(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施形態1は、
A)1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物であって、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位と、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位と、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]と、
(式中、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルである)
を含み、
前記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]が、直鎖状ブロック当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロック内に配置され、
前記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]が、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロック内に配置され、前記非直鎖状ブロックのうちの少なくとも30%が互いに架橋しており、各直鎖状ブロックが、少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結しており、
かつ前記オルガノシロキサンブロックコポリマーが、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(M
w)を有する、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と、
B)以下の式を有する1つ以上のオルガノポリシロキサン:
[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
f
(式中、
各R
2は、独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルであり、
添字c、d、e、及びfは、前記オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、
cは、約0〜約0.6であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約1であり、
fは、約0〜約0.6であり、
但し、d+e+f>0かつc+d+e+f≒1である)と、
を含み、
成分A)の成分B)に対する重量比が、99.5/0.5〜10/90で変動し得る、組成物に関する。
【0004】
実施形態2は、成分A)の成分B)に対する重量比が、約99.5/0.5である、実施形態1に記載の組成物に関する。
【0005】
実施形態3は、B)前記オルガノポリシロキサンが、フェニルシルセスキオキサン樹脂である、実施形態1に記載の組成物に関する。
【0006】
実施形態4は、前記フェニルシルセスキオキサン樹脂が、少なくとも60モルパーセントの(C
6H
5)SiO
3/2シロキシ単位を含む、実施形態3に記載の組成物に関する。
【0007】
実施形態5は、前記フェニシルセスキオキサン樹脂が、本質的に(C
6H
5)SiO
3/2シロキシ単位からなる、実施形態3に記載の組成物に関する。
【0008】
実施形態6は、B)前記オルガノポリシロキサンが、ポリジオルガノシロキサンである、実施形態1に記載の組成物に関する。
【0009】
実施形態7は、前記ポリジオルガノシロキサンが、ポリメチルフェニルシロキサンである、実施形態6に記載の組成物に関する。
【0010】
実施形態8は、前記ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態6に記載の組成物に関する:
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
mSi(CH
3)
3
(式中、mは、1以上である)。
【0011】
実施形態9は、前記ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態6に記載の組成物に関する:
(CH
3)
3SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(CH
3)
3
(式中、mは、1以上である)。
【0012】
実施形態10は、前記ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態6に記載の組成物に関する:
(CH
3)(C
6H
5)
2SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(C
6H
5)
2(CH
3)
(式中、mは、1以上である)。
【0013】
実施形態11は、前記ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態6に記載の組成物に関する:
(CH
3)(C
6H
5)(OH)SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(OH)(C
6H
5)(CH
3)
(式中、mは、1以上である)。
【0014】
実施形態12は、前記ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態6に記載の組成物に関する:
(CH
3)
2(OH)SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(OH)(CH
3)
2
(式中、mは、1以上である)。
【0015】
実施形態13は、mが、1〜200の整数である、実施形態8〜12に記載の組成物に関する。
【0016】
実施形態14は、A)及び/又はB)が、溶媒を更に含む、実施形態1に記載の組成物に関する。
【0017】
実施形態15は、B)前記オルガノポリシロキサンが、環状ポリジオルガノシロキサンである、実施形態1に記載の組成物に関する。
【0018】
実施形態16は、前記環状ポリジオルガノシロキサンが、以下の式を有する、実施形態15に記載の組成物に関する:
【化1】
(式中、各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルである)。
【0019】
実施形態17は、各R
1が、それぞれ独立して、メチル又はフェニルである、実施形態16に記載の組成物に関する。
【0020】
実施形態18は、前記組成物が、硬化性である、実施形態1〜11に記載の組成物に関する。
【0021】
実施形態19は、実施形態18に記載の硬化性組成物を含む、固体フィルム組成物に関する。
【0022】
実施形態20は、実施形態19に記載の組成物の硬化産物に関する。
【0023】
実施形態21は、前記固体組成物が、少なくとも95%の光透過率を有する、実施形態19に記載の固体フィルム組成物に関する。
【0024】
実施形態22は、実施形態1〜21に記載の組成物を含む、LED封入材に関する。
【0025】
実施形態23は、固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の可撓性を増大させる方法であって、1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と、以下の式:
[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
f
(式中、
添字c、d、e、及びfは、前記オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、
cは、約0〜約0.6であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約1であり、
fは、約0〜約0.6であり、
但し、d+e+f>0かつc+d+e+f≒1であり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビル基である)
を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
を合わせることを含み、
前記オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の前記オルガノポリシロキサンに対する重量比が、90/10〜10/90で変動し得る、方法に関する。
【0026】
実施形態24は、固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の粘度を低減する方法であって、1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と、以下の式:
[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
f
(式中、
添字c、d、e、及びfは、前記オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、
cは、約0〜約0.6であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約1であり、
fは、約0〜約0.6であり、
但し、d+e+f>0かつc+d+e+f≒1であり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビル基である)
を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
を合わせることを含み、
前記オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の前記オルガノポリシロキサンに対する重量比が、90/10〜10/90で変動し得る、方法に関する。
【0027】
実施形態25は、固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の貯蔵弾性率を低減する方法であって、1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と、以下の式:
[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
f
(式中、
添字c、d、e、及びfは、前記オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、
cは、約0〜約0.6であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約1であり、
fは、約0〜約0.6であり、
但し、d+e+f>0かつc+d+e+f≒1であり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビル基である)
を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
を合わせることを含み、
前記オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の前記オルガノポリシロキサンに対する重量比が、90/10〜10/90で変動し得る、方法に関する。
【0028】
実施形態26は、前記オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物が、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位と、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位と、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]と、
(式中、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルである)
を含む、1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含み、
前記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]が、直鎖状ブロック当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロック内に配置され、
前記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]が、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロック内に配置され、前記非直鎖状ブロックのうちの少なくとも30%が互いに架橋しており、各直鎖状ブロックが、少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結しており、
かつ前記オルガノシロキサンブロックコポリマーが、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(M
w)を有する、実施形態23〜25のいずれか1つに記載の方法に関する。
【0029】
実施形態27は、前記貯蔵弾性率が、約0.5〜約50kPaの範囲の値まで低減される、実施形態25に記載の方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、特定の「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する組成物に加えて、「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマー及びオルガノポリシロキサンを含む硬化性かつ固体の組成物を提供する。「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーを様々な量の直鎖状又は樹脂性の成分と組み合わせたとき、特定の最終用途コーティング処方の流動レベル、硬化、硬度、及び/又は強靱性を調整することができる。
【0031】
オルガノポリシロキサンは、独立して、[R
3SiO
1/2]、[R
2SiO
2/2]、[RSiO
3/2]、又は[SiO
4/2]シロキシ単位(式中、Rは、例えば、有機基であってよい)から選択されるシロキシ単位を含有するポリマーである。これらシロキシ単位は、一般的に、それぞれM、D、T、及びQ単位と呼ばれる。これらシロキシ単位は、様々な方法で組み合わされて、環状、直鎖状、又は分枝状の構造を形成することができる。得られるポリマー構造の化学的及び物理的特性は、オルガノポリシロキサン中のシロキシ単位の数及び種類に応じて変化する。例えば、「直鎖状」オルガノポリシロキサンは、主としてD、すなわち[R
2SiO
2/2]シロキシ単位を含有してよく、その結果、このポリジオルガノシロキサン中のD単位の数により示される「重合度」又は「dp」に応じて、様々な粘度の流体であるポリジオルガノシロキサンが生じる。「直鎖状」オルガノポリシロキサンは、25℃よりも低いガラス転移温度(T
g)を有してよい。「樹脂」オルガノポリシロキサンは、シロキシ単位の大部分がT又はQシロキシ単位から選択される場合に生じる。オルガノポリシロキサンを調製するために主にTシロキシ単位が用いられるとき、得られるオルガノシロキサンは、多くの場合、「樹脂」又は「シルセスキオキサン樹脂」と呼ばれる。オルガノポリシロキサン中のT又はQシロキシ単位の量が増加すると、高い硬度及び/又はガラス様特性を有するポリマーを得ることができる。そのため、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、より高いT
g値を有し、例えば、シロキサン樹脂は、多くの場合、40℃超、例えば、50℃超、60℃超、70℃超、80℃超、90℃超、又は100℃超のT
g値を有する。幾つかの実施形態では、シロキサン樹脂のT
gは、約60℃〜約100℃、例えば、約60℃〜約80℃、約50℃〜100℃、約50℃〜約80℃、又は約70〜約100℃である。
【0032】
本発明の実施形態は、
A)1つ以上の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物であって、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位と、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位と、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]と、
(式中、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルである)
を含み、
前記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]が、直鎖状ブロック当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロック内に配置され、
前記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]が、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロック内に配置され、前記非直鎖状ブロックのうちの少なくとも30%が互いに架橋しており、各直鎖状ブロックが、少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結しており、
かつ少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(M
w)を有する、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と、
B)以下の式を有する1つ以上のオルガノポリシロキサン:
[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
fと、
(式中、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルであり、
添字c、d、e、及びfは、前記オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、
cは、約0〜約0.6であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約1であり、
fは、約0〜約0.6であり、
但し、d+e+f>0かつc+d+e+f≒1である)
を含み、
成分A)の成分B)に対する重量比が、90/10〜10/90で変動し得る、組成物を提供する。
【0033】
成分A):樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物
本明細書で使用するとき、「オルガノシロキサンブロックコポリマー」又は「樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー」とは、「直鎖状」Dシロキシ単位と「樹脂」Tシロキシ単位とを組み合わせて含有するオルガノポリシロキサンを指す。例えば、国際公開第2012/040302号、国際公開第2012/040305号、国際公開第2012/040367号、国際公開第2012/040453号、及び国際公開第2012/040457号を参照。これらは、全文が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。幾つかの実施形態では、オルガノシロキサンコポリマーは、「ランダム」コポリマーとは対照的に、「ブロック」コポリマーである。したがって、用語「樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー」は、広く、D及びTシロキシ単位を含有するオルガノポリシロキサンを指し、この場合、D単位(すなわち、[R
12SiO
2/2]単位)は、主に、互いに結合して、幾つかの実施形態では、平均で10〜400個のD単位(例えば、平均で、約10〜約350個のD単位、約10〜約300個のD単位、約10〜約200個のD単位、約10〜約100個のD単位、約50〜約400個のD単位、約100〜約400個のD単位、約150〜約400個のD単位、約200〜約400個のD単位、約300〜約400個のD単位、約50〜約300個のD単位、約100〜約300個のD単位、約150〜約300個のD単位、約200〜約300個のD単位、約100〜約150個のD単位、約115〜約125個のD単位、約90〜約170個のD単位、又は約110〜約140個のD単位)を有するポリマー鎖を形成し、これは本明細書では「直鎖状ブロック」と呼ばれる。
【0034】
T単位(すなわち、[R
2SiO
3/2])は、幾つかの実施形態では、主に互いに結合して、分枝状ポリマー鎖を形成し、これは「非直鎖状ブロック」と呼ばれる。幾つかの実施形態では、固体形態のブロックコポリマーが提供される場合、かなりの数のこれら非直鎖状ブロックが更に凝集して「ナノドメイン」を形成し得る。幾つかの実施形態では、これらナノドメインは、樹脂リッチ相が形成されるように、D単位を有する直鎖状ブロックから形成される相とは別の相を形成する。幾つかの実施形態では、ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2](例えば、平均で約10〜約350個のD単位、約10〜約300個のD単位、約10〜約200個のD単位、約10〜約100個のD単位、約50〜約400個のD単位、約100〜約400個のD単位、約150〜約400個のD単位、約200〜約400個のD単位、約300〜約400個のD単位、約50〜約300個のD単位、約100〜約300個のD単位、約150〜約300個のD単位、約200〜約300個のD単位、約100〜約150個のD単位、約115〜約125個のD単位、約90〜約170個のD単位、又は約110〜約140個のD単位)を有する直鎖状ブロック内に配置され、また、トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロック内に配置され、そして、非直鎖状ブロックのうちの少なくとも30%は、互いに架橋している。
【0035】
本明細書で使用するとき、「ナノドメイン」は、広く、固体ブロックコポリマー組成物内で相分離しており、少なくとも1つの寸法のサイズが1〜100ナノメートルである固体ブロックコポリマー組成物内の相領域を指す。ナノドメインの形状は様々であってよいが、但し、ナノドメインの少なくとも1つの寸法のサイズは1〜100ナノメートルである。したがって、ナノドメインは、規則的又は不規則的な形状であり得る。ナノドメインは、球状、管状、場合によっては層状であり得る。本開示の固体ブロックコポリマー内のジシロキシ及びトリシロキシ単位の構造順序、並びにナノドメインの特徴は、透過型電子顕微鏡(TEM)法、原子間力顕微鏡法(AFM)、中性子線小角散乱法、X線小角散乱法及び走査型電子顕微鏡法等の特定の分析技術を用いて明示的に測定され得る。
【0036】
あるいは、ブロックコポリマー内のジシロキシ及びトリシロキシ単位の構造順序、並びにナノドメインの形成は、本発明のオルガノシロキサンブロックコポリマーから生じるコーティングの特定の物理的特性を特徴付けることにより示され得る。例えば、本発明のオルガノシロキサンコポリマーは、95%を超える可視光透過率を有するコーティングをもたらし得る。当業者は、可視光がこのような媒質を通過することができ、かつ150ナノメートルを超えるサイズを有する粒子(又は本明細書で使用されるようなドメイン)により回折されないでいることができる場合にのみ、このような光透過率が(2つの相の屈折率が一致する以外に)可能であることを理解している。粒径又はドメインが更に小さくなるにつれて、光透過率は更に改善され得る。そのため、本発明のオルガノシロキサンコポリマー由来のコーティングは、可視光透過率が少なくとも95%、例えば、可視光透過率が少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%であり得る。本明細書で使用するとき、用語「可視光」には、350nm以長の波長の光が包含される。
【0037】
幾つかの実施形態では、非直鎖状ブロックは、少なくとも500g/モル、例えば、少なくとも1000g/モル、少なくとも2000g/モル、少なくとも3000g/モル、少なくとも4000g/モルの数平均分子量を有するか、又は約500g/モル〜約4000g/モル、約500g/モル〜約3000g/モル、約500g/モル〜約2000g/モル、約500g/モル〜約1000g/モル、約1000g/モル〜約2000g/モル、約1000g/モル〜約1500g/モル、約1000g/モル〜約1200g/モル、約1000g/モル〜約3000g/モル、約1000g/モル〜約2500g/モル、約1000g/モル〜約4000g/モル、約2000g/モル〜約3000g/モル若しくは約2000g/モル〜約4000g/モルの数平均分子量を有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、非直鎖状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており、例えば、非直鎖状ブロックの少なくとも40%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも50%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも70%は、互いに架橋しており、又は非直鎖状ブロックの少なくとも80%は、互いに架橋している。ここで、架橋している非直鎖状ブロックの百分率を示すために本明細書に記載する百分率は、全て、重量パーセントである。別の実施形態では、非直鎖状ブロックの約30%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約50%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約40%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約50%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約55%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約60%〜約80%は、互いに架橋しており、又は非直鎖状ブロックの約60%〜約70%は、互いに架橋している。
【0039】
オルガノシロキサンブロックコポリマー(例えば、40〜90モルパーセントの式R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位と、10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位とを含むもの)は、式[R
12SiO
2/2]
a[R
2SiO
3/2]
bで表すことができ、前記式中、添字a及びbは、コポリマー内のシロキシ単位のモル分率を表し、
aは、約0.4〜約0.9であり、
あるいは、約0.5〜約0.9であり、
あるいは、約0.6〜約0.9であり、
bは、約0.1〜約0.6であり、
あるいは、約0.1〜約0.5であり、
あるいは、約0.1〜約0.4であり、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルである。
【0040】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、例えば、50〜90モルパーセントの[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、65〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、70〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、又は80〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜60モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜50モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜60モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、又は70〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位を含む。
【0041】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、例えば、10〜20モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜30モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜35モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜30モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜35モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、40〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、又は40〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位を含む。
【0042】
本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、更なるシロキシ単位、例えばMシロキシ単位、Qシロキシ単位、他の独自のD又はTシロキシ単位(例えば、R
1又はR
2以外の有機基を有するもの)を含有し得るが、但し、オルガノシロキサンブロックコポリマーは、本明細書に記載する通りのモル分率のジシロキシ単位及びトリシロキシ単位を含有すると理解すべきである。換言すれば、添字a及びbにより示されるモル分率の和は、必ずしも合計して1にならなければならないわけではない。a+bの和は、オルガノシロキサンブロックコポリマー内に存在し得る少量の他のシロキシ単位を考慮した場合に1未満になってもよい。あるいは、a+bの和は、0.6超、あるいは0.7超、あるいは0.8超、あるいは0.9超である。幾つかの実施形態では、a+bの和は、約0.6〜約0.9、例えば、約0.6〜約0.8、約0.6〜約0.7、約0.7〜約0.9、約0.7〜約0.8、又は約0.8〜約0.9である。
【0043】
1つの実施形態では、オルガノシロキサンブロックコポリマーは、本質的に、式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位と式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位とからなるが、更に0.5〜25モルパーセントのシラノール基[≡SiOH](例えば、0.5〜5モルパーセント、0.5〜10モルパーセント、0.5〜15モルパーセント、0.5〜20モルパーセント、5〜10モルパーセント、5〜15モルパーセント、5〜20モルパーセント、5〜25モルパーセント、10〜15モルパーセント、10〜20モルパーセント、10〜25モルパーセント、15〜20モルパーセント、15〜25モルパーセント、又は20〜25モルパーセント)も含有し、前記式中、R
1及びR
2は本明細書に定義する通りである。したがって、幾つかの実施形態では、a+bの和(コポリマー中のジシロキシ及びトリシロキシ単位の量を表すためにモル分率を使用する場合)は、0.95超、あるいは0.98超である。
【0044】
幾つかの実施形態では、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、更にシラノール基(≡SiOH)も含有する。オルガノシロキサンブロックコポリマーに存在するシラノール基の量は、0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、
あるいは2〜32モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、
あるいは8〜22モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]で変動し得る。
【0045】
シラノール基は、オルガノシロキサンブロックコポリマー内の任意のシロキシ単位に存在し得る。本明細書に記載する量は、オルガノシロキサンブロックコポリマー内にみられるシラノール基の合計量を表す。幾つかの実施形態では、シラノール基の大部分(例えば、75%超、80%超、90%超、約75%〜約90%、約80%〜約90%、又は約75%〜約85%)は、トリシロキシ単位、すなわちブロックコポリマーの樹脂成分に存在する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、オルガノシロキサンブロックコポリマーの樹脂成分に存在するシラノール基により、ブロックコポリマーを高温で更に反応又は硬化させることができる。
【0046】
上記ジシロキシ単位における各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、ここで、ヒドロカルビル基は、独立して、アルキル、アリール、又はアルキルアリール基であってよい。各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30アルキル基であってもよく、あるいは、各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
18アルキル基であってもよい。あるいは、各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)であってよい。あるいは、各R
1は、それぞれ独立して、メチルであってよい。各R
1は、それぞれ独立して、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、又はアンスリル基)であってよい。あるいは、各R
1は、それぞれ独立して、上述のアルキル又はアリール基の任意の組み合わせであってよい。あるいは、幾つかの実施形態において、各ジシロキシ単位が、2つのアルキル基(例えば、2つのメチル基)、2つのアリール基(例えば、2つのフェニル基)、又はアルキル(例えば、メチル)とアリール基(例えば、フェニル)を有し得るように、各R
1は、それぞれ独立して、フェニル又はメチルであってよい。
【0047】
上記トリシロキシ単位における各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
10ヒドロカルビル)であり、ここで、ヒドロカルビル基は、独立して、アルキル、アリール、又はアルキルアリール基であってよい。各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
20(例えば、C
1〜C
10ヒドロカルビル)アルキル基であってもよく、あるいは、各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
8アルキル基であってもよい。あるいは、各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)であってよい。あるいは、各R
2は、それぞれ独立して、メチルであってよい。各R
2は、それぞれ独立して、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、又はアンスリル基)であってよい。あるいは、各R
2は、それぞれ独立して、上述のアルキル又はアリール基の任意の組み合わせであってよい。あるいは、幾つかの実施形態において、各ジシロキシ単位が、2つのアルキル基(例えば、2つのメチル基)、2つのアリール基(例えば、2つのフェニル基)、又はアルキル(例えば、メチル)とアリール基(例えば、フェニル)を有し得るように、各R
2は、それぞれ独立して、フェニル又はメチルであってよい。
【0048】
本明細書で使用するとき、ヒドロカルビルは、置換ヒドロカルビルも含む。「置換」とは、本明細書で使用するとき、広く、その基の水素原子のうちの1つ以上を当業者に公知の置換基で置換して、本明細書に記載するような安定な化合物を生じさせることを指す。好適な置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ(すなわち、CO
2H)、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、シアノ、ニトロ等が挙げられるが、これらに限定されない。また、置換ヒドロカルビルは、ハロゲン置換ヒドロカルビルを含み、ここで、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、成分A)に含まれるオルガノシロキサンブロックコポリマーは、米国仮出願第61/608,732号(2012年3月9日出願)及び国際出願第PCT/US2013/027904号(これら両方の開示全体は、その全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に記載されているフッ素化オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む。フッ素化オルガノシロキサンブロックコポリマーは、本明細書に記載する非フッ素化アナログに加えて、又は代えて用いてよい。
【0050】
オルガノシロキサンブロックコポリマーについて説明するために本明細書で使用するとき、モル分率を用いる式[R
12SiO
2/2]
a[R
2SiO
3/2]
b及び関連式は、コポリマー中のジシロキシ[R
12SiO
2/2]及びトリシロキシ[R
2SiO
3/2]単位の構造順序を示すものではない。むしろ、この式は、添字a及びbを介して、本明細書に記載するモル分率に従ってコポリマー中の2つの単位の相対量を説明するための便宜的表記法を提供することを意図する。本発明のオルガノシロキサンブロックコポリマー中の様々なシロキシ単位のモル分率及びシラノール含量は、
29Si NMR技術によって容易に決定することができる。
【0051】
本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(M
w)、あるいは少なくとも40,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも50,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも60,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも70,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも80,000g/モルの重量平均分子量を有する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、約20,000g/モル〜約250,000g/モル又は約100,000g/モル〜約250,000g/モルの重量平均分子量(M
w)、あるいは約40,000g/モル〜約100,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000gモル〜約100,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約80,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約70,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約60,000g/モルの重量平均分子量を有する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、約15,000〜約50,000g/モル、約15,000〜約30,000g/モル、約20,000〜約30,000g/モル、又は約20,000〜約25,000g/モルの数平均分子量(M
n)を有する。平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)技術を用いて容易に決定することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、ジシロキシ単位及びトリシロキシ単位の構造順序は、更に、以下の通り説明することができる:ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロック内に配置され、また、トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロック内に配置される。各直鎖状ブロックは、ブロックコポリマーの少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結している。更に、非直鎖状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており、
あるいは、非直鎖状ブロックの少なくとも40%は、互いに架橋しており、
あるいは、非直鎖状ブロックの少なくとも50%は、互いに架橋している。
【0053】
別の実施形態では、非直鎖状ブロックの約30%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約50%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約40%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約50%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約70%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約60%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約60%〜約80%は、互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約60%〜約70%は互いに架橋している。
【0054】
非直鎖状ブロックの架橋は、様々な化学的機序及び/又は部分を介して達成され得る。例えば、ブロックコポリマー内の非直鎖状ブロックの架橋は、コポリマーの非直鎖状ブロック中に存在する残留シラノール基の縮合及び/又は非直鎖状ブロックに存在する、例えばSi−H結合と二重結合との間のヒドロシリル化を介して生じ得る。また、ブロックコポリマー内の非直鎖状ブロックの架橋は、シラノール縮合及び/又はヒドロシリル化を介して「遊離樹脂」成分と非直鎖状ブロックとの間でも生じ得る。「遊離樹脂」成分は、ブロックコポリマーの調製中に過剰量のオルガノシロキサン樹脂を使用する結果として、ブロックコポリマー組成物中に存在し得る。遊離樹脂成分は、非ブロック及び遊離樹脂上に存在する残留シラノール基の縮合により、非直鎖状ブロックと架橋し得る。遊離樹脂は、架橋剤として添加された低分子量化合物と反応することにより、架橋をもたらし得る。遊離樹脂は、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーの約10重量%〜約20重量%、例えば、本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーの約15重量%〜約20重量%の量で存在し得る。遊離樹脂は、架橋剤として添加された低分子量化合物と反応することにより、架橋をもたらし得る。
【0055】
あるいは、ブロックコポリマーの調製中に特定の化合物を添加して、非樹脂ブロックを特異的に架橋することもできる。これら架橋化合物としては、ブロックコポリマーの形成中に添加される式R
5qSiX
4−qを有するオルガノシランを挙げることができ、前記式中、R
5は、C
1〜C
8ヒドロカルビル又はC
1〜C
8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは加水分解性基であり、qは、0、1又は2である。R
5は、C
1〜C
8ヒドロカルビル又はC
1〜C
8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、あるいはR
5は、C
1〜C
8アルキル基又はフェニル基であり、あるいはR
5は、メチル、エチル又はメチルとエチルとの組み合わせである。Xは、任意の加水分解性基であり、あるいはXは、オキシム(oximo)、アセトキシ、ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)又はアルコキシ基であってよい。
【0056】
1つの実施形態では、式R
5qSiX
4−qを有するオルガノシランは、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、又はこれらの組み合わせ等のアルキルトリアセトキシシランである。市販の代表的なアルキルトリアセトキシシランとしては、ETS−900(Dow Corning Corp.(Midland,MI))が挙げられる。
【0057】
架橋剤として有用な他の好適な非限定的なオルガノシランとしては、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン(MTO)、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラオキシムシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジオキシムシラン、及びメチルトリス(メチルメチルケトキシム)シランが挙げられる。
【0058】
ブロックコポリマー内の架橋は、主に、上述のように、例えばシラノール基の縮合から生じるシロキサン結合≡Si−O−Si≡であってよい。
【0059】
ブロックコポリマー内の架橋の量は、GPC技術等でブロックコポリマーの平均分子量を決定することにより、推定することができる。幾つかの実施形態では、ブロックコポリマーの架橋は、その平均分子量を増加させる。したがって、ブロックコポリマーの平均分子量、直鎖状シロキシ成分の選択(すなわち、その重合度により示される鎖長)、及び非直鎖状ブロックの分子量(ブロックコポリマーを調製するために使用されるオルガノシロキサン樹脂の選択により主に制御される)を鑑みて、架橋の程度を推定することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、成分A)は、有機溶媒を更に含んでよい。有機溶媒は、幾つかの実施形態では、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)又はこれらの組み合わせである。このような溶液は、幾つかの実施形態では、約50重量%〜約80重量%の固形分、例えば、約60重量%〜約80重量%、約70重量%〜約80重量%、又は約75重量%〜約80重量%の固形分を含有する。幾つかの実施形態では、溶媒はトルエンである。幾つかの実施形態では、このような溶液は、25℃で約0.0015m
2/s〜約0.01m
2/s(約1500cSt〜約10000cSt)、又は25℃で約0.001m
2/s〜約0.01m
2/s(約1000cSt〜約10000cSt)、例えば、25℃で約0.0015m
2/s〜約0.006m
2/s(約1500cSt〜約6000cSt)、約0.001m
2/s〜約0.004m
2/s(約1000cSt〜約4000cSt)、又は約0.002m
2/s〜約0.003m
2/s(約2000cSt〜約3000cSt)の粘度を有する。
【0061】
成分A)は、オルガノシロキサン樹脂(例えば、ブロックコポリマーの一部ではない遊離樹脂)を更に含有してもよい。これえら組成物中に存在するオルガノシロキサン樹脂は、幾つかの実施形態では、オルガノシロキサンブロックコポリマーの調製に使用されるオルガノシロキサン樹脂であってよい。そのため、オルガノシロキサン樹脂は、その式中に少なくとも60モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位(例えば、少なくとも70モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、少なくとも80モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、少なくとも90モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、又は100モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、あるいは60〜100モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、60〜90モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、又は70〜80モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位)を含んでよく、前記式中、各R
2は、独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルである。あるいは、オルガノシロキサン樹脂は、シルセスキオキサン樹脂又はフェニルシルセスキオキサン樹脂である。
【0062】
1つの実施形態では、成分A)(幾つかの実施形態では、硬化性組成物を含む)は、硬化触媒を含有してよい。硬化触媒は、様々なスズ又はチタン触媒等の、オルガノシロキサンの縮合硬化に作用する当該技術分野において公知の任意の触媒から選択してよい。縮合触媒は、ケイ素結合ヒドロキシ(=シラノール)基の縮合を促進してSi−O−Si連結を形成するために使用され得る任意の縮合触媒であってよい。例としては、アミン、並びに鉛、スズ、亜鉛及び鉄の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、塩基性化合物(例えば、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)及びジシアンジアミド);及び金属含有化合物(例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラ(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラブチレート、オクチル酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、スズアセチルアセトネート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレート、オクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、及びアルミニウムトリイソプロポキシド);有機チタンキレート(例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセチルアセトネートモノアセチルアセトネート、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、及びジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン)が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、縮合触媒としては、オクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、及びアルミニウムトリイソプロポキシドが挙げられる。例えば、米国特許第8,193,269号を参照。この開示全体は、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。縮合触媒の他の例としては、アルミニウムアルコキシド、アンチモンアルコキシド、バリウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド、カルシウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、エルビウムアルコキシド、ガリウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、鉄アルコキシド、ランタンアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ネオジムアルコキシド、サマリウムアルコキシド、ストロンチウムアルコキシド、タンタルアルコキシド、チタンアルコキシド、スズアルコキシド、バナジウムアルコキシドオキシド、イットリウムアルコキシド、亜鉛アルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタン又はジルコニウム化合物、特に、チタン及びジルコニウムアルコキシド、並びに上記アルコキシドのキレート及びオリゴ及びポリ縮合物、ジアルキルスズジアセテート、スズ(II)オクトエート、ジアルキルスズジアシレート、ジアルキルスズオキシド、及び二重金属アルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。二重金属アルコキシドは、特定の比で2つの異なる金属を含有するアルコキシドである。幾つかの実施形態では、縮合触媒としては、チタンテトラエチラート、チタンテトラプロピラート、チタンテトライソプロピラート、チタンテトラブチラート、チタンテトライソオクチラート、チタンイソプロピラートトリステアロイラート、チタントルイソプロピラートステアロイラート、チタンジイソプロピラートジステアロイラート、亜鉛テトラプロピラート、亜鉛テトライソプロピラート、亜鉛テトラブチラートが挙げられる。例えば、米国特許第7,005,460号を参照。この開示全体は、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。更に、縮合触媒としては、独国特許第4427528 C2号及び欧州特許第0 639 622 B1号(これらは両方、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に記載されているようなチタネート、ジルコネート、及びハフネートが挙げられる。
【0063】
本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、例えば、国際公開第2012/040302号、国際公開第2012/040305号、国際公開第2012/040367号、国際公開第2012/040453号、及び国際公開第2012/040457号(これらは、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)を含む当業者に公知の方法によって調製してよい。
【0064】
成分B):オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサン中の成分B)は、以下の平均式を有する:[R
23SiO
1/2]
c[R
22SiO
2/2]
d[R
2SiO
3/2]
e[SiO
4/2]
f(式中、各R
2は、本明細書に定義する通りであり、独立して、C
1〜C
20ヒドロカルビルであり、添字c、d、e、及びfは、オルガノポリシロキサン中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、以下の通りの範囲である:cは、約0〜約0.6であり、dは、約0〜約1であり、eは、約0〜約1であり、fは、約0〜約0.6である。但し、d+e+f>0、c+d+e+f≒1である)。オルガノポリシロキサンは、幾つかの実施形態では、硬化性であってよい。
【0065】
幾つかの実施形態では、成分B)は、有機溶媒を更に含んでよい。有機溶媒は、幾つかの実施形態では、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)又はこれらの組み合わせである。このような溶液は、幾つかの実施形態では、約50重量%〜約80重量%の固形分、例えば、約60重量%〜約80重量%、約70重量%〜約80重量%、又は約75重量%〜約80重量%の固形分を含有する。幾つかの実施形態では、溶媒はトルエンである。幾つかの実施形態では、このような溶液は、25℃で約0.0005m
2/s〜約0.0025m
2/s(約500cSt〜約2500cSt)、例えば、25℃で約0.0005〜約0.0015m
2/s(約500cSt〜約1500cSt)、約0.001m
2/s〜約0.0025m
2/s(1000cSt〜約2500cSt)、又は約0.0005〜約0.002m
2/s(約500cSt〜約2000cSt)の粘度を有する。
【0066】
オルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量(M
w)は、限定されないが、幾つかの実施形態では、1000〜10000、あるいは1500〜5000g/モルの範囲である。
【0067】
モル分率を用いて成分B)中のオルガノポリシロキサンに言及するために用いられる上記平均式は、コポリマー中の様々なシロキシ単位の構造順序を示すものではない。むしろ、この式は、添字を介して、本明細書に記載されるモル分率に従ってコポリマー中のシロキシ単位の相対量を説明するための便宜的表記法をもたらすことを意図する。本発明のオルガノポリシロキサン中の様々なシロキシ単位のモル分率及びシラノール含量は、
29Si NMR技術によって容易に決定することができる。
【0068】
成分B)は、実質的に「直鎖状」のオルガノポリシロキサンを含む様々なオルガノポリシロキサン(オルガノポリシロキサン中のシロキシ単位の大部分(例えば、60%超、75%超、80%超、90%超、約75%〜約90%、約80%〜約90%、又は約75%〜約85%)は、R
22SiO
2/2単位である)、及び/又は実質的に「樹脂性」のオルガノポリシロキサン(オルガノポリシロキサン中のシロキシ単位の大部分(例えば、60%超、75%超、80%超、90%超、約75%〜約90%、約80%〜約90%、又は約75%〜約85%)は、R
2SiO
3/2及び/又はSiO
4/2単位である)から選択してよい。
【0069】
幾つかの実施形態では、本組成物における成分B)として添加されるオルガノポリシロキサンは、更に、成分A)として用いられる樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物中に既に存在していてもよい任意のオルガノポリシロキサンである。換言すれば、成分B)として添加される選択されたオルガノポリシロキサンが、成分A)組成物中にも存在するオルガノポリシロキサンであり得る特定の場合が存在し得る。例えば、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物は、オルガノシロキサン樹脂を含有してよく、これは、オルガノシロキサンブロックコポリマーを調製するためにモル過剰の樹脂を用いることから前記組成物中に存在し得る。同じオルガノシロキサン樹脂が成分B)として添加される場合、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の物理的特性を変化させる目的のために添加される「第2の」オルガノシロキサン樹脂であるとみなしてよい。幾つかの実施形態では、成分B)として添加されるオルガノシロキサンは、成分A)として用いられる樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物中に既に存在していてもよい任意のオルガノポリシロキサンとは異なっていてもよい。
【0070】
幾つかの実施形態では、前述の「直鎖状」オルガノポリシロキサン及び/又は「樹脂性」オルガノポリシロキサンのフッ素化アナログを成分B)において用いてよい。このようなフッ素化アナログの例としては、米国仮出願第61/608,732号(2012年3月9日出願)及び国際出願第PCT/US2013/027904号(両方の開示全体は、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。このようなフッ素化アナログは、本明細書に記載する成分B)に含まれるオルガノポリシロキサンの非フッ素化アナログに加えて又は代えて用いてよい。
【0071】
幾つかの実施形態では、成分B)において環状オルガノポリシロキサンを単独で用いてもよく、又は「直鎖状」オルガノポリシロキサン及び/又は「樹脂性」オルガノポリシロキサンと併用してもよい。代表的な環状オルガノポリシロキサンとしては、以下の式P3及びP4の環状オルガノポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない:
【化2】
(式中、各R
1は、同じであるか又は異なり、各R
1は、独立して、本明細書に定義する通りである)。幾つかの実施形態では、各R
1は、独立して、メチル又はフェニルである。幾つかの実施形態では、各R
1は、メチルである。幾つかの実施形態では、各ケイ素原子において、式P3の化合物及び化合物P4が式P3’及びP4’を有するように、1つのR
1は、メチルであり、他のR
1は、フェニルである。
【化3】
【0072】
存在する場合、環状オルガノポリシロキサンは、約0.5〜約10重量%、例えば、約0.5〜約3重量%、約0.5〜約2.5重量%、約0.75〜約1.5重量%、又は約1.5〜約3重量%で添加される。
【0073】
環状オルガノポリシロキサンを樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物(すなわち、成分A;例えば、45重量% Ph−T−PhMe)に配合すると、幾つかの実施形態では、2つの成分を含む固体組成物についての(例えば、140℃における)tan δの最大値が、増加、場合によっては著しく増加する。したがって、幾つかの実施形態では、tan δの最大値は、環状オルガノポリシロキサンとブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物に比べて少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも12%、又は少なくとも15%増加する。
【0074】
環状オルガノポリシロキサンを樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物(すなわち、成分A;例えば、45重量% Ph−T−PhMe)に配合すると、幾つかの実施形態では、2つの成分を含む固体組成物についての最小貯蔵弾性率G’が低減、場合によっては著しく低減される。したがって、幾つかの実施形態では、(例えば、140℃における)G’の最小値は、環状オルガノポリシロキサンとブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物に比べて少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%(例えば、約30%〜約70%、約50%〜約70%、又は約40%〜約67%)低減される。
【0075】
幾つかの実施形態では、環状オルガノポリシロキサンを樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物(すなわち、成分A;例えば、45重量% Ph−T−PhMe)に配合すると、幾つかの実施形態では、(例えば、140℃における)tan δの最大値が、環状オルガノポリシロキサンとブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物に比べて少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも12%、又は少なくとも15%増加し;同時に、(例えば、140℃における)G’の最小値は、環状オルガノポリシロキサンとブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物に比べて少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%(例えば、約30%〜約70%、約50%〜約70%、又は約40%〜約67%)低減される。
【0076】
成分B)は、様々なオルガノポリシロキサンから選択してよいが、幾つかの実施形態では、成分A)で用いられる樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーの「直鎖状」又は「樹脂」部分のいずれかと相溶性であるように選択される。1つの実施形態では、成分B)として選択されるオルガノシロキサンは、前記オルガノポリシロキサン中のシロキシ単位の大部分が、R
22SiO
2/2単位である場合、「直鎖状」オルガノポリシロキサンであるとみなしてよい。別の実施形態では、成分B)として選択されるオルガノシロキサンは、前記オルガノポリシロキサン中のシロキシ単位の大部分が、R
2SiO
3/2及び/又はSiO
4/2単位である場合、「樹脂」オルガノポリシロキサンであるとみなしてよい。
【0077】
「直鎖状」オルガノポリシロキサンは、ポリジオルガノシロキサンであってよい。このようなポリジオルガノシロキサンは、幾つかの実施形態では、その式中のR
22SiO
2/2シロキシ単位の大部分を含有する(例えば、上記平均式中、dは、0.5超である)。幾つかの実施形態では、ポリジオルガノシロキサンは、大部分の[(アリール)(アルキル)SiO
2/2]シロキシ単位(例えば、ポリメチルフェニルシロキサン等の[(C
6H
5)(CH
3)SiO
2/2]シロキシ単位)を含有する。好適なポリジオルガノシロキサンとしては、以下の平均式を有するものが挙げられる:
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
mSi(CH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(CH
3)
3
(CH
3)(C
6H
5)
2SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(C
6H
5)
2(CH
3)及び
(CH
3)
2(C
6H
5)SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(C
6H
5)(CH
3)
2
(式中、mは、1以上であるか、あるいは、mは、1〜200、
あるいは、1〜100、
あるいは、1〜50、
あるいは、1〜10の整数である)。
【0078】
他の好適なポリジオルガノシロキサンとしては、以下の平均式を有するものが挙げられる:
(CH
3)
2(OH)SiO[(CH
3)
2SiO]
mSi(OH)(CH
3)
2
(CH
3)
2(OH)SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(OH)(CH
3)
2及び
(CH
3)(C
6H
5)(OH)SiO[(C
6H
5)(CH
3)SiO]
mSi(OH)(C
6H
5)(CH
3)
(式中、mは、1以上であるか、あるいは、mは、1〜200、
あるいは、1〜100、
あるいは、1〜50、
あるいは、1〜10の整数である)。
【0079】
成分B)として好適な代表的な市販の「直鎖」オルガノポリシロキサンとしては、Dow Corning(登録商標)704流体、Dow Corning(登録商標)705流体、Dow Corning(登録商標)710流体、Dow Corning(登録商標)510流体、Dow Corning(登録商標)550流体、Dow Corning(登録商標)2716流体、及びDow Corning(登録商標)2666流体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
「樹脂」オルガノポリシロキサンは、その式中の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位(式中、各R
2は、それぞれ、本明細書に定義する通りである)の少なくとも60モル%を含むオルガノシロキサン樹脂から選択してよい。「樹脂」オルガノポリシロキサンは、任意の量及び組み合わせの他のM、D、T、及びQシロキシ単位を含有してよいが、但し、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、少なくとも60モル%の[R
2SiO
3/2](T単位)シロキシ単位を含有するか、あるいは、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、少なくとも70モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、少なくとも80モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位を含有するか、あるいは、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、少なくとも90モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位を含有するか、あるいは、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、少なくとも95モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位を含有する。幾つかの実施形態では、「樹脂」オルガノポリシロキサンは、約60〜約100モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、例えば、約60〜約95モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、約60〜約85モル%の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位、約80〜約95モル%の[R
2SiO
3/2]単位、又は約90〜約95モル%の[R
2SiO
3/2]を含有する。成分B)として有用な「樹脂」オルガノポリシロキサンとしては、「シルセスキオキサン」樹脂及び「MQ」樹脂として知られているもの、例えば、M
H Q又はM
ViQ(式中、「Vi」は、広く、ビニル基を含む部分を指す)が挙げられる。例えば、米国特許第2,857,356号(これは、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に開示されているMQ樹脂を参照。
【0081】
少なくとも60モル%の[R
2SiO
3/2]を含有するオルガノシロキサン樹脂及びその調製方法は、当該技術分野において既知である。幾つかの実施形態では、これは、有機溶剤中で、ケイ素原子に3つの加水分解性基(例えば、ハロゲン又はアルコキシ基)を有するオルガノシランを加水分解することにより調製される。シルセスキオキサン樹脂の調製に関する代表的な例は、米国特許第5,075,103号に見出すことができる。更に、多くのオルガノシロキサン樹脂は市販されており、固体(フレーク又は粉末)か又は有機溶媒溶液のいずれかとして販売されている。成分b)として有用な、好適な非限定的な市販のオルガノシロキサン樹脂としては、Dow Corning(登録商標)217フレーク樹脂、233フレーク、220フレーク、249フレーク、255フレーク、Z−6018フレーク(Dow Corning Corporation,Midland,MI)が挙げられる。
【0082】
当業者は、このような多量の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位を含有するオルガノシロキサン樹脂が、特定の濃度のSi−OZ(式中、Zは、水素(すなわち、シラノール)又はアルキル基(その結果、OZはアルコキシ基である)であってよい)を有していてもよいことを理解する。オルガノシロキサン樹脂上に存在する全てのシロキシ基のモル百分率としてのSi−OZ含量は、
29Si NMRにより容易に決定され得る。オルガノシロキサン樹脂上に存在するOZ基の濃度は、樹脂の調製方法及び後続処理に応じて変動してよい。幾つかの実施形態では、本方法において使用するのに好適なオルガノシロキサン樹脂のシラノール(Si−OH)含量は、少なくとも5モル%、あるいは少なくとも10モル%、あるいは25モル%、あるいは40モル%、あるいは50モル%のシラノール含量を有する。別の実施形態では、シラノール含量は、約5モル%〜約60モル%、例えば、約10モル%〜約60モル%、約25モル%〜約60モル%、約40モル%〜約60モル%、約25モル%〜約40モル%又は約25モル%〜約50モル%である。
【0083】
当業者は、更に、このような多量の[R
2SiO
3/2]シロキシ単位及びシラノール含量を含有するオルガノシロキサン樹脂は、また、特に高湿度条件下で水分子を保持し得ることを理解する。したがって、多くの場合、オルガノシロキサン樹脂を「乾燥」させることにより、樹脂に存在する過剰の水を除去することが有益である。これは、オルガノシロキサン樹脂を有機溶媒に溶解させ、加熱還流し、分離技術(例えば、Dean Starkトラップ又は等価方法)により水を除去することによって達成され得る。
【0084】
組み合わせる成分A)及び成分B)の量は、成分A)の成分B)に対する重量比が、約99.5/0.5〜約10/90、あるいは約90/10〜約10/90、約80/20〜約20/80、約70/30〜約30/70、あるいは約60/40〜約40/60、又は更には50/50になるように変動し得る。幾つかの実施形態では、組み合わせる成分A)及び成分B)の量は、成分A)の成分B)に対する重量比が、約95/5、約99/1又は約99.5/0.5になるように変動し得る。
【0085】
成分A)と成分B)とを組み合わせる方法は、限定されず、幾つかの実施形態では、任意の特別な又は独自の処理を必要としない。幾つかの実施形態では、成分A)と成分B)とを組み合わせ、撹拌等の単純な混合プロセスを用いて混合してよい。
【0086】
樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー及びオルガノポリシロキサンを含有する固体組成物は、本明細書に記載する組成物から溶媒を除去することにより調製され得る。溶媒は、任意の公知の処理技術により除去され得る。1つの実施形態では、オルガノシロキサンブロックコポリマー及びオルガノポリシロキサンを含有する組成物のフィルムを生成し、そのフィルムから溶媒を蒸発させる。フィルムを高温及び/又は減圧に供することにより、溶媒除去及び後続の固体硬化性組成物の形成を促進させる。あるいは、本組成物を押出成形機に通して、溶媒を除去し、リボン又はペレットの形状の固体組成物を提供してもよい。剥離フィルムに対するコーティング作業もまた、スロットダイコーティング、ナイフオーバーロール、ロッド又はグラビアコーティングにおけるように使用してよい。また、ロールツーロールコーティング作業を使用して、固体フィルムを調製してもよい。コーティング作業では、コンベアオーブン又は他の溶液の加熱及び排気手段を使用して、溶媒を除去し、最終的な固体フィルムを得ることができる。
【0087】
幾つかの実施形態では、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む固体組成物は、安定剤を含有してもよい。例えば、国際出願第PCT/US2012/067334号(2012年11月30日出願)、及び米国仮出願第61/566,031号(2011年12月2日出願)(これらの全文は、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)を参照。安定剤は、2つの成分の前に成分A)及び/又は成分B)に添加してよい。あるいは、安定剤は、2つの成分を組み合わせた後に成分A)及びB)に添加してもよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む固体組成物は、超塩基触媒を含有してよい。例えば、国際出願第PCT/US2012/069701号(2012年12月14日出願)、及び米国仮出願第61/570,477号(2012年12月14日出願)(これらの全文は、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)を参照。超塩基は、2つの成分を組み合わせる前に成分A)及び/又は成分B)に添加してよい。あるいは、超塩基は、2つの成分を組み合わせた後に成分A)及びB)に添加してよい。
【0089】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、ブロックコポリマーの固体組成物が形成されるとき、本明細書に記載するようなオルガノシロキサンブロックコポリマー中のジシロキシ単位及びトリシロキシ単位の構造順序により、特定の独自の物理的性質特徴を有するコポリマーを提供し得ることが可能である。例えば、コポリマー中のジシロキシ単位及びトリシロキシ単位の構造順序は、(例えば、350nm以長の波長において)可視光の高い光透過率を可能にする固体コーティングをもたらし得る。構造順序はまた、オルガノシロキサンブロックコポリマーを流動させ、加熱時に硬化させるが、室温にて安定性を保持することができる。これらはまた、積層技術を使用して加工され得る。これらの特性は、様々な電子物品の耐候性及び耐久性を改善させると同時に、エネルギー効率のよい低コストで容易な手順を提供するためのコーティングを提供するのに有用である。
【0090】
幾つかの実施形態では、成分A)で用いられるオルガノシロキサンブロックコポリマーの物理的特性は、成分B)として本明細書に記載するオルガノポリシロキサンを添加することによって更に強化することができる。幾つかの実施形態では、成分B)を成分A)に添加することにより、組成物の可撓性を強化することができる(例えば、マンドレル試験(ASTM D1737)を用いて測定したとき、固体硬化性又は固体硬化組成物を含む組成物の可撓性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも100%増大させる);2つの成分を含む組成物に由来する固体フィルム/コーティングの破断点伸びを強化することができる;加工性(例えば、流動性を改善するための可塑化)を強化することができる;好ましい様式で成分A)及び/又はB)のガラス転移温度に影響を与えることができる;また、場合によっては、硬化速度に影響を与えることができる(例えば、硬化速度を増大させることができる)。
【0091】
成分A)で用いられる樹脂−直鎖状オルガノポリシロキサンブロックコポリマーの1つの利点は、複数回加工できることであるが、その理由は、加工温度(T
加工)が、オルガノシロキサンブロックコポリマーの最終硬化に必要とされる温度(T
硬化)よりも低い、すなわち、T
加工<T
硬化であるためである。しかし、オルガノシロキサンコポリマーは、T
加工がT
硬化を上回る場合、硬化して高温安定性が得られる。したがって、本発明の樹脂−直鎖状オルガノポリシロキサンブロックコポリマーは、疎水性、高温安定性、及び耐湿性/耐UV性等のシリコーンに関連し得る効果と併せて、「再加工可能」であるという有意な利点を提供する。
【0092】
1つの実施形態では、オルガノシロキサンコポリマーの固体組成物及び/又は成分A)及びB)を含む固体組成物は、「溶融加工可能」であるとみなしてよい。幾つかの実施形態では、成分A)及びB)を含有する溶液のフィルムから形成されるコーティング等の固体組成物は、高温で、すなわち、「溶融」の際に流体挙動を示す。成分A)及びB)を含む固体組成物の「溶融加工可能」な特徴は、固体組成物の「溶融流れ温度」、すなわち、固体組成物が液体挙動を示すときを測定することによってモニタリングすることができる。溶融流れ温度は、具体的には、市販の機器を使用して、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)及びtanデルタ(tan δ)を貯蔵温度の関数として測定することにより決定され得る。例えば、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)及びtan δを温度の関数として測定するために、市販のレオメーター(例えば、2KSTD標準屈曲旋回軸スプリング変換器を備えるTA Instruments製のARES−RDA等と、強制対流炉)を使用してよい。試験標本(典型的には、幅8mm、厚さ1mm)を平行なプレートの間に装填し、25℃〜300℃の範囲で2℃/分にて温度を上げながら小さなひずみの振動レオロジーを使用して測定することができる(振動数1Hz)。流動開始は、G’低減に入る変曲温度(「流動」と標識)として計算され得、120℃における粘度が溶融加工性についての尺度として報告され、硬化開始は、G’上昇に入る開始温度(「硬化」と標識)として計算される。幾つかの実施形態では、固体組成物の「流動」はまた、オルガノシロキサンブロックコポリマー中の非直鎖状セグメント(すなわち、樹脂成分)のガラス転移温度に相関している。
【0093】
幾つかの実施形態では、固体組成物は、25℃〜200℃、あるいは25℃〜160℃、あるいは50℃〜160℃の範囲の溶融流れ温度を有するものと特徴付けることができる。
【0094】
溶融加工可能であるという利点により、初期コーティング又は固体がデバイス上に形成された後、T
硬化未満の温度においてデバイス構造周辺の成分A)及びB)を含む固体組成物の再流動が可能になると考えられる。この特徴は、LED等の様々な封入電子装置にとって非常に有益である。
【0095】
幾つかの実施形態では、オルガノポリシロキサン(B)をオルガノシロキサンブロックコポリマー(A)に添加することにより、固体組成物の光透過率を保持しながら(例えば、光透過率が悪影響を受けずに)、類似するオルガノシロキサンブロックコポリマー(A)の組成物単独よりも溶融流れ温度における粘度が低い固体組成物が得られる。
【0096】
固体組成物は、引張り強度及び破断点伸び(%)等の特定の物理的特性により更に特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、成分A)及びB)を含む固体組成物は、1.0MPa超、あるいは1.5MPa超、あるいは2MPa超の初期引張り強度を有し得る。幾つかの実施形態では、固体組成物は、1.0MPa〜約10MPa、例えば、約1.0〜約2MPa、約1.0〜約1.8MPa、約1.3〜約1.8MPa、約1.5〜約1.8MPa、約1.5MPa〜約10MPa、約2MPa〜約10MPa、約5MPa〜約10MPa、又は約7MPa〜約10MPaの初期引張り強度を有し得る。幾つかの実施形態では、成分A)及びB)を含む固体組成物は、40%超、あるいは50%超、あるいは75%超、あるいは100%超、又は150%超の初期破断点伸び(又は破裂点伸び)(%)を有し得る。幾つかの実施形態では、固体組成物は、約20%〜約175%、例えば、約20%〜約90%、25%〜約50%、約20%〜約60%、約40%〜約60%、約40%〜約50%、約75%〜約90%、約75%〜約175%、約125%〜約175%、又は約140%〜約160%の破断点伸び(又は破裂点伸び)(%)を有し得る。本明細書で使用するとき、引張り強度及び破断点伸び(%)は、ASTM D412に従って測定される。他の実施形態では、固体組成物は、約100%〜約1000%、例えば、約250%〜約600%、約300%〜約900%、又は約100%〜約300%の破断点伸び(又は破裂点伸び)(%)を有し得る。
【0097】
本発明の実施形態の一部は、国際出願第PCT/US2012/071011号(2012年12月20日出願)、国際出願第PCT/US2013/021707号(2013年1月16日出願)、及び国際出願第PCT/US2013/025126号(2013年2月7日出願)(これらは全て、全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に記載されているもの等、本明細書に記載する組成物を含む光学アセンブリ及び物品に関する。したがって、本発明の幾つかの実施形態は、任意の前述の請求項のオルガノシロキサンブロックコポリマーを含むLED封入材に関する。
【0098】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、値又は範囲の変動の程度、例えば、記載される値又は記載される範囲の限度の10%以内、5%以内又は1%以内を許容することができる。
【0099】
範囲形式で表される値は、範囲の限界として明示的に記述される数値を含むだけでなく、それぞれの数値及びサブ範囲が明示的に記述されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又はサブ範囲も含む柔軟な形で解釈されるべきである。例えば、「約0.1%〜約5%」又は「約0.1%〜5%」の範囲は、約0.1%〜約5%を含むだけでなく、示される範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及びサブ範囲(例えば、0.1%〜0.5%、1.1%〜2.2%、3.3%〜4.4%)も含むものと解釈されるべきである。
【0100】
上述のオルガノポリシロキサンを樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物に添加すると、これら組成物から得られる固体コーティングの可撓性を改善できることが見出された。具体的には、本組成物は、改善された破断点伸びを有し得る。
【0101】
本明細書に開示及び主張される本発明の実施形態は、これら実施形態が本開示の複数の態様の例示を目的とするものであることから、本明細書に開示される特定の実施形態により範囲が限定されるものではない。任意の同等の実施形態は、本開示の範囲内にあるものとする。事実、当業者には、本明細書に表示及び説明する実施形態とともに実施形態の様々な変更が前述の説明から自明であろう。かかる変更はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
【0102】
要約書は、技術的な開示の特質を読者が素早く確認できるように示す。要約書は、特許請求の範囲の範囲又は目的を解明又は制限するために用いるものではないという了解のもとで提示する。
【実施例】
【0103】
以降の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すために挙げられている。しかしながら、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多くの変更をなすことができ、依然として類似する、又は同様の結果を得ることができることが、当業者には認識されるべきである。全てのパーセントは、重量%である。特に指定しない限り、測定は全て23℃で行った。
【0104】
材料
以下の成分を用いて、ブレンド組成物を調製した:
RL1(「RL」は、「樹脂直鎖状」を指す):式D
PhMe0.536T
アルキル0.054T
Ph0.402を有する45% Ph−T−117dp PhMe樹脂−直鎖状ブロックコポリマー、トルエン中固形分70.8%、国際公開第2012/040302号(全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)の実施例12に類似の方法で調製。
【0105】
RL2:式D
PhMe0.535T
アルキル0.011T
Ph0.449を有する45% Ph−T−98dp PhMe樹脂直鎖状ブロックコポリマー、キシレン中固形分は71.8%であった。トルエンの代わりにキシレンを用い、以下に示すRL3に類似のプロセスによって作製したフェニル−T樹脂をDow Corning 217フレーク樹脂の代わりに用いたことを除いて、国際公開第2012/040302号の実施例12に類似の方法で調製した。
【0106】
RL3:式:D
PhMe0.529T
アルキル0.055T
Ph0.416を有する45% Ph−T−100dp PhMe樹脂−直鎖状ブロックコポリマー、トルエン中固形分58.2%、国際公開第2012/040302号(全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)の実施例12に類似の方法で調製。
【0107】
RL4:式:D
PhMe0.423T
アルキル0.060T
Ph0.511を有する55% Ph−T−140dp PhMe樹脂−直鎖状ブロックコポリマー、トルエン中固形分71.5%、国際公開第2012/040302号(全文が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)の実施例15に類似の方法で調製。
【0108】
RL5:式:D
PhMe0.625T
アルキル0.043T
Ph0.326を有する35% Ph−T−130dp PhMe樹脂−直鎖状ブロックコポリマー、トルエン中固形分69.1%、50%の代わりにトルエン中固形分60%で行ったことを除いて、国際公開第2012/040302号の実施例14に類似の方法で調製。
【0109】
RL6:式:D
PhMe0.517T
アルキル0.055T
Ph0.423を有する45% Ph−T−130dp PhMe樹脂−直鎖状ブロックコポリマー、トルエン中固形分68.8%、50%の代わりにトルエン中固形分60%で行ったことを除いて、国際公開第2012/040302号の実施例12に類似の方法で調製。
【0110】
RE1(「RE」は、「樹脂」を指す):Dow Corning(登録商標)217フレーク樹脂。
【0111】
RE2:以下の通り調製した5,000g/モル(トルエン中59.5%)のPh−T加水分解物樹脂。
【0112】
2Lの3つ口丸底フラスコに、脱イオン水(DI)(457.7g)を入れた。このフラスコに、teflon撹拌パドルと、温度計と、水冷凝縮器とを装備させた。氷水浴を用いて水を5℃に冷却した。フェニルトリクロロシラン(233.38g、1.103モル)及びトルエン(223.5g)のプレミックス溶液を、5℃から開始して速やかに添加した。添加が完了した後、氷浴を取り除いた状態で5分間混合した。混合を停止し、次いで、水相を除去した。一部のDI水(37.3g)を添加し、次いで、15分間80℃で加熱し、その後、水相を除去した。以下のプロセスを数回繰り返して、残留HClを除去した:2−プロパノール(9.3g)及びDI水(28.0g)を添加し、15分間80℃で加熱し、水相を除去した。反応混合物を加熱還流して、共沸蒸留を介して残留水を除去し、次いで、蒸留によって一部のトルエンを除去した。0.45μmフィルターによって生成物溶液を加圧濾過した。生成物は、4870g/モルのM
wを有していた。
【0113】
RE3:以下の通り調製した5,000g/モル(キシレン中58.2%)のPh−T加水分解物樹脂。
【0114】
2Lの3つ口丸底フラスコに、DI水(457.7g)を入れた。このフラスコに、teflon撹拌パドルと、温度計と、水冷凝縮器とを装備させた。氷水浴を用いて水を5℃に冷却した。フェニルトリクロロシラン(233.38g、1.103モル)及びキシレン(223.5g)のプレミックス溶液を、5℃から開始して速やかに添加した。添加が完了した後、氷浴を取り除いた状態で5分間混合した。混合を停止し、次いで、水相を除去した。以下のプロセスを数回繰り返して、残留HClを除去した:2−プロパノール(9.3g)及びDI水(28.0g)を添加し、15分間80℃で加熱し、水相を除去した。反応混合物を加熱還流して、共沸蒸留を介して残留水を除去し、次いで、蒸留によって一部のキシレンを除去した。生成物は、5180g/モルのM
wを有していた。
【0115】
L1(「L」は、「直鎖状」を指す):Dow Corning(登録商標)705流体:96重量%トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、3重量%テトラメチルヘキサフェニルテトラシロキサン、1重量%テトラフェニルジメチルジシロキサン。
【0116】
L2:Dow Corning(登録商標)710流体:直鎖状フェニルメチルシロキサン末端保護トリメチルシリル基。
【0117】
成分をバイアルに導入し、ロータリーホイールで混合することによってブレンド組成物を作製し、得られる最終厚さが約80〜100マイクロメートルになるようにシリコン処理剥離ライナに対してコーティングサンプルを5milの薄膜に延伸した。
【0118】
【表1】
合計重量% Rは、RL+R+L中のRの量を指す。
【0119】
上記表に示す通り、樹脂又は直鎖状オルガノポリシロキサンと樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーとのブレンドを用いて、フィルムの光透過率に悪影響を与えることなく、120℃における樹脂−直鎖状溶融物の粘度を調整することができる。更に、RL4(PhMeライナに結合している55重量%Ph−Tを含む樹脂−直鎖状)のみを含有する比較例と実施例Eとを比較したとき、驚くべきかつ予想外の結果が見出された。実施例Eは、実施例Eが同じ合計(すなわち、55重量%Ph−T)樹脂含量を含有するように、RL1(45重量% Ph−T−PhMeコポリマー)とRE1(10重量% Ph−T樹脂)とのブレンドを用いる。マンドレル試験(ASTM D1737)を用いて測定したとき、単独で用いたRL4については低可撓性がみられたが、一方、実施例Eのブレンドサンプルは、優れた可撓性を保持する。主に、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーがブレンド組成物と同じ重量パーセントの樹脂及び直鎖状成分を含有する場合、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物を含有する組成物に比べて、ブレンドが可撓性を改善するとは予測されないので、これは予想と矛盾するものである。例えば、当業者は、10重量%のPh−T樹脂(すなわち、55重量%のPh−Tを有効に含有し、10重量%のPh−T樹脂が遊離、抽出可能樹脂である)とブレンドした45重量%のPh−T−PhMeコポリマーが、PhMe直鎖状に結合している55重量%のPh−Tを含有する樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーよりも改善された可撓性を有するとは予測しない。
【0120】
別の驚くべきかつ予想外の結果は、幾つかの実施形態では、ブレンドを用いて、樹脂のT
gよりも高くかつ樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の硬化温度よりも低い温度における固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の貯蔵弾性率(G’)値(例えば、約40℃〜約250℃、約100〜約175℃、又は約100〜約150℃の温度で測定したG’値)を低減することができるという事実に起因する。したがって、例えば、150℃で約0.5〜約50kPa(例えば、約0.5〜約25kPa、約1〜約10kPa、又は約1〜約5kPa)の範囲外のG’値を有し、かつ150℃で約5〜約0.5、約3〜約0.5、約2〜約0.5、又は約2〜約1のtan δを有する固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物を、本明細書に記載する樹脂及び/又は直鎖状オルガノポリシロキサンとブレンドして、G’(及びtan δ値)を約0.5〜約50kPaのG’範囲内にすることができる。換言すれば、G’は、約0.5〜約50kPaの値まで低減される。
【0121】
更に、樹脂及び/又は直鎖状オルガノポリシロキサンと樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーとのブレンド(例えば、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物と実質的に同じ百分率の樹脂及び直鎖状オルガノポリシロキサン含量を含有するようにブレンドする)は、(例えば、150℃において)低減されたG’値を有するが、ブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の破断点伸び(%)の約50%以内(例えば、約30%以内、約25%以内、約15%以内、約10%以内、又は約5%以内)の破断点伸び(%);ブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の破断点引張り強度の約25%以内(例えば、約15%以内、約10%以内、又は約5%以内)の破断点引張り強度;及び/又はブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物の約20%以内(例えば、約15%以内、約10%以内、又は約5%以内)の引っ張り弾性率を有する固体組成物を提供することができる。また、全てのこのような組成物は、光透過率を保持していると予測される(例えば、ブレンドしていない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーオルガノポリシロキサン組成物と同じ光透過率)。
【0122】
例えば、RL1は、1.5MPaの引張り強度、44%の破断点伸び(%)、及び92MPaの引っ張り弾性率(例えば、ASTM D412を用いて測定したとき)を有すると観察された。約10重量%のL2とブレンドしたとき、RL1/L2ブレンドは、1.6MPaの引張り強度、150%の破断点伸び(%)、及び49MPaの引っ張り弾性率を有すると観察された。このブレンドからは、RL1組成物のみを含有する固体組成物と比べて、著しく高い破断点伸び(%)を有する固体組成物が得られる。また、このような破断点伸び(%)の増大は、RL1とL2とのブレンドを含有する固体組成物が高い可撓性を有することを意味する。約10重量%のRE1とブレンドしたとき、RL1/RE1ブレンドは、1.8MPaの引張り強度、43%の破断点伸び(%)、及び約130MPaの引っ張り弾性率を有すると観察された。最後に、約10重量%のRE1とL2との混合物(重量比45/55)とブレンドしたとき、RL1ブレンドは、1.3MPaの引張り強度、63%の破断点伸び(%)、及び86MPaの引っ張り弾性率を有すると観察された。RL1をRE1とL2との混合物とブレンドするこの最後の実施例では、破断点引張り強度は、RL1の破断点引張り強度の約13%以内であり、破断点伸び(%)は、RL1の破断点伸び(%)の約30%以内であり、引っ張り弾性率は、RL1の引っ張り弾性率の約6.5%以内である。
【0123】
幾つかの実施形態では、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーと環状ジオルガノポリシロキサンとのブレンドは、樹脂及び/又は直鎖状オルガノポリシロキサンとのブレンドに比べて、G’の低減(及びtan δの増加)に対して著しくかつ予想外の影響を有し得る。例えば、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを樹脂及び/又は直鎖状オルガノポリシロキサンとブレンドしたときと比べて、同じG’の低減を得るためには、ほぼ1桁少ない環状ジオルガノポリシロキサンを添加するだけでよい場合がある。したがって、例えば、150℃におけるG’値を特定の百分率だけ低減するのに約10重量%の樹脂及び/又は直鎖状ジオルガノポリシロキサンが必要である場合、同じG’の低減を得るために約1重量%の環状ジオルガノポリシロキサンだけあればよい。
【0124】
更なる例を以下の表に示す:
【0125】
【表2】
試験したサンプルは全て、約1.5mmの厚さに流延し、以下の硬化スケジュールを用いて強制空気オーブン内で硬化させた:70℃で4時間、120℃で4時間、160℃で3時間。
【0126】
表から分かる通り、Ph−T樹脂を樹脂ー直鎖状にブレンドすることを用いて、脆性挙動を損なうことなく全組成物中のPh−T樹脂の量を増加させることができる。例えば、実施例Lは、R1をRL6にブレンドすることにより、比較例1(RL4)の55重量%を超える56重量%の合計R含量が得られることを示す。しかし、比較例1は、脆性すぎて試験できず、一方、実施例Lは、若干の強靱性を示す。また、実施例Nを比較例2と比較してもよい。実施例Nは、樹脂の合計重量%は同じであるが、より優れた破断点伸び及び破断点引張り強度を実現するので、組成物の全体的な強靱性が改善される。