特許第6217461号(P6217461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6217461
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び加熱部制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171016BHJP
【FI】
   B41J2/01 125
   B41J2/01 451
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-42460(P2014-42460)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-168089(P2015-168089A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】原 平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−237035(JP,A)
【文献】 特開2010−181859(JP,A)
【文献】 特開2012−045855(JP,A)
【文献】 特開2013−164473(JP,A)
【文献】 特開2010−085742(JP,A)
【文献】 特開2009−048105(JP,A)
【文献】 特開2010−217433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出可能な吐出部と、
前記液体が吐出される前記媒体を加熱可能な加熱部と、
検出領域のエネルギーを検出可能な検出部と、
前記検出部が検出したエネルギーに基づいて前記加熱部の出力を変更可能な制御部と、
前記加熱部から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、前記遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに変位可能な遮熱部と、を備え、
前記遮熱部の少なくとも一部は、前記遮熱状態において前記検出領域に位置することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分の輻射率は、0.7以上1未満であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体吐出装置において、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記検出領域のエネルギーに基づいて、前記遮熱部が前記遮熱状態であるか前記非遮熱状態であるかを判断することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記制御部は、前記加熱部により加熱される前記検出領域における前記媒体のエネルギーと、前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分のエネルギーと、の差が所定以上であると前記検出部により検出された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記制御部は、前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分のエネルギーが所定以上であると前記検出部により検出された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記制御部は、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断した場合に、前記加熱部から放出される熱エネルギーが、前記非遮熱状態における前記加熱部から放出される熱エネルギーよりも、小さくなるように前記加熱部を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記制御部は、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断した場合に、前記加熱部からの熱エネルギーの放出を停止するように前記加熱部を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記制御部により前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断されたことを表す情報を出力する出力部を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
媒体に液体を吐出し、
前記液体が吐出される前記媒体を加熱部によって加熱し、
検出領域のエネルギーを検出し、
検出したエネルギーに基づいて前記加熱部の出力を変更可能とする加熱部制御方法であって、
前記加熱部から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、前記遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに変位可能な遮熱部の少なくとも一部を、前記遮熱状態において前記検出領域に位置させることを特徴とする加熱部制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び加熱部制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に液体を吐出可能な液体吐出装置が多く使用されており、このうち、媒体を加熱可能な液体吐出装置が使用されている。
例えば、特許文献1には、媒体を加熱可能な乾燥用ヒーターと本体ケースに設けられたカバー部材の開閉に連動して移動する遮蔽板(遮熱部)とを有する液体吐出装置が開示されている。
また、特許文献2には、媒体に液体を吐出可能な液体吐出装置ではないが、熱転写方式の画像形成装置において記録紙(媒体)の表面温度をセンサーにより検出可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−50550号公報
【特許文献2】特開2009−251408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されるような、媒体を加熱する加熱部から放出される熱エネルギーを遮熱する遮熱部を備える液体吐出装置においては、遮熱状態での加熱部による遮熱部の加熱により遮熱部が過剰加熱される場合があった。
なお、特許文献2に開示されるセンサーは、媒体の表面温度を検出するためのセンサーにすぎず、このようなセンサーを設けただけでは加熱部による遮熱部の過剰加熱を抑制することはできない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、媒体を加熱する加熱部と、加熱部から放出される熱エネルギーを遮熱する遮熱部とを備える液体吐出装置において、遮熱状態での加熱部による遮熱部の過剰加熱を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体吐出装置は、媒体に液体を吐出可能な吐出部と、前記液体が吐出される前記媒体を加熱可能な加熱部と、検出領域のエネルギーを検出可能な検出部と、前記検出部が検出したエネルギーに基づいて前記加熱部の出力を変更可能な制御部と、前記加熱部から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、前記遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに変位可能な遮熱部と、を備え、前記遮熱部の少なくとも一部は、前記遮熱状態において前記検出領域に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様の液体吐出装置は、前記第1の態様において、前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分の輻射率は、0.7以上1未満であることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様の液体吐出装置は、前記第1又は第2の態様において、前記制御部は、前記検出部が検出した前記検出領域のエネルギーに基づいて、前記遮熱部が前記遮熱状態であるか前記非遮熱状態であるかを判断することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様の液体吐出装置は、前記第3の態様において、前記制御部は、前記加熱部により加熱される前記検出領域における前記媒体のエネルギーと、前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分のエネルギーと、の差が所定以上であると前記検出部により検出された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様の液体吐出装置は、前記第3の態様において、前記制御部は、前記遮熱部のうち前記遮熱状態において前記検出領域に位置する部分のエネルギーが所定以上であると前記検出部により検出された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断することを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の態様の液体吐出装置は、前記第3から第5のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断した場合に、前記加熱部から放出される熱エネルギーが、前記非遮熱状態における前記加熱部から放出される熱エネルギーよりも、小さくなるように前記加熱部を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の態様の液体吐出装置は、前記第6の態様において、前記制御部は、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断した場合に、前記加熱部からの熱エネルギーの放出を停止するように前記加熱部を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の第8の態様の液体吐出装置は、前記第3から第7のいずれか1つの態様において、前記制御部により前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断された場合に、前記遮熱部が前記遮熱状態であると判断されたことを表す情報を出力する出力部を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の加熱部制御方法は、媒体に液体を吐出し、前記液体が吐出される前記媒体を加熱部によって加熱し、検出領域のエネルギーを検出し、検出したエネルギーに基づいて前記加熱部の出力を変更可能とする加熱部制御方法であって、前記加熱部から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、前記遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに変位可能な遮熱部の少なくとも一部を、前記遮熱状態において前記検出領域に位置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、媒体を加熱する加熱部と該加熱部から放出される熱エネルギーを遮熱する遮熱部とを備える液体吐出装置において、遮熱状態での前記加熱部による前記遮熱部の過剰加熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係る記録装置を表す概略側面図。
図2】本発明の一実施例に係る記録装置のブロック図。
図3】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略側面断面図。
図4】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略側面断面図。
図5】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略側面断面図。
図6】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略側面断面図。
図7】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略平面図。
図8】本発明の一実施例に係る記録装置の要部を表す概略平面図。
図9】本発明の一実施例に係る記録装置における検出部と遮熱部との位置関係を表す概略斜視図。
図10】本発明の一実施例に係る記録装置における検出部と遮熱部との位置関係を表す概略底面図。
図11】本発明の一実施例に係る記録装置における遮熱部を表す概略平面図。
図12】本発明の一実施例に係る記録装置における非遮熱状態での検出部の検出領域を示す概略平面図。
図13】本発明の一実施例に係る加熱部制御方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施例に係る液体吐出装置としての記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[記録装置の実施例](図1図11
最初に、本実施例の記録装置1における概要について説明する。
図1は本発明の一実施例に係る記録装置1を表す概略側面図である。
【0018】
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、媒体Pのセット部14から、媒体Pの支持部であるプラテン2、プラテン3及びプラテン4を介して、媒体Pの巻取部15まで、媒体Pを搬送方向Aに搬送する。すなわち、セット部14から巻取部15までが記録装置1における媒体Pの搬送経路であり、プラテン2、プラテン3及びプラテン4は該搬送経路に設けられた媒体Pの支持部である。なお、セット部14は回転方向Cに回転して媒体Pを送出し、巻取部15は回転方向Cに回転して媒体Pを巻き取る。このとき、媒体Pは、画像が記録される被記録媒体となる。なお、本実施例における記録装置1は、具体的に述べると、インクジェットプリンターである。
【0019】
本実施例の記録装置1は、ロール状の媒体Pに記録を行うことが可能な構成であるが、このような構成に限定されず、単票状の媒体Pに記録を行うことが可能な構成であってもよい。単票状の媒体Pに記録を行うことが可能な構成である場合、媒体Pのセット部14として、例えば、所謂、給紙(給送)トレイ及び給紙(給送)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。また、媒体Pの回収部として、巻取部15以外の回収部として、例えば、所謂、排出用受部、排紙(排出)トレイ及び排紙(排出)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。
【0020】
本実施例では記録面16が外側になるように巻かれているロール式の媒体Pを使用しているので、媒体Pをセット部14から送出する際、セット部14の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻かれているロール式の媒体Pを使用する場合は、セット部14の回転軸は回転方向Cとは逆回転して媒体Pを送出することが可能である。
そして、同様に、本実施例の巻取部15は媒体Pの記録面16が外側になるように巻き取るので、巻取部15の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻き取る場合は、巻取部15の回転軸は回転方向Cとは逆回転して媒体Pを巻き取ることが可能である。
【0021】
本実施例の記録装置1のプラテン2にはヒーター6が設けられている。ヒーター6は、記録部としての記録ヘッド9により記録を実行する前に媒体Pを加熱(所謂プレ加熱)するために設けられている。
なお、本実施例の記録装置1は、ヒーター6を用いて、媒体Pの記録面16とは反対側の面17側から媒体Pを記録前に加熱(プレ加熱)する構成となっている。しかしながら、例えば、媒体Pの記録面16側から赤外線を照射して媒体Pを加熱可能なヒーターを用いて、記録面16側から媒体Pをプレ加熱する構成としてもよい。なお、ヒーター6は媒体Pを記録前に加熱する役割を持っていることから、プレヒーター、記録前加熱部、などとも呼称することができる。
【0022】
また、本実施例の記録装置1は、プラテン2とプラテン3の間に搬送方向Aと交差する方向Bの回転軸を有し、媒体Pの面17と接触することによって媒体Pに送り力を付与する駆動ローラー5が設けられている。そして、駆動ローラー5と対向する位置(上部)には方向Bの回転軸を有する従動ローラー7が設けられている。そして、ローラー対を構成する駆動ローラー5と従動ローラー7とで媒体Pを挟持して媒体Pを搬送することができる。ここで、従動ローラーとは、媒体Pの搬送に伴って回転するローラーを意味する。
また、媒体Pを搬送方向Aに搬送する際は、駆動ローラー5は回転方向Cに回転し、従動ローラー7は回転方向Cとは逆方向に回転する。そして、媒体Pを搬送方向Aとは逆方向に搬送する際は、駆動ローラー5は回転方向Cとは逆方向に回転し、従動ローラー7は回転方向Cに回転する。
なお、本実施例の記録装置1は、記録部に対して媒体Pを搬送方向A及び搬送方向Aとは逆方向に搬送する構成であるが、媒体Pに対して記録部のみを移動させる構成や、媒体Pと記録部とを共に移動させる構成としてもよい。
【0023】
また、本実施例の記録装置1は、プラテン3と対向する側に記録部としての記録ヘッド9が備えられている。記録装置1は、キャリッジ8を介して搬送方向Aと交差する方向Bに記録ヘッド9を往復移動させながら、記録ヘッド9に設けられたノズルから、液体の一例としてのインクを媒体Pに吐出させて画像を形成する。したがって、記録ヘッド9は、媒体Pに液体を吐出可能な吐出部として機能する。
なお、本実施例の記録装置1は、往復移動しながら記録する記録ヘッド9を備えているが、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する方向Bに複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。
ここで、「ラインヘッド」とは、媒体Pの搬送方向Aと交差する方向Bに形成されたノズルの領域が、媒体Pの方向B全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッドの位置と媒体Pの位置とを相対的に移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの方向Bのノズルの領域は、記録装置が対応している全ての媒体Pの方向B全体をカバー可能でなくてもよい。
【0024】
また、プラテン3と対向する位置であって記録ヘッド9の上方には、記録ヘッド9による記録領域に向けて電磁波を照射可能な加熱部としてのヒーター10が設けられている。
なお、本実施例のヒーター10はプラテン3と対向する位置に設けられ、例えば、媒体Pの記録面16側の表面を35℃から50℃に加熱可能な赤外線ヒーターである。ここで、好ましい赤外線の波長は0.76〜1000μmである。一般的に、赤外線は波長によってさらに、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に区分され、区分の定義は様々であるが、おおよそ波長域は、0.78〜2.5μm、2.5〜4.0μm、4.0〜1000μmとなる。なかでも中赤外線を用いることが好ましい。
【0025】
また、プラテン3と対向する位置には、検出領域Rにおける媒体Pの温度を検出可能な検出部としてのセンサー12が設けられている。センサー12は、検出領域Rのエネルギーを検出可能な検出部である。図1のように、検出領域Rに媒体Pがある場合は、センサー12は媒体Pのエネルギーを検出することができる。なお、図1における検出領域Rは、媒体Pにおいてセンサー12に検出される領域を示したものである。そのため、矢印での平面的な表し方となっているが、実際には図9のような立体的な領域である。
【0026】
また、本実施例の記録装置1には、プラテン3と対向する位置に、ヒーター10の熱を遮熱可能な遮熱部としてのシャッター11が設けられている。本実施例の記録装置1は、方向Bに延びる支点19を回転支点としてカバー部13を方向Eに動かすことが可能である。このとき、シャッター11は、カバー部13の開閉に伴い、方向Dに移動可能である。詳細には、カバー部13を閉じた状態ではシャッター11は図1に表される非遮熱位置(図3参照)にあるが、カバー部13を開けることに伴いヒーター10の熱を遮熱可能な遮熱位置(図4参照)に移動する。このような構成により、カバー部13が開いている際に、記録装置1の内部に侵入物があった場合でも、ヒーター10により侵入物が加熱されるということを抑制している。
なお、キャリッジ8、ヒーター10、シャッター11及びセンサー12等を覆う外装部には、パネル35が設けられており、ユーザーは、パネル35を介して記録装置1に情報及び指示を入力することができる。また、パネル35は、記録装置1の状態などを表示することができるように構成されている。
【0027】
また、プラテン3よりも搬送方向Aにおける下流側のプラテン4と対向する位置には、電磁波を照射可能なヒーター18を備えている。ヒーター18は、本実施例の記録装置1で用いられるインクを乾燥させるため、例えば、媒体Pの表面を60℃から120℃に加熱可能な赤外線ヒーターである。ヒーター18は媒体Pを記録後に加熱(ポスト加熱)する役割を持っていることから、ポストヒーター、記録後加熱部、などとも呼称することができる。なお、ヒーター18は乾燥装置であればよく、乾燥装置として、赤外線ヒーター等の加熱装置のほか、ファン等の送風装置等を使用することもできる。
【0028】
なお、本実施例の記録装置1は、図1で表されるように、駆動ローラー5と従動ローラー7で構成される搬送部としてのローラー対が、搬送方向Aにおいて記録ヘッド9の上流側に設けられている。しかしながら、搬送部が、搬送方向Aにおいて記録ヘッド9の上流側と下流側とに設けられてもよい。搬送部が記録ヘッド9の上流側と下流側とに設けられる構成では、記録ヘッド9の上流側と下流側とにおいて媒体Pを挟持できるので、ジャム(媒体詰まり)などの搬送不良を効果的に抑制できる。
なお、記録装置1の構成部材として、従来の記録装置に設けられる構成部材をさらに備えていてもよい。
【0029】
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図2は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部20は、記録装置1における種々の制御を行う。例えば、制御部20は、センサー12が検出したエネルギーに基づいて加熱部の出力を変更可能である。換言すれば、制御部20は、センサー12が検出したエネルギーに基づいて加熱部を制御する。制御部20には、記録装置1の全体の制御を司るCPU21が設けられている。CPU21は、システムバス22を介して、CPU21が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンス等を格納したROM23と、データを一時的に格納可能なRAM24と、接続されている。
【0030】
また、CPU21は、システムバス22を介して、記録ヘッド9を駆動するためのヘッド駆動部25と接続されている。
また、CPU21は、システムバス22を介して、キャリッジ8を移動させるためのキャリッジモーター28、セット部14の駆動源である送出モーター29、駆動ローラー5の駆動源である搬送モーター30、巻取部15の駆動源である巻取モーター31、を駆動させるためのモーター駆動部27と接続されている。
また、CPU21は、システムバス22を介して、ヒーター6、10及び18を駆動するためのヒーター駆動部26と接続されている。
さらに、CPU21は、システムバス22を介して、センサー12、パネル35、記録データ等を記録装置1に入力するPC36、と接続される入出力部33と接続されている。
【0031】
次に、本実施例の記録装置1の要部であるセンサー12及びシャッター11についてと、該センサー12に対する該シャッター11の遮熱状態及び非遮熱状態における位置について説明する。
図3から図6は、本実施例の記録装置1の要部を表す概略側面断面図である。また、図7及び図8は、本実施例の記録装置1の要部を表す概略平面図である。また、図9は本実施例の記録装置1におけるセンサー12とシャッター11との位置関係を表す概略斜視図であり、図10は本実施例の記録装置1におけるセンサー12とシャッター11との位置関係を表す概略底面図である。また、図11は、本実施例の記録装置1におけるシャッター11を表す概略平面図である。そして、図12は、本実施例の記録装置1における非遮熱状態でのセンサー12の検出領域Rを示す概略平面図である。
なお、図3図5及び図7は非遮熱状態を表す図であり、図4図6図8図9及び図10は遮熱状態を表す図である。また、図3及び図4に対して、図5及び図6は、異なる方向から見た記録装置1の要部を表す概略側面断面図である。
【0032】
本実施例の記録装置1は、図1図3及び図4で表されるように、カバー部13を備えており、方向Bに延びる支点19を回転支点としてカバー部13を方向Eに移動可能(開閉可能)である。また、記録装置1は、カバー部13の開閉に連動させてシャッター11を移動させるシャッター移動機構37を備えている。そして、図3で表されるカバー部13を閉じた状態から図4で表されるカバー部13を開いた状態にすることにより、シャッター11が方向Dのうちの方向D1に移動し、ヒーター10がシャッター11により遮熱されない非遮熱状態から遮熱される遮熱状態になる。一方、図4で表されるカバー部13を開いた状態から図3で表されるカバー部13を閉じた状態にすることにより、シャッター11が方向Dのうちの方向D2に移動し、ヒーター10がシャッター11により遮熱される遮熱状態から遮熱されない非遮熱状態になる。
【0033】
なお、上記のように、本実施例の記録装置1では、シャッター11はカバー部13の開閉に伴って方向Dに移動する。ここで、シャッター移動機構37の詳細について述べると、カバー部13とシャッター11とがアームで連結されており、カバー部13の開閉に連動する形でシャッター11が移動する構成となっている。また、図3及び図4、並びに、図5及び図6で表されるように、シャッター11の移動に伴い、ヒーター10も方向Eにおける位置を変える。なお、シャッター移動機構37は、カバー部11の開閉に伴って方向Dに移動する機構であれば、どのような機構でもよい。例えば、カバー部11とシャッター11とが一体となっていたり、ギアによって連動したりする構成でもよい。
【0034】
図3から図7図9及び図11で表されるように、シャッター11には、被検出部38が設けられている。そして、図9で表されるように、シャッター11の一部である被検出部38は、遮熱状態においてセンサー12の検出領域Rに位置する。
【0035】
本実施例のセンサー12は、図12で示されるように、検出領域Rとして搬送方向Aに沿って4列、方向Bに沿って4列の合計16カ所のエネルギー検出(温度検出)が可能である。しかしながら、本実施例では、このうち、図9及び図12で示される、方向Bに沿う3列目R3及び4列目R4の領域において温度検出を行っている。
【0036】
なお、センサー12は、非遮熱状態においては、図12で示されるように、媒体Pにおける3列目R3及び4列目R4に相当する領域において温度検出を行うことが可能である。
一方、センサー12は、遮熱状態においては、媒体Pにおける4列目R4に相当する領域において温度検出を行うことが可能であるが、図9で表されるように、3列目R3に相当する領域には被検出部38が位置するので、媒体Pではなく被検出部38における温度検出を行うことが可能である。言い換えれば、センサー12は、遮熱状態では被検出部38のエネルギーを検出することができる。そして、制御部20は、センサー12が検出した被検出部38のエネルギーに基づいて加熱部を制御することができる。
【0037】
ここで、上記のように、本実施例の記録装置1は、媒体Pにインクを吐出可能な記録ヘッド9と、インクが吐出される媒体Pを加熱可能なヒーター10と、検出領域Rの温度を検出可能なセンサー12と、センサー12が検出した温度に基づいてヒーター10を制御する制御部20を備えている。また、ヒーター10から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに、変位可能なシャッター11を備えている。そして、シャッター11の被検出部38は、遮熱状態において検出領域に位置する。
ここで、「遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態」とは、熱エネルギーを完全に遮熱する状態のほか、熱エネルギーを完全には遮熱していないが遮熱状態よりは熱エネルギーを多く遮熱している状態も含む意味である。なお、遮熱状態、非遮熱状態という名称は、シャッター11の状態を区別するための一例にすぎない。したがって、遮熱状態を第1状態、非遮熱状態を第2状態などと呼称してもよい。
このように、被検出部38は、遮熱状態において検出領域Rに位置する。ここで、制御部20は、遮熱状態におけるシャッター11の温度を検出し、該検出結果に基づいてヒーター10を制御する。すなわち、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制している。
【0038】
また、被検出部38の輻射率は、0.7以上1未満となるように構成されている。一般的な媒体Pの輻射率は、0.7以上1未満であるため、検出領域Rにおける被検出物としての媒体Pと被検出部38との輻射率は近い値になっている。このため本実施例の記録装置1は、検出精度が高い。
【0039】
また、制御部20は、センサー12が検出した検出領域Rの温度に基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断する。
このため、該判断結果に基づいて遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を効果的に抑制することができる。
【0040】
具体的には、制御部20は、ヒーター10により加熱される検出領域Rにおける媒体Pの温度と、遮熱状態において検出領域Rに位置する被検出部38の温度と、の差、即ち、4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差が所定以上であるとセンサー12により検出された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断することができる。
このため、シャッター11の状態を検出するための部品を新たに設けることなく、シャッター11が遮熱状態であると判断することができる。なお、必要に応じて、シャッター11の状態を検出するための部品を新たに設ける構成としてもよい。例えば、シャッター11の状態、又はカバー部13の開閉を検出するために、図示しないセンサー34を新たに設けてもよい。ただし、センサー34を設けても、故障して作動しなくなる場合もある。このような場合には、センサー34を設けた場合でも、上述のように、ヒーター10により加熱される検出領域Rにおける媒体Pの温度と、遮熱状態において検出領域Rに位置する被検出部38の温度と、の差、即ち、4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差が所定以上であるとセンサー12により検出された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断することが好ましい。
【0041】
一方、制御部20は、遮熱状態における被検出部38の温度、即ち、3列目R3の検出温度が所定以上であるとセンサー12により検出された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断することもできる。
このため、温度により、簡単にシャッター11が遮熱状態であると判断することができる。
【0042】
また、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10から放出される熱エネルギーが、非遮熱状態におけるヒーター10から放出される熱エネルギーよりも、小さくなるようにヒーター10を制御する。
詳細には、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10からの熱エネルギーの放出を停止するようにヒーター10を制御する。
このため、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を効果的に抑制している。なお、上述したように、必ずしもヒーター10からの熱エネルギーの放出を停止させなくてもよく、ヒーター10からの熱エネルギーの放出を弱めるだけでもよい。
【0043】
また、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合、シャッター11が遮熱状態であると判断されたことを表す情報をパネル35、PC36及び不図示のスピーカーの少なくとも一つに出力することが可能である。遮熱状態であると判断されたことを表す情報とは、警告メッセージなどの表示情報や、エラー音などの音情報である。つまり、出力部の出力する情報の形態は、表示であってもよいし、音であってもよい。また、匂いや物理的刺激など、人間の五感のうち少なくともいずれかに対して働きかけるものであればよい。
このため、パネル35及びPC36に情報を表示させることやスピーカーからエラー音を出させることにより、シャッター11が遮熱状態であると判断されたことをユーザーに報知することができる。このとき、情報を表示するパネル35や種々のディスプレイ、及びエラー音を鳴らすスピーカーなど、情報を出力する部分が出力部に相当する。
【0044】
[加熱部制御方法の実施例](図13
次に、上記実施例の記録装置1を用いた加熱部制御方法の実施例について説明する。
図13は、本実施例の加熱部制御方法のフローチャートである。
カバー部13が開けられた場合は、図4図6図8図9及び図10で表される遮熱位置にシャッター11を移動させる(遮熱状態にする)とともに、ヒーター10を停止するよう制御部20により制御するフローが、本実施例の加熱部制御方法とは別に実行されている。
ここで、上記のように、遮熱状態となる場合には、被検出部38は検出領域Rの3列目R3に位置する。
【0045】
PC29から記録データを入力し、本実施例の加熱部制御方法が開始されると、最初に、ステップS110で、制御部20の制御によりヒーター10の余熱を行う。
【0046】
次に、ステップS120で、所定のタイミング毎にセンサー12の検出温度を制御部20は取得する。
【0047】
次に、ステップS130で、制御部20は、4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差が20℃以上である(遮熱状態)か、否(非遮熱状態)か、を判断する。なお、本実施例では該判断の閾値を20℃としているがその他の温度でもよい。また、本実施例では、該判断をセンサー12の4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差を判断基準として行っているが、3列目R3の検出温度を判断基準として行ってもよい。
ステップS130で、4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差が20℃未満であると判断した場合はステップS120に戻り、4列目R4の検出温度と3列目R3の検出温度との差が20℃以上であると判断した場合はステップS140に進む。
すなわち、ステップS130では、検出領域Rのエネルギーに基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断している。なお、遮熱状態である場合は、該判断に先立ってシャッター11の少なくとも一部である被検出部38が検出領域Rに位置している。
【0048】
ステップS140では、制御部20の制御により、ステップS130における遮熱状態であるとの判断結果に基づいて、ヒーター10を停止する。
そして、ステップS150で、シャッター11が遮熱状態であると判断されたことをパネル35に出力し、その旨パネル35に表示させ、本実施例の加熱部制御方法を終了する。なお、本実施例の記録装置1は、カバー部13の開閉を検出するセンサー34を備えてもよい。ただし、本実施例の加熱部制御方法は、例えば、センサー34が故障等した場合においても、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制することが可能な方法である。
【0049】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
以上、本発明について具体的な実施例に基づいて詳述した。ここで、本発明について、もう一度まとめて説明する。
【0050】
本発明の第1の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、媒体Pに液体としてのインクを吐出可能な吐出部としての記録ヘッド9と、インクが吐出される媒体Pを加熱可能な加熱部としてのヒーター10と、検出領域Rのエネルギーを検出可能な検出部としてのセンサー12と、センサー12が検出したエネルギーに基づいてヒーター10の出力を変更可能な制御部20と、ヒーター10から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに、変位可能な遮熱部としてのシャッター11と、を備え、シャッター11の少なくとも一部である被検出部38は、遮熱状態において検出領域Rに位置することを特徴とする。
【0051】
ここで、「遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態」とは、熱エネルギーを完全に遮熱する状態のほか、熱エネルギーを完全には遮熱していないが遮熱状態よりは熱エネルギーを多く遮熱している状態も含む意味である。
本態様によれば、被検出部38は、遮熱状態において検出領域Rに位置する。したがって、遮熱状態におけるシャッター11の温度を検出可能なため、制御部20により該検出結果に基づいてヒーター10を制御することができる。すなわち、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制することができる。
【0052】
本発明の第2の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第1の態様において、シャッター11のうち遮熱状態において検出領域Rに位置する部分である被検出部38の輻射率は、0.7以上1未満であることを特徴とする。
【0053】
本態様によれば、被検出部38の輻射率は、0.7以上1未満である。また、一般的な媒体Pの輻射率は、0.7以上1未満である。このため、検出領域Rにおける被検出物としての媒体Pと被検出部38との輻射率を近づけることができ、センサー12の検出精度を高めることができる。
【0054】
本発明の第3の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第1又は第2の態様において、制御部20は、センサー12が検出した検出領域Rのエネルギーに基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断することを特徴とする。
【0055】
本態様によれば、制御部20は、センサー12が検出した検出領域Rのエネルギーに基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断する。このため、該判断結果に基づいて遮熱状態でのヒーター10による遮熱部の過剰加熱を効果的に抑制することができる。
【0056】
本発明の第4の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第3の態様において、制御部20は、ヒーター10により加熱される検出領域Rにおける媒体Pのエネルギーと、シャッター11のうち遮熱状態において検出領域Rに位置する部分である被検出部38のエネルギーと、の差が所定以上であるとセンサー12により検出された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断することを特徴とする。
【0057】
本態様によれば、検出領域Rにおける媒体Pのエネルギーと、検出部38のエネルギーと、の差により、簡単にシャッター11が遮熱状態であると判断することができる。
【0058】
本発明の第5の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第3の態様において、制御部20は、シャッター11のうち遮熱状態において検出領域Rに位置する部分である被検出部38のエネルギーが所定以上であるとセンサー12により検出された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断することを特徴とする。
【0059】
本態様によれば、検出領域Rに位置する被検出部38のエネルギーの値により、簡単にシャッター11が遮熱状態であると判断することができる。
【0060】
本発明の第6の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第3から第5のいずれか1つの態様において、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10から放出される熱エネルギーが、非遮熱状態におけるヒーター10から放出される熱エネルギーよりも、小さくなるようにヒーター10を制御することを特徴とする。
【0061】
本態様によれば、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10から放出される熱エネルギーが、非遮熱状態におけるヒーター10から放出される熱エネルギーよりも、小さくなるようにヒーター10を制御する。このため、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制することができる。
【0062】
本発明の第7の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第6の態様において、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10からの熱エネルギーの放出を停止するようにヒーター10を制御することを特徴とする。
【0063】
本態様によれば、制御部20は、シャッター11が遮熱状態であると判断した場合に、ヒーター10からの熱エネルギーの放出を停止するようにヒーター10を制御する。このため、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を効果的に抑制することができる。
【0064】
本発明の第8の態様の液体吐出装置としての記録装置1は、第3から第7のいずれか1つの態様において、制御部20によりシャッター11が遮熱状態であると判断された場合に、シャッター11が遮熱状態であると判断されたことを表す情報を出力する出力部としての制御部20を備えることを特徴とする。
【0065】
本態様によれば、制御部20によりシャッター11が遮熱状態であると判断された場合に、情報を出力する出力部を備える。このため、例えば、情報を表示可能なパネル35や情報を警告音として発信可能なスピーカー等を出力部として情報を出力することにより、シャッター11が遮熱状態であると判断されたことをユーザーに報知できる。
【0066】
本発明の加熱部制御方法は、媒体Pに液体を吐出可能な吐出部としての記録ヘッド9と、液体が吐出される媒体Pを加熱可能な加熱部としてのヒーター10と、検出領域Rのエネルギーを検出可能な検出部としてのセンサー12と、ヒーター10から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに、変位可能な遮熱部としてのシャッター11と、を備え、遮熱状態では、シャッター11の少なくとも一部である被検出部38を検出領域Rに位置させる液体吐出装置における加熱部制御方法であって、検出領域Rのエネルギーに基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断し、判断結果に基づいてヒーター10を制御することを特徴とする。
【0067】
本態様によれば、検出領域Rのエネルギーに基づいて、シャッター11が遮熱状態であるか非遮熱状態であるかを判断し、判断結果に基づいてヒーター10を制御する。したがって、遮熱状態におけるシャッター11の温度を検出可能であり、該検出結果に基づいてヒーター10を制御することができる。すなわち、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制することができる。
また、本発明の加熱部制御方法は、媒体Pに液体としてのインクを吐出し、インクが吐出される媒体Pを加熱部としてのヒーター10によって加熱し、検出領域Rのエネルギーを検出し、検出したエネルギーに基づいてヒーター10の出力を変更可能とする加熱部制御方法であって、ヒーター10から放出される熱エネルギーの少なくとも一部を遮熱する遮熱状態と、遮熱状態よりも熱エネルギーの遮熱効果の小さい非遮熱状態とに変位可能な遮熱部としてのシャッター11の少なくとも一部である被検出部38を、遮熱状態において検出領域Rに位置させることを特徴とする加熱部制御方法であってもよい。本態様によれば、遮熱状態でのヒーター10によるシャッター11の過剰加熱を抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 記録装置(液体吐出装置)、2 プラテン、3 プラテン、4 プラテン、
5 駆動ローラー、6 ヒーター、7 従動ローラー、8 キャリッジ、
9 記録ヘッド(吐出部)、10 ヒーター(加熱部)、
11 シャッター(遮熱部)、12 センサー(検出部)、13 カバー部、
14 セット部、15 巻取部、16 媒体Pの記録面、
17 媒体Pの記録面とは反対側の面、18 ヒーター、19 支点、
20 制御部、21 CPU、22 システムバス、23 ROM、
24 RAM、25 ヘッド駆動部、26 ヒーター駆動部、27 モーター駆動部、
28 キャリッジモーター、29 送出モーター、30 搬送モーター、
31 巻取モーター、33 入出力部、34 センサー、35 パネル、
36 PC、38 被検出部、P 媒体、R 検出領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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