(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記切り込み又は穴から前記エアバッグ部内に気体を吹き込んで前記エアバッグ部を膨張させ、次いで前記切り込み又は穴の近傍をシールして前記エアバッグ部内に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入方法において、超音波シール装置のホーンとアンビルが前記エアバッグ付き袋の両側に配置され、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が前記圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路が形成された前記ホーンとアンビルの一方又は双方が前記ノズルを兼ね、前記流路の他端が前記吹き出し口とされ、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとともに、前記ホーンとアンビルで前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールすることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
前記気体導入部の両面のフィルムに前記切り込み又は穴が形成され、前記ホーンとアンビルの双方に前記流路が形成され、前記ホーンとアンビルの双方が前記ノズルを兼ね、前記ホーンとアンビルの双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むことを特徴とする請求項1に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき、前記ホーンとアンビルの先端同士を前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔を置いて互いに対向させ、前記間隔は気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制されるように設定され、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、前記ホーンとアンビルを前進させ、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧することを特徴とする請求項2に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
前記ホーンとアンビルが前記エアバッグ付き袋に対し進退可能とされ、前記ホーンとアンビルを前進させて前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを所定の付勢力で挟圧した状態で前記吹き出し口から気体を吹き出し、気体の圧力により前記ホーンとアンビルを前記付勢力に抗して後退させて先端同士の間隔を広げ、このときの前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔は気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制されるように設定され、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、再度前記ホーンとアンビルを前進させ、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧することを特徴とする請求項2に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
前記ホーンとアンビルの一方又は双方の先端に凹溝が形成され、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧した状態で前記吹き出し口から気体を吹き出し、前記気体の圧力で前記凹溝の内側において前記エアバッグ部の両面のフィルムの間に隙間を生じさせ、前記隙間を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、次いで前記ホーンに振動エネルギーを供給して、前記凹溝の内側の部分を含めて前記切り込み又は穴の周囲のフィルムをシールすることを特徴とする請求項1又は2に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記切り込み又は穴から前記エアバッグ部内に気体を吹き込んで前記エアバッグ部を膨張させ、次いで前記切り込み又は穴の近傍をシールして前記エアバッグ部内に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置において、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する袋移送装置と、前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置された超音波シール装置を備え、前記超音波シール装置のホーンとアンビルが前記移送経路を挟んで対向して配置され、前記停止位置に停止した前記エアバッグ付き袋に向けて共に前進又は後退し、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が前記圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路が形成された前記ホーンとアンビルの一方又は双方が前記ノズルを兼ね、前記流路の他端が前記吹き出し口とされ、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとともに、前記ホーンとアンビルで前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールすることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記袋移送装置が、前記エアバッグ付き袋の両側縁を把持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組備えることを特徴とする請求項7に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記エアバッグ付き袋が前記気体導入部の両面のフィルムに前記切り込み又は穴が形成されたもので、前記ホーンとアンビルの双方に前記流路が形成され、前記ホーンとアンビルの双方が前記ノズルを兼ね、前記ホーンとアンビルの双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むことを特徴とする請求項7又は8に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき前記ホーンとアンビルは前記退避位置から前進して前記前進位置の直前で停止し、このとき前記ホーンとアンビルの先端同士が前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔を置いて互いに対向し、前記間隔は気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制されるように設定され、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき前記ホーンとアンビルは前記前進位置に前進して前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退することを特徴とする請求項9に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記ホーンとアンビルを前進又は後退させる駆動源が設置され、前記ホーンとアンビルが前記駆動源により前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを所定の付勢力で挟圧し、前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力により前記ホーンとアンビルが前記前進位置から前記付勢力に抗して後退し、前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔が前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔に広がり、前記間隔は気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制されるように設定され、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、前記ホーンとアンビルが再度前記前進位置に前進し、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退することを特徴とする請求項9に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記ホーンとアンビルは前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、前記前進位置で前記吹き出し口から気体が吹き出され、かつ前記ホーンに溶着面に対し垂直方向の振動である縦振動の振動エネルギーが供給され、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記ホーンとアンビルの一方又は双方の先端に凹溝が形成され、前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記ホーンとアンビルは前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、その状態で前記吹き出し口から気体が吹き出され、次いで前記ホーンに振動エネルギーが供給され、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で前記凹溝の内側において前記エアバッグ部の両面のフィルムの間に隙間が生じ、前記凹溝の内側の部分を含めて前記切り込み又は穴の周囲のフィルムが超音波シールされ、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
ホーンとアンビルが対向配置されて進退し、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路の他端が加圧気体の吹き出し口となっていることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入用超音波シール装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載された気体の封入方法には以下のような問題点がある。
(1)特許文献1の方法では、エアバッグ部内へ気体を吹き込む気体吹き込み用ノズル及び受け部材と、エアバッグ部へ吹き込んだ気体を該エアバッグ部に封入する一対の熱板を必要とし、特許文献2の方法では、さらに前記エアバッグ部に気体を一時的に閉じこめる遮断用グリッパーを必要とする。ノズル及び受け部材はエアシリンダー等の駆動手段により退避位置と前進位置の間を進退し、一対の熱板と遮断用グリッパーはそれぞれ前記ノズル及び受け部材とは別の駆動手段により開閉する。このように、特許文献1,2の方法を実施する装置は、ノズル及び受け部材のほかにも可動部材とその駆動手段を含み、全体の構造が複雑である。
【0006】
一方、エアバッグ付き袋の両側縁を左右一対のグリッパーで把持し、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程でエアバッグ部への気体の吹き込み及び封入を行う場合において、エアバッグ付き袋の種類が変更されると、前記グリッパーに把持されたエアバッグ付き袋のエアバッグ部に形成された切り込み又は穴の位置(上下方向又は水平方向の位置)がそれ以前のものとは異なることがあり得る。その場合、変更後のエアバッグ付き袋の切り込み又は穴の位置に合わせて、前記ノズル、一対の熱板及び遮断用グリッパーの位置を、それぞれの駆動装置と共に調整する必要があるが、調整箇所が多く、作業が繁雑である。
【0007】
(2)特許文献1には、エアバッグ部の切り込み又は穴の近傍を熱板でシールした後、シール部の冷却を行うことは記載されていない。しかし、シール部の冷却を行わない場合、シール部及びその近傍にしわ等が生じて見栄えを損なわれたり、シール部の強度が低下するなどの問題が発生することがある。熱板でシールした後、一対の冷却板でシール部を挟持し冷却すれば、これらの問題が発生するのを防止できるが、冷却板(駆動手段を含む)を設置することにより気体封入装置の構造がさらに複雑化する。
【0008】
特許文献2には、エアバッグ部の切り込み又は穴の箇所を袋口と一緒に熱板でシールした後、冷却板で前記切り込み又は穴の箇所を含むシール部全体を挟持し、冷却することが記載されている。この方法によれば、シール部(エアバッグ部の切り込み又は穴の箇所)に前記問題が発生するのを防止できる。しかし、この方法は、袋口と一緒にシール及び冷却する関係上、前記切り込み又は穴が袋の上部(左右一対のグリッパーより上の位置)に形成されている場合にしか適用できない。また、この方法は、エアバッグ部への気体の封入を、包装処理工程(袋口の開口、被包装物の充填等)に続いて行う場合にしか適用できない。
【0009】
(3)特許文献1に記載された気体封入方法では、エアバッグ部への気体吹き込みを継続中に、膨張した状態のエアバッグ部(切り込み又は穴の近傍)を熱板で挟圧し、気体をエアバッグ部内に封入する。このとき、熱板で挟圧したエアバッグ部(シール部)の表裏のフィルムが平らに潰れず、シール部に縦しわができて見栄えを損ねたり、シールが不完全となって内部に隙間が生じ、前記隙間を通してエアバッグ部内の気体が漏れるという問題が生じる。
特許文献2に記載された気体封入方法では、エアバッグ部への気体吹き込みを継続中に、膨張した状態のエアバッグ部(切り込み又は穴の近傍)を遮断用グリッパーで挟持し、切り込み又は穴とエアバッグ部内との気体の流通を遮断する。このとき、遮断用グリッパーで挟持したエアバッグ部(遮断部位)の表裏のフィルムが平らに潰れず、エアバッグ部の内部に隙間が生じて、次に切り込み又は穴の箇所を熱板で挟圧してシールするまでの間に、エアバッグ部内の気体が漏れるという問題が生じる。
【0010】
上記の問題を
図12,13を参照して説明する。まず、
図12(a)において、1はエアバッグ付き袋(特許文献2の
図1参照)の一部である片側の側縁のシール部、2はシール部1において表裏面を構成するフィルム3,4の間に上下方向に形成されたエアバッグ部、5,5は遮断用グリッパー、6は気体吹き込み用のノズル、7は受け部材である。
図12(a)に示すエアバッグ付き袋は、特許文献2に記載されたエアバッグ付き袋1、エアバッグ部2は同じくエアバッグ部5(いずれも特許文献2の
図1参照)に対応し、遮断用グリッパー5,5、ノズル6及び受け部材7は、それぞれ特許文献2に記載されたサブグリッパー7,7、ノズル11及び受け部材12(いずれも特許文献2の
図2〜4参照)に対応する。
図12(a)に示すエアバッグ付き袋は、その両側縁が特許文献2の
図4に示す形態で図示しない袋移送用グリッパー(特許文献2のグリッパー8,8に対応)に把持されている。
【0011】
図12(b)は、ノズル6及び受け部材7が
図12(a)に示す退避位置から前進し、ノズル6の先端(吹き出し口)がエアバッグ部2に形成された切り込み又は穴にあてがわれ、受け部材7がノズル6に対向してエアバッグ部2の背面を支持し、エアバッグ部2内に気体が吹き込まれている状態を示す。エアバッグ部2は気体圧により自由膨張し、それに伴い、シール部1の端1aが引っ張られ、エアバッグ付き袋の中心に向けて距離Mだけ移動している。
【0012】
図13(a)は、ノズル6による気体の吹き込み継続中に、遮断用グリッパー5が
図12(a)に示す退避位置から前進し、エアバッグ部2に形成された切り込み又は穴の近傍(遮断部位)を、エアバッグ付き袋の両面から挟持する途中の状態を示す。膨張したエアバッグ部2を扁平に潰す過程で、余ったフィルムがエアバッグ部2の幅方向外側に膨らみ、これによりエアバッグ部2の両側に縦ジワ8が生じている。
図13(b)は、遮断用グリッパー5が互いに最も近づき、エアバッグ部2を潰した状態を示す。
図13(a)に示す縦ジワ8の箇所でエアバッグ部2のフィルムがシール部1に折り重なり、遮断用グリッパー5がエアバッグ部2の前記遮断部位を平らに潰し切ることができず、前記遮断部位の内部にごく薄い扁平な隙間9が生じている。
【0013】
本発明は、従来技術に関わる上記の問題点に鑑みてなされたもので、エアバッグ付き袋のエアバッグ部へ気体を吹き込み、次いで気体をエアバッグ部内に封入する装置の構成を単純化し、エアバッグ付き袋の種類が変更された場合等に行う調整作業を簡単化することを主たる目的とする。また、本発明は、エアバッグ部のシール不良又は遮断不良に基づくエアバッグ部からの気体の漏れを防止することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入方法は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記切り込み又は穴から前記エアバッグ部内に気体を吹き込んで前記エアバッグ部を膨張させ、次いで前記切り込み又は穴の近傍をシールして前記エアバッグ部内に気体を封入するもので、超音波シール装置のホーンとアンビルが前記エアバッグ付き袋の両側に配置され、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が前記圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路が形成された前記ホーンとアンビルの一方又は双方が前記ノズルを兼ね、前記流路の他端が前記吹き出し口とされ、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとともに、前記ホーンとアンビルで前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールすることを特徴とする。
【0015】
上記気体封入方法において、前記切り込み又は穴は前記気体導入部の表裏両面のフィルムに形成されていてもよく、また片面のフィルムにのみ形成されていてもよい。前記切り込み又は穴が前記気体導入部の表裏両面のフィルムに形成されている場合、前記ホーンとアンビルの双方が前記ノズルを兼ねることが望ましいが、前記ホーンとアンビルの片方だけが前記ノズルを兼ねていてもよい。前記切り込み又は穴が前記気体導入部の片面のフィルムにのみ形成されている場合、前記ホーンとアンビルの片方(切り込み又は穴が形成されたフィルムに面する側)だけが前記ノズルを兼ねる。前記ホーンとアンビルの片方だけが前記ノズルを兼ねる場合、もう片方は前記エアバッグ付き袋の背面を支持する受け部材(特許文献1,2に記載された受け部材参照)となる。
【0016】
上記気体封入方法は次のような実施の形態を取ることができる。
(1)前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき、前記ホーンとアンビルの先端同士を前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔を置いて互いに対向させ、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、前記ホーンとアンビルを前進させ、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧する。前記間隔は、気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制される(それ以上に大きく膨張することが妨げられる)ように、前記気体導入部の両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に設定されることが望ましい。
【0017】
(2)前記ホーンとアンビルが前記エアバッグ付き袋に対し進退可能とされ、前記ホーンとアンビルを前進させて前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを所定の付勢力で挟圧した状態で前記吹き出し口から気体を吹き出し、気体の圧力により前記ホーンとアンビルを前記付勢力に抗して後退させて先端同士の間隔を広げ、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、再度前記ホーンとアンビルを前進させ、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧する。後退したときの前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔は、上記(1)に記載したと同じく、前記気体導入部の両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に設定することが望ましい。これにより、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制される。前記付勢力は、前記ホーンとアンビルが上記のように気体の圧力で後退し、かつ後退したときの前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔が上記のようになるように設定される。
前記ホーンとアンビルを進退させる駆動源として、エアシリンダーを用いた場合、前記エアシリンダーの推力を上記付勢力に充てることができる。この場合、前記エアシリンダーの推力を上昇させるか、あるいは前記ホーンとアンビルからの加圧気体の吹き出しを止め又は加圧気体の圧力を低下させることにより、前記ホーンとアンビルを再度前進させることができる。
【0018】
(3)前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧した状態で前記吹き出し口から気体を吹き出し、併せて前記ホーンに縦振動(溶着面に対し垂直方向の振動)の振動エネルギーを供給して超音波シールを行う。
前記フィルムを挟圧したホーンに超音波振動エネルギーを供給すると、前記ホーンは微細な振幅で前記アンビルに対し前進及び後退し、前記ホーンが後退してアンビルとホーンの間隔が広がったとき、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で挟圧部(アンビルとホーンの先端面で挟圧された部位)の両面のフィルムが押し広げられて微細な隙間ができ、その瞬間に前記隙間を通して気体がエアバッグ部内に流入する。時間経過とともにエアバッグ部が膨張し、次いでフィルム内側のシーラントが溶融して前記隙間が塞がり(この時点でエアバッグ部内への気体の流入はストップする)、前記挟圧部の両面のフィルムがシールされる。前記ホーンに超音波振動エネルギーが供給される時間はごく短時間であるが、その間にエアバッグ部への気体の吹き込みと、続くエアバッグ部のシールが達成される。
この実施の形態において、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧する前に、適宜のタイミングで前記吹き出し口からの気体の吹き出しを開始し、前記エアバッグ部内に気体を吹き込むことが望ましい。
【0019】
(4)前記ホーンとアンビルの一方又は双方の先端に微細な凹溝が形成され、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧した状態で前記吹き出し口から気体を吹き出し、次いで前記ホーンに振動エネルギーを供給する。この場合、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で前記凹溝の内側において前記エアバッグ部の両面のフィルムの間に隙間が生じ、前記隙間を通して前記エアバッグ部内に気体が吹き込まれる。前記凹溝の幅と深さは、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で前記隙間が生じ、続いて前記隙間が周囲の溶融したシーラントで埋まる程度の大きさに設定される。
【0020】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入装置は、上記気体封入方法を実施するための装置であり、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する袋移送装置と、前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置された超音波シール装置を備え、前記超音波シール装置のホーンとアンビルが前記移送経路を挟んで対向して配置され、前記停止位置に停止した前記エアバッグ付き袋に向けて共に前進又は後退し、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が前記圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路が形成された前記ホーンとアンビルの一方又は双方が前記ノズルを兼ね、前記流路の他端が前記吹き出し口とされ、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとともに、前記ホーンとアンビルで前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールすることを特徴とする。
【0021】
上記気体封入装置において、前記袋移送装置は、好ましくは、前記エアバッグ付き袋の両側縁を把持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組備える。
上記気体封入装置において、前記切り込み又は穴は前記気体導入部の表裏両面のフィルムに形成されていてもよく、また片面のフィルムにのみ形成されていてもよい。前記切り込み又は穴が前記気体導入部の表裏両面のフィルムに形成されている場合、前記ホーンとアンビルの双方が前記ノズルを兼ねることが望ましいが、前記ホーンとアンビルの片方だけが前記ノズルを兼ねていてもよい。前記切り込み又は穴が前記気体導入部の片面のフィルムにのみ形成されている場合、前記ホーンとアンビルの片方(切り込み又は穴が形成されたフィルムに面する側)だけが前記ノズルを兼ねる。前記ホーンとアンビルの片方だけが前記ノズルを兼ねる場合、もう片方は前記エアバッグ付き袋の背面を支持する受け部材(特許文献1,2に記載された受け部材参照)となる。
【0022】
上記気体封入装置は次のような実施の形態を取ることができる。
(1)前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき前記ホーンとアンビルは前記退避位置から前進して前記前進位置の直前で停止し、このとき前記ホーンとアンビルの先端同士が前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔を置いて互いに対向し、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき前記ホーンとアンビルは前記前進位置に前進して前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退する。前記間隔は、気体の吹き込みにより膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ホーンとアンビルの先端に密着し、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制される(それ以上に大きく膨張することが妨げられる)ように、前記気体導入部の両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に設定されることが望ましい。
【0023】
(2)前記ホーンとアンビルを前進又は後退させる駆動源が設置され、前記ホーンとアンビルが前記駆動源により前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを所定の付勢力で挟圧し、前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとき、気体の圧力により前記ホーンとアンビルが前記前進位置から前記付勢力に抗して後退し、前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔が前記気体導入部の両面のフィルムの厚さより大きい所定の間隔に広がり、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするとき、前記ホーンとアンビルが再度前記前進位置に前進し、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退する。気体の圧力で後退したときの前記ホーンとアンビルの先端同士の前記間隔は、上記(1)に記載したと同じく、前記気体導入部の両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に設定することが望ましい。これにより、前記気体導入部の膨張形態が扁平形状に規制される。前記付勢力は、前記ホーンとアンビルが上記のように気体の圧力で後退し、かつ後退後の前記ホーンとアンビルの先端同士の間隔が上記の大きさになるように設定される。
前記駆動源としてエアシリンダーを用いた場合、前記エアシリンダーの推力を上記付勢力に充てることができる。前記エアシリンダーは、例えば途中で推力の切り換えが可能とされ、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールするときの推力が当初の推力(この推力が前記付勢力に充てられる)より大きく設定される。この場合、前記エアシリンダーの推力を上昇させることにより、前記ホーンとアンビルを再度前記前進位置に前進させることができる。
【0024】
(3)前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記ホーンとアンビルは前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、前記前進位置で前記吹き出し口から気体が吹き出され、かつ前記ホーンに縦振動の振動エネルギーが供給され、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退する。
前記フィルムを挟圧したホーンに超音波振動エネルギーを供給すると、前記ホーンは微細な振幅で前記アンビルに対し前進又は後退し、前記ホーンが後退してアンビルとホーンの間隔が広がったとき、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で挟圧部の両面のフィルムが押し広げられて微細な隙間ができ、その瞬間に前記隙間を通して気体がエアバッグ部内に流入する。時間経過とともにエアバッグ部が膨張し、次いでフィルム内側のシーラントが溶融して前記隙間が埋められ(この時点でエアバッグ部内への気体の流入はストップする)、前記挟圧部の両面のフィルムがシールされる。
この実施の形態において、前記ホーンとアンビルの先端で前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧する前に、適宜のタイミングで前記吹き出し口からの気体の吹き出しを開始し、前記エアバッグ部内に気体が吹き込まれるようにすることが望ましい。
【0025】
(4)前記ホーンとアンビルの一方又は双方の先端に凹溝が形成され、前記ホーンとアンビルが前進位置及び退避位置の間で前進又は後退し、前記前進位置で前記ホーンとアンビルは前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを挟圧し、その状態で前記吹き出し口から気体が吹き出され、次いで前記ホーンに振動エネルギーが供給され、前記吹き出し口から吹き出す気体の圧力で前記凹溝の内側において前記エアバッグ部の両面のフィルムの間に隙間が生じ、前記凹溝の内側の部分を含めて前記切り込み又は穴の周囲のフィルムが超音波シールされ、超音波シール後、前記ホーンとアンビルは前記退避位置に後退する。
【0026】
上記気体封入装置は、特許文献1,2にも記載されたように、包装機の一部として構成することができる。この場合、前記移送経路上においてエアバッグ付き袋の袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う通常の包装処理装置に対し、前記移送経路の近傍の適宜位置に、前記超音波シール装置が付加される。むろん、上記気体封入装置を包装機の一部としてではなく、単独の気体封入装置として構成することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来の気体封入方法で用いた気体吹き込み用ノズルと熱板、さらには遮断用グリッパーを、1つの超音波シール装置に置き換え、気体封入装置の構成を単純化することができる。また、気体封入装置の構成が単純化されたことで、エアバッグ付き袋の種類が変更された場合等に行う装置の調整作業を簡単化することができ、作業効率が向上する。
超音波シール装置では、一般にホーンは空冷され、アンビルは水冷又は空冷されているから、超音波発信を停止すると、シール部はホーンとアンビルにより挟圧された状態で直ちに冷却される。このため、シール部及びその近傍にしわ等が生じて見栄えが損なわれたり、シール部の強度が低下するなどの問題が発生するのを防止できる。
【0028】
また、本発明において、エアバッグ部に気体を吹き込むとき、ホーンとアンビルの先端同士の間隔を気体導入部の両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に設定することにより、気体導入部の膨張形態が扁平形状になるように規制し、又はホーンとアンビルの先端で気体導入部の両面のフィルムを挟圧した状態でエアバッグ部に気体を吹き込む場合、続いてエアバッグ部をシールするとき、
図12,13で説明した縦じわ8の発生を防止できる。これにより、シール部の見栄えが損なわれることがなく、シール後のエアバッグ部からの気体の漏れも防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、
図1〜11を参照して、本発明に係る気体封入方法及び装置に含まれる複数の実施の形態について具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図4にエアバッグ付き袋11(以下、単に袋11という)を示す。袋11は底ガセット方式の自立袋であり、表裏両面のフィルムと折りたたまれた底部のフィルムからなる。袋11の上部領域Xでは、両側縁において袋11の表裏両面のフィルム同士が接着し、シール部12,13が形成されている。上縁は表裏両面のフィルムが接着されておらず、開口した袋口14となっている。袋11の下部領域Yでは、両側縁において表裏両面のフィルムが底部のフィルムを挟んで接着し、かつ底部のフィルム自体も折り込まれた内側で接着し、中央部において表裏両面のフィルムがそれぞれ底部のフィルムと接着し(底部のフィルム同士は接着していない)、シール部15が形成されている。シール部12,13,15を
図4に斜線で示す。
【0031】
シール部12の一部に表裏両面のフィルム同士が接着していない非接着部(エアバッグ部)16が形成されている。
エアバッグ部16は、袋の表裏両面のフィルム(
図6の17,18参照)を熱シールする際に加圧せずシールし残した箇所であり、袋口14(シール部12の上端)近傍から下方に細長く延びて閉じた輪郭を有し、その上端近傍の表裏両面のフィルムにエアバッグ部16内と袋外を連通させる十字の切り込み19が形成されている。エアバッグ部16には、中心に切り込み19が形成された円形の気体導入部16aに続いて所定長さにわたり、くびれた挟幅部16bが形成され、その下方が幅広の本体部16cとなっている。
【0032】
図1に、本発明に係る気体封入装置を含むロータリー式包装機を示す。
図1に示すロータリー式包装機は、特許文献1の
図5に記載されたロータリー式包装機と同様に、間欠回転するテーブルの周囲に左右一対の袋移送用グリッパー21,22が複数対、等間隔で設置された袋移送装置を備える。この袋移送装置において、袋移送用グリッパー21,22は、供給された袋11の両側縁(シール部12,13)を把持して吊り下げ、円形の移送経路に沿って間欠的に移送する。グリッパー21,22が停止する各停止位置(停止位置I〜VIII)では、グリッパー21,22に対する袋11の供給に続き、グリッパー21,22に把持された袋11に対し、袋口の開口、被包装物の充填及び袋口のシール等の各包装工程が順次行われ、併せて、エアバッグ部16への気体の吹き込み工程及びエアバッグ部16のシール工程からなる本発明の気体封入方法が実施される。
【0033】
グリッパー21,22はいずれも一対のグリップ片からなり、グリッパー21はエアバッグ部16の挟幅部16bを水平に横断する形で把持する。グリッパー21の一方のグリップ片23の内側(把持面)には、
図4に示すように、上下方向に抜ける浅い溝24が形成され、グリッパー21がシール部12を把持したとき、前記溝24が挟幅部16bの上に重なるようになっている。
【0034】
上記ロータリー式包装機において、前記移送経路の停止位置Iにコンベアマガジン式給袋装置25が配置され、停止位置IIに印字装置(ヘッド部26のみ示す)が配置され、停止位置IIIに開口装置(一対の吸盤27,27及び開口ヘッド28のみ示す)が配置され、停止位置IVに充填装置(ノズル部29のみ示す)が配置され、停止位置Vに本発明に係る超音波シール装置(ホーン31とアンビル32のみ示す)が配置され、停止位置VIに袋口をシールする第1シール装置(一対の熱板33,33のみ示す)が配置され、停止位置VIIに袋口をシールする第2シール装置(一対の熱板34,34のみ示す)が配置され、停止位置VIIIに冷却装置(一対の冷却板35,35のみ示す)が配置されている。
【0035】
図2に、本発明に係る超音波シール装置を示す。この超音波シール装置は、前記ホーン31とアンビル32、ホーン31を振動させる超音波振動発生装置36、及びホーン31とアンビル32を進退させるエアシリンダー37を含む。エアシリンダー37のピストンロッド38,39の先端に取付部材41,42が固定され、取付部材41に前記超音波振動発生装置36が固定され、取付部材42に前記アンビル32が固定されている。なお、超音波シール装置は図示しない冷却手段を有し、この冷却手段により超音波振動発生装置36及びホーン31とアンビル32が冷却される。
【0036】
ホーン31は内部に穴(気体の流路)43が形成され、穴43の一端はホーン31の側面に開口し、継ぎ手44、配管45及び図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源46に接続され、他端はホーン31の先端に開口し、そこが加圧気体の吹き出し口47となっている。アンビル32も内部に穴(気体の流路)48が形成され、穴48の一端はアンビル32の後端に開口し、継ぎ手49及び配管51を介して圧力気体供給源46に接続され、他端はアンビル32の先端に開口し、そこが加圧気体の吹き出し口52となっている。ホーン31とアンビル32は、気体吹き込み用のノズルを兼ねている。
【0037】
ホーン31とアンビル32は、袋11の移送経路を挟んで対向して配置され、エアシリンダー37により互いに対称的に、かつ前記袋11に対し垂直に、前進位置と退避位置の間で前進(前記移送経路に近づく)又は後退(前記移送経路から遠ざかる)する。ホーン31とアンビル32が前記退避位置にあるとき(
図3(a)参照)、ホーン31とアンビル32は前記移送経路から最も離れ、前記移送経路に沿って移送される袋11との干渉を避けることができる。ホーン31とアンビル32が前記前進位置にきたとき(
図3(c)参照)、ホーン31とアンビル32は前記移送経路に最も近づき、ホーン31とアンビル32の先端が袋11を挟圧する。このときのホーン31とアンビル32の先端同士の間隔は、エアバッグ部16の気体導入部16aの両面のフィルムの厚さに等しい。なお、エアシリンダー37は3ポジションタイプであり、前記ホーン31とアンビル32は、前記後退位置と前記前進位置の中間の位置で停止可能である。この中間の位置(以後、吹込位置という)は前記前進位置にごく近接した位置であり(
図3(b)及び
図6参照)、この位置に停止したホーン31とアンビル32により、エアバッグ部16に対し気体の吹き込みが行われる。
【0038】
図1に示すロータリー式包装機を用いた包装方法(気体封入方法を含む)の一例を、
図1〜6を参照して説明する。
(1)停止位置I(給袋工程位置)において、コンベアマガジン式給袋装置25から袋11がグリッパー21,22に供給され、グリッパー21,22がシール部12,13の所定位置を表裏両面から把持する。このときエアバッグ部16は、その挟幅部16bがグリッパー21により把持される。その状態が
図4(a)に示されている。
(2)停止位置II(印字工程位置)において、印字装置により袋面への印字が行われる。
【0039】
(3)停止位置III(開口工程位置)において、開口装置により袋の開口が行われる。開口装置の一対の吸盤27,27は袋11に向けて進退し、前進して袋11の両面のフィルムを吸着し、そのまま後退して袋口14を開口する。開口ヘッド28は袋11の上方で昇降し、下降したとき下端が開口した袋口14から袋内に入り、エアを袋内に吹き出す。
(4)停止位置IV(被包装物充填工程位置)において、充填装置により液状物の充填が行われる(
図4(b)の充填物53参照)。充填装置のノズル部29は袋11の上方で昇降し、下降したとき袋口14から袋内に挿入され、液状物を袋内に充填する。
【0040】
(5)停止位置V(気体吹き込み及びシール工程位置)には、袋11の移送経路の近傍に、
図2に示す超音波シール装置が配置され、袋11のエアバッグ部6に気体を吹き込む気体吹き込み工程、及び切り込み19の周囲のフィルムをシールするシール工程が行われる。
袋11がこの停止位置Vに停止したとき、
図3(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。続いてエアシリンダ37が作動して、
図3(b)及び
図6(a)に示すように、ホーン31とアンビル32が前進し、前記前進位置の直前の位置(前記吹込位置)で停止する。このとき、ホーン31とアンビル32の先端同士が気体導入部16aの両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい間隔Dを置いて互いに対向している。また、
図4(b)に示すように、ホーン31とアンビル32の吹き出し口47,52の内径(直径)は、エアバッグ部16の気体導入部16aの直径より小さく設定されている。これにより、吹き出し口47,52から吹き出される気体が気体導入部16aに集中し、エアバッグ部16に効率的に気体を吹き込むことができる。なお、気体導入部16aが円形でない場合、吹き出し口47,52の内径を気体導入部の幅(袋幅方向の幅)より小さく設定すればよい。
【0041】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止すると同時に又はその前後の適当なタイミングで、前記吹き出し口47,52から加圧気体の吹き出しが開始される。吹き出し口47,52から、切り込み19を通してエアバッグ部16の気体導入部16a内に気体が吹き込まれると、気体導入部16aの両面のフィルム17,18が膨張し、
図6(b)に示すように、ホーン31とアンビル32の平坦な先端面54,55(
図2参照)に密着する。このため、気体導入部16aはそれ以上膨張できず、その膨張形態は薄い扁平形状に規制される。前記間隔Dは、気体導入部16aの膨張形態が扁平形状になるように設定されている。
気体導入部16aに入った加圧気体は、グリッパー21に把持された挟幅部16bの表裏両面のフィルムを溝24の深さ分だけ押し広げ、両フィルム間にできた隙間から本体部16cに流入し、本体部16cを膨張させる。本体部16cが膨張した状態が、
図6(c)に示されている。
【0042】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止後、所定のタイミングで再度エアシリンダ37が作動し、ホーン31とアンビル32が前進して直ちに前記前進位置に達し、
図3(c)に示すように、ホーン31とアンビル32の先端が、エアバッグ部16の気体導入部16a(切り込み19の周囲のフィルム)を挟圧する。このとき、気体導入部16aの膨張形態は薄い扁平形状であるから、従来のようなしわ(
図13参照)を発生させることなく、気体導入部16aを平らに潰し切ることができる。
次いで超音波振動発生器36から超音波振動が発信されて振動エネルギーがホーン31に供給され、
図5(a)に示すように、ホーン31とアンビル32により挟圧された部位(挟圧部)の形状(ホーン31の先端面54の形状)に一致するリング状の超音波シール部56(ハッチングされたリング状の箇所)が形成される。気体導入部16aは、切り込み19自体は全部又は大部分がシールされないが、切り込み19の周囲のフィルムがシールされるため、エアバッグ部16内の気体が切り込み19から漏れることはなく、気体はエアバッグ部16内に封入される。
【0043】
超音波シールが終了(超音波の発信が終了)すると、超音波振動による摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部56は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図3(d)に示すように、前記後退位置で停止する。
なお、吹き出し口47,52からの加圧気体の吹き出しは、少なくともホーン31とアンビル32が前記前進位置に達して気体導入部16aを挟圧する直前まで継続することが望ましい。また、加圧気体の吹き出しは、ホーン31とアンビル32が後退を開始するまでの適宜のタイミングで停止することが望ましい。
【0044】
(6)停止位置VI(第1シール工程位置)において、一対の熱板33,33が袋口14を挟圧して熱シールし、シール部57が形成される(
図5(b)参照)。エアバッグ部16のシールはすでに完了しているから、この時点で熱板33,33で切り込み19の箇所を挟圧する必要はない。
(7)停止位置VII(第2シール工程位置)において、一対の熱板34,34がシール部57を再度挟圧して2回目の熱シールを行う。
(8)停止位置VIII(シール部冷却及び排出工程位置)において、一対の冷却板35,35がシール部57を挟圧して冷却する。続いて、冷却中にグリッパー21,22が開き、さらに冷却板35,35が開き、袋11(袋製品)が落下し、シュート50により装置外に排出される。
【0045】
[第2の実施の形態]
上記[第1の実施の形態]では、超音波シール装置のエアシリンダー37は3ポジションタイプであり、ホーン31とアンビル32は前記退避位置、吹込位置及び前進位置の3位置で停止するようになっていた。一方、エアシリンダー37を2ポジションタイプとし、ホーン31とアンビル32を前進させる推力(使用するエア圧)を、切り換え可能とすることで、エアバッグ部16への気体の吹き込み及びエアバッグ部16(気体導入部16a)のシールを、上記第1の形態と同様に行うことができる。
この第2の実施の形態では、エアバッグ部16への気体の吹き込み及びエアバッグ部16のシールは、例えば次のように行われる。
【0046】
ホーン31とアンビル32が、エアシリンダー37の作動により前進して前進位置に達し、ホーン31とアンビル32の先端が、エアバッグ部16の気体導入部16a(切り込み19の周囲のフィルム)を、エアシリンダーの推力(当初の推力)に対応する付勢力で挟圧する。
ホーン31とアンビル32が吹き出し口47,52から加圧気体を吹き出すと、吹き出し口47,52が気体導入部16aのフィルムに塞がれているため気体の圧力が高まり、ホーン31とアンビル32が前記前進位置からエアシリンダー37の推力(エアバッグ部16の気体導入部16aを挟圧する付勢力)に抗して後退し、ホーン31とアンビル32の先端同士の間隔が、エアバッグ部16の気体導入部16aの両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい程度に広がる。この間隔は、[気体封入方法の第1の形態]に記載した間隔Dと同程度でよい。言い換えれば、ホーン31とアンビル32が自ら吹き出す気体の圧力で後退し、かつ後退後のホーン31とアンビル32の先端同士の間隔が前記間隔Dと同程度の大きさになるように、エアシリンダー37の当初の推力を設定する。
【0047】
ホーン31とアンビル32の先端同士の間隔が広がることにより、切り込み19から気体導入部16a内に気体が吹き込まれ、気体導入部16aの両面のフィルム17,18が膨張してフィルム間に隙間ができ、気体は挟幅部16bへ流入し、さらに本体部16c内に流入し本体部16cを膨張させる。気体導入部16aの両面のフィルムは、ホーン31とアンビル32の平坦な先端面54,55に密着し(
図6(b)参照)、気体導入部16aの膨張形態は薄い扁平形状に規制される。
【0048】
適宜のタイミングでエアシリンダー37の推力が切り換えられ(当初の推力より大きい推力へ切り換え)、ホーン31とアンビル32が前進して再度前記前進位置に達し、エアバッグ部16の気体導入部16a(切り込み19の周囲のフィルム)を挟圧する。次いで超音波振動発生器36から超音波振動が発信され、リング状の超音波シール部56(
図5(a)参照)が形成される。
超音波シールの終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、前記後退位置で停止する。
なお、吹き出し口47,52からの加圧気体の吹き出しを停止するタイミングは、上記第1の形態と同じでよい。
【0049】
[第3の実施の形態]
上記[第2の実施の形態]では、超音波シールを行うとき、エアシリンダー37の推力を高推力に切り換えて、ホーン31とアンビル32を再度前進させ、エアバッグ部16の気体導入部16aを挟圧した。しかし、このような推力の切り換えを行う代わりに、加圧気体の吹き出しを止めた場合も、同様にホーン31とアンビル32を再度前進させて、エアバッグ部16の気体導入部16aを挟圧することができる。
加圧気体の吹き出しを止めると、エアシリンダー37の推力によりホーン31とアンビル32が直ちに前進して気体導入部16aを挟圧し、切り込み19からの気体の漏れが止まる。また、エアバッグ部16には挟幅部16bが形成され、しかも挟幅部16bの表裏両面のフィルム間にできた隙間は狭い(グリッパー21の溝24の深さ分しか広がらない)から、本体部16c内の気体の漏れは一気には進まない。このため、続いて気体導入部16aを超音波シールすることにより、気体をエアバッグ部16内に封入することができる。加圧気体の吹き出しを止める代わりに、気体の圧力を低下させてもよい。
【0050】
[第4の実施の形態]
上記[第3の実施の形態]では、ホーン31とアンビル32を進退させる駆動源としてエアシリンダー37を用い、その推力をエアバッグ部16の気体導入部16aを挟圧する付勢力に充てたが、前記ホーン31とアンビル32を前方に付勢する圧縮ばね(例えば特許文献1に記載されたノズル17及び圧縮ばね19参照)を設け、前記圧縮ばねの弾発力を前記付勢力に充てることができる。この場合、ホーン31とアンビル32を進退させる駆動源はエアシリンダーでなくてもよい。
前記ホーンとアンビルからの加圧気体の吹き出しを止めるか、加圧気体の圧力を低下させたとき、前記圧縮ばねの弾発力によりホーン31とアンビル32を前進させることができる。
【0051】
[第5の実施の形態]
上記[第1の実施の形態]では、超音波シール装置のエアシリンダー37は3ポジションタイプとされ、エアバッグ部16内に気体を吹き込むとき、ホーン31とアンビル32は先端同士が互いに所定の間隔(気体導入部16aの両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい間隔D)を置いて対向する前記吹込位置に停止した。一方、この第5の実施の形態では、ホーン31とアンビル32は前進位置及び退避位置でのみ停止し、前記吹込位置(前進位置の直前位置)で停止しない。従って、エアシリンダー37は2ポジションタイプのものでよい。また、ホーン31には縦振動(溶着面に対し垂直方向の振動)の振動エネルギーが供給される。以下、第5の実施の形態を、
図7,8(及び
図1,2)を参照して具体的に説明する。
【0052】
袋11が停止位置V(
図1参照)に停止したとき、
図7(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。
エアシリンダ37(
図2参照)が作動して、ホーン31とアンビル32が前記退避位置から前進し、その途上でホーン31とアンビル32の先端の吹き出し口47,52から気体の吹き出しが開始される。
図7(b)に示すように、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に接近するのに伴い、切り込み19を通してエアバッグ部16内に気体が流入し、エアバッグ部16が膨張する。続いて、
図7(c)及び
図8(a)に示すように、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に達し、それらの先端面54,55(
図2参照)が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する。吹き出し口47,52からの気体の吹き出しは継続しているが、この時点でエアバッグ部16内への気体の流入がストップする。ホーン31とアンビル32は前記退避位置から前記前進位置にごく短時間で達し、その間にエアバッグ部16内へ吹き込まれる気体の量は不十分であり、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に達した時点で、エアバッグ部16の膨張が不足している。
【0053】
次いでホーン31に縦振動の超音波振動エネルギーが供給され、ホーン31が微細な振幅(数10μm〜百数10μm程度)及び高い周波数で振動(アンビル32に対し前進又は後退)し、超音波シールが開始される。ホーン31の振動方向を
図8(b)に両矢印で示す。ホーン31が上記振幅の大きさだけ後退してホーン31とアンビル32の間隔が広がったとき、吹き出し口47,52から吹き出す気体の圧力で挟圧部(ホーン31とアンビル32の先端面54,55により挟圧された部位)の両面のフィルムが押し広げられて微細な隙間ができ、その瞬間に前記隙間を通して気体がエアバッグ部16内に流入する。
【0054】
時間経過とともにエアバッグ部16内に流入する気体の量が増加し、それに応じてエアバッグ部16が膨張し(
図7(d),8(b)参照)、次いでフィルム内層のシーラントが摩擦熱で溶融して前記隙間が塞がれ(この時点でエアバッグ部16内への気体の流入は再びストップする)、前記挟圧部の両面のフィルムがシールされる。ホーン31に超音波振動エネルギーが供給される時間は一般にごく短時間(1.0秒以内、通常は0.2〜0.4秒程度)であるが、その間にエアバッグ部16への気体の吹き込みと、続くエアバッグ部16の超音波シールが行われ、気体はエアバッグ部16内に封入される。超音波シール後、吹き出し口47,52からの気体の吹き出しを停止する。超音波シール部は、
図5(a)に示す超音波シール部56と同様に、ホーン31の先端面54の形状と同じリング状となる。
【0055】
ホーン31への振動エネルギーの供給が停止して超音波シールが終了すると、フィルムの超音波シール部に摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図7(e)に示すように、前記後退位置で停止する。
超音波シールの時間は一般的にごく短時間であるため、その間にエアバッグ部16内に流入する気体の量は多くない。しかし、前記のとおり、ホーン31とアンビル32が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する前に、不十分ながらある程度の量の気体がエアバッグ部16内に吹き込まれているため、トータルとしてエアバッグ部16内に十分な量の気体を吹き込み、エアバッグ部16を十分膨張させることができる。
この第5の実施の形態によれば、気体導入部16aをホーン31とアンビル32で挟圧した時点での前記気体導入部16aの膨張形態は扁平形状(大きく膨張していない)であるため、
図12,13で説明した縦じわ8が発生するのを防止できる。
【0056】
なお、超音波シールの時間を比較的長くとることができれば、超音波シールの時間内だけで、エアバッグ部16内に十分な量の気体を吹き込み、エアバッグ部16を十分膨張させることができる。この場合、吹き出し口47,52からの気体の吹き出しは、超音波シールの開始から終了までの期間の前半(エアバッグ部16への気体の流入がストップするまで)に行えばよい。例えば超音波シールの開始とタイミングを合わせて(同時に)気体の吹き出しを開始し、超音波シールの終了前に終了することができる。しかし、先に述べたとおり、超音波シールの時間は一般に極めて短時間であるため、上記のように、ホーン31とアンビル32が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する前の適宜のタイミングで気体の吹き出しを開始し、超音波シールが終了するまで継続するのが現実的である。
【0057】
[第6の実施の形態]
上記[第5の実施の形態]では、ホーン31とアンビル32の先端面54,55が平坦である。一方、この第6の実施の形態では、前記先端面54,55の一方又は双方に微細な凹溝が形成されている。以下、第6の実施の形態を、
図9〜11を参照して具体的に説明する。
図10,11に示すように、ホーン31とアンビル32の先端面54,55の全面に、両端が内周(吹き出し口47,52)又は/及び外周に抜ける細かい格子状の凹溝58,59が形成されている。このホーン31とアンビル32を用いたエアバッグ部16内への気体の吹き込み及びエアバッグ部16の超音波シールは、例えば次のように行われる。
【0058】
袋11が停止位置V(
図1参照)に停止したとき、
図9(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。
エアシリンダ37(
図2参照)が作動して、ホーン31とアンビル32が前記退避位置から前進し、前記前進位置に達して、
図9(b)に示すように、先端でエアバッグ部16の気体導入部16aに形成された切り込み19の周囲のフィルムを挟圧し、次いで先端の吹き出し口47,52から気体を吹き出す。
切り込み19から気体導入部16a内に入った気体は、凹溝58,59の内側において気体導入部16aのフィルムを凹溝58,59内に押し広げ、両面のフィルムの間に
多数の小さい隙間を生じさせる。気体は前記隙間を通ってその先の挟幅部16bに流入し、さらにその先の本体部16cへ流入し、エアバッグ部16を膨張させる。ただし、切り込み19の周囲のフィルムは、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧されたままで膨張せず、わずかに凹溝58,59内に押し広げられるだけである。
【0059】
次いで、所定のタイミングで超音波振動発生器36から超音波振動が発信され、ホーン31に超音波振動エネルギーが供給され、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された箇所(切り込み19の周囲)の両面のフィルムが超音波シールされる。この超音波シールにおいて、凹溝58,59の内側では、両面のフィルムの間に小さい隙間が生じているため摩擦熱が発生せず、内層のシーラントが溶融しないが、その近傍の溶融したシーラントにより前記隙間が塞がれ(この時点でエアバッグ部16内への気体の流入はストップする)、凹溝58,59の内側のフィルムを含めてシールが行われ、気体はエアバッグ部16内に封入される。なお、ホーン31に供給される振動エネルギーが縦振動の振動エネルギーの場合、上記[第5の実施の形態]に述べた作用(ホーン31が振動することにより、挟圧部の両面のフィルム間に微細な隙間ができ、前記隙間を通して気体がエアバッグ部16内に流入する作用)も同時に得られる。
ホーン31又はアンビル32の先端面54,55に形成される凹溝58,59の幅wと深さdは、エアバッグ部16内への気体を吹き込むとき前記隙間が生じ、超音波シールのとき前記隙間が周囲の溶融したシーラントで埋まる程度の大きさに設定される。
超音波シール部は、
図5(a)に示す超音波シール部56と同様に、ホーン31の先端面53の形状と同じリング状となる。
【0060】
超音波シールが終了(超音波の発信が終了)すると、超音波振動による摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図9(c)に示すように、前記後退位置で停止する。吹き出し口47,52からの気体の吹き出しは、上記[第5の実施の形態]で述べたと同様に、超音波シールが終了する前に終了することができるが、超音波シールが終了するまで継続するのが現実的である。
【0061】
この第6の実施の形態によれば、膨張する前のエアバッグ部16をホーン31とアンビル32で挟圧し、挟圧を継続したままエアバッグ部に気体を吹き込み、そのまま超音波シールを行うので、
図12,13で説明した縦じわ8が発生する余地がない。
また、この第6の実施の形態の場合、上記[第5の実施の形態]と異なり、前記ホーン31に供給される超音波振動エネルギーは、縦振動だけでなく横振動やねじり振動等、他の振動モードであってもよい。その点は、上記[第1の実施の形態]〜[第4の実施の形態]でも同様である。
なお、この第6の実施の形態において、吹き出し口47,52からの気体の吹き出しは、[第5の実施の形態]と同様に、ホーン31とアンビル32が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する前の適宜のタイミングで開始することができる。
【0062】
以上、
図1〜11を参照して、本発明の第1〜第6の実施の形態について説明したが、そのほかにも次のような実施の形態が考えられる。
(1)以上の説明では、ホーン31とアンビル32の双方が気体吹き込み用のノズルを兼ねていたが、エアバッグ部16内に気体を吹き込むとき、いずれか一方のみをノズルとして用い(気体を吹き出す)、他方を受け部材(例えば特許文献2に記載された受け部材12参照)として用いる(気体を吹き出さない)こともできる。なお、ホーン31とアンビル32のうち受け部材となる側には、気体の流路(吹き出し口を含む)が形成されていなくてもよい。
前記[第1の実施の形態]においてホーン31とアンビル32のいずれか一方を前記受け部材とした場合、当該受け部材となった側は、吹き込み工程の初めから前進位置(前記移送経路に最も近い位置)に前進させ、吹き込み工程及びシール工程を通して前記前進位置に位置させておくことができる。また、前記[第2の実施の形態]〜[第4の実施の形態]においてホーン31とアンビル32のいずれか一方を前記受け部材とした場合、当該受け部材となった側は、吹き込み工程の間前進位置(前記移送経路に最も近い位置)から後退させず、吹き込み工程及びシール工程を通して前記前進位置に位置させておくことができる。
【0063】
(2)以上の説明では、エアバッグ部16の表裏両面のフィルム17,18に切り込み19が形成された袋11を用いたが、一方のフィルムにのみ切り込み19が形成されたエアバッグ付き袋を用いることもできる。この場合、エアバッグ部16内に気体を吹き込むとき、ホーン31とアンビル32のうち切り込み19の側に配置されている方がノズルとして用いられ、他方が前記受け部材(上記(1)参照)として用いられる。
(3)以上の説明では、エアバッグ部16の上端に切り込み19を形成していたが、切り込み19は上端以外に形成することができ、また、切り込み19の代わりに穴を形成することもできる。
【0064】
(4)以上の説明では、エアバッグ部16に挟幅部16bを形成していたが、特許文献1,2に記載されたエアバッグ付き袋のように、エアバッグ部16全体を同じ幅としてもよい。
(5)以上の説明では、エアバッグ部16が形成されたシール部12を把持するグリッパー11が、エアバッグ部16を横切るように前記シール部12を把持していたが、特許文献1,2に記載された袋移送用グリッパーのように、エアバッグ部16の外側のみを把持するようにしてもよい。
【0065】
(6)以上の説明では、超音波シール装置によりエアバッグ部16のみをシールしたが、ホーン31とアンビル32で同時に袋口14を挟圧し、エアバッグ部16と袋口14を同時にシールすることもできる。
(7)以上の説明では、超音波シール装置のホーン31とアンビル32を進退させる駆動源がエアシリンダー37であったが、駆動源としてサーボモータを用いることもできる。
(8)以上の説明では、気体封入方法及び装置は、包装方法及び包装機の一部として構成されていたが、袋口の開口や被包装物の充填とは切り離し、単独の気体封入方法及び気体封入装置として構成することもできる。この場合、エアバッグ付き袋16を移送する移送部材として、左右一対の袋移送用グリッパー21,22の代わりに、エアバッグ付き袋16の袋面を吸着する吸盤、あるいは袋口を把持するチャック等を用いることができる。
【0066】
(9)以上の説明では、本発明に係る気体封入方法及び装置を、エアバッグ付き袋を間欠移送する場合に適用したが、本発明はエアバッグ付き袋を一定速度で連続移送する場合(例えば特開2009−161230号公報参照)にも適用できる。エアバッグ付き袋を連続移送する場合、例えば超音波シール装置は、エアバッグ付き袋の移動に追従して移動した後復帰移動し、追従して移動する過程で所要の処理を行うことになる。