(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走査部は、前記電磁波源から射出される前記パルス状電磁波を導波して前記対象物に照射するファイバと、該ファイバの射出端部を振動駆動するファイバ駆動部と、を備える請求項1に記載の走査型観察装置。
前記走査部は、前記電磁波源から射出される前記パルス状電磁波を導波して前記対象物に照射するファイバと、該ファイバの射出端部を振動駆動するファイバ駆動部と、を備える請求項3に記載の走査型観察装置。
前記走査部は、前記電磁波源から射出される前記パルス状電磁波を導波して前記対象物に照射するファイバと、該ファイバの射出端部を振動駆動するファイバ駆動部と、を備える請求項6に記載の走査型観察装置。
前記制御部は、前記アナログ/デジタル変換部の出力が最大値となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御する、請求項6又は7に記載の走査型観察装置。
前記制御部は、前記画像処理部で生成される前記画像の全体の明るさの平均値が最大となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御する、請求項6又は7に記載の走査型観察装置。
前記制御部は、前記画像処理部で生成される前記画像の関心領域の明るさの平均値が最大となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御する、請求項6又は7に記載の走査型観察装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の光ファイバ走査型内視鏡にあっては、対象物に白色光を照射し、その戻り光をR、G、Bの光に分光してそれぞれの光検出器で受光することから、分光フィルタ及びR、G、Bのそれぞれの光検出器を要する。そのため、部品点数が多く、装置の大型化やコストアップを招くことになる。また、分光フィルタによる光量ロスも大きくなり、明るい画像が得られにくい。
【0005】
その解決策として、例えば、サンプリングレートに合わせて、RGBのレーザを順次切り替えて、対象物にRGBのパルス光を順次照射することが想定される。このようにすれば、分光フィルタが不要となり、光検出器も一つで済むので、部品点数を削減でき、装置の小型化及びコストダウンが図れるとともに、光量ロスを低減でき、明るい画像が得られる利点がある。
【0006】
ところが、本発明者が鋭意検討したところ、RGBの各レーザから射出されるパルス光の出力波形のピークは、半導体レーザにおいてはレーザダイオードの特性、温度、経時変化、製造ばらつき等によって個々にばらつきが生じる。また、光検出器の応答性も、温度、経時変化、製造ばらつき等によってばらつきが生じる。さらに、光検出器の出力信号をバンドパスフィルタ等の回路フィルタを通してサンプリングする場合は、回路フィルタの応答性によって出力信号に遅延が生じ、その遅延量も温度等に影響される。また、光ファイバの先端の駆動についても、先端が同じタイミングで同じ位置を通らないという軌跡のばらつきがある。
【0007】
そのため、単に、サンプリングレートに合わせて、RGBのレーザを順次切り替えて光検出器の出力信号をサンプリングしても、各レーザから射出されるパルス光の出力波形のピークと光検出器の出力信号のサンプリングタイミングとが必ずしも一致せず、画像のS/N及び明るさが低下する場合があることがわかった。なお、このような問題は、パルス状の電磁波を照射する各種の走査型観察装置に同様に生じるものである。
【0008】
したがって、かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、画像のS/N及び明るさを改善できる走査型観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る走査型観察装置は、
電磁波源と、
該電磁波源からパルス状電磁波を射出させる電磁波源駆動部と、
前記パルス状電磁波を対象物に照射して該対象物を走査する走査部と、
前記パルス状電磁波の照射により前記対象物から得られる電磁波を検出してアナログの電気信号に変換する電磁波検出部と、
該電磁波検出部からの前記電気信号をサンプリングしてデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部と、
該アナログ/デジタル変換部の出力に基づいて前記対象物の画像を生成する画像処理部と、
前記電磁波源駆動部による前記電磁波源からの前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記アナログ/デジタル変換部による前記電磁波検出部からの前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御する制御部と、
を備えるものである。
【0010】
前記走査部は、前記電磁波源から射出される前記パルス状電磁波を導波して前記対象物に照射するファイバと、該ファイバの射出端部を振動駆動するファイバ駆動部と、を備えてもよい。
【0011】
前記制御部は、前記アナログ/デジタル変換部の出力が最大値となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御してもよい。
【0012】
前記制御部は、前記画像処理部で生成される前記画像の全体の明るさの平均値が最大となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記画像処理部で生成される前記画像の関心領域の明るさの平均値が最大となるように、前記パルス状電磁波の射出タイミングと前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御してもよい。
【0014】
前記関心領域は、前記画像の中心部又は周辺部とするとよい。
【0015】
前記電磁波源は、赤色光を射出する第1のレーザ、緑色光を射出する第2のレーザ、及び青色光を射出する第3のレーザを有し、
電磁波源駆動部は、時系列的に異なる色のパルス光が順次射出されるように、前記第1のレーザ、前記第2のレーザ及び前記第3のレーザを選択的に駆動し、
前記制御部は、前記第1のレーザ、前記第2のレーザ及び前記第3のレーザの各々に対して、前記パルス光の射出タイミングと当該パルス光に対応する前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御してもよい。
【0016】
前記電磁波源は、所定波長の励起光を射出する第4のレーザを有し、
前記電磁波検出部は、前記対象物への前記励起光の照射により前記対象物から発生する信号光を検出し、
前記制御部は、前記励起光の射出タイミングと前記信号光に対応する前記電気信号のサンプリングタイミングとを相対的に制御してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像のS/N及び明るさを改善できる走査型観察装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0020】
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る走査型観察装置の一例である光走査型内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。光走査型内視鏡装置10は、スコープ20と、制御装置本体30とディスプレイ40とを有している。
【0021】
制御装置本体30は、光走査型内視鏡装置10全体を制御する制御部31、レーザ駆動部32、第1〜第3のレーザ33R、33G、33B、及び結合器34を有している。第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bは電磁波源を構成するもので、第1のレーザ33Rは赤のレーザ光を、第2のレーザ33Gは緑のレーザ光を、第3のレーザ33Bは青のレーザ光をそれぞれ射出するものである。レーザ駆動部32は、電磁波源駆動部を構成するもので、制御部31の制御の下に、第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bからパルス状のR、G、Bのレーザ光を選択的に順次射出するように、第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bを駆動する。第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bとしては、例えばDPSSレーザ(半導体励起固体レーザ)やレーザダイオードを使用することができる。
【0022】
第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bから順次射出される各レーザ光は、結合器34により同軸に結合された光路を経て、照明光としてシングルモードファイバからなる照明用光ファイバ11に入射される。結合器34は、例えばダイクロイックプリズム等を有して構成される。もちろん、光走査型内視鏡装置10の光源の構成はこれに限られず、一つのレーザを用いるものであっても、他の複数の光源を用いるものであっても良い。また、第1〜第3のレーザ33R、33G、33B及び結合器34は、制御装置本体30と信号線で結ばれた制御装置本体30とは別の筐体に収納されていても良い。
【0023】
照明用光ファイバ11は、スコープ20の先端部まで延在している。結合器34を経て照明用光ファイバ11に入射した光は、スコープ20の先端部まで導光され対象物100に向けて照射される。その際、照明用光ファイバ11の先端部は、駆動部21により振動駆動される。これにより、照明用光ファイバ11から射出される照明光によって、対象物100の観察表面上が2次元走査される。したがって、照明用光ファイバ11及び駆動部21は走査部を構成する。駆動部21は、制御装置本体30内に設けられた駆動制御部38により、制御部31の制御のもとに駆動制御される。照明光の照射により対象物100から得られる反射光や散乱光等の光は、スコープ20内に延在するマルチモードファイバからなる検出用光ファイババンドル12により受光されて制御装置本体30まで導光される。
【0024】
制御装置本体30は、検出用光ファイババンドル12により導光される光を処理するための光検出器35、ADC(アナログ/デジタル変換部)36、画像処理部37、駆動制御部38、及び各種のプログラムやデータ等を格納するメモリ39をさらに備える。光検出器35は、電磁波検出部を構成するもので、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、光電子増倍管等からなり、検出用光ファイババンドル12による導光される光を電気信号に変換する。ADC36は、光検出器35からの出力信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、画像処理部37に出力する。制御部31は、駆動制御部38により駆動部21に印加した駆動電圧の振幅及び位相などの情報に基づいて、照明用光ファイバ11による走査経路上の走査位置の情報を算出し、その算出した情報を画像処理部37に供給する。画像処理部37は、ADC36から出力されたデジタル信号及び制御部31からの走査位置情報に基づいて対象物100の画素データ(画素値)を内蔵のメモリに格納し、走査終了後又は走査中に補間処理等の必要な処理を行って対象物100の画像を生成してディスプレイ40に表示する。
【0025】
図2は、スコープ20を概略的に示す概観図である。スコープ20は、操作部22及び挿入部23を備える。操作部22には、制御装置本体30からの照明用光ファイバ11、検出用光ファイババンドル12、及び、配線ケーブル13が、それぞれ接続されている。これら照明用光ファイバ11、検出用光ファイババンドル12及び配線ケーブル13は挿入部23の内部を通り、挿入部23の先端部24(
図2における破線部内の部分)まで延在している。
【0026】
図3は、
図2のスコープ20の挿入部23の先端部24を拡大して示す断面図である。先端部24は、駆動部21、投影用レンズ25a、25b、中心部を通る照明用光ファイバ11及び外周部を通る検出用光ファイババンドル12を含んで構成される。
【0027】
駆動部21は、取付環26によりスコープ20の挿入部23の内部に固定されたアクチュエータ管27、並びに、アクチュエータ管27内に配置されるファイバ保持部材29及び圧電素子28a〜28d(
図4(a)及び(b)参照)を含んで構成される。照明用光ファイバ11は、ファイバ保持部材29で支持されるとともにファイバ保持部材29で支持された固定端11aから先端面11cまでが、揺動可能に支持された揺動部11bとなっている。一方、検出用光ファイババンドル12は挿入部23の外周部を通るように配置され、先端部24の先端まで延在している。さらに、検出用光ファイババンドル12の各ファイバの先端部には図示しない検出用レンズを備える。
【0028】
さらに、投影用レンズ25a、25b及び検出用レンズは、先端部24の最先端に配置される。投影用レンズ25a、25bは、照明用光ファイバ11の先端面11cから射出されたレーザ光が、対象物100上に略集光するように構成されている。また、検出用レンズは、対象物100上に集光されたレーザ光が、対象物100により反射、散乱、屈折等をした光(対象物100と相互作用した光)等を取り込んで、検出用レンズの後に配置された検出用光ファイババンドル12に集光して入射させるように配置される。なお、投影用レンズは、二枚構成に限られず、一枚や他の複数枚のレンズにより構成しても良い。
【0029】
図4(a)は、光走査型内視鏡装置10の駆動部21の振動駆動機構及び照明用光ファイバ11の揺動部11bを示す図であり、
図4(b)は
図4(a)のA−A線断面図である。照明用光ファイバ11は、角柱状の形状を有するファイバ保持部材29の中央を貫通して、ファイバ保持部材29に固定保持される。ファイバ保持部材29の4つの側面は、それぞれ±Y方向及び±X方向に向いている。そして、ファイバ保持部材29の±Y方向の両側面にはY方向駆動用の一対の圧電素子28a、28cが固定され、±X方向の両側面にはX方向駆動用の一対の圧電素子28b、28cが固定される。
【0030】
圧電素子28a〜28dは、
図1に示すように制御部31の制御のもとに、駆動制御部38により配線ケーブル13を介して駆動制御される。例えば、X方向の圧電素子28bと28dとの間には、極性が反対で大きさの等しい電圧が印加され、同様に、Y方向の圧電素子28aと28cとの間にも、極性が反対で大きさの等しい電圧が印加される。ファイバ保持部材29を挟んで対向配置された圧電素子28b、28dが、互いに一方が伸びるとき他方が縮むことによって、ファイバ保持部材29に撓みを生じさせ、これを繰り返すことによりX方向の振動を生ぜしめる。Y方向の振動についても同様である。
【0031】
駆動制御部38は、X方向駆動用の圧電素子28b、28dとY方向駆動用の圧電素子28a、28cとに、同一又は異なる周波数の振動電圧を印加して、圧電素子28a〜28dを振動駆動させる。Y方向駆動用の圧電素子28a、28cとX方向駆動用の圧電素子28b、28dとをそれぞれ振動駆動させると、
図3及び
図4に示した照明用光ファイバ11の揺動部11bが振動して、先端部11cが偏向する。これにより、先端部11cから出射されるレーザ光が対象物100の表面を走査する。
【0032】
本実施の形態では、照明用光ファイバ11の振動駆動に同期して、第1〜第3のレーザ33R、33G、33BからR、G、Bのパルス状のレーザ光を順次繰り返し射出させる。そして、光検出器35から得られる順次のRGBの3パルスに対応する出力信号を対象物100の1画素情報として、照明用光ファイバ11による1走査で多数の画素情報を取得し、それらの画素情報に基づいて対象物100の画像を生成する。
【0033】
ここで、光検出器35から順次得られるRGBの出力信号波形は、RGBのパルス光の出力波形に対応する。そのため、
図5(a)に示すように、光検出器35から順次得られるRGBの出力信号波形に対して、ADC36におけるそれぞれのサンプリングタイミングが出力信号波形のピーク位置に一致していないと、明るい画像が得られない。そこで、本実施の形態では、
図5(b)に示すように、ADC36におけるRGBのそれぞれのサンプリングタイミングを、光検出器35から得られる対応する出力信号波形のピーク位置にそれぞれ一致し、ADC36から最大出力が得られるように予め設定する。
【0034】
図6は、本実施の形態におけるサンプリングタイミングの設定動作の一例を示すフローチャートである。ADC36におけるサンプリングレートは、内視鏡画像に必要な解像度(例えば、10万画素)によって決定され、例えば10MHz〜50MHzになる。同様に、RGBのパルス光の発光レートも、ADC36におけるサンプリングレートに合わせて、例えば10MHz〜50MHzになる。したがって、例えば、ADC36におけるサンプリングレートが30MHz(周期約33ns)の場合で、RGBの各々についてサンプリングタイミングをN段階で調整可能とすると、例えばN=10の場合、1段階の調整幅Twは3.3nsとなる。
【0035】
設定動作においては、対象物100として例えば白色のチャートを使用して、レーザ毎(色毎)に設定する。先ず、制御部31は、
図6に示すように、駆動制御部38により駆動部21を駆動して照明用光ファイバ11の揺動部11bの揺動(振動)を開始させる(ステップS601)。次に、制御部31は、レーザ駆動部32により第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bのうちの一つ、例えば第1のレーザ33Rを駆動して、実際の画像観察時と同じ所定の発光タイミングでR光のパルス光のみを射出させる(ステップS602)。また、制御部31は、第1のレーザ33Rの発光タイミングに対応するADC36におけるサンプリングタイミングTを初期値0に初期化して(ステップS603)、画像処理部37によりR像の1フレームの画像を取得させる(ステップS604)。ここで、T=0は、例えばR光のパルス光の発光タイミングとする。
【0036】
その後、制御部31は、画像処理部37において取得したR像の画素値の最大値を検索し、その検索した画素最大値をサンプリングタイミングTに対応させてメモリ39へ格納する(ステップS605)。ここで、画素最大値は、R像の画像全体の画素最大値であってもよいし、関心領域の画像の画素最大値であってもよい。なお、関心領域は、例えば
図7(a)に示すように、画像中央部とすることもできるし、内視鏡によるスクリーニング診断の場合は、画像周辺部の管空壁が診断対象となるので、
図7(b)に示すように、画像周辺部とすることもできる。
【0037】
次に、制御部31は、サンプリングタイミングTをインクリメントして(ステップS606)、調整幅を1段階増加させる。そして、ステップS607においてサンプリングタイミングTが所定の調整段階(T=NTw)に達するまで、ステップS604からステップS607の動作を繰り返す。その後、制御部31は、ステップS607においてサンプリングタイミングTが所定の調整段階に達したら、メモリ39に格納されている各調整段階における画素最大値を読み出して、ADC36におけるR光のサンプリングタイミングを、最も大きい画素最大値(最大画素値)に対応するサンプリングタイミングTに設定する(ステップS608)。上記の設定動作を、G光及びB光に対しても同様に行う。
【0038】
本実施の形態によると、ADC36におけるRGBのそれぞれのサンプリングタイミングTが、光検出器35から得られる対応する出力信号波形のピーク位置にそれぞれ一致して最大画素値が得られるタイミングに設定される。したがって、画像全体あるいは関心領域の画像として、S/Nの高い最も明るい画像を取得することができる。
【0039】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態においては、
図1に示した構成において、ADC36におけるRGBのそれぞれのサンプリングタイミングTを、RGBのそれぞれの画像における画素平均値の最大値に対応する値に設定する。
図8は、この場合の設定動作の一例を示すフローチャートである。本実施の形態は、
図6に示した設定動作と以下の点が異なる。
【0040】
すなわち、
図6のステップS605に対応するステップS805において、画像処理部37において取得したR像の画像全体又は関心領域の画素値の平均値(画素平均値)を算出し、その算出した画素平均値を調整値に対応させてメモリ39へ格納する。また、
図6のステップS608に対応するステップS808においては、メモリ39に格納されている各調整段階における画素平均値を読み出して、ADC36におけるR光のサンプリングタイミングTを、画素平均値が最大となる値に設定する。その他のステップS801〜S804、S806、S807は、
図6のステップS601〜S604、S606、S607と同じ処理である。
【0041】
本実施の形態によると、ADC36におけるRGBのそれぞれのサンプリングタイミングTが、RGBのそれぞれの画像において算出された画素平均値の最大値に対応するタイミングに設定される。したがって、照明用光ファイバ11の振れによって、同じ位置の画素信号が得られない場合でも、平均的な画素値を算出するので、照明用光ファイバ11の振れによらず、全体画像あるいは関心領域の画像のS/N及び明るさを改善することが可能となる。
【0042】
(第3実施の形態)
図9は、第3実施の形態に係る走査型観察装置の一例である光走査型内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態は、
図1に示した構成において、さらに蛍光・燐光等の信号光を検出可能としたものである。そのため、電磁波源には、励起光を射出する第4のレーザ33が設けられている。対象物100の蛍光像あるいは燐光像を観察する場合、第4のレーザ33は、制御部31の制御の下に、パルス状の励起光を順次射出するように駆動される。第4のレーザ33としては、例えばDPSSレーザ(半導体励起固体レーザ)やレーザダイオードを使用することができる。
【0043】
第4のレーザ33から順次射出される励起光は、結合器34により同軸に結合された光路を経て照明用光ファイバ11に入射されて対象物100に向けて照射される。その際、照明用光ファイバ11の先端部が、駆動部21により振動駆動されて、照明用光ファイバ11から射出される励起光によって、対象物100の観察表面上が2次元走査される。そして、励起光の照射により対象物100から発生する信号光は、例えば励起光を遮断し、信号光のみを透過する光学フィルタ(図示せず)を通して光検出器35で受光される。
【0044】
ここで、
図10に示すように、対象物100への励起光の照射により、光検出器35で受光される対象物100からの信号光のピークタイミングT2は、励起光の反射光のピークタイミングT1から遅れて発生する。そのため、本実施の形態では、信号光の遅れを考慮して、励起光の発光タイミングに対してADC36による光検出器35からの信号光出力のサンプリングタイミングを設定する。なお、
図10において、T0は励起光の発光タイミングを示す。
【0045】
図11は、本実施の形態によるサンプリングタイミングの設定動作の一例を示すフローチャートである。本実施の形態は、例えば蛍光物質で染色されたサンプルを用いて設定動作を行う。先ず、制御部31は、駆動制御部38により駆動部21を駆動して照明用光ファイバ11の揺動部11bの揺動(振動)を開始させる(ステップS1101)。次に、制御部31は、レーザ駆動部32により第4のレーザ33を駆動して、実際の画像観察時と同じ所定の発光タイミングで励起光のパルス光を射出させる(ステップS1102)。また、制御部31は、第4のレーザ33の発光タイミングに対応するADC36におけるサンプリングタイミングTを初期値T0に設定して(ステップS1103)、画像処理部37により信号光による1フレームの画像を取得させる(ステップS1104)。
【0046】
その後、制御部31は、画像処理部37において取得した画像の画素最大値の検索処理あるいは画素平均値の算出処理を実行して、検索した画素最大値あるいは算出した画素平均値をサンプリングタイミングTに対応させてメモリ39へ格納する(ステップS1105)。ここで、画素最大値や画素平均値は、画像全体に対するものであってもよいし、関心領域に対するものであってもよい。
【0047】
次に、制御部31は、サンプリングタイミングTを「T+ΔT」にインクリメントして(ステップS1106)、調整幅を1段階増加させる。ここで、ΔTは、
図10のT0から信号光が消失するまでの期間を適宜の複数N個に分割して設定する。そして、ステップS1107においてサンプリングタイミングTが所定の調整段階(T=T0+NΔT)に達するまで、ステップS1104からステップS1107の動作を繰り返す。その後、制御部31は、ステップS1107においてサンプリングタイミングTが所定の調整段階に達したら、メモリ39に格納されている各調整段階における画素最大値や画素平均値を読み出して、ADC36における信号光のサンプリングタイミングTを、最も大きい画素最大値(最大画素値)あるいは画素平均値の最大値(最大画素平均値)に対応するタイミングに設定する(ステップS1108)。
【0048】
したがって、本実施の形態によると、蛍光や燐光の信号光による画像を観察する場合でも、上述した実施の形態と同様に画像のS/N及び明るさを改善することが可能となる。なお、本実施の形態では、第1〜第3のレーザレーザ33R、33G、33Bを設けたが、これらを省略して蛍光や燐光等のよる信号光の画像のみを観察する走査型内視鏡装置とすることもできる。この場合は、結合器34を省略して、第4のレーザ33からの励起光を照明用光ファイバ11に入射させればよい。
【0049】
(第4実施の形態)
本発明の第4実施の形態では、例えば
図1に示した構成において、光検出器35のリンギング特性を考慮してサンプリングタイミングを設定する。すなわち、光検出器35には、
図12に示すように、本来の検出光のタイミングから遅れたタイミングにノイズが発生するリンギング特性がある。そのため、例えばRGB光のそれぞれのサンプリングタイミングをそれぞれR1、G1、B1の出力のピーク位置に設定しても、R光の検出の際には直前のB光のリンギングが影響し、G光の検出の際には直前のR光のリンギングが影響し、B光の検出の際には直前のG光のリンギングが影響する場合がある。そこで、本実施の形態では、第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bの各々について、本来の検出光の輝度値とリンギングによる他色の輝度値との差が最大となるようにADC36におけるそれぞれのサンプリングタイミングを設定する。つまり、RGB光のそれぞれのサンプリングタイミングを、
図12にそれぞれR2、G2、B2で示すように設定する。
【0050】
図13は、本実施の形態におけるサンプリングタイミングの設定動作の一例を示すフローチャートである。以下、
図1を参照しながら説明する。設定動作においては、対象物100として例えば白色のチャートを使用する。先ず、制御部31は、駆動制御部38により駆動部21を駆動して照明用光ファイバ11の揺動部11bの揺動(振動)を開始させる(ステップS1301)。次に、制御部31は、レーザ駆動部32により第1〜第3のレーザ33R、33G、33Bのうちの一つ、例えば第1のレーザ33Rを駆動して、実際の画像観察時と同じ所定の発光タイミングでR光のパルス光のみを射出させる(ステップS1302)。また、制御部31は、第1のレーザ33Rの発光タイミングに対応するADC36におけるサンプリングタイミングTを初期値0に初期化して(ステップS1303)、画像処理部37によりR像の1フレームの画像を取得させる(ステップS1304)。ここで、T=0は、R光のパルス光の発光タイミングとする。
【0051】
その後、制御部31は、画像処理部37において取得したR像の画素最大値の検索処理あるいは画素平均値の算出処理を実行して、検索した画素最大値あるいは算出した画素平均値をサンプリングタイミングTに対応させてメモリ39へ格納する(ステップS1305)。ここで、画素最大値や画素平均値は、画像全体に対するものであってもよいし、関心領域に対するものであってもよい。
【0052】
次に、制御部31は、サンプリングタイミングTを「T+ΔT」にインクリメントして(ステップS1306)、調整幅を1段階増加させる。ここで、ΔTは、
図12のT0からリンギングが消失するまでの期間を適宜の複数N個に分割して設定する。そして、ステップS1307においてサンプリングタイミングTが所定の調整段階(T=T0+NΔT)に達するまで、ステップS1304からステップS1307の動作を繰り返す。以上のステップS1302からステップS1307の動作を、ステップS1308においてRGBの各色について終了するまで繰り返す。
【0053】
その後、制御部31は、メモリ39に格納されている順次の2色についての各調整段階における画素最大値や画素平均値を読み出して、各色について当該色の本来の画素最大値あるいは画素平均値と、リンギングによる直前の色の画素最大値あるいは画素平均値との差が最大となるように、つまり2色の差分が最大となるように、ADC36におけるサンプリングタイミングTを設定する(ステップS1309)。これにより、光検出器35のリンギング特性に影響されることなく、画像のS/N及び明るさを改善することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば上記実施の形態では、レーザの発光タイミングに対してADC36による光検出器35からの対応する出力信号のサンプリングタイミングを制御するようにしたが、ADC36のサンプリングタイミングに対してレーザの発光タイミングを制御してもよいし、例えば疎調整はレーザの発光タイミングを制御することにより行い、微調整はADC36のサンプリングタイミングを制御することにより行う等、両者を相対的に制御してもよい。また、発光タイミングを制御する場合は、パルス光の立ち上がりを制御して、パルス光の幅を制御してもよい。また、照明用光ファイバ11の駆動部21は、圧電式に限らず、コイルと永久磁石とを有する電磁式とすることもできる。さらに、本発明は、赤外光や紫外光、X線、ガンマ線等を照射して画像を得る走査型観察装置にも有効に適用できるとともに、光ファイバを用いることなく、例えばガルバノミラー等を用いて励起光を走査する蛍光顕微鏡等にも有効に適用することができる。