(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記攻撃装置は棒状の腕部を有し、前記腕部の先端の切っ先を、前記被打撃装置の上端よりも高い位置から低い位置まで振り下ろせるように構成されたソード型の攻撃腕が設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の格闘戦車。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<格闘戦車の概要>
図1は、本発明の第一例の格闘戦車2,2eを説明するための平面図であり、
図2は側面図、
図3は正面図である。
【0012】
この格闘戦車2,2eは、リモートコントロールで無線操縦するようになっており、
図10(a)の符号80は、リモートコントロールによって格闘戦車2,2eを操縦するコントローラを示している。ここでは、コントローラ80と格闘戦車2,2eとは、少なくともコントローラ80が送信する無線操縦の無線信号(以下、「無線」と略す。無線信号には、電波信号、赤外線信号、超音波信号が含まれる。)を格闘戦車2,2eが受信するようになっている。
【0013】
図11では、この第一例の格闘戦車2を含む本発明の複数の格闘戦車2,2a〜2eが、室内又は室外の床面に区切られた競技面79上に配置されており、各格闘戦車2,2a〜2eは、競技者が操作するコントローラ80によって操縦され、予め設定されたルールに従って格闘戦車ゲームが行われる。
【0014】
格闘戦車ゲームには、例えば、格闘戦車2,2a〜2eを複数台競技場に配置して個別に争って、チャンピオンを決定するためのルールや、複数の格闘戦車2,2a〜2eが二組の陣営に分かれ、勝敗を決定するルール等が設定されており、何れかのルールに従って競技することができる。
ここでは、一方の陣営の格闘戦車2,2a、2bと、他方の陣営の格闘戦車2c〜2eとが、コントローラ80による操縦に従って、走行、停車、攻撃、防御を行い、勝敗の結着を着ける。
【0015】
図1〜
図3は、第一例の格闘戦車2,2eを説明するための図面である。
第一例の格闘戦車2は、車台10を有しており、車台10には、第一例の格闘戦車2を移動させる走行装置30と、対戦相手の格闘戦車2a〜2eを攻撃する攻撃装置40と、対戦相手の攻撃を受けるダメージ検出装置20Aとが設けられており、走行装置30によって走行し、攻撃装置40によって、対戦相手の格闘戦車2a〜2eのダメージ検出装置20Aを打撃する。
図5(a)には、この格闘戦車2が有するダメージ検出装置20Aが示されている。
【0016】
図9は、格闘戦車2,2a〜2eの電気回路70のブロック図であり、車台10上に設けられた電池によって動作している。この電気回路70には、主制御装置74が含まれており、走行装置30と、攻撃装置40と、ダメージ検出装置20Aとは、主制御装置74に接続され、主制御装置74によって動作が制御されている。主制御装置74も車台10に設けられている。
【0017】
攻撃装置40には複数の種類があるが、格闘戦車2,2a〜2eは、少なくとも、車台10と、走行装置30と、攻撃装置40と、ダメージ検出装置20Aと、主制御装置74とを有する点で同じであり、第一例の格闘戦車2の構成を代表として説明し、他の格闘戦車2a〜2eの、第一例の格闘戦車2と同じ構成については説明を省略する。
【0018】
<攻撃装置>
図1〜3を参照し、攻撃装置40は、一または二個の攻撃腕を有している。
図9には、主制御装置74からの信号が入力されると、攻撃腕の動作を制御する攻撃制御装置73が示されている。
【0019】
この格闘戦車2には、格闘戦車2の前面と、その反対側の背面とが定められており、攻撃腕には、左側に配置される攻撃左腕と、右側に配置される攻撃右腕とがある。
格闘戦車2には、攻撃左腕と攻撃右腕のいずれか一方又は両方を設けることが可能であるが、この第一例の格闘戦車2では、
図1〜
図3に示されているように、攻撃左腕40Lと攻撃右腕40Rの両方が設けられており、格闘戦車2は、攻撃左腕40Lと攻撃右腕40Rとで、この格闘戦車2の近傍に位置する他の格闘戦車2a〜2eを攻撃できるようになっている。
【0020】
攻撃腕には、複数種類があり、例えば、攻撃対象の格闘戦車2a〜2eに対して上方から長剣を振り下ろすソード型と、この格闘戦車2の側方から攻撃対象の格闘戦車に向けて拳を突き出すパンチ型と、弾丸を撃ち出す拳銃型等があり、格闘戦車2,2a〜2eには、好みの方の型を、攻撃左腕40Lや攻撃右腕40Rとして装着できるようになっている。両方が同じ型であっても別の型であってもよい。
【0021】
第一例の格闘戦車2に配置された攻撃右腕40Rと攻撃左腕40Lとは、ソード型である。
ソード型の攻撃右腕40Rと攻撃左腕40Lは、細長平板状の長剣42と、長剣用モータ(不図示)とを有している。長剣42の一端を柄(つか)側44、他端を切っ先側45とすると、長剣用モータの回転を伝達して長剣42を回転させる回転軸41は水平に配置されており、柄側44の部分が、長剣用モータによって回転される回転軸41に固定されている。
【0022】
攻撃制御装置73によって長剣用モータが動作されると、回転軸41は、その中心軸線を中心に回転し、長剣42の切っ先側45は大きく回転移動する。
長剣42は、回転軸41に対して垂直ではなく傾斜して取り付けられており、回転軸41に垂直な平面に対して傾けられた平面内で回転するようになっている。
【0023】
格闘戦車2の前面が向く方向を前方、その反対側の方向を後方とすると、長剣42が回転する際には、切っ先側45は、格闘戦車2の真上よりも後方に位置する攻撃待機の状態から、長剣42の回転によって、格闘戦車2の中心を通る水平な直線に近づくように、格闘戦車2の前方に振り下ろされるようになっている。
【0024】
図2に示すように、長剣42が振り下ろされる途中過程において、長剣42の切っ先側45は、先ず、
図2中45Aの位置に移動し、振り下ろされると、45Bの位置に移動する。図中符号43は、切っ先側の重りを示しており、符合23は、ダメージ検出装置20Aを有する被打撃装置を示している。
【0025】
被打撃装置23は、ドーム形状であり、ここでは半球形状にされ球形の部分が上方に向けられて、格闘戦車2の車台10の上部に配置されている。
長剣42を回転させる回転軸41は、被打撃装置23に設けられた穴又は切り欠きを通って、被打撃装置23の内部空間から外側に突きだされ、回転軸41ができるだけ高い位置で回転するように構成されている。
【0026】
そのため、長剣42が回転する場合、少なくとも長剣42が最も高い位置を通過するときには、切っ先側45は、被打撃装置23の上端部よりも高い位置を通過するようになっている。
そして、長剣42が止められずに振り下ろされると、被打撃装置23の下端よりも低い位置まで振り下ろされる。
【0027】
この格闘戦車2と他の格闘戦車2a〜2eの一台が、真正面に向かい合って対戦するとき、振り下ろされた切っ先側45は、対戦相手の格闘戦車2a〜2eの側方には外れずに、格闘戦車2a〜2eの被打撃装置23の上部を打撃する。
【0028】
なお、
図11の競技面79内には、左右の攻撃腕がソード型の格闘戦車2、2eと、左右の攻撃腕の一方がソード型、他方がパンチ型の格闘戦車2a、2cと、両方の攻撃腕がパンチ型の格闘戦車2b、2dとが示されている。
【0029】
<ダメージ検出装置>
被打撃装置23は、ここでは中空であり、
図5(a)にその内部空間28が示されている。
【0030】
図5(a)を参照し、ダメージ検出装置20Aは、被打撃装置23を支持する弾性取付部材24Aを有している。
被打撃装置23は、車台10の上方に配置され、被打撃装置23の下端は、車台10とは離間され、隙間が形成されている。従って、被打撃装置23の中空内部は、隙間を介して、被打撃装置23の外部空間と接続されている。
【0031】
被打撃装置23の、上方を向く半球の面を表面、下方を向く面を裏面とすると、第一例の格闘戦車2の被打撃装置23は、半球のドーム形状であり、その被打撃装置23の表面は、ここでは半球面で構成されているが、種々の曲面の他、複数の平面を接続して構成してもよい。
図4の被打撃装置23は、本発明に含まれる複数の平面が隙間無く配置されたドーム形状の場合の例である。
【0032】
被打撃装置23の内部空間28には、取付装置17が配置されている。取付装置17は、車台10に固定され、被打撃装置23は、弾性取付部材24Aによって、取付装置17に取り付けられ、格闘戦車2の上部で支持されている。
弾性取付部材24Aは、第一の弾性部材91と、ピン93とを有している。弾性取付部材24Aの拡大図を
図5(b)に示す。
【0033】
取付装置17は板状であり、取付装置17と被打撃装置23とには、そのいずれか一方に貫通孔19が形成されている。ピン93の一端には、フランジ形状のフランジ部94が設けられている。
貫通孔19は、ピン93の棒状部分の太さよりも直径が大きく形成されており、フランジ部94は、貫通孔19よりも大きくされ、フランジ部94は貫通孔19を通らないようになっている。
【0034】
取付装置17と被打撃装置23の間には、渦巻バネである第一の弾性部材91が配置され、ピン93は、フランジ部94と反対側の先端部が、貫通孔19と第一の弾性部材91とに挿通され、先端部は、取付装置17と被打撃装置23のうち、挿通された貫通孔19を有さない方に固定されている。
【0035】
図5(a)、(b)のダメージ検出装置20Aでは、貫通孔19は、被打撃装置23に形成されており、ピン93は、被打撃装置23の上方から貫通孔19と第一の弾性部材91とに挿通され、その状態で先端部が、ピン93の下方に位置する取付装置17に固定されている。
【0036】
図13(a)〜(c)のダメージ検出装置20Cの弾性取付部材24Cでは、貫通孔19は、取付装置17に形成されており、ピン93は、被打撃装置23の取付装置17と対面する表面とは反対側の裏面側から貫通孔19と第一の弾性部材91とに挿通され、その状態で先端部が被打撃装置23に固定されている。
【0037】
ダメージ検出装置20A、20Cの取付装置17は、表面側がドーム形状の被打撃装置23の頂点と対面しているが、
図13(a)〜(c)のダメージ検出装置20Cの場合は、フランジ部94は、被打撃装置23上ではなく、取付装置17の裏面側に位置している。
【0038】
図12は、このダメージ検出装置20Cを有する格闘戦車2’を上方から見た平面図であり、被打撃装置23の上端の上には、
図1〜3の格闘戦車2とは異なり、フランジ部94は位置しない。
【0039】
ダメージ検出装置20A、20Cは、第一の弾性部材91が変形可能な状態になっており、ピン93は鉛直にされ、第一の弾性部材91の渦巻きの中心軸線に沿って、第一の弾性部材91に挿通され、第一の弾性部材91の一端は、被打撃装置23と接触し、他端は取付装置17と接触している。
【0040】
第一の弾性部材91は予め所定量だけ圧縮変形されており、被打撃装置23が押圧されていない状態でも第一の弾性部材91は少し変形し、変形前の元の状態に戻ろうとする復元力によって、フランジ部94は、被打撃装置23又は取付装置17に押し付けられて接触しており、被打撃装置23は弾性取付部材24A、24Cによって支持されている。
フランジ部94は、第一の弾性部材91が圧縮変形した際には、押し付けられた被打撃装置23又は取付装置17から離間できるようにされている。
【0041】
被打撃装置23の下端部と、下端部の下方に位置する車台10との間には、隙間が形成されており、被打撃装置23が上方から下方に押圧されると、第一の弾性部材91が更に圧縮変形されながら、フランジ部94は、被打撃装置23又は取付装置17から離間し、被打撃装置23は、被打撃装置23の下方の隙間を狭くするように移動する。
図6(a)には、下方に移動した被打撃装置23が示されている。
【0042】
また、被打撃装置23が押圧されたときには、被打撃装置23は、フランジ部94と被打撃装置23又は取付装置17との接触部分を中心として、回転移動することもできる。
例えば、被打撃装置23の下部が水平方向に押圧されると、被打撃装置23は、車台10等と接触しない範囲で回転移動する。回転移動で移動できる角度は小さい値であり、回転移動した被打撃装置23は傾いたように見える。
【0043】
図7(a)には、回転移動した状態の被打撃装置23が示されており、接触部分を中心として傾いている。同図(b)は、その状態のピン93付近の拡大図である。回転移動した状態では、被打撃装置23の一部が下方に移動し、その反対側は上方に移動するから、第一の弾性部材91のうち、被打撃装置23が下方に移動する側に位置する部分は回転移動に伴って被打撃装置23によって押圧され、圧縮変形される。
【0044】
従って、被打撃装置23が下方に移動したときと、回転移動したときとで第一の弾性部材91が変形され、元の状態に戻ろうとする復元力が発生する。被打撃装置23を押圧する力が解除されると、被打撃装置23は変形された第一の弾性部材91の復元力によって元の位置に戻される。
【0045】
ダメージ検出装置20Aは、被打撃装置23の移動を検出する一個乃至複数個の打撃検出センサ78で構成された打撃検出装置75(
図9)を有している。
各打撃検出センサ78は、内部に接点が配置された小型のスイッチであるセンサ本体25を有している。ここでは、スイッチとしてマイクロスイッチが設けられているが、ゴムスイッチを用いてもよい。
【0046】
センサ本体25の内部には、開閉可能な接点が設けられている。接点は、例えば、ゴムの膜等の保護膜によって覆われており、保護膜の表面のうち、検出部27にされた一定範囲の部分が押圧されると閉状態になって閉状態を示す信号が出力され、押圧が解除されると開状態になり、開状態を示す信号が出力される。
センサ本体25には、第二の弾性部材92の一端が接続され、その他端には接触部26が設けられている。接触部26は、検出部27と離間して対面する位置に配置されている。
【0047】
本発明の格闘戦車2,2’,2a〜2eでは、打撃検出センサ78は、内部空間28に4個設けられており、一個は内部空間28内のピン93の側方近傍位置に配置され、他の3個は、内部空間28内の被打撃装置23の下端付近の位置に配置されている。ピン93の側方近傍には1個以上、被打撃装置23の下端付近には、3個以上配置すればよく、合計4個以上配置することができる。
【0048】
ここでは、各打撃検出センサ78のセンサ本体25は、検出部27を被打撃装置23に向けられて配置されており、接触部26は、被打撃装置23と検出部27との間の位置に、被打撃装置23と検出部27とから離間して配置されている。
【0049】
第二の弾性部材92は、検出部27に向く方向の力に対して変形し易く、それとは垂直な力には変形しにくいようにされており、被打撃装置23が移動して接触部26に当接し、接触部26を検出部27が位置する方向に押圧すると、第二の弾性部材92が変形しながら接触部26は検出部27方向に移動する。
【0050】
被打撃装置23が、接触部26を検出部27が位置する方向と異なる方向に押圧したときは、接触部26は、被打撃装置23と摺動すると共に、第二の弾性部材92が変形しながら、検出部27の方向に移動する。
接触部26は検出部27から離間された距離を移動すると検出部27に接触し、センサ本体25の内部で開状態にされていた接点が閉じられる。
【0051】
被打撃装置23が下方に移動したときには、ピン93の側方近傍の打撃検出センサ78の接触部26が押圧され、
図6(b)に示されたように、ピン93の側方近傍の打撃検出センサ78の接点が閉じられる。被打撃装置23が回転移動し、被打撃装置23の下端付近の接触部26を押圧すると、
図7(c)に示されたように、下端付近の打撃検出センサ78の接点が閉じられる。
【0052】
図5(c)に、打撃検出センサ78の位置関係を示す図を攻撃椀を省略して記載する。
被打撃装置23の下端付近に位置する打撃検出センサ78の検出部27は、同じ高さで、被打撃装置23から同じ距離離間して配置されており、打撃検出センサ78の検出部27が位置する平面と、被打撃装置23とを水平にしたときに、
図5(c)に示すように、各打撃検出センサ78の検出部27が配置された中心は、半球形の被打撃装置23の上端を通る鉛直線上の中心点Pになるようにされている。
【0053】
各打撃検出センサ78は、中心点Pの回りに均等に配置されており、各打撃検出センサ78の検出部27と中心点Pとを結ぶ線分が中心点Pで交差する角度は、隣接する線分間で互いに等しくなるようにされている。ここでは、打撃検出センサ78は3個であり、その角度は120度である。
【0054】
被打撃装置23は、上方から下方に向けて打撃されると下方に移動し、前方から後方に向けて打撃されると後方に移動し、また、左方から右方に向けて攻撃されると右方に移動する。
【0055】
このように、被打撃装置23は、打撃の方向に移動するようにされており、被打撃装置23がどの方向から攻撃されても、被打撃装置23が回転移動した場合には、被打撃装置23は、いずれかの接触部26と接触し、被打撃装置23の下端付近に位置するいずれかの打撃検出センサ78の接点が閉じるから、被打撃装置23は上方と、前後左右のいずれの方向から打撃されても、被打撃装置23が所定距離(ここでは、接触部26と検出部27との間の距離)を移動したことを検出することで、その打撃の有無を検出することが可能である。
【0056】
なお、接触部26は、センサ本体25に設けられていたが、被打撃装置23に設けられていて、被打撃装置23の移動によって検出部27と接触するようにしてもよい。
また、センサ本体25が被打撃装置23に設けられ、被打撃装置23が下方へ移動したとき、又は、回転移動したときに、センサ本体25の検出部27が、接触部26に接触するようにしてもよい。
【0057】
被打撃装置23は、被打撃装置23が移動した後、主として、変形した第一の弾性部材91の復元力によって元の位置に戻るようになっており、接触部26は、第二の弾性部材92の復元力によって元の位置に戻るようになっている。
【0058】
上記ダメージ検出装置20Aの弾性取付部材24Aでは、ピン93の上端が、被打撃装置23の上端に露出されていたが、
図6(c)に示すダメージ検出装置20Bの弾性取付部材24Bのように、被打撃装置23の内部空間28側に配置し、内部中空の取付容器64を被打撃装置23の内壁面の上端位置に固定し、取付容器64の底面に貫通孔19を形成してピン93を貫通孔19に挿入させ、ピン93の上端のフランジ部94を取付容器64の内部の容器空間65内に配置し、ピン93を螺旋状のバネである第一の弾性部材91の中心に挿通した状態で、ピン93の下端を、取付容器64の下方に位置する取付装置17に固定するようにしてもよい。
【0059】
取付装置17は車台10に固定されており、第一の弾性部材91は取付装置17上に乗り、上端には取付容器64を乗せることで、被打撃装置23が第一の弾性部材91によって支持されている。
フランジ部94の上方には、取付容器64の容器空間65が位置しているので、被打撃装置23が上方から打撃されたときに、フランジ部94が取付容器64の底面から離間して、被打撃措置23が第一の弾性部材91を圧縮しながら下方に移動し、打撃検出センサ78の接点を閉じさせると有効な打撃が検出される。
取付容器64の底面の貫通孔19の径は、ピン93の径よりも大きくされており、被打撃装置23が真上方向とは異なる斜め方向や真横方向から打撃されたときには、ピン93に対して被打撃装置23が傾き、被打撃装置23の下端付近に位置する打撃検出センサ78の接点を閉じさせるようになっている。
【0060】
以上は、貫通孔19が、被打撃装置23に形成されたダメージ検出装置20Aと、被打撃装置23に固定された取付容器64の底面に設けられたダメージ検出装置20Bを説明したが、このように、貫通孔19が被打撃装置23側に設けられるのではなく、取付装置17側に設けられた
図13(a)のダメージ検出装置20C(ここでは、貫通孔19は取付装置17に設けられている。)でも、弾性取付部材24Cは、打撃検出センサ78と接触部26とは、
図5(a)のダメージ検出装置20Aと、同じ位置に、同じ個数配置することができる。
【0061】
また、貫通孔19が取付装置17側に設けられたダメージ検出装置20Cでも 被打撃装置23が下方へ移動すると、
図13(b)に示すように、被打撃装置23に一端が固定されたピン93が被打撃装置23と共に下方に移動し、ピン93付近の打撃検出センサ78の接点が閉じる。
図13(c)に示すように、被打撃装置23が回転移動すると、ピン93付近の打撃検出センサ78の接点が閉じられず、被打撃装置23下端付近の打撃検出センサ78の接点が閉じられる。
【0062】
第一例の格闘戦車2の被打撃装置23が、対戦相手の格闘戦車2a〜2eの攻撃右腕40R又は攻撃左腕40Lによって打撃されたときに、被打撃装置23が押圧されるので、被打撃装置23の上端付近が鉛直下方に均等に押圧されたときには、被打撃装置23は真下に移動し、上端以外の場所が部分的に押圧されると、被打撃装置23は回転移動し、接触部26が検出部27と接触するまで移動すると接点が閉じる。被打撃装置23が移動しても、接触部26と検出部27とが接触するまで移動しない場合は、接点は閉じない。
【0063】
要するに、被打撃装置23への打撃が、打撃された被打撃装置23に、接触部26を検出部27に接触するまで移動させるよりも小さい押圧力しか生じなかったときには、接点は閉じない。
その場合、接点が閉じたことを示す信号は主制御装置74に出力されず、従って、その打撃は無効である。
被打撃装置23の移動が停止した後、被打撃装置23が元の方向に戻る移動が開始されると、接触部26は検出部27から離間し、接点は開状態になる。
【0064】
各打撃検出センサ78は、主制御装置74に接続されており、接点が閉じられた打撃検出センサ78は、閉じられたことを示す信号を主制御装置74に出力する。また、閉じられた接点が開状態になると、開状態になったことを示す信号が主制御装置74に出力される。例えば、接点が閉じられて閉状態になるとハイ又はローの信号が出力され続け、接点が開けられて開状態になると、閉状態とは逆の信号が出力されるようになっている。
【0065】
第一例の格闘戦車2に設けられた複数の打撃検出センサ78は、主制御装置74に接続されており、主制御装置74に接続されたいずれかの打撃検出センサ78から、接点が閉じられたことを示す信号が出力されると、被打撃装置23には有効な打撃があったことになり、主制御装置74は有効な打撃があったことを示す信号を無線通信装置71に出力し、後述するように、無線通信装置71から、その信号は、無線送信される。
【0066】
上記ダメージ検出装置20A、20B、20Cでは、被打撃装置23の下方移動を検出する打撃検出センサ78は、ピン93の側方近傍に配置されていたが、
図13(a)のダメージ検出装置20Cでは、
図14(a)に示すように、フランジ部94の下方位置に、打撃検出センサ78を配置し、フランジ部94の下方移動によって、接触部26とセンサ本体25とのいずれか一方が押圧され、接触されるようにしてもよい。
【0067】
ここでは、取付装置17の下方に、車台10に固定された台18を設け、台18上にセンサ本体25を配置し、センサ本体25の検出部27とフランジ部94の間に接触部26を配置し、被打撃装置23と一緒に下方移動するフランジ部94が、接触部26を押圧して移動させ、同図(b)に示すように、検出部27に接触させるようにされている。
その場合、接触部26を設けずに、被打撃装置23とフランジ部94とが一緒に下方に移動したときに、フランジ部94を接触部として検出部27に接触させるようにしても良い。
【0068】
その弾性取付部材24Cは、
図15(a)に示されており、フランジ部94が取付装置17の下方に位置した状態で、ピン93が取付装置17の貫通孔19に挿通されており、取付装置17よりも上方の部分は第一の弾性部材91に挿通され、上端が被打撃装置23に固定されている。この点で、
図15(a)の弾性取付部材24Cは、
図13(a)〜(c)の弾性取付部材24Cと同じであるが、
図15(a)の弾性取付部材24Cのフランジ部94の下方の台18上には、接触部が設けられておらず、検出部27から成る打撃検出センサ78が配置されている。
【0069】
そして、
図15(a)の弾性取付部材24Cでは、被打撃装置23が下方に移動するときは、フランジ部94も下方に移動し、
図15(b)に示すように、検出部27とフランジ部94とが接触し、打撃が検出される。
貫通孔19と、ピン93の貫通孔19に挿通された部分との間に大きな隙間を設けておけば、ピン93は傾くことができるから、被打撃装置23の下端近傍には複数の打撃検出センサ78を配置しておくと、被打撃装置23が斜め方向から打撃されたときには、同図(c)に示されているように、被打撃装置23はピン93と共に傾き、被打撃装置23の下端近傍の打撃検出センサ78の接点が閉じられるので、斜め方向からの打撃も検出される。
【0070】
それとは異なり、
図16に示したダメージ検出装置20Dのように、弾性取付部材24Dのピン93のフランジ部94の周囲にリング状の接触部26’を設け、検出部27を、接触部26’の外周よりも外側に位置するように面積を大きくしておき、被打撃装置23が斜め方向から打撃されて、被打撃装置23とピン93とが傾いたときに、
図17(a)に示すように、接触部26’が検出部27と接触するようにしておけば、その検出部27を有する打撃検出センサ78によって、斜め方向からの打撃を検出することができる。接触部26’をフランジ部94の周囲に設けず、フランジ部94自体を大面積に変更し、フランジ部94であっても、接触部26’であっても、少なくともいずれかが検出部27に接触するようにすればよい。
従って、この例では、被打撃装置23の下端近傍に打撃検出センサ78を設けなくても斜め方向からの打撃による被打撃装置23の回転移動を検出することができる。
【0071】
また、被打撃装置23が上方から打撃され、下方に移動する際には、ピン93は傾かなくてもピン93が下方に移動して、同図(b)に示すように、フランジ部94や接触部26’が検出部27に接触し、打撃が検出される。
従って、1個の検出部27を打撃検出センサ78として、フランジ部94の下方に配置するだけで、被打撃装置23に対する前後左右上方からの打撃による回転移動を検出できる。
【0072】
次に、打撃検出センサ78は、被打撃装置23の内部空間28に配置される場合に限定されるものではない。
図8の格闘戦車3(第二例)は、被打撃装置23の下端部に、蓋板22が設けられており、蓋板22の底面が、ドーム形状の被打撃装置23の底面77にされている。
【0073】
この被打撃装置23を弾性取付部材24Aによって支持するために、蓋板22の下方に位置するように、車台10の一部を構成する立設板48に載置台21を設け、蓋板22又は載置台21に貫通孔19を設け、ピン93のフランジ部94とは反対側の先端を貫通孔19に挿通した状態で、先端を、貫通孔19と離間して対面する蓋板22又は載置台21に固定する。
【0074】
蓋板22と載置台21との間に第一の弾性部材91を配置しておき、第一の弾性部材91によって被打撃装置23を弾性支持しておく。このとき、被打撃装置23は上方からの打撃によって下方に移動することができ、又は、真上以外の場所へ部分的に打撃されると回転移動ができるようにしておく。
【0075】
また、この被打撃装置23への打撃を検出するために、載置台21上に、又は蓋板22の底面77に、打撃検出センサ78のセンサ本体25を設け、打撃検出センサ78の検出部27と底面77との間、又は、打撃検出センサ78の検出部27と蓋板22との間に、接触部26を配置しておく。
【0076】
この格闘戦車3では、蓋板22と載置台21との間の位置に、打撃検出センサ78を3個以上配置し、被打撃装置23が下方に移動したときと、被打撃装置23が前後左右に回転移動したときに、蓋板22が接触部26やセンサ本体25を移動させ、少なくとも一個の打撃検出センサ78の接点が閉じるようにされており、被打撃装置23に、前後左右上方のどの方向から打撃されても、有効な打撃を検出することができるようになっている。
図8では、載置台21上にセンサ本体25が配置され、その検出部27と底面77との間に接触部26が配置されている。
【0077】
なお、上述した弾性取付部材24A〜24Dは、内部中空のドーム形の被打撃装置23の上端を一カ所で支持しており、被打撃装置23が、どの方向にも傾けるようになっているので、本発明の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5は、どの方向からも攻撃することができる。
そして弾性取付部材24A〜24Dは上端を支持されていることにより、打撃された弾性取付部材24A〜24Dが傾く移動をすると、重心が安定な位置から移動して不安定な状態になり、重心が元の位置に戻るための復元力が発生するから、弾性取付部材24A〜24Dが傾いたときに元の位置に戻りやすいようになっている。
【0078】
なお、長剣42を有する格闘戦車2,2’,2a,2c、2e,3では、切っ先側45には重り43が設けられており、切っ先側45が上方から被打撃装置23に衝突したときに、被打撃装置23に、大きな下向きの力が印加されるようになっている。
なお、打撃検出センサ78の検出部27は、接点であったが、圧電素子やその他のスイッチであってもよい。
【0079】
<走行装置>
次に、
図1〜3、8、11、12で説明した本発明の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の走行装置30を説明する。
車台10の裏面が示された
図18を参照し、走行装置30は、三台の走行ユニット200
1〜200
3を有しており、各走行ユニット200
1〜200
3には、車輪用駆動装置201と、車輪用駆動装置201によって回転される能動車軸202と、能動車軸202によって回転される車輪装置204とがそれぞれ設けられている。
【0080】
車輪用駆動装置201には、車輪用モータとギアボックスとが含まれており、車輪用モータは、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3が搭載する電池から供給される電力によって動作し、発生させた回転力はギアボックスによって回転方向が変えられて能動車軸202に伝達される。能動車軸202は、その中心軸線を回転軸線として回転する。
【0081】
各走行ユニット200
1〜200
3の構造は同じであり、
図19に拡大図を記載して説明すると、各走行ユニット200
1〜200
3が有する車輪装置204は、台座板205と、複数(ここでは2台)の車輪ユニット210a、210bとを有している。
台座板205は板状であり、台座板205の表面には車軸保持部材206が立設されている。
【0082】
図20は、車輪ユニット210a、210bを台座板205表面と平行に切断した状態の断面図であり、この
図20に示されているように、車輪ユニット210a、210bは、3個以上、好ましくは4個以上の従動車輪208を有しており、各従動車輪208には、従動車軸209が挿通されている。
【0083】
各従動車輪208に挿通された従動車軸209は、それぞれ、両端を車軸保持部材206に取り付けられている。また、各従動車軸209は、車軸保持部材206から脱落しないようにされており、従動車輪208は、従動車軸209と一緒に回転し、又は、従動車輪208は、車軸保持部材206に固定された従動車軸209の回りを回転する。いずれの場合でも、従動車輪208は、従動車軸209の中心軸線を回転軸線にし、従動車軸209を中心に回転する。
【0084】
台座板205は、台座板205の表面が、能動車軸202の中心軸線と直交した状態で、能動車軸202に固定されており、能動車軸202が、能動車軸202の回転軸線を中心に回転すると、台座板205は、能動車軸202と一緒に同方向同角速度で回転するようになっている。
【0085】
一台の車輪ユニット210a又は210bに含まれる従動車軸209は、能動車軸202とは非平行であり、一台の車輪ユニット210a又は210b内の各従動車軸209の中心軸線は、同じ平面内に位置している。
従動車軸209が位置する平面は、能動車軸202の中心軸線と直交する平面であり、各従動車軸209の中心軸線は、台座板205の表面と平行になっている。
【0086】
従動車軸209の中心軸線と能動車軸202の中心軸線との両方に垂直に交差する直線を直交線と呼び、従動車軸209の中心軸線と能動車軸202の中心軸線との間の直交線の長さを従動車軸209と能動車軸202との間の距離である軸間距離と呼ぶものとすると、各従動車軸209は、各従動車軸209にとっての軸間距離が同じになるように配置されており、従って、一台の車輪ユニット210a又は210bに含まれる従動車軸209は、同じ平面に位置し、各従動車軸209の中心軸線によって正多角形が形成され、隣接する従動車軸209の中心軸線が成す角度は互いに等しくなっている。
そして、車輪ユニット210a、210bが、能動車軸202の中心軸線を中心にして回転すると、各従動車軸209の中心軸線は、能動車軸202の中心軸線に対して垂直な一平面内で回転する。
【0087】
各従動車輪208は、中央が膨らんだ樽形形状にされている。
その樽形形状を説明すると、各従動車輪208には、その従動車輪208の従動車軸209の中心軸線と直交線とを含む平面内に、能動車軸202の中心軸線上に中心が位置する車輪円が設定されており、従動車輪208の側面は、車輪円に沿う形状にされている。
図20の符号220は車輪円を示している。一個の車輪ユニット210a又は210b内では軸間距離は等しくされており、各従動車軸209の中心軸線は同じ平面に位置しているから、一台の車輪ユニット210a又は210bの車輪円220は一つである。この車輪円220は、台座板205と平行である。
【0088】
図20の状態で静止した従動車輪208は、その側面が車輪円220と接触する位置にあるようにされている。
従動車輪208の側面の形状は、従動車軸209の中心軸線に対して回転対称にされており、従って、従動車輪208が従動車軸209の中心軸線を中心に一回転すると、従動車輪208の側面のどの部分でも、車輪円220と接触する位置を一回通過するから、従動車輪208が回転しても、車輪円220には、従動車輪208の側面が接触するように位置している。
【0089】
従動車輪208の側面の中では、車輪円220と接触する位置にある部分が、能動車軸202の中心軸線から遠距離にあり、競技面79と接触できる部分となる。
各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202の中心軸線は、同じ平面内に配置され、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3が競技面79上に配置されたときに、競技面79から等距離になる。
【0090】
一台の走行ユニット200
1、200
2、又は200
3中の複数の車輪ユニット210a、210bの車輪円220は、同じ能動車軸202の中心軸線に中心点が位置しており、複数の走行ユニット200
1〜200
3中の車輪ユニット210a、210bの車輪円220は、直径が同じであり、各車輪ユニット210a、210bでは、台座板205や車軸保持部材206等の従動車輪208以外の部材は、車輪円220よりも外側にはみ出ないようにされているから、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3が平坦な競技面79上に配置されたときに、各車輪ユニット210a、210bの車輪円は競技面79に対して鉛直であり、一緒に競技面79と接することになる。
【0091】
一台の車輪ユニット210a、210bの中では、隣接する従動車輪208は、離間して配置されており、従って、一個の車輪円220には、回転によって、従動車輪208の側面が通る車輪部分と、その間の従動車輪208の側面が通らない非車輪部分とが形成されている。
【0092】
そして、一つの車輪円220上では、車輪部分の合計長さが、非車輪部分の合計長さよりも長くなるようにされており、一台の走行ユニット200
1、200
2、又は200
3中で、各車輪円220が、競技面79に対して垂直にされて競技面79と接したときには、少なくとも一個の車輪ユニット210a又は210bの従動車輪208の側面が競技面79と接触するようにされている。
【0093】
車輪円220は台座板205と一緒に回転するものとすると、能動車軸202が中心軸線を中心に回転し、台座板205が回転すると、各車輪ユニット210a、210bは、台座板205と車輪円220と共に回転する。このとき、従動車輪208も、能動車軸202の中心軸線を中心に回転する。
このとき、競技面79には、従動車輪208の側面が接触しており、従動車輪208の側面と競技面79との間は滑らないものとすると、車輪ユニット210a、210bは、競技面79上を移動することになる。
【0094】
その移動方向を、車輪円220が位置する平面と平行な方向の成分である平行成分と、垂直な方向の成分である垂直成分に分解した場合、垂直成分がゼロの方向に移動する車輪ユニット210a、210bでは、従動車輪208は、従動車軸209を中心とした回転はせず、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて能動車軸202の中心軸線を中心に回転する。
垂直成分がゼロでない場合は、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて回転すると共に、競技面79と接触した従動車輪208が、従動車軸209の中心軸線を中心に、垂直成分の大きさに応じて回転する。
【0095】
走行ユニット200
1〜200
3は車台10に3台以上取り付けられており、各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202は、その中心軸線が同じ平面内に位置するように配置されている。
各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202は互いに異なる方向に伸び、平行にならないように配置されており、従って、各走行ユニット200
1〜200
3の従動車輪208が競技面79と接触して、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3が直線移動するときは、多くても、一台の走行ユニット200
1〜200
3しか垂直成分がゼロにならないから、少なくとも2台以上の走行ユニット200
1〜200
3は、台座板205及び車輪円220が平行成分の大きさに応じて能動車軸202の中心軸線を中心に回転し、従動車輪208が、従動車軸209の中心軸線を中心に回転する。
【0096】
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の移動方向と移動速度は、各走行ユニット200
1〜200
3中の車輪ユニット210a、210bの能動車軸202の回転によって格闘戦車2,2’,2a〜2e,3に加えられる力を合成した力の方向と大きさとで決まるから、各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202が回転する角速度を個別に制御することで、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3を、前後左右四方八方自由な方向に移動させることができる。
角速度の決定は、速度と方向が決まれば、コントローラ80や格闘戦車2,2’,2a〜2e,3に設けられた演算装置の演算で求めることができる。
【0097】
なお、ここでは、各走行ユニット200
1〜200
3の車輪装置204は、二個の車輪ユニット210a、210bをそれぞれ有しており、二個の車輪ユニット210a、210bは、同じ台座板205の片側の表面と反対側の表面に取り付けられている。
二個の車輪ユニット210a、210bは、台座板205を中心に非対称にされており、一方の車輪ユニット210a又は210bの非車輪部分の真裏には、他方の車輪ユニット210a又は210bの従動車輪208の側面が位置しており、台座板205が回転するときには、少なくともいずれか一方の車輪ユニット210a、210bの従動車輪208の側面が競技面79と接触するようにされている。
車輪ユニット210a、210b中の、競技面79と接触する部分は、一個の車輪ユニット210a又は210b中の一個の車輪円220と一致する部分であり、少なくとも二個の車輪ユニット210a、210bを有する一個の車輪装置204が、能動車軸202によって回転する一個の能動車輪として動作する。
【0098】
この例では、三台の走行ユニット200
1〜200
3の車輪ユニット210a、210bのうち、内側に位置する車輪ユニット210aの車輪円220は、同じ正三角形の辺上に位置しており、外側に位置する車輪ユニット210bの車輪円220も、同じ正三角形の辺上に位置している。
なお、走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202の中心軸線は、一点で交差しており、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の速度や移動方向を制御しやすくされている。
【0099】
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の移動について説明すると、先ず、一台の車輪装置204に含まれる複数の車輪ユニット210a、210bは、同じ能動車軸202によって回転させられており、同方向、同一角速度で回転し、一個の車輪装置204が一個の能動車輪として動作する。車輪ユニット210a、210bは、一緒に正方向に回転し、また、それとは逆の逆方向にも一緒に回転できる。
【0100】
例えば、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の外側から見て、各走行ユニット200
1〜200
3の車輪ユニット210a、210bを、同方向に回転させる(全部を時計回りにするか、又は全部を反時計回りにする)と、各車輪ユニット210a、210bは、同じ円周上を走行するので、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3は回転する。
【0101】
主制御装置74が、各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202の回転方向と回転の角速度を制御することで、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3は、向きを変えないでも所望の方向に移動することができ、移動開始後に移動方向を変更したり、また、回転して格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の向きを変えながら移動することもできる。また、最大速度以下の所望の速度で移動させることもできる。
【0102】
コントローラ80の操作ボタン等が競技者に操作されることによって、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3の移動速度を指示する信号や、移動方向を変更させる信号を、コントローラ80から格闘戦車2,2’,2a〜2e,3に送信することができる。
また、各走行ユニット200
1〜200
3の能動車軸202の回転方向と回転速度を制御することで、直線移動や曲線移動の他、その場で回転移動させることもできる。
【0103】
このように、上記走行装置30を有する格闘戦車2,2’,2a〜2e,3では、静止した状態から前後左右四方八方に移動を開始することが可能であり、相手の格闘戦車2’,2a〜2e,3への攻撃や、相手の格闘戦車2’2a〜2e,3の攻撃に対する防御や逃避が簡単である。
なお、走行装置30には、
図9に示すように、主制御装置74と接続された走行制御装置72を設け、複雑な制御をするようにしてもよい。
【0104】
図21の格闘戦車4(第三例)の走行装置31は、自動車と同じく前輪51と後輪52が二輪ずつ設けられており、
図23の底面図に示されているように、二個の後輪52は、それぞれ別の車軸35に設けられている。各車軸35は、別々の走車輪用駆動装置34によって、異なる速度と異なる方向に回転可能にされており、後輪52が所望速度で、所望方向にそれぞれ回転することで、前進、後退、又は、旋回移動、回転ができるようになっている。二個の後輪52は、互いに逆方向の回転をすることができる。
【0105】
この例では、後輪52は駆動輪であり、前輪51が従動輪の後輪駆動であり、前輪51は、格闘戦車4の移動に伴って回転移動するが、回転軸はなく、どの方向にも回転可能である。従って、この格闘戦車4の移動方向は、前輪51で制御しない。
また、前輪駆動や四輪駆動にすることもできる。
更に、車輪が競技面79と接触するのではなく、
図22に示す格闘戦車5(第四例)の走行装置32のように、駆動輪である起動輪66と、従動輪である誘導輪67との周囲に履帯(ベルト)68を巻いた実戦車に近い無限軌道の格闘戦車5にすることができる。
【0106】
<緩衝装置>
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5には、板状の緩衝装置(バンパー)61が鉛直にされて車台10に設けられている。
【0107】
緩衝装置61は、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の被打撃装置23よりも、外周側に突き出された状態で、車輪ユニット210a、210bが位置する部分は切り欠いて、被打撃装置23よりも下方位置、又は被打撃装置23の下部を取り囲むように配置されている。
また、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の緩衝装置61は同じ高さに配置されており、従って、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5同士が衝突するときには、緩衝装置61同士が衝突し、被打撃装置23と緩衝装置61との間や、被打撃装置23同士は衝突しないようにされている。
従って、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の体当たりがあっても、被打撃装置23は押圧されないので、体当たりは有効な打撃にならない。
【0108】
なお、ソード型の攻撃右腕40R,攻撃左腕40Lの長剣42は、切っ先側45が上部後方に位置する攻撃待機の状態と、長剣42を回転させて攻撃した後の状態の二種類の状態があり、格闘戦車2,2a,2c,2e,2’,3,4,5の切っ先側45は、この二種類の状態のいずれかでしか静止できず、攻撃右腕40R,攻撃左腕40Lを伸ばしたまま走行させても、攻撃右腕40R,攻撃左腕40Lは被打撃装置23には衝突しないようになっている。
【0109】
<リモートコントロール>
次に、格闘戦車2,2’,2a〜2e、3〜5の電気回路を説明する。
図9は、格闘戦車2,2’,2a〜2e、3〜5の電気回路70の回路ブロック図を示している。
【0110】
この電気回路70は、主制御装置74と無線通信装置(無線通信を行うことができる回路)71とを有している。上述した走行制御装置72と、攻撃制御装置73と、打撃検出装置75とは、この電気回路70に含まれており、無線通信装置71と、走行制御装置72と、攻撃制御装置73と、打撃検出装置75とは主制御装置74に電気的に接続されており、各装置71〜73及び打撃検出装置75と主制御装置74との間では、信号の入出力ができるようにされている。
【0111】
図10(a)の符号80は、格闘戦車2,2’,2a〜2e、3〜5を操縦するコントローラを示しており、このコントローラ80は、同図(c)に示す携帯ゲーム機81裏面のカードスロット87に、同図(b)に示す、上述の無線カード82が挿入されて構成されている。
コントローラ80には、操作ボタン85や操縦桿(ここで用いた携帯ゲーム機81には、設けられていない)などの操作装置が設けられており、操作装置は、格闘戦車ゲームプログラムにより、直線移動、旋回移動、攻撃腕による攻撃等の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の種々の動作に予め対応付けられており、コントローラ80の操作ボタン85を決められた順序に従って操作することで、操作に対応付けられた動作を行うことができるようにされている。
【0112】
複数の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5が、例えば競技面79内に配置されたとき等、無線カード82から送信された無線を受信できる範囲内に位置しているときは、送信された無線信号は、各格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の無線通信装置71で受信される。各格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の内部では、受信した無線信号の内容は、無線通信装置71から主制御装置74に出力され、主制御装置74によって、受信した無線信号の内容が判断される。
【0113】
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5と無線カード82とは、一対一に対応付けられており、主制御装置74は、受信した無線信号が、対応付けられた無線カード82が送信した無線信号でないことを検出したときには、受信した無線信号には反応しない。
主制御装置74が、対応付けられた無線カード82が送信した無線信号であることを検出すると、主制御装置74は、受信した無線信号が示す内容の動作をするために、走行制御装置72や攻撃制御装置73に、無線信号が示す内容に対応した信号を出力する。
【0114】
例えば、直線移動を開始することを示す無線信号を受信した場合には、主制御装置74は、直線移動開始を指示する動作信号を、走行制御装置72に出力する。その動作信号を入力された走行制御装置72は、走行装置30を動作させて、直線移動開始を指示する信号に含まれる方向に、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の走行を開始させる。
【0115】
また、例えば、長剣42による攻撃を示す無線信号を受信した場合には、主制御装置74が長剣42による攻撃を示す動作信号を攻撃制御装置73に出力する。その動作信号が入力された攻撃制御装置73は、一旦長剣42を後方に回転移動させた後、前方に回転移動させ、切っ先側45を振り下ろす。
【0116】
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の被打撃装置23の表面の露出した部分の上方には、格闘戦車2,2’,2a、2c,2e,3〜5の長剣42と衝突する部材は配置されていない。
そのため、長剣42を有する格闘戦車2,2a、2c,2e,3〜5が対戦相手の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を攻撃しようとするときには、長剣42を対戦相手の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の被打撃装置23上に振り下ろせば、切っ先45は対戦相手の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の被打撃装置23に衝突し、対戦相手の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を有効に打撃することができる。
【0117】
打撃がされても、打撃による力が弱く、被打撃装置23の移動量が少ないときには、打撃された被打撃装置23が下方への移動や回転移動をしても、いずれの打撃検出センサ78の接点も閉じられないが、打撃による力が強く、いずれかの打撃検出センサ78の接点が閉じられると、上述したように、接点を閉じたことを示す信号が主制御装置74に出力される。
複数の打撃検出センサ78は、接点が閉じられたことを示す閉信号や、接点が開けられたことを示す開信号を、それぞれ個別に主制御装置74に出力する。
【0118】
打撃の方向によっては、一回の打撃で複数個の打撃検出センサ78の接点が閉じることもあるが、接点が閉じたことを示す信号が、短時間に主制御装置74に複数入力される場合がある。
そのとき、主制御装置74から無線通信装置71に入力された信号をそのまま出力し、無線通信装置71から無線電波で送信してもよいし、主制御装置74に所定の時間内に複数個入力された場合は、接点が閉じたことを示す信号は主制御装置74から一回だけ出力し、一回の有効な打撃であったことにすることができる。
いずれにしろ有効な打撃があったときは、その旨を示す信号が、主制御装置74から無線通信装置71に出力され、無線通信装置71から無線電波で送信される。
【0119】
各競技者が操作するコントローラ80は、装着された無線カード82からプログラムとデータを読み込み、記憶したプログラムやデータに従って格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を動作させており、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の無線通信装置71から送信された無線信号は、その無線信号が受信できる範囲内に位置する複数のコントローラ80の無線カード82内の通信装置で受信される。
【0120】
各無線カード82が受信した信号の内容は、携帯ゲーム機81の演算装置によって解析され、装着された無線カード82に対応づけられた格闘戦車2から送信された信号でない、と判断されると、コントローラ80は、受信した信号には反応しない。
【0121】
対応付けられた格闘戦車2であると判断した場合には、コントローラ80は、プログラムに従って動作する。例えば、コントローラ80には、カウンターが設けられており、格闘戦車2から、有効な打撃があったことを示す無線信号を受信したことを検出すると、コントローラ80は、打撃の回数を積算するカウンターの値を歩進させる。
無線カード82が、打撃されたことを示す信号を短時間に複数受信したことをコントローラ80の演算装置が検出すると、一回の打撃で複数の信号が発生したものとして、有効な打撃が一回分だけカウンターの値を歩進させることができる。要するに、有効打撃の個数は、格闘戦車2側で判断してもコントローラ80側で判断してもよい。
【0122】
ここで、コントローラ80に、予め打撃回数の上限値を設定しておき、カウンターの計数値を、設定された上限値と比較して、上限値に達した格闘戦車2は、戦闘不能であるものと判断することができる。そのとき、上限値に達したカウンターを有するコントローラ80の画面86に、戦闘不能であることを表示させることができる。
【0123】
なお、無線カード82間で無線通信ができるようにしておけば、携帯ゲーム機81は、対応付けられた格闘戦車2以外の対戦相手の格闘戦車2a〜2eを区別できるので、格闘戦車2は、攻撃した他の格闘戦車2a〜2eを特定し、攻撃が有効であったかどうかを知ることができる。
有効な打撃を対戦相手の格闘戦車2a〜2eに加えたことが分かれば、攻撃を加えた格闘戦車2の攻撃可能な時間を増加させることもできる。
【0124】
また、長剣42に攻撃センサを設け、切っ先側45の被打撃装置23への打撃を検出できるようにすると、攻撃した格闘戦車2と攻撃された格闘戦車2a〜2eの両方が、打撃があったことを検出することができる。
この場合、攻撃を加えた格闘戦車2は、対戦相手の格闘戦車2a〜2eの有効な打撃の検出結果とを照合し、有効な打撃であった場合に、有効な打撃を受けた格闘戦車2a〜2eの攻撃可能時間を、攻撃した格闘戦車2に一部移動させることができる。
【0125】
なお、ここで用いた携帯ゲーム機81には無線LAN機能が内蔵されているので、格闘戦車2の無線通信装置71に無線LAN機能を設け、競技面79上の複数の格闘戦車2,2a〜2eと複数のコントローラ80とによって無線LANを構築し、コントローラ80と格闘戦車2,2a〜2eとの間や、コントローラ80間や、格闘戦車2,2a〜2e間で、無線LANを用いて通信させることができる。
その場合、複数の携帯ゲーム機81や競技面79上の格闘戦車2,2a〜2eが同じ無線LANに参加できるから、各格闘戦車2,2a〜2eが有する戦闘可能時間等の各格闘戦車2,2a〜2eの状態を知ることができる。また、携帯ゲーム機81間でメッセージを送受信することもできる。
【0126】
なお、上記第一例の格闘戦車2では、コントローラ80に、携帯ゲーム機81と無線カード82とを用いたが、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5に対する専用のコントローラ80を作成して、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を操縦することもできる。
【0127】
また、携帯ゲーム機81のLAN機能を使用する場合には、無線カード82に代え、無線通信機能は有していないが、ゲームプログラムやゲームに用いるデータは内蔵されているカードをカードスロット87に挿入して、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5とLANで通信してゲームするようにしても良い。
また、コントローラ80には、携帯型ゲーム機ではなく、携帯電話をコントローラ80にして、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を操縦するようにしても良い。
また、コントローラ80には無線信号の受信回路を設けず、コントローラ80によって本発明の格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を操縦してゲームを行うようにしてもよい。
【0128】
<カメラ>
格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5には、カメラを設けてカメラが撮影した映像を、コントローラ80に無線送信し、コントローラ80の画面86に表示することができる。この場合、格闘戦車2の高さで、他の格闘戦車2’,2a〜2e,3〜5を撮影することができるので、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5の被打撃装置23の前面に、格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5毎に固有の模様を付して、カメラで撮影してパターン認識すると、コントローラ80が格闘戦車2,2’,2a〜2e,3〜5を識別することができる。