(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215076
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】2連式エアゾール容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20171005BHJP
B65D 83/68 20060101ALI20171005BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20171005BHJP
B05B 7/04 20060101ALI20171005BHJP
B05B 7/24 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
B65D83/20 100
B65D83/68 100
B65D81/32 U
B05B7/04
B05B7/24
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-17986(P2014-17986)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145259(P2015-145259A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−290755(JP,A)
【文献】
特開平08−310557(JP,A)
【文献】
特開2001−278369(JP,A)
【文献】
特開昭49−112217(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/012191(WO,A1)
【文献】
特開2002−326678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20
B05B 7/04
B05B 7/24
B65D 81/32
B65D 83/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並列配置された一対のエアゾール缶と、該一対のエアゾール缶に装着されると共に、操作レバーの後部の押し下げにて、前記一対のエアゾール缶の内容物をノズルの前端から吐出させる吐出具と、を備える2連式エアゾール容器において、
前記一対のエアゾール缶は、それぞれ、該エアゾール缶の胴部の上方に連なり該胴部より縮径された肩部と、該肩部の上方に連なるマウンティングカップと、該マウンティングカップから立ち上がるステムとを有し、
前記吐出具は、ノズル部材と、カバー部材と、レバー部材と、を備え、
前記ノズル部材は、前記ノズルと、前記一対のエアゾール缶のステムにそれぞれ嵌合する一対の嵌合筒と、前記ノズルの後端及び前記一対の嵌合筒の上端に連結するノズル基体と、を有し、
前記カバー部材は、上部、前部及び後部に開口を有すると共に前記ノズル部材のノズル基体を上下動可能に収容する収容凹部の周面を形成する内周壁と、該内周壁の下端縁に連なり前記収容凹部の底面を形成する底壁と、前記内周壁の上端縁に外向きフランジ状壁を介して連結し、前記一対のエアゾール缶の肩部に当接するように垂設された外周壁とを有し、前記収容凹部の前部の開口は、前記ノズルの前後方向中間部を上下動可能に収容し、前記収容凹部の後部の開口は、前記操作レバーの後部を上下動可能に収容し、
前記レバー部材は、前記操作レバーと、前記操作レバーの前端にヒンジを介して連結され、前記カバー部材に回動可能に取り付けられるレバー支持体と、を有すると共に、前記レバー支持体の回動に伴って前記収容凹部の上部の開口を開閉可能であり、
前記カバー部材の底壁には、前記一対のエアゾール缶のマウンティングカップに上方から乗越え係止する一対の係止爪が垂設されており、
前記カバー部材の外周壁には、前記一対のエアゾール缶のマウンティングカップに上方から乗越え係止する一対の係止孔が形成されている、2連式エアゾール容器。
【請求項2】
前記一対の係止孔は、前記カバー部材の外周壁の左右両側面に形成されている、請求項1に記載の2連式エアゾール容器。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記底壁、内周壁、外向きフランジ状壁及び外周壁に連結すると共に前記一対のエアゾール缶の前側部分に当接する一対の前側位置決めリブと、前記底壁、内周壁、外向きフランジ状壁及び外周壁に連結すると共に前記一対のエアゾール缶の後側部分に当接する一対の後側位置決めリブと、を更に有し、
前記一対の前側位置決めリブ及び前記一対の後側位置決めリブの各リブは、前記マウンティングカップの上面に当接する第1当接縁部と、前記マウンティングカップの外周面に当接する第2当接縁部とを有する、請求項1又は2に記載の2連式エアゾール容器。
【請求項4】
前記レバー部材には、前記操作レバーの後部と前記レバー支持体とを連結して前記操作レバーの誤操作を防止する誤操作防止用連結部が設けられており、該誤操作防止用連結部は、前記操作レバーの後部を所定の力で押し下げ方向に押すことで破断し、該破断後は、前記操作レバーの押し下げ操作を可能にするように形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の2連式エアゾール容器。
【請求項5】
前記カバー部材には、前記外周壁に破断予定部を介して連結され、前記収容凹部の後部の開口を覆うことで、前記操作レバーの誤操作を防止する誤操作防止用邪魔板が設けられており、前記破断予定部は、該破断予定部を破断させて前記誤操作防止用邪魔板を取り除いた後は、前記操作レバーの押し下げ操作を可能にするように形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の2連式エアゾール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右に並列配置された一対のエアゾール缶と、該一対のエアゾール缶に装着されると共に、操作レバーの後部の押し下げにて、前記一対のエアゾール缶の内容物をノズルの前端から吐出させる吐出具と、を備える2連式エアゾール容器に関し、特に、ノズルの容易な洗浄を可能としつつ、部品点数及び組み付け工数を低減しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の2連式エアゾール容器として、例えば特許文献1に記載されるようなものが知られている。特許文献1では、吐出具を、ノズルを有するノズルヘッド部材と、該ノズルヘッド部材とエアゾール缶のステムとを繋ぐジョイント部材と、操作レバーを有する装着部材とで構成し、当該吐出具をエアゾール缶に装着するために、一対のエアゾール缶を並列配置させた状態で固定する固定盤を設けている。そして、ノズルの洗浄時には、ノズルヘッド部材及びジョイント部材が取り付けられた装着部材を固定盤から取り外し、ノズルヘッド部材からジョイント部材を取り外すことで、ノズル及びジョイント部材を洗浄できるようにしている。
【0003】
また、特許文献1では、組み付け時には、並列配置させた一対のエアゾール缶に固定盤を取り付けておき、次に、ノズルヘッド部材を装着部材に取り付け、ジョイント部材をノズルヘッド部材に取り付け、装着部材を固定盤に取り付けると同時にジョイント部材をエアゾール缶のステムに取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−52812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されるような従来の2連式エアゾール容器では、エアゾール缶の他に、ノズルヘッド部材、ジョイント部材、装着部材及び固定盤の4パーツを必要とし、部品点数が多いという問題があった。また、その組み付け工数についても、固定盤の取り付け、ノズルヘッド部材の取り付け、ジョイント部材の取り付け、及び装着部材/ジョイント部材の取り付けという4工程を必要とし、組み付け工数が多いという問題もあった。さらに、ノズルの洗浄時には、ノズルヘッド部材及びジョイント部材が取り付けられた装着部材を取り外し、ノズルヘッド部材からジョイント部材を取り外すため、ジョイント部材を紛失してしまうおそれもあった。
【0006】
本発明は、前記のような問題を解決するために開発されたもので、ノズルの容易な洗浄を可能としつつ、部品点数及び組み付け工数を低減できる2連式エアゾール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.左右に並列配置された一対のエアゾール缶と、該一対のエアゾール缶に装着されると共に、操作レバーの後部の押し下げにて、前記一対のエアゾール缶の内容物をノズルの前端から吐出させる吐出具と、を備える2連式エアゾール容器において、
前記一対のエアゾール缶は、それぞれ、該エアゾール缶の胴部の上方に連なり該胴部より縮径された肩部と、該肩部の上方に連なるマウンティングカップと、該マウンティングカップから立ち上がるステムとを有し、
前記吐出具は、ノズル部材と、カバー部材と、レバー部材と、を備え、
前記ノズル部材は、前記ノズルと、前記一対のエアゾール缶のステムにそれぞれ嵌合する一対の嵌合筒と、前記ノズルの後端及び前記一対の嵌合筒の上端に連結するノズル基体と、を有し、
前記カバー部材は、上部、前部及び後部に開口を有すると共に前記ノズル部材のノズル基体を上下動可能に収容する収容凹部の周面を形成する内周壁と、該内周壁の下端縁に連なり前記収容凹部の底面を形成する底壁と、前記内周壁の上端縁に外向きフランジ状壁を介して連結し、前記一対のエアゾール缶の肩部に当接するように垂設された外周壁とを有し、前記収容凹部の前部の開口は、前記ノズルの前後方向中間部を上下動可能に収容し、前記収容凹部の後部の開口は、前記操作レバーの後部を上下動可能に収容し、
前記レバー部材は、前記操作レバーと、前記操作レバーの前端にヒンジを介して連結され、前記カバー部材に回動可能に取り付けられるレバー支持体と、を有すると共に、前記レバー支持体の回動に伴って前記収容凹部の上部の開口を開閉可能であり、
前記カバー部材の底壁には、前記一対のエアゾール缶のマウンティングカップに上方から乗越え係止する一対の係止爪が垂設されており、
前記カバー部材の外周壁には、前記一対のエアゾール缶のマウンティングカップに上方から乗越え係止する一対の係止孔が形成されている、2連式エアゾール容器。
【0008】
2.前記一対の係止孔は、前記カバー部材の外周壁の左右両側面に形成されている、前記1の2連式エアゾール容器。
【0009】
3.前記カバー部材は、前記底壁、内周壁、外向きフランジ状壁及び外周壁に連結すると共に前記一対のエアゾール缶の前側部分に当接する一対の前側位置決めリブと、前記底壁、内周壁、外向きフランジ状壁及び外周壁に連結すると共に前記一対のエアゾール缶の後側部分に当接する一対の後側位置決めリブと、を更に有し、
前記一対の前側位置決めリブ及び前記一対の後側位置決めリブの各リブは、前記マウンティングカップの上面に当接する第1当接縁部と、前記マウンティングカップの外周面に当接する第2当接縁部とを有する、前記1又は2の2連式エアゾール容器。
【0010】
4.前記レバー部材には、前記操作レバーの後部と前記レバー支持体とを連結して前記操作レバーの誤操作を防止する誤操作防止用連結部が設けられており、該誤操作防止用連結部は、前記操作レバーの後部を所定の力で押し下げ方向に押すことで破断し、該破断後は、前記操作レバーの押し下げ操作を可能にするように形成されている、前記1〜3のいずれかの2連式エアゾール容器。
【0011】
5.前記カバー部材には、前記外周壁に破断予定部を介して連結され、前記収容凹部の後部の開口を覆うことで、前記操作レバーの誤操作を防止する誤操作防止用邪魔板が設けられており、前記破断予定部は、該破断予定部を破断させて前記誤操作防止用邪魔板を取り除いた後は、前記操作レバーの押し下げ操作を可能にするように形成されている、前記1〜3のいずれかの2連式エアゾール容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カバー部材の外周壁を一対のエアゾール缶の肩部に当接させると共に、カバー部材の底壁に設けた一対の係止爪と、カバー部材の外周壁に設けた一対の係止孔とを、一対のエアゾール缶のマウンティングカップに係止させることで、カバー部材を直接、一対のエアゾール缶に装着させることができ、従来必要とされた固定盤を削減することができるため、部品点数を低減することができる。
【0013】
また、組み付け時には、ノズル部材をカバー部材の収容凹部に配置し、レバー部材をノズル部材の上方からカバー部材に取り付け、カバー部材を並列配置された一対のエアゾール缶に取り付けるという3工程での組み付けが可能となり、従来必要とされた固定盤の取り付け工程を削減することができるため、組み付け工数を低減させることもできる。
【0014】
さらに、ノズルの洗浄時には、レバー部材のレバー支持体をカバー部材に対して回動させて、カバー部材の収容凹部の上部の開口を開放させることで、ノズル部材を収容凹部から取り出すことができ、レバー部材をカバー部材から取り外す必要がないため、レバー部材を紛失するおそれもない。
【0015】
したがって、本発明によれば、ノズルの容易な洗浄を可能としつつ、部品点数及び組み付け工数を低減できる2連式エアゾール容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る2連式エアゾール容器を未使用時の状態で示す平面図であり、(b)は(a)のレバー部材を省略して示す図であり、(c)は更にノズル部材及びエアゾール缶を省略して示す図である。
【
図2】
図1のA−A線に沿って示す一部断面正面図である。
【
図3】
図2のB−B線に沿って示す一部断面側面図である。
【
図4】(a)は、
図2の2連式エアゾール容器の側面図であり、(b)は、
図2の2連式エアゾール容器の背面図である。
【
図5】
図1の2連式エアゾール容器のノズル洗浄要領を示す側面図であり、レバー支持体を回動させてノズル部材を取り外した状態を示す。
【
図6】
図1の2連式エアゾール容器のノズル洗浄要領を示す側面図であり、ノズル部材のノズル基体を開いた状態を示す。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る2連式エアゾール容器を未使用時の状態で示す平面図である。
【
図8】
図7の2連式エアゾール容器を
図3に準じて示す一部断面側面図であり、誤操作防止用邪魔板を取り除く要領を示す。
【
図9】(a)は、
図8の2連式エアゾール容器の側面図であり、(b)は、
図8の2連式エアゾール容器の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る2連式エアゾール容器について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において前方とは、ノズルの吐出口側であり、後方とは、ノズルの軸線に沿って前方とは反対側である。また、側方とは、前方から後方に向って容器を見る際の左右方向である。
【0018】
図1〜
図4に示すように、2連式エアゾール容器1は、左右に並列配置された一対のエアゾール缶20と、吐出具30と、を備える。また、吐出具30は、ノズル部材40と、カバー部材50と、レバー部材60と、を備える。
【0019】
なお、本実施形態において、2連式エアゾール容器1に文字、模様などを表示するためにシュリンク包装を施す場合には、左右に並列配置された一対のエアゾール缶20にシュリンク包装を施し、シュリンク包装の上部に被せるように吐出具30を装着させてもよいし、吐出具30を装着させた後にエアゾール缶20のみならず吐出具30の下部にも被せるようにシュリンク包装を施してもよい。また、シュリンク包装に代えて、エアゾール缶20に印刷を施すこともできる。
【0020】
一対のエアゾール缶20は、それぞれ、該エアゾール缶20の胴部21の上方に連なり該胴部21より縮径された肩部22と、該肩部22の上方に連なるマウンティングカップ23と、該マウンティングカップ23から立ち上がるステム24とを有している。一対のエアゾール缶20はいずれも、例えば金属製の有底筒状の容器本体に、例えば金属製のマウンティングカップ23の外縁を巻き締めして固着したものであり、双方の内側には互いに異なる種類の内容物が収容されている。
【0021】
ノズル部材40は、ノズル41と、一対のエアゾール缶20のステム24にそれぞれ嵌合する一対の嵌合筒42と、ノズル41の後端及び一対の嵌合筒42の上端に連結するノズル基体43と、を有する。
【0022】
ノズル基体43には、一対の嵌合筒42を通じてステムから流入する内容物を、ノズル41の後端に導く流路Pが形成されている。また、ノズル41の洗浄をより容易にするために、ノズル基体43は、ヒンジ44を挟む上側基体43a及び下側基体43bで構成されており、開閉レバー45の操作にて、後掲
図6に示すように流路Pを開放できるようになっている。
【0023】
上側基体43aは、左右方向中央部に上方へ突出する段差部43a
1が形成されており、この段差部43a
1にノズル41の後端が接続されている。上側基体43aの段差部43a
1の左右両側部には、段差部43a
1と同一の高さまで突出する突片43a
2が形成されている。
【0024】
カバー部材50は、上部、前部及び後部に開口を有すると共にノズル部材40のノズル基体43を上下動可能に収容する収容凹部Rの周面を形成する内周壁51と、内周壁51の下端縁に連なり収容凹部Rの底面を形成する底壁52と、内周壁51の上端縁に外向きフランジ状壁53を介して連結し、一対のエアゾール缶20の肩部22に当接するように垂設された外周壁54とを有する。収容凹部Rの前部の開口は、ノズル41の前後方向中間部を上下動可能に収容し、収容凹部Rの後部の開口は、レバー部材60の詳細は後述する操作レバー61の後部61aを上下動可能に収容している。
【0025】
レバー部材60は、操作レバー61と、操作レバー61の前端にヒンジ62を介して連結され、カバー部材50に回動可能に取り付けられるレバー支持体63と、を有する。また、レバー部材60は、後掲
図5に示すように、レバー支持体63の回動に伴って収容凹部Rの上部の開口を開閉可能に構成されている。
【0026】
より具体的には、レバー支持体63は、平面視略T字状の操作レバー61の左右両側方及び前方を取り囲む枠体状に形成されており、後部に設けられた一対の突起63aをカバー部材50に設けられた嵌合孔55に嵌め込むことによって、カバー部材50に対して回動可能に取り付けられている。また、レバー支持体63の前部には、カバー部材50に設けられた一対の嵌合凹所56内に前端上部がスナップ嵌合する一対のU字状の嵌合アーム63bが形成されている。一対の嵌合アーム63bの前端上部は操作片63cによって互いに連結されている。
【0027】
操作レバー61の底面には、前述したノズル部材40の上側基体43aに形成された段差部43a
1とその左右両側部に形成された2つの突片43a
2とに当接するように垂設された3つの突片61bが形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、レバー部材60には、操作レバー61の後部61aとレバー支持体63とを連結して操作レバー61の誤操作を防止する誤操作防止用連結部64が設けられている。誤操作防止用連結部64は、操作レバー61の後部61aを所定の力で押し下げ方向に押すことで破断し、該破断後は、操作レバー61の押し下げ操作を可能にするように形成されている。
【0029】
カバー部材50の底壁52には、一対のエアゾール缶20のマウンティングカップ23に上方から乗越え係止する一対の係止爪52aが垂設されている。より具体的には、一対の係止爪52aは、それぞれ、平面視円弧状をなし、左右方向からマウンティングカップ23に係止するように形成されている。
【0030】
カバー部材50の外周壁54には、一対のエアゾール缶20のマウンティングカップ23に上方から乗越え係止する一対の係止孔54aが形成されている。より具体的には、外周壁54は、左右両側面において一対のエアゾール缶20の肩部22に当接するように形成されており、一対の係止孔54aは、これら外周壁54の左右両側面に配置されている。
【0031】
また、カバー部材50は、底壁52、内周壁51、外向きフランジ状壁53及び外周壁54に連結すると共に一対のエアゾール缶20の前側部分に当接する一対の前側位置決めリブ57と、底壁52、内周壁51、外向きフランジ状壁53及び外周壁54に連結すると共に一対のエアゾール缶20の後側部分に当接する一対の後側位置決めリブ58と、を更に有する。
【0032】
一対の前側位置決めリブ57及び一対の後側位置決めリブ58の各リブは、マウンティングカップ23の上面に当接する第1当接縁部57a,58aと、マウンティングカップ23の外周面に当接する第2当接縁部57b,58bとを有する。
【0033】
かかる構成によれば、カバー部材50の外周壁54を一対のエアゾール缶20の肩部22に当接させると共に、カバー部材50の底壁52に設けた一対の係止爪52aと、カバー部材50の外周壁54に設けた一対の係止孔54aとを、一対のエアゾール缶20のマウンティングカップ23に係止させることで、カバー部材50を直接、一対のエアゾール缶20に装着させることができ、従来必要とされた固定盤を削減することができるため、部品点数を低減することができる。
【0034】
また、カバー部材50に一対の前側位置決めリブ57及び一対の後側位置決めリブ58を設け、各リブの第1当接縁部57a,58aをマウンティングカップ23の上面に当接させると共に、各リブの第2当接縁部57b,58bをマウンティングカップ23の外周面に当接させるようにしたので、カバー部材50を一対のエアゾール缶20により安定して保持させることができる。
【0035】
また、組み付け時には、ノズル部材40をカバー部材50の収容凹部Rに配置し、レバー部材60をノズル部材40の上方からカバー部材50に取り付け、カバー部材50を並列配置された一対のエアゾール缶20に取り付けるという3工程での組み付けが可能となり、従来必要とされた固定盤の取り付け工程を削減することができるため、組み付け工数を低減させることもできる。
【0036】
また、未使用の状態では、レバー部材60には、操作レバー61の後部61aとレバー支持体63とを連結する誤操作防止用連結部64が設けられているので、操作レバー61の誤操作を防止することができる。したがって、操作レバー61の誤操作を防止するためのオーバーキャップを設ける必要がなくなり、この点からも部品点数の削減が可能となる。
【0037】
そして、使用時には、操作レバー61の後部61aを所定の力で押し下げ方向に押すことで誤操作防止用連結部64を破断させ、その後は、操作レバー61の押し下げ操作を可能にし、一対のエアゾール缶20の内容物をノズル41の前端の吐出口から吐出させることができる。
【0038】
内容物を吐出させる際には、使用者は、指を
図2中の仮想線で示したように配置し、操作レバー61の押し下げ操作を行うことができるが、その際、外周壁54の左右両側面に配置された一対の係止孔54aに指を掛けることで、一対の係止孔54aを滑り止めとして利用することができる。
【0039】
内容物の吐出要領は、より具体的には以下のとおりである。操作レバー61の後部61aの押し下げにて、操作レバー61の突片61bをノズル部材40の段差部43a
1及び突片43a
2に当接させてノズル部材40を押し下げることで、一対のエアゾール缶20のステム24が押し下げられる。ステム24が押し下げられると、ステム24から内容物が流出し、流出した内容物はノズル部材40内の流路Pを通って、ノズル41の前端から吐出される。
【0040】
そして、ノズル41の洗浄時には、
図3中の右向き矢印で示したように、レバー部材60の操作片63cを後方に押すことで、嵌合アーム63bをカバー部材50の嵌合凹所56内から脱出させて、
図5に示すように、レバー部材60全体を回動させて、収容凹部Rの上部の開口を開放させることができる。したがって、ノズル部材40を収容凹部Rから取り出す際に、レバー部材60をカバー部材50から取り外す必要がないため、レバー部材60を紛失するおそれがない。
【0041】
また、ノズル部材40を取り出した後は、
図6に示すように、開閉レバー45を操作してノズル基体43を開き、流路Pを開放させることで、流路Pを容易に洗浄できることは勿論、ノズル41内の流路も容易に洗浄することができる。
【0042】
次に、
図7〜
図9を参照して、本発明の他の実施形態に係る2連式エアゾール容器について詳細に例示説明する。
本実施形態に係る2連式エアゾール容器1’は、
図1〜
図6を用いて説明した例の場合とは、誤操作防止用連結部64に代えて誤操作防止用邪魔板70を設けた点で異なるが、その他の構成は同一になっている。
【0043】
誤操作防止用邪魔板70は、
図7〜
図9に示すように、カバー部材50の外周壁54の後部に形成された段部71に破断予定部72を介して連結され、収容凹部Rの後部の開口を覆っている。破断予定部72は、
図8中の仮想線で示すように、該破断予定部72を破断させて誤操作防止用邪魔板70を取り除けるように形成されている。
【0044】
かかる構成によれば、使用時には、破断予定部72を破断させて誤操作防止用邪魔板70を取り除くことで、操作レバー61の押し下げ操作を可能にすることができる。また、操作レバー61の誤操作防止以外の点については、
図1〜
図6を用いて説明した例の場合と同一の効果を得ることができる。
【0045】
上述したところは、本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、一対のエアゾール缶20には互いに異なる種類の内容物が収容されるものとして説明したが、必ずしもそのような構成に限定する必要はなく、同種の内容物を収容することもできる。組み付けの順序としては、ノズル部材40を配置し、レバー部材60を取り付け、カバー部材50を取り付けるものとして説明したが、必ずしもこのような順序に限定されず、例えば、一対のエアゾール缶20にカバー部材50を取り付け、ノズル部材40を取り付け、レバー部材60を取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,1’ 2連式エアゾール容器
20 エアゾール缶
21 胴部
22 肩部
23 マウンティングカップ
24 ステム
30 吐出具
40 ノズル部材
41 ノズル
42 嵌合筒
43 ノズル基体
43a 上側基体
43a
1 段差部
43a
2 突片
43b 下側基体
44 ヒンジ
45 開閉レバー
50 カバー部材
51 内周壁
52 底壁
52a 係止爪
53 外向きフランジ状壁
54 外周壁
54a 係止孔
55 嵌合孔
56 嵌合凹所
57 前側位置決めリブ
57a 前側位置決めリブの第1当接縁部
57b 前側位置決めリブの第2当接縁部
58 後側位置決めリブ
58a 後側位置決めリブの第1当接縁部
58b 後側位置決めリブの第2当接縁部
60 レバー部材
61 操作レバー
61a 操作レバーの後部
61b 突片
62 ヒンジ
63 レバー支持体
63a 突起
63b 嵌合アーム
63c 操作片
64 誤操作防止用連結部
70 誤操作防止用邪魔板
71 段部
72 破断予定部
P 流路
R 収容凹部