特許第6215091号(P6215091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215091
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 7/00 20060101AFI20171005BHJP
【FI】
   F25D7/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-44650(P2014-44650)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-169374(P2015-169374A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−146197(JP,A)
【文献】 特開2013−148242(JP,A)
【文献】 特開2014−025623(JP,A)
【文献】 特開2010−202912(JP,A)
【文献】 特開2008−249256(JP,A)
【文献】 特開2004−218958(JP,A)
【文献】 特開2007−229379(JP,A)
【文献】 特開平08−035754(JP,A)
【文献】 米国特許第4204408(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する処理槽、処理槽内の圧力を計測する圧力計測装置、処理槽内の気体を排出する真空発生装置を持ち、処理槽の内部を減圧することで、処理槽に収容した被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、冷却運転時に真空発生装置での減圧能力を調節するために外気を取り込む外気取り込み弁を設けておき、外気取り込み弁の開度を操作することによって減圧能力の調節を行うようにしている真空冷却装置において、
処理槽内が高真空にある状態で処理槽内圧力を目標圧力に保持することを目指し、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも低い場合には前記外気取り込み弁の開度を開く操作を行い、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも高い場合には前記外気取り込み弁の開度を閉じる操作を行うものであって、
外気取り込み弁の操作量は開く側へは小さく動かし、閉じる側へは大きく動かすように操作量に重み付けを行っているものであることを特徴とする真空冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空冷却装置において、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも低いために前記外気取り込み弁の開度を開く操作を行う場合は、外気取り込み弁を所定の時間ごとに操作量Aだけ開く操作を行い処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも高いために前記外気取り込み弁の開度を閉じる操作を行う場合は、外気取り込み弁を所定の時間ごとに操作量Bだけ閉じる操作を行うものであって、外気取り込み弁開操作時の操作量Aは外気取り込み弁閉操作時の操作量Bよりも小さなものとしていることを特徴とする真空冷却装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理された食品などの被冷却物を処理槽内に収容し、処理槽内を減圧することによって被冷却物内の水分を蒸発させ、蒸発による気化熱によって被冷却物を急速に冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第4924147号に記載があるように、被冷却物を収容している処理槽内の気体を外部へ排気し、処理槽内を減圧することで、処理槽内の飽和温度を低下させ、食材からの水分蒸発を促すことにより、その気化熱を利用して食材の冷却を図る真空冷却装置が知られている。給食センターなどにおいては、加熱調理食品を冷却する際に細菌が繁殖しやすい温度帯をできるだけ早く通過させることが要望されており、真空冷却装置であれば短時間で被冷却物の中心部まで冷却が可能であるために広く用いられている。しかし、液状の被冷却物を真空冷却する場合、急激に減圧すると、被冷却物に突沸が発生することになる。その場合には、被冷却物が飛散し、歩留まりが低下するということがあった。
【0003】
真空冷却装置では、真空配管を介して処理槽と真空発生装置を接続しておき、真空発生装置を作動することで処理槽内の気体を排出し減圧するが、真空発生装置のみで減圧速度を調節することは難しい。そのため、途中に外気取り込み弁を設けた外気取り込み用配管を処理槽に接続し、外気取り込み用配管を介して外気を取り込むことで、減圧速度の調節を行うようにしておく。真空発生装置による排気時に外気取り込み弁を開くと、外気取り込み用配管を通して処理槽内へ外気が取り込まれ、真空発生装置では処理槽内の気体に加えて外気取り込み用配管から導入された外気も排気することになる。そのため処理槽内の減圧速度は低下する。外気取り込み弁から導入する外気量を増減することで、処理槽での減圧速度の調節を行うことができ、外気取り込み弁の開度を大きくして外気取り込み量を多くすれば減圧速度はより大きく低下し、外気取り込み弁の開度を小さくして外気取り込み量を少なくすれば減圧速度の低下は小さくなる。減圧時にこのような徐冷制御(外気取り込み弁の操作)を行うことで減圧速度を調節することができ、被冷却物の突沸を防止することができる。
【0004】
また、特許第4924147号の発明は、以下の課題が記載されている。減圧手段の能力にまかせて処理槽内の気体を外部に排気すると、処理槽内圧力が冷却設定温度よりも低い温度の飽和蒸気圧力となるまで、処理槽内は減圧される。従って、食材を冷却し過ぎる恐れがある。また、食材に差し込まれた温度センサ位置によっては温度ムラが生じ、場所によっては過剰な冷却または冷却不足を生じるおそれがある。さらに、食材の種類により温度低下に差があるので、同時に異種食材の冷却を行うと温度ムラが発生し、過剰な冷却または冷却不足を生じる恐れがある。また、同じ食材であっても、大きさや、容器内での位置や詰り具合の差などにより、冷却され易い箇所と冷却され難い箇所とが出現するため、異種食材の場合と同様に、温度ムラなどを生じるおそれがある。
【0005】
特許第4924147号の発明では、上記課題に対し、「冷却目標温度を検出するまで、前記減圧手段により前記処理槽内を減圧後、前記温度センサによる品温が冷却保持温度を維持するか、前記圧力センサによる処理槽内圧力が前記冷却保持温度相当の飽和蒸気圧力を維持するように、前記減圧手段および/または前記復圧手段を制御する制御手段とを備える」ことによって解決するようにしている。この場合、品温が冷却目標温度になるまで処理槽内を減圧後、その品温が冷却保持温度を維持するか、処理槽内圧力が冷却保持温度相当の飽和蒸気圧力を維持するよう制御される。このようにして、減圧手段による処理槽内の減圧レベルが規制されると共に、圧力または温度の維持制御がなされることで、食材の冷却の過不足や温度ムラを抑えることができるというものである。
【0006】
処理槽内圧力を目標圧力に保持するという場合も、前記の徐冷制御時と同様に処理槽内の圧力に基づいて外気取り込み弁の開度を調節し、減圧速度を調節する。外気取り込み弁の操作を適切に行うことで、減圧時の徐冷と圧力保持を行うことができ、冷却の過不足を防止することができる。しかし、高真空状態にある処理槽内の圧力を設定圧力に保持することは簡単ではなかった。処理槽内の圧力を調節するには、真空発生装置は一定能力で作動させた状態で、圧力センサによる計測圧力に基づき外気取り込み弁の開度を調節することで行う。被冷却物では品物の温度低下にともなって蒸気発生量は減少していくなど、状態は常に変化しているため、処理槽内の圧力変化を検出し、減圧速度を調節することで処理槽内の圧力を目標圧力に保つ。外気取り込み弁を開く方向に動かし、外気取り込み弁からの外気取り込み量を増加させると、真空発生装置で処理槽内からの排気量は減少するため、処理槽での減圧速度は低下する。処理槽内からの排気量が被冷却物からの蒸気発生量より少なくなれば、処理槽内の圧力は上昇することになる。処理槽内圧力が目標圧力より低くなっていた場合には、外気の取り込み量を増加して減圧処理槽内の圧力を上昇させる。
【0007】
逆に、外気取り込み弁を閉じる方向に動かし、外気取り込み弁からの外気取り込み量を減少すると、真空発生装置では処理槽内からの排気量が増加するために処理槽内の減圧速度は上昇する。処理槽内圧力が設定圧力より高くなっていた場合には、外気の取り込み量を減少して減圧処理槽内の圧力を低下させる。
【0008】
処理槽内の圧力値に基づいて外気取り込み弁の開度を調節することで、処理槽内圧力は設定圧力を挟んで上下動する曲線を描くように制御するのであるが、図3に記載しているように真空度が不足する側に偏った曲線となりがちであった。この場合、真空度は不足した状態で保持されるものであるため、冷却が不足することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許4924147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、処理槽内を目標圧力に保持する場合、処理槽内圧力と目標とする圧力の偏差が大きくなることを防止し、より精密な圧力制御を行うことのできる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、被冷却物を収容する処理槽、処理槽内の圧力を計測する圧力計測装置、処理槽内の気体を排出する真空発生装置を持ち、処理槽の内部を減圧することで、処理槽に収容した被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、冷却運転時に真空発生装置での減圧能力を調節するために外気を取り込む外気取り込み弁を設けておき、外気取り込み弁の開度を操作することによって減圧能力の調節を行うようにしている真空冷却装置において、処理槽内が高真空にある状態で処理槽内圧力を目標圧力に保持することを目指し、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも低い場合には前記外気取り込み弁の開度を開く操作を行い、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも高い場合には前記外気取り込み弁の開度を閉じる操作を行うものであって、外気取り込み弁の操作量は開く側へは小さく動かし、閉じる側へは大きく動かすように操作量に重み付けを行っているものであることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも低いために前記外気取り込み弁の開度を開く操作を行う場合は、外気取り込み弁を所定の時間ごとに操作量Aだけ開く操作を行い処理槽内の計測圧力が目標圧力よりも高いために前記外気取り込み弁の開度を閉じる操作を行う場合は、外気取り込み弁を所定の時間ごとに操作量Bだけ閉じる操作を行うものであって、外気取り込み弁開操作時の操作量Aは外気取り込み弁閉操作時の操作量Bよりも小さなものとしていることを特徴とする。
【0013】
処理槽内の圧力が高い状態において、外気取り込み弁を比較的大きく開いても真空発生装置による処理槽内の排気量が大きいため、処理槽内では減圧速度が少し低下するだけという場合でも、処理槽内の圧力が低くなった状態においては、外気取り込み弁の開度を同じだけ開くと、処理槽内からの排気量は大幅に低下し、処理槽内では比較的急激な圧力上昇が発生するということになる。例えて言うと、処理槽内の圧力が高い真空冷却初期で徐冷制御を行う場合、真空発生装置では処理槽内から大量の気体を排気することができ、処理槽内から毎秒100の気体を排気しているとして外気取り込み弁から毎秒10の外気を取り込んでも、処理槽内の減圧速度は少し低下する程度である。しかし、冷却工程が進んで処理槽内の圧力が低くなると、真空発生装置は同じように稼働していても処理槽内から排気できる気体量は減少しており、処理槽内から毎秒1の気体しか排気できなくなっている状態においては、外気取り込み弁より10の外気が入ると処理槽内での減圧は進行せず、逆に圧力が上昇するということになる。
【0014】
そのため、減圧時の徐冷制御と同じような感覚で高真空時に圧力保持のための外気取り込み弁の開度操作を行うと、処理槽内の圧力を上昇させる方向には大きな傾きで変化するが、処理槽内の圧力を低下させる方向には小さな傾きでしか変化しないということになる。本発明では、高真空状態で圧力を保持する場合には、外気取り込み弁の開度を開く際と閉じる際で操作量の重み付けを異ならせている。処理槽内の圧力を高めるために外気取り込み弁の開度を開く場合での開度増加量は、処理槽内の圧力を低くするために外気取り込み弁の開度を閉じる場合での開度減少量よりも小さくしている。このようにしておくと、外気取り込み弁を開く場合にはごく僅かな量ずつひらくことになり、処理槽内の圧力が急激に増加することは防止される。そして外気取り込み弁を閉じる場合には、開く場合よりも大きく閉じていくものであるため、処理槽内の圧力をより速く低下させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明を実施することにより、処理槽内の圧力を目標圧力に保つ際には、目標圧力からの偏差が大きくなることを防止でき、目標圧力に対して実際の圧力が高い側に偏ることはなくなる。目標圧力での保持をより精密に行うことができるため、冷却の過不足になることなく、適正な真空冷却を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を実施している真空冷却装置のフロー図
図2】本発明の一実施例における処理槽内の圧力変遷図
図3】従来の真空冷却装置における処理槽内の圧力変遷図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している真空冷却装置のフロー図、図2は本発明の一実施例における処理槽内の圧力変遷図である。真空冷却装置は、被冷却物7を収容する処理槽2と、処理槽2内の気体を排出する真空発生装置1を持つ。真空冷却装置は、処理槽内を減圧することで被冷却物内の水分を蒸発させるものであり、蒸発時の気化熱によって処理槽2に収容した被冷却物7の冷却を行う。
【0018】
真空発生装置1は真空配管9で処理槽2と接続しており、処理槽2内の気体は真空発生装置1を作動することで真空配管9を通して排出する。真空配管9の途中には、処理槽2から吸引してきた気体を冷却するための熱交換器10を設けておく。処理槽から吸引している気体は蒸気を含んでおり、水は蒸気になると体積が大幅に大きくなるため、そのままでは大容積の蒸気を真空発生装置1へ送ることになり、それでは真空発生装置1の効率が悪くなる。そのために真空配管9に熱交換器10を設けており、熱交換器10で吸引気体の冷却を行うことで蒸気を凝縮させ、真空発生装置1で排出しなければならない気体の体積を縮小する。熱交換器10には冷却用の冷水を供給する冷水発生装置11を接続しており、冷水発生装置11と熱交換器10の間で冷水の循環を行わせるようにしている。熱交換器10で分離した凝縮水は、熱交換器10の下方に設置している凝縮水タンク8にためておき、冷却運転終了後に凝縮水タンク8から排出する。
【0019】
また、被冷却物7が液体であった場合、処理槽2内を急激に減圧すると被冷却物7に突沸が発生し、被冷却物が飛び散ることになるため、冷却時に冷却速度を緩やかにする徐冷制御を行えるようにしておく。徐冷制御は、途中に外気取り込み弁3を設けた外気取り込み用配管4を処理槽2に接続しておき、冷却運転中に外気取り込み弁3を開くことで処理槽2内に外気を導入することによって行う。外気取り込み弁3を通じて外気の導入を行うと、処理槽2内での排気量は減少するため、処理槽2内の減圧速度は低下することになる。
【0020】
また、処理槽2には処理槽内の圧力を計測する圧力計測装置5を設けておく。圧力計測装置5で計測した処理槽内の圧力は、真空冷却装置の運転を制御する運転制御装置6へ出力する。運転制御装置6は、真空発生装置1や外気取り込み弁3など、真空冷却装置の各機器を制御することで真空冷却装置の運転を行うものである。運転制御装置6では、経過時間と被冷却物7の温度や圧力計測装置5で計測している処理槽内圧力に基づいて各装置を制御する。
【0021】
徐冷を行わない冷却運転の場合、外気取り込み弁3は閉じた状態で真空発生装置1の能力をそのまま使用して減圧を行い、処理槽内を目標圧力まで低下させる。被冷却物7が突沸の発生を起こさないものであれば、徐冷制御を行わずに冷却する方がより早く冷却することができる。しかし、急速な減圧を行うと被冷却物に突沸が発生するものであれば徐冷制御が必要となる。被冷却物7の突沸を防ぐ徐冷制御を行う場合は、運転制御装置6に経過時間とその時点における処理槽内の目標圧力を設定しておき、圧力計測装置5で計測している処理槽内圧力値が目標圧力になるように外気取り込み弁3の開度を調節することにより、減圧速度を調節しながら冷却運転を行う。
【0022】
徐冷制御を行わない場合でも、処理槽内圧力を目標圧力に保持する場合においても、その圧力を保持するために外気取り込み弁3の開度調節を行う。真空発生装置1の稼働を停止すると処理槽2内の圧力は上昇するが、真空発生装置1の能力そのままで運転を行うと、処理槽内の圧力は過剰に低下することになる。そのため、真空発生装置1の稼働は継続しておき、外気取り込み弁3から取り込む外気量を調節することで減圧速度を調節し、処理槽2内の圧力を目標圧力に保つようにする。
【0023】
圧力調節は、処理槽内圧力が目標圧力よりも低くなると、外気取り込み弁3を開方向に操作することで減圧能力を低下させて処理槽内の圧力を上昇させ、処理槽内圧力が目標圧力よりも高くなると、外気取り込み弁3を閉じる方向に操作することで減圧能力を増加させて処理槽内の圧力を低下させる。その際、目標値よりも計測圧力値が高い場合に外気取り込み弁を閉じる方向に行う操作量と、目標値よりも計測圧力値が低い場合に外気取り込み弁を開く方向に行う操作量は異ならせておく。高真空状態にある場合は、外気取り込み弁の開度を少し拡大するだけでも処理槽内の圧力はすぐに上昇していくが、処理槽内の圧力を低下させようとした場合には、外気取り込み弁の開度を少し閉じてもなかなか処理槽内の圧力は低下しない。そのため外気取り込み弁を開く場合の操作量は小さくし、外気取り込み弁を閉じる場合の操作量は大きくする。
【0024】
例えば、計測圧力が目標圧力よりも低いために処理槽内の圧力を上昇させるという場合には、外気取り込み弁3の開度を毎秒1ずつ開く操作を行い、逆に計測圧力が目標圧力よりも高いために処理槽内の圧力を低下させるという場合には、外気取り込み弁3の開度を毎秒10ずつ閉じる操作を行うように設定しておく。このように設定しておくと、外気取り込み弁3を開く場合は徐々に開き、閉じる場合はより速く閉じていくことになる。
【0025】
図2は、外気取り込み弁の操作量に上記の重み付けを行った場合の圧力値変化状況のイメージ、図3は外気取り込み弁の操作量に上記の重み付けを行っていない場合の圧力値変化のイメージを記載している。図2図3では、真空冷却工程初期の処理槽内圧力が急激に低下している部分から、真空冷却工程中盤の緩やかに低下している部分では同じ動きであるとしている。そして両者は、処理槽内の圧力を目標圧力に保持する真空冷却工程終盤での処理槽内圧力値の変化を拡大して表示している部分では相違点がある。どちらも処理槽内の圧力値は、目標値を挟んで上下している点では同じであるが、傾きと片寄りの点では相違している。
【0026】
外気取り込み弁の操作量に上記の重み付けを行っていない図3は、例えば計測圧力が目標圧力よりも低いために処理槽内の圧力を上昇させるという場合には、外気取り込み弁3の開度を毎秒5ずつ開く操作を行い、逆に計測圧力が目標圧力よりも高いために処理槽内の圧力を低下させるという場合も、外気取り込み弁3の開度を毎秒5ずつ閉じる操作を行うという設定である。この場合、圧力値が上昇する場合の傾きは急なのに対し、圧力を低下させる場合の傾きは緩やかとなっている。外気取り込み弁の操作量に重み付けを行っていないと、外気取り込み弁の操作量は開く場合と閉じる場合で同じように操作することになるが、その場合の作用量は外気取り込み弁を開く場合には大きく現れ、外気取り込み弁を閉じる場合には小さく現れる。そのため傾きが異なることになり、処理槽内の圧力が高くなる方向に大きく入り込む。このことにより、圧力の平均値は目標値よりも高い状態となっている。
【0027】
これに対し、外気取り込み弁の操作量に重み付けを行った図2では、外気取り込み弁を開く方向の操作量はより小さくし、閉じる方向の操作量はより大きくする。処理槽内圧力値の傾きは外気取り込み弁を開く側と閉じる側で同程度になるように外気取り込み弁の操作量に重み付けを行っているので、正弦波に近い波形を描いている。そして目標値に対して処理槽内の圧力値が一方に片寄るということもなく、平均値は目標値に近いものになっている。このようにすることで処理槽内の圧力をより精密に目標圧力付近で保持することができるようになり、冷却の過不足をなくすことができる。
【0028】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 真空発生装置
2 処理槽
3 外気取り込み弁
4 外気取り込み用配管
5 圧力計測装置
6 運転制御装置
7 被冷却物
8 凝縮水タンク
9 真空配管
10 熱交換器
11 冷水発生装置




図1
図2
図3