(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像生成手段による前記正面画像の生成タイミングを用いて、前記一連の前記正面画像の取得中に得られた前記断層画像を特定する特定処理手段を備える請求項4の眼科撮影装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図4は本実施形態の実施例に係る図である。
【0013】
<概要>
本装置は、OCT光学系100と、観察光学系200と、制御部70と、を主に備える(
図1参照)。OCT光学系100は、被検眼に照射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層画像を取得するために用いられる。OCT光学系100は、光スキャナ108を有しても良い。光スキャナ108は、被検眼に照射される測定光を被検眼上で走査させるために用いられる。観察光学系200は、被検眼の正面画像を得るために用いられる。
【0014】
制御部70は、例えば、画像生成部として用いられる。そこで、制御部70は、OCT光学系100からの出力信号に基づいて断層画像を繰り返し生成すると共に、観察光学系200からの出力信号に基づいて正面画像を繰り返し生成するようにしてもよい。繰り返し生成される断層画像、正面画像は、例えば、メモリ74に一旦記憶される。
【0015】
<連続性の判定>
制御部70は、例えば、連続性判定部として用いられる。そこで、制御部70は、基準正面画像として設定された正面画像と、各正面画像との位置ずれを画像処理により検出し、位置ずれが許容範囲を満たす正面画像の連続性を判定するようにしてもよい。なお、基準正面画像は、例えば、画像の取得開始信号が発せられた際に取得された正面画像が用いられる。また、基準正面画像は、静止画像上で走査位置を設定する際に用いられる正面画像が用いられてもよい(詳しくは、特願2012−47176参照)。制御部70は、例えば、画像生成部(制御部70)によって生成されメモリ74に記憶された正面画像の連続性を判定する。
【0016】
連続性を判定する場合、制御部70は、基準正面画像に対し、位置ずれが許容範囲を満たす正面画像が連続するか(例えば、2回)否かを判定するようにしてもよい。制御部70は、基準正面画像に対し、位置ずれが許容範囲を満たす正面画像が少なくとも3回以上連続するか否かを判定するようにしてもよい。
【0017】
より詳細には、位置ずれの連続性を判定する場合、例えば、取得順が連続する複数の正面画像が対象となる。取得順が連続する正面画像としては、例えば、ライブ画像として繰り返し取得される正面画像であって、1フレーム単位に連続する正面画像が考えられる。制御部70は、例えば、(取得順が連続する)複数の正面画像が連続的に許容範囲(例えば、全て)を満たす場合、許容範囲を満たす正面画像が連続しているとみなす。
【0018】
<連続性判定を用いた断層画像の選択>
制御部70は、例えば、選択処理部として用いられる。そこで、制御部70は、連続性の判定結果に基づいて断層画像を選択処理するようにしてもよい。上記構成を備えることにより、例えば、断層画像の取捨選択を、正面画像を用いて適正に行うことができる。制御部70は、連続性があると判定されたときの断層画像を選択するようにしてもよい。なお、連続性がないと判定されたときの断層画像を破棄する処理は、連続性があると判定されたときの断層画像を選択する処理の一つの態様である。制御部70は、例えば、メモリ74に記憶された断層画像に対し、連続性の判定結果を用いて選択処理を行う。断層画像を破棄する場合、一旦記憶された断層画像をメモリ74から消去するようにしてもよい。
【0019】
選択処理として、制御部70は、判定結果を、判定結果の取得に用いた一連の正面画像の取得中に得られた断層画像に関連付けてもよい。制御部70は、判定結果を利用して、各断層画像を区別するようにしてもよい。制御部70は、判定結果を用いて、位置ずれが許容範囲を満たす正面画像が連続したときに取得された断層画像と、位置ずれが許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像と、を選別するようにしてもよい。
【0020】
<選択処理の応用>
制御部70は、例えば、複数取得された断層画像を合成する画像合成部として用いられる。そこで、制御部70は、画像合成する際の基準断層画像を、連続性の判定結果に基づいて、繰り返し生成される断層画像から選択するようにしてもよい。そして、制御部70は、選択された基準断層画像と、基準断層断層画像とは異なるタイミングで取得された断層画像と、を合成するようにしてもよい。これにより、例えば、適正な位置に取得された断層画像が基準画像として設定されるため、良好な合成画像が得られる。
【0021】
画像合成の手法としては、予め設定された同一の走査位置にて得られた複数の断層画像を合成するような手法が考えられる。また、合成画像としては、加算平均画像、超解像度画像、各断層画像間の差分を求めた血流計測画像、網膜断層像と脈絡膜断層像との合成画像、パノラマ断層画像、断層画像間の輝度変化を求める機能OCT画像、PS−OCTでの第1偏光成分と第2偏光成分の各画像が合成される偏光特性画像、等が考えられる。
【0022】
制御部70は、例えば、走査制御部として用いられる。そこで、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、予め設定された同一の走査位置に、測定光を複数回走査させるようにしてもよい。制御部70は、連続性の判定結果に基づいて、予め設定された走査位置に対応する断層画像を選択するようにしてもよい。これにより、例えば、同一の走査位置での走査によって得られた断層画像から、予め設定された走査位置に対応する断層画像を確実に取得できる。
【0023】
なお、眼の移動によって当初の走査位置とは走査位置が変わる場合がある。制御部70は、観察光学系200によって取得された正面画像に基づいて光スキャナ108の駆動を制御し、走査位置を補正する動作(トラッキング)を作動させるようにしてもよい。
【0024】
また、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、複数の走査ラインから形成される走査パターンによって設定された複数の走査位置に、測定光を順次走査させるようにしてもよい。制御部70は、連続性の判定結果に基づいて、走査位置に対応する断層画像を選択するようにしてもよい。これにより、例えば、異なる複数の横断位置での断層画像を得る場合であっても、予め設定された走査位置での断層画像を確実に取得できる。
【0025】
なお、制御部70は、第1の横断位置での断層画像の選択に用いる連続性の判定と、第2の横断位置での断層画像の選択に用いる連続性の判定において、同一の基準正面画像を用いるようにしてもよい。これにより、各横断位置での位置関係が担保される。
【0026】
なお、上記選択処理は、上記手法に限定されない。その他、経過観察において過去に取得された横断位置と同じ位置の断層画像を得る場合に用いるようにしてもよい。例えば、制御部70は、過去の断層画像と同時に取得された正面画像(基準正面画像)と、異なる日にリアルタイムで取得される正面画像の位置ずれを検出する。そして、正面画像の位置ずれの連続性を判定し、判定結果を用いて、判定結果の取得に用いた正面画像と並行して取得される断層画像を選択する。また、一枚のライン撮影において、断層画像を選択する際に用いることが可能である。
【0027】
<正面画像と断層断層との対応>
制御部70は、連続性があると判定された一連の正面画像の取得中に得られた断層画像を、適正な位置にて取得された断層画像として選択するようにしてもよい。これにより、例えば、適正な位置にて取得された断層画像を確実に選択できる。
【0028】
制御部70は、例えば、一連の正面画像の取得中に得られた断層画像を特定する特定処理部として用いられる。そこで、制御部70は、例えば、画像生成部(制御部70)によって生成される正面画像の生成タイミングを用いて、一連の正面画像の取得中に得られた断層画像を特定するようにしてもよい。
【0029】
制御部70は、観察光学系200が制御される際の制御情報に基づいて、一連の正面画像の取得中に得られた断層画像を特定するようにしてもよい。なお、観察光学系200がSLO光学系の場合、例えば、制御情報としてスキャナの駆動位置が考えられる。
【0030】
<実施例>
図1は本実施例に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。以下の説明においては、眼科撮影装置として、被検眼の眼底撮影を行う眼底撮影装置を例に挙げて説明を行う。もちろん、眼科撮影装置としては、眼底撮影装置に限定されず、被検眼の前眼部撮影を行う前眼部撮影装置等が挙げられる。
【0031】
図1を参照して、本実施例に係る眼科撮影装置10の概略構成について説明する。本実施形態の眼科撮影装置10は、OCT光学系100と、観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、制御部70とを主に備える。
【0032】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、被検眼Eの組織(例えば、眼底Ef)の断層画像を取得するための光干渉光学系であり、光断層干渉計(OCT:Optical Coherence Tomography)の構成を備える。具体的には、OCT光学系100は、測定光源102、カップラー(光分割器)104、測定光学系106、参照光学系110、および検出器(受光素子)120を主に備える。
【0033】
より詳細には、カップラー(光分割器)104は、測定光源102から出射された光を測定光学系106の光路と参照光学系110の光路に分割する。測定光学系106は、測定光を眼Eの眼底Efに導く。参照光学系110は、参照光を生成する。OCT光学系100は、眼底Efによって反射された測定光と,参照光を合成する。検出器120(受光素子)は、合成された光を受光する。
【0034】
OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層像を取得する。
【0035】
検出器120(受光素子)は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。眼科撮影装置10には、種々のOCTを採用できる。例えば、Spectral−domain OCT(SD−OCT)、Swept−source OCT(SS−OCT)、Time−domain OCT(TD−OCT)等のいずれを眼科撮影装置10に採用してもよい。
【0036】
光スキャナ108は、測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で走査させる。例えば、光スキャナ108は、眼底上で二次元的(XY方向(横断方向))に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0037】
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0038】
参照光学系110は、参照光を生成する。前述したように、参照光は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0039】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
【0040】
<正面観察光学系>
観察光学系(正面像観察デバイス)200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0041】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)。
【0042】
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0043】
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0044】
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0045】
<制御部>
制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部70のCPUは、眼科撮影装置10の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、眼科撮影装置10の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。
【0046】
制御部70には、不揮発性メモリ(以下、メモリに省略する)72、操作部74、および表示部75等が電気的に接続されている。メモリ72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、眼科撮影装置10に着脱可能に装着されるUSBメモリ等をメモリ72として使用することができる。メモリ72には、眼科撮影装置10による正面画像および断層画像の撮影を制御するための撮影制御プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、撮影された二次元の断層画像、三次元画像、正面画像、断層画像の撮影位置の情報等、撮影に関する各種情報が記憶される。操作部74には、検者による各種操作指示が入力される。
【0047】
操作部74は、入力された操作指示に応じた信号を制御部70に出力する。操作部74には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかを用いればよい。表示部75は、眼科撮影装置10の本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。表示部75には、眼科撮影装置10によって撮影された断層画像および正面画像を含む各種画像が表示される。
【0048】
なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。例えば、PCに設けられた設定制御部と、OCT光学系100等の動作を制御する動作制御部とによって、眼科撮影装置10の制御部70が構成されてもよい。この場合、例えば、PCの設定制御部は、PCに接続された操作部の操作に基づいて断層画像の撮像位置等を設定し、設定した内容を動作制御部に指示すればよい。動作制御部は、設定制御部からの指示に従って、眼科撮影装置10の各構成による撮影動作を制御すればよい。また、受光信号に基づいて画像を生成(取得)する処理は、動作制御部および設定制御部のいずれで行ってもよい。
【0049】
例えば、制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層像を取得すると共に、観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面像を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
【0050】
例えば、制御部70は、表示部75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、表示部75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。
【0051】
<制御動作>
以上のような構成を備える装置において、その制御動作について説明する。検者は、固視標投影ユニット300の固視標を注視するように被検者に指示する。図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像が、表示部75に表示される。そこで、検者は、前眼部の瞳孔中心に測定光軸が位置されるように、アライメント操作を行う。
【0052】
制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底上で測定光を所定方向に関して走査する。制御部70は、検出器120から出力される出力信号から所定の走査領域に対応する受光信号を取得することにより、断層画像を形成する。また、制御部70は、OCT光学系100を制御し、断層画像を取得すると共に、観察光学系200を制御し、眼底正面像を取得する。そして、制御部70は、OCT光学系100によって断層画像、観察光学系200によって眼底正面像を随時取得する。
【0053】
図2は、表示部75に表示される表示画面の一例を示す図である。制御部70は、表示部75上に、観察光学系200によって取得された正面画像20、指標25、断層画像30、を表示する。走査パターン25は、正面画像20上における断層画像の測定位置(取得位置)を表す指標である。走査パターン25は、表示部75上の正面画像上に電気的に表示される。
【0054】
制御部70は、ポインタ21(例えば、十字マーク、ドットマーク、ペンマーク等)を表示部75上に表示する。制御部70は、操作部74からの操作信号に基づいて、ポインタ21を移動させる。
【0055】
本実施形態では、正面画像20上にポインタ21を合わせた状態で、操作部74が操作される(例えば、ドラッグ操作、クリック操作)ことにより、撮影条件の設定が可能な構成となっている。ポインタ21は、表示部75上における任意の位置を指定するために用いられる。
【0056】
<スキャンラインの設定>
以下、走査パターンとして、ラインスキャンパターンが設定された場合を例として説明する。なお、走査パターン25は、検者の操作に基づいて任意の形状に予め設定される。例えば、複数用意された走査パターンから選択される。
【0057】
断層画像及び正面画像が同一画面上に表示されたら、検者は、撮影したい断層画像の位置を表示部75上の正面画像から設定する。ここで、検者は、操作部74を用いて移動操作(例えば、ドラッグ操作)を行うことによって、正面画像に対して走査パターン25を移動させる。
【0058】
検者によって走査パターン25が正面画像20に対して移動されると、制御部70は、随時走査位置の設定を行う。そして、制御部70は、設定された位置に対応する走査位置における断層画像を取得する。そして、取得された断層画像を表示部75の表示画面上に随時表示する。また、制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて測定光の走査位置を変更すると共に、変更された走査位置に対応する表示位置に走査パターン25を表示する。このように、制御部70は、あるフレームレートにて走査位置の設定、及び断層画像の取得を連続的に実行することにより、断層画像の動画像を更新する。
【0059】
以下の本装置の動作について説明する。測定位置の設定が完了した後、操作部74からの取込開始信号(キャプチャー開始信号)が入力されたとき、制御部70は、断層画像及び正面画像の取り込み動作を開始する。
【0060】
本実施形態では、ノイズ成分を抑制した1枚の断層画像(Bスキャン画像)を得るために、所定の走査領域にて測定光を複数回走査させ、複数枚の断層画像を得て、取得された複数の断層画像を制御部70により加算処理して平均化させる。この場合、制御部70は、各断層画像を測定光の走査方向に関して同じ複数の領域に分割し、各断層画像間の位置ずれを分割された領域毎に検出し位置ずれ情報を得る。そして、制御部70は、得られた位置ずれ情報に基づいて,各撮影画像間の位置ずれを分割された領域毎に補正する。そして、制御部70は、補正された各撮影画像を加算し、平均化する。
【0061】
加算平均画像を得る場合、制御部70は、例えば、断層画像を形成する深さ情報の実数成分と虚数成分の絶対値(画像化後のAスキャン信号)を利用して、複数の断層像に基づく加算平均画像を取得してもよい。また、制御部70は、各断層像の基礎となるZ空間での実虚成分を利用して加算平均画像を取得してもよい。制御部70は、実数成分の信号を用いて第1の加算平均データを得ると共に、虚数成分の信号を用いて第2の加算平均データを得て、これらを合成することにより複数の断層像に基づく加算平均画像を取得してもよい。
【0062】
取込開始信号の入力に応じて、制御部70は、設定されたフレームレート(例えば、10〜15Hz(スーパーファインモード))にて断層画像を繰り返し得るため、OCT光学系100を制御する。なお、断層画像を得る際のフレームレートは、取込開始前後で変更してもよいし、変更しなくてもよい。
【0063】
制御部70は、同一の走査位置での複数の断層画像を取得する。このため、眼底上の略同一位置での走査を繰り返す。このような複数の走査によって、制御部70は、略同一位置における複数枚の断層画像を取得できる。
【0064】
詳細には、制御部70は、設定された走査位置に関して、光スキャナ108を用いて測定光を複数回走査する。そして、制御部70は、同一の走査位置における断層画像を複数フレーム(n枚(n≧2))生成する。制御部70は、生成された複数の断層画像を随時メモリ72に記憶させる。
【0065】
一方、取込開始信号の入力に応じて、制御部70は、設定されたフレームレート(例えば、10〜15Hz)にて正面画像を繰り返し得るため、観察光学系200を制御する。なお、正面画像を得る際のフレームレートは、取込開始前後で変更してもよいし、変更しなくてもよい。なお、断層画像を得る際のフレームレートと、正面画像を得る際のフレームレートは、同じフレームレートであってもよいし、異なるフレームレートであってもよい。また、断層画像と正面画像の取得動作において、同期されてもよいし、非同期であってもよい。
【0066】
制御部70は、複数の断層画像が取得されている間、正面画像の取得動作を繰り返す。このような制御により、制御部70は、断層画像が連続的に取得されている間の眼の移動を監視する。
【0067】
詳細には、制御部70は、観察光学系200の作動により眼底正面からの反射光を受光する。制御部70は、受光された反射光を処理することにより正面画像を複数フレーム生成する。制御部70は、生成された複数の正面画像を随時メモリ72に記憶させる。以上のように、制御部70は、正面画像の生成を断層画像の生成と並行させる。
【0068】
<正面画像を用いた断層画像の適否判定>
図3は、取得された断層画像が、予め設定された位置で取得されたか否かの適否を判定するための判定手法の一例を示すフローチャートである。判定はリアルタイムにて行われる。判定結果は、加算平均処理を行う際の断層画像のOCTテンプレート画像(第1基準画像)を設定するために用いられる。
【0069】
まず、制御部70は、正面画像の位置ずれを検出するための正面画像のテンプレート画像(第2基準画像)を設定する。なお、第2基準画像としては、例えば、取込開始信号が入力されたときの正面画像が用いられる。
【0070】
制御部70は、正面画像のライブ画像に取り込む。制御部70は、第2基準画像と、繰り返し生成されるライブ正面画像との位置ずれを画像処理により算出する。これにより、OCTの撮影位置のずれ量D1がリアルタイムで検出される。ずれ量D1は、正面画像と第2基準画像とのずれ量が新たに検出されたタイミングで更新される。
【0071】
制御部70は、ずれ量D1が許容範囲(例えば、所定の閾値)を満たすか否かを判定する。ここで、制御部70は、正面画像が1フレーム取得される毎に、第2基準画像に対するずれ量D1が許容範囲を満たすか否かを判定する。つまり、制御部70は、連続的に取得される正面画像毎の判定結果をリアルタイムにて取得していく。
【0072】
そして、ずれ量D1が許容範囲(例えば、所定の閾値)を満たさない場合、制御部70は、光スキャナ108を制御し、OCT撮影位置を補正する。例えば、制御部70は、走査位置のずれが補正されるように、光スキャナ108の2つのガルバノミラーを適宜駆動制御する。これによって、走査位置が補正されるため、撮影位置が補正される。(トラッキング制御)。
【0073】
上記動作は、加算枚数が設定上限枚数に達するか、又は、検者により終了操作が行われるまで繰り返し行われる。
【0074】
次に、OCTテンプレート画像(第1基準画像)を設定する際の動作について説明する。制御部70は、正面画像のライブ画像の取得に並行して、断層画像のライブ画像を取り込む。そこで、制御部70は、OCTテンプレート画像が設定されているか否かを判定する。
【0075】
OCTテンプレート画像が設定されていない場合、制御部70は、OCT撮影位置のずれ量が更新されているか否かを判定する。更新されていない場合、OCTライブ画像の取込に戻される。
【0076】
更新されている場合、前述のずれ量D1が許容範囲(例えば、所定の閾値)を満たすか否かを判定する。制御部70は、ずれ量D1が許容範囲を満たさない場合、取り込まれた断層画像のライブ画像(OCTテンプレート候補画像)を破棄する。そして、OCTライブ画像の取込動作に戻される。一方、ずれ量D1が許容範囲を満たす場合、次のステップに移行される。
【0077】
次のステップでは、制御部70は、OCTテンプレート候補画像が保持されているか否かを判定する。Noの場合、制御部70は、取り込まれた断層画像のライブ画像をOCTテンプレート候補画像として保持する。Yesの場合、制御部70は、予め保持されたOCTテンプレート候補画像をOCTテンプレート画像に設定する。
【0078】
上記のようにして、OCTテンプレート画像が設定された場合、制御部70は、前述のずれ量D1が許容範囲を満たすか否かを判定する。Noの場合、取り込まれた断層画像のライブ画像が破棄又は無視され、断層画像の取込に戻る。Yesの場合、制御部70は、取り込まれた断層画像と、OCTテンプレート画像とを用いて、加算平均処理を実行する。上記動作は、加算枚数が設定上限枚数に達するか、又は、検者により終了操作が行われるまで繰り返し行われる。
【0079】
上記フローチャートでのOCTテンプレート画像を設定するまでの動作について、ずれ量D1が許容範囲を満たす判定が1回目の場合、取得された断層画像は、OCTテンプレート候補画像として保持される。その後、ずれ量D1が許容範囲を満たす判定が、連続して2回行われた場合、取得された断層画像は、OCTテンプレート候補画像として保持される。一方、ずれ量D1が許容範囲を満たす判定が連続しなかった場合、1回目の判定により保持されたOCTテンプレート候補画像は破棄される。
【0080】
つまり、制御部70は、正面画像に対する判定結果の連続性を利用して、断層画像の適否を判定する。そして、制御部70は、加算平均処理を行う際の断層画像の基準画像(第1基準画像)を、適否の判定結果に基づいて設定する。
【0081】
詳細には、制御部70は、許容範囲を満たす正面画像が連続したときに取得された断層画像を適正と判定し、許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像を不適正と判定する。そして、制御部70は、適正と判定された断層画像を基準画像として、基準画像と他の断層画像とを合成して加算平均画像を生成する。
【0082】
図4正面画像に対する判定結果の連続性を利用する場合の判定の一例を示す図であり、
図4は、断層画像と正面画像の取得タイミングが非同期の場合の図である。
【0083】
例えば、取得順が連続する1枚目の正面画像E1と2枚目の正面画像E2について、正面画像E2が許容範囲を満たす一方、正面画像E1が許容範囲を満たさない。したがって、正面画像E1と正面画像E2の取得中に得られた断層画像T1は、不適正と判定される。同様にして、正面画像E2と正面画像E3について、正面画像E2が許容範囲を満たさないため、断層画像T2は不適正と判定される。また、正面画像E3と正面画像E4について、その両方が許容範囲を満たさないため、断層画像T3は不適正と判定される。また、正面画像E4と正面画像E5について、正面画像E4が許容範囲を満たさないため、断層画像T4は不適正と判定される。
【0084】
制御部70は、正面画像E5と正面画像E6について、その両方が許容範囲を満たす、つまり、許容範囲を満たす正面画像が連続しているとみなされる。したがって、正面画像E5と正面画像E6の取得中に得られた断層画像T5は、適正と判定される。制御部70は、断層画像T5を、加算平均処理を行う際の断層画像のテンプレート画像(第1基準画像)としてメモリ74に記憶する。
【0085】
制御部70は、(取得順が連続する)複数の正面画像の取得中に取得された断層画像を区別する。例えば、制御部70は、各正面画像の生成が完了した時点でタイミング信号をそれぞれ出力してもよい(タイムスタンプを出力する)。ここで、制御部70は、第1の正面画像の生成が完了されたときに第1タイミング信号を出力する。その後、制御部70は、次の第2の正面画像の生成が完了されたときの第2タイミング信号を出力する。そして、制御部70は、第1タイミング信号が出力されてから第2タイミング信号が出力されるまでの時間間隔において、生成が完了した断層画像を、第1正面画像と第2正面画像の取得中に取得された断層画像とみなす。なお、複数の正面画像の取得中において、複数の断層画像が取得されるような場合、断層画像としてメモリ72にまとめて記憶される。
【0086】
以下、テンプレート画像が取得された後の処理について詳細に説明する。断層画像のテンプレート画像が取得された後、次の断層画像が取得された場合、制御部70は、これらを画像処理により合成することにより加算平均データを得る。得られた加算平均データは、メモリ74に記憶される。なお、加算平均データは、加算平均画像自体(であってもよいし、加算平均画像の基礎となる輝度情報(各画像の輝度を加算した輝度情報)であってもよい。なお、画像を合成する際、制御部70は、断層画像間の位置合わせを画像処理により行うことが好ましい(例えば、位置合わせ手法については、例えば、特開2010−110392号公報を参照されたい)。
【0087】
制御部70は、例えば、加算される断層画像の枚数が所定の枚数に達するまで、断層画像及び正面画像を繰り返し取得する。さらに、制御部70は、断層画像が追加される度に、予め加算された加算平均データと、追加された断層画像とを合成することにより加算平均データを更新する。更新された合成データは、メモリ74に記憶される。
【0088】
図3のフローチャートにおいて、制御部70は、ずれ量D1を利用して、加算処理に用いる断層画像の適否を判定する。そして、制御部70は、ずれ量D1が許容範囲内と判定された断層画像を、テンプレート画像との加算処理に用いる。制御部70は、ずれ量D1が許容範囲を満たさないと判定された断層画像を、基準画像との加算処理に用いない。なお、基準画像との加算処理に用いる断層画像の適否について、断層画像間の位置ずれ、相関度等を用いるようにしてもよい。
【0089】
加算される断層画像の枚数が所定の枚数に達した場合、制御部70は、画像取込動作を終了する。そして、制御部70は、メモリ74に記憶された加算平均データに基づいて断層画像の加算平均画像を生成する。制御部70は、生成された加算平均画像を表示部75上に表示する。また、制御部70は、生成された加算平均画像をメモリ74に記憶する。
【0090】
以上のようにして、許容範囲を満たす正面画像が連続したときに取得された断層画像を、基準画像として設定することにより、予め設定された走査位置と同一位置にて取得された可能性が高い断層画像が基準画像として設定される。このため、高精度の加算平均画像をスムーズに得ることができる。
【0091】
なお、1枚の正面画像のみの位置ずれによって断層画像の要否を判定しようとする場合、正面画像の取得中に眼が動いても、断層画像が適正と判定される場合がある。例えば、1枚の正面画像の生成後に取得された断層画像の適否を判定する場合、断層画像が生成された時点では、眼が動いている可能性がある。結果的には、位置ずれを含む断層画像が基準画像として設定される場合がありうる。この場合、断層画像の取得位置が、予め設定された位置と異なるため、良好な加算平均画像の生成が困難となる。そこで、上記のような連続性を判定することにより、1枚の正面画像の取得後に眼が動いた場合であっても、次の正面画像が許容範囲を満たさないと判定でき、上記のような問題を克服できる。
【0092】
<変容例>
<正面画像の連続性>
なお、以上の説明においては、制御部70は、取得順が1回連続する正面画像において、許容範囲を満たす正面画像が2回連続したときに取得された断層画像を適正と判定し、許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像を不適正と判定した。ただし、制御部70は、取得順が2回以上連続する正面画像を用いてもよい。例えば、制御部70は、許容範囲を満たす正面画像が2回連続したときに取得された断層画像を適正と判定し、1回連続或いは許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像を不適正と判定するようにしてもよい。この場合、制御部70は、位置ずれの連続性を満たした一連の正面画像における中心の正面画像が取得されたときに取得された断層画像を選択するようにしてもよい。
【0093】
なお、本実施形態は、正面画像を2回取得する間に断層画像を1回取得する構成(
図3、
図4の断層画像の一番右側の列)に限定されない。例えば、正面画像を2回取得する間に断層画像を複数取得する構成(
図3、
図4の断層画像の一番左側の列、及び真ん中の列)においても、本実施形態の技術の適用は可能である。
【0094】
<観察光学系>
また、上記説明においては、観察光学系200としてSLO光学系を用いたが、これに限定されない。すなわち、観察光学系200は、被検眼の正面画像を取得できる正面観察光学系であればよい。例えば、観察光学系200としては、被検眼眼底を赤外カメラにより撮像する構成であってもよい。なお、赤外カメラの場合、通常、SLO光学系よりもフレームレートが早いため、より短いスパンでの連続性を判定できるため、断層画像の判定を短いスパンで行うことができる。一方、SLO光学系を用いた場合、上記連続性の判定により、フレームレートの遅いSLO光学系であっても、断層画像の適否を適切に判定できるという利点がある。
【0095】
なお、観察光学系200としては、被検眼の前眼部像を観察する前眼部観察光学系であってもよい。つまり、被検眼の眼底の断層画像を得る際、前眼部観察光学系によって取得される前眼部像の位置ずれの連続性を判定することにより、断層画像を選択するようにしてもよい。
【0096】
<正面画像と断層画像との取得タイミングの関連付け>
なお、上記説明においては、各正面画像の生成が完了した時点で取得されるタイミング信号を用いて、正面画像と断層画像との取得タイミングを対応づけた。しかしながら、これに限定されない。
【0097】
そこで、制御部70は、OCT光学系100、観察光学系200の少なくともいずれかの制御情報を用いるようにしてもよい。例えば、正面画像と断層画像を得る際の走査位置が用いられてもよい。
【0098】
制御部70は、光スキャナ108の走査位置と、観察光学系200の光スキャナの走査位置を検出する。そして、制御部70は、各正面画像を得るための光走査の開始と終了のタイミング信号を出力する。ここで、制御部70は、観察光学系200における走査位置が、各正面画像を得るための開始位置に達したときに第1タイミング信号を出力する。制御部70は、観察光学系200における走査位置が、各正面画像を得るための終了位置に達したときに第2タイミング信号を出力する。
【0099】
一方、制御部70は、制御部70は、光スキャナ108の走査位置が、各断層画像を得るための開始位置に達したときと、終了位置に達したときのタイミング信号を出力する。
【0100】
そして、制御部70は、第1の正面画像における第1タイミング信号が出力されてから、次の第2の正面画像における第2タイミング信号が出力されるまでの時間間隔T2において取得される断層画像を、光スキャナ108の走査位置を用いて特定する。つまり、時間間隔T2において、開始位置から終了位置までの光走査が行われた断層画像を、第1正面画像と第2正面画像の取得中に取得された断層画像とみたすようにしてもよい。
【0101】
<加算平均画像以外での合成画像への適用>
なお、上記説明においては、断層画像における加算平均画像を得るために正面画像に対する判定結果の連続性を利用したが、これに限定されない。つまり、正面画像に対する判定結果の連続性を利用して、画像合成に用いる断層画像の適否を判定する構成であればよい。例えば、制御部70は、画像合成処理を行う際の断層画像のテンプレート画像(第1基準画像)を、適否の判定結果に基づいて設定する。制御部70は、許容範囲を満たす正面画像が連続したときに取得された断層画像を適正と判定し、許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像を不適正と判定する。そして、制御部70は、適正と判定された断層画像を基準画像として、基準画像と他の断層画像とを合成して合成画像を得る。合成画像処理としては、例えば、超解像度画像処理(例えば、本出願人による特願2011−173028号参照)、ノイズ除去処理等が考えられる。
【0102】
<同一位置での複数の断層画像を取得する以外への応用>
なお、上記説明においては、被検眼を、同一の走査位置にて複数回走査する場合を例としたが、これに限定されない。例えば、被検眼上の走査位置を変更し、複数の異なる走査ラインにて断層画像を得る場合においても、本実施形態の適用は可能である。
【0103】
複数の異なる走査ラインにて断層画像を得るための走査パターンとしては、例えば、同一方向に関する走査ラインが異なる位置に形成されるスキャン、クロススキャン、ラスタースキャン、ラジアルスキャンなどが考えられる。クロススキャンは、例えば、複数の走査ラインが互いに交差する走査パターンである。ラスタースキャンは、例えば、矩形内に測定光をラスターする走査パターンである。ラジアルスキャンは、例えば、複数の走査ラインが放射状に配列された走査パターンである。
【0104】
例えば、複数の異なる走査ラインとして、第1の走査ラインと、第2の走査ラインが、設定される。制御部80は、取得開始信号が発せられる際に取得される正面画像を第2基準画像として設定する。なお、制御部80は、第1の走査ラインでの断層画像が取得される際の正面画像を第2基準画像として設定するようにしてもよい。
【0105】
制御部70は、正面画像のテンプレート画像(以下、第2基準画像)と、第2の走査ラインでの断層画像を取得する際に取得される正面画像との位置ずれを画像処理により算出する。制御部70は、正面画像が1フレーム取得される毎に、第2基準画像に対する位置ずれ量が許容範囲を満たすか否かを判定する。つまり、制御部70は、連続的に取得される正面画像毎の判定結果をリアルタイムにて取得していく。
【0106】
ここで、制御部70は、正面画像に対する判定結果の連続性を利用して、第2の走査ラインで取得される断層画像の適否を判定する。第2の走査ラインにおける断層画像を取得するとき、制御部70は、許容範囲を満たす正面画像が連続したときに取得された断層画像を適正と判定し、許容範囲を満たす正面画像が連続しないときに取得された断層画像を不適正と判定する。そして、制御部70は、適正と判定された断層画像を第2の走査ラインで取得された断層画像としてメモリ72に記憶する。
【0107】
その後、第3の走査ラインが設定されている場合、制御部70は、第2の走査ラインから第3の走査ラインに移動させてもよい。その後の処理については、第2の走査ラインでの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
各走査ラインで取得された断層画像は、設定された走査パターンに関して関連付けられる。関連付けられた断層画像データは、モニタ74への出力、被検眼の解析等に用いられる。
【0109】
以上のようにすれば、異なる走査位置での断層画像を得る場合であっても、予め設定された走査位置と同一位置にて取得された可能性が高い断層画像が取得される。つまり、各走査ラインでの断層画像を、確実に取得できる。
【0110】
なお、上記説明においては、断層画像の動画像と正面画像の動画像を同時に取得するような構成としたが、これに限定されない。例えば、断層画像の動画像と正面画像の動画像を1フレーム単位で交互に取得するような構成においても、本実施形態の技術の適用は可能である。