特許第6218907号(P6218907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6218907
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】組立便器
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20171016BHJP
【FI】
   A47K11/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-197940(P2016-197940)
(22)【出願日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年10月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)営業開始日 平成28年4月6日 (2)営業を行った場所 大阪府岸和田市土生町2丁目7番14号 (3)営業を行った者 まいにち株式会社 (4)販売日 平成28年6月9日 (5)販売した場所 岸和田市(大阪府岸和田市岸城町7番1号) (6)販売した者 まいにち株式会社 (7)営業及び販売した物の内容 まいにち株式会社は、本願出願の各請求項に記載の組立便器を実施した商品(車載用トイレPOTON IV)の営業活動をまいにち株式会社を起点として各取引先等に対して行い、当該商品は、岸和田市のふるさと納税のお礼の品に採用され岸和田市に販売され納品されたのを皮切りに、複数企業団体に販売され納品された。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505378563
【氏名又は名称】まいにち株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】勘米良 和則
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−251066(JP,A)
【文献】 実開昭58−044994(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3169302(JP,U)
【文献】 特開2004−160963(JP,A)
【文献】 特開2007−106123(JP,A)
【文献】 特開2006−231761(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0058527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを収納構造から組立構造にして使用する組立便器において、
天側シートと、底側シートとの2枚のシートから構成され、
前記天側シートは座板部と、前記座板部と屈曲線を介して連設された一対の側板部とを備え、
前記天側シートの前記一対の側板部は前記座板部の前後と左右とのいずれか一方に配置され、
前記座板部はその中央に排泄用の開口を備え、
前記天側シートの前記一対の側板部は、組み合わせ用の切り込みを備え、
前記底側シートは底板部と、前記底板部と屈曲線を介して連設された一対の側板部とを備え、
前記底側シートの前記一対の側板部は前記座板部の前後と左右とのいずれか他方に配置され、
前記底側シートの前記一対の側板部は、組み合わせ用の切り込みを備え、
前記天側シートの前記一対の側板部は、前記座板部に対して内側に折り曲げられた略垂下状態とされ、前記底側シートの前記一対の側板部は、前記底板部に対して内側に折り曲げられた略直立状態とされ、
前記天側シートの前記切り込みと前記底側シートの前記切り込みとを組み合わせて、前記天側シートと前記底側シートとを略直方体の組立構造となるように構成され、
前記略垂下状態の前記側板部を前記屈曲線から回動させて、前記座板部の上方に重ねると共に、前記略直立状態の前記側板部を前記屈曲線から回動させて、前記底板部の下方に重ねることにより、折り畳み構造となるものであり、
前記天側シートと前記底側シートとは、2枚の内外シートの間に多数の小筒部を配置した合成樹脂製ボードから構成され、
前記多数の小筒部は、複数の小筒部を直線状に等間隔に配置した筒列が、複数列互いに平行に配列されたものであり、
前記筒列は、前記屈曲線を斜めに横切っていることを特徴とする組立便器。
【請求項2】
前記略垂下状態の前記側板部を前記屈曲線から外側に略3直角回動させて、前記座板部の上方に重ねると共に、前記略直立状態の前記側板部を前記屈曲線から外側に略3/4回転させて、前記底板部の下方に重ねることにより、折り畳み構造となるものであり、
前記折り畳み構造において、前記天側シートの2つの前記側板部同士が重ならず、前記底側シートの2つの前記側板部同士が重ならないものであることを特徴とする請求項1記載の組立便器。
【請求項3】
前記屈曲線は、前記天側シート及び前記底側シートの内側から外側に凹んだ谷溝を備え、
前記谷溝の幅は、前記小筒部の半径よりも大きく、
前記筒列のそれぞれの列は、少なくとも3個の前記小筒部の全部または一部が、前記谷溝内に位置しており、
前記谷溝の長手方向における前記小筒部の配置状態が周期的に変化していることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立便器。
【請求項4】
前記屈曲線以外のシートを曲げるための線を、前記天側シートが備えていないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の組立便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシートを組立て立体構造にして使用する組立便器が種々提案されている。この種の便器は、家庭や事業所での防災対策用品として、或いは、自動車での移動時や屋外キャンプでのレジャー用品として用いるなど、種々の目的で利用されている。例えば、特許文献1に示す組立便器は、プラスチックダンボールで形成された底面部、4枚の側板部、台座部から構成される直方体状の組立式便器であって、プラスチックダンボールは平行配置された2枚の平行状プラスチックシートの間に波形となされたプラスチック波形板を介在させて接着されており、4枚の側板部の波形板の筋目が組立状態で縦向きであり、対向する2枚の側板部と底面部は一体的に形成され、4枚の側板部には両端近傍に係合溝が形成され、前記対向する2枚の側板部の係合溝が、他の対向する2枚の側板部の係合溝と嵌め合わされて直方体状の筒を形成し、その上に台座部を置いてなるものである。この特許文献1に係る組立便器は、上記のとおり、台座部を構成するシートと、2枚の側板部と底面部とが一体的に形成されとシートと、他の側板部をそれぞれ構成する2枚のシートとの合計4枚のシートに分割されたものであり、これら4枚のシートを組み立てる必要がある。
【0003】
また、特許文献2に係る組立トイレは、前後左右の側板部をそれぞれ構成する4枚のシートと座板部を構成するシートとの少なくとも5枚のシートに分割されたものであり、これら5枚のシートを組み立てる必要がある。
これらの特許文献に係る組立トイレは、いずれも前後左右の側板部を井桁状に組み合わせるものであるが、いずれも4枚以上のシートに分割されているものであり、組み立てる手順が分かりにくかったり、組立保管を繰り返すうちに1枚のシートが紛失したりするなど、組立性と保管性とに課題を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−251066号公報
【特許文献2】登録実用新案第3099957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、組立性や保管性が良好で、耐久性の高い組立トイレを提供することを課題とする。また、本発明の他の課題は、使用感、特に便座に着座した際の安定性と使用感の良好な組立トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のシートを組立て立体構造にして使用する組立便器の改良に関するものであり、この組立便器は、天側シートと、底側シートとの2枚のシートから構成されている。
前記天側シートは、座板部と一対の側板部とを備える。前記天側シートの前記一対の側板部は前記座板部の前後と左右とのいずれか一方に配置される。前記座板部はその中央に排泄用の開口を備える。前記天側シートの前記一対の側板部は、組み合わせ用の切り込みを備える。
【0007】
前記底側シートは、底板部と一対の側板部とを備える。前記底側シートの前記一対の側板部は前記座板部の前後と左右とのいずれか他方に配置される。前記天側シートの前記一対の側板部は、組み合わせ用の切り込みを備える。
そして、前記天側シートの前記一対の側板部を前記座板部に対して屈曲線から略直角に折り曲げ、前記底側シートの前記一対の側板部を前記底板部に対して屈曲線から略直角に折り曲げ、前記天側シートの前記切り込みと前記底側シートの前記切り込みとを組み合わせて、前記天側シートと前記底側シートとを略直方体構造に組み立てるように構成されたものである。
【0008】
組立状態において、前記天側シートの前記座板部は、前記天側シートの前記側板部の上辺から横方向に延設され、且つ、前記底側シートの前記側板部の端面に支持されているものとすることができる。
前記座板部又は前記底板部には、その前後と左右とのいずれかに伸びる折り目線を設けて、前記座板部又は前記底板部をその中央などから二つ折りにすることができるようにしてもかわまないが、前記座板部を二つ折りにすると、使用者が着座した際に違和感を覚えるおそれがあり、また二つ折りの折り目線から組立状態において「ヘ」の字状に曲がった状態となってしまうおそれがあるため、前記座板部と前記底板部とには(特に、前記座板部には)、中央などから二つ折りにする折り目線を設けずに実施することが好ましい。
望ましい折り畳み状態では、前記屈曲線で両側の前記側板部を、前記座板部又は前記底板部に折り重ねるようにするもので、これによって、上記の弊害を除去することができる。特に好ましくは、前記座板部又は前記底板部の長さを、両側の2枚の前記側板部の長さの和よりも長くしておくことで、両側の前記側板部が折り畳み状態で重ならないようにコンパクトに折り畳むことができる。
【0009】
前記は屈曲線は、上記の望ましい折り畳み状態から、前記両側板部を直角、即ち略90度に曲げることができるものであってもかまわないが、前記両側板部を略略3/4回転させることができるように構成することが、耐久性の向上の観点と、外観の良好性の向上の観点から好ましい。
【0010】
前記天側シートと前記底側シートとは、2枚の内外シートの間に多数の小筒部を配置した合成樹脂製ボードから構成される。
前記小筒部は、複数の小筒部を直線状に等間隔に配置した筒列が、複数列互いに平行に配列されたものである。
ここで、前記筒列は、前記屈曲線に対して平行にすることも可能であるが、前記筒列が前記屈曲線を斜めに横切っているものとすることによって、使用時及び折り畳み状態における耐久性が向上する。
【0011】
前記屈曲線は、天側シート及び底側シートの内側から外側に凹んだ谷溝として実施することができる。前記谷溝の幅は、前記小筒部の半径よりも大きなものとし、前記筒列のそれぞれの列は、少なくとも3個の前記小筒部の全部または一部が、前記谷溝内に位置しているのが適当である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、組立性や保管性が良好で、耐久性の高い組立トイレを提供することができたものである。また、本発明は、使用感、特に便座に着座した際の安定性と使用感の良好な組立トイレを提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る組立トイレの上方からの斜視図。
図2】同組立トイレの下方からの斜視図。
図3】(A)は同組立トイレの天側シートの展開図、(B)は同組立トイレの底側シートの展開図。
図4】同組立トイレの天側シートを二つ折りにした状態の平面図。
図5】(A)は同組立トイレの天側シートと底側シートの両シートの要部拡大平面図、(B)は同両シートの展開状態の屈曲線の拡大正面図、(C)は同両シートの組立状態の屈曲線の拡大正面図、(D)は同両シートの折り畳み状態の屈曲線の拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお本発明において前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり絶対的な位置を特定するものではない。
図1図5に示す実施の形態に係る組立トイレは、天側シート10と底側シート20との2枚のシートから構成されており、図1及び図2に示す組立状態で4枚の側板部30(左側板部14、右側板部15、前側板部24、後側板部25)が井桁状に組み合わせられて略直方体形状をなす。展開状態では、天側シート10と底側シート20とが別々のシートとなり(図3参照)、これらのシートを折り畳んで重ね合わせることができる。なお、以下の説明で左側板部14、右側板部15、前側板部24、後側板部25を特に区別する必要のないときは側板部30と呼ぶ。
【0015】
天側シート10は、中央の矩形の座板部11と、座板部11の左右両側から屈曲線33を介して組立状態で垂下するように折り曲げられて下方に伸びる左右一対の左側板部14と右側板部15とを備える。座板部11には、中央に排泄用の開口16が形成されている。使用に際しては、図示は省略するが、この排泄用の開口16内に合成樹脂製の袋を配置して、袋の口付近を座板部11に被せて用いる。袋内には、凝固剤や芳香剤などの薬剤を配置してもよい。排泄用の開口16の形状は正方形や長方形などの略矩形の他、円形や楕円形などとすることができる。また、座板部11の平面形状も正方形や長方形などの略矩形の他、陸上トラック形状などとすることもできる。
【0016】
底側シート20は、中央の矩形の底板部21と、底板部21の前後両側から屈曲線33を介して組立状態で略直立するように折り曲げられて上方に伸びる前後一対の前側板部24と右側板部15とを備える。この底板部21には、開口は形成されていないが、開口を設けて実施することもできる。
これらの天側シート10と底側シート20とは展開状態で略同一の長方形の外形状をなしているが、両シートの大きさを完全に一致させる必要はない。
各側板部30には、それぞれの端辺から中央に向けて2本の切り込み31が形成されている。切り込み31の幅は側板部30の厚みに略等しいが、組み合わせを容易にするために切り込み31の開口端には面取りが施されている。切り込み31の長さは、組立時に組み合わせられる両方の切り込み31の長さの和が側板部30以上となるように設定されるもので、通常は側板部30の高さの略半分程度とするのが適当である。
【0017】
屈曲線33は展開状態から折り畳み状態となるまで、側板部30を略3/4回転(約240〜270度)回転させて折り曲げることができるものとすることが望ましい。そして、折り畳み状態では、座板部11の上方に左右の側板部30を重ねると共に、底板部21の下方に前後の側板部30を重ねるものとし、より望ましくは、側板部30同士が互いに重ならないようにすることにより、折り畳み状態の嵩が低くなる構造とする。
勿論、折り畳み状態で、各側板部30が座板部11や底板部21にピッタリと接触するように重なる必要はなく、座板部11や底板部21から鋭角に各側板部30が伸びている状態であってもかまわない。
【0018】
天側シート10と底側シート20は、図5に示すように、2枚の合成樹脂製の内外シート41の間に多数の合成樹脂製の小筒部42を配置した合成樹脂製ボードから構成されている。この種の合成樹脂製ボードは、特開2010−111409号の合成樹脂製ボード(川上産業株式会社のプラパール(商標))などが知られているが、他社製のボードであってもかまわない。小筒部42は、その断面形状が円形の円筒状であってもよく、多角形などの角筒状などの他の形状であってもよい。
【0019】
特許文献1では、プラスチック段ボールなどのように方向性を有するものを用いる場合には、波形の突状及び凹状の伸びる方向が、側板部における縦方向(上下方向)となるように配置することが推奨されている。これに対して、上記の合成樹脂製ボードは方向性が低い(縦横の方向によって強度などが変化し難い)ため、ボードの向きに関しては自由度が高いものではあるが、本発明にあっては、次の構成とすることによって、その方向性をより低いものとした。
【0020】
具体的には、図5(A)に示すように、合成樹脂製ボードは、複数の小筒部42を直線状に等間隔に配置した筒列t(t1、t2)を備えるものであり、隣り合う筒列t1、t2同士が半ピッチずつ、ずらされて配置されている。このように、隣り合う筒列t1、t2同士が半ピッチずつ、ずらされて配置されているため、上記のように方向性が低くなるが、さらに、筒列tが、屈曲線33を斜めに横切るように配置することによって、その方向性をより低いものとした。この例では図3に示すように、角a=約15度で傾斜させているが、約10〜50度の範囲内とすることが好ましい。
【0021】
そして、図5(B)に示すように、屈曲線33が、天側シート10及び底側シート20の内側から外側に凹んだ谷溝43を備えたものとした。この、谷溝43は、略V字状をなすようにし、図5(C)に示す組立状態において、谷溝43の谷面44同士が略接するようにした。これによって、組立状態で、座板部11の谷面44が、左右の側板部30の谷面44の上に乗る状態となり、座板部11の荷重を面として受けることができる。例えば、屈曲線33は展開状態から折り畳み状態となるまで、側板部30を略1/4回転(約90度)回転させて折り曲げるように構成することもできるが、この構造であれば、組立状態で、座板部11の谷面44が、左右の側板部30の谷面44の上に乗らずに、内外シート41で荷重を受けることになってしまい、耐久性が低下する。
【0022】
次に、谷溝43の幅は、小筒部42の半径よりも大きいものとして実施することが望ましい。その際、小筒部42の径や厚みにもよるが、谷溝43の幅は、小筒部42の直径の2倍よりも小さいものとして実施することが適当である。これによって、前記筒列のそれぞれの列は、少なくとも3個、この例では7個の小筒部42の少なくとも一部が、谷溝43内に位置する。また、各筒列t(t1、t2)が互いに平行とすることによって、谷溝43の長手方向(図5(A)の上下方向)における小筒部42の配置状態が周期的に変化する。
従って、谷溝43内には様々な形態で小筒部42が位置することになり、製品全体としての強度が安定する。具体的には、筒列tを谷溝43に対して直交又は平行に配置した場合、筒列tと谷溝43との位置関係によって、変化する。
特に、屈曲線33がハーフカットのような線状のもので構成されていたり、谷溝43の幅が小筒部42の半径よりも小さい場合には、上記両者の位置関係によって、小筒部42の無い部分に屈曲線33が位置したり、逆に大部分が小筒部42上に位置したりする場合がある。小筒部42(詳しくは小筒部42は中空であるため断面が円径の周壁)の場合、その周壁があることによってその部分の強度が、周壁がない部分に比して、高くなる。これによって、上記両者の位置関係によって、屈曲線33の強度が変化し、製品間での強度のバラツキや、同一製品でも4本ある屈曲線33間での強度のバラツキが生じるおそれがある。
これに対して、この実施の形態にあっては、上記両者の位置関係が変化しても、谷溝43内に位置する多数の小筒部42群全体の配置状態は実質的に変化しないため、製品間での強度のバラツキや、4本ある屈曲線33間での強度のバラツキが生じることを抑制することができる。
【0023】
また、屈曲線33は、天側シート10及び底側シート20の内側から外側に凹んだ谷溝43を備えているため、図5(C)の組立状態から図5(D)の折り畳み状態となるまで、3直角程度の大きな角度範囲で側板部30を折り曲げ回動させることができる。特に、谷溝43を略V字状の金型により合成樹脂製ボードに加熱押圧するなどして、内外シート41及び小筒部42を溶融変形させて形成した場合などでは、谷溝43の中央の谷底が2枚の内外シート41同士が重なって配置され(望ましくは両シートが溶着して一体化され)ているため、屈曲線をハーフカットによって一方のシートを切断して形成される場合に比して、耐久性を向上させることができるものである。
【0024】
なお本発明の実施に際して、側板部30に対して、二つ折り用の屈曲線を介して側板延長部を延設して実施することもできる。これによって、側板部30が二重となって強度が高まる。また、二つ折り用の屈曲線の代わりに、2本の屈曲線を設けてコ字状に折り曲げるものであってもかまわない。
いずれの例にあっても、座板部11に屈曲線を設けずに実施することができるため、座板部11はフラットな状態に維持することができ、コンパクトに折り畳むことができることと同時に、便座に着座した際の使用感を向上させることとの両立困難な要求を満足させることができたものである。また、天側シート10と底側シート20との2枚のシートから構成されており、4枚の側板部30が井桁状に組み合わせられて略直方体形状をなすため、何れの方向から力が加わったとしても安定する構造をなしており、安定性と使用感と折り畳み性の良好な組立トイレを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0025】
10 天側シート
11 座板部
14 左側板部
15 右側板部
16 開口
20 底側シート
21 底板部
24 前側板部
25 後側板部
26 背側板部
30 側板部
31 切り込み
33 屈曲線
41 内外シート
42 小筒部
43 谷溝
44 谷面
【要約】
【課題】組立性や保管性が良好で、耐久性の高い組立トイレを提供する。
【解決手段】天側シート10と底側シート20との2枚のシートから構成されており、4枚の側板部30が井桁状に組み合わせられて略直方体形状をなす。天側シート10は、中央の矩形の座板部11と左右一対の左側板部14と右側板部15とを備える。座板部11には、中央に排泄用の開口16が形成されている。底側シート20は、中央の矩形の底板部21と前後一対の前側板部24と右側板部15とを備える。組立構造からの側板部30を、屈曲線33から3/4回転程度、外側に回動させて、座板部11の上方に重ねることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5