(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気機器に対して後付けされ、前記電気機器との電気的な接続が不要なオプション装置であって、前記電気機器からの排気を空気流として集めるダクトと、前記電気機器からの排気の有無を検出する空気流センサーと、前記排気を清浄化処理して大気中に排出する空気清浄部と、前記空気流センサーの出力に基づいて前記空気清浄部の作動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記空気流センサーによって前記空気流が所定時間継続して検出されたときに、前記空気清浄部を作動させることを特徴とする電気機器用オプション装置。
前記空気清浄部は、前記排気中の超微粒子を捕集するフィルターと、前記排気が前記フィルターを通過するように送風する電動ファンとを備え、前記制御装置は、前記空気流センサーによって前記空気流が検出されたときに前記電動ファンを作動させることを特徴とする
請求項1に記載の電気機器用オプション装置。
前記空気流センサーは、前記ダクト内に開口する入口と前記空気清浄部への空気流路とは別の空気流路で大気に連通する出口とを有する筒状のケースと、前記ケース内で空気流を受けて移動する被検知体と、前記被検知体の移動を検出して電気信号を出力する検知器とを備え、
前記制御装置が、前記検知器の出力信号に基づいて前記空気清浄部の作動を制御することを特徴とする
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機器用オプション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置のような商用電源に接続される電気機器のオプション装置の場合、オプション装置を作動させる電源は電気機器からではなく商用電源から直接供給することが可能であるが、オプション装置の作動を制御するための電気信号を電気機器から得るためには、電気機器とオプション装置との間で電気的な接続が必要になる。
【0006】
例えば、画像形成装置の場合、待機中は排気用ファンが作動していないか、作動していても低速回転なので排気は少なく、したがって排気中の超微粒子の量は問題とならないが、画像形成部が動作中は排気用ファンが全速回転して排気が多くなり、かつ、超微粒子が排気中に含まれる。したがって、画像形成装置が待機中か動作中かを識別するための電気信号をオプション装置に与え、オプション装置は、画像形成装置が動作中に空気清浄化機能を働かせる制御を行う必要がある。
【0007】
しかし、そのような電気的な接続を行うためには、電気機器側にオプション装置との電気接続を可能にするインターフェイス(コネクター等)をあらかじめ設けておく必要があり、その分だけコストが増加することになる。そのようなインターフェイスを備えていない既存の電気機器の場合は、電気機器側を改造して必要な電気信号を取り出し、オプション装置との電気的な接続を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決し、電気機器に対して後付けされ、電気機器との電気的な接続が不要でありながら、電気機器の作動状態に応じた適切な制御をおこなうことが可能な電気機器用オプション装置を提供することを目的とする。
【0009】
請求項1に記載の電気機器用オプション装置は、電気機器に対して後付けされ、前記電気機器との電気的な接続が不要なオプション装置であって、前記電気機器からの排気を空気流として集めるダクトと、前記電気機器からの排気の有無を検出する空気流センサーと、前記排気を清浄化処理して大気中に排出する空気清浄部と、前記空気流センサーの出力に基づいて前記空気清浄部の作動を制御する制御装置とを備え
、前記制御装置は、前記空気流センサーによって前記空気流が所定時間継続して検出されたときに、前記空気清浄部を作動させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の電気機器用オプション装置は、請求項1に記載の電気機器用オプション装置において、前記空気清浄部は、前記排気中の超微粒子を捕集するフィルターと、前記排気が前記フィルターを通過するように送風する電動ファンとを備え、前記制御装置は、前記空気流センサーによって前記空気流が検出されたときに前記電動ファンを作動させることを特徴とする。
【0012】
請求項
3に記載の電気機器用オプション装置は、請求項1
又は2に記載の電気機器用オプション装置において、前記空気清浄部の正常作動状態、停止状態、及び前記空気清浄部が規定時間を超えて継続作動している異常状態を区別可能に報知する報知部を備えていることを特徴とする。区別可能に報知する報知部として、たとえば点滅を含む点灯状態、あるいは表示色を変えて表示できる発光ダイオード、鳴動モードを変えられるブザー等を使用することができる。
【0013】
請求項
4に記載の電気機器用オプション装置は、請求項1から
3のいずれか1項に記載の電気機器用オプション装置において、前記空気清浄部は、前記電気機器に内蔵された排気フィルターよりも目の細かいフィルターを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項
5に記載の電気機器用オプション装置は、請求項1から
4のいずれか1項に記載の電気機器用オプション装置において、前記空気流センサーは、前記ダクト内に開口する入口と前記空気清浄部への空気流路とは別の空気流路で大気に連通する出口とを有する筒状のケースと、前記ケース内で空気流を受けて移動する被検知体と、前記被検知体の移動を検出して電気信号を出力する検知器とを備え、前記制御装置が、前記検知器の出力信号に基づいて前記空気清浄部の作動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の電気機器用オプション装置によれば、電気機器からの排気の有無を検出する空気流センサーの出力に基づいて制御装置が空気清浄部の作動を制御するので、電気機器の作動状態に関する電気信号をオプション装置に与えなくても、言い換えれば、電気機器とオプション装置との電気的な接続が不要でありながら、オプション装置の制御装置は電気機器の作動状態を判断して適切に空気清浄部を制御することができる。
さらに、請求項1に記載の電気機器用オプション装置によれば、空気流センサーによって空気流が所定時間継続して検出されたときに空気清浄部を作動させるので、空気流のゆらぎ、機器の振動、外部ノイズ等に起因する空気清浄部の誤作動やチャタリング(短い周期でのオン・オフの繰り返し)を回避することができる。
【0016】
請求項2に記載の電気機器用オプション装置によれば、排気中の超微粒子を捕集するフィルターと、排気がフィルターを通過するように送風する電動ファンとを備え、制御装置は、空気流センサーによって空気流が検出されたときに電動ファンを作動させるので、必要な時にオプション装置の空気清浄化機能を働かせることができる。
【0018】
請求項
3に記載の電気機器用オプション装置によれば、空気清浄部の正常作動状態、停止状態、及び空気清浄部が規定時間を超えて継続作動している異常状態を区別可能に報知する報知部を備えているので、画像形成装置のような電気機器の使用者(操作者)は、空気清浄部の動作状態(特に異常状態)を容易に知ることができる。
【0019】
請求項
4に記載の電気機器用オプション装置によれば、空気清浄部は、電気機器に内蔵された排気フィルターよりも目の細かいフィルターを備えているので、電気機器から排気フィルターを通して排出される排気中に依然として含まれる超微粒子がオプション装置のフィルターによって捕集され、清浄化された空気が大気中に排出される。
【0020】
請求項
5に記載の電気機器用オプション装置によれば、空気流センサーは、ダクト内に開口する入口と空気清浄部への空気流路とは別の空気流路で大気に連通する出口とを有する筒状のケースと、ケース内で空気流を受けて移動する被検知体と、被検知体の移動を検出して電気信号を出力する検知器とを備え、制御装置が、検知器の出力信号に基づいて空気清浄部の作動を制御するので、比較的簡単な構成で電気機器からの排気を検出し、その検出結果に基づいて空気清浄部の作動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る複合機を右斜め前から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る複合機を右斜め後から見た斜視図である。
【
図3】複合機にオプション装置を取り付けた状態を右斜め前から見た斜視図である。
【
図4】複合機にオプション装置を取り付けた状態を右斜め後から見た斜視図である。
【
図5】オプション装置を複合機に取り付ける方法を模式的に示す部分断面図である。
【
図6】複合機の装置本体及びオプション装置の内部を示す平面模式図である。
【
図7】オプション装置に備えられた空気流センサーの周辺の側面模式図である。
【
図8】空気流センサーの構造及び検出原理を示す側面模式図である。
【
図9】空気流センサーの構造及び検出原理を示す側面模式図である。
【
図10】空気流センサーケースの入口及び出口の付近に備えられる抜け止め部材の平面図である。
【
図11】空気流センサーのケース出口部に風防が設けられた様子を示す側面模式図である。
【
図12】オプション装置の電気回路の構成を示すブロック図である。
【
図13】オプション装置の制御装置が行う制御の一例を示すフローチャートである。
【
図14】空気流センサーの排気断面における位置を示す側面図である
【
図15】空気流センサーの別実施形態を示す側面模式図である。
【
図16】一般的なレーザープリンターの例を示す斜視図である。
【
図17】
図16に示すレーザープリンターに本発明の別実施形態に係るオプション装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図18】別実施形態に係るオプション装置及びレーザープリンターの装置本体の内部を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係るオプション装置が後付けされる画像形成装置としての複合機の例を示す斜視図である。
図1は複合機の右斜め前から見た斜視図であり、
図2は複合機の右斜め後から見た斜視図である。以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、画像形成装置の操作パネル1がある前面を正面視とし、この方向を基準にしている。
【0023】
この複合機は、本体正面の右側に液晶表示器を含む操作パネル1を備え、本体の上部に原稿自動送り装置(ADF)2を有する原稿読取部3が設けられている。また、原稿読取部3の下方で操作パネル1の左側には、印刷された用紙が排出されて積層される排紙トレイ4が設けられている。操作パネル1及び排紙トレイ4の下の装置本体5の内部には、感光ドラム、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等を含む画像形成部が設けられている。装置本体5の下側には、画像形成部へ給紙される定型の記録用紙を収容した給紙トレイ6が装着されている。
【0024】
また、装置本体5の右側には、手差し給紙トレイ7が備えられている。
図1及び
図2では、手差し給紙トレイ7は閉じられた定常状態で示されている。手差し給紙トレイ7は、下部に設けられた前後方向の枢支軸で装置本体5に支持されており、上部を右側に倒すと、枢支軸周りに手差し給紙トレイ7が略水平になるまで回動して開く。手差し給紙トレイ7に用紙がセットされたときは、その用紙が優先的に画像形成部へ給紙され、手差し給紙トレイ7に用紙がセットされていないときは給紙トレイ6に収容された用紙が画像形成部へ給紙される。
【0025】
手差し給紙トレイ7又は給紙トレイ6から送り出された用紙は、装置本体5の内部で画像形成部へ給紙される。複合機は、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能等の複数の機能を備えている。例えばコピー機能が使用される場合、原稿読取部3で読み取られた画像データに従って、同じ画像を形成するように露光装置が制御されて感光ドラムに静電潜像が形成され、現像装置によって静電潜像が現像されてトナー像となる。このトナー像は転写装置によって用紙に転写され、定着装置によって加熱されて定着する。つまり、画像形成部へ給紙された用紙は、所定の搬送路に沿って搬送される間にトナー像が転写され、定着された後に排紙トレイ4へ排出される。
【0026】
装置本体5の右側面の手差し給紙トレイ7の上方に、第1の排気口8が設けられている。第1の排気口8の内側には排気フィルター及び排気ファン(冷却ファン)が備えられ、定着装置等を冷却した空気(冷却風)がフィルターを通って第1の排気口8から排出される。排気フィルターは、現像装置や定着装置で発生する超微粒子(UFP)が冷却風に混じってそのまま外部に排出されるのを防ぐためのものである。つまり、冷却風に含まれる超微粒子は排気フィルターによってある程度捕集される。
【0027】
また、装置本体5の背面側の上部には、横並びの2箇所に第2の排気口9が設けられている。この内側には排気ファン(冷却ファン)が備えられているが、フィルターは備えられていない。第2の排気口9とその排気ファンの近くには、パワートランジスター等の発熱部品が実装されたプリント基板が配置されており、それらの発熱部品を冷却した空気(冷却風)が第2の排気口9から排出される。また、第2の排気口9の下方において、装置本体5の背面側に吸気口10が設けられている。この吸気口10以外に、装置本体5の左側面や底面にも吸気口が適宜設けられている。吸気口から取り入れられた空気が上記のように装置本体5の内部を冷却した後、第1の排気口8及び第2の排気口9から排出される。
【0028】
近年、画像形成装置からの排気中に含まれる超微粒子(UFP)に対する規制が特に欧州で厳しくなってきている。上述のように、第1の排気口8の内側には排気フィルターが備えられているが、簡易的な比較的目の粗いフィルターであるために、排気(冷却風)に含まれる超微粒子を十分に捕集することができない。また、第2の排気口9はプリント基板に実装された発熱部品の冷却風を排出するための排気口でありフィルターを備えていないが、ここからの排気にも定着装置等の冷却風が混じり、超微粒子を含む可能性がある。
【0029】
そこで、第1の排気口8及び第2の排気口9をカバーするダクトと、目の細かいフィルター及び電動ファンを備えた空気清浄化機能を有するオプション装置を後付けし、第1の排気口8及び第2の排気口9からの排気に含まれる超微粒子をオプション装置の目の細かいフィルターで十分に捕集し、清浄化された空気をオプション装置から排出する。
【0030】
図3及び
図4は、
図1及び
図2に示した複合機にオプション装置12を取り付けた状態の外観を示している。
図3は、複合機の右斜め前から見た斜視図であり、
図4は複合機の右斜め後から見た斜視図である。オプション装置12は、第1の排気口8及び第2の排気口9(
図1及び
図2参照)からの排気を集める第1のダクト13及び第2のダクト14と、フィルター及び電動ファンを内蔵している空気清浄部(以下、クリーンユニットという)15を備えている。第1のダクト13及び第2のダクト14で集められた排気は、クリーンユニット(空気清浄部)15で合流され、排気中の超微粒子が内蔵のフィルターで捕集され、清浄化された排気が電動ファンによって背面の排気口16から排出される。
【0031】
オプション装置12のクリーンユニット15と第1のダクト13及び第2のダクト14は一体に組み立てられている。複合機の背面上部の段部3aにブラケット17を両面テープで固定し、クリーンユニット15をブラケット17に引っ掛けるようにしてオプション装置12を複合機に装着する。その様子を
図5に部分断面図として示す。断面L字状のブラケット17が複合機の背面上部の段部3aに両面テープ18で固定されている。ブラケット17の長手方向複数個所に切り起こし加工でフック部17aが形成され、クリーンユニット15の上面から下方に折れ曲がった係合部15aをフック部17aに引っ掛けるようにして、オプション装置12が複合機に取り付けられる。オプション装置12の第1のダクト13及び第2のダクト14の開口部(排気の入口)には、開口部を囲むように発泡ウレタン樹脂(スポンジ)のパッキンが設けられ、複合機の第1の排気口8及び第2の排気口9からの排気が直接外へ漏れにくいようにしている。また、クリーンユニット15の上面のコーナー部に、クリーンユニット15の動作状態を発光ダイオードで表示するインジケーター(報知部)19が設けられている(
図4参照)。
【0032】
図6は、複合機の装置本体5及びオプション装置12の内部を示す平面模式図である。
図6及び以下の説明で参照する図において、排気の流れ、すなわち空気流を実線の矢印線で描いている。装置本体5の右側面(
図6では左側)に設けられた第1の排気口8は、その内側に排気フィルター20と排気ファン(冷却ファン)21を備え、定着装置等を冷却した空気(冷却風)が排気フィルター20を通って第1の排気口8から排出され、オプション装置12の第1のダクト13を通ってクリーンユニット15に導かれる。また、装置本体5の背面側(
図6では下側)に設けられた第2の排気口9は、その内側に排気ファン(冷却ファン)22を備え、プリント基板に実装された発熱部品を冷却した空気(冷却風)が第2の排気口9から排出され、オプション装置12の第2のダクト14を通ってクリーンユニット15に導かれる。
【0033】
クリーンユニット15には、装置本体5の第1の排気口8の内側の排気フィルター20よりも目の細かい高効率微粒子エアフィルター(以下、HEPAフィルターという)23と、電動ファン(排気ファン)24が内蔵されている。第1のダクト13及び第2のダクト14で集められた排気は、クリーンユニット15で合流され、排気中の超微粒子がHEPAフィルター23で捕集され、清浄化された排気が電動ファン24によって背面の排気口16から排出される。
【0034】
また、オプション装置12は、複合機の装置本体5からの排気の有無を検出することによって複合機の状態(待機中又は印刷中)を検出するための空気流センサー25と、その出力信号に基づいて電動ファン24の作動(つまり、クリーンユニット15の作動)を制御する制御装置とを備えている。これにより、オプション装置12は、複合機と電気的な接続を必要としないで、複合機の動作状態に応じて、必要な時に電動ファン24を作動(クリーンユニット15による空気清浄化機能を作動)させることができる。なお、制御装置や電動ファン24を作動させるための電源は複合機からではなく、商用電源(AC100V)からオプション装置12の電源回路へ供給される。
【0035】
図7に、空気流センサー25の周辺の側面模式図を示し、
図8及び
図9に空気流センサー25の構造及び検出原理を側面模式図で示す。空気流センサー25は、排気ファン(冷却ファン)22によって排気口9から排出される排気の一部を取り込んで、ダクト14を流れる空気流とは別の空気流路を形成する筒状ケース26と、筒状ケース26の内部で浮遊移動する被検知体27と、被検知体27の移動を検出して電気信号を出力する検知器としてのフォトセンサー28とを備えている。
【0036】
円筒状又は角筒状の筒状ケース26は空気流(排気)の入口26aと、ダクト14の外で大気に連通する出口26bとを備え、入口26a近くの外周面にフォトセンサー28が配置されている。フォトセンサー28は、発光部28aと受光部28bが筒状ケース26を挟んで径方向に向き合うように配置された透過型のフォトセンサーである。被検知体27は、発泡スチロールのような軽量の発泡材料を球形に成形したものであり、その直径は筒状ケース26の最小内径より小さく、被検知体27と筒状ケース26の内壁との隙間に空気流が生じる。
【0037】
被検知体27は、筒状ケース26内を流れる排気(空気流)が所定の風圧未満のときは、その自重によって
図8に示すように、筒状ケース26の入口26a近くの初期位置にある。このとき、フォトセンサー28の発光部28aから出た光は被検知体27によって遮られて受光部28bに達しないので、受光部28bから光検出信号は出力されない。他方、筒状ケース26内を流れる排気(空気流)が所定の風圧以上になると、
図9に示すように、被検知体27は空気流に押されて初期位置から移動する(浮き上がる)。このとき、フォトセンサー28の発光部28aから出た光は被検知体27によって遮られることなく受光部28bに達し、受光部28bから光検出信号は出力される。したがって、受光部28bから光検出信号の有無に基づいて、排気(空気流)が所定の風圧以上か否かを判断することができる。
【0038】
なお、複合機が印刷処理を実行中は、排気ファン(冷却ファン)22が全速で回転しており、この状態が、排気(空気流)が所定の風圧以上である状態に対応する。複合機が印刷処理を実行していないとき(待機中)は、排気ファン(冷却ファン)22が停止しているか、あるいは回転していても遅い速度で回転しており、この状態が、排気(空気流)が所定の風圧未満である状態に対応する。本明細書において、「排気(空気流)の有無」という場合は、特に断らない限り、排気(空気流)が所定の風圧以上の状態と、排気(空気流)が所定の風圧未満の状態との対比を意味する。
【0039】
フォトセンサー28は、透過型のフォトセンサーに限らず、反射型のフォトセンサーを用いてもよい。反射型のフォトセンサーの場合は、その発光部と受光部が筒状ケース26の外側において、径方向の同じ側に位置する。
図8及び
図9と同様に筒状ケース26の入口26a近くに反射型のフォトセンサーが配置されている場合は、
図8のように被検知体27が初期位置にあるときに、発光部から出た光が被検知体27で反射して受光部に入るので、受光部から光検出信号が出力される。他方、
図9のように被検知体27が初期位置から移動したときは、発光部から出た光は被検知体27で反射しないので、受光部から光検出信号は出力されない。したがって、透過型のフォトセンサーとは逆の論理レベルの出力が得られる。
【0040】
なお、筒状ケース26は、少なくともフォトセンサー28の発光部28aから受光部28bに至る光路に対応する箇所は光を透過するような材質(例えば透明樹脂)で構成されていることが必要である。外光がフォトセンサー28の受光部の与える影響(ノイズ)を防止するために、筒状ケース26の周壁全体が黒く塗装され(または光不透過性の塗料が塗られ)、フォトセンサー28の発光部28aから受光部28bに至る光路に対応する箇所のみが光を透過するようにスリット状に塗料が除かれていることが好ましい。
【0041】
また、筒状ケース26の入口26a及び出口26bの付近に、被検知体27が筒状ケース26から出ることを防止する抜け止め部材30が設けられ、この抜け止め部材30が空気流を整える整流部材としての機能を兼ね備えている。抜け止め部材30は、
図10(a)に示すように、平面視で円形枠の内側に十字状の抜け止めが一体に形成された樹脂成型品であり、ある程度の厚みを有することにより、整流部材としても機能する。
図10(a)に示す平面形状に限らず、例えば
図10(b)に示すような井桁状の抜け止めが円形枠の内側に一体に形成されたものでもよい。あるいは、マス目の数がさらに多い格子状の抜け止めが円形枠の内側に一体に形成されたものでもよい。また、
図11に示すように、筒状ケース26の出口26bの付近に、外部からケース内への空気の流れ込みを防ぐ風防31が設けられていることが好ましい。
【0042】
次に、オプション装置12の電気回路の構成を
図12に示す。オプション装置12は、空気流センサー25を構成するフォトセンサー28の受光部28bの出力信号(検出信号)に基づいて電動ファン24(空気清浄部)及びインジケーター19を制御する制御装置32を備えている。制御装置32は、プログラムに従って動作するマイクロコンピュータ等を用いて構成できるが、ディスクリート部品を用いた電子回路として構成してもよい。また、制御装置32は、電動ファン24、インジケーター(LED)19、及びフォトセンサー28の発光部(LED)28aの駆動回路も含み、インジケーター19やフォトセンサー発光部28aをパルス駆動している。また、電動ファン24、インジケーター19、及びフォトセンサー発光部28aの動作用電圧を含む制御装置32の動作用電圧を生成する電源回路33が設けられ、商用電源(AC100V)に接続されている。
【0043】
次に、制御装置32が行う制御の一例をフローチャートとして
図13に示す。制御装置32は、ステップ#101でフォトセンサー発光部28aをオンにし、ステップ#102でフォトセンサー受光部28bの検出信号が有る(例えばハイレベル)か否かをチェックする。つまり、複合機の排気の有無から動作状態をチェックして、電動ファン24(クリーンユニット15)を作動させるか否かを判断する。
【0044】
前述のように、複合機が印刷処理を実行中は、排気ファン(冷却ファン)22が全速で回転しており、このとき、空気流センサー25の被検知体27が排気(空気流)の圧力で浮かび上がり、フォトセンサー発光部28aから出た光が被検知体27に遮られることなくフォトセンサー受光部28bに入力されるので、フォトセンサー受光部28bの検出信号有りの状態になる。他方、複合機が印刷処理を実行中でない場合(待機中)は、排気ファン(冷却ファン)22が停止しているか、あるいは回転していても遅い速度で回転しており、このとき、空気流センサー25の被検知体27は自重で下がった位置(初期位置)にあり、フォトセンサー発光部28aから出た光は被検知体27に遮られてフォトセンサー受光部28bに達しないので、フォトセンサー受光部28bの検出信号無し(例えばローレベル)になる。したがって、制御装置32は、フォトセンサー受光部28bの検出信号の有無をチェックすることにより、複合機の排気の有無(動作状態)を判断し、それに基づいて電動ファン24(クリーンユニット15)の作動を制御する。
【0045】
フォトセンサー受光部28bの検出信号無しの場合は、ステップ#102の判断に戻る。つまり、電動ファン24及びインジケーター19はオフのままである。フォトセンサー受光部28bの検出信号有りの場合はステップ#103に進み、一定時間(例えば10秒間)継続してフォトセンサー受光部28bの検出信号有りであるか否かをチェックする。一定時間継続してフォトセンサー受光部28bの検出信号有りでない場合、つまり、その間に一度でもフォトセンサー受光部28bの検出信号無しになった場合は、ステップ#103の判断に戻る(電動ファン24及びインジケーター19はオフのままである)。なお、制御装置32は、内部クロックをカウントする内蔵タイマー32aを備え(
図12参照)、この内蔵タイマー32aを用いて一定時間等の計時を行う。
【0046】
一定時間継続してフォトセンサー受光部28bの検出信号有りである場合に初めて、ステップ#104に進み、電動ファン24をオンにすると共にインジケーター19をオンにする。これによって、空気流のゆらぎ、機器の振動、外部ノイズ等に起因する誤動作を防止すると共に、電動ファン24及びインジケーター19が短い周期でオン・オフを繰り返すチャタリング現象を防止することができる。
【0047】
この後、ステップ#105で、フォトセンサー受光部28bの検出信号無しになったか否かをチェックする。複合機が印刷処理を終了すれば、排気ファン(冷却ファン)22の回転速度が遅くなる(その後、しばらくして停止する)ので、フォトセンサー受光部28bの検出信号無しになる。したがって、制御装置32はこれに伴ってクリーンユニット15の作動を停止すべく、ステップ#106で電動ファン24をオフにすると共にインジケーター19をオフにする。この後、ステップ#102に戻って、上記の処理を繰り返すことになる。
【0048】
ステップ#105で、フォトセンサー受光部28bの検出信号無しでない場合(検出信号有りが継続している場合)は、ステップ#107に進み、電動ファン24の作動開始から規定時間(例えば30分間)が経過したか否かをチェックする。電動ファン24の作動(クリーンユニット15の作動)が規定時間継続している状態は異常状態であり、この場合は、ステップ#108でインジケーター19を点滅させて異常状態をユーザーに知らせる。そして、ユーザーによるリセット等の処理を待つメンテナンス待ち状態になる。
【0049】
なお、報知部としてのインジケーター(LED)19は、オン(点灯)、オフ(消灯)、点滅の3通りの状態によって、クリーンユニット(空気清浄部)15の正常作動状態、停止状態、及び異常状態を区別可能に報知している。これら3つの状態を区別可能に報知する方法として、例えば、正常作動状態は緑色発光とし、異常状態は赤色発光とするごとく、発光色を変える等、他の方法を用いてもよい。また、報知部として、特に異常状態の報知用として、ブザーを用いてもよい。インジケーター(LED)とブザーを併用して3つの状態を区別可能に報知してもよい。
【0050】
上記のように、制御装置32は、空気流センサー25を構成するフォトセンサー28の受光部28bの検出信号の有無(論理レベル)をチェックすることにより、複合機の排気の有無(動作状態)を判断し、それに基づいて電動ファン24(クリーンユニット15)の作動を制御している。複合機が印刷処理を実行しているときに、排気ファン(冷却ファン)22が全速で回転し、その排気中には超微粒子が含まれている。このとき、制御装置32は、空気流センサー25の検出信号に基づいて、電動ファン24(クリーンユニット15)を作動させ、排気中の超微粒子はHEPAフィルター23で捕集され、清浄化された排気が電動ファン24によって背面の排気口16から排出される。なお、クリーンユニット15の電動ファン24は、複合機の装置本体5に設けられた排気ファン21及び排気ファン(冷却ファン)22の回転速度(全速回転時の回転速度)と略同等の回転速度(略同等の風速)で回転する。
【0051】
図6に示す例では、空気流センサー25が複合機の第2の排気口9(排気ファン22の近く)に配置されているが、複合機からの排気を検出する目的からは、この位置に限らず、例えば第1の排気口8(排気ファン21)の近くに設けてもよいし、ダクト13,14の内部の任意の箇所に設置することも可能である。しかし、本実施形態の空気流センサー25は前述のように簡易的な構造のセンサーであるので、できるだけ排気(空気流)が強い箇所に設置し、排気の有無(所定風圧以上か未満か)を的確に検出することが望ましい。
【0052】
そこで、本実施形態では、
図6に示すように、第2の排気口9(排気ファン22)の近くに空気流センサー25を配置している。第1の排気口8の内側には複合機の内蔵フィルターが設けられているので、第1の排気口8からの排気(空気流)は第2の排気口9からの排気(空気流)より弱くなるからである。オプション装置12の内部の空気流の経路に沿う方向における空気流センサー25の位置については上記の通りであるが、排気断面における位置についても、排気風速が最も速い箇所に空気流センサー25(正確には空気流センサー25の排気取込口)を配置することが望ましい。
【0053】
図14は、空気流センサー25の排気断面における位置を示す側面図である。オプション装置12の内部から見た図、つまり複合機の背面外側から見た図を示している。図示のように、第2の排気口9の左上隅の近くに空気流センサー25の排気の排気取込口34が配置されている。第2の排気口9の後側(複合機の装置本体5の内部)には、軸流ファンである第2の排気ファン22が配置されているが、一般に軸流ファンから出る空気流(風)の強さは、空気流断面の中心部で弱く、周辺部で強くなる。さらに、周辺部の中でも、排気ファン22の近くの部品配置等に起因して空気流の強さ(排気風速)にばらつきがある。本実施形態の例では、排気ファン22(第2の排気口9)の左上隅の近くで空気流の強さ(排気風速)が最も大きくなるので、この位置に空気流センサー25の排気の排気取込口34が配置されている。
【0054】
また、本実施形態の空気流センサー25は、1個のフォトセンサー28を用いて、被検知体27が初期位置にあるか否か、つまり空気流が所定の風圧未満であるか以上であるか、二値的な検出を行うものであるが、変形例として、複数のフォトセンサーを用いて空気流を多値的に検出することも可能である。
図15に空気流センサーの変形例を側面模式図として示す。
【0055】
図15に示す空気流センサー25では、第1のフォトセンサー28(発光部28a及び受光部28b)の上側に所定の間隔をおいて第2のフォトセンサー29(発光部29a及び受光部29b)が配置されている。そして、第1のフォトセンサー28の受光部28bの検出信号と第2のフォトセンサー29の受光部29bの検出信号との組み合わせによって、例えば「排気無し」、「弱い排気」、「強い排気」の三段階に区別して検出することができる。つまり、第1のフォトセンサー受光部28bの検出信号が無ければ「排気無し」、第2のフォトセンサー受光部29bの検出信号が無ければ「弱い排気」、第1のフォトセンサー受光部28bの検出信号と第2のフォトセンサー受光部29bの検出信号の両方が有れば「強い排気」と判断することができる。制御装置32がこのような判断を行い、その判断結果にしたがって、例えば、オプション装置12のクリーンユニット15の電動ファン24の回転速度を「回転無し」、「遅い回転」、「速い回転」の三段階に制御することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、複数の排気口8,9を備えた複合機に、本発明の空気流センサー25を有するオプション装置12を取り付けた例を説明したが、本発明はこれに限るわけではない。例えば、別実施形態として、
図16に示すような一般的なレーザープリンターに本発明の空気流センサーを有するオプション装置を取り付けることも可能である。このレーザープリンターは、液晶表示器及び操作ボタンを含む操作パネル1を前面上部に備え、その後方の上面に排紙トレイ4が設けられている。装置本体5の内部には感光ドラム、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等を含む画像形成部が設けられている。装置本体5の下側には、画像形成部へ給紙される定型の記録用紙を収容した給紙トレイ6が装着されている。なお、
図1及び
図2に示した複合機と同じ機能を有する部分は、
図16において同じ参照番号が付されている。
【0057】
図16に示すレーザープリンターに本発明の別実施形態に係るオプション装置を取り付けた状態を斜視図として
図17に示す。また、オプション装置とレーザープリンター装置本体の内部を平面模式図として
図18に示す。これらの図において、既述の実施形態と同じ機能を有する部分は同じ参照番号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
図16に示すレーザープリンターでは、装置本体5の右側面に排気口9が設けられ、左側面に吸気口(図示せず)が設けられている。排気口9の内側には、排気ファン(冷却ファン)22が配置されている。
図17及び
図18に示すオプション装置12は、レーザープリンター装置本体5の排気口9のすぐ外側に、排気口9を覆うように箱形のクリーンユニット15が取り付けられるので、既述の実施形態のような排気口からクリーンユニット15まで排気を導くダクトは無い。但し、クリーンユニット15の箱形外装が、レーザープリンター装置本体5の排気口9からの排気をHEPAフィルター23へ導くダクトとして機能する。
【0059】
図18からわかるように、レーザープリンター装置本体5の排気口9の内側の排気ファン22と、クリーンユニット15の電動ファン24とが略同一の軸線上に配置され、その間にオプション装置12(クリーンユニット15)の空気流センサー25とHEPAフィルター23が配置される。空気流センサー25とHEPAフィルター23は、既述の実施形態と同じものを同様に配置して使用することができる。このような別実施形態に係るオプション装置12においても、既述の実施形態のオプション装置12と同様の作用と効果が奏される。
【0060】
以上に説明した本発明の実施形態はあくまで一例であって、説明の中で適宜述べた変形例に限らず、種々の変形が可能である。