ロールにおいて、
複数配列された前記押圧体の両端部には、前記押圧体の軸方向の移動を規制するストッパが前記支持軸に設けられているタイヤ成型用押圧ロール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたタイヤ成型用押圧ロールと、外周面にタイヤ構成部材を巻き付ける成型ドラムとを備えているタイヤ成型装置。
【請求項6】
成型ドラムの外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材に対して支持軸に軸方向に沿って配列された複数の押圧体により押圧してタイヤ構成部材同士を密着させる工程を備えたタイヤ成型方法であって、
前記工程では、前記押圧体の当接部を前記タイヤ構成部材の表面に当接させ、前記支持軸に軸支される前記押圧体の軸支部と前記当接部とを連結する曲線状に形成された連結部を弾性変形させ、前記連結部の弾性変形により前記当接部を前記タイヤ構成部材に押圧して、前記タイヤ構成部材同士を密着させ、
前記連結部を渦巻き状に形成するとともに径方向の幅が内側から外側に行くに従い広くなるように形成するタイヤ成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ構成部材を成型するための成型ドラムの外周に巻き付けられたタイヤ構成部材の外周面を押圧して、タイヤ構成部材同士を密着させるタイヤ成型用押圧ロール、このタイヤ成型用押圧ロールと成型ドラムとを備えたタイヤ成型装置及びタイヤ成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤを成型する工程では、成型ドラムにタイヤ構成部材を巻き付けて押圧ロールやステッチングロールを用いて密着させることが行われている。例えば、特許文献1には、ステッチングロールを成型ドラムの外周面の周方向に間隔をあけ、軸方向にオーバーラップする状態でタイヤ構成部材の表面を押圧することで、タイヤ構成部材の表面の凹凸、傾斜又は曲面がある場合でも十分なステッチングするようにした点が記載されている。
【0003】
成型ドラムにタイヤ構成部材を巻き付けて押圧ロールにより密着させる場合、押圧ロールは、回動軸を成型ドラムの軸方向に沿って配置し、成型ドラムの外周面の全幅にわたって押圧ロールを圧接させることで、巻き付けたタイヤ構成部材を密着させるようにしている。押圧ロールとしては、例えば柔軟性を有するゴム、スポンジ等の素材を円柱状に形成したロールを用いて、中心軸を回動軸として成型ドラムに密着させるように構成したものが用いられている。
【0004】
図8は、従来の柔軟性を有する押圧ロールの押圧動作に関する説明図である。ウレタンゴム製のロール本体100は、円柱状に形成されており、その中心軸に沿って回動軸101が設けられている。回動軸101の両端部は、回動可能に軸支されている。ロール本体100は、成型ドラム200の外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材201に対向配置されており、回動軸101は、成型ドラム200の回動軸(図示せず)に並行配置されている。押圧動作を行う場合には、
図8Bに示すように、ロール本体100をタイヤ構成部材201に向かって移動させて圧接させる。ロール本体100は、タイヤ構成部材201に圧接されることで、表面がタイヤ構成部材201の凹凸形状に合わせて変形する。
【0005】
こうした柔軟性を有する押圧ロールを用いた場合、タイヤ構成部材の表面の凹凸形状が大きく変化しているときには、押圧ロールの形状追従性が不十分となって、
図8Bに示すように、谷部分の押圧力が不足する。押圧力が不足する部分では、タイヤ構成部材を十分密着させることができず、空気が残留してしまい、製品の不良が生じるおそれがある。そこで、押圧力の不足を解消するために、押圧ロールのロール本体の材質を硬度の低い素材を用いることが考えられるが、タイヤ構成部材の凹凸形状の山部分に押圧力が集中して谷部分への押圧力が不十分となる。また、低い硬度の素材を押圧ロールに用いると、摩耗しやすくなって押圧ロールの寿命が短くなり、製造コストの負担が大きくなる。
【0006】
柔軟性を有する押圧ロール以外にも、細幅で円形リング状の押圧体を支持軸に多数配列して構成したマコロールが用いられている。
図9は、従来のマコロールの押圧動作に関する説明図である。マコロールは、細幅の円形リングからなる押圧体110を押圧ロールの軸方向に多数配列して、内側に棒状の支持軸111を貫通させて回動可能に支持されている。支持軸111は、成型ドラム200の上方に配置されており、成型ドラム200に対して接近又は離間するように移動可能に設けられている。
【0007】
成型ドラム200の外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材201に対して、支持軸111を下方に移動させて押圧体110をタイヤ構成部材201に当接させた場合、
図9Bに示すように、タイヤ構成部材201の表面の凹凸形状に合わせて押圧体110が上下に移動して押圧状態となる。押圧状態では、押圧体110の荷重がタイヤ構成部材201に加わることで、タイヤ構成部材201を密着した状態にする。
【0008】
マコロールにおいて、タイヤ構成部材201の表面の凹凸形状が大きく変化する場合には、タイヤ構成部材201に対する形状追従性を向上させるために、押圧体110の厚さ(支持軸111方向の長さ)を薄くする必要がある。例えば、巻き付けられたタイヤ構成部材の周方向に、2つの隣接する山部分の間に幅の狭い谷部分が形成されている場合には、押圧体の当接面が谷部分の底に当接するだけの薄い厚さに形成されていないと、谷部分の底に十分な荷重が印加されずに浮いたままの状態となって空気が残留することになる。
【0009】
しかしながら、押圧体110の厚さを薄くした場合、その分押圧体110の荷重が小さくなる。押圧体として機能させるためには、押圧体110の径を大きく設定して荷重を大きくしなければならない。押圧体110の径が大きくなると、マコロールのサイズが大きくなるため、タイヤ成型装置全体を大型化することが必要となって、装置コストや装置の設置スペースが増加することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−223223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、成型ドラムの外周に巻き付けたタイヤ構成部材同士を確実に密着させることができるタイヤ成型用押圧ロール、タイヤ成型装置及びタイヤ成型方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るタイヤ成型用押圧ロールは、支持軸に軸方向に沿って配列されて支持される複数の押圧体を備えるタイヤ成型用押圧ロールであって、前記押圧体は、成型ドラムの外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材の表面に当接する当接部と、前記当接部の内側に配置されるとともに前記支持軸に軸支される軸支部と、前記当接部と前記軸支部との間を連結するとともに弾性変形可能に形成され
、曲線状に形成されている連結部とを備えている。
前記連結部は、渦巻き状に形成されているとともに径方向の幅が内側から外側に行くに従い広くなるように形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、当接部と軸支部との間に弾性変形可能な連結部を備えることで、連結部の弾性変形により生じる付勢力で当接部をタイヤ構成部材に押圧させてタイヤ構成部材同士を確実に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るタイヤ成型用押圧ロールに用いられる押圧体の正面図及び側面図である。
【
図2】当接部がタイヤ構成部材に対して押圧状態となった場合を示す説明図である。
【
図3】連結部を2重に渦巻き状に形成した押圧体に関する正面図である。
【
図4】連結部を複数本で放射状に形成した押圧体に関する正面図である。
【
図5】連結部を複数本で放射状に形成した押圧体に関する正面図である。
【
図6】樹脂材料及び金属材料で構成した押圧体の分解斜視図である。
【
図7】複数枚の押圧体を軸方向に配列したタイヤ成型用押圧ロールの概略構成図及び押圧体の動作説明図である。
【
図8】従来の柔軟性を有する押圧ロールの押圧動作に関する説明図である。
【
図9】従来のマコロールの押圧動作に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタイヤ成型用押圧ロールに用いられる押圧体の正面図(
図1A)及び側面図(
図1B)である。押圧体1は、成型ドラムの外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材の表面に当接する、細幅でリング状の当接部1a、当接部1aの内側に配置されるとともに支持軸に軸支される細幅で円形状の軸支部1b、及び、当接部1aと軸支部1bとの間を連結するとともに弾性変形可能に形成された連結部1cを備えている。
【0016】
この実施形態では、連結部1cは、細幅で渦巻き状となるように曲線状に形成されており、当接部1a及び軸支部1bと一体形成されている。ここで、曲線状の形状には、所定の曲率を有する円弧状に形成された形状を含む。当接部1aは、円形状に形成されて外周面がタイヤ構成部材に当接しながら転動して押圧するようになっており、当接部1aの外周面の幅(当接部1aの厚さ)がタイヤ構成部材の凹凸形状に合わせて適宜設定されるようになっている。
【0017】
図2は、当接部1aがタイヤ構成部材に対して押圧状態となった場合を示す説明図である。
図2に示すように、連結部1cが径方向に弾性変形して当接部1aが軸支部1bに接近するように変位し、連結部1cの弾性変形により生じる付勢力が当接部1aの外周面に加わってタイヤ構成部材を押圧する。そのため、タイヤ構成部材の表面の凹凸形状に合わせて当接部1aの外周面の幅を狭く設定した場合でも、当接部1aにより所定の押圧力がタイヤ構成部材に印加され、タイヤ構成部材を確実に密着させることができる。また、連結部1cの弾性変形により所定の押圧力が付加されるため、押圧体1の大きさを小さくすることが可能となる。そのため、タイヤ成型用押圧ロールのサイズを小さくすることが可能となり、タイヤ成型装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
当接部1aによるタイヤ構成部材への押圧力は、連結部1cの形状を変化させることで調整することができる。例えば、
図3に示すように、連結部1c’を2重の渦巻き状に形成することで、連結部1c’の剛性を高めることができる。タイヤ構成部材の凹凸形状の谷部分が狭く深い場合でも、連結部の剛性を高めた押圧体1により当接部1aを谷部分に押し込むことで、谷部分の底に対してもタイヤ構成部材を確実に密着させることが可能となる。
【0019】
連結部の形状を設計する場合には、弾性変形した際の荷重が1箇所に集中せずに連結部全体で支えるような構造にすることが望ましい。押圧体1の当接部1aを内側に向かって変位させるように荷重が加わった場合、連結部の内側よりも外側の方が負荷が大きくなる。そのため、
図3に示すように、連結部1c’の径方向の幅は、内側から外側に行くに従い広くなるように形成して強度を高めるとともに、内側から外側に行くに従い径方向に隣接する部分の間隙が広くなるように設定して、外側部分で変形が大きくなった場合でも、連結部1c’同士が接触しないようにしている。
【0020】
このように連結部1c’の幅や間隙を設定することで、連結部1c’が内側から外側にかけて全体的に一様に変形するようにして、その耐久性を高めることができ、回動角度による押圧力のバラツキを小さくすることができる。また、負荷が集中する連結部1c’の当接部1a又は軸支部1bとの接続部分は、広幅に設定して径方向に対してできるだけ傾斜させて負荷が集中しないように設定する。
【0021】
図1及び
図3では、連結部を渦巻き状に形成しているが、連結部を複数本で放射状に形成することもできる。
図4及び
図5は、連結部を複数本で放射状に形成した例を示す正面図である。
図4に示す押圧体2では、リング状の当接部2aを、連結部2cを介して軸支部2bと連結しており、連結部2cは、複数本の曲線状のスポーク形状に形成している。この実施形態では、連結部2cを複数本で形成することで、剛性を高めることができ、本数を増加させれば、さらに高剛性とすることが可能となる。また、連結部2cを曲線状に形成することで、連結部2cの弾性率を容易に精度よく設定することができる。また、連結部2cの当接部2a又は軸支部2bとの接続部分を径方向に対してできるだけ傾斜させて広幅に設定することで、接続部分に負荷が集中しないようになっている。
【0022】
図5に示す押圧体3では、軸支部3bから複数本の曲線状で細幅の羽根部3cを外側に向かって放射状に突出させており、羽根部3cの先端部分3aがタイヤ構成部材を押圧する当接部3aとなっている。この実施形態では、リング状の当接部を備えていないが、複数の先端部分3aが回動しながらタイヤ構成部材に接触することで押圧状態に設定することができる。また、タイヤ構成部材の表面の凹凸形状に合わせて羽根部3cの先端部分3aと軸支部3bとの間の部分の剛性を高めることで、連結部と同様に弾性変形して所定の押圧力を得るように設定することができる。
【0023】
以上説明したように、連結部を渦巻き状又は放射状に形成することで、当接部に加わる荷重とその変位量との間に線形性を有するように設計可能となり、押圧体の回動角度によるバラツキも小さくすることができる。そのため、押圧体によるタイヤ構成部材への押圧力を精度よく設定することができ、タイヤ構成部材の部位毎に異なる押圧力を与えるように設定することも可能となる。
【0024】
押圧体に用いられる材料としては、一体成形可能で量産化しやすい樹脂材料が好ましい。具体的には、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)といった樹脂材料が挙げられる。樹脂材料は、押圧体に必要な変位量及び押圧力に基づいて適宜選択することができる。樹脂材料を用いて成形加工する場合、精度を維持して厚さを薄くすることができるため、従来のマコロールに用いられている金属材料の押圧体に比べて軽量化しやすく当接部の外周面の幅を狭くすることが可能で、押圧体の厚さをタイヤ構成部材に合わせて精度よく設定することもできる。
【0025】
例えば、POMを用いて一体成形する場合、押圧体の厚さを1mm〜5mmで精度よく成型することができる。厚さを薄くした場合でも連結部の径方向の弾性係数を25g/mm〜75g/mmに設定することが可能で、タイヤ構成部材の表面形状にきめ細かく対応できる押圧体が得られる。
また、樹脂材料及び金属材料を組み合せて押圧体を構成してもよい。例えば、
図6に示すように、押圧体4の外周囲の幅を狭く設定する当接部4aには樹脂材料を用いてリング状に成形加工し、連結部4c及び軸支部4bには弾性力の大きい金属材料を用いて曲線状に機械加工し、当接部4aの内側に連結部4c及び軸支部4bを嵌め込んで押圧体4を構成することができる。得られた押圧体4は、小さいサイズで当接部の外周面の幅を狭く設定するとともに弾性力を大きくすることができる。
なお、連結部4c及び軸支部4bは、それぞれリング状に形成された金属材料を、軸支部4bの周りに連結部4cを図示例では2つ同心円状に配置し、金属材料でできた湾曲した連結片4c(1)、4c(2)を例えば溶着などの適宜の手段で取り付けて一体化した構造である。また、連結部4cを当接部4aに嵌め込むため、連結部4cの外周には突部4c(3)が、また、当接部4aには、突部4c(3)を嵌合する切欠溝4a(1)が設けられており、当接部の弾力を利用して両者を嵌合する。
【0026】
図7は、複数枚の押圧体1を軸方向に配列したタイヤ成型用押圧ロール10に関する概略構成図(
図7A)、及び押圧体1の動作説明図(
図7B)である。タイヤ成型用押圧ロール10は、複数枚の押圧体1を厚さ方向に重ね合せて各押圧体1の軸支部に棒状の支持軸11を貫通させて構成されている。押圧体1は、連結部の弾性係数が異なる3つのグループ12〜14からなり、グループ12は、タイヤ構成部材21の表面の凹凸形状の変化が大きい部位に対応するため弾性係数が小さく当接部の外周面の幅を凹凸形状に合わせてきめ細かく設定されている。グループ13は、タイヤ構成部材21の表面の凹凸形状の変化がほとんどない部位に対応するため弾性係数が大きく当接部の外周面の幅がほぼ一定に設定されている。グループ14は、タイヤ構成部材21の表面の凹凸形状の変化が小さい部位に対応するため、弾性係数がグループ12よりも大きくグループ13よりも小さく設定され、当接部の外周面の幅を凹凸形状に合わせて設定されている。
【0027】
このように、タイヤ構成部材21の表面形状に合わせて押圧体1の弾性係数及び外周面の幅をきめ細かく設定することで、タイヤ構成部材21を押圧体1により満遍なく押圧して確実に密着させることができる。
軸方向に配列された押圧体1の両端部には、押圧体1の軸方向の移動を規制する円板状のストッパ15が支持軸11に設けられており、押圧体1が軸方向にずれずに安定して押圧動作が行われるようになっている。そのため、押圧体1は、それぞれ軸方向の所定位置で回動可能に支持されて、タイヤ構成部材21の所定位置を確実に押圧して密着させることができる。
【0028】
支持軸11は、成型ドラム20の上方に配置されており、成型ドラム20に対して接近又は離間するように移動可能に設けられている。成型ドラム20の外周面に巻き付けられたタイヤ構成部材21に対して、支持軸11を下方に移動させて複数枚の押圧体1をタイヤ構成部材21に当接させる。押圧体1は、タイヤ構成部材21の表面形状に合わせて当接部1aが上下に変位して、連結部1bが弾性変形することで押圧状態となる。タイヤ成型用押圧ロール10を押圧状態に設定したまま成型ドラム20を回転させることで、成型ドラム20に巻き付けられたタイヤ構成部材21の表面をタイヤ成型用押圧ロール10が転動して、タイヤ構成部材21を密着した状態にする。
【0029】
以上説明したタイヤ成型用押圧ロールを用いることで、成型ドラムの外周面に巻き付けたタイヤ構成部材の表面の凹凸形状に合わせて所望の押圧力を加えてタイヤ構成部材を確実に密着させることができる。例えば、コンター付きゴム部材といったタイヤ構成部材の場合でも凹凸形状に合わせて満遍なく押圧して密着させることができ、タイヤ構成部材の間に空気が残留しないようにすることが可能となる。そのため、タイヤ構成部材の間に残留する空気を抜くために従来より行われているステッチング工程が不要となり、タイヤ成型工程の簡略化を図ることができる。
【0030】
また、タイヤ成型用押圧ロールを用いることで、タイヤ構成部材同士の貼り合せ強度が向上することから、部材間の剥離防止に用いることもできる。また、凹凸形状を有する部材を押さえ付ける場合に、タイヤ成型用押圧ロールを用いれば、部材を安定した状態で押さえ付けておくことができる。
【符号の説明】
【0031】
1、2、3・・・押圧体、1a、2a、3a、4a・・・当接部、1b、2b、3b、4b・・・軸支部、1c、1c’、2c、3c、4c・・・連結部、10・・・タイヤ成型用押圧ロール、11・・・支持軸、12、13、14・・・押圧体のグループ、15・・・ストッパ。