特許第6215422号(P6215422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6215422
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】連節ブロック用吊り具
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/10 20060101AFI20171005BHJP
   B66C 1/62 20060101ALI20171005BHJP
   B66C 1/12 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   B66C1/10 A
   B66C1/62 H
   B66C1/12 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-176059(P2016-176059)
(22)【出願日】2016年9月9日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】516272294
【氏名又は名称】株式会社セキヤ
(73)【特許権者】
【識別番号】516272342
【氏名又は名称】シダチョー建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正尚
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−198579(JP,A)
【文献】 実開平1−058589(JP,U)
【文献】 特開平08−013448(JP,A)
【文献】 実開平1−162479(JP,U)
【文献】 特開昭62−275991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00 − 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉掛けワイヤーを付設した長尺体から複数の適宜長さのブロック吊りワイヤーを垂設して、連節ブロックに装着する差込杆及び回動ストッパーを備えた吊り具本体を前記ブロック吊りワイヤーに連結してなる連節ブロック用吊り具において、長尺体と吊り具本体の間に前記各ブロック吊りワイヤーが所定間隔で貫通する間隔保持体を介装すると共に、前記間隔保持体が吊り具本体頂部又は頂部近傍で衝突係止され且つ長尺体近傍位置での長尺体に吊り下げ連結可能に設けられてなることを特徴とする連節ブロック用吊り具。
【請求項2】
ブロック吊りワイヤーが等間隔の6本である請求項1記載の連節ブロック用吊り具。
【請求項3】
間隔保持体の中央位置にブロック吊りワイヤーの間隔を調整する長さ調整機構を設けてなる請求項1又は2記載の連節ブロック用吊り具。
【請求項4】
間隔保持体の衝突係止構造を、吊り具本体のワイヤー連結箇所が嵌合係止する係止孔を設けて構成した請求項1乃至3記載の何れかの連節ブロック用吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の護岸工事、法面被覆工事等に採用される連節ブロック張工に使用する吊り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連節ブロックは、千鳥配置して鉄筋(結束線)で連結して固定配置されるものであるが、連節ブロックは相応の重量(単体で数十kg)があるので、クレーン機械で吊り上げて所定の設置個所に運搬設置する。
【0003】
前記の吊り上げ運搬に際して、適宜な吊り具を使用するものであり、当該吊り具は吊り具本体と吊り具本体をクレーン機械で吊下げ可能とする鎖体等の吊下げ用部材で構成されており、吊り具本体は連節ブロックの連結用透孔に差し入れる差込杆と差込杆が差し込まれたブロックを抑える回動ストッパーを備える。
【0004】
特に作業の効率化のために複数のブロックを一括して吊り上げ配置する吊り具も提案されている。例えば特許文献1(特開平9−202586号公報)の図10には、玉掛けワイヤーを付設した長尺体(H鋼)に、6本の鎖体で吊り具本体を吊下げた器具が開示されている。
【0005】
また特許文献2(特開2008−222411号公報)には、単体の吊り具本体を採用せずに、長尺体に複数の差込縦杆及び回動ストッパーを設けた器具が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−202586号公報。
【特許文献2】特開2008−222411号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されているような複数の吊り具本体を並べて吊下げる構造を採用した場合は、器具自体の構造が簡易であり且つ運搬元となるブロック集積箇所で連節ブロックが正確に整列していなくとも連節ブロックへの吊り具本体の装着が容易であるが、設置作業に際して吊下げられている各連節ブロックがバラバラに揺れると、正確な位置決めが煩瑣である。
【0008】
また一方特許文献2に示されている複数の差込杆を備えた器具では、器具の製造が煩瑣であると共に、集積箇所において予め設置配列と一致した整列を行っておく必要があり、作業全体の効率を考慮すると必ずしも便利な器具とは言えない。
【0009】
そこで本発明は、集積箇所での連節ブロックの装着作業並びに工事箇所での設置作業を正確に且つ容易に行うことができる吊り具を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載に係る連節ブロック用吊り具は、玉掛けワイヤーを付設した長尺体から複数の適宜長さのブロック吊りワイヤーを垂設して、連節ブロックに装着する差込杆及び回動ストッパーを備えた吊り具本体を前記ブロック吊りワイヤーに連結してなる連節ブロック用吊り具において、長尺体と吊り具本体の間に前記各ブロック吊りワイヤーが所定間隔で貫通する間隔保持体を介装すると共に、前記間隔保持体が吊り具本体頂部又は頂部近傍で衝突係止され且つ長尺体近傍位置での長尺体に吊り下げ連結可能に設けてられてなることを特徴とするものである。
【0011】
而して前記の吊り具は、玉掛けワイヤーにクレーンフックを引掛けて連節ブロックを集積箇所から設置個所にクレーン機械による吊り上げ運搬を行なうものであり、間隔保持体は前記の運搬設置作業に際して、長尺体の近傍位置での吊り上げ連結状態と、前記連結状態を解除した衝突係止状態を切り替えて使用するものである。
【0012】
連節ブロックの運搬開始前に、間隔保持体は吊り上げ連結状態として、吊り具本体をブロック集積箇所に移動させ、ブロック吊りワイヤーが緩む高さまでおろし、吊り具本体を連接ブロックに装着する。次に間隔保持体を地上まで下して長尺体との連結を解除し、当該状態で連節ブロックの吊り上げ運搬を行う。前記運搬作業に際して間隔保持体は連結状態が解除されているので、連節ブロック吊り上げ作業に伴って吊り具本体の位置又はその近傍まで下がり、衝突して係止される。
【0013】
従って連節ブロックの吊り上げ運搬においては、吊り具本体(=連節ブロック)が間隔保持体によって一定の間隔を保持され、そのままの状態で設置個所においてクレーンで下すと、各連節ブロックは所定位置に設置されることになる。そして連節ブロックの設置を終了すると一旦ブロック吊りワイヤーを緩めて、下がった長尺体に間隔保持体を吊り上げ連結状態として吊り上げ、未だブロック吊りワイヤーが緩んでいるときに設置したブロックから吊り具本体を取り外し、ブロック集積箇所に吊り上げ移動して次のブロックの運搬設置作業に移る。
【0014】
また本発明の請求項2記載の連節ブロック用吊り具は、特にブロック吊りワイヤーを等価間隔の6本とするもので、ブロック3個を同時に運搬設置作業することができ、また両端を除いて4本を使用してブロック2個の同時作業を行うことができる。
【0015】
また本発明の請求項3記載の連節ブロック用吊り具は、間隔保持体の中央位置にブロック吊りワイヤーの間隔を調整する長さ調整機構を設けてなるもので、ブロック運搬設置作業においてブロック間距離を調整することでブロックの曲線配置に対応できる。
【0016】
また本発明の請求項4記載の連節ブロック用吊り具は、間隔保持体の衝突係止構造を、吊り具本体のワイヤー連結箇所が嵌合係止する係止孔を設けて構成したもので、間隔保持体の吊下げ連結を解除した状態でブロック吊り上げ作業を行うと、係止孔に吊り金具本体の頂部が嵌入して自然に係止状態となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成は上記のとおりで、長尺体に複数の連節ブロックを吊下げるワイヤーを設けた吊り具において、途中にワイヤーの間隔保持体を介装するという簡易な構造で、クレーン運搬状態のまま正確な整列設置が可能となり、作業能率を高めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の正面図。
図2】同図(ブロック吊り上げ状態)。
図3】同要部斜視図。
図4】同作業状態説明図(ブロック装着前)。
図5】同図(ブロック装着状態)で(イ)は側面図(ロ)は斜視図。
図6】同間隔保持体の係止状態の説明図。
図7】同正面図(ブロック吊り上げ状態の別例)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施形態につて説明する。実施形態に示した連節ブロック用吊り具は、例えばA型と称される平面視十文字形状の連節ブロック(以下「ブロック」という)Aを対象とし、3個吊り又は2個吊りに本発明を適用する例を示したもので、基本的に長尺体1と吊り具本体2と間隔保持体3で構成され、前記部材を吊り下げワイヤー等で連結してなるものである。
【0020】
長尺体1は、適宜な規格のH鋼(規格表示150×75×5×7mm)で形成された適宜な長さ(3個吊り用として5m)のもので、上面に玉掛けワイヤー11を連結してクレーン機械Bでの吊り上げ運搬を可能としたものである。
【0021】
長尺体1の下面には、6本のブロック吊りワイヤー(以下「ブロックワイヤー」という)12と、間隔保持体3を吊下げる保持体フック13を垂設している。ブロックワイヤー12は、3個のブロックAの設置間隔に対応するブロックAの連結用透孔の位置と一致する間隔で設けたもので、長さを2m程度とし、下端に吊り具本体2を連結したものである。また保持体フック13は、長尺体1の左右対象箇所に2カ所以上設けたもので、約30〜40cm垂下する長さで、先端が後述する間隔保持体3の鉤受部32に着脱可能な構造に設けたものである。
【0022】
吊り具本体2は、縦板板状の吊支部21の下端からブロックAの連結用透孔に挿入可能な構造の差込杆22を前方に突設し、差込杆22の上方に前記差込杆22の上方に鉤状ストッパー部23を回動自在に枢結して突設したものである。また特に吊支部21の上端には山形状通し孔24を形成してブロックワイヤー12の下端を連結してなる。
【0023】
間隔保持体3は、長尺体1の長さと対応した長さの角形鋼管長方形(規格表示4.5×150×80)で形成したもので、ブロックワイヤー12の間隔を保持するために、ブロックワイヤー12が貫通する通過孔31を設けて長尺体1と吊り具本体2の上下間に介装する。特に前記通過孔31の下側通過孔31aは、吊り具本体2の上端部分(ブロックワイヤー12を連結した山形状通し孔24の部分)が嵌合する大きさ及び形状に形成する。
【0024】
また上面には、保持体フック13を掛け止めする鉤受部32を設け、中央位置に長さ調整機構部33を設ける。この長さ調整機構部33は、例えば間欠的に複数の連結孔331を備えた角柱体332を間隔保持体3に抜き差し自在に挿着すると共に、間隔保持体3にボルト孔333を設け、角柱体332と間隔保持体3を貫通するボルト334にナット335を螺合して構成したものである。
【0025】
次に前記の吊り具を使用してブロックAを集積箇所から設置個所に運搬して設置する作業について説明する。
【0026】
吊り具は、玉掛けワイヤー11をクレーン機械Bのクレーンフックに連結して、長尺体1を常時吊り下げた状態で各作業を行うもので、ブロックAの運搬設置作業開始前に、長尺体1を下げて間隔保持体3の鉤受部32に保持体フック13を掛け止めしておく。そして吊り具全体を吊り上げた状態でブロック集積箇所に移動させる(図4:運搬作業開始状態・設置作業終了状態)。
【0027】
そこで吊り具本体2のブロックAへの装着作業を行えるように、ブロックワイヤー12が十分緩む高さまで下げて、吊り具本体2をブロックAに装着する。
【0028】
次に間隔保持体3を地上まで下して鉤受部32から保持体フック13を外してブロックAの吊り上げ運搬を行う。この作業時には間隔保持体3は自由落下状態であるので、吊り具持ち上げに伴って間隔保持体3は吊り具本体2に近接して最終的に衝突することになる。
【0029】
間隔保持体3が吊り具本体2に衝突すると、間隔保持体3の自重で下側通過孔(係止孔)31aに吊り具本体2の頂部が嵌合して、保持間隔体3は吊り具本体2に係止されることになる(図5,6)。
【0030】
前記の間隔保持体3と吊り具本体2が係止状態でブロック設置個所まで吊り上げ運搬され、そのまま設置個所にブロックを下ろして設置する。即ち吊り具本体2(=連節ブロックA)が間隔保持体3によって一定の間隔を保持されているので、ブロックAが横ずれを生ずることなく一定の間隔を保って運搬され設置される。
【0031】
ブロックAの設置作業を終了すると、長尺体1を保持体フック13の掛け止め可能な高さまで下げ、保持体フック13を鉤受部32に掛け止めして引き上げ、間隔保持体3が邪魔にならない状態まで吊り上げた後、設置されたブロックAから吊り具本体2を取り外し、そして吊り具全体を吊り上げてブロック集積箇所まだ旋回移動して次回の運搬作業に入る。
【0032】
このように本吊り具は、複数のブロックAの旋回運搬作業において、間隔保持体3で吊り具本体2の位置が一定に保持されるので、ブロックの揺れによる間隔変更が生じないので、そのまま設置作業を行うことができるものである。
【0033】
また上記説明は1回で3個のブロックAの運搬設置作業の例で説明したが、上記実施形態では、2個のブロックAの運搬も可能であり、その際にはブロックワイヤー12(吊り具本体2)の両端部分を除いた4本で2個のブロックの吊り上げを行うことで実施できる(図7)。
【0034】
特にブロックAの設置が曲面配置の場合には、平面配置の場合とは異なるブロック間隔となるので、その際には長さ調整機構部33による調整(角柱体332の挿入長の変更)で対応することができる。
【0035】
例えば間隔保持体3と吊り具本体2の係止も、係止孔(下側通過孔31a)の嵌合係止に限らず、単なる衝突係止で可能であり、或いは吊り具本体2の頂部近傍のブロックワイヤー12に適宜なストッパー用の突出部分を設けて衝突係止する構成であっても良い。
【0036】
更に吊り具本体2の構成は全く任意であり、ブロックAが着脱装着可能な構造であれば良いし、その構造も使用対象の連節ブロックの規格・形状に対応すれば良いものであり、1回の運搬設置作業のブロック数に対応する吊り具とすることも任意であり、当該作業ブロック数に応じて各部材の数や寸法構成を定めても良いものである。
【符号の説明】
【0037】
1 長尺体
11 玉掛けワイヤー
12 ブロック(吊り)ワイヤー
13 保持体フック
2 吊り具本体
21 吊支部
22 差込杆
23 鉤状スットパー部
24 山形状通し孔
3 間隔保持体
31 通過孔
31a 下側通過孔(係止孔)
32 鉤受部
33 長さ調整機構部
331 連結孔
332 角柱体
333 ボルト孔
334 ボルト
335 ナット
【要約】
【課題】玉掛けワイヤー11を付設した長尺体1から複数の適宜長さのブロック吊りワイヤー12を垂設して、連節ブロックに装着する差込杆及び回動ストッパーを備えた吊り具本体2を前記ブロック吊りワイヤー12に連結して、クレー機械でブロックを集積箇所の設置個所に運搬してブロック設置を行う連節ブロック用吊り具において、クレーン機械に旋回運搬によるブロックの揺れが生じても、正確な設置作業を実現できる吊り具を提供する。
【解決手段】長尺体1と吊り具本体2の間にブロック吊りワイヤー12が所定間隔で貫通する間隔保持体3を介装すると共に、間隔保持体3を吊り具本体2の頂部又は頂部近傍で衝突係止され且つ長尺体1の近傍位置での長尺体1に吊り下げ連結可能に設けてなる
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7