−−−ネットワーク構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の価格管理支援システム100を含むネットワーク構成図である。
図1に示す価格管理支援システム100は、宿泊業者が未知のイベントに対応して、客室販売価格を適宜にコントロールし、ひいては客室在庫の最適化を支援するコンピュータシステムである。
ここで、本実施形態の価格管理支援システム100が処理結果である提案価格を提示する対象は、当該価格管理支援システム100によるサービス提供を享受すべく契約した或る宿泊業者(の宿泊施設端末400)である。
よって、価格管理支援システム100はネットワーク10を介し、この宿泊業者の備える宿泊施設端末400と通信可能に接続されている。また、上述の宿泊業者は、自宿泊施設の客室在庫を売り切るため、自社WEBサーバ500で運用される自社WEBサイトや電話受付といった自社ルートのみならず、インターネット上での代理販売を行う複数のネットエージェント200と契約し、各ネットエージェント200に対して自宿泊施設の客室在庫を委託しているものとする。
また、上述の宿泊業者は、契約中の各ネットエージェント200での販売状況を一定時間毎にチェックし、これにより判明したネットエージェント毎の販売状況を受けて、該当宿泊業者の客室在庫調整を自動実行する、いわゆるサイトコントローラ300の利用も行っている。
従って、本実施形態の価格管理支援システム100は、ネットワーク10を通じて、少なくとも、複数のネットエージェント200、サイトコントローラ300、および宿泊施設端末400と結ばれている。
また、各宿泊業者が自社の公式WEBサイトを運用するためのWEBサーバが、ネットワーク10には接続されており、価格管理支援システム100はこれらWEBサーバとも結ばれている。このうち、上述の自宿泊施設に関する公式WEBサイトを運用するサーバが自社WEBサーバ500であり、他社の公式WEBサイトを運用するサーバが他社WEBサーバ600である。なお、サイトコントローラは、チャネルマネージャーと同義である(以下同様)。
勿論、この他にも、PMS(Property Management System)と呼ばれる、宿泊施設における客室の予約、客室管理、料金請求といった一連の業務処理を担う、宿泊施設の基幹システムと接続されているとしてもよい。この場合、価格管理支援システム100は、サイトコントローラ300から本実施形態の処理に関して得る情報を、このPMSから取得するとしてもよい。
また、価格管理支援システム100は、上述の複数のネットエージェント200、サイトコントローラ300、宿泊施設端末400、およびPMS(不図示)のうち、少なくとも複数のネットエージェント200とサイトコントローラ300を含んで構成するとしてもよい。
−−−装置構成−−−
次に、上述の価格管理支援システム100のハードウェア構成例について説明する。
図2は本実施形態の価格管理支援システム100のハードウェア構成例を示す図である。
本実施形態における価格管理支援システム100は、例えばサーバ装置を想定することができる。なお、本実施形態では説明簡便化の為、単体の装置として価格管理支援システム100を示しているが、必要な機能毎にサーバを設けて互いに連携させるとしてもよい。
こうした価格管理支援システム100は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性記憶素子で構成された記憶装置101、RAM(Random Access Memory)など揮発性記憶素子で構成されたメモリ103、CPUなどの演算装置104、NIC(Network Interface Card)などの通信装置105が内部BUSにより互いに接続されて構成されている。
このうち記憶装置101には、イベントテーブル125、掲載情報テーブル126、および、予約テーブル127が少なくとも記憶されている。これらテーブル125〜127のデータ構成例の詳細については後述する。
こうした価格管理支援システム100は、上述の記憶装置101に格納されたプログラム102を、演算装置104がメモリ103に読み出して実行し、必要な機能を実装することになる。但し、こうした各機能は電子回路などのハードウェアとして実現してもよい。
−−−データ構造例−−−
次に、本実施形態の価格管理支援システム100が利用するテーブル等のデータ構造例について説明する。
図3は本実施形態におけるイベントテーブル125のデータ構造例を示す図である。本実施形態のイベントテーブル125は、現時点から数ヶ月先など所定期間未来の将来時期までに関して、上述の自宿泊施設の所在地(を含むエリア)における所定事象の発生予測情報を時系列順に格納したテーブルである。
図3に例示するイベントテーブル125の具体的な構造は、例えば、A区、B区といった各エリアにおいて、予測・予定された事象の発生期間を規定する対象期間の値をキーとして、荒天現象に対応した事象1、会議に対応した事象2、スポーツイベントに対応した事象3、コンサートに対応した事象4、といった各種事象の種類を示す値を対応付けた構成となっている。
このようなイベントテーブル125は、価格管理支援システム100が、気象予測組織の情報提供装置(サーバ等)や、国際会議開催予定が掲載される公的機関や会議場運営企業のWEBサイト(の提供サーバ)、或いは、プロスポーツ試合やコンサートの開催予定が掲載されるイベントプロモーターのWEBサイト(の提供サーバ)などに一定時間毎にアクセスし、取得した情報を格納したものとなる。但し、こうしたイベントテーブル125に情報が格納されたイベントは、上述の自宿泊施設が通常の業務範囲で知りうるものとなる。
図4は本実施形態における掲載情報テーブル126のデータ構造例を示す図である。掲載情報テーブル126は、上述の自宿泊施設および自宿泊施設以外の他宿泊施設に関する、所在地、複数のネットエージェント200それぞれのWEBサイトまたは該当宿泊施設の公式WEBサイトでの客室販売価格(該当ネットエージェントでの所定のアルゴリズムで定期的に決定、更新されている)の各情報を格納したテーブルである。
この掲載情報テーブル126は、例えば宿泊施設IDをキーとして、該当宿泊施設の所在地および運営者たる宿泊業者、その公式WEBサイトURL、該当宿泊施設の客室販売を委託しているネットエージェントのID、該当ネットエージェントの提供する客室販売用のWEBサイトURL、該当WEBサイト(公式WEBサイトまたはネットエージェントのWEBサイトのいずれか情報を取得できたもの)での客室販売価格、といった値を、対象期間に対応付けたレコードの集合体となっている。
また、
図5は本実施形態における予約テーブル127のデータ構造例を示す図である。この予約テーブル127は、自宿泊施設および他宿泊施設における所定期間の各日の客室予約数、および客室在庫残の各情報を格納したテーブルであり、例えば、対象期間、該当日における客室予約数および客室在庫残、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
−−−処理手順例−−−
以下、本実施形態における価格管理支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する価格管理支援方法に対応する各種動作は、価格管理支援システム100のメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そして、このプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図6は、本実施形態の価格管理支援方法の処理フロー例を示す図である。この場合、価格管理支援システム100は、契約中の宿泊施設(自宿泊施設)と、これに競合する他宿泊施設とに関して、30分、或いは1時間といった所定時間毎に、ネットエージェント200の提供する、客室販売用のWEBサイトでの掲載情報を、各ネットエージェント200または、これら各ネットエージェント200での客室販売状況に応じた在庫管理を行っているサイトコントローラ300から取得し、記憶装置101の掲載情報テーブル126に格納する(s100)。このs100の処理は所定期間毎に繰り返し実行するものとする。
なお、以降での説明においては、ネットエージェント200ないしサイトコントローラ300から必要な情報が取得出来ることを前提とする。但し、ネットエージェント200ないしサイトコントローラ300から必要な情報が取得出来ない状況においては、価格管理支援システム100が備える機能として上述したとおり、各宿泊施設の公式WEBサイトを運用するWEBサーバ500、600から情報取得を行うものとする(以下同様)。勿論、両方の情報取得手法を適宜組み合わせるとしても良い。
ここで掲載情報テーブル126に格納される情報の具体例は、
図4にて例示するように、該当宿泊施設の識別情報たる宿泊施設ID、対象期間(情報取得タイミングの間である掲載情報の取得期間)、ネットエージェントのID、WEBサイトURL、該当WEBサイトでの該当対象期間での客室販売価格、の各値となる。
このうち客室販売価格の値は、上述したネットエージェント200のWEBサイトに掲載されていない場合もある。その場合、価格管理支援システム100は、各ネットエージェント200における販売状況を管理しているサイトコントローラ300またはネットエージェント200の所定サーバに問い合わせを行い、該当データを取得する。勿論、価格管理支援システム100と、ネットエージェント200およびサイトコントローラ300との間で、データ授受を許容する契約が予め結ばれているものとする。
価格管理支援システム100は、以上のように掲載情報テーブル126を生成し、一定時間毎に更新している。
また、価格管理支援システム100は、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかにおける所定期間分の各日に対する客室予約数をネットエージェント200またはサイトコントローラ300(或いは公式WEBサイト)から取得して、これを記憶装置101の予約テーブル127に格納する(s101)。このs101の処理は所定期間毎に繰り返し実行するものとする。
次に、価格管理支援システム100は、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかに関する、所定日から所定期間先までの各日の客室予約数と客室在庫残および客室販売価格の情報を、掲載情報テーブル126および予約テーブル127から取得する(s102)。
例えば、「2017/5/1」〜「2017/5/10」の期間中の、「2017/5/1」、「2017/5/2」における自宿泊施設「00001」の客室販売価格を「19800」円、などと取得する。また、「2017/5/1」における自宿泊施設「00001」の客室予約数を「25」、客室在庫残を「75」、「2017/5/2」における自宿泊施設「00001」の客室予約数を「85」、客室在庫残を「15」、などと取得する。
また、「2017/5/1」における競合施設「00002」の客室販売価格を「21000」円、同じく「2017/5/2」における競合施設「00002」の客室販売価格を「24000」円、などと取得する。また、「2017/5/1」における競合施設「00002」の客室予約数を「35」、客室在庫残を「115」、「2017/5/2」における競合施設「00002」の客室予約数を「150」、客室在庫残を「0」、などと取得する。
なお、このs102における価格管理支援システム100は、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかの所在地の情報を、掲載情報テーブル126から読み取る。
図4における宿泊施設「00001」、「00002」の場合、所在地「A区B町・・・」といった値を得ることになる。
また、価格管理支援システム100は、記憶装置101のイベントテーブル125にて、上述の自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかの所在地(s102で得たもの)を含むエリアに関するレコードであり、上述の所定期間を対象期間に含むレコードを特定し、当該レコードからイベントの開催スケジュール情報を読み取る(s103)。
ここで特定し、開催スケジュール情報を読み取るレコードは、上述の自宿泊施設および競合施設の所在エリアで予定・予測されているイベントに関するものとする。
図3の例の場合、例えば「A区B町」を含むエリアに関するレコードであって、「2017/5/1」〜「2017/5/10」の期間を「対象期間」に含むレコードを、「2017/5/1」の「国際会議」、また、「2017/5/8〜5/9」の「ライブイベント」の各情報を読み取ることになる。
続いて価格管理支援システム100は、s102およびs103で得た、客室予約数および客室販売価格の情報と、開催スケジュール情報とに基づき、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかにおいて客室予約数および客室販売価格の少なくともいずれかが所定基準以上となっている日のうち、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかの所在エリアでのイベントの開催期間以外または開催前後期間以外の日を未知イベントの関連日と特定する(s104)。
この場合、価格管理支援システム100は、例えば、自宿泊施設「00001」および競合施設「00002」、「00003」の少なくともいずれかにおいて客室予約数が、その日の該当施設での客室在庫残の1.5倍以上で、客室販売価格が所定の基準価格以上となっている日を、「2017/5/2」、などと特定する。
また、価格管理支援システム100は、イベントテーブル125で特定した、自宿泊施設「00001」および競合施設「00002」、「00003」の所在エリア「A区B町・・・」でのイベント「国際会議」および「ライブイベント」の開催期間「2017/5/1」、「2017/5/8〜5/9」以外の日であり、上述で特定した「2017/5/2」を、未知イベントの関連日と特定する。
なお、価格管理支援システム100は、上述のように未知イベントの関連日を特定するに際し、競合施設についての客室予約数の情報と、上述の開催スケジュール情報とに基づき、客室予約数が所定基準以上となっている競合施設の数が所定基準以上となっている日のうち、自宿泊施設の所在エリアでのイベントの開催期間以外または開催前後期間以外の日を未知イベントの関連日と特定するとしてもよい。
また、価格管理支援システム100は、上述のs104で特定した未知イベントの関連日の情報を、例えば自宿泊施設の宿泊施設端末400に通知する(s105)。
続いて、価格管理支援システム100は、上述の未知イベントの関連日の自宿泊施設の客室販売価格を、所定割合で上昇させた価格を、当該宿泊施設への提案価格として算定する(s106)。
上述の例であれば、未知イベントの関連日「2017/5/2」に関して、自宿泊施設「00001」に設定されている客室販売価格は「19800」円である。そこで価格管理支援システム100は、この客室販売価格を所定割合(例:20%)だけ値上げして、「23760」円を、該当日の新たな客室販売価格として算定する。
次に、価格管理支援システム100は、s106で算定した提案価格を、宿泊施設端末400に通知する(s107)。或いは、価格管理支援システム100は、当該自宿泊施設と契約しているネットエージェント200の所定サーバ、または自宿泊施設の公式WEBサイトの所定サーバに対して、該当WEBサイトでの客室販売価格として提案価格を設定するよう要求する指示を送信するとしてもよい。
なお、価格管理支援システム100は、上述の未知イベントの関連日を特定するに際し、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかにおいて客室予約数が所定基準以上となっている日のうち、自宿泊施設および競合施設の少なくともいずれかの所在エリアから所定移動手段で所定時間内に移動可能なエリアでのイベントを、イベントテーブル125で特定し、このイベントの開催期間以外または開催前後期間以外の日を未知イベントの関連日と特定してもよい。
例えば、価格管理支援システム100が、経路移動探索用のアルゴリズム(例:既存のナビゲーションプログラムなどで記憶装置101で渫持)を利用し、自宿泊施設の所在地から自動車等の所定の交通手段(これは自宿泊施設の担当者等が予め指定したもの)で、例えば1時間以内に到着可能な範囲にあるエリア「B区」などと特定する。
そして価格管理支援システム100は、このエリア「B区」における該当期間のイベントの情報をイベントテーブル125で特定し、これに基づいて当該イベントの開催期間以外または開催前後期間以外の日を未知イベントの関連日と特定する。
以上説明したように本実施形態によれば、宿泊業者が未知のイベントに対応して、客室販売価格を適宜にコントロールし、ひいては客室在庫の最適化を支援可能となる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。