【実施例】
【0076】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下に示すルイス酸及び有機塩基の使用量(mol%)は、すべて化合物(1)を基準とした量である。また、「単離収率(%)」及び「NMR換算収率(%)」は、いずれも化合物(1)を基準とした目的物(化合物(3))の収率(%)であり、「NMR換算収率(%)」とは、内部標準として塩化メチレンを用いた場合のNMR測定データから求めた収率である。また、濃度の単位「M」はmol/Lを示し、「mmol」は10
−3モルを、「μmol」は10
−6モルをそれぞれ示す。さらに、各略号はそれぞれ以下のものを示す。
Et:エチル基
n−Pr:n−プロピル基
i−Pr:イソプロピル基
t−Bu:tert−ブチル基
n−Hex:n−ヘキシル基
Cy:シクロヘキシル基
Ac:アセチル基
Ph:フェニル基
PI:フタルイミドイル基
Zn(OTf)
2:前記式(41)で表され、MがZnであるルイス酸
Zn(ONf)
2:前記式(42)で表され、MがZnであるルイス酸
Zn(NTf
2)
2:前記式(43)で表され、MがZnであるルイス酸
【0077】
<化合物(2)の製造>
[製造例1]
「Noriyuki Iwadate et al., Journal of Organometallic Chemistry 694(2009)1713−1717(非特許文献2)」に記載の方法に従って、下記式に示すように、化合物(2)を製造した。
すなわち、乾燥塩化メチレン(60mL)中に1,8−ジアミノナフタレン(20mmol)を液温が0℃となるように溶解させ、ここへジメチルスルフィドボラン(BH
3・S(CH
3)
2)(20mmol)を30分以上かけて滴下した後、反応液を0℃で30分、さらに室温で24時間撹拌した。
反応終了後、反応液を濃縮した後、110℃、40Pa(0.3mmHg)の条件で蒸留することによって、化合物(2)を得た(収率84%)。
【0078】
化合物(2)の同定データを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.85(br s, 2H), 6.32(d, J=6.8Hz, 2H), 7.09(d, J=8.4Hz, 2H), 7.16(t, J=7.6Hz, 2H).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 106.2, 118.3, 120.9, 128.0, 136.8, 141.0.
11B NMR (128 MHz,non-decoupled, CDCl
3) δ 26.7(d, J=109Hz)
IR(KBr) 3398, 2544 cm
-1.
HRMS (EI) m/z Calc. for C10H9BN2 (M+): 168.0859, found: 168.0861.
【0079】
【化10】
【0080】
<化合物(3)の製造>
[実施例1]
容器中でZn(OTf)
2(20μmol)を減圧下、150℃で2時間加熱処理した後、室温まで冷却し、雰囲気をアルゴン置換した。ここへ化合物(2)(0.6mmol)とプロピオニトリル(0.4mL)を加え、内容物を室温で3分間撹拌した。次いで、ここへR
1がn−ヘキシル基である化合物(1)(0.4mmol)とピリジン(80μmol)を加え、100℃で20時間反応させた。各原料化合物の使用量及び反応条件を表1及び2に示す。なお、表1中、ルイス酸及び有機塩基の使用量は、「mol%」単位で示している。
反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(0.5mL)を反応液に加え、酢酸エチル(5mL)で水層を3回抽出し、有機層を飽和食塩水(1mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水して、セライトろ過した後、減圧濃縮して、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、目的物である化合物(3101)を取り出した。化合物(3101)の単離収率は84%であり、NMR換算収率は87%であって、NMR換算収率は単離収率とほぼ一致した。
【0081】
得られた化合物(3101)のNMRデータを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 0.91(t, J=6.9Hz, 3H), 1.24-1.37(m, 4H), 1.37-1.47(m, 2H), 1.56(quint, J=7.3Hz, 2H), 2.28(t, J=7.1Hz, 2H), 5.76(bs, 2H), 6.26(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 6.99(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.07(dd, J=8.2, 7.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ14.1, 19.6, 22.5, 28.4, 28.6, 31.3, 105.2, 105.7,117.8, 119.8, 127.5, 136.3, 140.7.
【0082】
【化11】
【0083】
[実施例2]
反応時間を20時間に代えて24時間とした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)の単離収率は77%であり、NMR換算収率は80%であって、NMR換算収率は単離収率とほぼ一致した。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0084】
[実施例3]
反応時間を20時間に代えて16時間とした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は71%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0085】
[実施例4]
反応温度を100℃に代えて90℃とした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は69%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0086】
[実施例5]
反応温度を100℃に代えて80℃とした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は56%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0087】
[実施例6]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてZn(NTf
2)
2(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は76%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0088】
[実施例7]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてZn(ONf)
2(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)の単離収率は78%であり、NMR換算収率は80%であって、NMR換算収率は単離収率とほぼ一致した。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0089】
[実施例8]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてZnF
2(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は63%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0090】
[実施例9]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてZnCl
2(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は29%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0091】
[実施例10]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてZn(OAc)
2(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は18%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0092】
[実施例11]
Zn(OTf)
2(5μmol)に代えてFe(OTf)
3(5μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は9%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0093】
[実施例12]
ピリジンを用いなかった点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は18%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0094】
[参考例1]
Zn(OTf)
2を用いなかった点以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、化合物(3101)はほとんど生成せず、NMR換算収率は1%未満であった。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
上記結果から明らかなように、本発明により、脱水素ボリル化反応を利用して、安価且つ簡便に化合物(3)を製造できた。そして、反応温度及び反応時間を変化させても、反応性に大きな影響は見られなかった。また、ルイス酸として様々な種類のものを用いて、化合物(3)が得られた。また、有機塩基を用いなくても化合物(3)が得られたが、有機塩基を用いた方が、化合物(3)の収率が高かった。一方、ルイス酸を用いなかった場合には、化合物(3)がほとんど得られなかった。
【0098】
[実施例13]
ピリジン(80μmol)に代えてキノリン(80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は45%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0099】
[実施例14]
ピリジン(80μmol)に代えて4−ピコリン(80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は69%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0100】
[実施例15]
ピリジン(80μmol)に代えて2,6−ルチジン(80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は66%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0101】
[実施例16]
ピリジン(80μmol)に代えて4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は61%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0102】
[実施例17]
ピリジン(80μmol)に代えてトリエチルアミン(80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は55%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0103】
[実施例18]
ピリジン(80μmol)に代えてエチルジイソプロピルアミン(80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は48%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0104】
[実施例19]
ピリジン(80μmol)に代えて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(ジアザビシクロウンデセン、DBU、80μmol)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は27%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0105】
[実施例20]
プロピオニトリル(0.4mL)に代えてブチロニトリル(0.4mL)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は74%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0106】
[実施例21]
プロピオニトリル(0.4mL)に代えてクロロベンゼン(0.4mL)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は68%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0107】
[実施例22]
プロピオニトリル(0.4mL)に代えてトルエン(0.4mL)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は58%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0108】
[実施例23]
プロピオニトリル(0.4mL)に代えて1,4−ジオキサン(0.4mL)を用いた点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は33%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0109】
[実施例24]
ピリジンの使用量を0.4mLに代えて0.2mLとした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は56%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0110】
[実施例25]
ピリジンの使用量を0.4mLに代えて1mLとした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は60%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0111】
[実施例26]
化合物(2)の使用量を0.6mmolに代えて0.4mmolとした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は67%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0112】
[実施例27]
プロピオニトリルの使用量を0.4mLに代えて0.8mLとし、Zn(OTf)
2の使用量を20μmolに代えて4μmolとした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は44%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0113】
[実施例28]
Zn(OTf)
2の使用量を20μmolに代えて8μmolとした点以外は、実施例1と同様にして化合物(3101)を得た。化合物(3101)のNMR換算収率は40%であった。
得られた化合物(3101)のNMRデータは、実施例1と同じであった。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
上記結果から明らかなように、本発明により、脱水素ボリル化反応を利用して、安価且つ簡便に化合物(3)を製造できた。そして、有機塩基又は溶媒として様々な種類のものを用い、また、これらの使用量を変化させても、化合物(3)が得られた。
【0117】
[実施例29]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3102)を得た(単離収率65%)。
得られた化合物(3102)のNMRデータを以下に示す。
【0118】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 1.24-1.34(m, 3H), 1.41-1.61(m, 3H), 1.66-1.80(m, 2H), 1.80-1.91(m, 2H), 2.46(tt, J=9.4, 3.8Hz, 1H), 5.78(bs, 2H), 6.27(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 7.00(dd, J = 8.2, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J= 8.3, 7.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ24.9, 25.8, 29.8, 32.4, 105.7, 109.2, 117.8, 119.8, 127.5, 136.3, 140.8.
【0119】
【化12】
【0120】
[実施例30]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3103)を得た(単離収率88%)。
得られた化合物(3103)のNMRデータを以下に示す。
【0121】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.59(t, J=7.6Hz, 2H), 2.89(t, J=7.6Hz, 2H), 5.72(bs, 2H), 6.27(dd, J=7.3, 1.2Hz, 2H), 7.0(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.2, 7.3Hz, 2H), 7.20-7.28(m, 3H),7.28-7.36(m, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 21.8, 34.8, 104.0, 105.7, 117.8, 119.8, 126.5, 127.5, 128.4, 136.3, 140.3, 140.7(一つのシグナルは、他のシグナルに重なったため、明瞭に確認できなかった。).
【0122】
【化13】
【0123】
[実施例31]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3104)を得た(単離収率72%)。
得られた化合物(3104)のNMRデータを以下に示す。
【0124】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.02(quint, J=6.6Hz, 2H), 2.50(t, J=6.9Hz, 2H), 3.69(t, J=6.3Hz, 2H), 5.77(bs, 2H), 6.28(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 7.01(dd, J=8.5, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.4, 7.2Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 17.0, 31.0, 43.5, 102.6, 105.8, 117.9, 119.8, 127.5, 136.2, 140.6.
【0125】
【化14】
【0126】
[実施例32]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3105)を得た(単離収率71%)。
得られた化合物(3105)のNMRデータを以下に示す。
【0127】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 1.90(quint, J=6.6Hz, 2H), 2.08(s, 3H), 2.40(t, J=7.0Hz, 2H), 4.21(t, J=6.3Hz, 2H), 5.78(bs, 2H), 6.28(dd, J=7.3, 1.0Hz, 2H), 7.00(dd, J=8.4, 1.0Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 16.4, 21.0, 27.4, 62.9, 103.1, 105.8, 117.9, 119.8, 127.5, 136.2, 140.7, 171.1.
【0128】
【化15】
【0129】
[実施例33]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3106)を得た(単離収率92%)。
得られた化合物(3106)のNMRデータを以下に示す。
【0130】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.00 (quint, J=6.6Hz, 2H), 2.39(t, J=6.9Hz, 2H), 3.87(t, J=6.6Hz, 2H), 5.61(bs, 2H), 6.22(dd, J=7.4, 0.9Hz, 2H), 6.99(dd, J=8.7, 0.9Hz, 2H), 7.07(dd, J=8.2, 7.3Hz, 2H), 7.59-7.65(m, 2H),7.82-7.88(m, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 17.5, 26.7, 37.3, 103.5, 105.7, 117.7, 119.7, 123.2, 127.5, 132.1, 133.9, 136.2, 140.7, 168.5.
【0131】
【化16】
【0132】
[実施例34]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3107)を得た(単離収率91%)。
得られた化合物(3107)のNMRデータを以下に示す。
【0133】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 4.76(s, 2H), 5.79(bs, 2H), 6.26(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 6.96-7.04(m, 5H), 7.08(dd, J=8.1, 7.2Hz, 2H), 7.28-7.38(m, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 56.3, 97.6, 106.0, 114.8, 118.2, 119.9, 121.6, 127.5, 129.6, 136.2, 140.3, 157.6.
【0134】
【化17】
【0135】
[実施例35]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3108)を得た(単離収率91%)。
得られた化合物(3108)のNMRデータを以下に示す。
【0136】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 0.10(s, 6H), 0.92(s, 9H), 2.51(t, J=7.1Hz, 2H), 3.78(t, J=7.1Hz, 2H), 5.75(bs, 2H), 6.27(dd, J=7.4, 0.9Hz, 2H), 7.00(dd, J=8.3, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.53, 7.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ -5.2, 18.4, 24.1, 25.9, 61.7, 101.7, 105.8, 117.9, 119.8, 127.5, 136.3, 140.7.
【0137】
【化18】
【0138】
[実施例36]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3109)を得た(単離収率65%)。
得られた化合物(3109)のNMRデータを以下に示す。
【0139】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 1.81(t, J=5.5Hz, 1H), 2.58(t, J=6.2Hz, 2H), 3.79(q, J=5.8Hz, 2H), 5.80(bs, 2H), 6.28(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 7.01(dd, J=8.5, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.4, 7.2Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 24.0, 60.8, 101.1, 105.8, 117.9, 119.8, 127.5, 136.2, 140.6.
【0140】
【化19】
【0141】
[実施例37]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3110)を得た(単離収率91%)。
得られた化合物(3110)のNMRデータを以下に示す。
【0142】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 1.56-1.71(m, 4H), 2.09-2.21(m, 4H), 5.80(bs, 2H), 6.23-6.32(m, 3H), 7.00(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.2, 7.4Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 21.3, 22.2, 25.8, 28.9, 104.6, 105.8, 117.9, 119.8, 120.3, 127.5, 136.3, 137.7, 140.7.
【0143】
【化20】
【0144】
[実施例38]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3111)を得た(単離収率84%)。
得られた化合物(3111)のNMRデータを以下に示す。
【0145】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.91(bs, 2H), 6.32(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 7.03(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.11(dd, J=8.2, 7.1Hz, 2H), 7.32-7.41(m, 3H), 7.49-7.55(m, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 102.4, 105.9, 118.0, 119.9, 122.4, 127.5, 128.4, 129.1, 132.1, 136.3, 140.1.
【0146】
【化21】
【0147】
[実施例39]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3112)を得た(単離収率88%)。
得られた化合物(3112)のNMRデータを以下に示す。
【0148】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.50(s, 3H), 5.88(bs, 2H), 6.32(dd, J=7.2, 0.9Hz, 2H), 7.03(dd, J=8.4, 0.9Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H), 7.16(td, J=9.2, 1.6Hz, 1H), 7.20-7.30(m, 2H), 7.48(dd, J=7.6, 0.9Hz, 1H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 20.8, 101.3, 105.9, 118.0, 119.9, 122.2, 125.6, 127.5, 129.1, 129.5, 132.5, 136.3, 140.6, 140.8.
【0149】
【化22】
【0150】
[実施例40]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3113)を得た(単離収率81%)。
得られた化合物(3113)のNMRデータを以下に示す。
【0151】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.35(s, 3H), 5.89(bs, 2H), 6.31(dd, J=7.1, 0.9Hz, 2H), 7.02(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H), 7.15-7.28(m, 2H), 7.28-7.39(m, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 21.2, 102.7, 105.9, 118.0, 119.9, 122.2, 127.5, 128.3, 129.2, 130.0, 132.7, 136.3, 138.1, 140.6.
【0152】
【化23】
【0153】
[実施例41]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3114)を得た(単離収率91%)。
得られた化合物(3114)のNMRデータを以下に示す。
【0154】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 2.37(s, 3H), 5.89(bs, 2H), 6.31(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 7.02(dd, J=8.5, 0.9Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H), 7.15(dt, J=7.8, 0.7Hz, 2H), 7.41(dt, J=8.2, 1.8Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 21.6, 102.7, 105.9, 118.0, 119.3, 119.9, 127.5, 129.2, 132.0, 136.3, 139.4, 140.7.
【0155】
【化24】
【0156】
[実施例42]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3115)を得た(単離収率94%)。
得られた化合物(3115)のNMRデータを以下に示す。
【0157】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 3.83(s, 3H), 5.89(bs, 2H), 6.31(dd, J=7.3, 0.9Hz, 2H), 6.87(dt, J=8.9, 2.4Hz, 2H), 7.02(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.2, 7.3Hz, 2H), 7.46(dt, J=8.9, 2.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 55.3, 102.6, 105.8, 114.1, 114.4, 117.9, 119.9, 127.5, 133.7, 136.3, 140.7, 160.2.
【0158】
【化25】
【0159】
[実施例43]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3116)を得た(単離収率73%)。
得られた化合物(3116)のNMRデータを以下に示す。
【0160】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.91(bs, 2H), 6.32(dd, J=7.2, 0.9Hz, 2H), 7.04(dd, J=8.3, 0.9Hz, 2H), 7.11(dd, J=8.3, 7.2Hz, 2H), 7.59-7.65(m, 4H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 100.6, 106.1, 118.3, 120.0, 123.8(q, 1J(C ,F)=271.3Hz), 125.4(q, 3J(C, F)=3.8Hz), 126.2, 127.6, 130.8(q, 2J(C, F)=32.6Hz), 132.3, 136.3, 140.4.
【0161】
【化26】
【0162】
[実施例44]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3117)を得た(単離収率15%)。
得られた化合物(3117)のNMRデータを以下に示す。
【0163】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.92(bs, 2H), 6.34(dd, J=5.8, 0.8Hz, 2H), 7.06(dd, J=6.7, 0.7Hz, 2H), 7.12(dd, J=6.6, 5.8Hz, 2H), 7.66(dt, J=7.2, 1.7Hz, 2H), 8.24 (dt, J=7.1, 1.7Hz, 2H).
【0164】
【化27】
【0165】
[実施例45]
表5及び6に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3118)を得た(単離収率82%)。
得られた化合物(3118)のNMRデータを以下に示す。
【0166】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.92(bs, 2H), 6.33(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 7.03(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.11(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H), 7.37(tt, J=7.3, 1.6Hz, 1H), 7.46(tt, J=7.4, 1.5Hz, 2H), 7.56-7.63(m, 6H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 102.3, 105.9, 118.1, 119.9, 121.2, 127.0, 127.1, 127.5, 127.8, 128.9, 132.5, 136.3, 140.1, 140.6, 141.9.
【0167】
【化28】
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
[実施例46]
表7及び8に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3119)を得た(NMR換算収率90%)。
【0171】
【化29】
【0172】
[実施例47]
表7及び8に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3120)を得た(単離収率83%)。
得られた化合物(3120)のNMRデータを以下に示す。
【0173】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 4.17-4.34(m, 7H), 4.49(t, J=1.8Hz, 2H), 5.85(bs, 2H), 6.31(dd, J=7.3, 1.1Hz, 2H), 7.02(dd, J=8.2, 0.9Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.4, 7.2Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 63.7, 69.2, 70.2, 71.9, 102.3, 105.8, 117.9, 119.8, 127.5, 136.3, 140.7.
【0174】
【化30】
【0175】
[実施例48]
表7及び8に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3201)を得た(単離収率81%)。
得られた化合物(3201)のNMRデータを以下に示す。
【0176】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.88(bs, 2H), 6.31(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 7.02(dd, J=8.3, 1.0Hz, 2H), 7.10(dd, J=8.3, 7.3Hz, 2H), 7.17(dd, J=4.9, 1.3Hz, 1H), 7.29(dd, J=5.0, 3.0Hz, 1H), 7.56(dd, J=3.0, 1.1Hz, 1H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 97.4, 105.9, 118.1, 119.9, 121.6, 125.6, 127.5, 130.0, 130.5, 136.3, 140.6.
【0177】
【化31】
【0178】
[実施例49]
表7及び8に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3202)を得た(単離収率74%)。
得られた化合物(3202)のNMRデータを以下に示す。
【0179】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 5.94(bs, 2H), 6.34(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 7.04(dd, J=8.4, 1.0Hz, 2H), 7.11(dd, J=8.4, 7.2Hz ,2H), 7.30(ddd, J=7.9, 4.9, 0.9Hz, 1H), 7.79(dt, J=7.8, 1.8Hz, 1H), 8.59(dd, J=4.8, 1.8Hz, 1H), 8.76(dd, J=2.0, 0.9Hz, 1H).
【0180】
【化32】
【0181】
[実施例50]
表7及び8に示す条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様にして化合物(3301)を得た(単離収率51%)。
得られた化合物(3301)のNMRデータを以下に示す。
【0182】
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 0.65(q, J=1.9Hz, 6H), 1.03(t, J=7.9Hz, 9H), 5.82(bs, 2H), 6.28(dd, J=7.2, 1.0Hz, 2H), 7.01(dd, J=8.4, 1.0Hz, 2H), 7.08(dd, J=8.2, 7.3Hz, 2H).
13C NMR(100MHz, CDCl
3) δ 4.2, 7.4, 105.8, 108.7, 118.0, 120.0, 127.5, 136.3, 140.5.
【0183】
【化33】
【0184】
【表7】
【0185】
【表8】
【0186】
上記結果から明らかなように、本発明により、脱水素ボリル化反応を利用して、安価且つ簡便に化合物(3)を製造できた。そして、化合物(1)として種々の化合物を用いて、広範な種類の新規な化合物(3)を製造できた。
【0187】
<化合物(3)の利用>
[製造例2]
下記式に示すように、化合物(3101)を用いて、化合物(9101)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
雰囲気をアルゴンガスで置換した容器中に、化合物(3101)(0.2mmol)、1,4−ジオキサン(2mL)を仕込み、さらにここへピナコール(0.6mmol)、6M塩酸(0.2mL、HClとして1.2mmol)を加え、室温で12時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液に水(10mL)を加え、ジエチルエーテル(10mL)で3回有機層を抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、セライトろ過した。次いで、得られたろ液を減圧濃縮し、濃縮物をさらに蒸留して、無色のオイル状物質として目的物である化合物(9101)を得た(単離収率90%)。
得られた化合物(9101)のNMRデータを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 0.88(t, J=7.0Hz, 3H), 1.18-1.45(m, 6H), 1.27(s, 12H), 1.53(quint, J=7.5Hz, 2H), 2.25(t, J=7.2Hz, 2H).
【0188】
【化34】
【0189】
このように、化合物(3)を用いて、ホウ素原子を含む環骨格を置換して、他の有機ホウ素化合物を収率よく製造できた。
【0190】
[製造例3]
下記式に示すように、化合物(3111)を用いて、化合物(9102)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
雰囲気をアルゴンガスで置換した容器中に、塩化銅(I)(0.02mmol)、トリフェニルホスフィン(0.02mmol)、炭酸カリウム(0.2mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI、0.5mL)を仕込み、得られた溶液を脱酸素させ、さらにここへ化合物(3111)(0.24mmol)、ヨードベンゼン(0.2mmol)を室温下で加え、120℃で22時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液に3M塩酸を加え、ジエチルエーテル(10mL)で3回有機層を抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水して、ろ過した。次いで、得られたろ液を減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、白色個体として目的物である化合物(9102)を得た(単離収率91%)。
得られた化合物(9102)のNMRデータを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 7.30-7.39(m, 6H), 7.49-7.58(m, 4H).
【0191】
【化35】
【0192】
このように、化合物(3)を用いたクロスカップリング反応により、他の有機ホウ素化合物を収率よく製造できた。クロスカップリング反応による有機ホウ素化合物の合成反応としては、例えば、化合物(3111)のフェニルアセチレン基の代わりに、3,5−ジブロモベンゼン−1−イル基を有する化合物を用いたものが上述の「Journal of Organometallic Chemistry 694(2009)1713−1717」に開示されている。しかし、ここで開示されている合成反応では、炭素−ホウ素結合(C−B)ではなく、炭素−臭素結合(C−Br)がクロスカップリング反応に関与しており、ここに示した化合物(9102)の合成反応では、炭素−ホウ素結合(C−B)がクロスカップリング反応に関与するという点において、上記文献に記載のものとは反応機構が全く異なっており、化合物(3111)は新たな用途を提供できる点で有用である。
【0193】
[製造例4]
下記式に示すように、化合物(3101)を用いて、化合物(9103)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
雰囲気をアルゴンガスで置換した容器中に、炭酸カルシウムに担持したパラジウム(Pd/CaCO
3、5質量%、0.015mmol)、1,4−ジオキサン(1mL)、化合物(3101)(0.5mmol)、ピリジン(1μL)を仕込み、室温下で水素ガスを吹き込みながら2.5時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液をろ過して、ろ液を減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、白色個体として目的物である化合物(9103)を得た(単離収率94%)。
得られた化合物(9103)のNMRデータを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 0.77-0.98(m, 5H), 1.19-1.50(m, 12H), 5.60(bs, 2H), 6.29(dd, J=7.3, 0.9 Hz, 2H), 6.99(dd, J=8.2, 0.9 Hz, 2H), 7.09(dd, J=8.0, 7.3Hz, 2H).
【0194】
【化36】
【0195】
このように、化合物(3)を用いた還元反応により、他の有機ホウ素化合物を収率よく製造できた。
【0196】
[製造例5]
下記式に示すように、化合物(3111)を用いて、化合物(9104)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
雰囲気をアルゴンガスで置換した容器中に酢酸銅(II)(0.2mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI、2mL)、化合物(3111)(0.2mmol)を仕込み、60℃で6時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液に1M塩酸(30mL)を加え、ジエチルエーテル(10mL)で3回有機層を抽出し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄した後、ろ過した。次いで、得られたろ液を減圧濃縮し、目的物である化合物(9104)を得た(NMR換算収率39%)。
【0197】
【化37】
【0198】
このように、化合物(3)を用いたホモカップリング反応により、炭素−炭素結合(C−C)を新たに形成して、炭化水素化合物を製造できた。
【0199】
[製造例6]
下記式に示すように、化合物(3111)を用いて、化合物(9105)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
容器中に化合物(3111)(0.2mmol)、トランス−カルコン(0.4mmol)、塩化メチレン(2mL)、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体(0.4mmol)を仕込み、40℃で24時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液に水(10mL)を加え、ジエチルエーテル(10mL)で3回有機層を抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、ろ過した。次いで、得られたろ液を減圧濃縮し、目的物である化合物(9105)を得た(NMR換算収率63%)。
【0200】
【化38】
【0201】
このように、化合物(3)を用いた1,4−付加反応により、炭素−炭素結合(C−C)を新たに形成して、芳香族不飽和化合物を製造できた。
【0202】
[製造例7]
下記式に示すように、化合物(3111)を用いて、化合物(9106)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
容器中にアルゴンガス雰囲気下で[RuCl
2(PPh
3)
3](0.025mmol)、化合物(3111)(0.5mmol)、エタノール(0.75mL)を仕込み、得られた溶液を脱酸素させ、さらにここへ水素ガスを吹き込み、0℃で7日間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液に水(10mL)を加え、ジエチルエーテル(10mL)で3回有機層を抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、ろ過した。次いで、得られたろ液を減圧濃縮し、目的物である化合物(9106)のシス体及びトランス体の混合物を得た(シス体のNMR換算収率75%、シス体:トランス体=95:5)。
【0203】
【化39】
【0204】
このように、化合物(3)を用いた半還元反応により、シス体の有機ホウ素化合物を優先的に製造できた。
【0205】
[製造例8]
下記式に示すように、化合物(3101)を用いて、化合物(9107)を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
容器中に酢酸銅(II)(6μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(20質量%トルエン溶液、0.021mmol)、メタノール(1mL)を仕込み、80℃で30分間撹拌した後、室温下で減圧濃縮した。次いで、得られた濃縮物に化合物(3101)(0.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.39mmol)、Bu
3SnOCH
3(0.39mmol)トルエン(1mL)を加え、室温で18時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応液を酢酸エチルで希釈した後、セライトろ過し、有機層を飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮した。次いで、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(10質量%無水炭酸カリウム−シリカゲル、移動相:酢酸エチル)により精製し、目的物である化合物(9107)を得た。
【0206】
【化40】
【0207】
このように、化合物(3)を用いたボリルスタニル化反応により、含スズ有機ホウ素化合物を製造できた。