(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記緩和構造は、前記配置面又は前記隣接面の、前記フィルムが形成する筒に覆われる部分の縁部のうち、前記フィルムが形成する筒の両側の開口端部に近い2つの側方縁部よりも、前記2つの側方縁部同士の間の中央縁部の方が、前記折曲げ線に近くなっている構造である、請求項4に記載の梱包具。
前記2つの側方縁部のそれぞれと前記中央縁部とは、前記側方縁部から前記中央縁部に近づくにつれて前記折曲げ線に徐々に近づく傾斜部を介して繋がっている、請求項1から3,5のいずれかに記載の梱包具。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態における梱包具について説明する。
【0023】
梱包具は、筒状のフィルムと、例えば段ボール製の板状部材とを組み合わせて構成されている。梱包具は、フィルムにより物品を板状部材に押さえつけることにより、物品を定位置に固定することができる。板状部材を折り曲げた状態で板状部材の接地面とフィルムとの間で広がる隙間に物品を配置できる。板状部材を展開することで、フィルムを張り、フィルムにより物品を固定することができる。
【0024】
梱包具は、板状部材に筒状フィルムが取り付けられた、簡素な構造を有する。梱包具は、容易に製造可能である。板状部材にフィルムを巻き付けて、フィルム同士を固定することでも、製造可能である。
【0025】
梱包具を用いることで、手作業による梱包を容易に行うことができる。また、梱包具は、例えば梱包ラインにおいて多数の物品を連続的に梱包するような場合にも用いることができる。それにより、梱包ラインにおける梱包を容易に行うことができる。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態における梱包具を示す斜視図である。
図2は、第1の実施の形態に係る梱包具の分解斜視図である。
【0028】
以下の説明において、
図1で示される座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)、Z軸方向(XY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
【0029】
図1に示されるように、梱包具1は、板(板状部材の一例)10と、筒状のフィルム30とを有している。板10には、フィルム30が巻かれている。
【0030】
本実施の形態において、板10は、例えば、厚みが5ミリメートル程度の、1枚の段ボール製である。フィルム30は、例えばポリエチレン製で伸縮性(可撓性)を有するフィルムである。フィルム30は、無色透明であるが、これに限られず、いわゆる半透明や不透明であってもよいし、着色されていてもよい。
【0031】
なお、
図1においては梱包具1の展開状態が示されている。展開状態の梱包具1の寸法は、例えば、左右方向が300ミリメートル程度であって、前後方向が180ミリメートル程度である。梱包具1の寸法は、これに限られるものではなく、梱包対象として想定される物品の大きさや種々の用途などに応じて設定される。
【0032】
図2に示されるように、板10には、3本の折曲げ線(折り目;筋)21,23,24が設けられている。すなわち、1本の主折曲げ線21と、2本の副折曲げ線23,24とが形成されている。これらの折曲げ線21,23,24は、例えば、いわゆる筋付けローラーや筋付け刃を押し付けることにより形成される。折曲げ線21,23,24には、ミシン目加工が行われるようにしてもよい。
【0033】
主折曲げ線21は、板10の前後方向の略中央となる位置に、左右方向に平行に(X軸に平行に)配置されている。板10は、主折曲げ線21について、前後両端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0034】
副折曲げ線23は、板10の右端部近傍位置に、前後方向に平行に(Y軸に平行に)配置されている。また、副折曲げ線24は、板10の左端部近傍位置に、前後方向に平行に配置されている。板10は、副折曲げ線23について、右端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。板10は、副折曲げ線24について、左端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、副折曲げ線23、24は、板10の中芯の波状部分の筋方向に平行になり、主折曲げ線21が、中芯の筋方向に直交するように形成されている。すなわち、主折曲げ線21は、中芯の波状部分を横切るようにして形成されている。そのため、主折曲げ線21により板10を折り曲げた場合には、板10が展開状態に戻ろうとする復元力が、比較的大きくなる。
【0036】
板10に主折曲げ線21と副折曲げ線23,24とが設けられていることにより、板10は、次のように区画されている。
【0037】
図3は、板10を模式的に示す平面図である。
【0038】
図3において、各種ハッチングで囲まれた部位が、ここでいう1つの区画に相当する。
図3に示されるように、板10には、梱包される物品50が配置される配置面11と、配置面11に隣接する隣接面12と、2つの立ち上げ部15,16との4つの区画が設けられている。
【0039】
配置面11と隣接面12との間には、主折曲げ線21が配置されている。換言すると、配置面11と隣接面12とは、主折曲げ線21を介して区画されている。配置面11は、板10の前側に、隣接面12は板10の後ろ側に、それぞれ配置されている。立ち上げ部15,16は、副折曲げ線23,24を介して、それぞれ、配置面11及び隣接面12に隣接するように区画されている。立ち上げ部15は、板10のうち、副折曲げ線23よりも右側の部分である。立ち上げ部16は、板10のうち、副折曲げ線24よりも左側の部分である。換言すると、配置面11は、主折曲げ線21より前方の部位であって、副折曲げ線23,24の間にある部位である。また、隣接面12は、主折曲げ線21より後方の部位であって、副折曲げ線23,24の間にある部位である。
【0040】
板10は、隣接面12と立ち上げ部15,16の後方の部位とが、配置面11と立ち上げ部15,16の前方の部位とに対して、主折曲げ線21で折り曲げ可能である。
【0041】
図1に戻って、フィルム30は、板10のうち、主に配置面11と隣接面12とを囲むように配置されている。筒状のフィルム30の幅方向(周方向に直交する方向)が左右方向になるように、フィルム30が配置されている。換言すると、フィルム30は、主折曲げ線21がフィルム30が形成する筒の内部を貫くようにして、板10に巻かれている。
【0042】
フィルム30は、板10に、種々の方法で取り付けられればよい。例えば、予め環状に形成されたフィルム30の内部に板10を通すことでフィルム30が板10に取り付けられる。また、例えば、帯掛包装機などを用いて、板10に対してフィルム30を少なくとも1周巻回し、フィルム30同士を接着することで、フィルム30が板10に取り付けられる。フィルム30が板10に取り付けられている状態で、板10は、各折曲げ線21,23,24で折り曲げ可能である。
【0043】
次に、梱包具1を用いて物品50を梱包する方法について説明する。
【0044】
図4は、板10が折り曲げられた状態の梱包具1を示す斜視図である。
【0045】
図4に示されるように、梱包具1は、主折曲げ線21で隣接面12が配置面11に対して折り曲げられた状態(以下、折曲げ状態ということがある)にされる。梱包具1が折曲げ状態であるとき、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに物品50を配置可能である。すなわち、折曲げ状態では、側面視で、板10の前端部、後端部、及び主折曲げ線21部の折り目部分を直線で結ぶ経路の長さが展開状態よりも小さくなる。折曲げ状態では、この経路と筒状のフィルム30の周の長さとの差が大きくなるため、隣接面12及び配置面11と、フィルム30との間に、隙間Aができる。この隙間Aに、梱包対象となる物品50を配置することができる。
【0046】
折り曲げ角度が大きくなるほど(隣接面12と配置面11とのなす角が小さくなるほど)、上記経路の長さとフィルム30の周の長さとの差が大きくなるが、隣接面12と配置面11との間が狭くなる。そのため、物品50を隙間Aに配置可能な適当な角度まで隣接面12を配置面11に対して折り曲げるようにすればよい。
【0047】
図5は、梱包具1を用いた梱包方法を説明する図である。
【0048】
図5においては、
図1のA−A線における断面が示されている。
図5において上から下に、ステップS11,S12,S13を順にたどるようにして、梱包具1を用いた梱包が行われる。
【0049】
図5に示されるように、展開状態の梱包具1は、平板状である(S11)。この状態から、図に上向き矢印で示されるように、板10を主折曲げ線21において折り曲げて隣接面12を配置面11に近づけ、折曲げ状態にする(折り曲げステップ)。
【0050】
次に、板10が折り曲げられた状態で、配置面11とフィルム30との間の隙間Aに、物品50が配置される(S12;配置ステップ)。
【0051】
その後、図に下向き矢印で示されるように、隣接面12を配置面11に対して展開し、展開状態とする(S13)。そうすると、フィルム30が物品50の上部に接触した状態で張られる。それにより、物品50が板10に押し付けられた状態となる(展開ステップ)。
【0052】
図6は、梱包が行われて展開状態とされた梱包具1を示す斜視図である。
【0053】
図6に示されるように、展開ステップが行われると、側面視で、板10の前端部、後端部、主折曲げ線21部の折り目部分、及び物品50の上部を直線で結ぶ経路の長さが、物品50が配置されていることにより、当初の展開状態よりも大きくなる。フィルム30は、物品50の上部に接触した状態で、若干伸長しながら張られる。そのため、フィルム30により、物品50が板10に押し付けられる。
【0054】
ここで、本実施の形態においては、上記のように展開ステップにするとき、立ち上げ部15,16を副折曲げ線23,24で配置面11に対して折り曲げることによって、立ち上げた状態にすることができる。これにより、隣接面12を配置面11に対して展開させ、それによってフィルム30を張ることができる。なお、展開ステップを行った後で、立ち上げ部15,16を立ち上げてもよい(立ち上げステップ)。
【0055】
図7は、立ち上げ部15,16を立ち上げた状態を示す斜視図である。
【0056】
図7に示されるように、副折曲げ線23,24は主折曲げ線21に板10上で交わるので、立ち上げ部15,16を副折曲げ線23,24で折り曲げると、板10が、配置面11と隣接面12との部分において展開された状態のまま(隣接面12が配置面11に対して略平行となるように展開された状態のまま)で保持される。換言すると、配置面11と隣接面12とが略平行となる状態にならなければ、立ち上げ部15,16を折り曲げることができない。本実施の形態においては、板10上で互いに交わらない2つの副折曲げ線23,24のそれぞれを介して2つの立ち上げ部15,16が設けられているので、両立ち上げ部15,16を折り曲げて立ち上げ状態とすることで、板10が配置面11と隣接面12との部分で展開された状態が、確実に保持される。
【0057】
なお、本実施の形態において、副折曲げ線23,24は、板10の中芯の波状部分の筋方向に平行に配置されているので、副折曲げ線23,24で立ち上げ部15,16を折り曲げた状態が保持されやすくなっている。これにより、容易に梱包を行うことができる。また、例えば、主折曲げ線21にミシン目加工を設けず、副折曲げ線23,24にミシン目加工を設けることにより、副折曲げ線23,24が折り曲げられた状態が維持されやすくなっていてもよい。
【0058】
図8は、梱包具1が外箱70内に収納された状態の梱包体80を示す図である。
【0059】
図8に示されるように、梱包具1は、立ち上げ部15,16が配置面11に対して略垂直に折り曲げられた状態で、外箱70内に収納される。換言すると、外箱70の寸法は、このように立ち上げ部15,16が折り曲げられた状態の梱包具1がぴったりと収納されるように、設定されている。立ち上げ部15,16が配置面11に対して折り曲げられた状態で、梱包具1が外箱70内に収納されていることにより、立ち上げ部15,16が配置面11に対して折り曲げられた状態が保持される。したがって、フィルム30が張られた状態が維持され、物品50が板10上の定位置に確実に保持される。
【0060】
外箱70は、例えば一般的な段ボール箱である。
図8に示される状態では、外箱70の上側の蓋が開いている。外箱70の上側の蓋が閉じられると、略直方体状の梱包体80が完成する。
【0061】
図9は、梱包体80を示す側断面図である。
【0062】
図9においては、外箱70の上下の蓋が閉じられた状態の梱包体80の、XZ平面に平行な断面が示されている。
図9において示されるように、本実施の形態において、梱包具1が外箱70内に収納された状態で、梱包具1の底部すなわち配置面11及び隣接面12と、立ち上げ部15,16の上部とが、外箱70の内面に接触している。特に、梱包具1の底部は、外箱70の内面の底面に接触し、立ち上げ部15,16のそれぞれの上端部は、外箱70の上面の内面に接触している。すなわち、
図7においてh1で示される、立ち上げ部15,16の、副折曲げ線23,24からの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)と、
図7においてh2で示される、外箱70の高さ寸法とが、略等しく設定されている。
【0063】
これにより、外箱70は、立ち上げ部15,16により上下方向に支えられた状態が保たれ、梱包体80が頑丈なものとなる。また、接着剤等を用いることなく、梱包具1の位置が、外箱70の内部で固定される。したがって、輸送時等に梱包体80に振動や外力が加わったり、梱包体80が傾けられたりしても、物品50をしっかりと固定することができる。なお、梱包具1の底部が外箱70の底面に近接し、立ち上げ部15,16の上端部が、外箱70の天面に近接していてもよい。この場合であっても、同様の効果が得られる。
【0064】
また、立ち上げ部15,16は、上方に向けて折り曲げられており、立ち上げ部15,16の上端部は、物品50よりも上方に位置している。すなわち、外箱70の上面と物品とが離れた状態が維持されている。そのため、例えばユーザが梱包体80を開梱するときに、外箱70の上側の蓋を開状態とするためにナイフ等の鋭利な工具を用いたとしても、その工具と物品50とが接触することが防止され、物品50が保護される。
【0065】
なお、梱包具1の板10として、一定程度の厚みがある段ボールなど、クッション性のあるものを利用することが好ましい。それにより、梱包体80に振動や外力が加わっても、物品50に伝達される衝撃の大きさを小さくすることができ、より確実に、物品50を保護することができる。また、板10が厚い方が、折曲げ状態から展開状態に近い自然状態に戻ろうとする復元力が大きくなるので、物品50を固定しやすくなる。
【0066】
以上説明したように、第1の実施の形態においては、梱包具1において、板10を折曲げ状態にして物品50を配置し、再び板10を展開状態にすることで、物品50を定位置に保持させることができる。したがって、容易に物品50の梱包を行うことができる。板10は、一旦折曲げ状態にした後でも、展開状態に近い自然状態に戻ろうとする復元力を発生する。したがって、フィルム30を張るために複雑な手順は必要なく、容易に板10を展開状態にすることができる。
【0067】
梱包具1は、板10と筒状のフィルム30とを組み合わせた簡素な構成を有する。そのため、物品50を固定するために、多くのエネルギを消費する装置や大掛かりな装置を用いる必要がなく、梱包に必要なコストを低減することができる。
【0068】
第1の実施の形態において、梱包具1は、2つの立ち上げ部15,16を立ち上げ状態とすることで、より確実に、物品50が保持された状態を維持することができる。
【0069】
開梱時には、梱包時と逆の手順で、立ち上げ部15,16をもとに戻し、板10を展開状態から折曲げ状態にすればよい。これにより、フィルム30の張りを緩和させ、容易に物品50を取り除くことができる。梱包を行う工程において、フィルムを熱収縮させたり、接着剤を用いたりといった、不可逆な工程は含まれない。したがって、このように容易に梱包及び開梱を行うことができる。また、一旦梱包に使用した梱包具1を再利用して、別の物品50を梱包することができ、経済的である。フィルム30と板10との組み合せに、接着剤等は用いられない。したがって、例えばフィルム30のみが傷んだ場合であっても、新たなフィルム30と交換することにより、梱包具1として再利用することができる。
【0070】
なお、梱包具1は、手作業で梱包を行うような場合にも用いることができるし、工場等で梱包ラインにおいて複数の物品50のそれぞれを連続的に梱包するような場合にも用いることができる。このように梱包ラインにおいて梱包具1をラインに流して用いる場合、そのままでも利用できるが、治具を用いて梱包具1をラインに流すようにしてもよい。
【0071】
図10は、梱包具1を利用した梱包を行うときに利用される治具90の一例を示す斜視図である。
【0072】
図10に示されるように、治具90は、例えば樹脂製のブロック形状を有している。治具90は、上面に、梱包具1の配置面11に対応するサポート面と、隣接面12に対応するサポート面とを有している。2つのサポート面は、所定の角度をなすように配置されている。換言すると、治具90は、2つのサポート面で構成された、主折曲げ線21に対応する左右方向に沿ったV字型溝を有している。
【0073】
梱包具1は、治具90の上面に載せられる。梱包具1の配置面11、隣接面12が、治具90の上面に設けられたサポート面によって支えられる。板10は、治具90により、折曲げ状態となったまま保持される。この状態で、配置面11に物品50を配置することができる。
【0074】
このような治具90は、梱包ラインにおいて梱包具1をラインに流すような場合に用いることができる。手作業で梱包作業を行うような場合において治具90を用いるようにしてもよい。折曲げ状態にしたときに、梱包具1を単独で自立させるのは困難な場合があるが、このような複数のサポート面で梱包具1の板10を折曲げ状態のまま保持できるようにすることで、効率良く梱包作業を行うことができる。
【0076】
第2の実施の形態における梱包具の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、各立ち上げ部が第3の折曲げ線を介して区画されている点が第1の実施の形態とは異なる。
【0077】
図11は、第2の実施の形態に係る梱包具301の分解斜視図である。
【0078】
図11に示されるように、梱包具301は、板(板状部材の一例)310に筒状のフィルム30が取り付けられて構成されている。
【0079】
図12は、板310を模式的に示す平面図である。
【0080】
図12に示されるように、板310には、梱包される物品50が配置される配置面11と、配置面11に隣接する隣接面12と、2つの立ち上げ部315,316とが配置されている。配置面11と隣接面12との間には、主折曲げ線21がある。右側の立ち上げ部315と、配置面11及び隣接面12との間には、副折曲げ線23がある。左側の立ち上げ部316と、配置面11及び隣接面12との間には、副折曲げ線23がある。
【0081】
本実施の形態において、立ち上げ部315には、第3の折曲げ線23b(破線で示す)が設けられている。第3の折曲げ線23bは、副折曲げ線23と略平行である。第3の折曲げ線23bを介して、立ち上げ部315は、さらに2つの区画に分かれている。すなわち、配置面11に隣接する垂直部15aと、垂直部15aに隣接する水平部15bとの2つが、第3の折曲げ線23bを介して配置されている。
【0082】
また、立ち上げ部316には、第3の折曲げ線24b(破線で示す)が設けられている。第3の折曲げ線24bは、副折曲げ線24と略平行である。第3の折曲げ線24bを介して、立ち上げ部316は、さらに2つの区画に分かれている。すなわち、配置面11に隣接する垂直部16aと、垂直部16aに隣接する水平部16bとの2つが、第3の折曲げ線24bを介して配置されている。
【0083】
梱包具301を用いて、上述の第1の実施の形態と同様にして、立ち上げ部315,316を立ち上げるまでの手順を行うことで、物品50を配置面11に固定することができる。梱包具301において、立ち上げ部315,316のうち、少なくとも垂直部15a,16aが配置面11に対して折り曲げられた状態で保持されることで、フィルム30が張られた状態が維持される。したがって、物品50が板210上の定位置に確実に保持される。垂直部15a,16aは、例えば、配置面11に対して垂直に折り曲げられる。
【0084】
図13は、立ち上げ部315,316を立ち上げた状態を示す斜視図である。
【0085】
図13に示されるように、第2の実施の形態において、立ち上げ部315,316において、第3の折曲げ線23b,24bで、垂直部15a,16aに対して、水平部15b,16bを折り曲げることができる。水平部15b,16bは、例えば、配置面11すなわち略水平面に対して平行になるように、垂直部15a,16aに対して折り曲げられる。すなわち、
図23に示されるように、板310は、水平の配置面11及び水平部15bと、垂直の垂直部15aとで、前方から見てU字状(「コ」字状)をなすように、折り曲げられている。また、これと同様に、板310は、水平の配置面11及び水平部16bと、垂直の垂直部15aとで、前方から見てU字状をなすように、折り曲げられている。
【0086】
図14は、梱包体380の一例を示す図である。
【0087】
図14において、物品50を保持する梱包具301が外箱70に収納されて、梱包体380が構成されている。垂直部15a,16aの高さは、外箱70の内側の高さ寸法に合わせて設定されている。換言すると、副折曲げ線23と第3の折曲げ線23aとの間隔や、副折曲げ線24と第3の折曲げ線24aとの間隔は、外箱70の内側の高さ寸法に合わせて設定されている。これにより、
図24に示されるように、梱包具301が外箱70に収納されると、立ち上げ部315,316が上述のように折り曲げられた状態のまま保持される。このとき、垂直部15a,16aは外箱70の側面に沿っており、水平部15b,16bは外箱70の上面に沿っている。そのため、外箱70が梱包具301で支えられ、梱包体380が頑丈なものとなる。特に、水平部15b,16bが外箱70の上面に沿っているので、外箱70に対して上方から強い衝撃が加わっても、外箱70の上面がしっかりと支えられる。したがって、梱包体380の耐衝撃力を向上させることができる。
【0088】
このように、第2の実施の形態においても、配置面11と隣接面12とが近づくように折り曲げられた状態で、隙間Aに物品50を配置することができる。そして、板310を展開状態にすることで、物品50を定位置に保持させることができる。したがって、容易に物品50の梱包を行うことができるという効果をはじめ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、第2の実施の形態においては、上記のように立ち上げ部315,316が設けられている部分を、副折曲げ線23,24と第3の折曲げ線23b,24bとで、前方から見てU字状をなすように折曲げることができる。したがって、梱包具301やそれを外箱70に収納した梱包体380の耐衝撃性を高くすることができる。
【0091】
第3の実施の形態における梱包具の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第3の実施の形態においては、大まかに、板に凹部(切り欠き部)が設けられている点とフィルムの開口端部が立ち上げ部に掛かっている点とが第1の実施の形態とは異なる。
【0092】
図15は、本発明の第3の実施の形態に係る梱包具501を示す斜視図である。
【0093】
図15に示されるように、梱包具501は、板(板状部材の一例)510と、フィルム530とを有している。梱包具501の基本的な構成は上述の梱包具1と同様であり、板510には、フィルム530が巻かれている。
【0094】
第3の実施形態において、板510は、次の点で板10と相違する。主折曲げ線21は、板510の前後中央よりも後ろ側にオフセットされている。すなわち、配置面511は、隣接面512よりも広くなっている。板510の前側と後側との各側縁部に、凹部511a,512aが設けられている。
【0095】
主折曲げ線21が後ろ側にオフセットされていることにより、次の効果が生じる。すなわち、配置面511が広く、梱包具501の重心が主折曲げ線21よりも前方にあるので、略水平の台上などで梱包具501を折曲げ状態にしたとき、配置面511が台上などに設置したままの状態を容易に保持することができる。そのため、専用の治具等を用いなくても、容易に梱包作業を行うことができる。
【0096】
図16は、梱包具501を模式的に示す平面図である。
【0097】
図16は、
図3と同様の方法でハッチング等が施された図である。
図16においては、フィルム530は二点鎖線で示されている。また、主折曲げ線21と副折曲げ線23,24とは、それぞれ一点鎖線で示されている。
【0098】
梱包具501が展開状態であるとき、フィルム530が形成する筒の左右両方の開口端部530aは、立ち上げ部15,16に掛かっている。特に、開口端部530aは、立ち上げ部15,16のうち、副折曲げ線23,24の近傍部位に掛かっている。換言すると、フィルム530の長さ(筒の長さ)は、配置面511の左右方向の幅や隣接面512の左右方向の幅よりも長くなっている。
【0099】
凹部511aは、板510の前方の縁部510mに設けられている。凹部511aは、配置面511の左右略中央部分において、板510の前側の縁部510mのうち前方の部分よりも後方に凹んでいる部分である。換言すると、凹部511aは、配置面511の前縁部の一部を切り欠くようにして形成されている。
【0100】
凹部512aは、板510の後方の縁部510mに設けられている。凹部512aは、隣接面512の左右略中央部分において、板510の後ろ側の縁部510mのうち後方の部分よりも、前方に凹んでいる部分である。換言すると、凹部512aは、隣接面512の前縁部の一部を切り欠くようにして形成されている。
【0101】
板510の前側と後ろ側とのそれぞれの縁部510mは、左右両側の側方縁部510aと、2つの側方縁部510a同士の間の中央縁部510bと、側方縁部510aのそれぞれと中央縁部510bとを接続する2つの傾斜部510cとを有している。側方縁部510aは、フィルム530が形成する筒の両側の開口端部530aに近い部位である。中央端部510bは、2つの側方縁部510aよりも、主折曲げ線21に近くなっている。第3の実施の形態においては、左右両側の側方縁部510aは、直線状に並んでいる。また、中央縁部510bは、側方縁部510aに平行である。側方縁部510a及び中央縁部510bは、主折曲げ線21に平行である。すなわち、凹部511a,512aは、第1の実施の形態の板10の一部を台形形状に切り欠いた形状を有している。
【0102】
2つの傾斜部510cのそれぞれは、側方縁部510aから中央縁部510bに近づくにつれて、主折曲げ線21に徐々に近づくように形成されている。傾斜部510cの側方縁部510aに接続する部位は、円弧状の曲線をなしている。なお、傾斜部510cは、楕円弧状などその他の曲線をなして側方縁部510aに接続していてもよい。また、傾斜部510cに代えて、平面視で主折曲げ線21に略直交する部位や、平面視で側方縁部510aから中央縁部510bに近づくにつれて主折曲げ線21から徐々に離れるように形成された部位が設けられていてもよい。
【0103】
図17は、梱包が行われて立ち上げ部15,16が立ち上げられた梱包具501の一例を示す斜視図である。
【0104】
第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様にして物品の梱包を行うことができる。
図17には、物品50が配置面511に配置された状態で梱包具501が展開された後、立ち上げ部15,16が配置面511に対して折り曲げられた状態が示されている。
図17に示されるように、物品50は、フィルム530により板510に押し付けられることで、板510上に確実に保持される。
【0105】
なお、板510に凹部511a,512aが設けられているところ、物品50の大きさや形状によっては、凹部511a,512a付近でフィルム530が弛むことがある。しかしながら、物品50と副折曲げ線23,24付近(側方縁部510a付近)との間ではフィルム530が張られるので、物品50が確実に保持される。
【0106】
ここで、フィルム530の開口端部530aが立ち上げ部15,16に掛かっている。そのため、立ち上げ部15,16が配置面511に対して折曲げられるときに、フィルム530の開口端部530a近傍の部分も、立ち上げ部15,16と共に副折曲げ線23,24で折り曲げられる。これにより、板510の配置面511及び隣接面512と、フィルム530とで囲まれた空間が構成される。この空間の気密をある程度まで維持することができるので、空間内に配置された物品50に大きな塵等が付着することなどを簡易な構成で防止することができる。
【0107】
図17に示されるような状態で、第1の実施の形態で説明したのと同様にして、梱包具501を外箱内に収納することができる。以下に説明するものも同様である。
【0108】
第3の実施の形態では、梱包具501は、特に高さが高い物品など、大型物品550を梱包するときに有利に利用することができる。
【0109】
図18は、大型物品550を梱包した状態の梱包具501の一例を示す斜視図である。
【0110】
図18に示されるように、大型物品550は、例えば、物品50よりも上下方向の高さが高いものである。なお、大型物品550は、これに限られず、前後、左右、上下のいずれかの方向の寸法が比較的大きいことで梱包しにくいものや、複数個の物がまとめて梱包される場合であって全体として大型になることで梱包しにくいものであってもよい。
【0111】
大型物品550を配置面511に配置した場合には、側面視で、板510の前端部及び後端部(側方縁部510aに相当する位置)、主折曲げ線21部の折り目部分、及び大型物品550の上部を直線で結ぶ経路の長さが、相当に大きくなる。そのため、折曲げ状態から展開状態になるとき、比較的早期にフィルム530が大型物品550の上部に接触した状態になる。そうすると、梱包具501の展開が進められるにつれて、側方縁部510aと大型物品550の上部との間では、フィルム530が比較的強く伸長される。他方、凹部511a,512aや傾斜部510cにおいては、フィルム530が、伸長量が減少するように中央縁部510bや傾斜部510cに沿って変形したり部分的に中央縁部510b側に寄ったりした状態で、大型物品550の上部との間で比較的弱く張られる。梱包材501が展開状態になり、立ち上げ部15,16が立ち上げられると、例えば
図18に示されるようになる。大型物品550を梱包した状態で、中央縁部510bやその周辺部位は、副折曲げ線23,24の近くよりも、フィルム530の張りが弱くなる。大型物品550は、副折曲げ線23,24の近傍部位(側方縁部510aの近傍部位)との間でフィルム530が比較的強く張られることにより、板510に押し付けられた状態で保持される。
【0112】
図19は、大型物品550を梱包した状態の梱包具1の一例を示す斜視図である。
【0113】
図19においては、梱包具501を用いた場合との比較例として、第1の実施の形態に係る梱包具1を用いた場合が示されている。
図19に示されるように、凹部511a,512aが設けられていない場合においては、大型物品550と板10の側縁部との間で、フィルム30が全体的に強く張られる。そのため、梱包することができたとしても、以下の点で改善すべき点がある。すなわち、展開状態にするために大きな力が必要になり、展開状態にした後ではフィルム30の強い復元力に抗してその状態を保持することが必要になる。また、フィルム30が全体的に強く張られるので、フィルム30の表面に広範囲にわたって様々なしわが表れ、梱包された状態の見栄えが悪化する場合がある。
【0114】
これに対し、凹部511a,512aが設けられている梱包具501を用いた場合には、フィルム530は部分的に強く張られるものの、凹部511a,512a付近ではそれほど強くは張られない。そのため、展開状態にするために必要な力や、展開状態のまま保持するための力は比較的小さくなる。すなわち、梱包具501は、フィルム530の張りを部分的に弱くする緩和構造として、凹部511a,512a(中央端部510bが2つの側方縁部510aよりも主折曲げ線21に近くなっている構造)を有している。したがって、比較的大型の物品であっても、容易に梱包することができる。
【0115】
また、フィルム530は、4箇所の側方縁部510aの近傍部位では大型物品550との間で強く張られ、凹部511a,512a付近では比較的弱く張られる。そのため、フィルム530において、目立って見えるしわは、側方縁部510aの近傍部位と大型物品550との間に比較的多く表れ、それ以外の部位には表れにくい。また、目立って見えるしわは、各側方縁部510aの近傍部位と大型物品550との間に多く表れ、規則性がある模様のように見える。したがって、梱包された状態の見栄えを良くすることができる。
【0116】
梱包具501にこのような緩和構造が設けられていることにより、比較的大型の物品であっても、容易に梱包することができる。また、梱包された状態の見栄えを良くすることができる。したがって、単一の大きさのフィルム530を有する梱包具501を用いて、小型の物から大型の物まで幅広い大きさの物品を梱包することができるようになる。
【0117】
なお、傾斜部510cの側方縁部510aに接続する部位は、円弧状の曲線をなしている。したがって、フィルム530が強く張られたときに、この部位に接触する縁部510mからフィルム530に伝わる力が分散される。したがって、フィルム530の保護効果や、フィルム530に当接することに起因する側方縁部510aの傷みを少なくする効果を得ることができる。
【0119】
フィルムの張りを部分的に緩和する緩和構造として機能する凹部は、配置面側と隣接面側とのいずれか一方のみに設けられていてもよい。また、緩和構造は、凹部に代えて、側方線部よりも主折曲げ線に近い中央縁部を介して配置面又は隣接面に対して区画された可倒部であってもよい。この場合、可倒部が配置面と隣接面とのうち中央縁部を介して隣接する面に対して、中央縁部を介して折曲げ可能になればよい。これらのような場合も、上述のような効果を得ることができる。すなわち、比較的大型の物品であっても、容易に梱包することができる。また、梱包された状態の見栄えを良くすることができる。
【0120】
このような第3の実施の形態の変形例について、以下に列挙する。なお、以下の図においても、主折曲げ線や副折曲げ線は一点鎖線で示されており、フィルムは二点鎖線で示されている。
【0121】
図20は、第3の実施の形態の第1の変形例に係る梱包具501aを示す平面図である。
【0122】
図20に示されているように、梱包具501aの板(板状部材の一例)580は、隣接面512側の凹部512aを有しているが、配置面511側には凹部は有していない。なお、板580においては、主折曲げ線21は、前後中央にあるが、これに限られない。
【0123】
図21は、第3の実施の形態の第2の変形例に係る梱包具601を示す平面図である。
【0124】
図21に示されているように、梱包具601の板(板状部材の一例)610において、前後中央にある主折曲げ線21と左右両側の副折曲げ線23,24とで他の部分と区画された、配置面611や隣接面612が設けられている。配置面611と隣接面612とのそれぞれの左右中央部には、凹部に代えて、可倒部611a,612aが設けられている。
【0125】
可倒部612aは、上述の板580における凹部512aに相当する部分と略同様の形状を有する段ボール片である。隣接面612の後ろ側の縁部は、板580の隣接面512と同様に、側方縁部610aと、傾斜部610cと、中央縁部(図において破線で示されている)610bとを有しているといえる。中央縁部610bと傾斜部610cとで隣接面612に対して区画されている部位が、可倒部612aとなる。可倒部612aの後縁部612bは、側方縁部610aと同一の直線上に並ぶ位置にある。可倒部612aと隣接面612とが繋がっている状態から、傾斜部610cに相当する部分に切刃加工を入れ、中央縁部610bに相当する部分にミシン目加工等が施されることにより、隣接面612と可倒部612aとが区画されている。可倒部612aは、中央縁部610bを介して、隣接面612に対して折曲げ可能である。なお、傾斜部610cの側方縁部610aに接続する部分や、可倒部612aの後縁部612bの角部等は、丸みを持った曲線状になるように加工されている。これにより、梱包時のフィルム530の傷みや板610の傷みが防止されている。
【0126】
可倒部611aも、可倒部612aと同様の構成を有しており、配置面611の前側に設けられている。可倒部611aも、配置面611に対して、中央縁部610bを介して折曲げ可能である。
【0127】
このように可倒部611a,612aが設けられていることにより、凹部を設けているのと同様の効果が得られる。すなわち、可倒部611a,612aが配置面611や隣接面612に対して折曲げられることにより、実質的に板610に凹部を設けたのと同様の状態になる。そのため、大型物品550等を梱包するときに、上述のような効果を得られる。他方で、比較的小型の物品50を梱包するときには、可倒部611a,612aが折曲げられていない状態のままにすることにより、上述の第1の実施の形態と同様に、可倒部611a,612aにおけるフィルム530の弛みを小さくすることができる。
【0128】
なお、大型物品550等を梱包するときに、ユーザが事前に可倒部611a,612aを折曲げるようにしてもよい。また、梱包具601が展開状態にされるときに、可倒部611a,612aに接触するフィルム530により力が加わることで可倒部611a,612aが折れ曲がるようにしてもよい。大型物品550等を梱包するときに、ユーザが事前に可倒部611a,612aを板610から切り取り、凹部を設けるようにしてもよい。
【0129】
図22は、第3の実施の形態の第3の変形例に係る梱包具701を示す平面図である。
【0130】
図22に示されているように、梱包具701の板(板状部材の一例)710において、配置面711と隣接面712とが設けられている。配置面711や隣接面712は、前後中央にある主折曲げ線21と左右両側の副折曲げ線23,24とで他の部分と区画されている。板710は、隣接面712側には可倒部712aを有しているが、配置面711側には有していない。可倒部712aは、可倒部612aと同様に、隣接面712の後ろ側の縁部の側方縁部710a、傾斜部710c、及び中央縁部710bのうち、中央縁部710bと傾斜部710cとで隣接面712に対して区画されている。なお、板710においては、板610と比較して、中央縁部710bの位置が主折曲げ線21に近くなっている。
【0131】
図23は、第3の実施の形態の第4の変形例に係る梱包具801を示す平面図である。
【0132】
図23に示されているように、梱包具801の板(板状部材の一例)810において、配置面811と隣接面812とが設けられている。配置面811や隣接面812は、板510と同様に後方にオフセットされた位置にある主折曲げ線21と、左右両側の副折曲げ線23,24とで他の部分と区画されている。配置面811と隣接面812とのそれぞれの左右中央部の縁部には、可倒部811a,812aが設けられている。
【0133】
隣接面812の後ろ側の縁部は、側方縁部810aと、中央縁部810bとを有している。ここで、中央縁部810bは上述の他の変形例と比較して左右に長くなっている。そして、側方縁部810aは、中央縁部810bから側方に近づくにつれて板810の後端部に次第に近づくように形成されている。側方縁部810aは、副折曲げ線23,24の近くの部分で板810の最後端部になり、左右方向に水平になっている。
【0134】
可倒部812aは、中央縁部810bの左右中央部が後方に張り出した形状を有している。可倒部812aの後縁部812bは、板810の最後端部と略同一の直線状に並ぶ。可倒部812aは、中央縁部810bの一部にミシン目加工等が施されることにより隣接面812と区画されている。可倒部812aは、隣接面812に対して折曲げ可能になっている。なお、各部の角部は、上述と同様に、それぞれ丸みを持った曲線状になるように加工されている。
【0135】
可倒部811aも、可倒部812aと同様の構成を有しており、配置面811の前側に設けられている。可倒部811aも、配置面811に対して、中央縁部810bを介して折曲げ可能である。
【0136】
第3の実施の形態において、以上の変形例に示したほかにも、可倒部や凹部の大きさや、可倒部や凹部の具体的形状は、適宜選択することができる。
【0137】
なお、緩和構造として、上述のような可倒部や凹部とは異なる構造を設けることで、隣接面を配置面に対して展開するときにフィルムの張りが適度に緩和されるようにし、フィルムの張りが強くなり過ぎないようにしてもよい。
【0138】
図24は、第3の実施の形態の第5の変形例に係る梱包具901を示す平面図である。
【0139】
図24に示されているように、梱包具901の板(板状部材の一例)910において、配置面911と隣接面912とが設けられている。配置面911や隣接面912は、板710と同様に、前後中央にある主折曲げ線21と左右両側の副折曲げ線23,24とで他の部分と区画されている。
【0140】
配置面911と隣接面912とのそれぞれには、緩和構造が設けられている。すなわち、配置面911には、2つの予備折曲げ線911aが設けられている。また、隣接面912には、2つの予備折曲げ線912aが設けられている。
【0141】
各予備折曲げ線911a,912aは、主折曲げ線21のうち副折曲げ線23又は副折曲げ線24と交差する点(以下、交点21aという)のいずれかと、配置面911や隣接面912の縁部上の点とを結ぶ線分である。すなわち、2つの予備折曲げ線911aのうち右側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線23との交点21aから配置面911の縁部(板910の前縁部)まで直線状に形成されている。2つの予備折曲げ線911aのうち左側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線24との交点21aから配置面911の縁部まで直線状に形成されている。2つの予備折曲げ線912aのうち右側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線23との交点21aから隣接面912の縁部(板910の後縁部)まで直線状に形成されている。2つの予備折曲げ線912aのうち左側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線24との交点21aから隣接面912の縁部まで直線状に形成されている。
【0142】
このような場合も、上述のような効果を得ることができる。具体的には、比較的大型の物品であっても、容易に梱包することができる。また、梱包された状態の見栄えを良くすることができる。すなわち、比較的小型の物品50を梱包する際には、予備折曲げ線911a,912aが設けられている影響なく、上述の第1の実施の形態に示されるようにして梱包を行うことができる。ここで、大型物品550等を梱包するときに、大型物品550が配置面911に配置されて立ち上げ部15,16が立ち上げられて展開状態になるにつれ、フィルム530の張りが強くなる。そうすると、配置面911の中央部(主折曲げ線21と、2つの予備折曲げ線911aと、配置面911の縁部とで囲まれる部位)と、隣接面912の中央部(主折曲げ線21と、2つの予備折曲げ線912aと、隣接面912の縁部とで囲まれる部位)は、若干折れ曲がったままで十分に展開されない状態(配置面911の中央部と隣接面912の中央部とがなす角度が略180度にはならない状態)になる。そして、立ち上げ部15,16が立ち上げられた状態では、各予備折曲げ線911a,912aは、上面視で山折りに若干折れ曲がる。また、立ち上げ部15,16部分は、主折曲げ線21部分を境に、前後両端部が左右中央側に位置するように、若干折れ曲がる。このように、配置面911の中央部と隣接面912の中央部とが若干折れ曲がったままになることで、フィルム530の一部分の張りの強さが若干緩和され、上述のような効果を得ることができる。
【0143】
なお、予備折曲げ線911a,912aの位置(主折曲げ線21に対する角度)は、フィルム530の張りが適度に緩和されるように、用いるフィルム530の寸法、材質や板1010の材質等の種々の要因に応じて適宜決定されればよい。緩和構造は、配置面911側と隣接面912側とのいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0144】
予備折曲げ線は、1本のみが設けられていたり、立ち上げ部15,16のいずれか一方側においてのみ設けられていてもよい。このような場合であっても、板910が予備折曲げ線で上面視で山折りに若干折れ曲がり、配置面911や隣接面912が若干そり曲がることにより、フィルム530の張りが部分的に弱くなる。各予備折曲げ線は、必ずしも直線状に限られず、若干湾曲していたり折れ曲がったりしていてもよい。
【0145】
図25は、第3の実施の形態の第6の変形例に係る梱包具1001を示す平面図である。
【0146】
図25に示されている例では、前後2本の主折曲げ線21,22が設けられている。板1010の中央の配置面1011の前側に、主折曲げ線21を介して、隣接面1012が設けられている。配置面1011の後ろ側に、主折曲げ線22を介して、隣接面1013が、設けられている。このように、上述の各実施の形態においては、主折曲げ線が2本であり、配置面の両側に主折曲げ線を介して隣接面が設けられていてもよい。
【0147】
図25に示されているように、梱包具1001の板1010は、配置面1011や2つの隣接面1012,1013は、2つの主折曲げ線21,22と左右両側の副折曲げ線23,24とで他の部分と区画されている。梱包具1001は、配置面1011に対して2つの隣接面1012,1013を折曲げた状態で配置面1011に物品50を配置し、立ち上げ部15,16を立ち上げて隣接面1012,1013を広げて板1010を展開状態にすることにより、フィルム530を張って物品50を板1010に固定することができるようになっている。
【0148】
ここで、梱包具1001には、フィルム530の張りを適度に緩和するための緩和構造が設けられている。緩和構造は、配置面1011及び2つの隣接面1012,1013の中で最前部に位置する隣接面1012と最後部に位置する隣接面1013とに設けられている。すなわち、隣接面1012には、2つの予備折曲げ線1012aが設けられている。また、隣接面1013には、2つの予備折曲げ線1013aが設けられている。
【0149】
各予備折曲げ線1012aは、隣接面1012を区画する主折曲げ線21のうち副折曲げ線23又は副折曲げ線24と交差する点(以下、交点21aという)のいずれかと、隣接面1012の縁部(板1010の前縁部)上の点とを結ぶ線分である。すなわち、2つの予備折曲げ線1012aのうち右側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線23との交点21aから隣接面1012の縁部まで直線状に形成されている。2つの予備折曲げ線1012aのうち左側のものは、主折曲げ線21と副折曲げ線24との交点21aから隣接面1012の縁部まで直線状に形成されている。また、各予備折曲げ線1013aは、隣接面1013を区画する主折曲げ線22のうち副折曲げ線23又は副折曲げ線24と交差する点(以下、交点22aという)のいずれかと、隣接面1013の縁部(板1010の後縁部)上の点とを結ぶ線分である。すなわち、2つの予備折曲げ線1013aのうち右側のものは、主折曲げ線22と副折曲げ線23との交点22aから隣接面1013の縁部まで直線状に形成されている。2つの予備折曲げ線1013aのうち左側のものは、主折曲げ線22と副折曲げ線24との交点22aから隣接面1013の縁部まで直線状に形成されている。
【0150】
このような場合も、上述のような効果を得ることができる。具体的には、比較的大型の物品であっても、容易に梱包することができる。また、梱包された状態の見栄えを良くすることができる。すなわち、大型物品550等を梱包するときに、大型物品550が配置面1011に配置されて立ち上げ部15,16が立ち上げられて展開状態になるにつれ、フィルム530の張りが強くなる。そうすると、隣接面1012の中央部(主折曲げ線21と、2つの予備折曲げ線1012aと、配置面1012の縁部とで囲まれる部位)及び隣接面1013の中央部(主折曲げ線22と、2つの予備折曲げ線1013aと、配置面1013の縁部とで囲まれる部位)は、配置面1011に対して若干折れ曲がったままで十分に展開されない状態になる。そして、立ち上げ部15,16が立ち上げられた状態では、各予備折曲げ線1012a,1013aは、上面視で山折りに若干折れ曲がる。また、立ち上げ部15,16のうち、主折曲げ線21よりも前側の部分と主折曲げ線22よりも前側の部分とは、主折曲げ線21,22を境に、左右中央側に向けて若干折れ曲がる。このように、隣接面1012の中央部と隣接面1013の中央部とが若干折れ曲がったままになることで、フィルム530の一部分の張りの強さが若干緩和され、上述のような効果を得ることができる。
【0151】
なお、
図25に示されるような梱包具1001においても、緩和構造は、隣接面1012と隣接面1013とのいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0153】
主折曲げ線の数や位置、副折曲げ線の数や位置は、上述のものに限られない。主折曲げ線は1つ以上設けられていればよい。副折曲げ線は、設けられていなくてもよい。すなわち、配置面に加えて、それに隣接する1つ又は2つの隣接面が設けられていればよい。また、隣接面に隣接し、折曲げ状態でその隣接面に対して折り曲げられる他の隣接面が設けられていてもよい。立ち上げ部は、1つであってもよいし、設けられていなくてもよい。いずれの場合であっても、板を折曲げ状態とすることで生じた隙間に物品を配置した後、板を展開状態にすることでその物品を固定することができ、容易に梱包作業を行うことができる。
【0154】
上述の各実施の形態に含まれるそれぞれの特徴点を適宜組み合わせて梱包材を構成してもよい。
【0155】
例えば、第3の実施の形態において、フィルムとして配置面と隣接面とのみを覆う短いものであって、立ち上げ部に掛からないようなものが用いられていてもよい。また、第3の実施の形態において、立ち上げ部が1つのみ(副折曲げ線が1つのみ)であったり、立ち上げ部が無くてもよい。すなわち、配置面と隣接面との少なくとも1つにおいて、フィルムが形成する筒に覆われる部分の縁部のうち、フィルムが形成する筒の両側の開口端部に近い2つの側方縁部よりも、2つの側方縁部同士の間の中央縁部の方が、折曲げ線に近くなるように構成されていればよい。これにより、比較的大型の物品であっても、展開状態にするために必要な力や、展開状態のまま保持するための力は比較的小さくなり、容易に梱包することができるという効果を得ることができる。また、梱包された状態の見栄えを良くすることができるという効果を得ることができる。
【0156】
主折曲げ線が2本であり、配置面の両側に主折曲げ線を介して隣接面が設けられている場合において、緩和構造として、いずれか一方の配置面に凹部や可倒部を設けてもよいし、両方の配置面に凹部や可倒部を設けてもよい。
【0157】
板やフィルムの材質は、上述の実施の形態に限られるものではない。板として、段ボールのほか、厚紙類を用いてもよい。板は、折り曲げられ、その後再び展開できる板状部材であればよい。フィルムは、それぞれ筒状に構成された複数のものが1つの板に組み合わされるようにしてもよい。
【0158】
板の寸法や、フィルムの周長は、梱包対象となる物品に応じて適宜変更可能である。板は、矩形に限られず、また、三角形であっても五角形以上であってもよい。フィルムの周長は、板を折曲げ状態にしたときに物品を配置でき、その後展開状態とすることでフィルムにテンションがかかるような範囲で、適宜設定することができる。
【0159】
伸縮性フィルムに代えて、筒状に構成されたフィルム状の部材が用いられてもよい。複数のフィルムが、主折曲げ線の長手方向に並んで配置されていてもよい。
【0160】
外箱は、上述のような段ボール製のものに限られず、種々の形態のものを用いることができる。
【0161】
例えば薄型の物品を、上述の実施の形態の梱包具を用いて板に固定した上で、封筒などの外袋に入れて封をすることで、梱包体が構成されるようにしてもよい。その他、梱包具を用いて種々の物品を様々な形態で梱包することができる。
【0162】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
梱包具(501)は、筒状のフィルム(530)が板(510)に巻かれた構造を有している。板(510)は、主折曲げ線(21)を介して区画され、配置面(511)と、隣接面(512)とを有している。フィルム(530)は、主折曲げ線(21)がフィルム(530)が形成する筒の内部を貫くようにして板(510)に巻かれている。配置面(511)と隣接面(512)との少なくとも1つにおいて、フィルム(530)が物品に接触した状態で張られたときにフィルム(530)の張りを部分的に弱くすることができる緩和構造が設けられている。物品を梱包するには、板(10)が折り曲げられた状態で、配置面(511)とフィルム(530)との間の隙間に物品を配置する。物品が隙間に配置された状態で板(510)を展開する。