(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。
また、
図1においては、図を見やすくするために封止部27および包囲壁部材28を省いて描いている。
図2は、発光部20の模式分解図である。
図3は、包囲壁部材28の作用を例示するための模式断面図である。
【0014】
図1に示すように、照明装置1には、本体部10、発光部20、給電部30、およびソケット40が設けられている。
本体部10には、収納部11、フランジ部12、およびフィン13が設けられている。 収納部11は、円筒状を呈し、フランジ部12の一方の面から突出している。収納部11の内側には、発光部20が収納されている。また、収納部11の内側には、給電部30の給電端子31が突出している。
【0015】
収納部11の外壁面には、複数の凸部11aが突出している。複数の凸部11aは、例えば、照明装置1を図示しない灯具などに取り付ける際に灯具側の取付部材と協働して、図示しない灯具などに照明装置1を保持させる。
また、複数の凸部11aとフランジ部12との間には、ゴムやシリコーン樹脂などの材料からなるシール部材を設けることもできる。
【0016】
フランジ部12は、円板状を呈し、一方の面には収納部11が設けられ、他方の面にはフィン13が設けられている。
フィン13は、フランジ部12の面から突出して複数設けられている。複数のフィン13は、板状を呈し、放熱フィンとして機能する。
【0017】
本体部10は、発光部20および給電部30などを収納する機能と、発光部20や給電部30で発生した熱を照明装置1の外部に放出する機能とを有する。
そのため、熱を外部に放出することを考慮して、本体部10を熱伝導率の高い材料から形成することができる。例えば、本体部10は、アルミニウム、アルミニウム合金、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PETやナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い炭素や酸化アルミニウム等の繊維や粒子を混合させたものである。
この場合、フィン13などの熱を外部に放出する部分を熱伝導率の高い材料から形成し、その他の部分を樹脂などから形成することもできる。
【0018】
また、本体部10の主要部分を導電性材料で構成する場合は、給電端子31と本体部10の導電性材料との間の電気絶縁性を確保するため、給電端子31の周囲を絶縁材料(図示しない)で覆い、更に、その周囲に導電性材料を配置する構成としても良い。絶縁材料は、例えば、樹脂などであって、熱伝導率が高い材料が好ましい。
【0019】
図1または
図2に示すように、発光部20には、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、接合部26、封止部27、および包囲壁部材28が設けられている。
基板21は、本体部10の収納部11の内側に設けられている。
基板21は、板状を呈し、表面に配線パターン24が設けられている。
基板21は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどセラミックス、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料、金属板の表面を絶縁材料で被覆したものなどから形成することができる。
なお、金属板の表面を絶縁材料で被覆する場合には、絶縁材料は、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなるものであってもよい。
【0020】
この場合、発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁体で被覆したものなどを例示することができる。
また、基板21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0021】
発光素子22は、基板21の表面に設けられた配線パターン24の上に複数設けられている。
発光素子22は、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)に図示しない電極を有したものとすることができる。なお、図示しない電極は、配線パターン24に設けられる側の面(下面)と、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)とに設けられていてもよいし、どちらかの面のみに設けられていてもよい。
【0022】
発光素子22の下面に設けられた図示しない電極は、銀ペーストなどの導電性の熱硬化材を介して配線パターン24に設けられた実装パッドと電気的に接続されている。発光素子22の上面に設けられた図示しない電極は、配線25を介して配線パターン24に設けられた配線パッドと電気的に接続されている。
【0023】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
図3に示すように、発光素子22の光の出射面である上面は、照明装置1の正面側に向けられており、主に、照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0024】
制御素子23は、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子23は、発光素子22に流れる電流を制御する。すなわち、制御素子23は、発光素子22の発光を制御する。
制御素子23は、例えば、抵抗器とすることができる。
【0025】
発光素子22の順方向電圧特性にはばらつきがあるので、発光素子22の明るさ(光束、輝度、光度、照度)には、ばらつきが生じ得る。そのため、発光素子22の明るさが所定の範囲内に収まるように、制御素子23により、発光素子22に流れる電流の値が所望の範囲内となるようにしている。
【0026】
なお、
図1および
図2に例示をした制御素子23は、表面実装型の抵抗器であるがこれに限定されるわけではない。
制御素子23は、例えば、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器とすることもできる。
制御素子23は、例えば、酸化ルテニウムを用いて形成された膜状の抵抗器とすることができる。
【0027】
制御素子23を膜状の抵抗器とすれば、膜状の抵抗器の一部を除去することで、抵抗値を変化させ、発光素子22に流れる電流の値が所望の範囲内となるようにすることができる。
この場合、膜状の抵抗器の一部を除去すれば、抵抗値は増加することになる。
膜状の抵抗器の一部の除去は、例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射することで行うことができる。
制御素子23の数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0028】
配線パターン24は、基板21の少なくとも一方の表面に設けられている。
配線パターン24は、基板21の両方の面に設けることもできるが、製造コストを低減させるためには、基板21の一方の面に設けるようにすることが好ましい。
配線パターン24には、入力端子24aが設けられている。
入力端子24aは、複数設けられている。入力端子24aには、給電部30の給電端子31が電気的に接続されている。そのため、発光素子22は、配線パターン24を介して、給電部30と電気的に接続されている。
【0029】
配線25は、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッドとを電気的に接続する。
配線25は、例えば、金を主成分とする線とすることができる。ただし、配線25の材料は、金を主成分とするものに限定されるわけではなく、例えば、銅を主成分とするものや、アルミニウムを主成分とするものなどであってもよい。
【0030】
配線25は、例えば、超音波溶着または熱溶着により、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッドとに電気的に接続される。配線25は、例えば、ワイヤボンディング法を用いて、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッドとに電気的に接続することができる。
【0031】
その他、必要に応じて、図示しない回路部品などを適宜設けることができる。図示しない回路部品は、例えば、配線パターン24上に実装することができる。
【0032】
接合部26は、膜状を呈し、包囲壁部材28と、基板21との間に設けられている。 接合部26は、包囲壁部材28と、基板21とを接合する。
接合部26は、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を硬化させることで形成されたものとすることができる。
また、接合部26は、包囲壁部材28の外壁面の一部を覆っている。
【0033】
接合部26は、例えば、以下の手順により形成することができる。
まず、基板21の表面の包囲壁部材28が設けられる領域に、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を塗布する。
例えば、ディスペンサなどを用いて、基板21の表面の包囲壁部材28が設けられる領域に接着剤を塗布する。
次に、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させ、接合部26を形成するとともに、包囲壁部材28と、基板21とを接合する。
例えば、まず、塗布された接着剤の上に包囲壁部材28を載置する。
続いて、包囲壁部材28を押圧して接着剤を包囲壁部材28に密着させるとともに、包囲壁部材28の位置(接着剤の厚み)を調整する。
その後、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させる。
【0034】
ここで、接着剤の硬化前の粘度は、1Pa・s〜15Pa・sであることが好ましい。 この様な粘度とすれば、ディスペンサなどを用いて塗布を行う際に、任意の形状に塗布することが容易となる。
また、この様な粘度とすれば、接着剤を硬化させる際に、包囲壁部材28の位置を安定させることができる。
【0035】
封止部27は、包囲壁部材28の内側に設けられている。封止部27は、包囲壁部材28の内側を覆うように設けられている。すなわち、封止部27は、包囲壁部材28の内側に設けられ、発光素子22と配線25とを覆っている。
封止部27は、透光性を有する材料から形成されている。封止部27は、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
封止部27は、例えば、包囲壁部材28の内側に樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
【0036】
包囲壁部材28の内側に樹脂を充填すれば、発光素子22、包囲壁部材28の内側に配置された配線パターン24、および配線25などに対する外部からの機械的な接触を抑制することができる。また、ガスや水分などが、包囲壁部材28の内側に配置された配線パターン24、発光素子22、および配線25などに付着することを抑制することができる。そのため、照明装置1に対する信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、封止部27には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0038】
包囲壁部材28は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。
なお、包囲壁部材28に関する詳細は後述する。
【0039】
給電部30には、複数の給電端子31が設けられている。
複数の給電端子31は、収納部11およびフランジ部12の内側を延びている。複数の給電端子31の一方の端部は、収納部11の底面から突出し、配線パターン24の入力端子24aと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、本体部10の基板21が設けられる側とは反対の側から露出している。
【0040】
なお、給電端子31の数、配置、形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、給電部30は、図示しない基板や、コンデンサや抵抗などの回路部品を備えたものとすることもできる。なお、図示しない基板や回路部品は、例えば、収納部11またはフランジ部12の内部に設けることができる。
【0041】
ソケット40には、本体部40a、および配線40bが設けられている。
本体部40aは、樹脂などの絶縁材料から形成されている。本体部40aの内部には図示しないめす型端子が延びている。図示しないめす型端子の一方の端部は、本体部40aの一方の端面に露出している。本体部40aの一方の端面に露出している図示しないめす型端子の端部には、給電端子31が嵌め合わされる。
【0042】
図示しないめす型端子の他方に端部には、配線40bが電気的に接続されている。
配線40bには、図示しない電源などが電気的に接続される。
そのため、ソケット40を給電端子31に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
ソケット40は、例えば、接着剤などを用いて本体部10側の要素に接合することができる。
【0043】
次に、包囲壁部材28についてさらに例示をする。
包囲壁部材28は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるようになっている。
包囲壁部材28は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)やPC(polycarbonate)などの樹脂、セラミックス、金属などから形成することができる。
【0044】
また、包囲壁部材28の材料を樹脂とする場合には、酸化チタンなどの粒子を混合して、発光素子22から出射した光に対する反射率を向上させるようにすることができる。
なお、酸化チタンの粒子に限定されるわけではなく、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料からなる粒子を混合させるようにすればよい。
また、包囲壁部材28は、例えば、白色の樹脂から形成することもできる。
【0045】
図3に示すように、包囲壁部材28の内側の内壁面28aは斜面となっている。発光素子22から出射した光の一部は、包囲壁部材28の内壁面28aで反射されて、照明装置1の正面側に向けて出射される。
また、発光素子22から照明装置1の正面側に向けて出射された光の一部であって封止部27の上面(封止部27と外気との界面)で全反射した光は、包囲壁部材28の内壁面28aで反射して、再び照明装置1の正面側に向けて出射される。
【0046】
すなわち、包囲壁部材28は、リフレクタの機能を併せ持つものとすることができる。なお、包囲壁部材28の形態は、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0047】
また、
図2および
図3に示すように、包囲壁部材28の内壁面28aには、複数の凹部28bが設けられている。
複数の凹部28bは、内壁面28aに沿って、包囲壁部材28の厚み方向に延びている。複数の凹部28bは、内壁面28aに等間隔に設けられている。
【0048】
ここで、発光素子22の点灯と消灯などにより、封止部27には熱変形(膨張・収縮)が生じる。
この場合、例えば、基板21をセラミックスを用いて形成すると、基板21の線膨張係数は、7ppm/K程度となる。配線25を金を用いて形成すると、配線25の線膨張係数は、14ppm/K程度となる。包囲壁部材28をPBTを用いて形成すると、包囲壁部材28の線膨張係数は、90ppm/K程度となる。包囲壁部材28をPCを用いて形成すると、包囲壁部材28の線膨張係数は、65ppm/K程度となる。封止部27をシリコーン樹脂を用いて形成すると、封止部27の線膨張係数は、200ppm/K程度となる。
そのため、温度変化による膨張量と収縮量は、封止部27が最も大きくなる。例えば、封止部27の膨張量と収縮量は、基板21の膨張量と収縮量の29倍程度となる。
【0049】
温度が低い場合には、相対的に、封止部27は基板21に向かって収縮し、封止部27は上面がへこむ方向に変形する。また、基板21の包囲壁部材28により囲まれた部分(包囲壁部材28の内側の部分)の中心位置から封止部27の周縁方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。また、基板21の表面から封止部27の上面方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。
【0050】
温度が高い場合には、相対的に、封止部27は基板21がある側とは反対の側に向かって膨張し、封止部27は上面が出っ張る方向に変形する。また、基板21の包囲壁部材28により囲まれた部分の中心位置から封止部27の周縁方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。また、基板21の表面から封止部27の上面方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。
【0051】
この場合、封止部27に熱変形が生じると、包囲壁部材28に力が作用することになる。 また、封止部27中には、配線25や発光素子22などがある。そのため、封止部27に熱変形が生じると配線25や発光素子22などに力が作用することになる。
そして、高光量とするために複数の発光素子22を用いる場合には、封止部27のサイズ・体積が大きくなるので、熱変形の影響はより大きくなる。また、照明装置1が車載用である場合には、雰囲気温度の変化が大きい(例えば、−40℃と+85℃の範囲)ことがさらに加わり、熱変形の影響はさらに大きくなる。
【0052】
図4は、比較例に係る発光部120を例示するための模式平面図である。
なお、
図4においては、図を見やすくするために、封止部27を省いて描いている。
図4に示すように、発光部120には、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、接合部26、封止部27、および包囲壁部材128が設けられている。
【0053】
また、包囲壁部材128は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。
包囲壁部材128は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるようになっている。
包囲壁部材128は、前述した包囲壁部材28と同様の構造を有しているが、内壁面128aには凹部が設けられていない。
【0054】
この場合、封止部27に熱変形が生じると、
図4中の矢印に示すように、包囲壁部材128により囲まれた部分の中心位置から放射状の方向に向かう応力Fが封止部27中に生じる。
なお、
図4に例示をした応力Fは、封止部27が膨張した場合である。
そして、発生した応力Fは、包囲壁部材128、配線25、発光素子22などに作用する。
そのため、包囲壁部材128や発光素子22が剥がれたり、配線25が断線したりするおそれがある。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る発光部20を例示するための模式平面図である。
なお、
図5においては、図を見やすくするために、封止部27を省いて描いている。
本実施の形態に係る発光部20においても、封止部27に熱変形が生じると、
図5中の矢印に示すように、包囲壁部材28により囲まれた部分の中心位置から放射状の方向に向かう応力Fが封止部27中に生じる。
なお、
図5に例示をした応力Fは、封止部27が膨張した場合である。
そして、発生した応力Fは、包囲壁部材28、配線25、発光素子22などに作用する。
【0056】
しかしながら、包囲壁部材28の内壁面28aには、複数の凹部28bが設けられている。
そのため、複数の凹部28bの近傍において、包囲壁部材28が弾性変形しやすくなる。 また、発生した応力Fにより、複数の凹部28bには応力fが作用することになる。 この場合、応力fにより包囲壁部材28が弾性変形するため、発生した応力Fが緩和されることになる。
【0057】
そのため、包囲壁部材28、配線25、発光素子22などに作用する力を低減させることができる。
その結果、包囲壁部材28や発光素子22が剥がれたり、配線25が断線したりすることを抑制することができる。
【0058】
また、複数の凹部28bは、内壁面28aに等間隔に設けられている。
そのため、包囲壁部材28により囲まれた部分の中心位置から放射状の方向に向かう応力Fを均等に緩和させることができる。
【0059】
また、複数の凹部28bの内部には、封止部27が入り込むことになる。そのため、封止部27と包囲壁部材28との接触面積の増加やアンカー効果などを生じさせることができる。
そのため、包囲壁部材28の剥離を抑制することができる。
【0060】
図6は、他の実施形態に係る発光部20aを例示するための模式平面図である。
なお、
図6においては、図を見やすくするために、封止部27を省いて描いている。
図6に示すように、発光部20aには、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、接合部26、封止部27、および包囲壁部材38が設けられている。
【0061】
また、包囲壁部材38は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。
包囲壁部材38は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるようになっている。
【0062】
包囲壁部材38は、前述した包囲壁部材28と同様の構造を有しているが、内壁面38aには複数の凸部38bが設けられている。
複数の凸部38bは、内壁面38aに沿って、包囲壁部材38の厚み方向に延びている。複数の凸部38bは、内壁面38aに等間隔に設けられている。
【0063】
本実施の形態に係る発光部20aにおいても、封止部27に熱変形が生じると、
図6中の矢印に示すように、包囲壁部材38により囲まれた部分の中心位置から放射状の方向に向かう応力Fが封止部27中に生じる。
なお、
図6に例示をした応力Fは、封止部27が膨張した場合である。
そして、発生した応力Fは、包囲壁部材38、配線25、発光素子22などに作用する。
【0064】
しかしながら、包囲壁部材38の内壁面38aには、複数の凸部38bが設けられている。
この場合、複数の凸部38bは弾性変形しやすい。
また、発生した応力Fにより、複数の凸部38bには応力fが作用することになる。 この場合、応力fにより複数の凸部38bが弾性変形するため、発生した応力Fが緩和されることになる。
【0065】
そのため、包囲壁部材38、配線25、発光素子22などに作用する力を低減させることができる。
その結果、包囲壁部材38や発光素子22が剥がれたり、配線25が断線したりすることを抑制することができる。
【0066】
また、複数の凸部38bは、内壁面38aに等間隔に設けられている。
そのため、包囲壁部材38により囲まれた部分の中心位置から放射状の方向に向かう応力Fを均等に緩和させることができる。
【0067】
また、複数の凸部38bは、封止部27の内部に入り込むことになる。そのため、封止部27と包囲壁部材38との接触面積の増加やアンカー効果などを生じさせることができる。
そのため、包囲壁部材38の剥離を抑制することができる。
【0068】
以上に説明したように、凹部28bまたは凸部38bを設けるようにすれば、温度変化に対する耐性を向上させることができる。
なお、凹部28bおよび凸部38bの数や形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、凹部28bまたは凸部38bの配置間隔が等間隔の場合を例示したが、配置間隔が等間隔でない、すなわち配置間隔が可変とされた配置とすることもできる。
また、凹部28bまたは凸部38bを設ける場合を例示したが、凹部28bおよび凸部38bを設けることもできる。
【0069】
また、
図3に示すように、包囲壁部材の内壁面は、発光素子22から出射した光の反射面となっている。そのため、包囲壁部材の内壁面に凹部28bや凸部38bを設けるようにすれば、入射した光を散乱させて、照明装置1の正面側に出射させるようにすることができる。そのため、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0070】
表1は、凹部28bまたは凸部38bを設ける効果について例示するための表である。 なお、表1は、以下の条件のもとで応力シミュレーションを行った結果である。
環境温度は、−40℃から+115℃まで変化させた。
そして、発光素子22と実装パッドとの間に発生する引張応力および圧縮応力、配線25と配線パッドとの間に発生する引張応力および圧縮応力、および、発光素子22と配線25との間に発生する引張応力および圧縮応力をシミュレーションすることでそれぞれ求めた。
【0071】
また、凹部28bおよび凸部38bが設けられていない場合に発生する引張応力および圧縮応力をそれぞれ基準(100%)とし、凹部28bまたは凸部38bを設ける効果をそれぞれ評価した。
【0072】
【表1】
表1から分かるように、凹部28bを設けるようにすれば、引張応力および圧縮応力を15%〜20%程度低減させることができる。
また、凸部38bを設けるようにすれば、引張応力および圧縮応力を10%〜15%程度低減させることができる。
【0073】
つまり、包囲壁部材の内壁面に凹部28bまたは凸部38bを設けるようにすれば、温度変化に対する耐性を向上させることができる。
【0074】
図7は、他の実施形態に係る発光部20bを例示するための模式斜視図である。
なお、
図7においては、図を見やすくするために、接合部26を省いて描いている。
図8は、発光部20bの模式分解図である。
図9は、
図7におけるA−A線断面図である。
図7〜
図9に示すように、発光部20bには、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、接合部26、封止部27、および包囲壁部材48が設けられている。
【0075】
包囲壁部材48は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。
包囲壁部材48は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるようになっている。
【0076】
包囲壁部材48は、前述した包囲壁部材28と同様の構造を有しているが、外壁面48cには複数の凸部48dが設けられている。
なお、前述した包囲壁部材28と同様に、包囲壁部材48の内壁面48aにも、複数の凹部48bが設けられている。
凹部48bは、前述した凹部28bと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
複数の凸部48dは、外壁面48cに沿って、包囲壁部材48の厚み方向に延びている。複数の凸部48dの基板21側とは反対側の端部48d1は、包囲壁部材48の基板21側とは反対側の端部に達していない。複数の凸部48dは、外壁面48cに等間隔に設けられている。
また、
図9に示すように、複数の凸部48dは、接合部26により覆われている。すなわち、複数の凸部48dの端部48d1は、接合部26の内部に設けられている。
【0078】
前述したように、封止部27が熱変形すると、包囲壁部材48を引きはがす方向の力が発生する場合がある。
本実施の形態に係る包囲壁部材48の外壁面48cには、複数の凸部48dが設けられている。そのため、接合部26と包囲壁部材48との接触面積の増加やアンカー効果などを生じさせることができる。
またさらに、複数の凸部48dは、接合部26により覆われているので、包囲壁部材48を引きはがす方向の力に対する耐性をさらに高めることができる。
また、複数の凸部48dは、外壁面48cに等間隔に設けられているので、包囲壁部材48を引きはがす方向の力に対する耐性を均等なものとすることができる。
そのため、包囲壁部材48の剥離を抑制することができる。
すなわち、包囲壁部材48の外壁面48cに凸部48dを設けるようにすれば、温度変化に対する耐性を向上させることができる。
【0079】
図10は、他の実施形態に係る発光部20cを例示するための模式斜視図である。
なお、
図10においては、図を見やすくするために、接合部26を省いて描いている。
図11は、発光部20cの模式分解図である。
図12は、
図10におけるB−B線断面図である。
図10〜
図12に示すように、発光部20cには、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、接合部26、封止部27、および包囲壁部材58が設けられている。
【0080】
包囲壁部材58は、複数の発光素子22を囲むようにして、基板21上に設けられている。
包囲壁部材58は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるようになっている。
【0081】
包囲壁部材58は、前述した包囲壁部材28と同様の構造を有しているが、外壁面58cには複数の凹部58dが設けられている。
なお、前述した包囲壁部材28と同様に、包囲壁部材58の内壁面58aにも、複数の凹部58bが設けられている。
凹部58bは、前述した凹部28bと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0082】
複数の凹部58dは、外壁面58cに沿って、包囲壁部材58の厚み方向に延びている。複数の凹部58dの基板21側の端部58d1は、包囲壁部材58の基板21側の端部に達していない。複数の凹部58dは、外壁面58cに等間隔に設けられている。
また、
図12に示すように、複数の凹部58dの基板21側の端部58d1は、接合部26により覆われている。すなわち、複数の凹部58dの基板21側の端部58d1は、接合部26の内部に設けられている。
【0083】
前述したように、封止部27が熱変形すると、包囲壁部材58を引きはがす方向の力が発生する場合がある。
本実施の形態に係る包囲壁部材58の外壁面58cには、複数の凹部58dが設けられている。そのため、接合部26と包囲壁部材58との接触面積の増加やアンカー効果などを生じさせることができる。
またさらに、複数の凹部58dの基板21側の端部58d1は、接合部26により覆われているので、包囲壁部材58を引きはがす方向の力に対する耐性をさらに高めることができる。
また、複数の凹部58dは、外壁面58cに等間隔に設けられているので、包囲壁部材58を引きはがす方向の力に対する耐性を均等なものとすることができる。
そのため、包囲壁部材58の剥離を抑制することができる。
【0084】
以上に説明したように、凸部48dまたは凹部58dを設けるようにすれば、温度変化に対する耐性を向上させることができる。
なお、凸部48dおよび凹部58dの数や形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、凸部48dまたは凹部58dの配置間隔が等間隔の場合を例示したが、配置間隔が等間隔でない、すなわち配置間隔が可変とされた配置とすることもできる。
また、凸部48dまたは凹部58dを設ける場合を例示したが、凸部48dおよび凹部58dを設けることもできる。
また、包囲壁部材の外壁面に凸部48dや凹部58dを設けるようにすれば、放熱面積を大きくすることができる。そのため、発光装置22などにおいて生じた熱の放熱性を向上させることができる。
【0085】
また、包囲壁部材の厚み方向に延びる凹部および凸部を例示したが、包囲壁部材の周方向に延びる環状の凹部および凸部としてもよい。
すなわち、包囲壁部材の内壁面および外壁面の少なくともいずれかには、包囲壁部材の厚み方向および周方向の少なくともいずれかに延びる凹部および凸部の少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0086】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。