(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
20mmの半径のマンドレルに巻き付けられたときに、0.75dB/turn未満の曲げ損失を示し、6.6と7.5の間のMAC数を示す、請求項1記載の光ファイバ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、その説明から当業者に明白となるか、または特許請求の範囲および添付図面と共に以下の説明に記載されたように実施することによって、認識されるであろう。
【0023】
「屈折率プロファイル」は、屈折率または相対屈折率と光ファイバの半径との間の関係である。相対屈折率プロファイルの各セグメントの半径は、略記r
1、r
2、r
3、r
4などによって与えられ、小文字と大文字は、ここでは交換可能に使用される(例えば、r
1はR
1と同等である)。
【0024】
「相対屈折率パーセント」は、Δ%=100×(n
i2−n
c2)/2n
i2と定義され、ここに用いたように、n
cは、外側クラッド領域の平均屈折率であり、別記しない限り、純粋なシリカの屈折率である。ここに用いたように、相対屈折率はΔにより表され、その値は、別記しない限り、「%」の単位で与えられる。用語:相対屈折率差分、差分、Δ、Δ%、%Δ、差分%、%差分およびパーセント差分は、ここにおいては交換可能に使用してよい。ある領域の屈折率が外側クラッドの平均屈折率より小さい場合、その相対屈折率パーセントは、負であり、低下領域または低下屈折率を有すると称される。ある領域の屈折率が外側クラッドの平均屈折率より大きい場合、その屈折率パーセントは正である。「アップドーパント」は、ここでは、純粋な未ドープのSiO
2に対して屈折率を上昇させる傾向にあるドーパントと考えられる。「ダウンドーパント」は、ここでは、純粋な未ドープのSiO
2に対して屈折率を低下させる傾向にあるドーパントと考えられる。アップドーパントの例としては、GeO
2(ゲルマニア)、Al
2O
3、P
2O
5、TiO
2、Cl、Brが挙げられる。ダウンドーパントの例としては、フッ素およびホウ素が挙げられる。当業者にとって、ここに開示された相対屈折率プロファイルは、屈折率プロファイル全体が、純粋なシリカの屈折率に対して線形に上または下にシフトされ、結果として得られた光ファイバに類似の光学的性質をもたらすように変えられることが明白であろう。
【0025】
光ファイバの、特に断りのない限り、ここで「分散」と称される「色分散」は、材料分散、導波路分散、および多モード分散の合計である。シングルモード光ファイバの場合、多モード分散はゼロである。ゼロ分散波長は、分散がゼロの値を有する波長である。分散勾配は、波長に対する分散の変化率である。
【0028】
と定義され、式中、積分範囲は0から∞であり、fは、光ファイバ中を伝搬する光に関連する電場の横成分である。ここに用いたように、「有効面積」または「A
eff」は、特に断りのない限り、1550nmの波長での光学有効面積を称する。
【0029】
「α−プロファイル」という用語は、「%」の単位のΔ(r)で表された領域(例えば、コア領域)の相対屈折率プロファイルを称し、式中、rは半径である。コアのα−プロファイル(ここでは、コアアルファ、またはアルファ
コアにより定義される)は、以下の式にしたがい:
【0031】
式中、r
0は、Δ(r)が最大である地点であり、半径rは、中心線から半径方向外側に動き、r
1は、Δ(r)%が最初に0.03%の値に到達する半径位置であり、rは、r
i≦r≦r
fの範囲にあり、Δは先のように定義され、r
iは、α−プロファイルの最初の地点であり、r
fは、α−プロファイルの最後の地点であり、αは、実数である指数である。
【0032】
モードフィールド直径(MFD)は、ピーターマンII法(Peterman II method)を用いて測定され、ここで、2w=MFD、およびw
2=(2∫f
2rdr/∫[df/dr]
2rdr)、積分範囲は0から∞である。
【0033】
光ファイバの曲げ抵抗は、例えば、所定の直径のマンドレルの周りにファイバを配設するかまたは巻き付け、例えば、6mm、10mm、20mm、30mmまたは類似の直径のマンドレルの周りに1回転巻き付け(例えば、「1×10mm直径のマクロベンド損失」または「1×30mm直径のマクロベンド損失」)、巻き付け当たりの減衰の増加を測定することによって、所定の試験条件下で誘起された減衰により計ることができる。
【0034】
曲げ試験の1つのタイプは、横荷重マイクロベンド試験である。このいわゆる「横荷重」試験(LLWM)において、所定の長さの光ファイバが2枚の平らな板の間に配置される。一方の板に#70ワイヤメッシュが取り付けられている。公知の長さの光ファイバが板の間に挟まれ、30ニュートンの力で板が互いに加圧されている間に基準減衰が測定される。次いで、70ニュートンの力が板に印加され、dB/mで表された減衰の増加が測定される。この減衰の増加は、特定の波長(典型的に、1200〜1700nmの範囲内、例えば、1310nmまたは1550nmまたは1625nm)でのdB/mで表された光ファイバの横荷重減衰である。
【0035】
曲げ試験の別のタイプは、ワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド試験((wire mesh covered drum microbend test)WMCD)である。この試験において、直径400mmのアルミニウムドラムにワイヤメッシュが巻き付けられる。このメッシュは、引き伸ばされずにきつく巻かれ、孔、窪み、または損傷を有さないべきである。ワイヤメッシュの材料仕様:McMaster−Carr Supply Company(オハイオ州、クリーブランド所在)、部品番号85385T106、耐腐食性304ステンレス鋼金網、インチ(約2.54cm)当たりのメッシュ:165×165、ワイヤの直径:0.0019インチ(約0.475mm)、開口幅:0.041インチ(約1.025mm)、開放面積(%):44%。所定の長さ(750メートル)の光ファイバを、80(±1)グラムの張力を印加しながら、0.050センチメートルの巻き取りピッチでワイヤメッシュドラム上に1m/sで巻き付ける。所定の長さのファイバの端部は、張力を維持するためにテープで貼り付けられ、ファイバの重なりはない。光ファイバの減衰は、特定の波長(典型的に、1200〜1700nmの範囲内、例えば、1310nmまたは1550nmまたは1625nm)で測定され、基準減衰は、滑らかなドラム上に巻き付けられた光ファイバについて測定される。減衰の増加は、特定の波長(典型的に、1200〜1700nmの範囲内、例えば、1310nmまたは1550nmまたは1625nm)でdB/kmで表された光ファイバのワイヤメッシュ被覆ドラム減衰である。
【0036】
「ピンアレイ」曲げ試験は、光ファイバの曲げに対する相対抵抗を比較するために使用される。この試験を行うために、曲げ損失が実質的に誘発していない光ファイバについて、曲げ損失が測定される。次いで、光ファイバをピンアレイの周りに編み込み、減衰を再び測定する。曲げにより誘発された損失は、2つの測定された減衰の間の差である。ピンアレイは、一列に配置された10本一組の円柱ピンであり、平らな表面上に固定された垂直位置に保持される。ピンの間隔は中心間で5mmである。ピンの直径は0.67mmである。試験中、光ファイバをピンの表面の一部に従わせるために、十分な張力が印加される。減衰の増加は、特定の波長(典型的に、1200〜1700nmの範囲内、例えば、1310nmまたは1550nmまたは1625nm)での光ファイバのdBで表されたピンアレイ減衰である。
【0037】
理論的ファイバカットオフ波長、または「理論的ファイバカットオフ」、または「理論的カットオフ」は、所定のモードについて、導光がそれより長いとそのモードで伝搬できなくなる波長である。その数学的定義が、Single Mode Fiber Optics, Jeunhomme, pp. 39-44, Marcel Dekker, New York, 1990に見つかり、そこでは、理論的ファイバカットオフは、モード伝搬定数が外側クラッドにおける平面波伝搬定数と等しくなる波長と記載されている。この理論的波長は、直径の変動がない、無限に長い完全に真っ直ぐなファイバに適している。
【0038】
ファイバのカットオフは、「2mファイバカットオフ」または「測定カットオフ」としても知られている、「ファイバカットオフ波長」を得るために、標準2mファイバカットオフ試験、FOTP−80(EIA−TIA−455−80)によって測定される。このFOTP−80標準試験は、制御された曲げ量を使用してより高次モードを除去するか、またはマルチモードファイバのスペクトル応答に対してそのファイバのスペクトル応答を標準化させるために行われる。
【0039】
ケーブル化された場合のカットオフ波長、またはここに用いた「ケーブル化カットオフ」により、EIA−TIA光ファイバ基準、すなわち、米国電子工業会−米国電気通信工業会の光ファイバ基準の一部であるEIA−445光ファイバ試験手法に記載された22mケーブル化カットオフを意味する。
【0040】
ここに特に断りのない限り、光学的性質(分散、分散勾配など)はLP01モードについて報告されている。
【0041】
出願人等は、シングルモードファイバのプロファイルに深さが一定ではないオフセットトレンチを配置することにより、小さい(≦5mm)曲げ半径と大きい(≧10mm)曲げ半径の両方で曲げ性能を同時に改善できることを発見した。以下のファイバの実施の形態により、小さい曲げ直径と大きい曲げ直径で低い曲げ性能がもたらされ、G.652基準準拠の他のオプティカル(1310nmでの8.2および9.6マイクロメートルの間のMFD、1300nmおよび1324nmの間のゼロ分散波長、1260mm以下のケーブルカットオフ波長)を有する。ここに開示された光ファイバは、52μm
2と72μm
2の間の、1310nmでの有効面積を示すことができる。ここに開示された光ファイバは、75μm
2と90μm
2の間の、1550nmでの有効面積を示すことができる。
【0042】
光ファイバ10のMFD(1310nmの波長での)が8.2μmと9.6μmの間であることが好ましい。例えば、8.2マイクロメートル≦MFD≦9.6マイクロメートル、または8.5μm≦MFD≦9.4マイクロメートル(例えば、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6マイクロメートル、またはそれらの間)。
【0043】
例示のファイバ10のいくつかの相対屈折率プロファイルが、
図1A〜1Gに示されている。
図1A〜1Gの光ファイバ10は、最大相対屈折率差分パーセントΔ
1maxを有する中央ガラスコア領域1(またはコア)を含む。このコアは、ステップ型プロファイルまたはグレーデッド・インデックス・プロファイル(ここでは、屈折率分布型プロファイルとも称される)を有してもよい。第1の内側クラッド領域2は中央コア領域1を取り囲み、この第1の内側クラッド領域2は相対屈折率差分パーセントΔ
2を有する。第2の内側クラッド領域3(ここではトレンチとも称される)は第1の内側クラッド領域2を取り囲み、この第2の内側クラッド領域3は最小相対屈折率差分パーセントΔ
3minを有する。この第2の内側クラッド領域3は一定のΔ
3(r)を有さない。Δ
3(r)は、半径の増加と共に減少することが好ましく、三角形の断面を有してよい。それゆえ、いくつかの実施の形態において、この領域の最小相対屈折率Δ
3はr=r
3で生じる(すなわち、Δ
3(r=r
3)=Δ
3min)。外側クラッド領域4は、第2の内側クラッド領域3を取り囲み、相対屈折率差分パーセントΔ
4を有する。
図1A〜1Gに示されるように、第2の内側クラッド領域3はコア領域1からずれており、よって、第1の内側クラッド領域2は中央ガラスコア領域1と第2の内側クラッド領域3との間に挟まれている。外側クラッド領域4は、第2の内側クラッド領域3(トレンチ)を取り囲み、Δ
4を有する。
図1Aは、三角形のトレンチプロファイルを有するファイバ10の実施の形態の相対屈折率プロファイルΔ
3(r)を示している。この図は、第2の内側クラッド領域3の相対屈折率が、半径の増加と共に単調減少し、Δ
3(r
2)>Δ
3(r
3)であることを示している。
図1Aの実施の形態において、Δ
2=Δ
4である。しかしながら、Δ
2は、Δ
4と同じである必要はない(例えば、Δ
2は、Δ
4より大きくても小さくてもよい)。Δ
4≧Δ
2であることが好ましい。例えば、
図1Dは、三角形のトレンチプロファイルを有し、かつ
図1Aのプロファイルに似ている、ファイバ10の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示しているが、
図1Dにおいて、Δ
4>Δ
2である。いくつかの実施の形態において、Δ
4−Δ
2は0.01%と0.1%の間であり、他の実施の形態において、0.02%と0.05%の間である。
図1Bは、台形のトレンチプロファイルを有するファイバ10の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示している。この実施の形態において、第2の内側クラッド領域3の屈折率も、半径の増加と共に減少し、Δ
3(r
2)>Δ
3(r
3)である。
図1Bの実施の形態において、Δ
2=Δ
4であるが、いくつかの実施の形態において、Δ
2およびΔ
4は異なる値を有する(例えば、Δ
2>Δ
4、またはΔ
2<Δ
4)。
図1Cは、ファイバ10の別の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示している。この実施の形態において、第2の内側クラッド領域3の屈折率は、値r=r
3aに到達するまで、半径の増加と共に単調減少し、次いで、半径r
3aとr
3の間で一定である。この実施の形態において、Δ
3(r
2)>Δ
3(r
3)である。
図1Cの実施の形態において、Δ
2=Δ
4であるが、いくつかの実施の形態において、Δ
2およびΔ
4は異なる値を有する(例えば、Δ
2>Δ
4、またはΔ
2<Δ
4)。いくつかの実施の形態において、0.05%≧|Δ
2−Δ
4|≧0.01%である。
図1Eは、三角形のトレンチプロファイルを有し、かつ
図1Aのプロファイルに似た、ファイバ10の別の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示しているが、
図1Eにおいて、中央コア領域は、最大屈折率差分パーセントΔ
1maxおよび屈折率アルファプロファイルα
コアを有している。光ファイバ10は、アルファ値が1≦α
コア≦100に及ぶコアを有してもよい。いくつかの好ましい実施の形態において、5≦α
コア≦100、他の好ましい実施の形態において、2≦α
コア≦20、または5≦α
コア≦20である。
【0044】
少なくともいくつかの実施の形態において、α
τ≦50であり、式中、α
τはトレンチアルファプロファイルである。いくつかの実施の形態について、0.5≦α
τ≦5である。
図1Fは、
図1Aのプロファイルに似たトレンチプロファイルを有するファイバ10の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示しているが、
図1Fにおいて、第2の内側クラッド領域3の相対屈折率プロファイルは、凸状の形状を有する。
図1Gは、トレンチプロファイルを有し、
図1Aのプロファイルに似た、ファイバ10の実施の形態の相対屈折率プロファイルを示しているが、
図1Gにおいて、第2の内側クラッド領域3の相対屈折率プロファイルは、凹状の形状を有する。
【0045】
例示の実施の形態において、Δ
1max>Δ
2>Δ
3minおよびΔ
3min<Δ
4である。好ましくは、Δ
2−Δ
3min≧0.1%、より好ましくはΔ
2−Δ
3min≧0.15%、さらにより好ましくはΔ
2−Δ
3min≧0.2%である。
図1Aから1Gに示された実施の形態において、領域1,2,3は、互いに直接隣接している。しかしながら、このことは必要なく、代わりに、追加の随意的なコア領域またはクラッド領域を用いてもよい。例えば(図示せず)、別の領域(2A)をコアと領域3の間に配置してもよい。随意的な内側クラッド領域2Aは、コア領域1に直接隣接し、それを取り囲み、環状領域2のものより高いか低い相対屈折率差分パーセントΔ
2A(すなわち、Δ
2A<Δ
2、またはΔ
2A>Δ
2)を有してもよい。
【0046】
第2の内側クラッド領域3(トレンチ)の屈折率(およびそれゆえ相対屈折率差分)は、半径の増加と共に減少することが好ましい。第2の内側クラッド領域3の形状は、パラメータ:
【0050】
は、r
2とr
3の間の異なる半径位置で屈折率勾配を平均することによって決定される第2の内側クラッド領域における平均屈折率勾配である。三角形のトレンチについて、パラメータβの値は1である。矩形のトレンチについて、パラメータβの値は0である。光ファイバ10の他の実施の形態において、パラメータβは、0.25より大きく、より好ましくは0.5より大きく、さらにより好ましくは0.75より大きい。βが1.5未満であることが好ましく、1.1未満がより好ましい。
【0051】
第2の内側クラッド領域3におけるトレンチ形状を定義するのに使用できる別のパラメータはパラメータα
tであり、これは、rが半径であり、「%」の単位でΔ(r)により表される、第2の内側クラッド領域3における相対屈折率プロファイルを称し、式:
【0053】
にしたがい、式中、α
tはトレンチアルファパラメータである。矩形のトレンチについて、パラメータα
tの値は100より大きいのに対し、三角形のトレンチについて、パラメータα
tの値は1である。α
t≦50であることが好ましい。光ファイバ10のいくつかの実施の形態において、パラメータα
tは、0.5≦α
t≦5であり、いくつかの実施の形態において、0.5≦α
t≦3であり、いくつかの実施の形態において、0.75≦α
t≦2である。
【0054】
ここに開示された例示の実施の形態によれば、光ファイバは、0.3≦V
3a3ratio≦0.8のモート体積比を有することが好ましく、V
3a3rqtioは、
【0057】
中央コア領域1は外径r
1を有し、r
1は、中心線から半径方向外側に移動する半径rが、Δ(r)%が最初に0.03%に到達する値に相当する地点である。コア領域1(ここではコアとも称される)は、約0.3から0.5、より好ましくは約0.31から0.48、例えば、約0.31から0.45の最大相対屈折率差分パーセントΔ
1maxを有することが好ましい。いくつかの実施の形態において、Δ
1maxは0.31と0.43の間である。いくつかの実施の形態において、Δ
1maxは0.42未満である。コアの半径r
1は、好ましくは3と10マイクロメートルの間、より好ましくは約3.5と8.0マイクロメートルの間、例えば、3.5≦r
1≦7.0マイクロメートル、または3.5≦r
1≦5.0マイクロメートルである。中央コア領域1は、単一セグメントのステップ型プロファイルを有してもよい。いくつかの実施の形態において、中央コア領域1は、アルファ(α
コア)値が0.5より大きく10未満である、いくつかの実施の形態において、7.5未満、5未満、また3未満である(例えば、1.85、1.95、1.98、2、2.05、2.1、またはそれらの間などの1.8と2.2の間)、アルファプロファイルを示す。しかしながら、他の実施の形態において、中央コア領域1は、約2と約100の間、または10と40の間(15、20、30、またはそれらの間などの)、ある場合には、5≦アルファ
コア≦20であるα
コアを有してもよい。
【0058】
いくつかの好ましい実施の形態において、中央コア領域1は、5≦アルファ
コア≦20を示し、0.30から0.48の相対屈折率差分パーセントΔ
1(例えば、0.32≦Δ
1≦0.4)を有する。いくつかの好ましい実施の形態において、中央コア領域1は、5≦アルファ
コア≦20のアルファを示し、0.3から0.48の相対屈折率差分パーセントΔ
1max(例えば、0.32≦Δ
1≦0.4)、および約3.5から7マイクロメートルのコア半径を有する。いくつかの好ましい実施の形態において、中央コア領域1は、0.5より大きく10未満の、いくつかの実施の形態において、7.5未満の、5未満、または3未満のアルファを示し、0.3から0.48の相対屈折率差分パーセントΔ
1max(例えば、0.32≦Δ
1≦0.4)、および約3.5から7マイクロメートルのコア半径を有する。
【0059】
図1に示された実施の形態において、内側クラッド領域2は、中央コア領域1を取り囲み、内径r
1と外径r
2を有し、r
1は先に定義されており、r
2は、相対屈折率が0.03(Δ
3min)に等しい、r
1から半径方向外側に離れて移動する最初の半径位置として定義される。ある場合には、領域2における屈折率は実質的に平らであり、他の場合には、屈折率分布型プロファイルがあり得、いくつかの実施の形態において、領域2では、半径が増加するにつれて、屈折率が減少する。さらに他の場合において、小さいプロファイルの設計またはプロセスの変化の結果として変動があり得る(例えば、
図6参照)。いくつかの実施の形態において、第1の内側クラッド領域2は0.02質量%未満のフッ素を含有する。いくつかの実施の形態において、内側クラッド領域2は、フッ素もゲルマニアも実質的にドープされていない、すなわち、その領域がフッ素とゲルマニアを実質的に含まないように、シリカからなる。いくつかの他の実施の形態において、領域2には、0.2質量%未満のフッ素がドープされている。内側クラッド領域2は、好ましくは約1から13マイクロメートル、より好ましくは2から10マイクロメートル、さらにより好ましくは約2から7マイクロメートルの幅を示す。6マイクロメートル≦r
2≦15マイクロメートルが好ましく、6.5≦r
2≦12マイクロメートルがより好ましい。内側クラッド領域2の半径r
2に対するコア半径r
1の比は、好ましくは少なくとも0.3かつ1未満、より好ましくは0.3より大きく、例えば、約0.33と0.85の間、または0.33と0.7の間、または0.4から0.6である。
【0062】
を使用して計算される屈折率差分パーセントΔ
2を含む。いくつかの実施の形態において、第1の内側クラッド領域2は、フッ素もゲルマニアも実質的にドープされていない、すなわち、その領域がフッ素とゲルマニアを実質的に含まないように、シリカからなる。内側クラッド領域3は、領域2のものより低い最小相対屈折率差分を提供するようにダウンドーパント、例えば、フッ素を含むことが好ましい。
図1A〜1Gに示された実施の形態において、第2の内側クラッド領域3(トレンチとも称される)は、第1の内側クラッド領域2を取り囲み、内径r
2および外径r
3を有し、r
2は先に定義されており、r
3は、相対屈折率プロファイル曲線が、半径r
2から半径方向外側に移動する最初の半径位置でゼロ差分線(Δ
4)と再び交差する場所として定義される。ある場合には、領域3における相対屈折率は屈折率分布型プロファイルであって差し支えなく、ある場合には(好ましくは)、領域3における相対屈折率は、その領域の内側部分でより浅い凹部を、その領域の外側部分でより深い凹部を有する。その上、小さいプロファイル設計またはプロセスの変化の結果として、変動があり得る。いくつかの実施の形態において、第2の内側クラッド領域3はフッ素および/またはホウ素を含む。いくつかの実施の形態において、屈折率が減少した環状部分は、非周期的に配置されたか、または周期的に配置されたか、またはその両方で配置された、空隙を含む。「非周期的に配置された」または「非周期的分布」という用語は、光ファイバの断面(縦軸に対して垂直な断面など)をとったときに、非周期的に配置された空隙は、ファイバの一部分に亘り無作為にすなわち非周期的に分布していることを意味する。ファイバの長手方向に沿って異なる地点で取られた類似の断面が、異なる断面孔パターンを表すであろう、すなわち、様々な断面が異なる孔パターンを有し、ここで、空隙の分布および空隙のサイズは一致しない。すなわち、空隙は非周期的である、すなわち、それらは、ファイバ構造内に周期的に配置されていない。これらの空隙は、光ファイバの長手方向(すなわち、縦軸に対して平行)に沿って伸長されている(引き伸ばされている)が、伝送ファイバの典型的な長さについて、全ファイバの全長に亘り延在していない。空隙は、アルゴン、窒素、クリプトン、CO
2、SO
2、または酸素などの1種類以上のガスを含有しても差し支えなく、または空隙は、実質的にガスを含まない真空であって差し支えない;任意のガスの存在または不在にかかわらず、環状部分3の相対屈折率は、空隙の存在により低下される。理論により拘束することを意図するものではないが、空隙は、ファイバの長手方向に沿って、数メートル未満しか、多くの場合、1メートル未満しか延在しないと考えられる。ここに開示された光ファイバは、固結されたガラスブランク内に相当な量のガスが捕捉されるようにするのに効果的なプリフォーム固結条件を使用し、それによって、固結されたガラス光ファイバプリフォームに空隙を形成する方法によって、製造することができる。これらの空隙を除去するための工程をとらずに、結果として得られたプリフォームを使用して、その中に空隙を有する光ファイバを形成する。ここに用いたように、孔の直径は、光ファイバを、ファイバの縦軸を横断する垂直断面で見たときに、孔を画成するシリカ内面に端点が配置された最長の線セグメントである。内側クラッド領域3は、相対屈折率差分パーセントΔ
3(r)、および最小相対屈折率差分Δ
3minを有する。第2の内側クラッド領域における最小屈折率Δ
3minは、好ましくは−0.1%より小さい(すなわち、Δ
4−Δ
3≧0.1%)、いくつかの実施の形態において−0.25%より小さい、いくつかの他の実施の形態において−0.35%より小さい。
【0063】
第2の内側クラッド領域3(トレンチ)の体積V
3は、式2に示されたように定義され、パーセント差分平方マイクロメートル(%Δμm
2)の単位で与えられている:
【0065】
図1A〜1Dの実施の形態において、内側クラッド領域3の絶対体積V
3は、10Δ%μm
2≦V
3≦105Δ%μm
2、いくつかの実施の形態において、20Δ%μm
2≦V
3≦95Δ%μm
2である。内側クラッド領域3は、好ましくは約5≦(r
3−r
2)≦20マイクロメートル、いくつかの実施の形態において、約5≦(r
3−r
2)≦15マイクロメートルの幅W
3、(すなわち、r
3−r
2)を示す。
図1A〜1Dのいくつかの実施の形態において、内側クラッド領域3の絶対体積V
3は、35Δ%μm
2≦V
3≦105Δ%μm
2、例えば、50Δ%μm
2≦V
3≦95Δ%μm
2(例えば、70Δμm
2超、いくつかの実施の形態において、85Δμm
2超)である。この内側クラッド領域3は、好ましくは約5から20マイクロメートル、より好ましくは5から15マイクロメートルの幅Wを示す。内側クラッド領域2の半径r
2に対する半径r
3の比は、好ましくは1.3より大きい、より好ましくは1.5と4の間である。
【0066】
外側クラッド領域4は、屈折率が減少した環状部分3を取り囲み、内側クラッド領域3の屈折率Δ
3minより高い相対屈折率差分パーセントΔ
4を有する。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域4は、第1の内側クラッド領域2のものより大きい相対屈折率を有し、それによって、例えば、外側クラッド領域4の相対屈折率を増加させるのに十分な量のドーパント(ゲルマニアまたは塩素などの)を添加することによって、第1の内側クラッド領域2に対して「アップドープされた(updoped)」外側クラッド領域4である領域を形成する。しかしながら、屈折率増加ドーパントを領域4に含ませなければならないという意味で、領域4がアップドープされていることは重大な意味を持つことではないことに留意されたい。実際に、外側クラッド領域4における同じ種類の上昇した屈折率効果は、外側クラッド領域4に対して第1の内側クラッド領域2をダウンドープすることによって行ってもよい。外側クラッド領域4は、第1の内側クラッド領域2よりも高い相対屈折率を有し、第1の内側クラッド領域2における相対屈折率に対して、0.01%より大きい、いくつかの実施の形態において、0.02%または0.03%より大きい相対屈折率差分パーセントΔ
4を有してもよい。外側クラッド領域4の屈折率の高い部分(第1の内側クラッド領域2と比べて)が、好ましくは、光ファイバを伝送されるであろう光パワーが、伝送される光パワーの90%以上である地点まで、より好ましくは、光ファイバを伝送されるであろう光パワーが、伝送される光パワーの95%以上である地点まで、最も好ましくは、光ファイバを伝送されるであろう光パワーが、伝送される光パワーの98%以上である地点まで、少なくとも延在する。多くの実施の形態において、このことは、「アップドープされた」第3の環状領域を約30マイクロメートルの半径方向地点まで少なくとも延在させることによって、達成される。その結果、第3の環状領域4の体積V
4は、半径r
3とr
30(30マイクロメートルの半径)の間で計算されるとここに定義され、
【0069】
第1の内側クラッド領域2の体積と比べた外側クラッド領域4(30マイクロメートルの内側)の体積V
4は、好ましくは5Δ%μm
2超、より好ましくは7Δ%μm
2超であり、10Δ%μm
2超であってよい。外側クラッド領域(30マイクロメートルの内側)のこの体積V
4は、いくつかの実施の形態において、50Δ%μm
2未満である。
【0070】
いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域4の相対屈折率Δ
4は、第1の内側クラッド領域2の相対屈折率Δ
2より、0.01%大きい、より好ましくは0.02%超大きい。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域4は塩素(Cl)を含む。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域はゲルマニア(GeO
2)を含む。
【0071】
コア領域1は、全てに亘り正の相対屈折率を有することが好ましい。コア1は、r=0とr=3μmとの間で生じる最大相対屈折率Δ
1maxを有する。Δ
1maxは、好ましくは0.30%と0.48%の間、さらにより好ましくは0.3%と0.45%の間である。
【0072】
第1の内側クラッド領域2は実質的に一定の相対屈折率プロファイルを有することが好ましい、すなわち、この中間領域内の任意の2つの半径での相対屈折率間の差が0.02%未満、いくつかの好ましい実施の形態において、0.01%未満である。それゆえ、第1の内側クラッド領域2の相対屈折率プロファイルは実質的に平らな形状を有することが好ましい。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域4は、純粋なシリカに対してアップドープされており、いくつかの実施の形態において、第1の内側クラッド領域2は純粋なシリカに対してダウンドープされている。
【0073】
コア領域1は、ステップ型屈折率コアであってよく、アルファ(α)型を有してよい。好ましい実施の形態において、r
1は8.0マイクロメートル未満、より好ましくは3.5マイクロメートルと7.0マイクロメートルの間である。ファイバは、8.2と9.6マイクロメートルの間の1310nmでのモードフィールド直径、1300nmと1324nmの間のゼロ分散波長、1260nm以下のケーブルカットオフおよび10mmの半径のマンドレル上に巻き付けたときの、2dB/turn未満、好ましくは1dB/turn未満の曲げ損失を示すことができる。
【0074】
ここに開示されたファイバは、従来の製造技法を使用し、例えば、ここに引用する米国特許第7565820号明細書に開示されたような、公知のファイバ線引き方法および装置を使用して製造された光ファイバプリフォームから線引きしてもよい。
【実施例】
【0075】
様々な例示の実施の形態は、以下の実施例によってさらに明確になるであろう。特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更が行えることが当業者には明白であろう。
【0076】
ファイバの実施例1〜6
下記の表1A、1B、2A、2B、3〜5は、モデル化された説明の実施例1〜6と8〜27、製造されたファイバの実施例7、および2つの比較例のファイバの特徴を列挙している。詳しくは、表1Aおよび1Bの各実施例について、中央コア領域1の相対屈折率差分Δ
1、アルファ、および外径r
1、第1の内側クラッド領域2の相対屈折率差分Δ
2および外径r
2、第2の内側クラッド領域3の相対屈折率差分Δ
3および体積V
3、外側クラッド領域4の相対屈折率差分Δ
4および、外側クラッド領域3の内径r
3と30マイクロメートルの半径方向距離との間で計算された体積V
4、およびモート体積比が下記に述べられている。
【0077】
【表1A】
【0078】
【表1B】
【0079】
また、nmで表された理論カットオフ波長、1310nmでの色分散と分散勾配、1550nmでの色分散と分散勾配、1310nmと1550nmでのモードフィールド直径、1550nmでの有効面積A
eff、1550nmでの横荷重ワイヤメッシュマイクロベンド、1550nmでのピンアレイマクロベンド、ゼロ分散波長、22mケーブルカットオフ、1550nmでのdB/turnで表された1×10および1×30mmの直径の誘起曲げ損失、およびカッパ値(分散勾配で割った分散D)を含むモデル化データも示されている。
【0080】
より詳しくは、表1A、1B、2Aおよび2Bの例示のファイバの実施の形態は、2と20の間のコアアルファ値、約4と約5.5マイクロメートルの間のコア半径、および0.3%<Δ
1max<0.4%を有する。これらのファイバの実施の形態のほとんどは、10mmの直径のマンドレルに巻き付けたときに0.5dB/turn未満の曲げ損失、および30mmの直径のマンドレルに巻き付けたときに0.01dB/turn未満の曲げ損失を有する。
【0081】
【表2A】
【0082】
【表2B】
【0083】
【表3-1】
【0084】
【表3-2】
【0085】
【表4-1】
【0086】
【表4-2】
【0087】
【表5-1】
【0088】
【表5-2】
【0089】
【表6-1】
【0090】
【表6-2】
【0091】
また、nmで表された理論カットオフ(LP11)波長、1310nmでの色分散と分散勾配、1550nmでの色分散と分散勾配、1310nmと1550nmでのモードフィールド直径、1550nmでの有効面積A
eff、1550nmでの横荷重ワイヤメッシュマイクロベンド、1550nmでのピンアレイマクロベンド、ゼロ分散波長、22mケーブルカットオフ、および1550nmでのdB/turnで表された1×10、1×20および1×30mmの直径の誘起曲げ損失を含むモデル化データも示されている(表4、5および6)。
図4、5および6の光ファイバの実施の形態(ファイバ実施例8〜27)は、5と15の間のコアアルファ値、約4と約5マイクロメートルの間のコア半径、および0.3%<Δ
1max<0.4%を有する。これらのファイバの実施の形態のほとんどは、10mmの直径のマンドレルに巻き付けたときに2dB/turn未満(1550nmで)の曲げ損失、20mmの直径のマンドレルに巻き付けたときに0.5dB/turn未満(1550nmで)の曲げ損失、および30mmの直径のマンドレルに巻き付けたときに0.01dB/turn未満の曲げ損失を有する。表4、5および6に対応する光ファイバの実施の形態は、1310nmで約8.5マイクロメートルと約9.1マイクロメートルの間、および1310nmで約9.6マイクロメートルと約10.3マイクロメートルの間のモードフィールド直径(MFD);1190nmと1250nmの間のケーブルカットオフ、および7.1と7.6の間のMACCab値(MACCab=1310nmでのマイクロメートルで表されたMFD/マイクロメートルで表されたケーブルカットオフ)を有する。
【0092】
表1Aの比較例のファイバ(矩形のトレンチ)および例示のファイバの実施の形態(例示のファイバの実施例1、2および3)の相対屈折率プロファイルが
図2に示されている。より詳しくは、
図2は、例示のファイバの実施例1および2はステップ状コアプロファイル(α=20)を有すること、および例示のファイバの実施例3が放物型プロファイル(α=2)を有することを示している。例示のファイバの実施例1〜3は、トレンチの内側部分に浅い凹部を、トレンチの外側部分に深い凹部を有するトレンチを有する(すなわち、相対屈折率差分は、トレンチの外側部分またはそれに近いほうが負の方向に大きい)。例示の実施例1は、比較例のファイバ1の外側のトレンチ半径と同じ半径r
3およびより小さいトレンチ体積V
3を有する。ファイバの実施例2は、ファイバの実施例2の半径より大きい半径r
3を有するが、トレンチは、比較例のファイバの体積より大きい体積V
3を有する。例示の実施例3は、例示の実施例2のものと同じトレンチ体積を有する。
【0093】
図3は、表1Aのファイバの実施例1、2および3(すなわち、例示の実施例1〜3)および比較例1のファイバに関する曲げ直径の関数としての曲げ損失を示している。
図3は、正方形のトレンチプロファイルおよび三角形のトレンチプロファイルを有するファイバは、10mm曲げ直径(5mm曲げ半径)で同様の曲げ損失を有するが、非矩形または三角形のトレンチ設計を有するファイバは、30mm曲げ直径(15mm曲げ半径)で同様またはより良好な曲げ損失性能を有することを示している。
【0094】
表1Bの別の比較例のファイバ2(矩形のトレンチ)および3つのファイバの実施の形態(ファイバの実施例4、5および6)の相対屈折率プロファイルが、
図4に示されている。
図4のファイバは、ドープされていない外側クラッド領域4を有する。より詳しくは、
図4は、ファイバの実施例4および5がステップ型コアプロファイル(α=20)を有し、ファイバの実施例6が放物線プロファイル(α=2)を有することを示している。ファイバの実施例4〜6は、トレンチの内側部分に浅い凹部を、トレンチの外側部分に深い凹部を有する三角形トレンチを有している。ファイバの実施例4は、比較例のファイバの外側トレンチ半径よりも大きい半径r
3を有している。ファイバの実施例5は、ファイバの実施例4の半径よりも大きい半径r
3を有している。ファイバの実施例6は、ファイバの実施例5とは異なるトレンチ形状を有しているが、そのトレンチの体積は実施例5と6は同程度である。トレンチ領域3の形状および外側クラッド領域のアップドープ状態(第1の内側クラッド領域2に対して)は、より大きいトレンチ体積V
3(約105%μm
2)を有すると同時に1260nm未満のケーブルカットオフを有するのに役立つ。
【0095】
図5は、表1Bのファイバの実施例4、5および6と、第2の比較例のファイバに関する曲げ直径の関数としての曲げ損失を示している。出願人等は、正方形のモートおよび三角形のモートを有するファイバが、10mmの曲げ直径(5mmの曲げ半径)で同様の曲げ損失を有するが、三角形のトレンチのファイバ設計が、30mmの曲げ直径(15mmの曲げ半径)でずっと良好な曲げ損失性能を有することを発見した。トレンチ体積が増加した場合、ファイバの性能がさらに改善する。
【0096】
別のモデル化ファイバおよびこのプロファイルに対応する製造ファイバに関する相対屈折率プロファイルが
図6に示されている。製造されたファイバの実施例7の測定された光学的性質が表3に示されており、G.657およびG.652の各仕様に適合する良好な曲げ性能および他の特性を示している。
【0097】
例示の光ファイバの実施の形態10は、20mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに0.5dB/turn未満の、ある場合には、0.25dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示すことが好ましい。これらのファイバは、10mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに2dB/turn未満の、より好ましくは1dB/turn未満の、より好ましくは0.5dB/turn未満の、いくつかのファイバにおいて最も好ましくは0.2dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。これらのファイバは、30mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに0.01dB/turn未満の、いくつかのファイバでは、0.003dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。これらの実施例のいくつかでは、外側クラッド領域に、2000質量ppm超の、いくつかの場合には、3000質量ppm超、またはさらには4000質量ppm超の量の塩素を使用している。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域は、2000質量ppm超かつ12000質量ppm未満の量の塩素を含む。
【0098】
いくつかの例示の光ファイバの実施の形態10は、15mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに0.5dB/turn未満の、ある場合には、0.25dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。これらのファイバの少なくともいくつかは、10mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに1dB/turn未満の、より好ましくは0.5dB/turn未満の、いくつかのファイバにおいては、最も好ましくは0.2dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。これらのファイバは、15mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに0.25dB/turn未満の、いくつかのファイバにおいては、より好ましくは0.15dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。これらのファイバは、20mmの直径のマンドレルに巻き付けられたときに0.1dB/turn未満の、いくつかのファイバにおいては、より好ましくは、0.03dB/turn未満の、1550nmでの曲げ損失を示す。
【0099】
1550nmでの減衰(スペクトル)は、好ましくは0.21dB/km未満、より好ましくは0.20dB/km未満、さらにより好ましくは0.197dB/km未満である。いくつかの好ましい実施の形態において、1550nmでの減衰(スペクトル)は、0.191dB/km以下、さらより好ましくは0.189dB/km以下、さらにより好ましくは0.182dB/km以下である。
【0100】
それゆえ、ここに記載された光ファイバ10の実施の形態は、極めて優れた曲げ性能を提供し、その上、約1260nmより長い波長でのシングルモード作動に適したカットオフ波長を提供する。
【0101】
いくつかの実施の形態において、コアは、1つ以上の光ファイバ製造技法の結果として生じるであろういわゆる中心線低下部(centerline dip)を有する相対屈折率プロファイルを含んでもよい。しかしながら、ここに開示された相対屈折率プロファイルのいずれにおいても、中心線低下部は随意的である。
【0102】
ここに開示された光ファイバは、コアと、そのコアを取り囲み直接隣接したクラッド層(もしくはクラッドまたは最も外側の環状クラッド領域)を備えている。コアが、ゲルマニウムがドープされたシリカ、すなわち、ゲルマニアドープトシリカからなることが好ましい。単独でまたは組合せで、ゲルマニウム以外のドーパントを、ここに開示された光ファイバのコア内に、特に、中心線にまたはその近くに用いて、所望の屈折率および密度を得てもよい。好ましい実施の形態において、ここに開示された光ファイバのコアは、負ではない相対屈折率プロファイル、より好ましくは正の相対屈折率プロファイルを有し、そのコアは、クラッド層により取り囲まれ、直接隣接している。
【0103】
ここに開示された光ファイバがシリカ系のコアとクラッドを有することが好ましい。好ましい実施の形態において、そのクラッドは、r
4の2倍である、約125マイクロメートルの外径を有する。
【0104】
ここに開示されたファイバは、特にOVD法で製造された場合、低いPMD値を示す。その光ファイバを回転させて、ここに開示されたファイバのPMD値を低下させてもよい。
【0105】
先の説明は、単なる例示であり、特許請求の範囲により定義されたファイバの性質と特徴を理解するための概要を提供することが意図されているのが理解されよう。添付図面は、好ましい実施の形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、その説明と共に、原理と作動を説明する働きをする様々な特徴と実施の形態を図示している。付随の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱せずに、ここに記載された好ましい実施の形態に対して様々な改変が行えることが当業者に明白になるであろう。