(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215917
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】車載表示装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20171005BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20171005BHJP
B60K 37/06 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/00 Z
B60K37/06
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-512435(P2015-512435)
(86)(22)【出願日】2014年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2014059478
(87)【国際公開番号】WO2014171319
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年10月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-88379(P2013-88379)
(32)【優先日】2013年4月19日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒部 新
(72)【発明者】
【氏名】福谷 和芳
(72)【発明者】
【氏名】安部 高弘
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−077874(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/021406(WO,A1)
【文献】
特開2012−220550(JP,A)
【文献】
特開2000−329577(JP,A)
【文献】
特開平11−312024(JP,A)
【文献】
特開2008−175584(JP,A)
【文献】
特開平10−272993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60K 35/00
B60K 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側から裏面側に向けて第1透明樹脂層(20A)、記号意匠印刷層(21)、スモーク印刷層(22)、第1タッチセンサーシート(23A)および拡散シート(24)を順番に積層したソフトウエアスイッチ領域(19)と、表面側から裏面側に向けて第2透明樹脂層(20B)、第2タッチセンサーシート(23B)および液晶シート(34)を順番に積層した液晶タッチパネル領域(18)とを備える車載表示装置であって、
前記ソフトウエアスイッチ領域(19)は、裏面側から光源(32)の光を当てることで、前記記号意匠印刷層(21)に印刷された記号意匠(21a)を表面側から視認可能に構成され、前記第1透明樹脂層(20A)、前記記号意匠印刷層(21)、前記スモーク印刷層(22)および前記第1タッチセンサーシート(23A)は一体化されて固定され、前記拡散シート(24)は前記第1タッチセンサーシート(23A)と隙間を介して光源ホルダ(30)に固定され、前記ソフトウエアスイッチ領域(19)が操作されたとき、前記液晶タッチパネル領域(18)に操作受け付け可能領域を拡大させることを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
前記ソフトウエアスイッチ領域(19)は、操作を受け付けない非アクティブ状態にあるとき、前記光源(32)を消灯するか前記光源(32)の輝度を低下させることで非アクティブ状態を表示することを特徴とする、請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記第1透明樹脂層(20A)および前記第2透明樹脂層(20B)は連続する同一層で構成されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
第1タッチセンサーシート(23A)および前記第2タッチセンサーシート(23B)は連続する同一シートで構成されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記ソフトウエアスイッチ領域(19)は前記液晶タッチパネル領域(18)よりも運転者に近い位置に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車載表示装置。
【請求項6】
前記ソフトウエアスイッチ領域(19)および前記液晶タッチパネル領域(18)の外部に、前記ソフトウエアスイッチ領域(19)および前記液晶タッチパネル領域(18)が非アクティブ状態にあっても操作可能なハードスイッチ(15,16,17)を備えることを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車載表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側から裏面側に向けて第1透明樹脂層、記号意匠印刷層、スモーク印刷層、第1タッチセンサーシートおよび拡散シートを順番に積層したソフトウエアスイッチ領域と、表面側から裏面側に向けて第2透明樹脂層、第2タッチセンサーシートおよび液晶シートを順番に積層した液晶タッチパネル領域とを備える車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のメータパネルの透明な基板の裏面に意匠透光部を有する透光層を積層し、光源から出て透光層の意匠透光部を通過した光を基板の表面側から視認する車載表示装置において、基板の表面に、暗色化のための半透過層であるスモーク印刷層と、表面側からの入射光を拡散反射するパール印刷層とを積層することで、光源の消灯時に意匠透光部を見え難くするとともに、基板の表面をフラットな銀色の色調にして美観を高めるものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2008−175584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の車載表示装置の画面にタッチセンサーシートを組み込んでスイッチ機能を持たせれば、凹凸のあるハードスイッチを多数設けることが不要になり、車載表示装置の表面をフラット化してすっきりしたデザインを可能にすることができる。しかしながら、タッチセンサーシートを用いたソフトウエアスイッチはハ−ドスイッチに比べて視認性が低く、特に直射日光が当たったような場合に視認し難くなって操作性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車載表示装置のソフトウエアスイッチの視認性および操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、表面側から裏面側に向けて第1透明樹脂層、記号意匠印刷層、スモーク印刷層、第1タッチセンサーシートおよび拡散シートを順番に積層したソフトウエアスイッチ領域と、表面側から裏面側に向けて第2透明樹脂層、第2タッチセンサーシートおよび液晶シートを順番に積層した液晶タッチパネル領域とを備える車載表示装置であって、前記ソフトウエアスイッチ領域は、裏面側から光源の光を当てることで、前記記号意匠印刷層に印刷された記号意匠を表面側から視認可能に構成され、
前記第1透明樹脂層、前記記号意匠印刷層、前記スモーク印刷層および前記第1タッチセンサーシートは一体化されて固定され、前記拡散シートは前記第1タッチセンサーシートと隙間を介して光源ホルダに固定され、前記ソフトウエアスイッチ領域が操作されたとき、前記液晶タッチパネル領域に操作受け付け可能領域を拡大させることを第1の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0007】
また本発明によれば、前記第1の特徴に加えて、前記ソフトウエアスイッチ領域は、操作を受け付けない非アクティブ状態にあるとき、前記光源を消灯するか前記光源の輝度を低下させることで非アクティブ状態を表示することを第2の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0008】
また本発明によれば、前記第1または請求項2の特徴に加えて、前記第1透明樹脂層および前記第2透明樹脂層は連続する同一層で構成されることを第3の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0009】
また本発明によれば、前記第1〜第3の何れか1つの特徴に加えて、第1タッチセンサーシートおよび前記第2タッチセンサーシートは連続する同一シートで構成されることを第4の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0010】
また本発明によれば、前記第1〜第4の何れか1つの特徴に加えて、前記ソフトウエアスイッチ領域は前記液晶タッチパネル領域よりも運転者に近い位置に配置されることを第5の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0011】
また本発明によれば、前記第1〜第5の何れか1つの特徴に加えて、前記ソフトウエアスイッチ領域および前記液晶タッチパネル領域の外部に、前記ソフトウエアスイッチ領域および前記液晶タッチパネル領域が非アクティブ状態にあっても操作可能なハードスイッチを備えることを第6の特徴とする車載表示装置が提案される。
【0012】
尚、実施の形態の電源スイッチ15,ディスク排出スイッチ16および画面切換スイッチ17は本発明のハードスイッチに対応し、実施の形態の透光部21aは本発明の記号意匠に対応する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、車載表示装置は、表面側から裏面側に向けて第1透明樹脂層、記号意匠印刷層、スモーク印刷層、第1タッチセンサーシートおよび拡散シートを順番に積層したソフトウエアスイッチ領域と、表面側から裏面側に向けて第2透明樹脂層、第2タッチセンサーシートおよび液晶シートを順番に積層した液晶タッチパネル領域とを備える。ソフトウエアスイッチ領域は拡散シートを備えるため、光源の輝度を特別に高めることなく、第1透明樹脂層に直射日光が照射したときの視認性を確保することができるだけでなく、記号意匠印刷層の透光部を拡散シートで覆うことで、光源を消灯したときに車載表示装置の内部構造を視認できなくして外観品質を高めることができる。
【0014】
またソフトウエアスイッチはハードスイッチに比べて機械部分が少ないため、耐久性に優れるだけでなく、突出部分を持たないためにデザインの自由度が高くなる。しかも液晶画面よりも視認性が高いソフトウエアスイッチ領域と、種々の画像を表示可能な液晶タッチパネル領域とを併用してスイッチ操作を行うことができるので、視認性および操作性を両立させることができる。
【0015】
しかもソフトウエアスイッチ領域が操作されたとき、液晶タッチパネル領域に操作受け付け可能領域を拡大させるので、ソフトウエアスイッチだけでは賄いきれない細かい操作や複雑な操作を液晶タッチパネル上で行うことが可能となって操作性が更に向上する。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、ソフトウエアスイッチ領域は、操作を受け付けない非アクティブ状態にあるとき、光源を消灯するか光源の輝度を低下させることで非アクティブ状態を表示するので、ソフトウエアスイッチ領域が非アクティブ状態にあるか否かを目視で容易に判断することができる。
【0017】
また本発明の第3の特徴によれば、第1透明樹脂層および第2透明樹脂層は連続する同一層で構成されるので、車載表示装置の表面が段差のないフラットな形状となって意匠性が向上するだけでなく、ソフトウエアスイッチ領域および液晶タッチパネル領域間の指の移動をスムーズに行えるようになって操作性が向上する。
【0018】
また本発明の第4の特徴によれば、第1タッチセンサーシートおよび第2タッチセンサーシートは連続する同一シートで構成されるので、タッチ操作の検出回路や演算処理装置への信号伝達回路を共用化してコストダウンを図ることができる。
【0019】
また本発明の第5の特徴によれば、ソフトウエアスイッチ領域は液晶タッチパネル領域よりも運転者に近い位置に配置されるので、頻度が高い操作や緊急度が高い操作を速やかに行うことができる。
【0020】
また本発明の第6の特徴によれば、ソフトウエアスイッチ領域および液晶タッチパネル領域の外部に、ソフトウエアスイッチ領域および液晶タッチパネル領域が非アクティブ状態にあっても操作可能なハードスイッチを備えるので、第1、第2タッチセンサーシートが起動していない場合であっても、重要度が高い操作や緊急度が高い操作を確実かつ速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は車載表示装置の正面図である。(第1の実施の形態)
【
図2】
図2は
図1の2−2線断面図である。(第1の実施の形態)
【
図3】
図3は車載表示装置の画面を示す図である。(第1の実施の形態)
【符号の説明】
【0022】
15 電源スイッチ(ハードスイッチ)
16 ディスク排出スイッチ(ハードスイッチ)
17 画面切換スイッチ(ハードスイッチ)
18 液晶タッチパネル領域
19 ソフトウエアスイッチ領域
20A 第1透明樹脂層
20B 第2透明樹脂層
21 記号意匠印刷層
21a 透光部(記号意匠)
22 スモーク印刷層
23A 第1タッチセンサーシート
23B 第2タッチセンサーシート
24 拡散シート
32 光源
34 液晶シート
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図3に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の車載表示装置11は、AV装置の表示装置やカーナビゲーション装置の表示装置として用いられるもので、合成樹脂製の枠部12がインストルメントパネル13に形成した開口部13aにはめ込まれて固定される。枠部12の中央には矩形状の表示部14が設けられており、表示部14の上方の枠部12には、CDやDVDを挿入するためのスリット12aが形成され、スリット12aの左右には操作の重要度や緊急度が高い3個のハードスイッチ、つまり、電源をオン/オフするための電源スイッチ15と、CDやDVDを排出するためのディスク排出スイッチ16と、表示部14の画面をオフしたり、表示部14の明るさを昼間用および夜間用に切り換えたりするための画面切換スイッチ17とが設けられる。
【0025】
車載表示装置11の表示部14は、その大部分を占める液晶タッチパネル領域18と、液晶タッチパネル領域18の右側(右ハンドル車両で運転者側)に縦長に形成されたソフトウエアスイッチ領域19とに区画されている。液晶タッチパネル領域18は、主としてテレビ画像や地図を表示する領域であり、ソフトウエアスイッチ領域19は主としてソフトウエアスイッチを表示する領域である。
【0026】
図1の2−2線断面図である
図2に示すように、ソフトウエアスイッチ領域19は、最も表面側(車室側)に位置する第1透明樹脂層20Aと、その裏面に積層された記号意匠印刷層21と、その裏面に積層されたスモーク印刷層22と、その裏面に積層された第1タッチセンサーシート23Aと、その裏面に僅かな隙間を介して積層された拡散シート24とを備える。
【0027】
第1透明樹脂層20Aは透明なポリカーボネート製のパネルで構成される。記号意匠印刷層21は第1透明樹脂層20Aの裏面に黒色等の暗色で印刷されるもので、その一部を印刷しないことで所定の図形や文字が透光部21aとして形成される。この透光部21aは、実施の形態ではホームスイッチ25、ボリュームスイッチ26、メニュースイッチ27およびバックスイッチ28を表示する(
図1参照)。ホームスイッチ25は初期画面に移行するためのスイッチであり、ボリュームスイッチ26は音量を調整するためのスイッチであり、メニュースイッチ27はメニュー画面に移行するためのスイッチであり、バックスイッチ28は前画面に戻るためのスイッチである。
【0028】
スモーク印刷層22は記号意匠印刷層21の裏面にスモーク印刷の手法で印刷されるもので、光を部分的に透過させる半透明層で構成される。ガラスパネルよりなる第1タッチセンサーシート23Aは周知の構造を有するもので、人の指先の接触を静電容量の変化に基づいて検出することでスイッチ機能を発揮する。拡散シート24は、光を一方向に反射せずに拡散させる合成樹脂のシートで構成される。
【0029】
第1透明樹脂層20A、記号意匠印刷層21、スモーク印刷層22および第1タッチセンサーシート23Aは一体化され、枠部12の開口部12bと、枠部12の内部に配置されたステー29とに固定される。また拡散シート24の裏面には容器状の光源ホルダ30が固定されており、拡散シート24および光源ホルダ30が枠部12の内部に配置されたステー29,31に固定される。また光源ホルダ30の底部にはLEDよりなる光源32が設けられる。
【0030】
液晶タッチパネル領域18は、最も表面側(車室側)に位置する第2透明樹脂層20Bと、その裏面に積層された第2タッチセンサーシート23Bと、その後方に配置された液晶ユニット33とを備える。液晶ユニット33の液晶シート34は、第2タッチセンサーシート23Bの裏面に僅かな隙間を介して積層される。ソフトウエアスイッチ領域19の第1透明樹脂層20Aと、液晶タッチパネル領域18の第2透明樹脂層20Bとは、一体に形成された同一部材である。またソフトウエアスイッチ領域19の第1タッチセンサーシート23Aと、液晶タッチパネル領域18の第2タッチセンサーシート23Bとは、一体に形成された同一部材である。枠部12の内部に配置されたステー35に、第2タッチセンサーシート23Bの後面および液晶ユニット33が固定される。
【0031】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0032】
車載表示装置11を操作する上で重要度や緊急度が高い操作を行うためのスイッチ、即ち電源スイッチ15、ディスク排出スイッチ16および画面切換スイッチ17は最も視認性に優れたハードスイッチで構成されるので、その操作が容易になるだけでなく、第1タッチセンサーシート23Aや第2タッチセンサーシート23Bが起動していない場合であっても必要なスイッチ操作を行うことができる。また表示部14の画面操作を行うためのスイッチ、即ちホームスイッチ25、ボリュームスイッチ26、メニュースイッチ27およびバックスイッチ28は、液晶タッチパネル領域18よりも運転者に近い位置にあるソフトウエアスイッチ領域19に纏めて配置されるので、頻度が高い操作や緊急度が高い操作を速やかに行うことができる。
【0033】
またソフトウエアスイッチ領域19は、裏面側から表面側に向かって光拡散シート24、第1タッチセンサーシート23A、スモーク印刷層22、記号意匠印刷層21および第1透明樹脂層20Aを順番に積層した構造を有しており、記号意匠印刷層21は透光部21a以外の部分を光が透過不能であるため、光源ホルダ30の底部に配置した光源32の光は記号意匠印刷層21は透光部21aだけを表面側に通過し、透光部21aの形状に応じたホームスイッチ25、ボリュームスイッチ26、メニュースイッチ27およびバックスイッチ28の図形や文字が第1透明樹脂層20Aの表面に表示される。従って、操作者が所定のスイッチに指先で触れると、静電容量の変化を第1タッチセンサーシート23Aで検出することでスイッチのオン/オフ操作が可能なる。
【0034】
ソフトウエアスイッチ領域19の操作が不能な状態(非アクティブ状態)では、光源32を消灯するか輝度を低下させることで各スイッチの図形や文字が消え、ソフトウエアスイッチ領域19は全体が記号意匠印刷層21の色である黒色になる。このとき、記号意匠印刷層21の透光部21aを通して裏面側の光源32等の内部構造が見えるとソフトウエアスイッチ領域19の美観が損なわれるが、光を部分的に透過させる半透明層で構成されたスモーク印刷層22を記号意匠印刷層21に積層したことで、内部構造が見え難くしてソフトウエアスイッチ領域19の美観が確保される。
【0035】
また光源32からの光で各スイッチが表示されてソフトウエアスイッチ領域19が操作可能になった状態(アクティブ状態)において、第1透明樹脂層20Aの表面に直射日光等の強い光が当たると各スイッチが見え難くなる問題があるが、本実施の形態によれば、光源32の輝度を特別に高めることなく、拡散シート24によって光を拡散させて各スイッチの視認性を確保することができる。しかも拡散シート24は光が透過し難いので、スモーク印刷層22との協働によって非アクティブ時に透光部21aを通して内部構造が見えてしまうのを一層確実に防止するとともに、ソフトウエアスイッチ領域19がアクティブ状態にあるか否かを容易に識別可能にすることができる。
【0036】
また本実施の形態によれば、ソフトウエアスイッチ領域19のスイッチの機能が、液晶タッチパネル領域18のスイッチにより補助される。例えば、
図3に示すように、ソフトウエアスイッチ領域19のボリュームスイッチ26の「+」記号および「−」記号の部分を指先でスライド操作することでボリュームを増減することができるが、その操作をより簡単に行えるようにするために、ボリュームスイッチ26を指先でタップ操作すると液晶タッチパネル領域18の一部にボリューム操作領域36が新たに表示され、このボリューム操作領域36を指先でスライド操作することでボリュームを増減することができる。ボリューム操作領域36はボリュームスイッチ26よりも大きいため、その操作が容易になる。
【0037】
このように、ソフトウエアスイッチ領域19が操作されたとき、液晶タッチパネル領域18に操作受け付け可能領域を拡大させるので、ソフトウエアスイッチだけでは賄いきれない細かい操作や複雑な操作を液晶タッチパネル上で行うことが可能となって操作性が更に向上する。
【0038】
以上のように、ソフトウエアスイッチ領域19および液晶タッチパネル領域18に設けられたソフトウエアスイッチはハードスイッチに比べて機械部分が少ないため、耐久性に優れるだけでなく、突出部分を持たないためにデザインの自由度が高くなる。しかも液晶タッチパネル領域18に比べて視認性が高いソフトウエアスイッチ領域19と、種々の画像を表示可能な液晶タッチパネル領域18とを併用してスイッチ操作を行うことができるので、視認性および操作性を両立させることができる。
【0039】
またソフトウエアスイッチ領域19の第1透明樹脂層20Aおよび液晶タッチパネル領域18の第2透明樹脂層20Bは連続する同一層で構成されるので、表示部14の表面が段差のないフラットな形状となって意匠性が向上するだけでなく、ソフトウエアスイッチ領域19および液晶タッチパネル領域18間の指の移動をスムーズに行えるようになって操作性が向上する。しかもソフトウエアスイッチ領域19の第1タッチセンサーシート23Aおよび液晶タッチパネル領域18の第2タッチセンサーシート23Bは連続する同一シートで構成されるので、タッチ操作の検出回路や演算処理装置への信号伝達回路を共用化してコストダウンを図ることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0041】
例えば、実施の形態では第1透明樹脂層20Aおよび第2透明樹脂層20Bを一部材で構成しているが、それらを別部材に分割しても良い。
【0042】
また実施の形態では第1タッチセンサーシート23Aおよび第2タッチセンサーシート23Bを一部材で構成しているが、それらを別部材に分割しても良い。
【0043】
また本発明のソフトウエアスイッチおよびハードスイッチの機能は実施の形態に限定されるものではない。