【実施例1】
【0009】
図2は実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図2において、画像形成装置10は、例えば電子写真方式のカラープリンタであり、現像装置11(11a、11b、11c、11d)と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド13と、供給カセット31と、ホッピングローラ32と、搬送ローラ33と、転写ベルトユニット35と、転写ローラ37と、定着器41と、排出ローラ42、43と、スタッカ44とを有している。
【0010】
現像装置11(11a、11b、11c、11d)は、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、およびシアン色の現像剤としてのトナーの画像を形成する4つの画像形成ユニットである。この現像装置11(11a、11b、11c、11d)は、トナーカートリッジ12から補給されたトナー1を潜像部に現像させる装置であり、ID(イメージドラム)ユニットとも呼ばれるものである。現像装置11a、11b、11c、11dは、記録媒体20の搬送路21に沿って図中矢印Aが示す記録媒体20の搬送方向における上流側から現像装置11a、11b、11c、11dの順に一列に配設されている。現像装置11a、11b、11c、11dは、使用するトナーを除いて共通した機構を有しており、以降はこれらを総称して現像装置11という。
【0011】
LEDヘッド13は、現像装置11の上方に配置された露光装置である。このLEDヘッド13は、現像装置11の像担持体としての各感光ドラム14の表面を露光して静電潜像を形成するものである。
供給カセット31は、画像形成装置10の下部に設けられ、記録媒体20(例えば、印刷用紙)を積層して収納するものである。
ホッピングローラ32は、供給カセット31に積層された記録媒体20を1枚ずつ分離させて給紙するものである。このホッピングローラ32は、記録媒体20を1枚ずつ搬送路21へ送り出す。
【0012】
搬送ローラ33は、ホッピングローラ32により搬送路21へ送り出された記録媒体20を転写ベルトユニット35へ搬送するものである。
転写ベルトユニット35は、記録媒体20を吸着して保持する転写ベルト36を有し、その転写ベルト36により記録媒体20を各現像装置11に沿って搬送する。
転写ローラ37は、各感光ドラム14との間で転写ベルト36を挟みこむように4つ配設されている。この転写ローラ37には、対向配置された感光ドラム14との間で電界を形成するための電圧が印加され、この電圧により各感光ドラム14に形成されたトナー像が記録媒体20に転写される。
【0013】
定着器41は、記録媒体20に熱と圧力を加える加熱ローラ41aとバックアップローラ41bとを有し、熱と圧力によりトナー像が転写された記録媒体20にトナー像を定着させる。
排出ローラ42、43は、記録媒体20の搬送方向における定着器41の下流側に配置され、定着器41から搬送された記録媒体20を装置外へ排出するものである。
スタッカ44は、画像形成装置10の上部に設けられ、排出ローラ42、43により排出された記録媒体20を積載するものである。
【0014】
図1は実施例における現像装置の構成を示す概略側断面図です。
図1において、現像装置11は、潜像体が形成され像を担持する像担持体としての感光ドラム14と、感光ドラム14の表面を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ15と、帯電ローラ15の表面と接触し、その表面上に堆積したトナー外添剤を掻き落す(クリーニングする)ためのクリーニング部材としてのクリーニングローラ61と、感光ドラム14上のチャージアップされた潜像部分にトナー1を現像させる現像ローラ16と、現像ローラ16にトナー1を供給するトナー供給ローラ17と、現像ローラ16上に供給されたトナーを薄層形成する現像ブレード19と、感光ドラム14上の転写残トナーを回収するためのクリーニングブレード51とから構成されている。また、現像ローラ16の近傍には、トナー漏れを防ぐシール材59が設けられている。
【0015】
なお、感光ドラム14、帯電ローラ15、クリーニングローラ61、現像ローラ16、およびトナー供給ローラ17は、図中矢印が示す方向に回転する。
図4は実施例における現像ローラの断面図であり、
図1に示す現像ローラ16を回転軸に直交する面で切り取った断面図である。
図4において、現像ローラ16は、SUS(ステンレス)等の導電性のシャフト(芯金)16a上に、弾性層16bが周設され、その弾性層16b上にトナーを帯電させるように表面層16cが周設された構成となっている。
【0016】
弾性層16bは、ポリエーテル系ウレタン樹脂で形成され、例えば電子導電剤であるカーボンブラックおよび炭酸カルシウムやシリカ等の絶縁性無機微粒子が配合されている。この弾性層16bのアスカーC硬度は、74〜84[°]程度であることが望ましい。弾性層16bの硬度を表すアスカーC硬度は、例えばアスカーC硬度計(高分子計器株式会社製)によって、ローラ外周の頂点に測定器の圧子を接触させることで測定することができる。
【0017】
表面層16cは、現像ローラ16をウレタン溶液、もしくはイソシアネート溶液にディッピングすることで弾性層16b上に溶液を浸漬させている。また、ローラ表面(表面層16c)の十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)(以下、「Rz」という。)は、例えば5.0[μm]程度であることが望ましい。十点平均粗さRzは、表面粗さ測定器であるサーフコーダSEF3500(株式会社小坂研究所製)によって計測できる数値である。なお、表面粗さ測定器(サーフコーダSEF3500)の触針半径は2[μm]、触針圧力は0.7[mN]、触針の送り速さは0.1[mm/sec]とした。また、測定針は現像ローラ16の円周に沿って動く設定とした。
【0018】
弾性層16bの外周は、例えばφ22[mm]であり、シャフト16aの外周は、例えばφ18[mm]である。
また、現像ローラ16の全体抵抗は3.5[logΩ]程度であることが望ましい。全体抵抗値の測定方法は、
図15に示すように、導電性円柱60に現像ローラ16を長手方向に均等になるように荷重500[gf]で接触させ、また図中矢印が示す方向に導電性円柱60と現像ローラ16を回転させ、DC−400[V]を印加させたときの抵抗値を現像ローラ16の全体抵抗値[logΩ]とした。
【0019】
図5は実施例における供給ローラの断面図であり、
図1に示す供給ローラ17を回転軸に直交する面で切り取った断面図である。
図6は実施例における供給ローラの外観形状の説明図である。
図5において、供給ローラ17は、導電性シャフト(芯金)17aと、弾性層17bとにより形成されており、導電性シャフト(芯金)17aの材質はSUS材に無電解ニッケルメッキ処理を施したものである。また弾性層17bは、導電性シリコーンゴム発泡体層である。
【0020】
供給ローラ17の形状は、
図6に示すように、長手(回転軸)方向の端部17b、17cの外径が中央部17aの外径と比較して小さいクラウン形状をなしている。供給ローラ17の中央部17aの外径は、例えばφ14.6[mm]、中央部17aに対する端部17b、17cの外径の差(以下、「クラウン量」という。)は、0.6[mm]程度が望ましい。
弾性層17bの発泡体の密度は、発泡倍率および平均発泡セル径により異なり、特に限定されるものではないが、平均発泡セル径は、例えば200〜400[μm]であることが望ましい。
【0021】
発泡セル径は、発泡剤の量や種類の変更、加硫時間や温度をコントロールすることで所望の値が得られる。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤が一般的である。また、半導電性を付与するためにカーボンブラックを添加している。
供給ローラ17の生成方法としては、まず有機溶剤等で洗浄して油分を除去した導電性シャフト(芯金)17aと導電性シリコーンゴム発泡体で形成した弾性層17bを押し出し成形機で一体化し、次に赤外線オーブン等に通し発泡、硬化させる。その後、約180〜225[℃]で5〜10[時間]程度、2次加硫処理を行い、研磨機で所望の形状を得る。
【0022】
図7は実施例における現像ブレードの断面図である。
図7において、現像ブレード19は、湾曲したエッジ部分である当接部19aで現像ローラ16の表面に当接しており、当接部19aの曲率半径Rは、例えば0.30[mm]程度である。また、現像ブレード19は現像ローラ16に対して、例えば単位長さ当たり26[gf/cm]程度の線圧をかけて現像ローラ16上に付着するトナー1を一定の層厚に規制する。なお、現像ブレード19は、板厚0.06〜0.10[mm]程度のSUS材で形成されたものである。
【0023】
図1に示す感光ドラム14は、厚さ0.8[mm]程度、外径40[mm]程度のアルミニウム素管上に、膜厚0.5[μm]程度の電荷発生層、膜厚18[μm]程度の電荷輸送層を設けたものを使用した。電荷発生層に用いられる電荷発生物質としてはセレンおよびその合金、セレン化ヒ素化合物、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ビリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料が望ましい。
【0024】
また、電荷輸送層に使用される電荷輸送物質としては、例えばカルバゾール、インドール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が望ましい。
【0025】
図8は実施例における帯電ローラの断面図である。
図8において、帯電ローラ15は、
図1に示す感光ドラム14の表面を均一に帯電させるためのローラであり、例えばステンレス等の導体を軸とした芯金(シャフト)15aの外周面に、アクリロニトリルブタヂエンゴム、エピクロルヒドリンエチレンオキシドゴム等の導電性の弾性体が弾性層(発泡弾性層)15bとして被覆されて設けられており、感光ドラム14に接触するように配置されている。
【0026】
帯電ローラ15の形状は、長手(軸)方向の両端部の外径が中央部の外径と比較して小さいクラウン形状をなしている。軸(芯金)15aの外径は、例えばφ8[mm]であり、帯電ローラ15の中央部の外径は、例えばφ12[mm]、クラウン量は0.09[mm]程度が望ましい。
【0027】
弾性層15bのアスカーC硬度は、70〜80[°]程度が望ましい。また、帯電ローラ15の表面の十点平均粗さRzは、例えば10.75[μm]程度であることが望ましい。さらに、帯電ローラ15の全体抵抗は、6.00[logΩ]程度が望ましい。測定条件は、
図15に示した測定方法と同様に、導電性円柱60に帯電ローラ15を長手方向に均等になるように荷重300[gf]で接触させ、また図中矢印が示す方向に導電性円柱60と帯電ローラ15を回転させ、DC−500[V]を印加させたときの抵抗値を帯電ローラ15の全体抵抗値[logΩ]とした。
【0028】
図9は実施例におけるクリーニングローラの断面図である。
図9において、クリーニングローラ61は、金属製の芯金(シャフト)61aと、ウレタンスポンジ製の弾性層(発泡弾性層)61bとにより構成され、芯金61aの外周面に弾性層61bが被覆されて設けられている。芯金61aの外径は、φ6[mm]、クリーニングローラ61の外径は、φ9[mm]程度のストレート形状(軸方向における端部の外径と中央部の外径が略同一)が望ましい。
【0029】
図10は実施例における帯電ローラおよびクリーニングローラの説明図であり、
図1に示す現像装置11における帯電ローラ15およびクリーニングローラ61の配置の説明図である。なお、図中の矢印B、C、Dは、帯電ローラ15、クリーニングローラ61および感光ドラム14の回転方向を示している。
図10において、帯電ローラ15は、帯電ローラ15の軸方向における弾性層15bの外側である芯金15aの両端部に設けられた第2の付勢部材としての圧力調整バネ66によって軸受け部材65を介して荷重を受け、感光ドラム14に一定の圧力で押圧されて接触し、駆動ギア63によって感光ドラム14からの動力が伝達されている。
【0030】
クリーニングローラ61は、クリーニングローラ61の軸方向における弾性層61bの外側である芯金61aの両端部に設けられた第1の付勢部材としての圧力調整バネ68によって軸受け部材67を介して荷重を受け、帯電ローラ15に一定の圧力で押圧されて接触し、駆動ギア64によって帯電ローラ15から動力を伝達している。このクリーニングローラ61は、図中矢印Bが示す帯電ローラ15の回転方向に対して図中矢印Cが示す順方向に、帯電ローラ15の周速度に対して周速度差を有して回転する。なお、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比は、駆動ギア63と駆動ギア64のギア比を調整することで変更することが可能である。
【0031】
圧力調整バネ66の付勢力は、圧力調整バネ68の付勢力より大きく、その圧力調整バネ66および圧力調整バネ68の配置および荷重は、それぞれ軸方向において左右対称となっており、帯電ローラ15における圧力調整バネ66の荷重は、例えば275〜325[gf]、クリーニングローラ61における圧力調整バネ68の荷重は、例えば40〜100[gf]程度となっている。
【0032】
図1に示すトナー1は、乳化重合法によって製造されたスチレンアクリル共重合樹脂と着色剤とワックスとを混合し、凝集してできるトナー粒子(ベーストナー)にシリカ、酸化チタン微粉末を外添してミキサーで混合したものである。円形度は、0.94〜0.98、粒径は5.5〜7.5[μm]程度である。
【0033】
図3は実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図3において、画像形成装置10に設けられた記録制御部80は、
図2に示す各現像装置11の帯電ローラ15に帯電電圧を印加する帯電電圧制御部81と、現像ローラ16に現像電圧を印加する現像電圧制御部82と、供給ローラ17に供給電圧を印加する供給電圧制御部83と、規制ブレード19に規制ブレード電圧を印加する規制ブレード電圧制御部85と、転写ローラ37に転写電圧を印加する転写電圧制御部86とを制御する。
【0034】
また、記録制御部80は、入力された画像データに応じてLEDヘッド13を発光させるLED発光制御部87と、定着器41のヒータを制御する定着制御部88とを制御する。
さらに、記録制御部80は、
図2に示す各現像装置11の感光ドラム14を回転させるモータ、並びに
図2に示す記録媒体20を給紙搬送するホッピングローラ32、搬送ローラ33、転写ローラ37および排出ローラ42、43を回転させる各モータを駆動制御するモータ制御部90を制御する。
この記録制御部80は、画像形成装置10全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)等で構成された制御手段としてのコントローラ8によって制御される。
【0035】
次に、
図1を用いて残留トナーのクリーニングプロセスを説明する。
図1において、転写後の感光ドラム14には、若干の転写残トナーとして残留トナー69が残る場合があるが、この残留トナー69は、クリーニングプロセスにおいてクリーニングブレード51によって除去される。
クリーニングブレード51は、感光ドラム14の回転軸方向に沿って平行に配置され、その先端部が感光ドラム14の表面に当接するように、その根元部分が剛性の高い支持基板に取り付けられて固定されている。このクリーニングブレード51が感光ドラム14の表面に当接したままの状態で感光ドラム14が回転軸を中心に回転するとき、クリーニングブレード51は感光ドラム14から転写されずに残った残留トナー69を感光ドラム14の表面から除去する。このクリーニングプロセスを経て感光ドラム14は繰返し利用される。
【0036】
しかしながら、クリーニングブレード51によって感光ドラム14上の残留トナー69を完全に除去できるわけでなく、除去され難い非常に小さな異物、主にトナーの添加剤として使用されるシリカ等はクリーニングブレード51をすり抜けることがあり、帯電ローラ15の表面に堆積する。
この堆積物が除去されずに残留する部分が生じると、帯電ローラ15の周表面に堆積物がスジ状に残留してしまう。このように堆積物が残留する部分では、感光ドラム14に十分な帯電を与えられないため、感光ドラム14表面の周面に形成された静電潜像にスジ状のムラが発生し、これをトナーで現像したトナー現像にもスジ状のムラが生じてしまう。
【0037】
そこで、本実施例では、帯電ローラ15表面の磨耗痕または堆積物の残留を抑制する対策としてクリーニングローラ61の物性を帯電ローラ15に対してストレスが少なくなるように改善する。
上述した構成の作用について説明する。
本実施例では、表1に示すクリーニングローラを使用して評価を行った。以下に、クリーニングローラの評価について、
図1、
図2、
図9、および
図11を参照しながら説明する。
【0038】
【表1】
【0039】
評価に使用したクリーニングローラ61は、
図9に示す弾性層61bのセル数[個数/25mm]と動摩擦係数μを変化させて作製している。
ここで、セル数とは、弾性層61bの所定の長さ内に存在する発泡セルの個数であり、本実施例では、弾性層61bの25mmの長さの中に存在する発泡セルの個数である。なお、セル数は1インチの長さの中に存在する発泡セルの個数として定義しても良い。
本実施例では、まず弾性層61bの3か所において10mmの長さ内に存在する発泡セル数を計測し、その平均値n[個数/10mm]を算出する。次に、算出した平均値n[個数/10mm]に2.5を乗算してセル数N[個数/25mm]を算出し、弾性層61bの25mmの長さの中に存在するセル数N[個数/25mm]とする。
【0040】
図11(a)は、セル数が4個の(少ない)ときの弾性層61bであり、Rはセル611の直径、Mは隣接するセル611間の距離(すなわち、弾性層61bの骨格の幅)を表している。また、
図11(b)は、セル数が5.5個の(多い)ときの弾性層61bであり、rはセル611の直径、mは隣接するセル611間の距離を表している。
弾性層61bのセル数は、発泡セル径を変化させて調整を行う。発泡セル径は、発泡剤の量や種類の変更、加硫時間や温度をコントロールすることで所望の値が得られる。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤が一般的である。
【0041】
また、弾性層61bのセル数の測定は、光学顕微鏡等により弾性層61bの25mmの長さの中に存在する発泡セルの数を計数することにより行う。
本実施例では、弾性層61bのセル数を増加させて、1つ1つのセル611を細かく小さくすることにより、弾性層61bの骨格の幅を細くし、帯電ローラ15との弾性層61bの接触面で柔軟に変形し、柔らかく接触させるようにしてクリーニングローラ61の物性値を変更している。
【0042】
また、クリーニングローラ61の動摩擦係数μは、弾性層61bの発泡材の材料の変更や弾性層61bの表面に潤滑性紛体を塗布することにより調整を行う。なお、動摩擦係数μを小さくするためには、発泡材の材料を軟質なもの(硬度が低いもの)を用い、または潤滑性紛体を多く塗布する。本実施例では、発泡材の材料としてポリエーテル系ポリウレタンフォームという軟質なウレタンフォームを使用した。
【0043】
動摩擦係数μの測定は、
図17に示すように、テンションゲージ71(株式会社イマダ製DIGITALFORCE GAUGE ZP−50N)をステージ72(オリエンタルモータ株式会社製、小型直動シリーズSPL42)に固定し、回転可能に支持されたクリーニングローラ61と所定の角度θ(本実施例では、90[°])でベルト73を接触させ、そのベルト73の一方の端部をテンションゲージ71に接続し、他方の端部を重り74に接続し、この状態でステージ72を1.2[mm/sec]で5秒間、図中矢印が示す方向にスライドさせたときに、テンションゲージ71に係る荷重Kを読取ることにより行った。なお、重り74の重量Wは、20[g]のものを用いた。
【0044】
そして、動摩擦係数μを以下の式で算出した。
動摩擦係数μ=1/θ[rad]×ln(K/W)
なお、lnは自然対数を表している。
また、従来のクリーニングローラ61のセル数は約55[個数/25mm]であり、動摩擦係数μは約1.2であった。
【0045】
次に、本実施例の評価方法を説明する。
表1に示すNo1〜56のクリーニングローラ61を現像装置11に実装し、A4判の白紙の短手方向を搬送方向(長手方向はクリーニングローラ61の軸方向)、いわゆる横送り方向として40000枚程度印刷する。印刷環境は、例えば温度23[℃]、湿度30[%]である。
40000枚印刷後、A3ノビの普通紙で
図12に示すハーフトーン印刷を行う。印刷時に、各部材に印加した電圧は、現像ローラ16に−200[V]、供給ローラ17に−300[V]、帯電ローラ15に−1000[V]、現像ブレード19に−300[V]である。
【0046】
また、画像形成装置10の印刷速度は、例えば一般的な普通紙(坪量68〜75[g/cm
2])を片面印刷で45[ppm(ページ/分)]とした。
さらに、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比は0.95、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重は300[gf]とした。
40000枚印刷後に、帯電ローラ15の表面に磨耗痕もしくはトナー外添剤がスジ状に堆積していれば、印刷したハーフトーン画像に、
図16に示すような印刷方向に沿ってスジ101が発生する。
このスジ101の発生は、磨耗痕もしくはトナー外添剤の堆積によって帯電ローラ15表面上に異常が見られる部分において感光ドラム14に付与する帯電が不足するために発生するものである。
【0047】
ここで、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比を0.95、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重を300[gf]とした理由を説明する。
本実施例では、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比を0.90〜0.99の範囲とした上で、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重を275〜325[gf]の範囲としたときに良好な印刷結果を得ることができるためである。
これは、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比が、0.99よりも大きく、すなわち1.0に近くなると、帯電ローラ15に堆積する外添剤のクリーニング性が悪くなり、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比が、0.90よりも小さくなると、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速の速度差が大きくなるため帯電ローラ15の磨耗痕が顕著になるためである。
【0048】
また、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重が、325[gf]よりも大きくなると、感光ドラム14から帯電ローラ15に堆積する外添剤の量が顕著になり、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重が、275[gf]よりも小さくなると、帯電ローラ15が感光ドラム14に対して均等に帯電できなくなり、著しい帯電ムラが発生することで画像上の濃度ムラが顕著になるためである。
上記の評価結果を表2および
図13に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
本実施例では、帯電ローラ15表面の磨耗痕およびトナー外添剤の堆積の判定を同時に行う。これは、クリーニングローラ61が帯電ローラ15に与えるストレスを小さくすると、帯電ローラ15上におけるトナー外添剤のクリーニング性能が低下するためである。
磨耗痕は、×(画像にスジが発生する)、△(画像にスジは発生しないが、帯電ローラ15表面に磨耗痕が目立つ)、○(画像にスジの発生がなく、帯電ローラ15表面に磨耗痕もない)の基準で判定する。
【0051】
また、外添剤の堆積は、×(画像にスジが発生する)、△(画像にスジは発生しないが、帯電ローラ15表面に外添剤の堆積が目立つ)、○(画像にスジの発生がなく、帯電ローラ15表面に外添剤の堆積もない)の基準で判定する。
なお、画像のスジの判定は、磨耗痕または外添剤の堆積での判定の悪い方を採用するものとする。
【0052】
図14は実施例における評価結果の良好範囲の説明図であり、判定結果をグラフにしたものである。
図14において、磨耗痕によるスジ、および外添剤の堆積によるスジの両方を抑制する良好な範囲のセル数Nおよび動摩擦係数μは、式1および式2で表される。ここで、セル数をN[個数/25mm]とする。
50≦N[個数/25mm]≦90 ・・・式1
0.01N+0.1≦動摩擦係数μ≦0.01N+0.4 ・・・式2
【0053】
なお、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比が、0.90〜0.99の範囲であれば、式1および式2の良好な範囲を満たすことができるが、0.99よりも大きく、すなわち1.0に近くなると、帯電ローラ15に堆積する外添剤のクリーニング性が悪くなり、式1および式2の良好な範囲を満たすことができない。
一方、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比が、0.90よりも小さくなると、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速の速度差が大きくなるため帯電ローラ15の磨耗痕が顕著になり、式1および式2の良好な範囲を満たすことができない。
【0054】
また、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重が、275〜325[gf]の範囲であれば、式1および式2の良好な範囲を満たすことができるが、325[gf]よりも大きくなると、感光ドラム14から帯電ローラ15に堆積する外添剤の量が顕著になり、式1および式2の良好な範囲を満たすことができない。
一方、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重が、275[gf]よりも小さくなると、帯電ローラ15が感光ドラム14に対して均等に帯電できなくなり、著しい帯電ムラが発生することで画像上の濃度ムラが顕著になる。
【0055】
したがって、上述した式1および式2は、クリーニングローラ61の帯電ローラ15に対する周速比をT、帯電ローラ15の感光ドラム14に対する荷重をS[gf]としたとき、以下の式3を満たした上で、以下の式4を満たすとき有効である。
0.90≦T≦0.99 ・・・式3
275≦S[gf]≦325 ・・・式4
【0056】
以上説明したように、本実施例では、帯電ローラに対して周速差をもつクリーニングローラを設けた現像装置において、クリーニングローラの帯電ローラに対する周速比をT、帯電ローラの感光ドラムに対する荷重をS[gf]、クリーニングローラのセル数をN[個数/25mm]、クリーニングローラの動摩擦係数をμとしたとき、0.90≦周速比T≦0.99、かつ275≦荷重S[gf]≦325の関係を満たし、クリーニングローラの物性値を、50≦セル数N[個数/25mm]≦90、かつ0.01N+0.1≦動摩擦係数μ≦0.01N+0.4の範囲内に設定することにより、帯電ローラの磨耗痕を回避しつつ外添剤の堆積による画像上のスジを抑制することができ、印刷品位を向上させることができるという効果が得られる。
【0057】
なお、本実施例では、画像形成装置をタンデム方式の直接印刷方式を採用した画像形成装置として説明したが、それに限られることなく、いわゆる中間転写方式の画像形成装置としても良く、また画像形成装置をプリンタとして説明したが、複写機、ファクシミリ装置または複合機(MFP)等としても良い。