特許第6216680号(P6216680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6216680カードリーダおよびカードリーダの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6216680
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】カードリーダおよびカードリーダの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20171005BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   G06K7/08 040
   G06K7/08 050
   G07D9/00 403D
   G07D9/00 461Z
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-86084(P2014-86084)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-207075(P2015-207075A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】保尊 啓志
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/093340(WO,A1)
【文献】 特開平08−272922(JP,A)
【文献】 特開2014−186479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/08
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、前記カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサと、複数の前記金属センサが接続される制御部とを備え、
前記金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、前記コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備え、
前記制御部は、複数の前記金属センサのそれぞれの前記励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記金属センサとして、第1金属センサと第2金属センサとを備え、
前記第1金属センサは、前記励磁用コイルとして第1励磁用コイルを備えるとともに、前記検出用コイルとして第1検出用コイルを備え、
前記第2金属センサは、前記励磁用コイルとして第2励磁用コイルを備えるとともに、前記検出用コイルとして第2検出用コイルを備え、
前記制御部は、前記第1励磁用コイルと前記第2励磁用コイルとに交互に電流を供給することを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2励磁用コイルに電流が供給されているときの前記第1検出用コイルの出力値に基づいて前記第2金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別し、前記第1励磁用コイルに電流が供給されているときの前記第2検出用コイルの出力値に基づいて前記第1金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別することを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
【請求項4】
カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、前記カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサと、複数の前記金属センサと同数の複数の制御部とを備え、
1個の前記制御部には、1個の前記金属センサが接続され、
前記金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、前記コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備え、
複数の前記制御部は、複数の前記金属センサのそれぞれの前記励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とするカードリーダ。
【請求項5】
前記金属センサとして、第1金属センサと第2金属センサとを備え、
前記制御部として、前記第1金属センサが接続される第1制御部と、前記第2金属センサが接続される第2制御部とを備え、
前記第1金属センサは、前記励磁用コイルとして第1励磁用コイルを備えるとともに、前記検出用コイルとして第1検出用コイルを備え、
前記第2金属センサは、前記励磁用コイルとして第2励磁用コイルを備えるとともに、前記検出用コイルとして第2検出用コイルを備え、
前記第1制御部は、前記第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されているときの前記第1検出用コイルの出力値に基づいて前記第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されたのか否かを判別するとともに、前記第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されたと判別すると、前記第1励磁用コイルへの電流の供給を開始し、
前記第2制御部は、前記第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されているときの前記第2検出用コイルの出力値に基づいて前記第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されたのか否かを判別するとともに、前記第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されたと判別すると、前記第2励磁用コイルへの電流の供給を開始することを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記第2励磁用コイルに電流が供給されているときの前記第1検出用コイルの出力値に基づいて、前記第2金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別し、
前記第2制御部は、前記第1励磁用コイルに電流が供給されているときの前記第2検出用コイルの出力値に基づいて、前記第1金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別することを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、前記カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサとを備え、前記金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、前記コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備えるカードリーダの制御方法であって、
複数の前記金属センサのそれぞれの前記励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とするカードリーダの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取やカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。また、本発明は、かかるカードリーダの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データの読取やカードへの磁気データの記録を行うカードリーダが広く利用されている。カードリーダが利用される金融機関等の業界では、従来、犯罪者がカードリーダのカード挿入部に磁気ヘッドを取り付けて、この磁気ヘッドでカードの磁気データを不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。そこで、スキミング用の磁気ヘッド(以下、「スキミング用磁気ヘッド」とする。)がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサを備えるカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダでは、金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、コアに巻回される一対の励磁用コイルおよび検出用コイルとを備えている。この金属センサは、中空状に形成されるカード挿入部の内部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−37555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカードリーダにおいて、カード挿入部の内部に複数の金属センサを配置すれば、スキミング用磁気ヘッドの検知範囲を広げることが可能になり、その結果、スキミングを効果的に防止することが可能になる。しかしながら、複数の金属センサ間の距離が近いと、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部に取り付けられていないにもかかわらず、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部に取り付けられたと誤検知するおそれがある。
【0005】
以下、2個の金属センサがカード挿入部の内部に配置される場合であって、かつ、この2個の金属センサ間の距離が近い場合を例にして、この問題点を具体的に説明する。以下の説明では、2個の金属センサのうちの一方の金属センサを第1金属センサとし、他方の金属センサを第2金属センサとするとともに、第1金属センサの励磁用コイルを第1励磁用コイルとし、第1金属センサの検出用コイルを第1検出用コイルとし、第2金属センサの励磁用コイルを第2励磁用コイルとし、第2金属センサの検出用コイルを第2検出用コイルとする。
【0006】
カード挿入部にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられていないときに、第1励磁用コイルのみに電流が供給されると、たとえば、図7の「状態A」に示すように、第1検出用コイルの出力値は、スキミング用磁気ヘッドの検知閾値th1を超えない値まで上がる。また、第1金属センサと第2金属センサとの距離が近いため(すなわち、第1励磁用コイルと第2検出用コイルとの距離が近いため)、この場合には、第1励磁用コイルが発生させる磁界の影響で、第2検出用コイルの出力値も、スキミング用磁気ヘッドの検知閾値th2を超えない値であって、かつ、第1検出用コイルの出力値よりも小さい値まで上がる。
【0007】
同様に、カード挿入部にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられていないときに、第2励磁用コイルのみに電流が供給されると、たとえば、図7の「状態B」に示すように、第2検出用コイルの出力値は、検知閾値th2を超えない値まで上がる。また、第2励磁用コイルが発生させる磁界の影響で、第1検出用コイルの出力値も、検知閾値th1を超えない値であって、かつ、第2検出用コイルの出力値よりも小さい値まで上がる。
【0008】
また、カード挿入部の、第1金属センサの周辺にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられたときに、第1励磁用コイルのみに電流が供給されると、たとえば、図7の「状態C」に示すように、第1検出用コイルの出力値は、検知閾値th1を超える値まで上がり、第2検出用コイルの出力値も、第1励磁用コイルが発生させる磁界の影響で、検知閾値th2を超えない値まで上がる。同様に、カード挿入部の、第2金属センサの周辺にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられたときに、第2励磁用コイルのみに電流が供給されると、たとえば、図7の「状態D」に示すように、第2検出用コイルの出力値は、検知閾値th2を超える値まで上がり、第1検出用コイルの出力値も、第2励磁用コイルが発生させる磁界の影響で、検知閾値th1を超えない値まで上がる。そのため、第1励磁用コイルのみに電流が供給される場合および第2励磁用コイルのみに電流が供給される場合には、第1検出用コイルの出力値や第2検出用コイルの出力値に基づいて、カード挿入部にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられたことを適切に検知することが可能である。
【0009】
しかしながら、カード挿入部にスキミング用磁気ヘッドが取り付けられていないときに、第1励磁用コイルおよび第2励磁用コイルに電流が供給されると、たとえば、図7の「状態E」に示すように、第1励磁用コイルが発生させる磁界の影響および第2励磁用コイルが発生させる磁界の影響によって、第1検出用コイルの出力値が検知閾値th1を超える値まで上がり、第2検出用コイルの出力値も検知閾値th2を超える値まで上がる場合が生じうる。すなわち、カード挿入部の内部に配置される2個の金属センサ間の距離が近い場合に、第1励磁用コイルおよび第2励磁用コイルに電流が供給されると、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部に取り付けられていないにもかかわらず、スキミング用磁気ヘッドがカード挿入部に取り付けられたと誤検知するおそれがある。
【0010】
なお、2個の金属センサ間の距離を広げれば、このような問題の発生を防止することが可能である。しかしながら、スキミング用磁気ヘッドが取り付けられる位置は、カードに形成される磁気ストライプが通過する位置であるため(すなわち、スキミング用磁気ヘッドが取り付けられる位置は特定されているため)、金属センサ間の距離を広げると、スキミング用磁気ヘッドと金属センサとの距離が長くなるおそれがある。また、スキミング用磁気ヘッドと金属センサとの距離が長くなると、2個の金属センサがカード挿入部の内部に配置されていても、2個の金属センサの両方の検知能力を十分に発揮させることが困難になる。
【0011】
そこで、本発明の課題は、スキミング用磁気ヘッド等の金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサが複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能なカードリーダを提供することにある。また、本発明の課題は、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサが複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能となるカードリーダの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサと、複数の金属センサが接続される制御部とを備え、金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備え、制御部は、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とする。
【0013】
本発明のカードリーダでは、制御部は、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給している。そのため、本発明では、スキミング用磁気ヘッド等の金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かをある金属センサによって検知する際に、他の金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の影響を受けることなく、この金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の変化に基づいて、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かを適切に検知することが可能になる。したがって、本発明では、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサがカードリーダに複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、カードリーダは、たとえば、金属センサとして、第1金属センサと第2金属センサとを備え、第1金属センサは、励磁用コイルとして第1励磁用コイルを備えるとともに、検出用コイルとして第1検出用コイルを備え、第2金属センサは、励磁用コイルとして第2励磁用コイルを備えるとともに、検出用コイルとして第2検出用コイルを備え、制御部は、第1励磁用コイルと第2励磁用コイルとに交互に電流を供給する。
【0015】
本発明において、制御部は、第2励磁用コイルに電流が供給されているときの第1検出用コイルの出力値に基づいて第2金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別し、第1励磁用コイルに電流が供給されているときの第2検出用コイルの出力値に基づいて第1金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別することが好ましい。このように構成すると、第1金属センサや第2金属センサが不正に取り外されていないことを検知するための構成が別途設けられていなくても、第1検出用コイルの出力値に基づいて第2金属センサが不正に取り外されていないことを検知することが可能になり、第2検出用コイルの出力値に基づいて第1金属センサが不正に取り外されていないことを検知することが可能になる。したがって、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサと、複数の金属センサと同数の複数の制御部とを備え、1個の制御部には、1個の金属センサが接続され、金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備え、複数の制御部は、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とする。
【0017】
本発明のカードリーダでは、複数の制御部は、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給している。そのため、本発明では、スキミング用磁気ヘッド等の金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かをある金属センサによって検知する際に、他の金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の影響を受けることなく、この金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の変化に基づいて、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かを適切に検知することが可能になる。したがって、本発明では、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサがカードリーダに複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、カードリーダは、金属センサとして、第1金属センサと第2金属センサとを備え、制御部として、第1金属センサが接続される第1制御部と、第2金属センサが接続される第2制御部とを備え、第1金属センサは、励磁用コイルとして第1励磁用コイルを備えるとともに、検出用コイルとして第1検出用コイルを備え、第2金属センサは、励磁用コイルとして第2励磁用コイルを備えるとともに、検出用コイルとして第2検出用コイルを備え、第1制御部は、第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されているときの第1検出用コイルの出力値に基づいて第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されたのか否かを判別するとともに、第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されたと判別すると、第1励磁用コイルへの電流の供給を開始し、第2制御部は、第2励磁用コイルへの電流の供給が停止されているときの第2検出用コイルの出力値に基づいて第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されたのか否かを判別するとともに、第1励磁用コイルへの電流の供給が停止されたと判別すると、第2励磁用コイルへの電流の供給を開始することが好ましい。このように構成すると、第1制御部と第2制御部との間で、第1励磁用コイルへの電流供給が停止されたことを通知する信号や第2励磁用コイルへの電流供給が停止されたことを通知する信号の通信を行う必要がなくなる。したがって、第1制御部と第2制御部との間の信号線の数を減らすことが可能になり、その結果、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0019】
本発明において、第1制御部は、第2励磁用コイルに電流が供給されているときの第1検出用コイルの出力値に基づいて、第2金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別し、第2制御部は、第1励磁用コイルに電流が供給されているときの第2検出用コイルの出力値に基づいて、第1金属センサが正常位置に設置されているのか否かを判別することが好ましい。このように構成すると、第1金属センサや第2金属センサが不正に取り外されていないことを検知するための構成が別途設けられていなくても、第1検出用コイルの出力値に基づいて第2金属センサが不正に取り外されていないことを検知することが可能になり、第2検出用コイルの出力値に基づいて第1金属センサが不正に取り外されていないことを検知することが可能になる。したがって、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0020】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダの制御方法は、カードの挿入口が形成されるカード挿入部と、カード挿入部の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための複数の金属センサとを備え、金属センサは、磁性材料で形成されるコアと、コアに巻回される励磁用コイルおよび検出用コイルとを備えるカードリーダの制御方法であって、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給することを特徴とする。
【0021】
本発明のカードリーダの制御方法では、複数の金属センサのそれぞれの励磁用コイルに異なるタイミングで電流を供給している。そのため、本発明では、スキミング用磁気ヘッド等の金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かをある金属センサによって検知する際に、他の金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の影響を受けることなく、この金属センサの励磁用コイルが発生させる磁界の変化に基づいて、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたのか否かを適切に検知することが可能になる。したがって、本発明では、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサがカードリーダに複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明では、スキミング用磁気ヘッド等の金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたことを検知するための金属センサがカードリーダに複数設けられる場合であって、かつ、複数の金属センサ間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1にかかるカードリーダの概略構成を説明するための図である。
図2図1に示す金属センサの構成を説明するための図である。
図3図1に示すカードリーダにおいて異物検知処理を行うときの第1金属センサおよび第2金属センサの制御フローの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態2にかかるカードリーダの概略構成を説明するための図である。
図5図4に示すカードリーダにおいて異物検知処理を行うときの第1金属センサの制御フローの一例を示すフローチャートである。
図6図4に示すカードリーダ1において異物検知処理を行うときの第2金属センサの制御フローの一例を示すフローチャートである。
図7】従来技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
[実施の形態1]
(カードリーダの構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカードリーダ1の概略構成を説明するための図である。図2は、図1に示す金属センサ8、9の構成を説明するための図である。
【0026】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行うための装置であり、たとえば、ATM等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、図1に示すように、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4と本体部5とを備えている。カード挿入部4は、本体部5の前端面に取り付けられている。カードリーダ1の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路が形成されている。
【0027】
また、カードリーダ1は、カード2を搬送するためのカード搬送機構(図示省略)と、磁気データの読取および磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う2個の磁気ヘッド6、7と、カード挿入部4の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知するための2個の金属センサ8、9と、2個の金属センサ8、9が接続される制御部10とを備えている。制御部10は、たとえば、CPUであり、ROMおよびRAMを備えている。この制御部10は、カードリーダ1が搭載される上位装置の制御部(上位制御部)11に接続されている。
【0028】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2のおもて面および裏面(すなわち、カード2の両面)には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード2には、ICチップが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0029】
磁気ヘッド6、7は、本体部5の内部に配置されている。磁気ヘッド6は、カード2の裏面に形成される磁気ストライプに当接可能となるように、そのギャップ部がカード搬送路に下側から臨むように配置されている。磁気ヘッド7は、カード2のおもて面に形成される磁気ストライプに当接可能となるように、そのギャップ部がカード搬送路に上側から臨むように配置されている。
【0030】
金属センサ8、9は、中空状に形成されるカード挿入部4の内部に配置されている。本形態では、金属センサ8は、カード搬送路よりも下側に配置され、金属センサ9は、カード搬送路よりも上側に配置されている。また、金属センサ8と金属センサ9とは、カード2の搬送方向(図1の左右方向)とカード2の厚さ方向(図1の上下方向)とに直交するカード2の幅方向(短手幅方向、図1の紙面垂直方向)において、略同じ位置に配置されている。本形態では、金属センサ8と金属センサ9との距離が近くなっている。ただし、金属センサ8と金属センサ9との距離は、金属センサ8が金属センサ9を金属として検知せず、かつ、金属センサ9が金属センサ8を金属として検知しない距離に設定されている。また、金属センサ8、9は、図2に示すように、磁性材料で形成されるコア15と、コア15の中心軸CLを中心に巻回される一対の励磁用コイル16および検出用コイル17とを備えている。
【0031】
コア15は、図2の紙面垂直方向を厚さ方向とする薄板状に形成されている。このコア15は、中心軸CLの軸方向における略中央に配置される中央コア部15aと、中心軸CLの軸方向において中央コア部15aの両端側のそれぞれに配置される一対の軸端コア部15bと、中央コア部15aと軸端コア部15bとの間に配置される拡幅部15cとによって構成されている。中央コア部15aの幅は、軸端コア部15bの幅よりも広くなっている。また、拡幅部15cの幅は、中央コア部15aの幅よりも広くなっている。
【0032】
一対の励磁用コイル16は、一対の軸端コア部15bのそれぞれに巻回されている。検出用コイル17は、中央コア部15aに巻回されている。すなわち、検出用コイル17は、中心軸CLの軸方向において、一対の励磁用コイル16の間でコア15に巻回されている。励磁用コイル16の一端部は、可変抵抗20に電気的に接続されている。可変抵抗20は、交流電源21に電気的に接続されている。励磁用コイル16の他端部は、接地されている。本形態では、制御部10から電流供給信号が出力されると、励磁用コイル16に交流電源21から電力が供給される。すなわち、制御部10は、電流供給信号を出力して励磁用コイル16に電流を供給する。検出用コイル17の両端部は、制御部10の一部を構成する電圧検出回路に電気的に接続されている。
【0033】
金属センサ8、9は、励磁用コイル16が発生させる磁界の変化を検出用コイル17で検出することで、カード挿入部4の周辺に金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知する機能を果たしている。具体的には、金属センサ8は、主として、カード挿入部4の前面側かつカード搬送路よりも下側にスキミング用磁気ヘッド26等の金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知する機能を果たし、金属センサ9は、主として、カード挿入部4の前面側かつカード搬送路よりも上側にスキミング用磁気ヘッド27等の金属材料を含む異物が取り付けられたことを検知する機能を果たしている。
【0034】
そのため、金属センサ8は、金属センサ8の一方の励磁用コイル16が発生させる磁界を表わす磁力線ML1または他方の励磁用コイル16が発生させる磁界を表わす磁力線ML2が、スキミング用磁気ヘッド26等の異物が取り付けられると想定される位置を通過するように配置されている。また、金属センサ9は、金属センサ9の一方の励磁用コイル16が発生させる磁界を表わす磁力線ML1または他方の励磁用コイル16が発生させる磁界を表わす磁力線ML2が、スキミング用磁気ヘッド27等の異物が取り付けられると想定される位置を通過するように配置されている。
【0035】
一対の励磁用コイル16は、金属センサ8、9の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がないときに、磁力線ML1の密度と磁力線ML2の密度とのバランスが取れるように、かつ、磁力線ML1の方向と磁力線ML2の方向とが逆方向になるように励磁されている。すなわち、金属センサ8、9の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド26、27等の異物がないときに、一方の励磁用コイル16が発生させる磁界と他方の励磁用コイル16が発生させる磁界とのバランスが取れるように、可変抵抗20が調整されている。すなわち、金属センサ8、9の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド26、27等の異物がないときに、検出用コイル17の両端部の間に電圧が発生しないように、可変抵抗20が調整されている。そのため、金属センサ8、9の検知可能領域にスキミング用磁気ヘッド26、27の異物が設置されると、その影響で、一方の励磁用コイル16が発生させる磁界と他方の励磁用コイル16が発生させる磁界とのバランスが崩れ、検出用コイル17の両端部の間に電圧が発生する。
【0036】
本形態では、検出用コイル17の両端部の間に発生する電圧の値(電圧値)に基づいて、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4の周辺に取り付けられたことを検知する。すなわち、本形態では、金属センサ8、9の出力値に基づいて、スキミング用磁気ヘッド26、27等の異物がカード挿入部4の周辺に取り付けられたことを検知する。
【0037】
なお、以下の説明では、金属センサ8を「第1金属センサ8」とし、金属センサ9を「第2金属センサ9」とする。また、以下の説明では、第1金属センサ8が備える励磁用コイル16と、第2金属センサ9が備える励磁用コイル16とを区別して表わすときには、第1金属センサ8が備える励磁用コイル16を「第1励磁用コイル16A」とし、第2金属センサ9が備える励磁用コイル16を「第2励磁用コイル16B」と表記する。また、第1金属センサ8が備える検出用コイル17と、第2金属センサ9が備える検出用コイル17を区別して表わすときには、第1金属センサ8が備える検出用コイル17を「第1検出用コイル17A」とし、第2金属センサ9が備える検出用コイル17を「第2検出用コイル17B」とする。
【0038】
(異物検知処理時のカードリーダの制御方法)
図3は、図1に示すカードリーダ1において異物検知処理を行うときの第1金属センサ8および第2金属センサ9の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0039】
本形態のカードリーダ1では、カードリーダ1の電源が投入されてカードリーダ1が起動すると、制御部10は、まず、第1励磁用コイル16Aに対する電流供給信号を出力して、第1励磁用コイル16Aに電流を供給する(ステップS1)。ステップS1では、制御部10は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止している。その後、制御部10は、第1検出用コイル17Aの両端部の電圧値V1を取得する(ステップS2)。すなわち、ステップS2において、制御部10は、第1金属センサ8の出力値を取得する。
【0040】
その後、制御部10は、電圧値V1が所定の閾値Vd1よりも大きいか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3において、電圧値V1が閾値Vd1よりも大きい場合には、制御部10は、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたと判別して、所定の異常処理を行う(ステップS4)。一方、ステップS3において、電圧値V1が閾値Vd1以下である場合には、制御部10は、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられていないと判別して、所定の正常処理を行う(ステップS5)。
【0041】
上述のように、本形態では、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が近くなっているため、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されていなくても、第1励磁用コイル16Aが発生させる磁界の影響で、第2検出用コイル17Bの両端部に電圧が生じているはずである。ステップS4またはS5が終了すると、制御部10は、第2検出用コイル17Bの両端部の電圧値V21を取得する(ステップS6)。すなわち、ステップS6において、制御部10は、第2検出用コイル17Bの出力値を取得する。また、制御部10は、電圧値V21が所定の閾値Vr1よりも大きいか否かを判断する(ステップS7)。
【0042】
ステップS7において、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きい場合には、制御部10は、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第1金属センサ8が正常位置に設置されていると判別して、所定の正常処理を実行してから(ステップS8)、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給を停止する(ステップS9)。一方、ステップS7において、電圧値V21が閾値Vr1以下である場合には、制御部10は、第1金属センサ8が第2金属センサ9から離れた距離に設置されており、第1金属センサ8が正常位置に設置されていないと判別して(すなわち、第1金属センサ8が取り外されたと判別して)、所定の異常処理を実行してから(ステップS10)、ステップS9へ進む。
【0043】
その後、制御部10は、第2励磁用コイル16Bに対する電流供給信号を出力して、第2励磁用コイル16Bに電流を供給する(ステップS11)。その後、制御部10は、第2検出用コイル17Bの両端部の電圧値V2を取得する(ステップS12)。すなわち、ステップS12において、制御部10は、第2金属センサ9の出力値を取得する。その後、制御部10は、電圧値V2が所定の閾値Vd2よりも大きいか否かを判断する(ステップS13)。
【0044】
ステップS13において、電圧値V2が閾値Vd2よりも大きい場合には、制御部10は、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたと判別して、所定の異常処理を行う(ステップS14)。一方、ステップS13において、電圧値V2が閾値Vd2以下である場合には、制御部10は、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられていないと判別して、所定の正常処理を行う(ステップS15)。
【0045】
上述のように、本形態では、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が近くなっているため、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されていなくても、第2励磁用コイル16Bが発生させる磁界の影響で、第1検出用コイル17Aの両端部に電圧が生じているはずである。ステップS14またはS15が終了すると、制御部10は、第1検出用コイル17Aの両端部の電圧値V11を取得する(ステップS16)。すなわち、ステップS16において、制御部10は、第1検出用コイル17Aの出力値を取得する。また、制御部10は、電圧値V11が所定の閾値Vr2よりも大きいか否かを判断する(ステップS17)。
【0046】
ステップS17において、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きい場合には、制御部10は、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第2金属センサ9が正常位置に設置されていると判別して、所定の正常処理を実行してから(ステップS18)、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止する(ステップS19)。一方、ステップS17において、電圧値V11が閾値Vr2以下である場合には、制御部10は、第2金属センサ9が第1金属センサ8から離れた距離に設置されており、第2金属センサ9が正常位置に設置されていないと判別して、所定の異常処理を実行してから(ステップS20)、ステップS19へ進む。また、ステップS19において、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されると、ステップS1に戻る。
【0047】
このように本形態では、制御部10は、第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに交互に電流を供給している。すなわち、制御部10は、2個の第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに異なるタイミングで電流を供給している。また、本形態では、制御部10は、ステップS6、S7において、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別し、ステップS16、S17において、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別している。
【0048】
なお、本形態では、閾値Vd1、Vd2は、個別に設定可能となっている。閾値Vd1、Vd2は、スキミング用磁気ヘッド26、27等の想定される異物の取付位置、材質および大きさ等を考慮して、たとえば、以下のように設定されている。
Vd1=1150(mV)、Vd2=1110(mV)
また、本形態では、閾値Vr1、Vr2は、個別に設定可能となっている。閾値Vr1、Vr2は、第1金属センサ8および第2金属センサ9が正常位置に設置されている状態で、第1励磁用コイル16Aのみに電流を供給したときに第2検出用コイル17Bの両端部に生じる電圧と、第2励磁用コイル16Bのみに電流を供給したときに第1検出用コイル17Aの両端部に生じる電圧とを考慮して、たとえば、以下のように設定されている。
Vr1=500(mV)、Vr2=450(mV)
【0049】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに交互に電流が供給されている。そのため、本形態では、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたのか否かを第1金属センサ8によって検知する際に、第1検出用コイル17Aの電圧値V1は、第2励磁用コイル16Bが発生させる磁界の影響を受けることがない。また、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたのか否かを第2金属センサ9によって検知する際に、第2検出用コイル17Bの電圧値V2は、第1励磁用コイル16Aが発生させる磁界の影響を受けることがない。
【0050】
したがって、本形態では、第1励磁用コイル16Aが発生させる磁界の変化に基づいて、第1金属センサ8によって、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたのか否かを適切に検知することが可能になるとともに、第2励磁用コイル16Bが発生させる磁界の変化に基づいて、第2金属センサ9によって、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたのか否かを適切に検知することが可能になる。その結果、本形態では、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたことを検知するために第1金属センサ8と第2金属センサ9との2個の金属センサ8、9をカードリーダ1が備えており、かつ、第1金属センサ8と第2金属センサ9との間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【0051】
本形態では、制御部10は、ステップS6、S7において、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別し、ステップS16、S17において、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別している。そのため、本形態では、第1金属センサ8や第2金属センサ9が不正に取り外されていないことを検知するための構成が別途設けられていなくても、第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が不正に取り外されていないことを検知することが可能になり、第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が不正に取り外されていないことを検知することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0052】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2にかかるカードリーダ1の概略構成を説明するための図である。図5は、図4に示すカードリーダ1において異物検知処理を行うときの第1金属センサ8の制御フローの一例を示すフローチャートである。図6は、図4に示すカードリーダ1において異物検知処理を行うときの第2金属センサ9の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0053】
実施の形態1では、第1金属センサ8および第2金属センサ9が共通の制御部10に接続されている。これに対して、実施の形態2では、第1金属センサ8および第2金属センサ9がそれぞれ別々の制御部30、40に接続されている。また、第1金属センサ8および第2金属センサ9がそれぞれ別々の制御部30、40に接続されているため、異物検知処理を行うときの第1金属センサ8および第2金属センサ9の制御方法が実施の形態1と実施の形態2とで異なる。以下、この相違点を中心に、実施の形態2にかかるカードリーダ1を説明する。なお、図4では、実施の形態1と共通する構成については同一の符号を付している。また、実施の形態2の説明では、実施の形態1と共通する構成については、その説明を省略または簡略化する。
【0054】
上述のように、本形態では、第1金属センサ8および第2金属センサ9がそれぞれ別々の制御部30、40に接続されている。すなわち、本形態のカードリーダ1は、2個の第1金属センサ8および第2金属センサ9のそれぞれが接続される2個の制御部30、40を備えている。制御部10と同様に、制御部30、40は、たとえば、CPUであり、ROMおよびRAMを備えている。また、制御部30、40は、上位制御部11に接続されている。
【0055】
第1金属センサ8は、制御部30に接続され、第2金属センサ9は、制御部40に接続されている。すなわち、制御部30は、第1励磁用コイル16Aに対する電流供給信号を出力して第1励磁用コイル16Aに電流を供給し、制御部40は、第2励磁用コイル16Bに対する電流供給信号を出力して第2励磁用コイル16Bに電流を供給する。また、第1検出用コイル17Aの両端部は、制御部30の一部を構成する電圧検出回路に電気的に接続され、第2検出用コイル17Bの両端部は、制御部40の一部を構成する電圧検出回路に電気的に接続されている。なお、以下の説明では、制御部30を「第1制御部30」とし、制御部40を「第2制御部40」とする。
【0056】
本形態では、第1励磁用コイル16Aに電流が供給される時間と第2励磁用コイル16Bに電流が供給される時間とが等しくなっている。また、本形態では、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止される最大時間と第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止される最大時間とが等しくなっている。以下の説明では、第1励磁用コイル16A、第2励磁用コイル16Bに電流が供給される時間を時間ΔTonとし、第1励磁用コイル16A、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止される最大時間をΔToffとする。
【0057】
本形態のカードリーダ1では、カードリーダ1の電源が投入されてカードリーダ1が起動すると、図5に示すように、第1制御部30は、まず、第1励磁用コイル16Aに対する電流供給信号を出力して、第1励磁用コイル16Aに電流を供給する(ステップS31)。一方、図6に示すように、カードリーダ1が起動しても、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止している(ステップS51)。その後、第1制御部30は、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が開始されてから時間ΔTonが経過したか否かを判断し(ステップS32)、時間ΔTonが経過すると、第1検出用コイル17Aの両端部の電圧値V1を取得する(ステップS33)。すなわち、ステップS33において、第1制御部30は、第1金属センサ8の出力値を取得する。
【0058】
その後、第1制御部30は、電圧値V1が所定の閾値Vd1よりも大きいか否かを判断する(ステップS34)。ステップS34において、電圧値V1が閾値Vd1よりも大きい場合には、第1制御部30は、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたと判別して、所定の異常処理を行う(ステップS35)。一方、ステップS34において、電圧値V1が閾値Vd1以下である場合には、第1制御部30は、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられていないと判別して、所定の正常処理を行う(ステップS36)。
【0059】
その後、第1制御部30は、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給を停止する(ステップS37)。その後、第1制御部30は、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給を停止したときの時間T1を記憶する(ステップS38)。また、ステップS38では、今回の第1励磁用コイル16Aへの電流の供給停止時に、閾値Vr2よりも大きな第1検出用コイル17Aの電圧値V11を第1制御部30が取得したのか否かを判定するための判定フラグF2を“0”にリセットする。なお、判定フラグF2が“0”である場合には、今回の第1励磁用コイル16Aへの電流の供給停止時に閾値Vr2よりも大きな電圧値V11を第1制御部30が取得しておらず、判定フラグF2が“1”である場合には、今回の第1励磁用コイル16Aへの電流の供給停止時に閾値Vr2よりも大きな電圧値V11を第1制御部30がすでに取得している。
【0060】
その後、第1制御部30は、第1検出用コイル17Aの両端部の電圧値V11を取得する(ステップS39)。すなわち、ステップS39において、第1制御部30は、第1検出用コイル17Aの出力値を取得する。その後、第1制御部30は、判定フラグF2が“0”であるのかそれとも“1”であるのかを判断する(ステップS40)。ステップS40において、判定フラグF2が“0”である場合には、第1制御部30は、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きいか否かを判断する(ステップS41)。
【0061】
ステップS41において、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きい場合には、第1制御部30は、判定フラグF2を“1”に更新してから(ステップS42)、ステップS39へ戻る。なお、ステップS41において、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きいと判断される場合は、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されるととともに、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第2金属センサ9が正常位置に設置されている場合である。
【0062】
一方、ステップS41において、電圧値V11が閾値Vr2以下である場合には、第1制御部30は、ステップS38で記憶した時間T1と現在時間と差が時間ΔToffを超えているか否かを判断する(ステップS43)。ステップS43において、現在時間と時間T1との差が時間ΔToffを超えていない場合には、第1制御部30は、ステップS39で電圧値V11を取得した際に、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が開始されていない可能性があると判断して、ステップS39へ戻る。
【0063】
また、ステップS43において、現在時間と時間T1との差が時間ΔToffを超えている場合には、第1制御部30は、第2金属センサ9が第1金属センサ8から離れた距離に設置されており、第2金属センサ9が正常位置に設置されていないと判別して(すなわち、第2金属センサ9が取り外されたと判別して)、所定の異常処理を実行してから(ステップS44)、ステップS31へ戻る。
【0064】
また、ステップS40において、判定フラグF2が“1”である場合には、第1制御部30は、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きいか否かを判断する(ステップS45)。ステップS45において、電圧値V11が閾値Vr2以下である場合には、第1制御部30は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止していると判別するとともに、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第2金属センサ9が正常位置に設置されていると判別して、所定の正常処理を実行してから(ステップS46)、ステップS31へ戻る。
【0065】
一方、ステップS45において、電圧値V11が閾値Vr2よりも大きい場合には、ステップS39へ戻り、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されて電圧値V11が閾値Vr2以下となるまで、ステップS39、S40、S45を繰り返す。すなわち、本形態では、第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別するための閾値Vr2よりも電圧値V11が大きいことを検知した後に、電圧値V11が閾値Vr2以下となることを検知することで、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。
【0066】
上述のように、カードリーダ1が起動しても、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止している(ステップS51)。その後、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止したときの時間T2を記憶する(ステップS52)。カードリーダ1の起動直後のステップS51では、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されているため、第2制御部40は、カードリーダ1の起動直後のステップS52では、カードリーダ1が起動したときの時間を時間T2として記憶する。
【0067】
また、ステップS52では、今回の第2励磁用コイル16Bへの電流の供給停止時に閾値Vr1よりも大きな第2検出用コイル17Bの電圧値V21を第2制御部40が取得したのか否かを判定するための判定フラグF1を“0”にリセットする。なお、判定フラグF1が“0”である場合には、今回の第2励磁用コイル16Bへの電流の供給停止時に閾値Vr1よりも大きな電圧値V21を第2制御部40が取得しておらず、判定フラグF1が“1”である場合には、今回の第2励磁用コイル16Bへの電流の供給停止時に閾値Vr1よりも大きな電圧値V21を第2制御部40がすでに取得している。
【0068】
その後、第2制御部40は、第2検出用コイル17Bの両端部の電圧値V21を取得する(ステップS53)。すなわち、ステップS53において、第2制御部40は、第2検出用コイル17Bの出力値を取得する。その後、第2制御部40は、判定フラグF1が“0”であるのかそれとも“1”であるのかを判断する(ステップS54)。ステップS54において、判定フラグF1が“0”である場合には、第2制御部40は、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きいか否かを判断する(ステップS55)。
【0069】
ステップS55において、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きい場合には、第2制御部40は、判定フラグF1を“1”に更新してから(ステップS56)、ステップS53へ戻る。なお、ステップS55において、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きいと判断される場合は、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されるととともに、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第1金属センサ8が正常位置に設置されている場合である。
【0070】
一方、ステップS55において、電圧値V21が閾値Vr1以下である場合には、第2制御部40は、ステップS52で記憶した時間T2と現在時間と差が時間ΔToffを超えているか否かを判断する(ステップS57)。ステップS57において、現在時間と時間T2との差が時間ΔToffを超えていない場合には、第2制御部40は、ステップS53で電圧値V21を取得した際に、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が開始されていない可能性があると判断して、ステップS53へ戻る。
【0071】
また、ステップS57において、現在時間と時間T2との差が時間ΔToffを超えている場合には、第2制御部40は、第1金属センサ8が第2金属センサ9から離れた距離に設置されており、第1金属センサ8が正常位置に設置されていないと判別して(すなわち、第1金属センサ8が取り外されたと判別して)、所定の異常処理を実行する(ステップS58)。
【0072】
また、ステップS54において、判定フラグF1が“1”である場合には、第2制御部40は、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きいか否かを判断する(ステップS59)。ステップS59において、電圧値V21が閾値Vr1以下である場合には、第2制御部40は、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止していると判別するとともに、第1金属センサ8と第2金属センサ9との距離が適正な距離であり、第1金属センサ8が正常位置に設置されていると判別して、所定の正常処理を実行する(ステップS60)。
【0073】
一方、ステップS59において、電圧値V21が閾値Vr1よりも大きい場合には、ステップS53へ戻り、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されて電圧値V21が閾値Vr1以下となるまで、ステップS53、S54、S59を繰り返す。すなわち、本形態では、第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別するための閾値Vr1よりも電圧値V21が大きいことを検知した後に、電圧値V21が閾値Vr1以下となることを検知することで、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。
【0074】
ステップS58またはS60が終了すると、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bに対する電流供給信号を出力して、第2励磁用コイル16Bに電流を供給する(ステップS61)。その後、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が開始されてから時間ΔTonが経過したか否かを判断し(ステップS62)、時間ΔTonが経過すると、第2検出用コイル17Bの両端部の電圧値V2を取得する(ステップS63)。すなわち、ステップS63において、第2制御部40は、第2金属センサ9の出力値を取得する。
【0075】
その後、第2制御部40は、電圧値V2が所定の閾値Vd2よりも大きいか否かを判断する(ステップS64)。ステップS64において、電圧値V2が閾値Vd2よりも大きい場合には、第2制御部40は、スキミング用磁気ヘッド26、27等の金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたと判別して、所定の異常処理を行ってから(ステップS65)、ステップS51へ戻る。一方、ステップS64において、電圧値V2が閾値Vd2以下である場合には、第2制御部40は、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられていないと判別して、所定の正常処理を行ってから(ステップS66)、ステップS51へ戻る。
【0076】
なお、ステップS65またはステップS66を経た後のステップS51では、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止する。また、ステップS65またはステップS66を経た後のステップS52では、第2制御部40は、ステップS51において第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止したときの時間T2を記憶する。
【0077】
このように本形態では、第1制御部30は、ステップS37において、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給を停止した後、ステップS45において、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されているときの第1検出用コイル17Aの出力値(すなわち、電圧値V11)に基づいて第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたのか否かを判別する。また、第1制御部30は、電圧値V11が閾値Vr2以下となり、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたと判別すると、ステップS31に戻って第1励磁用コイル16Aへの電流の供給を開始する。
【0078】
また、第2制御部40は、ステップS51において、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を停止した後、ステップS59において、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されているときの第2検出用コイル17Bの出力値(すなわち、電圧値V21)に基づいて第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたのか否かを判別する。また、第2制御部40は、電圧値V21が閾値Vr1以下となり、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたと判別すると、ステップS61へ進んで第2励磁用コイル16Bへの電流の供給を開始する。
【0079】
すなわち、本形態では、第1制御部30および第2制御部40は、第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに交互に電流を供給している。すなわち、第1制御部30および第2制御部40は、2個の第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに異なるタイミングで電流を供給している。また、本形態では、第1制御部30は、ステップS39〜S43において、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別し、第2制御部40は、ステップS53〜S57において、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別している。
【0080】
なお、ΔTonおよびΔToffは、第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに交互に電流を供給することができるように、たとえば、以下のように設定されている。
ΔTon=25(msec)、ΔToff=100(msec)
また、本形態では、第1金属センサ8、第2金属センサ9、第1制御部30および第2制御部40が正常に動作している場合には、第1励磁用コイル16Aに流れる電流と第2励磁用コイル16Bに流れる電流とが25(msec)ごとに切り替わる。なお、ΔToffは、ΔTonよりも長い時間に設定されていることが好ましい。
【0081】
本形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、本形態では、第1励磁用コイル16Aと第2励磁用コイル16Bとに交互に電流が供給されているため、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたことを検知するために第1金属センサ8と第2金属センサ9との2個の金属センサ8、9をカードリーダ1が備えており、かつ、第1金属センサ8と第2金属センサ9との間の距離が近い場合であっても、金属材料を含む異物がカード挿入部4に取り付けられたとの誤検知を防止することが可能になる。
【0082】
また、本形態では、第1制御部30は、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別し、第2制御部40は、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別しているため、第1金属センサ8や第2金属センサ9が不正に取り外されていないことを検知するための構成が別途設けられていなくても、第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が不正に取り外されていないことを検知することが可能になり、第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が不正に取り外されていないことを検知することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0083】
また、本形態では、第1制御部30は、第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別するための閾値Vr2よりも電圧値V11が大きいことを検知した後に、電圧値V11が閾値Vr2以下となることを検知することで、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。すなわち、本形態では、第1制御部30は、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたのか否かを判別している。また、第2制御部40は、第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別するための閾値Vr1よりも電圧値V21が大きいことを検知した後に、電圧値V21が閾値Vr1以下となることを検知することで、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。すなわち、本形態では、第2制御部40は、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたのか否かを判別している。
【0084】
そのため、本形態では、上位制御部11を介して第1制御部30から第2制御部40へ、第1励磁用コイル16Aへの電流供給が停止されたことを通知する信号を送信する必要がなく、また、上位制御部11を介して第2制御部40から第1制御部30へ、第2励磁用コイル16Bへの電流供給が停止されたことを通知する信号を送信する必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1と上位装置との間の信号線の数を減らすことが可能になり、その結果、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0085】
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0086】
実施の形態1では、制御部10は、ステップS2で取得した電圧値V1が閾値Vd1よりも大きいか否かをステップS3で判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別している。この他にもたとえば、制御部10は、ステップS2で取得した電圧値V1と前回のステップS2で取得した電圧値V1との変化量(差)を算出し、この変化量が所定の閾値よりも大きいか否かを判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しても良い。また、実施の形態1では、制御部10は、ステップS12で取得した電圧値V2が閾値Vd2よりも大きいか否かをステップS13で判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しているが、ステップS12で取得した電圧値V2と前回のステップS12で取得した電圧値V2との変化量を算出し、この変化量が所定の閾値よりも大きいか否かを判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しても良い。
【0087】
この場合には、金属センサ8、9の周囲温度が変動しても、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを適切に判別することが可能になる。なお、カードリーダ1の起動直後には、カードリーダ1の起動時の電圧値V1、V2を記憶するとともに、カードリーダ1の起動後の最初のステップS2、S12で取得した電圧値V1、V2とカードリーダ1の起動時の電圧値V1、V2との変化量を算出して、この変化量が所定の閾値よりも大きいか否かを判断すれば良い。
【0088】
同様に、実施の形態2では、第1制御部30は、ステップS33で取得した電圧値V1が閾値Vd1よりも大きいか否かをステップS34で判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しているが、ステップS33で取得した電圧値V1と前回のステップS33で取得した電圧値V1との変化量を算出し、この変化量が所定の閾値よりも大きいか否かを判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しても良い。また、実施の形態2では、第2制御部40は、ステップS63で取得した電圧値V2が閾値Vd2よりも大きいか否かをステップS64で判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しているが、ステップS63で取得した電圧値V2と前回のステップS63で取得した電圧値V2との変化量を算出し、この変化量が所定の閾値よりも大きいか否かを判断することで、金属材料を含む異物がカード挿入部4の周囲に取り付けられたのか否かを判別しても良い。
【0089】
上述した形態では、カードリーダ1は、2個の金属センサ8、9を備えているが、カードリーダ1が備える金属センサの数は、3個以上であっても良い。実施の形態1において金属センサの数が3個以上である場合には、3個以上の金属センサの全てが制御部10に接続され、制御部10は、3個以上の金属センサのそれぞれの励磁用コイル16に異なるタイミングで電流を供給する。すなわち、制御部10は、3個以上の金属センサのそれぞれの励磁用コイル16に順次、電流を供給する。すなわち、制御部10は、3個以上の金属センサの励磁用コイル16の1個ずつに順番で電流を供給する。
【0090】
また、実施の形態2において、金属センサの数が3個以上である場合には、カードリーダ1は、3個以上の金属センサのそれぞれが接続される複数の制御部を備えており、複数の制御部は、3個以上の金属センサのそれぞれの励磁用コイル16に異なるタイミングで電流を供給する。すなわち、複数の制御部は、3個以上の金属センサのそれぞれの励磁用コイル16に順次、電流を供給する。すなわち、複数の制御部は、3個以上の金属センサの励磁用コイル16の1個ずつに順番で電流を供給する。
【0091】
上述した形態では、第1励磁用コイル16Aに電流が供給されているときの第2検出用コイル17Bの出力値に基づいて第1金属センサ8が正常位置に設置されているのか否かを判別し、第2励磁用コイル16Bに電流が供給されているときの第1検出用コイル17Aの出力値に基づいて第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを判別している。この他にもたとえば、第1金属センサ8や第2金属センサ9が正常位置に設置されているのか否かを検知するための検知機構を別途設けても良い。
【0092】
実施の形態2では、第1制御部30は、閾値Vr2よりも電圧値V11が大きいことを検知した後に、電圧値V11が閾値Vr2以下となることを検知することで、第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。また、第2制御部40は、閾値Vr1よりも電圧値V21が大きいことを検知した後に、電圧値V21が閾値Vr1以下となることを検知することで、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止されたことを間接的に検知している。この他にもたとえば、上位制御部11を介して第1制御部30から第2制御部40へ、第1励磁用コイル16Aへの電流供給が停止されたことを通知する信号が送信されても良い。また、上位制御部11を介して第2制御部40から第1制御部30へ、第2励磁用コイル16Bへの電流供給が停止されたことを通知する信号が送信されても良い。
【0093】
実施の形態2では、第1励磁用コイル16Aに電流が供給される時間と第2励磁用コイル16Bに電流が供給される時間とが等しくなっているが、第1励磁用コイル16Aに電流が供給される時間と第2励磁用コイル16Bに電流が供給される時間とが異なっていても良い。また、実施の形態2では、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止される最大時間と第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止される最大時間とが等しくなっているが、第1励磁用コイル16Aへの電流の供給が停止される最大時間と第2励磁用コイル16Bへの電流の供給が停止される最大時間とが異なっていても良い。
【0094】
上述した形態では、金属センサ8、9は、一対の励磁用コイル16(すなわち、2個の励磁用コイル16)を備えているが、金属センサ8、9が備える励磁用コイル16の数は1個でも良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、ユーザが手動でカード2を移動させながら、磁気データの読取や記録を行う手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、本発明の構成が適用されるカードリーダは、カードリーダ内へカード2を差し込む際、あるいは、カードリーダからカード2を引き抜く際に磁気データの読取や記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
【0095】
上述した形態では、カードリーダ1は、磁気ストライプが形成されたカード2を処理するためのカードリーダであるが、カードリーダ1は、磁気ストライプが形成されていない接触式のICカードを処理するためのカードリーダであっても良い。この場合には、たとえば、犯罪者がカードリーダ1の内部からのカード2の抜取りを妨害するための何らかの仕掛けをしてカード2を不正に取得するいわゆるフィッシングを行うための異物(金属材料を含む異物)がカード挿入部4に取り付けられたことが金属センサ8、9によって検知される。
【符号の説明】
【0096】
1 カードリーダ
2 カード
3 挿入口
4 カード挿入部
8 第1金属センサ(金属センサ)
9 第2金属センサ(金属センサ)
10 制御部
15 コア
16 励磁用コイル
17 検出用コイル
30 第1制御部(制御部)
40 第2制御部(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7