特許第6218503号(P6218503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6218503
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】格闘戦車
(51)【国際特許分類】
   A63H 17/00 20060101AFI20171016BHJP
   A63H 17/39 20060101ALI20171016BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   A63H17/00 A
   A63H17/39
   A63F9/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-178251(P2013-178251)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-43945(P2015-43945A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】391041718
【氏名又は名称】株式会社ハル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】郡司 照幸
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅信
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−225471(JP,A)
【文献】 特開2003−079964(JP,A)
【文献】 特開2003−053050(JP,A)
【文献】 実開平01−167297(JP,U)
【文献】 国際公開第02/07843(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 − 37/00
A63F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台と、
前記車台に取り付けられた走行装置と、
対戦相手を攻撃する攻撃装置と、
対戦相手の攻撃を受けるダメージ検出装置と、
コントローラと通信可能な無線回路と、
を有し、
前記コントローラの操作によって前記コントローラから前記無線回路に無線信号が送信されて操縦される格闘戦車であって、
前記ダメージ検出装置には、対戦相手によって打撃される被打撃装置と、前記被打撃装置が打撃されて移動すると変形して前記被打撃装置を元の位置に戻そうとする復元力を発生させる弾性部材と、前記弾性部材が変形して前記被打撃装置が所定距離移動すると打撃有効信号を出力するダメージセンサと、
が設けられ、
前記被打撃装置は、上方から打撃される上側部材と、前記格闘戦車の前方から打撃される前側部材とを有し、前記前側部材が前方から打撃されたときと、前記上側部材が上方から打撃されたときとは、前記上側部材と前記前側部材とが移動するように構成された格闘戦車。
【請求項2】
前記攻撃装置には、長剣を振り下ろして、前記長剣の切っ先側を、対戦相手の前記上側部材に、上方から衝突させるソード型の攻撃腕が設けられた請求項1記載の格闘戦車。
【請求項3】
前記攻撃装置には、拳部を前方に突き出して、前記拳部を、前記対戦相手の前記前側部材に、前記対戦相手の前面から衝突させるパンチ型の攻撃腕が設けられた請求項1項記載の格闘戦車。
【請求項4】
前記上側部材の前方は後方よりも下に位置し、前記上側部材は水平面よりも、前方に向けて傾けられ、
前記前側部材は、上端よりも下端が前方に位置し、鉛直よりも前記下端が前方で前記上端が後方になるように傾けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の格闘戦車。
【請求項5】
前記打撃有効信号は、前記格闘戦車から前記コントローラに無線送信される請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の格闘戦車。
【請求項6】
前記コントローラと前記無線回路の通信は、電波で行われる請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の格闘戦車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモートコントロールによって操縦する戦車遊具に関し、特に、戦闘を模擬したゲームに用いる戦車遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
リモートコントロールによって操縦する乗物遊具は、自動車、戦車、飛行機など、従来より多種類の遊具が供給されて来たが、最近では、ゲームを表示する画面が精細化し、また、半導体集積回路の速度も向上したことから、画面上の乗物を操縦するゲームが主流となっている。
【0003】
しかしながら、現実の乗物遊具を組み立てたり、また、自作の部品を装着するなど、画面上の遊びとは異なった楽しさが見直されている。
特に、複数の競技者が、それぞれ操縦する乗物遊具を持ち寄って一定のルールに従ったゲームを行うことが再び注目されているが、走行の技術やスピードを競うゲームが主流である。
【0004】
それとは別に、ボクシング、剣道などの格闘技で、対戦相手との間で、攻撃防御を繰り返すゲームも根強い人気を保っている。
これらゲームを画面上で行うのは便利であるが、現実感に乏しく、満足が得られない。
【0005】
他方、従来の遊具を用いて格闘ゲームを行おうとすると、競技者の攻撃や防御の有効性を競技者が判断するのは難しく、特別に審判人を置かないとゲームを楽しく進行させることは困難であり、実現性に乏しい。
そこで、格闘ゲームと乗物ゲームとを融合して、簡単に楽しく遊戯できる遊具が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−85761号公報
【特許文献2】特開2002−153666号公報
【特許文献3】特開2011−130829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の課題は、ゲームを楽しく行える格闘戦車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、車台と、前記車台に取り付けられた走行装置と、対戦相手を攻撃する攻撃装置と、対戦相手の攻撃を受けるダメージ検出装置と、コントローラと通信可能な無線回路と、を有し、前記コントローラの操作によって前記コントローラから前記無線回路に無線信号が送信されて操縦される格闘戦車であって、前記ダメージ検出装置には、対戦相手によって打撃される被打撃装置と、前記被打撃装置が打撃されて移動すると変形して前記被打撃装置を元の位置に戻そうとする復元力を発生させる弾性部材と、前記弾性部材が変形して前記被打撃装置が所定距離移動すると打撃有効信号を出力するダメージセンサと、が設けられ、前記被打撃装置は、上方から打撃される上側部材と、前記格闘戦車の前方から打撃される前側部材とを有し、前記前側部材が前方から打撃されたときと、前記上側部材が上方から打撃されたときとは、前記上側部材と前記前側部材とが移動するように構成された格闘戦車である。
また、本発明は、前記攻撃装置には、長剣を振り下ろして、前記長剣の切っ先側を、対戦相手の前記上側部材に、上方から衝突させるソード型の攻撃腕が設けられた格闘戦車である。
また、本発明は、前記攻撃装置には、拳部を前方に突き出して、前記拳部を、前記対戦相手の前記前側部材に、前記対戦相手の前面から衝突させるパンチ型の攻撃腕が設けられた格闘戦車である。
また、本発明は、前記上側部材の前方は後方よりも下に位置し、前記上側部材は水平面よりも、前方に向けて傾けられ、前記前側部材は、上端よりも下端が前方に位置し、鉛直よりも前記下端が前方で前記上端が後方になるように傾けられた格闘戦車である。
また、本発明は、前記打撃有効信号は、前記格闘戦車から前記コントローラに無線送信される格闘戦車である。
また、本発明は、前記コントローラと前記無線回路の通信は、電波で行われる格闘戦車である。
【0009】
なお、本発明は、前記打撃有効信号は、前記格闘戦車の前記無線回路から前記コントローラに無線送信されるように構成することができる。要するに、前記コントローラと前記格闘戦車の間で、無線信号の送受信ができるようにしてもよい。
また、前記コントローラと前記無線回路の間の通信は、電波で行うようにすることができる。赤外線で行っても良い。
そして、本発明は、上記格闘戦車を複数台と、各格闘戦車と一対一に対応したコントローラとを有し、各コントローラ一台で、対応した一台の格闘戦車を操縦し、対戦相手を攻撃し、対戦相手の攻撃を防御するゲームを行える戦車遊具である。
コントローラは、格闘戦車を操縦するためのリモートコントローラや、格闘戦車を操縦するプログラムが記憶された携帯電話を使用することができる。
また、コンピュータをコントローラにすることもでき、携帯ゲーム機をコントローラにすることもできる。
ROMを挿入するスロットを有する携帯ゲーム機をコントローラにする場合は、携帯ゲーム機のスロットに、コントローラ側無線回路を内蔵する無線カードを挿入し、携帯ゲーム機から格闘戦車に無線信号を送信して携帯ゲーム機で格闘戦車を操縦することもできる。また、格闘戦車が送信した無線信号を無線カードで受信することもできる。無線回路を内蔵する携帯ゲーム機は、その無線回路を使用して、操縦することもできるし、また、格闘戦車が送信した無線信号を受信することもできる。
本発明は上記のように構成されており、被攻撃板に加えられた衝撃の大小によって格闘戦車やコントローラが打撃の有効性を判断できるようにされている。
従って、打撃される対象物は被攻撃板に限定されるので、攻撃の仕方が自然に限定され、ルールに従った模擬的な格闘が行われるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の格闘戦車では、ダメージセンサによって打撃が検出され、格闘戦車やそのコントローラが、被打撃装置への打撃の有効性を判断するから、競技者が打撃の有効性を判断する必要がない。また、審判人を置かなくてもゲームをルールに従って進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(1)
図2】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(2)
図3】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(3)
図4】長剣の振り下ろしを説明するための図
図5】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(4)
図6】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(5)
図7】本発明の第一例の格闘戦車を説明するための図(6)
図8】拳部の突き出しを説明するための図
図9】本発明の第一例の格闘戦車の裏面を説明するための図
図10】被打撃装置の取付状態を説明するために格闘戦車の内部を部分的に示した斜視図
図11】攻撃左腕と攻撃右腕がパンチ型の格闘戦車を説明するための図(1)
図12】攻撃左腕と攻撃右腕がパンチ型の格闘戦車を説明するための図(2)
図13】(a)〜(c): 被打撃装置の取付状態を説明するために格闘戦車の内部を部分的に示した図
図14】格闘戦車の電気回路のブロック図
図15】(a):コントローラ (b):無線カード (c):携帯ゲーム機の裏面
図16】無限軌道を有する格闘戦車の例
図17】競技場に複数の格闘戦車を配置した状態を説明するための図
図18】本発明の他の例の格闘戦車の走行ユニットを説明するための底面図
図19】その走行ユニットを説明するための部分拡大図
図20】その走行ユニットの車輪ユニットを説明するための側面図
図21】その格闘戦車の側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<格闘戦車の概要>
図1〜3、5〜7は、本発明の第一例の格闘戦車2を斜め上方から見た斜視図であり、図4、8は側面図、図9は底面側から見た斜視図である。
【0013】
本発明の格闘戦車2は、無線電波(以下、「無線」と略す)を送受信するコントローラ80(図15)によって操縦されるように構成されており、図17に示すように、この第一例の格闘戦車2を含む本発明の複数の格闘戦車2、2a〜2eが競技場の一定範囲の競技面79上に配置され、各格闘戦車2,2a〜2eは、予め設定されたゲームルールに従って競技者によって操縦され、競技面79上を走行してゲームが行われる。
【0014】
例えば、複数の格闘戦車2,2a〜2eが二組の陣営に分かれ、勝敗を決定するゲームを競技することができる。この場合、一方の陣営の格闘戦車2,2a、2bと、他方の陣営の格闘戦車2c〜2eとが、操縦に従った走行及び停車を繰り返しながら、相対する格闘戦車2,2a〜2eに対して攻撃又は防御を行い、その結果で勝敗の結着が着く。
また、各格闘戦車2,2a〜2eが相互に対戦するようにしてもよい。
【0015】
先ず、図1〜9を用いて第一例の格闘戦車2と他の格闘戦車2a〜2eの構成を説明する。
第一例の格闘戦車2は、車台10を有しており、車台10には、第一例の格闘戦車2を移動させる走行装置30と、他の格闘戦車2a〜2eを攻撃するときに用いる攻撃装置60(図14に示されている)と、他の格闘戦車2a〜2eの攻撃を受けるダメージ検出装置20と、車台10に固定された緩衝装置(バンパー)61と、を有している。
【0016】
<走行装置1>
格闘戦車2の底面側の構造は図9に示されている。
図14は、各格闘戦車2,2a〜2eの電気回路70の回路ブロック図を示している。
【0017】
この図1〜9、14を参照し、走行装置30には、車台10の外側に緩衝装置61が設けられており、緩衝装置61よりも車台10の内側に前輪である左前輪32Lと右前輪32Rとが配置され、前輪よりも緩衝装置61から遠い位置に、後輪である左後輪31Lと右後輪31Rとが配置されている。
【0018】
走行装置30は、後輪を回転させる走行用モータ33と、走行用モータ33の回転を制御する走行制御回路72とを有している。走行用モータ33は、車台10の底面に設けられており、左後輪31Lと右後輪31Rとは、ゴム製のタイヤが装着された状態で、走行用モータ33から取り出された駆動軸35R、35Lに取付られている。
走行制御回路72や、後述する他の回路は、図1〜8の符号62で示された回路基板に設けられている。
【0019】
後輪と前輪とが競技場の床面上に乗せられて、格闘戦車2,2a〜2eが配置され、走行用モータ33によって後輪が取り付けられた駆動軸35R,35Lが回転されると、後輪の回転が格闘戦車2,2a〜2eに走行力を与え、格闘戦車2,2a〜2eが競技場を移動する。
【0020】
前輪は、左前輪32Lと右前輪32Rとも球形をした金属ボールであり、左前輪32Lと右前輪32Rとはどの方向にも回転することができる。格闘戦車2,2a〜2eが移動すると、左前輪32Lと右前輪32Rは、格闘戦車2,2a〜2eの移動方向に沿って回転される。
【0021】
走行用モータ33は、左輪用モータ33Lと、右輪用モータ33Rと、ギアボックス34とを有しており、左輪用モータ33Lと右輪用モータ33Rの回転は、ギアボックス34で90度方向変換され、左輪用モータ33Lと右輪用モータ33Rとの回転が伝達される左輪用の駆動軸35Lと右輪用の駆動軸35Rとしてそれぞれ独立して取り出されている。
【0022】
左輪用の駆動軸35Lには左後輪31Lが取り付けられ、右輪用の駆動軸35Rには、右後輪31Rが取り付けられ、左輪用モータ33Lと右輪用モータ33Rとによって、それぞれ回転されるように構成されている。
左輪用モータ33Lと右輪用モータ33Rとは、独立に回転するので、左後輪31Lと右後輪31Rとは同方向にも逆方向にも回転することができ、また、同一速度でも異なる速度でも回転することができる。
【0023】
左輪用の駆動軸35Lと右輪用の駆動軸35Rとは、一直線に配置されており、左後輪31Lと右後輪31Rとが等速度で同方向に回転すると、格闘戦車2,2a〜2eは、後輪が取り付けられた駆動軸35R,35Lに対して垂直な方向に、緩衝装置61を先頭又は後尾にして直線移動する。
【0024】
左後輪31Lと右後輪31Rとが同方向に異なる速度で回転するときには、格闘戦車2,2a〜2eは遅く回転する方に曲がりながら進行する。
左後輪31Lと右後輪31Rとが異なる方向に回転するときに、格闘戦車2,2a〜2eは小さな旋回半径で回転することができる。
なお、前輪も車輪で構成し、前輪の向きを変えることで、進行方向を曲げるように構成してもよい。その場合、左右の駆動軸35L,35Rを一本で構成することもできる。
【0025】
格闘戦車2,2a〜2eが、緩衝装置61を先頭にして直線移動するときを、前進と呼び、緩衝装置61を後尾にして移動するときを後進又は後退と呼ぶものとし、緩衝装置61の位置を前面であるとし、反対側を背面であることにすると、格闘戦車2,2a〜2eの左右が決められる。
【0026】
<攻撃装置>
次に、第一例の格闘戦車2や、他の格闘戦車2a〜2eに設けられた攻撃装置60を説明する。
攻撃装置60は、一または二個の攻撃腕と、攻撃腕の動作を制御する攻撃制御回路73とを有している。
【0027】
攻撃制御回路73は、回路基板62に設けられている。攻撃腕については、車台10の左側に設けられた側壁48Lに取り付けられた攻撃腕を攻撃左腕とし、車台10の右側に設けられた側壁48Rに取り付けられた攻撃腕を攻撃右腕とすると、格闘戦車2、2a〜2eは、攻撃左腕と攻撃右腕のうち、少なくとも一方の攻撃腕を有しており、この第一例の格闘戦車2の攻撃装置60は、攻撃左腕と攻撃右腕の両方を有している。
【0028】
攻撃腕には、複数種類の型があり、一つの型は、攻撃対象の格闘戦車に対して上方から長剣を振り下ろすソード型であり、他方の一つの型は、格闘戦車の側方から攻撃対象の格闘戦車に向けて拳を突き出すパンチ型である。攻撃右腕と、攻撃左腕は、いずれか一方の型が用いられる。攻撃右腕と攻撃左腕のうち、両方がパンチ型、又は、ソード型であっても、一方がパンチ型で他方がソード型であってもよい。また、その他、弾丸を撃ち出す型の攻撃椀もある。
【0029】
図1図9の符号40はソード型の攻撃(右)腕を示しており、符号50は、パンチ型の攻撃(左)腕を示している。
ソード型の攻撃腕40は、細長平板状の長剣42と、長剣用モータ(不図示)とを有している。長剣42の一端側を柄(つか)側44、他端側を切っ先側45とすると、長剣用モータの回転を伝達して長剣42を回転させる回転軸41は、格闘戦車2の前進及び後退移動方向とは垂直に、且つ、水平に配置されて、柄側44が回転軸41に固定されている。
【0030】
攻撃制御回路73によって長剣用モータが動作されると、回転軸41は、その中心軸線を中心に回転し、長剣42の切っ先側45は、大きく回転移動する。
格闘戦車2の前面が向く方向を前方、その反対側の方向を後方とすると、切っ先側45は、格闘戦車2の真上よりも後方に位置する攻撃準備の状態から、長剣42の回転によって格闘戦車2の前方に振り下ろされるようになっている。図1は、攻撃準備の状態である。
【0031】
長剣42は、回転軸41に傾斜して取り付けられ、回転軸41に垂直な平面に対して傾けられた平面内で回転し、切っ先側45は、格闘戦車2の側方ではなく、格闘戦車2の前面近くに振り下ろされる。
従って、この格闘戦車2に他の格闘戦車2a〜2eが一台真正面に向かい合ったとき、振り下ろされた切っ先側45は、側方に外れずに、真正面に位置する格闘相手の格闘戦車2a〜2eに上方から衝突する。
【0032】
図2は、振り下ろす途中の状態であり、図2の長剣42と切っ先側45とは、図4の符号42A、45Aの位置にある。また、図3は振り下ろした後の状態であり、図3の長剣42と切っ先側45とは、図4の符号42B、45Bの位置にある。
【0033】
次に、図5を参照し、パンチ型の攻撃腕50は、それぞれ細長平板状の上腕部52と前腕部53と、パンチ用モータ(不図示)と、ガイド部材56とを有している。
パンチ用モータが回転させる回転軸51には、上腕部52の一端が回転可能に取り付けられている。上腕部52の他端には、前腕部53の一端が回転可能に取り付けられている。この取り付け部分は肘部54であり、前腕部53の肘部54と反対側である他端は、対戦相手を打撃する拳部57である。
【0034】
ここでは、ガイド部材56は、車台10の左側に設けられた側壁48Lに固定されており、前腕部53は、前腕部53の一端である拳部57は前方に向けられ、他端の肘部54は後方に向けられて横設された状態で、このガイド部材56内の上下に設けられた二個のピンの間に挿通されている。
【0035】
ガイド部材56内部での前腕部53の上下移動可能な距離は、二個のピン間の上下方向の距離であり、攻撃制御回路73によってパンチ用モータが回転され、上腕部52が回転されると、前腕部53は、ガイド部材56に挿通された状態で、前後に移動する。
【0036】
上腕部52は、所定角度だけ回転可能にされており、最も後方に回転した角度と、最も前方に回転した角度の間の角度にすることができるようにされており、拳部57が後方にある状態から、上腕部52が後方から前方に向けて回転されると、前腕部53は大きく前方に移動し、拳部57が突き出される。
【0037】
回転軸51の回転によって上腕部52が回転移動して、図5に示すように、肘部54が、回転軸51よりも格闘戦車2の後方に位置するようにされたときは、拳部57は車台10に引き付けられており、パンチ型の攻撃腕50は、攻撃準備の状態になる。
【0038】
その状態から上腕部52が格闘戦車2の前方方向に向けて回転移動すると、前腕部53はガイド部材56によって上下方向の移動が規制されながら前方に移動し、その結果、拳部57は車台10付近の位置から、緩衝装置61よりも前方に突き出され、拳部57を相手に衝突させて攻撃することができる。
【0039】
図6は、拳部57を突き出す途中の状態であり、図6の上腕部52と、前腕部53と、拳部57とは、図8の符号52A、53A、57Aの位置にあり、図7は突き出した後の状態であり、図7の上腕部52と、前腕部53と、拳部57とは、図8の符号52B、53B、57Bの位置にある。
このように、拳部57は前方に向けて移動し、移動方向に位置する格闘相手の格闘戦車2a〜2eの正面に拳部57を衝突させて打撃を加えるようになっている。
【0040】
<ダメージ検出装置>
次に、ダメージ検出装置20を説明すると、ダメージ検出装置20は、格闘戦車2,2a〜2eに設けられた攻撃装置60によって打撃される被打撃装置23と、打撃されたことを検出する打撃検出装置27(図13)とを有している。
【0041】
格闘戦車2,2a〜2eは、攻撃装置60として、ソード型の攻撃(右)腕40とパンチ型の攻撃(左)腕50の少なくとも一方を有しており、被打撃装置23は、少なくともいずれか一方によって打撃される。
【0042】
格闘戦車2,2a〜2eに設けられた被打撃装置23は同じ構造であり、被打撃装置23は、格闘戦車2,2a〜2eの上部に配置された板状の上側部材21と、上側部材21に固定され、格闘戦車2,2a〜2eの正面に配置された板状の前側部材22とを有している。
【0043】
図10図13(a)、(b)は、被打撃装置23の取付状態を説明するために格闘戦車2,2a〜2eの内部を部分的に示す図面であり、図10は斜視図、図13(a)、(b)は内部側面図、図13(c)は、上側部材21の部分拡大図である。
【0044】
図10、13(a)〜(c)を併せて参照し、車台10には、取付板17が固定されており、上側部材21のうち、格闘戦車2,2a〜2eの後方側の部分が、一乃至複数個(ここでは二個)の弾性取付部材24L,24Rによって、取付板17に取り付けられ、上側部材21が、車台10や取付板17よりも上方に位置するようにされている。
【0045】
弾性取付部材24L,24Rは、図13(c)に示すように、螺旋バネによって構成される第一の弾性部材29aと、第一の弾性部材29aに挿通されたピン29bによって構成されている。
第一の弾性部材29aが、上側部材21と取付板17との間に位置した状態で、ピン29bが上側部材21の貫通孔と第一の弾性部材29aとに挿通され、ピン29bの上端のフランジ状の部分が上側部材21上に位置する状態で、ピン29bの下端が取付板17に固定されている。
【0046】
二個の弾性取付部材24L,24Rのうち、一方の弾性取付部材24Lは、上側部材21の左側、他方の弾性取付部材24Rは上側部材21の右側に、互いに離間して配置されている。
各弾性取付部材24L,24Rの第一の弾性部材29aは、予め所定量だけ圧縮変形され、それぞれ元に戻ろうとする復元力が発生されており、上側部材21は、その復元力を有する第一の弾性部材29aによって、下方から上方に向けて押圧されている。その押圧力により、ピン29b上部のフランジ状の部分に押し付けられ、被打撃装置23は、弾性取付部材24L、24Rによって、車台10上に保持されている。
【0047】
被打撃装置23の下方には、空間が形成されている。二個の弾性取付部材24L,24Rが上側部材21に取り付けられた部分を結ぶ仮想的な軸線は、水平であり、格闘戦車2,2a〜2eの進行方向とは垂直になるようにされており、上側部材21が上方から押圧され、左右二個の弾性取付部材24L,24Rの第一の弾性部材29aが、同じように圧縮変形すると、被打撃装置23は、仮想的な軸線を中心として、回転し、下方へ移動する。
押圧されない状態では、予め所定量圧縮された弾性取付部材24L,24Rの復元力によって、被打撃装置23は、台車10に対して静止されている。
【0048】
上側部材21のうち、弾性取付部材24L,24Rが設けられた格闘戦車2,2a〜2eの後方側の部分と、格闘戦車2,2a〜2eの前方側の部分との高さは、格闘戦車2,2a〜2eの前方側の部分が低くなるように傾けられており、従って、上側部材21の表面は、格闘戦車2,2a〜2eの後方側が高く、前方側が低くされている。つまり、上側部材21の表面によって、前方に傾いた斜面が形成されている。
図13(a)に示すように、上側部材21は、水平面に対して一定の傾斜角度θ傾けられている。
【0049】
例えば、この格闘戦車2の正面に位置する対戦相手の格闘戦車2eが長剣42を振り下ろしたときに、上側部材21の表面に対して、切っ先側45が垂直に近い角度で衝突するので、上側部材21を、下方に移動させやすい。
下方へ移動した後は、弾性取付部材24L,24Rの復元力によって元の位置に戻る。
【0050】
前側部材22は、前側部材22の一表面が、格闘戦車2,2a〜2eが前進するときの進行方向に向くようにして、上側部材21の前方の位置に固定されており、進行方向に向けられた前側部材22の表面は、下端が上端よりも、格闘戦車2,2a〜2eの前方に位置するように傾斜されている。
図13(a)に示すように、前側部材22は、鉛直な面に対して、一定の傾斜角度φ傾けられている。
【0051】
例えば、この格闘戦車2に対面する他の格闘戦車2a〜2eから略水平に拳部57が突き出されると、拳部57は前側部材22に斜めに衝突し、衝突によって発生した力の下方を向く成分は、弾性取付部材24L,24Rとの接触点を支点とした梃子の原理によって増幅され、前側部材22は下方に押圧され、上側部材21と共に下方に移動する。
【0052】
上側部材21と前側部材22は、傾斜角度θ、φが設けられていることにより、この第一例の格闘戦車2の対戦相手の格闘戦車2eの切っ先側45が上方から上側部材21に衝突した場合と、水平に移動する拳部57が前側部材22の正面に衝突した場合は、攻撃された格闘戦車2の上側部材21が下方に移動する点で同じになるように構成されていることになる。上側部材21の前方が後方よりも低く、上側部材21が水平よりも下方に傾く傾斜角度θの大きさは、0≦θ≦45°であり、前側部材22の下端が上端よりも前方に位置し、前側部材22と鉛直面とが成す傾斜角φは、0≦φ≦45°である。
【0053】
なお、この格闘戦車2では、切っ先側45には重り43が設けられており、切っ先側45が上方から上側部材21に衝突したときに、上側部材21に、大きな下向きの力が印加されるようになっている。
【0054】
なお、弾性取付部材は、上側部材21の後方部分であって、左右の中間位置に一個配置して、その1個の弾性取付部材によって、被打撃装置23を支持するようにしてもよいが、第一例の格闘戦車2のように二個の弾性取付部材24L,24Rを左右に配置すると、上側部材21と前側部材22とは、左右に傾かないで下方に移動することができる。
【0055】
次に、図13(a)、(b)の符号27は、打撃の有無を検出する打撃検出装置を示している。
打撃検出装置27は、上側部材21の下方に配置されている。
打撃検出装置27は、電気的な接点を有するダメージセンサ25と、ダメージセンサ25の検出部分と接触すると接点を閉じさせ、離間すると接点を開けさせる接触部26とを有しており、ダメージセンサ25と接触部26とが接触と離間ができるように、ダメージセンサ25と接触部26のうち、いずれか一方が車台10又は上側部材21に固定されている。
【0056】
ここでは、ダメージセンサ25は車台10に固定されており、接触部26は、下端がダメージセンサ25の筺体に取り付けられた第二の弾性部材(ここでは板バネ)28に取り付けられており、上側部材21が第一の弾性部材29aを変形させながら、下方へ移動するときには、上側部材21は、接触部26と第二の弾性部材28とを押圧する。押圧により、図13(b)に示すように、接触部26は、第二の弾性部材28を変形させながら下方に移動する。
【0057】
打撃の無い状態では、接触部26とダメージセンサ25の検出部分との間は離間しており、打撃によって上側部材21が接触部26を押圧すると、接触部26は、第二の弾性部材28を変形させながら、上側部材21と共に下方に移動し、接触部26と検出部分とが接触したときに、接点は閉じ、接点が閉じたことを示す信号がダメージセンサ25内で生成される。
接点が閉じられたことを示す信号は、ダメージセンサ25から後述する主制御回路8に出力される。
【0058】
長剣42による上部からの上側部材21への打撃と、拳部57による前方からの前側部材22への打撃のいずれの打撃によっても上側部材21は下方に移動するが、衝突の程度が小さく、下方への移動量が小さい場合は、接触部26と検出部分とは接触せず、接点は閉じないため、接点が閉じたことを示す信号は生成されない。このとき、接点が閉じた信号が出力されないので、被打撃装置23への打撃があっても、接点が閉じない打撃は有効な打撃とはならない。
【0059】
上側部材21は、弾性部材(ここでは第一、第二の弾性部材29a、28の両方)を変形させながら下方に移動するので、接点を閉じる程移動するためには、上側部材21は、打撃されない状態での、上側部材21と接触部26との間の距離と、接触部26と検出部分との間の距離の合計の距離移動する必要があるから、打撃による力が、弾性部材を、その合計の距離の長さだけ変形させる力以上のときに、接点が閉じ、有効な打撃となる。従って、その強さよりも弱い打撃は、有効な打撃にならない。
このように、格闘戦車2,2a〜2eは、打撃の強度によって、打撃の有効性を判断するから、ゲームの競技者が、打撃の有効性を判断しないで済む。
【0060】
上側部材21は打撃によって下方へ移動した後、変形した弾性部材の復元力によって上方に移動して元の位置に戻る。接触部26は第二の弾性部材28の復元力によって元の位置に戻り、接点は、接触部26が元の位置に戻ったとき、又は元の位置に戻る前に開けられるようになっており、接点が開けられた後に、打撃によって再度接点が閉じられると、ダメージセンサ25は、有効な打撃があったことを示す信号を出力する。
接点が閉じてから開けられるまでの時間は短いので、格闘戦車2,2a〜2eは、連続した打撃も検出することができる。
【0061】
この例では、被打撃装置23は、左右二箇所で弾性取付部材24L,24Rに取り付けられているから、二箇所の弾性取付部材24L,24Rのうち、打撃された位置に近い方に設けられた第一の弾性部材29aが他方よりも大きく変形され、被打撃装置23は、左方又は右方のうちの大きく変形された弾性取付部材24L,24Rが位置する方に傾きながら下方に移動し、接触部26が押圧されて一緒に下方に移動する。
この移動によって接点が閉じられると、有効な打撃が検出されるから、斜め方向から上側部材21に切っ先側45が衝突しても、有効な打撃を検出することができる。
【0062】
なお、ダメージセンサ25の検出部分は、接点であったが、圧電素子を配置して、接触部26が圧電素子に接触したときの圧電素子の出力電圧の有無や出力電圧の大きさによって、格闘戦車2,2a〜2eが有する電気回路が打撃の有効性を判断することもできる。
【0063】
また、圧電素子の出力電圧などを設けて、打撃の強さに応じた信号を出力させると、後述するように、コントローラ80に無線で送信できるので、コントローラ80で打撃の有効性を判断することもできる。
【0064】
なお、接触部26が車台10に固定され、ダメージセンサ25が移動するように構成してもよく、被打撃装置23の移動によって、検出部分と接触部26との間の距離が小さくなり、検出部分と接触部26とが接触できるように配置すればよい。
【0065】
<リモートコントロール>
次に、格闘戦車2,2a〜2eの電気回路を説明する。
図14は、格闘戦車2,2a〜2eの電気回路70の回路ブロック図を示している。
【0066】
この電気回路70は、主制御回路8と無線回路(無線通信を行うことができる回路)71とを有している。上述した走行制御回路72と、攻撃制御回路73と、ダメージセンサ25とは、この電気回路70に含まれており、無線回路71と、走行制御回路72と、攻撃制御回路73と、ダメージセンサ25とは主制御回路8に電気的に接続されており、各回路71〜73及びダメージセンサ25と主制御回路8との間では、信号の入出力ができるようにされている。
【0067】
図15(a)の符号80は、一台の格闘戦車2を操縦するコントローラを示しており、このコントローラ80は、同図(c)に示す携帯ゲーム機81裏面のカードスロット87に、同図(b)に示す、上述の無線カード82が挿入されて構成されている。
【0068】
コントローラ80には、操作ボタン85や操縦桿(ここで用いた携帯ゲーム機81には、設けられていない)などの操作装置が設けられており、操作装置は、格闘戦車ゲームプログラムにより、直線移動、旋回移動、攻撃腕による攻撃等の格闘戦車2の種々の動作に予め対応付けられており、コントローラ80の操作ボタン85を決められた順序に従って操作することで、操作に対応付けられた動作を行うことができるようにされている。
【0069】
携帯ゲーム機81は、挿入された無線カード82から、必要なデータやプログラムを読み込んで記憶し、記憶したプログラムに従って動作するので、プログラムに支援された状態で、格闘戦車2を操縦しながらゲームを進行させることができる。
その操作順序は、コントローラ80内蔵のデータと照合され、対応付けられた動作が検出されると、検出された動作を示す信号が無線信号にされて無線カード82から送信される。
【0070】
複数の格闘戦車2,2a〜2eが、送信された無線を受信できる範囲内に位置しているときは、送信された無線信号は、各格闘戦車2,2a〜2eの無線回路71で受信される。各格闘戦車2,2a〜2eの内部では、受信した無線信号の内容は、無線回路71から主制御回路8に出力され、主制御回路8によって、受信した無線信号の内容が判断される。
【0071】
格闘戦車2,2a〜2eと無線カード82とは、一対一に対応付けられており、主制御回路8は、受信した無線信号が、対応付けられた無線カード82が送信した無線信号でないことを検出したときには、受信した無線信号には反応しない。
【0072】
主制御回路8が、対応付けられた無線カード82が送信した無線信号であることを検出すると、主制御回路8は、受信した無線信号が示す内容の動作をするために、走行制御回路72や攻撃制御回路73に、無線信号が示す内容に対応した信号を出力する。
【0073】
例えば、直線移動を開始することを示す無線信号を受信した場合には、主制御回路8は、直線移動開始を指示する動作信号を、走行制御回路72に出力する。その動作信号を入力された走行制御回路72は、左後輪31Lと右後輪31Rとを同方向同角速度で回転させ、前方に向けての走行を開始する。
【0074】
また、例えば、長剣42による攻撃を示す無線信号を受信した場合には、主制御回路8が長剣42による攻撃を示す動作信号を攻撃制御回路73に出力する。その動作信号が入力された攻撃制御回路73は、長剣42を後方に回転移動させた後、前方に回転移動させ、切っ先側45を振り下ろす。
【0075】
このように、コントローラ80を操作して、格闘戦車2を所望の方向に走行させ、攻撃装置60によって対戦相手の格闘戦車2a〜2eを攻撃することができる。
ゲーム中には、対戦相手の一台の格闘戦車2a〜2eや周囲に位置する複数の格闘戦車2a〜2eから攻撃される場合もあり、ダメージセンサ25が被打撃装置23への有効な打撃を検出すると、主制御回路8は、無線回路71から、有効な打撃があったことを示す無線信号を送信する。
【0076】
各コントローラ80は、記憶された格闘戦車ゲームプログラムに従って動作しており、無線回路71から送信された無線の打撃検出信号は、その無線信号が受信できる範囲内に位置する複数のコントローラ80の無線カード82で受信される。
【0077】
打撃検出信号を受信したコントローラ80は、受信した打撃検出信号の内容から、打撃検出信号を送信した格闘戦車が、当該コントローラ80に対応付けられた格闘戦車2であることを検出した場合には、格闘戦車ゲームプログラムに従って動作する。例えば、一個の打撃検出信号は一回の有効な打撃を示すものとして、コントローラ80は、打撃の回数を計数するカウンターの値を打撃一回分歩進させる。
他方、当該コントローラ80に対応付けられた格闘戦車2ではないことを検出した場合には、そのコントローラ80は反応せず、従って、カウンターを歩進させない。
【0078】
ここで、コントローラ80には、予め打撃回数の上限値が設定されており、カウンターの計数値を、設定された上限値と比較して、上限値に達した格闘戦車2は、戦闘不能であるものと判断することができる。そのとき、上限値に達したカウンターを有するコントローラ80の画面86に、戦闘不能であることを表示させることができる。
【0079】
第一例の格闘戦車2では、上側部材21にはLED表示装置63が設けられており、格闘戦車2,2a〜2eが戦闘可能な状態であるか、戦闘不能な状態であるかをLED表示装置63の点灯状態によって表示することもできる。
【0080】
また、LED表示装置63の表示をせずに、又は、LED表示装置63による表示と共に、戦闘不能な格闘戦車2,2a〜2eの攻撃装置60の動作を、一定時間強制的に停止させることもできる。
また、ブザーを設け、LED表示装置63の表示と共に、又は、LED表示装置63の表示に代え、有効な打撃を検出したときにブザーを鳴らすこともできる。
【0081】
無線カード82間で無線通信ができるようにしておけば、携帯ゲーム機81は、対応付けられた格闘戦車2以外の格闘戦車2a〜2eを区別できるので、対戦相手の格闘戦車2a〜2eを特定し、攻撃が有効であったかどうかを知ることができる。
【0082】
有効な打撃を対戦相手の格闘戦車2a〜2eに加えたことが分かれば、攻撃を加えた格闘戦車2の攻撃可能な時間を増加させることもできる。
有効な打撃を加えたとき以外のときであっても、格闘戦車2が特定の行動をしたときに、攻撃可能な時間を増加させることもできる。
【0083】
また、攻撃腕40、50に攻撃センサを設け、拳部57や切っ先側45が被打撃装置23に衝突したときの衝撃を検出すると、攻撃した格闘戦車2は、打撃したことを検出することができる。この場合、攻撃を加えた格闘戦車2は、対戦相手の格闘戦車2a〜2eの有効な打撃の検出結果とを照合し、有効な打撃であった場合に、有効な打撃を受けた格闘戦車2a〜2eの攻撃可能時間を、攻撃した格闘戦車2に一部移動させることができる。
【0084】
なお、ここで用いた携帯ゲーム機81には無線LAN機能が内蔵されているので、格闘戦車2,2a〜2eの無線回路71に無線LAN機能を設け、複数の格闘戦車2,2a〜2eと複数のコントローラ80とによって無線LANを構築し、コントローラ80と格闘戦車2,2a〜2eとの間や、コントローラ80間や、格闘戦車2,2a〜2e間で、無線LANを用いて通信させることができる。
【0085】
その場合、複数のコントローラ80や格闘戦車2,2a〜2eが同じ無線LANに参加できるから、各格闘戦車2,2a〜2eが有する戦闘可能時間等の各格闘戦車2,2a〜2eの状態を知ることができる。また、コントローラ80間でメッセージを送受信することもできる。
【0086】
<緩衝装置>
本発明の緩衝装置61は板状であり、鉛直にされて格闘戦車2,2a〜2eの前面に配置されている。緩衝装置61の一面は、格闘戦車2,2a〜2eが前進するときに進行方向に向けられて、緩衝装置61全体は、進行方向とは直角になるように配置されており、緩衝装置61は、少なくとも、前側部材22よりも前方に突き出されるように配置されている。
【0087】
格闘戦車2,2a〜2eの緩衝装置61は同じ高さに配置されており、格闘戦車2,2a〜2e同士が正面衝突するときには、緩衝装置61同士が衝突し、前側部材22と緩衝装置61や、前側部材22同士は、衝突しない。
従って、格闘戦車2,2a〜2eの体当たりがあっても、前側部材22は押圧されないので、体当たりは有効な打撃にならない。
【0088】
他方、パンチ型の攻撃腕50の上腕部52と前腕部53とが伸びきって、拳部57が前方に突き出された状態では、拳部57は緩衝装置61よりも上方に位置するようにされており、従って、拳部57を前方に突き出した状態で前進する突撃で対戦相手の格闘戦車2a〜2eを正面から攻撃すると、拳部57が前側部材22に衝突して前側部材22を後方に押圧するので、有効な打撃となる。
【0089】
図11、12は、攻撃左腕50Lと攻撃右腕50Rの両方が、パンチ型である格闘戦車2a〜2dを示しており、図12に示すように、両方の拳部57を突き出したまま前進して突撃する攻撃は、攻撃左腕50Lの拳部57と攻撃右腕50Rの拳部57とのいずれかが、対戦相手の格闘戦車2,2a〜2eの前側部材22に、容易に衝突させることができる。
【0090】
それに対し、ソード型の攻撃腕40の長剣42は、切っ先側45が上部後方に位置する攻撃待機の状態と、長剣42を回転させて攻撃した後の状態の二種類の状態があり、格闘戦車2,2eの切っ先側45は、この二種類の状態のいずれかでしか静止できないようにされている。
【0091】
攻撃が終了した状態では、切っ先側45は前側部材22よりも下方に位置するようにされており、従って、切っ先側45を図4の符号45Bで示す攻撃後の状態にして突撃しても、切っ先側45は緩衝装置61に衝突し、前側部材22には衝突できない。つまり、ソード型の攻撃腕40では突撃では有効な打撃を与えることはできないようにされている。
【0092】
但し、前側部材22の下端が上端よりも前方に位置するように前側部材22が傾斜している場合には、ソード型の攻撃椀40を振り下ろしたときに、切っ先側45が前側部材22に衝突して、有効な打撃を対戦相手の格闘戦車2,2a〜2eに与えることができる。
【0093】
なお、上記格闘戦車2,2a〜2eでは、対応されたコントローラ80に、携帯ゲーム機81と無線カード82とを用いたが、格闘戦車2,2a〜2eに対する専用のコントローラを作成して格闘戦車2,2a〜2eを操縦することもできる。
【0094】
また、携帯ゲーム機81のLAN機能を使用する場合には、無線カード82に代え、無線通信機能は無いが、ゲームプログラムやゲームに用いるデータは内蔵されているカードをカードスロット87に挿入して、格闘戦車2,2a〜2eとLANで通信してゲームするようにしても良い。この場合、携帯ゲーム機81が無線LAN機能を有していれば、無線LAN機能を用いて格闘戦車2,2a〜2eを操縦することができる。
【0095】
また、携帯ゲーム機81が、無線機能を有していれば、無線カード82の無線機能を使用せずに、携帯ゲーム機81の無線機能を使用して、コントローラ80と格闘戦車2,2a〜2eと通信してもよい。
【0096】
また、コントローラ80には、携帯ゲーム機81ではなく、携帯電話を用いてもよい。また、コントローラ80には、無線信号を送信する機能があれば、格闘戦車2,2a〜2eを操縦することができるので、格闘戦車2,2a〜2eをリモートコントロールして競技する場合には、コントローラ80には、無線信号の受信機能を有さなくてもよい。
【0097】
<電池>
格闘戦車2,2a〜2eには電池65が設けられており、この電池65が供給する電力によって、主制御回路8と、走行制御回路72と、攻撃制御回路73と、ダメージセンサ25とを含む電気回路の動作や、LED表示装置63の点灯や、走行用モータ33等の回転のために電力が供給されるようになっている。
電池65は、充電池を使用してもよく、また、乾電池を使用してもよい。
【0098】
<カメラ>
格闘戦車2,2a〜2eには、カメラを設けてカメラが撮影した映像を、コントローラ80に無線送信し、コントローラ80の画面86に表示することができる。この場合、格闘戦車2,2a〜2eの高さで、他の格闘戦車2,2a〜2eを撮影することができるので、各格闘戦車2,2a〜2eの前側部材22に、格闘戦車2,2a〜2e毎に固有の模様を付して、カメラで撮影してパターン認識すると、コントローラ80が格闘戦車2,2a〜2eを識別することができる。
【0099】
<部品交換>
なお、本発明の格闘戦車2,2a〜2eは、部品の交換が可能であり、例えば、上記第一例の格闘戦車2において、ソード型の攻撃右腕をパンチ型の攻撃右腕に交換し、図11、12に示した格闘戦車2a〜2dと同じように、両腕をパンチ型にすることができる。
【0100】
また、上記格闘戦車2,2a〜2eは、後輪が駆動輪、前輪が従動輪にされていたが、前輪と後輪を入れ替え、前輪を駆動輪にしてもよい。また、車輪が競技場の床面と接触するのではなく、図16の格闘戦車2gのように、駆動輪である起動輪66と、従動輪である誘導輪67との周囲に履帯(ベルト)68を掛け渡した実戦車に近い無限軌道の走行装置30Aを設けてもよい。
【0101】
<弾性部材>
上記第一例の格闘戦車2では、打撃によって下方に移動する被打撃装置23は、被打撃装置23の降下に対して被打撃装置23に上向きの復元力を加える第一の弾性部材29aと、接触部26の降下に対して接触部26を介して被打撃装置23に上向きの復元力を加える第二の弾性部材28とを変形させ、接触部26が検出部分に接触するまで降下させたが、接触部26を被打撃装置23に直接又は間接的に固定し、第二の弾性部材28を設けないこともできる。
【0102】
要するに、第一例の格闘戦車2では、被打撃装置23が、予め設定された大きさの上向きの復元力に抗して降下して接触部26を検出部分に接触させたときに有効な打撃が検出されたものとすればよい。
なお、本発明の被打撃装置23には、水平にされた上側部材21や、鉛直にされた前側部材22も含まれる。
【0103】
<走行装置2>
上述した格闘戦車2,2a〜2e,2gの走行装置30、30Aは、走行するときは、前方向又は後方向に走行を開始したが、停止した状態から、前後左右四方八方に移動を開始できる走行装置30Bを設けることができる。
【0104】
図21の格闘戦車2fは、車台10の裏面側にその走行装置30Bが設けられている。この格闘戦車2fでは、車台10の表面側には、ソード型とパンチ型の攻撃腕を有しているが、走行装置30B以外の構成は、上記格闘戦車2,2a〜2eと同じ構造になっているものとして、説明を省略する。
【0105】
まず、走行装置30Bを説明すると、図18は、車台10の裏面に設けられた走行装置30Bを示している。この走行装置30Bは、三台の走行ユニット2001〜2003を有しており、各走行ユニット2001〜2003には、車輪用駆動装置201と、車輪用駆動装置201によって回転される能動車軸202と、能動車軸202によって回転される車輪装置204とがそれぞれ設けられている。
【0106】
車輪用駆動装置201には、車輪用モータとギアボックスとが含まれており、車輪用モータは、格闘戦車2fが搭載する電池65から供給される電力によって動作し、発生させた回転力はギアボックスによって回転方向が変えられて能動車軸202に伝達される。能動車軸202は、その中心軸線を回転軸線として回転する。
【0107】
各走行ユニット2001〜2003の構造は同じであり、図19に拡大図を記載して説明すると、各走行ユニット2001〜2003が有する車輪装置204は、台座板205と、複数(ここでは2台)の車輪ユニット210a、210bとを有している。
台座板205は板状であり、台座板205の表面には車軸保持部材206が立設されている。
【0108】
図20は、車輪ユニット210a、210bを台座板205表面と平行に切断した状態の断面図であり、この図20に示されているように、車輪ユニット210a、210bは、3個以上、好ましくは4個以上の従動車輪208を有しており、各従動車輪208には、従動車軸209が挿通されている。
【0109】
各従動車輪208に挿通された従動車軸209は、それぞれ、両端を車軸保持部材206に取り付けられている。また、各従動車軸209は、車軸保持部材206から脱落しないようにされており、従動車輪208は、従動車軸209と一緒に回転し、又は、従動車輪208は、車軸保持部材206に固定された従動車軸209の回りを回転する。いずれの場合でも、従動車輪208は、従動車軸209の中心軸線を回転軸線にし、従動車軸209を中心に回転する。
【0110】
台座板205は、台座板205の表面が、能動車軸202の中心軸線と直交した状態で、能動車軸202に固定されており、能動車軸202が、能動車軸202の回転軸線を中心に回転すると、台座板205は、能動車軸202と一緒に同方向同角速度で回転するようになっている。
【0111】
一台の車輪ユニット210a又は210bに含まれる従動車軸209は、能動車軸202とは非平行であり、一台の車輪ユニット210a又は210b内の各従動車軸209の中心軸線は、同じ平面内に位置している。
従動車軸209が位置する平面は、能動車軸202の中心軸線と直交する平面であり、各従動車軸209の中心軸線は、台座板205の表面と平行になっている。
【0112】
従動車軸209の中心軸線と能動車軸202の中心軸線との両方に垂直に交差する直線を直交線と呼び、従動車軸209の中心軸線と能動車軸202の中心軸線との間の直交線の長さを従動車軸209と能動車軸202との間の距離である軸間距離と呼ぶものとすると、各従動車軸209は、各従動車軸209にとっての軸間距離が同じになるように配置されており、従って、一台の車輪ユニット210a又は210bに含まれる従動車軸209は、同じ平面に位置し、各従動車軸209の中心軸線によって正多角形が形成され、隣接する従動車軸209の中心軸線が成す角度は互いに等しくなっている。
そして、車輪ユニット210a、210bが、能動車軸202の中心軸線を中心にして回転すると、各従動車軸209の中心軸線は、能動車軸202の中心軸線に対して垂直な一平面内で回転する。
【0113】
各従動車輪208は、中央が膨らんだ樽形形状にされている。
その樽形形状を説明すると、各従動車輪208には、その従動車輪208の従動車軸209の中心軸線と直交線とを含む平面内に、能動車軸202の中心軸線上に中心が位置する車輪円が設定されており、従動車輪208の側面は、車輪円に沿う形状にされている。
図20の符号220は車輪円を示している。一個の車輪ユニット210a又は210b内では軸間距離は等しくされており、各従動車軸209の中心軸線は同じ平面に位置しているから、一台の車輪ユニット210a又は210bの車輪円220は一つである。この車輪円220は、台座板205と平行である。
【0114】
図20の状態で静止した従動車輪208は、その側面が車輪円220と接触する位置にあるようにされている。
従動車輪208の側面の形状は、従動車軸209の中心軸線に対して回転対称にされており、従って、従動車輪208が従動車軸209の中心軸線を中心に一回転すると、従動車輪208の側面のどの部分でも、車輪円220と接触する位置を一回通過するから、従動車輪208が回転しても、車輪円220には、従動車輪208の側面が接触するように位置している。
【0115】
従動車輪208の側面の中では、車輪円220と接触する位置にある部分が、能動車軸202の中心軸線から遠距離にあり、競技面79と接触できる部分となる。
各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202の中心軸線は、同じ平面内に配置され、格闘戦車2fが競技面79上に配置されたときに、競技面79から等距離になる。
【0116】
一台の走行ユニット2001、2002、又は2003中の複数の車輪ユニット210a、210bの車輪円220は、同じ能動車軸202の中心軸線に中心点が位置しており、複数の走行ユニット2001〜2003中の車輪ユニット210a、210bの車輪円220は、直径が同じであり、各車輪ユニット210a、210bでは、台座板205や車軸保持部材206等の従動車輪208以外の部材は、車輪円220よりも外側にはみ出ないようにされているから、格闘戦車2fが平坦な競技面79上に配置されたときに、各車輪ユニット210a、210bの車輪円は競技面79に対して鉛直であり、一緒に競技面79と接することになる。
【0117】
一台の車輪ユニット210a、210bの中では、隣接する従動車輪208は、離間して配置されており、従って、一個の車輪円220には、回転によって、従動車輪208の側面が通る車輪部分と、その間の従動車輪208の側面が通らない非車輪部分とが形成されている。
【0118】
そして、一つの車輪円220上では、車輪部分の合計長さが、非車輪部分の合計長さよりも長くなるようにされており、一台の走行ユニット2001、2002、又は2003中で、各車輪円220が、競技面79に対して垂直にされて競技面79と接したときには、少なくとも一個の車輪ユニット210a又は210bの従動車輪208の側面が競技面79と接触するようにされている。
【0119】
車輪円220は台座板205と一緒に回転するものとすると、能動車軸202が中心軸線を中心に回転し、台座板205が回転すると、各車輪ユニット210a、210bは、台座板205と車輪円220と共に回転する。このとき、従動車輪208も、能動車軸202の中心軸線を中心に回転する。
このとき、競技面79には、従動車輪208の側面が接触しており、従動車輪208の側面と競技面79との間は滑らないものとすると、車輪ユニット210a、210bは、競技面79上を移動することになる。
【0120】
その移動方向を、車輪円220が位置する平面と平行な方向の成分である平行成分と、垂直な方向の成分である垂直成分に分解した場合、垂直成分がゼロの方向に移動する車輪ユニット210a、210bでは、従動車輪208は、従動車軸209を中心とした回転はせず、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて能動車軸202の中心軸線を中心に回転する。
垂直成分がゼロでない場合は、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて回転すると共に、競技面79と接触した従動車輪208が、従動車軸209の中心軸線を中心に、垂直成分の大きさに応じて回転する。
【0121】
走行ユニット2001〜2003は車台10に3台以上取り付けられており、各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202は、その中心軸線が同じ平面内に位置するように配置されている。
各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202は互いに異なる方向に伸び、平行にならないように配置されており、従って、各走行ユニット2001〜2003の従動車輪208が競技面79と接触して、格闘戦車2fが直線移動するときは、多くても、一台の走行ユニット2001〜2003しか垂直成分がゼロにならないから、少なくとも2台以上の走行ユニット2001〜2003は、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて能動車軸202の中心軸線を中心に回転し、従動車輪208が、従動車軸209の中心軸線を中心に回転する。
【0122】
格闘戦車2fの移動方向と移動速度は、各走行ユニット2001〜2003中の車輪ユニット210a、210bの能動車軸202の回転によって格闘戦車2fに加えられる力を合成した力の方向と大きさとで決まるから、各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202が回転する角速度を個別に制御することで、格闘戦車2fを、前後左右四方八方自由な方向に移動させることができる。
角速度の決定は、速度と方向が決まれば、コントローラ80や格闘戦車2fに設けられた演算装置の演算で求めることができる。
【0123】
なお、ここでは、各走行ユニット2001〜2003の車輪装置204は、二個の車輪ユニット210a、210bをそれぞれ有しており、二個の車輪ユニット210a、210bは、同じ台座板205の片側の表面と反対側の表面に取り付けられている。
二個の車輪ユニット210a、210bは、台座板205を中心に非対称にされており、一方の車輪ユニット210a又は210bの非車輪部分の真裏には、他方の車輪ユニット210a又は210bの従動車輪208の側面が位置しており、台座板205が回転するときには、少なくともいずれか一方の車輪ユニット210a、210bの従動車輪208の側面が競技面79と接触するようにされている。
車輪ユニット210a、210b中の、競技面79と接触する部分は、一個の車輪ユニット210a又は210b中の一個の車輪円220と一致する部分であり、少なくとも二個の車輪ユニット210a、210bを有する一個の車輪装置204が、能動車軸202によって回転する一個の能動車輪として動作する。
【0124】
この例では、三台の走行ユニット2001〜2003の車輪ユニット210a、210bのうち、内側に位置する車輪ユニット210aの車輪円220は、同じ正三角形の辺上に位置しており、外側に位置する車輪ユニット210bの車輪円220も、同じ正三角形の辺上に位置している。
なお、走行ユニット2001〜2003の能動車軸202の中心軸線は、一点で交差しており、格闘戦車2fの速度や移動方向を制御しやすくされている。
【0125】
格闘戦車2fの移動について説明すると、先ず、一台の車輪装置204に含まれる複数の車輪ユニット210a、210bは、同じ能動車軸202によって回転させられており、同方向、同一角速度で回転し、一個の車輪装置204が一個の能動車輪として動作する。車輪ユニット210a、210bは、一緒に正方向に回転し、また、それとは逆の逆方向にも一緒に回転できる。
【0126】
例えば、格闘戦車2fの外側から見て、各走行ユニット2001〜2003の車輪ユニット210a、210bを、同方向に回転させる(全部を時計回りにするか、又は全部を反時計回りにする)と、各車輪ユニット210a、210bは、同じ円周上を走行するので、格闘戦車2fは回転する。
【0127】
主制御回路8が、各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202の回転方向と回転の角速度を制御することで、格闘戦車2fは、向きを変えないでも所望の方向に移動することができ、移動開始後に移動方向を変更したり、また、回転して格闘戦車2fの向きを変えながら移動することもできる。また、最大速度以下の所望の速度で移動させることもできる。
【0128】
コントローラ80の操作ボタン等が競技者に操作されることによって、格闘戦車2fの移動速度を指示する信号や、移動方向を変更させる信号を、コントローラ80から格闘戦車2fに送信することができる。
また、各走行ユニット2001〜2003の能動車軸202の回転方向と回転速度を制御することで、直線移動や曲線移動の他、その場で回転移動させることもできる。
【0129】
このように、上記走行装置30Bを有する格闘戦車2fでは、静止した状態から前後左右四方八方に移動を開始することが可能であり、相手の格闘戦車2a〜2eへの攻撃や、相手の格闘戦車2a〜2eの攻撃に対する防御や逃避が簡単である。
なお、走行装置30Bには、図14に示すように、主制御装置8と接続された走行制御回路72を設け、複雑な制御をするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
2,2a〜2g……格闘戦車
10……車台
30、30A、30B……走行装置
20……ダメージ検出装置
21……上側部材
22……前側部材
23……被打撃装置
28,29a……弾性部材
40……ソード型の攻撃腕
42……長剣
50……パンチ型の攻撃腕
57……拳部
71……無線回路
80……コントローラ
81……携帯ゲーム機
82……無線カード
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