(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[形態1]
本発明の振動素子の製造方法は、基板の少なくとも一方の主面をエッチング
し、
前記一方の主面に第1の凹陥部を形成して前記基板よりも厚さの薄い第1の薄肉部を形成すると共に、前記一方の主面に第2の凹陥部を形成して前記基板よりも厚さの薄い第2の薄肉部を形成する薄肉部形成工程と、
上部電極と下部電極との間に前記基板を配置し、
前記上部電極と前記下部電極との間に処理ガスを供給すると共に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記プラズマが発生している領域と前記基板とを相対的に移動させて、前記第1の薄肉部の厚さが所定範囲内となるように、前記第1の薄肉部の表面を局所的にプラズマ処理し、
前記プラズマが発生している領域と前記基板とを相対的に移動させて、前記第2の薄肉部の厚さが前記所定範囲内となるように、前記第2の薄肉部の表面を局所的にプラズマ処理する厚さ調整工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子を製造することができる。
[形態2]
本発明の振動素子の製造方法では、
前記厚さ調整工程の後に、
前記第1の凹陥部の外縁の少なくとも一部に沿って前記第1の薄肉部よりも厚さの厚い厚肉部が位置し、前記第2の凹陥部の外縁の少なくとも一部に沿って前記第2の薄肉部よりも厚さの厚い厚肉部が位置するように前記基板を個片化する個片化工程を含むことが好ましい。
これにより、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子を製造することができる。
[形態3]
本発明の振動素子の製造方法では、前記薄肉部形成工程は、前記基板の両主面をエッチングして
前記第1の凹陥部および前記第2の凹陥部を形成することが好ましい。
これにより、
第1の凹陥部および第2の凹陥部の深さを浅くする、すなわち一方の主面と一方の主面側にある
第1の薄肉部および第2の薄肉部の表面との間の距離を短くすることができるため、より精度よく
第1の凹陥部および第2の凹陥部を形成することができる。
[形態4]
本発明の振動素子の製造方法では、前記エッチングは、ウエットエッチングであることが好ましい。
これにより、簡単、正確かつ低コストで、薄肉部を形成することができる。
[形態5]
本発明の振動素子の製造方法では、前記厚さ調整工程は、
前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部の共振特性が安定するように
前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部の表面をプラズマ処理することが好ましい。
これにより、安定した共振特性を有する振動素子を製造することができる。
[形態6]
本発明の振動素子の製造方法では、
前記処理ガスは、フッ素原子含有化合物ガスおよび塩素原子含有化合物ガスの少なくとも一方を含
むことが好ましい。
これにより、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子を製造することができる。
[形態7]
本発明の振動素子の製造方法では、前記厚さ調整工程の後に、
前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部に電極を形成する工程を含むことが好ましい。
これにより、振動素子の製造をより効率的に行うことができる。
[形態8]
本発明の振動素子の製造方法では、
前記一方の主面と前記一方の主面側にある前記第1の薄肉部の表面との間の前記基板における厚さ方向の第1距離、および前記一方の主面と前記一方の主面側にある前記第2の薄肉部の表面との間の前記厚さ方向の第2距離は、それぞれ、30μm以上、200μm以下であることが好ましい。
これにより、
第1の凹陥部および第2の凹陥部の深さを浅くする、すなわち一方の主面と一方の主面側にある
第1の薄肉部および第2の薄肉部の表面との間の距離を短くすることができるため、前記薄肉部形成工程にて、より精度よく
第1の凹陥部および第2の凹陥部を形成することができる。
[形態9]
本発明の振動素子の製造方法では、
前記第1距離および前記第2距離は、
それぞれ、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。
これにより、
第1の凹陥部および第2の凹陥部の深さを十分に浅くする、すなわち一方の主面と一方の主面側にある
第1の薄肉部および第2の薄肉部の表面との間の距離を十分に短くすることができるため、前記薄肉部形成工程にて、より精度よく
第1の凹陥部および第2の凹陥部を形成することができる。
[適用例1]
本発明の振動素子の製造方法は、エッチングによって、基板の少なくとも一方の主面に凹陥部を形成し、前記基板よりも厚さの薄い薄肉部を形成する工程と、
プラズマ処理によって、前記薄肉部を所定の厚さに調整する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子を製造することができる。
【0007】
[適用例2]
本発明の振動素子の製造方法は、エッチングによって、基板の少なくとも一方の主面に複数の凹陥部を形成して複数の前記基板よりも厚さの薄い薄肉部を形成する工程と、
プラズマ処理によって、前記複数の薄肉部を所定の厚さに揃えるように厚さを調整する工程と、
各前記薄肉部を、前記薄肉部の外縁の少なくとも一部に沿って前記薄肉部よりも厚さの厚い厚肉部が位置するように個片化する個片化工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、容易かつ低コストで、所望の振動特性を発揮することができる振動素子を製造することができる。
【0008】
[適用例3]
本発明の振動素子の製造方法では、前記薄肉部を形成する工程では、前記凹陥部を、平面視で前記基板の両主面にそれぞれ重なるように形成することが好ましい。
これにより、各凹陥部の深さを浅くすることができるため、より精度よく凹陥部を形成することができる。
【0009】
[適用例4]
本発明の振動素子の製造方法では、前記薄肉部を所定の厚さに調整する工程は、前記薄肉部の共振特性が安定するように前記薄肉部の表面をプラズマ処理することが好ましい。
これにより、安定した共振特性を有する振動素子を製造することができる。
[適用例5]
本発明の振動素子の製造方法では、前記厚さを調整する工程の後に、前記薄肉部に電極を形成する工程を含むことが好ましい。
これにより、振動素子の製造をより効率的に行うことができる。
【0010】
[適用例6]
本発明の振動素子の製造方法では、前記薄肉部を形成する工程で形成される前記凹陥部の深さは、30μm以上、200μm以下であることが好ましい。
これにより、凹陥部の深さを浅くすることができるため、前記薄肉部形成工程にて、より精度よく凹陥部を形成することができる。
【0011】
[適用例7]
本発明の振動素子の製造方法では、前記凹陥部の深さは、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。
これにより、凹陥部の深さを十分に浅くすることができるため、前記薄肉部形成工程にて、より精度よく凹陥部を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の振動素子の製造方法を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、振動素子の構成例を示す斜視図、
図2は、
図1に示す振動素子の平面図、
図3は、ATカット水晶基板と水晶の結晶軸との関係を説明する図、
図4は、
図1に示す振動素子を対象物に固定した状態を示す側面図、
図5は、
図1に示す振動素子の他の構成例を示す斜視図、
図6および
図7は、
図1に示す振動素子の製造方法を説明するための断面図、
図8は、プラズマ処理装置の一例を示す図、
図9および
図10は、それぞれ、
図1に示す振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0014】
1−1.振動素子
本発明の振動素子の製造方法を説明するのに先立って、本発明の振動素子の製造方法によって製造される振動素子について説明する。
図1および
図2に示すように、振動素子1は、圧電基板2と、圧電基板2上に形成された電極3とを有している。
【0015】
(圧電基板)
圧電基板2は、板状の水晶基板である。ここで、圧電基板2の材料である水晶は、三方晶系に属しており、
図3に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有している。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。本実施形態の圧電基板2は、XZ面をX軸の回りに所定の角度θ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」であり、たとえばθ=35°15’だけ回転させた平面に沿って切り出された場合の基板は「ATカット水晶基板」という。このような水晶基板を用いることにより優れた温度特性を有する振動素子1となる。
【0016】
ただし、圧電基板2としては、厚みすべり振動を励振することができれば、ATカットの圧電基板に限定されず、例えば、BTカットの圧電基板を用いてもよい。また、圧電基板2としては、水晶基板の他、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の各種圧電基板を用いてもよい。
なお、以下では、角度θに対応してX軸まわりに回転したY軸およびZ軸を、Y’軸およびZ’軸とする。すなわち、圧電基板2は、Y’軸方向に厚みを有し、XZ’面方向に広がりを有する。
【0017】
圧電基板2は、平面視にて、X軸に沿った方向を長辺とし、Z’軸に沿った方向を短辺とする長手形状をなしている。また、圧電基板2は、−X軸方向を先端側とし、+X軸方向を基端側としている。圧電基板2のX軸に沿った方向の最大長さLとし、Z’軸に沿った方向の最大幅をWとしたとき、L/Wとしては、特に限定されないが、例えば、1.1〜1.4程度とすることが好ましい。
【0018】
図1および
図2に示すように、圧電基板2は、薄肉の振動領域(振動エネルギーが閉じ込められる領域)219を含む振動部21と、振動部21と一体化され、振動領域219よりも厚肉な厚肉部22とを有している。
振動部21は、圧電基板2の中央に対して、−X軸方向側および−Z’軸方向側に片寄っており、その外縁の一部が厚肉部22から露出している。振動素子1の平面視にて、振動部21の面積は、圧電基板2の面積の1/2以下であるのが好ましい。これにより、機械的強度が高い厚肉部22を十分広く形成することができるため、振動部21の剛性を十分に確保することができる。
【0019】
振動部21は、振動素子1の平面視にて、X軸方向(厚み滑り振動の振動方向)に離間し、Z’軸方向に延在する第1外縁211および第2外縁212と、Z’軸方向に離間し、X軸方向に延在する第3外縁213および第4外縁214とを有している。第1、第2外縁211、212のうち、第1外縁211が+X軸側に位置し、第2外縁212が−X軸側に位置している。また、第3、第4外縁213、214のうち、第3外縁213が+Z’軸側に位置し、第4外縁214が−Z’軸側に位置している。また、第3外縁213が第1、第2外縁211、212の+Z’軸側の端同士を連結しており、第4外縁214が第1、第2外縁211、212の−Z’軸側の端同士を連結している。
【0020】
図1に示すように、厚肉部22の表面(+Y’軸方向側の主面)は、振動部21の表面(+Y’軸方向側の主面)よりも+Y’軸方向側へ突出して設けられている。一方、厚肉部22の裏面(−Y’軸方向側の主面)は、振動部21の裏面(−Y’軸方向側の主面)と同一平面上に設けられている。
厚肉部22は、第1外縁211に沿って配置された第1厚肉部23と、第3外縁213に沿って配置され、第1厚肉部23と接続されている第2厚肉部24とを有している。そのため、厚肉部22は、平面視で、振動部21に沿って曲がった構造を備え、略L字状をなしている。一方、振動部21の第2外縁212および第4外縁214には、厚肉部22が形成されておらず、これら第2、第4外縁212、214は、厚肉部22から露出している。このように、厚肉部22を振動部21の外縁に部分的に設けて略L字とし、第2外縁212および第4外縁214に沿って設けないことによって、振動素子1(振動部21)の剛性を保ちつつ、振動素子1の先端側の質量を低減することができる。また、振動素子1の小型化を図ることができる。
【0021】
ここで、第1厚肉部23を振動部21に対して+X軸側に設けることによって、−X軸側に設けた場合と比較して、後述する傾斜部231の幅(X軸方向の長さ)を短くすることができる。同様に、第2厚肉部24を振動部21に対して+Z’軸側に設けることによって、−Z’軸側に設けた場合と比較して、後述する傾斜部241の幅(Z’軸方向の長さ)を短くすることができる。そのため、このような厚肉部22によれば、振動素子1の小型化を図ることができる。
【0022】
第1厚肉部23は、第1外縁211に連設され、+X軸方向に向けて厚みが漸増する傾斜部(残渣部)231と、傾斜部231の+X軸方向側の端縁に連接する厚みがほぼ一定の厚肉部本体232とを備えている。同様に、第2厚肉部24は、第3外縁213に連設され、+Z’軸方向に向けて厚みが漸増する傾斜部(残渣部)241と、傾斜部241の+Z’軸方向側の端縁に連接する厚みがほぼ一定の厚肉部本体242とを備えている。また、第1厚肉部23の厚肉部本体232の表面にはマウント部29が設けられており、
図4に示すように、振動素子1は、このマウント部29にて、接着剤61を用いて対象物62に固定される。
【0023】
(電極)
電極3は、一対の励振電極31、32と、一対のパッド電極33、34と、一対の引出電極35、36とを有している。励振電極31は、振動領域219の表面に形成されている。一方、励振電極32は、振動領域219の裏面に、励振電極31と対向して配置されている。励振電極31、32は、それぞれ、X軸方向を長手とし、Z’軸方向を短手とする略矩形である。
【0024】
また、励振電極31、32は、相似形をなし、裏面側の励振電極32が、表面側の励振電極31よりも大きく形成されている。また、振動素子1の平面視にて、励振電極32に励振電極31が内包されている。言い換えると、励振電極32内に互いの外縁が重なることなく励振電極31の全域が位置している。これにより、所望の振動特性を安定して発揮することができる。
【0025】
パッド電極33は、厚肉部本体232の表面のマウント部29に形成されている。一方、パッド電極34は、厚肉部本体232の裏面に、パッド電極33と対向して形成されている。励振電極31とパッド電極33とは、引出電極35によって電気的に接続されている。一方、励振電極32とパッド電極34とは、引出電極36によって電気的に接続されている。引出電極35、36は、圧電基板2を介して重ならないように設けられている。これにより、引出電極35、36間の静電容量を抑えることができる。
このような電極3は、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)等の下地層に、
Au(金)を主成分とする合金を積層した金属被膜で構成することができる。
【0026】
以上、振動素子1について説明した。振動素子1では、圧電基板2の+Y’軸側に凹陥部を形成することによって振動部21を形成し、さらに、厚肉部22が振動部21に対して+X軸側に位置する第1厚肉部23と、+Z’軸側に位置する第2厚肉部24とにより構成されているが、振動素子1としては、これをひっくり返したような構成であってもよい。すなわち、
図5に示すように、圧電基板2の−Y’軸側に凹陥部を形成することによって振動部21を形成し、さらに、厚肉部22が振動部21に対して+X軸側に位置する第1厚肉部23と、−Z’軸側に位置する第2厚肉部24とにより構成されていてもよい。このような構成によっても、本実施形態と同様の効果(特に傾斜部231、241の幅を狭くすることができる効果)を発揮することができる。
【0027】
1−2.振動素子の製造方法
次に、振動素子1の製造方法について説明する。
振動素子1の製造方法は、ウエットエッチングによって、圧電基板(基板)20の一方の主面に複数の凹陥部203を形成して複数の薄肉部204を得る薄肉部形成工程と、プラズマ処理によって、複数の薄肉部204を平坦化するとともに薄肉化し、複数の薄肉部204を所定の厚さに揃える厚み調整工程と、圧電基板20に作り込まれた複数の圧電基板2を個片化する個片化工程と、個片化した圧電基板2に電極3を形成する電極形成工程と、を有している。
【0028】
(薄肉部形成工程)
まず、
図6(a)に示すように、ATカットの水晶ウエハである圧電基板(基板)20を用意する。圧電基板20には、圧電基板2として個片化される領域T3が複数含まれている。次に、
図6(b)に示すように、圧電基板20の両主面201、202に、スパッタリング等の成膜装置によって、クロム(Cr)層と金(Au)層との積層体であるマスクMを形成する。次に、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて、マスクM上に、凹陥部に対応した複数の開口R1を有するレジスト膜Rを形成する。次に、各開口R1から露出している部分のマスクMを、例えば王水によって除去し、
図6(c)に示すように、各領域T3に対応する複数の開口M1を有するマスクMとする。
【0029】
次に、
図7(a)に示すように、エッチング液(例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)を用いて、マスクMの開口M1を介して圧電基板20をウエットエッチング(ハーフエッチング)し、圧電基板20の主面201に、複数の凹陥部203を形成する。これにより、多数の薄肉部204が形成される。最後に、
図7(b)に示すように、例えば王水を用いてマスクMおよびレジスト膜Rを除去する。本工程をウエットエッチングによって行うことにより、簡単、正確かつ低コストで、薄肉部204を形成することができる。薄肉部204は、後に振動部21なる部位であり、この時点では、その厚みが、振動部21の厚みよりも若干厚くなっている。
【0030】
なお、凹陥部203の深さdとしては、特に限定されないが、30μm以上、200μm以下であるのが好ましく、50μm以上、100μm以下であるのがより好ましい。ウエットエッチングでは、エッチング量が少ない程、深さdの誤差が少なくなる。したがって、上記数値範囲とすることにより、より精度よく、複数の薄肉部204を形成することができる。
【0031】
(厚み調整工程)
ここで、圧電基板20は、水晶から板状に切り出された後、ポリッシング等によって表面に研磨処理が施されている。そのため、圧電基板20の表層は、研磨処理時に受ける応力によって亀裂、劈開等の機械的ダメージを負っている場合がある。仮に、機械的ダメージを負っている場合は、ダメージを負った部分のエッチングレートが、ダメージを負っていない正常な部分のエッチングレートから大きくずれてしまい、上述の薄肉部204を精度よく形成することができない場合がある。言い換えると、複数の薄肉部204の間で厚みに誤差が生じる場合がある(
図7(a)、(b)参照。なお、
図7(a)、(b)では、誇張して図示している)。また、図示していないが、1つの薄肉部204の中でも厚みにバラつきが生じ、薄肉部の表面に凹凸状のうねりが生じている場合がある。この場合、当該薄肉部の共振特性が乱れ安定せず、共振周波数が安定しないという問題がある。
【0032】
そこで、本工程では、
図7(c)に示すように、複数の薄肉部204の厚みを均一化するとともに、各薄肉部204の共振周波数が安定するように厚さを所定範囲内に収める。これにより、薄肉部204によって振動部21が構成される。本工程は、プラズマ処理(PCVM:Plasma Chemical Vaporization Machining)にて行う。これにより、圧電基板20の平坦化を簡単、正確かつ低コストで行うことができる。
【0033】
以下、PCVMの一例を説明する。以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をa軸、b軸およびc軸とする。なお、PCVMに用いる装置は、以下に示すものに限定されない。
図8に示すプラズマ処理装置900は、上部電極911と、NCステージ940上に設けられた下部電極912と、上部電極911と下部電極912との間に処理ガスを供給する処理ガス供給手段920と、上部電極911および下部電極912の間へ電圧を印加する高周波電源930と、上部電極911を移動させる移動装置950と、処理ガス供給手段920、高周波電源930、NCステージ940、移動装置950等の作動を制御する制御手段960とを有している。
【0034】
このプラズマ処理装置900は、圧電基板20を、凹陥部203が形成されている主面201を上側にして下部電極912に載置した状態で、処理ガス供給手段920によって主面201に処理ガスを供給しつつ、高周波電源930により上部電極911および下部電極912間へ電圧を印加することにより、処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、このプラズマが発生しているプラズマ発生領域T1と圧電基板20とをNCステージ940によって相対的に移動(例えば、a方向に往復移動させつつ、b方向に移動さるように蛇行)させることにより、前記プラズマによって、各薄肉部204の表面を局所的にかつ連続してプラズマ処理する装置である。
【0035】
処理ガス供給手段920は、ノズル921を有しており、ノズル921から薄肉部204の表面へ、キャリアガスと処理ガスとを混合した混合ガスを供給する。処理ガスとしては、例えば、CF
4、C
2F
6、C
3F
6、C
4F
8、CClF
3、SF
6等のフッ素原子含有化合物ガスやCl
2、BCl
3、CCl
4等の塩素原子含有化合物ガスなどの各種ハロゲン系ガスが用いられる。キャリアガスとしては、例えば、He、Ne、Ar、Xe等の希ガスを用いることができる。これらは、単独でも2種以上を混合した形態でも用いることができる。なお、キャリアガスは、放電開始と放電維持のために導入するガスのことを言う。
【0036】
NCステージ940は、下部電極912をa軸方向およびb軸方向に移動させることができる。また、NCステージ940は、下部電極912の移動速度や停止時間等を調整することができるように構成されている。一方、移動装置950は、上部電極911をc軸方向に移動させることができる。そのため、移動装置950によって、上部電極911と主面201との間隙距離を調整することができる。
【0037】
制御手段960は、予め作成された各凹陥部203(薄肉部204)の形状データ、予めテストピース等を用いて求められたエッチングレート等に基づいて、複数の薄肉部204の厚みを均一化し、かつ、各薄肉部204の厚みを所定範囲内とするための加工計画データ(上部電極911に対する圧電基板20の移動パターン、圧電基板20の各部におけるプラズマ発生領域T1を通過するときの移動速度および上部電極911との離間距離(すなわち、薄肉部204の各部におけるエッチング量)等を含むデータ)を作成する。そして、制御手段960は、作成した加工計画データに基づいて、プラズマ処理装置900の各部(処理ガス供給手段920、高周波電源930、NCステージ940、移動装置950等)の作動を制御する。これにより、複数の薄肉部204の厚みが均一化されるとともに、各薄肉部204の厚みが所定範囲内となる。
【0038】
(個片化工程)
次に、
図9(a)に示すように、圧電基板20の両主面201、202に、スパッタリング等の成膜装置によって、クロム(Cr)層と金(Au)層との積層体であるマスクM’を形成する。次に、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて、マスクM’上に、領域T3以外の領域に対応した開口R1’を有するレジスト膜R’を形成する。次に、開口R1’から露出している部分のマスクM’を王水等によって除去し、
図9(b)に示すように、開口M1’を有するマスクM’とする。次に、エッチング液(例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)を用いて、マスクM’の開口M1’を介して圧電基板20をウエットエッチングし、
図9(c)に示すように、圧電基板20から複数の圧電基板2を個片化する。
ただし、個片化の方法としては、上記のようなウエットエッチングに限定されず、例えば、ダイシング(ダイシングソーによる切断)によって行ってもよい。
【0039】
(電極形成工程)
次に、例えば、王水等を用いてマスクM’およびレジスト膜R’を除去した後、
図10(a)に示すように、圧電基板2の表面に、スパッタリング等の成膜装置によって、クロム(Cr)層と金(Au)層との積層体である金属膜30を形成する。この金属膜30は、電極3となる膜である。次に、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて、金属膜30上に、電極3(励振電極31、32、パッド電極33、34および引出電極35、36)以外の領域に対応した開口R1”を有するレジスト膜R”を形成する。次に、例えば、王水を用いて、開口R1”から露出している部分の金属膜30を除去する。これにより、
図10(b)に示すように、電極3が形成される。
そして、例えば、王水を用いてレジスト膜R”を除去することにより、
図10(c)に示すように、振動素子1が得られる。
【0040】
このような製造方法によれば、容易かつ低コストで、振動部21の厚みtが互いに等しく、かつ、厚みtが所望の厚みとなっている振動素子1を製造することができる。言い換えれば、互いに振動特性(例えば、等価回路定数)が等しく、かつ、各個体の振動特性が所望の特性を満たしている複数の振動素子1を高い歩留まりで製造することができる。特に、本実施形態では、1つの圧電基板20から複数の振動素子1を製造するため、製造コストをより低減することができる。
【0041】
なお、本実施形態の振動素子1の製造方法では、個片化工程の後に、電極形成工程が実施されているが、電極形成工程は、個片化工程に先立って、すなわち、凹陥部形成工程と個片化工程との間に実施してもよい。また、電極形成工程の一部(励振電極31、32、パッド電極33、34および引出電極35、36のうちの一部の形成)を個片化工程に先立って実施し、残りを個片化工程の後に実施してもよい。
【0042】
<第2実施形態>
図11は、振動素子の他の構成例を示す平面図である。
以下、第2実施形態の振動素子の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態は、製造される振動素子の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0043】
図11に示すように、本実施形態の振動素子1Aでは、厚肉部22が、第1厚肉部23および第2厚肉部24の他に、さらに、振動部21の第2外縁212に沿って配置され、第2厚肉部24に接続されている第3厚肉部25を有している。そのため、厚肉部22は、振動部21に沿った略コ字状をなしている。振動部21の第4外縁214に沿っては、厚肉部22が形成されておらず、第4外縁214は、厚肉部22から露出している。このように、厚肉部22を略コ字状とすることによって、振動素子1の小型化を図ることができるとともに、振動素子1(振動部21)の剛性をより高くすることができ、不要スプリアスの発生を効果的に防止することができる。
【0044】
第3厚肉部25は、第2外縁212に連設され、−X軸方向に向けて厚みが漸増する傾斜部(残渣部)251と、傾斜部251の−X軸方向側の端縁に連接する厚みがほぼ一定の厚肉部本体252とを備えている。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0045】
<第3実施形態>
図12は、振動素子の他の構成例を示す平面図である。
以下、第3実施形態の振動素子の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態は、製造される振動素子の構成が異なる以外は、前述した第2実施形態と同様である。なお、前述した第2実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0046】
図12に示すように、本実施形態の振動素子1Bでは、厚肉部22が、第1厚肉部23、第2厚肉部24、第3厚肉部25の他に、さらに、振動部21の第4外縁214に沿って配置され、第1、第3厚肉部23、25に接続されている第4厚肉部26を有している。そのため、厚肉部22は、振動部21の全周に沿った略ロ字状をなしており、振動部21の外縁は、厚肉部22から露出していない。このように、厚肉部22を略ロ字状とすることによって、振動素子1(振動部21)の剛性をより高くすることができ、不要スプリアスの発生を効果的に防止することができる。
【0047】
第4厚肉部26は、第4外縁214に連設され、−Z’軸方向に向けて厚みが漸増する傾斜部(残渣部)261と、傾斜部261の−Z’軸方向側の端縁に連接する厚みがほぼ一定の厚肉部本体262とを備えている。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0048】
<第4実施形態>
図13は、振動素子の他の構成例を示す平面図である。
以下、第4実施形態の振動素子の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態は、製造される振動素子の構成が異なる以外は、前述した第3実施形態と同様である。なお、前述した第3実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0049】
図13に示すように、本実施形態の振動素子1Cでは、前述した第3実施形態から第3厚肉部25が省略されている。すなわち、厚肉部22が、第1厚肉部23、第2厚肉部24および第4厚肉部26を有している。そのため、厚肉部22は、振動部21に沿った略コ字状をなしており、振動部21の第2外縁212が厚肉部22から露出している。このように、厚肉部22を略コ字状とすることによって、振動素子1の小型化を図ることができるとともに、振動素子1(振動部21)の剛性をより高くすることができ、不要スプリアスの発生を効果的に防止することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0050】
<第5実施形態>
図14は、振動素子の他の構成例を示す斜視図、
図15は、
図14に示す振動素子の製造方法を示す断面図である。
以下、第5実施形態の振動素子の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態は、製造される振動素子の構成および凹陥部形成工程が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0051】
図14に示すように、本実施形態の振動素子1Dでは、圧電基板2の両主面に凹陥部を形成することによって、振動部21が形成されている。言い換えると、厚肉部22の表面(+Y’軸方向側の主面)は、振動部21の表面(+Y’軸方向側の主面)よりも+Y’軸方向側へ突出して設けられており、厚肉部22の裏面(−Y’軸方向側の主面)は、振動部21の裏面(−Y’軸方向側の主面)よりも−Y’軸方向側へ突出して設けられている。このように、圧電基板2の両主面に凹陥部を形成して振動部21を形成することによって、例えば、前述した第1実施形態と比較して、凹陥部のエッチング深さを浅くすることができる。
【0052】
振動素子1Dの製造方法は、凹陥部形成工程以外は、前述した第1実施形態の製造方法と同様である。したがって、以下では、凹陥部形成工程についてのみ説明する。
図15(a)に示すように、圧電基板20の両主面201、202に、スパッタリング等によって、クロム層と金層との積層体であるマスクMを形成する。次に、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて、マスクM上に、凹陥部203に対応した複数の開口R1を有するレジスト膜Rを形成する。次に、開口R1から露出している部分のマスクMを王水等によって除去し、
図15(b)に示すように、各領域T3対応する複数の開口M1を有するマスクMとする。
【0053】
次に、
図15(c)に示すように、エッチング液(例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)を用いて、マスクMの開口M1を介して圧電基板20をウエットエッチング(ハーフエッチング)し、圧電基板20の主面201に、複数の凹陥部203を形成するとともに、主面202に、凹陥部203と対向する複数の凹陥部203’を形成する。これにより、凹陥部203、203に挟まれるように、複数の薄肉部204が形成される。
【0054】
このように、圧電基板20の両主面201、202に凹陥部203、203’を形成することにより、前述した第1実施形態の製造方法と比較して、さらに、凹陥部203、203’の深さdを浅くすることができる。そのため、本実施形態の製造方法によれば、より効果的に、振動部21の厚みtが互いに等しく、かつ、厚みtが所望の厚みとなっている振動素子1を製造することができる。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0055】
2.振動子
次に、前述した振動素子を適用した振動子について説明する。
図16は、振動子の構成例を示す断面図である。
図16に示す振動子10は、前述した振動素子1と、振動素子1を収容するパッケージ4とを有している。
【0056】
(パッケージ)
パッケージ4は、上面に開放する凹部411を有する箱状のベース41と、凹部411の開口を塞いでベース41に接合された板状のリッド42とを有している。そして、凹部411がリッド42によって塞がれることにより形成された収納空間Sに振動素子1が収納されている。収納空間Sは、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
【0057】
ベース41の構成材料としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム等の各種セラミックスを用いることができる。また、リッド42の構成材料としては、特に限定されないが、ベース41の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、ベース41の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。なお、ベース41とリッド42の接合は、特に限定されず、例えば、接着剤を介して接合してもよいし、シーム溶接等により接合してもよい。
【0058】
ベース41の凹部411の底面には、接続電極451、461が形成されている。また、ベース41の下面には、外部実装端子452、462が形成されている。接続電極451は、ベース41に形成された図示しない貫通電極を介して外部実装端子452と電気的に接続されており、接続電極461は、ベース41に形成された図示しない貫通電極を介して外部実装端子462と電気的に接続されている。
接続電極451、461、外部実装端子452、462の構成としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
【0059】
収納空間S内に収容されている振動素子1は、表面をベース41側に向けて、マウント部29において、導電性接着剤51によってベース41に固定されている。導電性接着剤51は、接続電極451とパッド電極33とに接触して設けられている。これにより、導電性接着剤51を介して接続電極451とパッド電極33とが電気的に接続される。導電性接着剤51を用いて振動素子1を一カ所(一点)で支持することによって、例えば、ベース41と圧電基板2の熱膨張率の差によって振動素子1に発生する応力を抑えることができる。
導電性接着剤51としては、導電性および接着性を有していれば特に限定されず、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等の接着剤に導電性フィラーを分散させたものを用いることができる。
【0060】
振動素子1のパッド電極34は、ボンディングワイヤー52を介して接続電極461に電気的に接続されている。前述したように、パッド電極34は、パッド電極33と対向して配置されているため、振動素子1がベース41に固定されている状態では、導電性接着剤51の直上に位置している。そのため、ワイヤーボンディング時にパッド電極34に与える振動(超音波振動)の漏れを抑制することができ、パッド電極34へのボンディングワイヤー52の接続をより確実に行うことができる。
【0061】
3.発振器
次に、振動素子を適用した発振器について説明する。
図17は、発振器の構成例を示す断面図である。
図17に示す発振器100は、振動子10と、振動素子1を駆動するためのICチップ110とを有している。以下、発振器100について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0062】
図17に示すように、発振器100では、ベース41の凹部411にICチップ110が固定されている。ICチップ110は、凹部411の底面に形成された複数の内部端子120と電気的に接続されている。複数の内部端子120には、接続電極451、461と接続されているものと、外部実装端子452、462と接続されているものがある。ICチップ110は、振動素子1の駆動を制御するための発振回路を有している。ICチップ110によって振動素子1を駆動すると、所定の周波数の信号を取り出すことができる。
【0063】
4.電子機器
次に、振動素子を適用した電子機器について説明する。
図18は、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部2000を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
【0064】
図19は、携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部2000が配置されている。このような携帯電話機1200には、フィルター、共振器等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
【0065】
図20は、ディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0066】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0067】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
【0068】
なお、振動素子を備える電子機器は、
図18のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、
図19の携帯電話機、
図20のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
【0069】
5.移動体
次に、振動素子を適用した移動体について説明する。
図21は、移動体の一例としての自動車を示す斜視図である。自動車1500には、振動子10(振動素子1)が搭載されている。振動子10は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
【0070】
以上、本発明の振動素子の製造方法について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。