(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、本発明の除菌ケースを歯ブラシケースに適用した例について説明する。
【0011】
(歯ブラシケースの概要)
まず、歯ブラシケース101の概要を
図4〜
図8を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図4は、本実施形態に係る歯ブラシケース101の概略構成斜視図である。
【0013】
図5は、
図4に示す歯ブラシケース101の開放状態を示す概略構成斜視図である。
【0014】
図6は、
図4に示す歯ブラシケース101に歯ブラシ201を収納した状態を示す概略構成斜視図である。
【0015】
図7は、
図4に示す歯ブラシケース101において除菌部31a側から見た場合の概略構成斜視図である。
【0016】
図8は、
図4に示す歯ブラシケース101の分解斜視図である。
【0017】
歯ブラシケース101は、
図4に示すように、例えば長さLが185mm、幅Wが27.5mm、高さHが27.5mmの略直方体形状であり、
図8に示すように、4つの部材で構成されている。すなわち、歯ブラシケース101は、ケース上部部材1及びケース下部部材2と、当該ケース上部部材1とケース下部部材2によって覆われ、除菌対象物としての歯ブラシ201を収納して除菌するための除菌対象物収納部3と、除菌対象物収納部3に設けられ、歯ブラシ201を除菌するためのイオンを生成させるイオン生成機構を搭載した除菌装置4との4つの部材で構成されている。
【0018】
ケース上部部材1は、ケース下部部材2とヒンジ(図示せず)により回動自在に支持されている。これにより、ケース上部部材1は、
図5に示すように、ケース下部部材2との接続部分であるヒンジを中心に回動することで、除菌対象物収納部3を開放状態にし、または閉鎖状態にする蓋として機能している。なお、ケース上部部材1は、蓋として機能させればよいため、上述のように回動自在に設けられている必要はなく、ケース下部部材2から完全に切り離すことができるように、ケース下部部材2に対して着脱可能に形成されていてもよい。
【0019】
除菌対象物収納部3は、
図6に示すように、除菌対象物としての歯ブラシ201を設置する設置部31を有している。設置部31は、歯ブラシ201の先端201bの毛先202を除菌するための除菌部31aと、当該歯ブラシ201の把持部201aを載置する載置部31bとで構成されている。除菌部31aは、下向き(ケース下部部材2側)に窪んだ形状となり、この窪んだ部分に歯ブラシ201の毛先202が入り込むようになっている。なお、設置部31の除菌部31aと載置部31bとの境界近傍には、歯ブラシ201の先端を支えるための支持枠32が設けられている。なお、この支持枠32は、歯ブラシ201の毛先202が除菌部31aに適切に配置できるように配置位置及び高さが調整されている。
【0020】
また、除菌対象物収納部3には、除菌部31aに除菌用のイオンを供給するためのイオン生成機構を有する除菌装置4が設置部31内部に収納されている。そして、設置部31の除菌部31aと載置部31bとの境界部分には、
図7に示すように、上記イオン生成機構から発生したイオンを、ファン46(
図9)が発生した風に乗せて除菌部31aに吹き出すための通風部が形成されている。
【0021】
上記構成の歯ブラシケース101では、
図6に示すように、除菌対象となる歯ブラシ201を、毛先202を除菌部31aの窪んだ部分に入り込むように載置するので、通風部から除菌部31aに吹き出されたイオンにより、毛先202が除菌される。とりわけ、風の流れによってイオンが除菌部31aに充満することから、毛先202の毛の一本一本にイオンを行き渡らせることが可能となる。さらに、風により、毛先202を乾燥させることもできる。従って、従来のように、UV照射による除菌を行う場合のような除菌ムラが生じず、毛先202の全体が除菌され、且つ、菌の繁殖を防ぐことができる。
【0022】
また、上記構成の歯ブラシケース101では、
図6に示すように、歯ブラシ201を載置した状態で、ケース上部部材1を閉じて、
図4に示すような閉鎖状態にして除菌を行えば、当該歯ブラシケース101内部にイオンが充満されることになるため、除菌部31aだけでなく、載置部31bまでイオンが入り込むようになり、歯ブラシ201の把持部201aの除菌も行え、歯ブラシ201の全体の除菌が可能となる。
【0023】
(イオン生成機構を備えたシャーシ組品の概要)
図9は、除菌装置4の概略構成斜視図である。
【0024】
図10は、
図9に示す除菌装置4の分解斜視図である。
【0025】
図11は、
図9に示す除菌装置4を別角度から見た概略構成斜視図である。
【0026】
除菌装置4は、
図9及び
図10に示すように、シャーシ41上に搭載されたスイッチ基板42、USB(Universal serial bus)基板43、メイン基板44、バッテリー45、ファン46(イオン導入部)、イオン生成ユニット47(イオン生成部)、分離部材48(イオン導入部)から成る。
【0027】
シャーシ41は、除菌対象物収納部3に収納可能なサイズの長方形状の板状の部材(金属、樹脂)からなる。
【0028】
スイッチ基板42は、歯ブラシケース101に設けられたスイッチ(図示せず)からのON・OFFに応じて、当該歯ブラシケース101における除菌の開始・停止の切り替えを制御するための基板である。
【0029】
USB基板43は、USB端子を備え、当該USB端子に接続されたUSBケーブル(図示せず)を介してバッテリー45を充電するための充電用の基板である。
【0030】
メイン基板44は、除菌装置4上に搭載された各部の制御を行うための制御基板である。
【0031】
ファン46は、イオンを運ぶ風を発生させる送風部であり、ファンを回転させて得られる風をイオン生成ユニット47側に吹き付けるようになっている。
【0032】
イオン生成ユニット47は、除菌用のマイナスイオンおよびプラスイオンを生成する装置である。なお、以下の説明において、イオンの極性を区別する必要のある場合以外は、単に「イオン」と称して説明する。
【0033】
分離部材48は、イオン生成ユニット47で生成したマイナスイオンとプラスイオンとを分離するための部材である。この分離部材48によるイオンの分離についての詳細は後述する。
【0034】
除菌装置4は、
図11に示すように、イオン生成ユニット47を中心としてファン46と反対側に、当該イオン生成ユニット47で生成したイオンを排出するためのイオン排出部49が形成されている。ここで、イオン生成ユニット47で生成したイオンは、ファン46が発生する風により、当該ファン46と反対側に排出するためのイオン排出部49に向かって導かれ、排出される。
【0035】
イオン排出部49には、2つの排出口(第1イオン排出口49a、第2イオン排出口49b:イオン導入部)が形成されている。これにより、第1イオン排出口49a及び第2イオン排出口49bから排出されたイオンは、除菌部31aに吹き出される。
【0036】
上記構成のファン46、分離部材48、第1イオン排出口49a、および第2イオン排出口49bを、まとめて「イオン導入部」と称する。なお、分離部材48、第1イオン排出口49a、第2イオン排出口49bによって、イオンをイオン生成ユニット47(イオン生成部)から歯ブラシ201(除菌対象物)を収容する空間(除菌部31a及び載置部31b)に到達させるイオン通路を形成している。つまり、上記イオン導入部は、ファン46と上記イオン通路とからなり、イオン生成ユニット47で生成したイオンに送風して、除菌対象物である歯ブラシケース101を収納する空間(除菌部31a及び載置部31b)に上記イオンを導入するものである。
【0037】
なお、上記構成の除菌装置4における主要箇所のサイズは、例えば
図11に示すように、シャーシ41の長さL4が177.5mm、幅W1が22.2mmであり、イオン排出部49の端面からマイナス端子までの距離Dが28.5mmであり、第1イオン排出口49aの高さH2が3mm、幅W2が20.0mmであり、第2イオン排出口49bの高さH3が0.5mm、幅W3が0.75mmである。
【0038】
以下に、イオン生成機構について詳細に説明する。ここで、イオン生成機構は、イオン生成ユニット47と、上述したイオン導入部(ファン46、分離部材48、第1イオン排出口49a、第2イオン排出口49b)とを含んでいる。
【0039】
イオン生成機構について説明する前に、本発明の原理について
図3を参照しながら説明する。
【0040】
図3は、本発明の原理を説明するための図である。
【0041】
本発明では、
図3の(a)に示すように、プラスイオンを発生する+端子(図示せず)と、マイナスイオンを発生する−端子とが、ファン(後述するファン46に相当)による送風の方向(通風方向)と並行に、且つ所定の距離を保って配置されている。そして、プラスイオンに送風せずにマイナスイオンに送風するように、+端子を覆う分離部材(後述する分離部材48に相当)が形成されている。これにより、送風されたマイナスイオンが分離部材の上段側を通ってイオン排出口(第1イオン排出口49aに相当)から排出される。一方、プラスイオンは、
図3の(b)に示すように、分離部材の下段側の、+端子の近傍に設けられたイオン排出口(第2イオン排出口49bに相当)から排出される。
【0042】
ここで、イオンが排出される空間は、除菌するための空間(歯ブラシ201を収納する空間)であることから、除菌を適切に行うために、プラスイオンとマイナスイオンの量のバランスを保つことが望ましい。プラスイオンとマイナスイオンの量のバランスを保つために、
図3の(a)(b)に示すように、マイナスイオンを排出するマイナスイオン排出口(第1イオン排出口49aに相当)のサイズと比べて、プラスイオンを排出するプラスイオン排出口(第2イオン排出口49bに相当)のサイズを小さく形成している。このように、2つのイオンの排出口のサイズを異ならせる理由の詳細については後述する。
【0043】
(イオン生成機構の構造)
まず、本実施形態の歯ブラシケース101が備えるイオン生成機構の構造について以下に説明する。
【0044】
図1の(a)(b)は、イオン生成機構の概略構成図である。
【0045】
イオン生成機構は、
図1の(a)に示すように、除菌装置4上に設けられた、イオン生成ユニット47とファン46とを少なくとも含んでいる。ここで、イオン生成ユニット47は、マイナスイオンを発生させる−端子(マイナス端子)、プラスイオンを発生させる+端子(プラス端子)の2つの端子を有している。これら2つの端子は、発生したプラスイオンとマイナスイオンとが干渉しない距離を離して設ける必要がある。このため、歯ブラシケース101のような幅の狭い筐体では、イオン生成ユニット47の−端子と、+端子とを、除菌装置4の長手方向に配置する必要がある。つまり、+端子と、−端子とは、イオン導入部(ファン46)による通風方向と並行に、且つ所定の距離を保って配置されている。
【0046】
本実施形態では、−端子をファン46側、+端子をイオン排出部49側に配置している。これにより、イオン生成ユニット47の各端子で発生したイオンは、ファン46が発生する風によって、イオン生成ユニット47から当該ファン46と反対側の除菌部31aに導かれる。
【0047】
ところで、イオン生成ユニット47の各端子が所望の距離を離して形成されていても、イオン発生後、ファン46が発生する風により除菌部31aに導かれるまでに、プラスイオンとマイナスイオンとが干渉してしまうと、除菌部31aにおいて除菌を適切に行えない。
【0048】
そこで、
図1の(b)に示すように、−端子を残して、+端子を覆うようにした分離部材48を設けることによって、イオン生成ユニット47で生成したプラスイオンとマイナスイオンとを分離して各イオンを干渉させない状態でイオン排出部49から排出し、除菌部31aまで導かれるようにしている。すなわち、上記イオン通路の一部を構成する分離部材48によって、上記通風方向(送風方向)の下流側に配置された+端子を覆い、プラスイオンとマイナスイオンとを分離させている。ここで、分離部材48の上側は、−端子から発生したマイナスイオンが導かれ、分離部材48の下側は、+端子から発生したプラスイオンが導かれる。
【0049】
なお、本実施形態では、上記イオン導入部は、上記通風方向の上流側に配置された−端子に送風している。具体的には、上記イオン導入部を構成するファン46を用いて、マイナスイオンに送風するようにしている。この場合、分離部材48に覆われている+端子から発生するプラスイオンには送風されないか、又は、ほとんど送風されない。なお、+端子と−端子とを入れ替えて配置する場合(つまり、通風方向の上流側に+端子を配置し、かつ、分離部材48が−端子を覆うように形成する場合)は、プラスイオンに送風され、マイナスイオンには送風されないか、又は、ほとんど送風されない。つまり、上記イオン導入部は、プラスイオンを発生させる+端子、および、マイナスイオンを発生させる−端子のうち、上記通風方向の上流側に配置された端子に送風するものである。
【0050】
これにより、除菌部31a及び載置部31bを含む歯ブラシケース101の収納空間に導入されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量を調整している。このイオン量の調整については後述する。
【0051】
(イオン排出口の構造)
次に、上記イオン生成機構におけるイオン排出口の構造について以下に説明する。
【0052】
図2の(a)〜(c)は、イオン排出部49におけるマイナスイオンおよびプラスイオンの排出口の概要を説明する図である。
【0053】
図2の(a)は、分離部材48が設置部31によって覆われることで、2つのイオン排出口を形成したことを示す図である。
図2の(b)は、
図2の(a)の拡大対象領域Aを拡大した図であり、
図2の(c)は、
図2の(b)の拡大対象領域Bを拡大した図である。
【0054】
イオン排出部49は、
図2の(c)に示すように、板状部材であり、上部にマイナスイオンを排出する第1イオン排出口49aが形成され、下部にプラスイオンを排出する第2イオン排出口49bが形成されている。ここで、第2イオン排出口49bのサイズは、第1イオン排出口49aのサイズよりも小さく絞り込まれている。
図1の(a)に示すように、−端子が+端子よりもイオン排出部49から遠い位置に形成されているため、発生したマイナスイオンがイオン排出部49に到達する量が、発生したプラスイオンがイオン排出部49に到達する量よりも少ない。そこで、プラスイオンを排出する第2イオン排出口49bのサイズを、マイナスイオンを排出する第1イオン排出口49aのサイズよりも小さくすることで、除菌部31aに排出されるマイナスイオンとプラスイオンの量のバランス(イオンバランス)を保つように調整している。
【0055】
なお、本実施形態では、イオン生成ユニット47によって生成したマイナスイオンを第1イオン排出口49aから排出し、プラスイオンを第2イオン排出口49bから排出する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、イオン生成ユニット47において+端子と−端子とを逆にするとともに、プラスイオンを第1イオン排出口49aから排出し、マイナスイオンを第2イオン排出口49bから排出するようにしてもよい。すなわち、上記イオン導入部のイオン通路は、分離部材48により分離されたプラスイオンおよびマイナスイオンのうち、送風により歯ブラシ201を収納した空間(除菌部31a、載置部31b)に導入されるイオンを当該空間に排出する第1イオン排出口49aと、第1イオン排出口49aから排出されるイオンと逆極性のイオンを上記空間に排出する第2イオン排出口49bとを有しており、第2イオン排出口49bのサイズは、第1イオン排出口49aのサイズよりも小さく形成されている。
【0056】
なお、イオン排出部49のサイズを例示すると、例えば
図2の(b)および(c)に示すように、イオン排出部49の高さH1は10.7mmである。また、
図2の(c)に示すように、第1イオン排出口49aの高さH2は3mm、幅W2は20mmである。また、第2イオン排出口49bは、第1イオン排出口49aより1.0mm程度下側に形成されており、高さH3は0.5mm、幅W3は0.75mmである。なお、これらのサイズは特に限定されるものではなく、排出されるプラスイオンとマイナスイオンの量のバランスを保てるサイズであればよい。
【0057】
また、第2イオン排出口49bは、第1イオン排出口49aに近接して形成されていることが好ましい。これは、第1イオン排出口49aから上記空間に排出される風が引き起こす気流によって、第2イオン排出口49b付近に存在するプラスイオンを上記空間に誘い出すためである。
【0058】
また、第2イオン排出口49bからのイオンの排出量を制御する目的で、イオン排出部49に、第1イオン排出口49aから遠く、且つ、第2イオン排出口49bから離れた位置に開口部(図示せず)を形成してもよい。この開口部を通じて上記空間からイオン生成ユニット47側へ気体が吸引されると、第2イオン排出口49bからのイオン排出が助長されるため、結果として、第2イオン排出口49bから排出されるイオンの量を多くすることが可能となる。
【0059】
上記構成の歯ブラシケース101は、除菌対象物として歯ブラシ201以外に、箸の除菌も行うことが可能である。以下の実施形態2は、除菌対象物として箸を例にした説明を行う。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、本発明の除菌ケースを箸ケースに適用した例について説明する。また、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0061】
(箸ケースの概要)
図12は、本実施形態に係る箸ケース102の概略斜視図である。
【0062】
図12に示す箸ケース102は、前記実施形態1の歯ブラシケース101と同じ構成であり、除菌対象物収納部3の設置部31上に、除菌対象物として歯ブラシ201の代わりに箸301が載置されている。箸301は、使用者が手の指で支える支持部301aと、食べ物を挟む挟部301bとで構成されている。従って、除菌すべき箇所は主に、挟部301bであるので、箸301を箸ケース102に載置する際には、挟部301bが設置部31の除菌部31aに対向する位置になるようにする。
【0063】
なお、上記構成の箸ケース102でも箸301の挟部301bの除菌は可能であるが、さらに、箸ケース102のイオンの吹出し方向を、除菌部31a上の挟部301bに向くように形成することで、挟部301bをより効果的に除菌することが可能となる。
【0064】
また、歯ブラシケース101の場合にも説明したが、箸ケース102の場合においても箸301を載置した状態でケース上部部材1を閉じて、閉鎖状態にして除菌を行えば、当該箸ケース102内部に除菌のためのイオンが充満されることになるため、除菌部31aだけでなく、載置部31bまでイオンが入り込むようになり、箸301の支持部301aの除菌も行え、箸301全体の除菌が可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、除菌対象物として箸301を収納した例について説明したが、箸に限定されるものではなく、スプーン、フォーク、ナイフ等の他のカトラリー類であってもよい。
【0066】
〔変形例〕
(歯ブラシケース、箸ケースの変形例)
前記実施形態1の歯ブラシケース101、前記実施形態2の箸ケース102では、何れも除菌対象物収納部3における除菌領域としての除菌部31aは、設置部31の一部を窪ませた形状となっているが、これに限定されるものではなく、
図13に示すような除菌ケース103であってもよい。
【0067】
除菌ケース103は、
図13に示すように、歯ブラシケース101や箸ケース102の除菌対象物収納部3に代えて、除菌対象物収納部3’を備えている。除菌対象物収納部3’は、歯ブラシ201または箸301を載置するための設置部31’を有している。設置部31’の先端部に形成された除菌領域としての除菌部31a’は、窪みではなく、設置部31’の載置部31b’から一段下がった平面となっている。この除菌部31a’にも、イオンを吹き出すことで、歯ブラシ201や箸301の除菌を行うようになっている。
【0068】
従って、除菌領域の形状は、除菌対象物を配置してイオンによる除菌が可能な形状、すなわち吹き出されるイオンの対流が生じる形状であれば、どのような形状でもよく、
図4等に示す窪み形状(除菌部31a)であってもよく、今回のように、
図13に示す段差による平面形状(除菌部31a’)であってもよい。
【0069】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、本発明の除菌ケースを、装身具の一つである宝飾品(以下では、ジュエリーとも称する)を収納するジュエリーケースに適用した例について説明する。また、説明の便宜上、前記実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0070】
(ジュエリーケースの概要)
図14は、ジュエリーケース104の概略構成斜視図である。
【0071】
ジュエリーケース104は、
図14に示すように、ジュエリーの一例である指輪401を収納するための筐体11と、筐体11を上面から閉鎖するための蓋体12と、筐体11内に搭載され、収納した指輪401などのジュエリーをイオンによって除菌するための除菌装置13とを有している。つまり、筐体11の内部の指輪401を収納している領域が除菌領域11aとなる。この除菌領域11aは、前記実施形態1で説明した除菌部31aに相当する領域となる。
【0072】
(イオン生成機構を備えた除菌装置の概要)
除菌装置13は、基本的に、前記実施形態1,2で用いた除菌装置4と同じ構造であるが、異なる点は、
図15に示すように、メイン基板44とファン46との間でシャーシ41が折曲されている点である。折曲方向は、ファン46とメイン基板44とが外側になる向きであり、折曲角度は、ほぼ90°である。これは、除菌装置13を筐体11の内壁に沿って配置することを考慮して設定されたものであるので、筐体11の形状によって、折曲方向や折曲角度は変更される。ここで重要なのは、除菌装置13を筐体11に配置したときに、イオン排出部49と当該筐体11の内壁との間に適当な距離が保たれていることである。ここでの適当な距離とは、イオン排出部49の第1イオン排出口49a及び第2イオン排出口49bから排出されるイオンが当該イオン排出部49に対向する筐体11の内壁に当たることで、当該イオンが筐体11内の除菌領域11aに収納された指輪401に適切に導くことができる距離である。
【0073】
なお、本実施形態では、除菌対象物のジュエリーとして指輪401を収納した例について説明したが、これ以外の装身具であってもよい。なお、本実施形態の装身具は、主として、人が直に身につけるものを想定しており、例えば、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、イヤリング、ピアス等の宝飾品、時計、眼鏡等が典型例である。
【0074】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る除菌ケースは、除菌対象物(歯ブラシ201、箸301、指輪401)を収納して、当該除菌対象物の除菌を行う除菌ケース(歯ブラシケース101、箸ケース102、ジュエリーケース104)であって、上記除菌対象物を除菌するためのイオンを生成するイオン生成部(イオン生成ユニット47)と、上記イオンを運ぶ風を発生させる送風部(ファン46)と、上記イオンを上記イオン生成部から上記除菌対象物を収納する空間に到達させるイオン通路(分離部材48、第1イオン排出口49a、第2イオン排出口49b)とからなるイオン導入部と、を備えている。
【0075】
上記の構成によれば、除菌対象物を収納する空間に除菌のためのイオンが送出されるので、当該除菌対象物はイオンにより除菌される。イオンによる除菌では、UV照射による除菌と異なり、除菌対象物の全体を除菌することができる。しかも、UV照射とは異なり、除菌対象物を傷めることがない。よって、除菌対象物を傷めることなく、除菌対象物の除菌を適切に行うことができる。
【0076】
本発明の態様2に係る除菌ケースは、上記態様1において、上記イオン生成部(イオン生成ユニット47)は、プラスイオンを発生させるプラス端子(+端子)と、マイナスイオンを発生させるマイナス端子(−端子)とが、上記イオン導入部による通風方向と並行に、且つ所定の距離を保って配置されており、上記イオン導入部は、上記プラス端子およびマイナス端子のうち、上記通風方向の下流側に配置された端子を覆い、プラスイオンとマイナスイオンとを分離させるとともに上記イオン通路の一部を構成する分離部材48を備えていてもよい。
【0077】
上記の構成によれば、分離部材によって、プラス端子およびマイナス端子のうち、上記送風方向の下流側に配置された端子を覆い、プラスイオンとマイナスイオンとを分離させているので、プラスイオンとマイナスイオンとが干渉し合う虞がない。従って、プラスイオンとマイナスイオンとの干渉に起因する除菌効果の低下を無くすことができる。
【0078】
本発明の態様3に係る除菌ケースは、上記態様2において、上記イオン導入部は、上記プラス端子およびマイナス端子のうち、上記通風方向の上流側に配置された端子に送風してもよい。
【0079】
上記構成によれば、イオン導入部は、上記プラスイオンおよびマイナスイオンの何れか一方に送風することで、除菌対象物が収納された収納部に導入されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量を調整することが可能となる。これにより、除菌対象物が収納された収納部に導入されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量をほぼ同じにすることが可能となり、この結果、除菌対象物に対する除菌を適切に行うことを可能にする。
【0080】
本発明の態様4に係る除菌ケースは、上記態様3において、上記イオン導入部は、上記分離部材により分離されたプラスイオンおよびマイナスイオンのうち、送風により上記空間に導入されるイオンを当該空間に排出する第1イオン排出口49aと、上記第1イオン排出口49aから排出されるイオンと逆極性のイオンを上記空間に排出する第2イオン排出口49bとを有し、上記第2イオン排出口のサイズは、上記第1イオン排出口のサイズより小さいことが好ましい。
【0081】
上記の構成によれば、除菌対象物が収納された収納部に導入されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量を適切に調整することができる。これにより、除菌対象物に対する除菌を適切に行うことができる。
【0082】
本発明の態様5に係る除菌ケースは、上記態様4において、上記第2イオン排出口は、上記第1イオン排出口に近接して形成されていることが好ましい。
【0083】
上記の構成によれば、第1イオン排出口から除菌対象物を収納した空間に排出される風が引き起こす気流によって、第2イオン排出口付近に存在するプラスイオンを上記空間に誘い出すことができるので、プラスイオンが第2イオン排出口から上記空間に排出されやすくなる。
【0084】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、各実施の形態ではファンは通風方向の上流側に位置して風を送り出すようにしているが、通風方向の下流側に位置して風を吸い込むように構成してもよい。また、除菌のために導入されるイオンは、たとえば、+端子に正電圧が印加され、コロナ放電により空気中の水分子が電離して生成される水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH
+(H
2O)mから成るプラスイオンと、−端子に負電圧が印加され、コロナ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して生成される酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO
2−(H
2O)nから成るマイナスイオンなど、除菌効果のあるイオンであればよい。
【0085】
さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。