特許第6217522号(P6217522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6217522-加湿装置 図000002
  • 特許6217522-加湿装置 図000003
  • 特許6217522-加湿装置 図000004
  • 特許6217522-加湿装置 図000005
  • 特許6217522-加湿装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6217522
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/02 20060101AFI20171016BHJP
   B60H 3/00 20060101ALI20171016BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20171016BHJP
   F24F 6/04 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   B60H3/02 Z
   B60H3/00 A
   B60H3/00 Z
   B60H3/02 A
   F24F6/00 E
   F24F6/04
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-105375(P2014-105375)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-217917(P2015-217917A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 功治
(72)【発明者】
【氏名】新美 康彦
(72)【発明者】
【氏名】山岡 潤
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−306293(JP,A)
【文献】 特開2000−289456(JP,A)
【文献】 特開2006−213090(JP,A)
【文献】 特開2008−265409(JP,A)
【文献】 実開平2−75308(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00−3/06
F24F 3/14,6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風空気を車室内に導く通風路(311)を有する空調ケース(31)内に、送風空気を冷却する冷却器(34)を備える車両用空調装置に適用される加湿装置であって、
水分を吸収し脱離する吸着器(13)と、
前記吸着器を通過する空気流を発生させる送風機(12)と、
前記空気流の流路を開閉するドア(14、15、16)と、
前記ドアを制御することにより前記空気流の流路を切り替えて、前記冷却器にて冷却された空気を前記吸着器に導いて空気から前記吸着器に水分を吸着させる吸着モード、および低湿度の空気を前記吸着器に導いて前記吸着器から空気に水分を移動させて加湿し、加湿された空気を乗員に向けて吹き出す加湿モードを設定する制御手段(21)とを備えることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
加湿された空気を乗員の顔に向けて吹き出す開口部(191)を有するダクト(19)を備えることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記空調ケースとは別体の構成部品であることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記吸着器、前記送風機、および前記ドアは、前記空調ケースとは別体のケース(11)に収容されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記加湿モードのときに、前記ドアを制御することにより前記冷却器にて冷却された空気を前記低湿度の空気に混合させて加湿空気の温度を調整することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記吸着モードのときには、前記吸着器を通過した空気が前記空調ケース内の通風路に戻されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に組み合わせて用いられる加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿装置として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された加湿装置は、車室内へ空気が吹き出される吹出口直前に、水を気化する透湿性チューブを配置し、給水タンクから透湿性チューブに水を供給することにより、空調風を加湿するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−282992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加湿装置は、給水タンクに加湿のための水を補給しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、車両用空調装置を活用して、無給水で加湿できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、送風空気を車室内に導く通風路(311)を有する空調ケース(31)内に、送風空気を冷却する冷却器(34)を備える車両用空調装置に適用される加湿装置であって、水分を吸収し脱離する吸着器(13)と、吸着器を通過する空気流を発生させる送風機(12)と、空気流の流路を開閉するドア(14、15、16)と、ドアを制御することにより空気流の流路を切り替えて、冷却器にて冷却された空気を吸着器に導いて空気から吸着器に水分を吸着させる吸着モード、および低湿度の空気を吸着器に導いて吸着器から空気に水分を移動させて加湿し、加湿された空気を乗員に向けて吹き出す加湿モードを設定する制御手段(21)とを備えることを特徴とする。
【0007】
これによると、車両用空調装置の冷却器にて冷却された高湿度の空気から吸着器に水分を吸着させ、吸着器に吸着された水分を低湿度の空気に移動させて加湿するため、無給水で加湿することができる。
【0008】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る加湿装置および車両用空調装置の構成を示す模式的な断面図である。
図2】一実施形態に係る加湿装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る加湿装置の他の作動状態を示す模式的な断面図である。
図4】一実施形態に係る加湿装置のさらに他の作動状態を示す模式的な断面図である。
図5】一実施形態に係る加湿装置の変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る加湿装置1は、車室内の空調を行う車両用空調装置に組み合わせて用いられる。
【0012】
車両用空調装置の室内空調ユニット3は、車室内の計器盤(インストルメントパネル)下方部に配置されている。
【0013】
室内空調ユニット3は、送風空気を車室内に導く通風路311を形成する空調ケース31を備え、空調ケース31の空気流れ最上流側には、外気を導入する外気導入口321と内気を導入する内気導入口322とを有する内外気切替箱32が配置され、この内外気切替箱32内に内外気切替ドア323が回動自在に設置されている。
【0014】
この内外気切替ドア323は、外気導入口321と内気導入口322との分岐点に配置され、アクチュエータ(図示せず)により駆動されて、空調ケース31内の通風路311に導入する空気を内気と外気に切り替え、あるいは、内気と外気の混合割合を調整する。
【0015】
通風路311には、空調装置用送風機33、冷却器としてのエバポレータ34、加熱器としてのヒーターコア35、および、ドア36〜39が配置されている。
【0016】
空調装置用送風機33は、内外気切替箱32内に空気を吸い込んで空調ケース31の下流側に送風するものであり、電動機と、その回転軸に連結された遠心式送風ファンを有している。
【0017】
エバポレータ34は、空調装置用送風機33の空気流れ下流側に配置され、図示しない車両エンジンにより駆動されるコンプレッサ等と結合されて冷凍サイクルを構成し、内部を流通する低圧冷媒が通風路311を流通する送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。
【0018】
ヒーターコア35は、エバポレータ34の空気流れ下流側に配置され、図示しない車両エンジンの冷却水(温水)が内部を循環し、このエンジン冷却水を熱源として通風路311を流通する送風空気を加熱する。
【0019】
エアミックスドア36は、エバポレータ34とヒーターコア35との間に回動自在に設けられている。そして、エアミックスドア36は、アクチュエータ(図示せず)により駆動されて、ヒーターコア35を通過する空気とヒーターコア35をバイパスする空気の割合を調整し、車室内に吹き出す送風空気の温度を調整する。
【0020】
空調ケース31の空気流れ最下流部には、車両前面窓ガラスに向けて送風空気を吹き出すデフロスタ吹出口312、乗員の上半身に向けて送風空気を吹き出すフェイス吹出口313、および乗員の足下に向けて送風空気を吹き出すフット吹出口314が形成されている。
【0021】
そして、デフロスタ吹出口312はデフロスタドア37により開閉され、フェイス吹出口313はフェイスドア38により開閉され、フット吹出口314はフットドア39により開閉されるようになっている。
【0022】
また、これら各ドア37〜39は、アクチュエータ(図示せず)により駆動されて各吹出口312〜314を開閉することによって、各種の吹出モード(フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等)を設定する。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。
【0023】
空調ケース31には、エバポレータ34とヒーターコア35との間に、通風路311と外部とを連通させるエバポレータ下流開口部315が形成され、ヒーターコア35の下流側に、通風路311と外部とを連通させるヒーターコア下流開口部316が形成されている。
【0024】
加湿装置1は、計器盤下方部に配置されている。より詳細には、エバポレータ34の近傍で、且つ、エバポレータ下流開口部315と後述する第1開口部111とが接近する位置に配置されている。
【0025】
この加湿装置1は、空気を流通させる通風路を形成する樹脂製の加湿装置ケース11を備え、加湿装置ケース11内には、加湿装置用送風機12、吸着器13、および、ドア14〜16が配置されている。また、加湿装置1は、ダクト17〜19、および温度センサ20を備えている。
【0026】
加湿装置ケース11には、加湿装置ケース11内と外部とを連通させる開口部111〜113、加湿装置用送風機12への空気の入口部となる吸い込み口114、および加湿装置用送風機12の空気流れ下流側と第2開口部112とを連通させる連通孔115が形成されている。
【0027】
第1開口部111は、第1ダクト17によりエバポレータ下流開口部315と接続され、エバポレータ34にて冷却された空気を加湿装置ケース11内に導くようになっている。そして、加湿装置ケース11内に導かれた空気は、吸着器13に導かれる。また、第1開口部111は、加湿装置ケース11に回動自在に装着された開閉ドア14により開閉される。
【0028】
第2開口部112は、第2ダクト18によりヒーターコア下流開口部316と接続されている。そして、加湿装置ケース11に回動自在に装着された第1切り替えドア15の回動位置に応じて、第1開口部111から吸着器13に至る通風路の空気流れ下流側または連通孔115と連通するようになっている。
【0029】
第3開口部113には第3ダクト19が接続されている。この第3ダクト19は、空気流れ下流端である吹き出し開口部191側が計器盤の上部に設置され、加湿装置1にて加湿された空気を吹き出し開口部191から乗員の顔部(口、鼻、目)に向けて吹き出すようになっている。この第3ダクト19内における吹き出し開口部191の近傍には、第3ダクト19から吹き出す空気の温度を検出する温度センサ20が配置されている。また、第3開口部113および連通孔115は、加湿装置ケース11に回動自在に装着された第2切り替えドア16により開閉される。
【0030】
なお、ダクト17〜19の材質は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。また、第3ダクト19は、その内部の空気と外部の空気との熱交換を促進するために、その板厚をなるべく薄くすることが望ましい。
【0031】
加湿装置用送風機12は、第1開口部111または第2開口部112から空気を吸入し、吸着器13を通過する空気流を発生させるものであり、電動機121と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン122を有している。
【0032】
吸着器13は、水分を吸収し放湿(脱離)する吸着材を担持させた複数の金属製の板状部材を備え、その板状部材を間隔を開けて積層配置することにより、板状部材間に送風空気を通過させる通風路を形成したものである。本実施形態の吸着器13では、このように吸着材を担持させた複数の板状部材を積層配置することで、送風空気と吸着材との接触面積を増加させている。
【0033】
また、吸着材として、高分子吸着材を採用している。より具体的には、この吸着材は、送風空気の温度として想定される温度範囲内において、吸着器13を通過する送風空気の相対湿度を50%変化させた際に、吸着している水分量(吸着量)が3wt%〜10wt(少なくとも3wt%以上)変化する吸着特性を有している。
【0034】
なお、一般に吸着材の水分の吸着速度は脱離速度の半分程度であるため、吸着させる場合の風量は、脱離させる場合の2倍の風量が必要であり、加湿装置用送風機12はそれに対応した性能を有する。
【0035】
図2に示すように、加湿装置1は、加湿装置1のドア14〜16を制御することにより加湿装置ケース11内の空気流の流路を切り替える制御手段としての加湿制御装置21を備えている。
【0036】
この加湿制御装置21は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
【0037】
加湿制御装置21の出力側には、加湿装置用送風機12の電動機121、加湿装置1のドア14〜16を駆動するアクチュエータ22が接続されている。なお、アクチュエータ22は、サーボモータを用いることができる。
【0038】
また、加湿制御装置21の入力側には、温度センサ20、加湿装置1のオン・オフを切り替えるメインスイッチ23、および第3ダクト19から吹き出す空気の目標温度を設定する加湿空気温度設定スイッチ24が接続されている。
【0039】
次に、加湿装置1の作動について説明する。
【0040】
車両用空調装置が作動している状態でメインスイッチ23がオン状態に操作されると、加湿制御装置21は、加湿装置用送風機12の運転を開始し、また、加湿装置1のドア14〜16を所定の位置に移動させて、後述する吸着モード運転と加湿モード運転を1分おきに交互に実行する。
【0041】
図1は、吸着モード運転状態を示している。この吸着モード運転時には、加湿制御装置21は、加湿装置1のドア14〜16を所定の位置に移動させて、吸着器13に水分を吸着させる吸着モードの流路を設定する。
【0042】
具体的には、図1に示すように、開閉ドア14は第1開口部111を開く。また、第1切り替えドア15は、第1開口部111から吸着器13に至る通風路と第2開口部112との間を遮断するとともに、第2開口部112と連通孔115とを連通させる。さらに、第2切り替えドア16は、第3開口部113を閉じるとともに連通孔115を開く。
【0043】
この状態では、エバポレータ34にて冷却された低温、高湿度の空気(例えば、温度5℃、相対湿度72%)は、第1ダクト17を介して第1開口部111から加湿装置ケース11内に流入し、さらに吸着器13に導かれ、水分が吸着器13に吸着される。
【0044】
そして、吸着器13を通過した空気は、吸い込み口114から連通孔115を通って第2開口部112に至り、さらに第2ダクト18を介してヒーターコア下流開口部316から、通風路311におけるヒーターコア35の空気流れ下流側部位に戻される。したがって、冷風が車室内にもれることはない。
【0045】
ここで、一般に吸着材の水分の吸着速度は脱離速度の半分程度であるため、吸着モード運転時に加湿装置1に供給する風量は、加湿モード運転時に加湿装置1に供給する風量の2倍に設定されている。
【0046】
図3図4は、加湿モード運転状態を示している。この加湿モード運転時には、加湿制御装置21は、加湿装置1のドア14〜16を所定の位置に移動させて、吸着器13に吸着された水分を低湿度の空気に移動させる加湿モードの流路を設定する。
【0047】
具体的には、図3図4に示すように、開閉ドア14は第1開口部111を閉じるか、或いは第1開口部111を適宜量開く。また、第1切り替えドア15は、第1開口部111から吸着器13に至る通風路と第2開口部112とを連通させるとともに、第2開口部112と連通孔115との間を遮断する。さらに、第2切り替えドア16は、第3開口部113を開くとともに連通孔115を閉じる。
【0048】
図3に示すように、開閉ドア14が第1開口部111を閉じた状態では、ヒータコア35にて加熱された高温で低湿度の空気は、第2ダクト18を介して第2開口部112から加湿装置ケース11内に流入し、さらに吸着器13に導かれる。そして、吸着器13内の水分がヒータコア35にて加熱された高温で低湿度の空気(例えば、温度70℃、相対湿度2%)に移動して、その空気は高湿度の空気になる。
【0049】
吸着器13を通過した高湿度の空気は、吸い込み口114を通って第3開口部113に至り、さらに第3ダクト19を介して吹き出し開口部191から乗員の顔部に向けて吹き出される。
【0050】
なお、吹き出し開口部191から吹き出される加湿空気の風速が1m/s以下となるように、風量10m3/h程度で吹き出される。このように、風速を低くすることにより、加湿空気の拡散を抑制して、加湿空気を顔部に確実に到達させることができる。
【0051】
因みに、風量10m3/hは、車両用空調装置の最低風量の10%以下である。このように、加湿装置1に供給する風量は少ないため、車両用空調装置の空調機能への影響はほとんどない。
【0052】
ここで、第3ダクト19は、φ50mm、長さ1000mm程度であるので、吸着器13を通過した高温で高湿度の空気は、第3ダクト19内を通るときに第3ダクト19の周囲の車室内空気と熱交換して車室内温度に近い温度まで温度が下がり、高湿度(例えば、相対湿度55%)になる。
【0053】
但し、本実施形態では、温度センサ20にて検出した空気の温度が加湿空気温度設定スイッチ24にて設定された目標温度よりも高い場合には、図4に示すように、開閉ドア14を開弁向きに移動させて、エバポレータ34にて冷却された低温の空気を第1ダクト17を介して加湿装置ケース11内に導く。これにより、エバポレータ34にて冷却された低温の空気をヒータコア35にて加熱された高温の空気に混合させて、吹き出し開口部191から吹き出される加湿空気の温度を目標温度に調整する。
【0054】
メインスイッチ23がオフ状態に操作されると、加湿制御装置21は、吸着器13に水分が残らないようにするために、加湿モード運転を実行した後に加湿装置1の運転を停止させる。
【0055】
本実施形態によると、車両用空調装置の冷却器34にて冷却された高湿度の空気から吸着器13に水分を吸着させ、吸着器13に吸着された水分を低湿度の空気に移動させて加湿するため、無給水で加湿することができる。
【0056】
また、加湿空気専用の第3ダクト19を設けて、吹き出し開口部191から乗員の顔部に向けて加湿空気を吹き出すことにより、乗員の顔部周辺のみ加湿され、窓ガラスは加湿されないので、窓くもりは生じない。
【0057】
また、吹き出し開口部191から吹き出される加湿空気の風速を低くすることにより、加湿空気の拡散を抑制して、加湿空気を顔部に確実に到達させることができる。
【0058】
また、加湿装置1に供給する風量は少ないため、車両用空調装置の空調機能への影響はほとんどない。
【0059】
また、加湿装置1は、車両用空調装置の室内空調ユニット3とは別体であるため、車両用空調装置に後付けすることができる。
【0060】
また、加湿装置1は、車両用空調装置の室内空調ユニット3の外部に配置されるため、加湿装置1を室内空調ユニット3に内蔵する場合よりも、室内空調ユニット3の通風抵抗を小さくすることができる。
【0061】
また、吸着モード運転時において、吸着器13を通過した低温の空気は室内空調ユニット3の通風路311に戻されるため、冷風が車室内にもれることはない。
【0062】
なお、上記実施形態においては、吸着材の水分の吸着速度は脱離速度の半分程度であるため、吸着モード運転時間と加湿モード運転時間を等しくし、吸着モード運転時に加湿装置1に供給する風量を、加湿モード運転時に加湿装置1に供給する風量の2倍に設定したが、吸着モード運転時間を加湿モード運転時間の2倍に設定し、吸着モード運転時に加湿装置1に供給する風量と加湿モード運転時に加湿装置1に供給する風量を等しくしてもよい。
【0063】
また、図5に示す変形例のように、加湿装置1の第2ダクト18、および空調ケース31のヒーターコア下流開口部316を廃止し、加湿モード運転時には車室内空気を加湿装置ケース11の第2開口部112から加湿装置ケース11内に直接流入させるようにしてもよい。
【0064】
すなわち、上記実施形態においては、加湿モード運転時にはヒータコア35にて加熱された高温で低湿度の空気を吸着器13に導くようにしたが、加湿が必要な時は車室内空気が乾燥している時であるため、変形例のようにしても吸着器13から容易に水分を脱離させることができる。
【0065】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0066】
また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0067】
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【0068】
また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
12 加湿装置用送風機
13 吸着器
14 開閉ドア
15 第1切り替えドア
16 第2切り替えドア
21 加湿制御装置(制御手段)
31 空調ケース
34 エバポレータ(冷却器)
311 通風路
図1
図2
図3
図4
図5