(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(変位検出装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す一部断面図である。
【0012】
変位検出装置1は、磁束密度の変化を検出方向Dsxで検出するセンサ2と、バネ6及び接続部材51に接続されて検出方向Dsxと平行な変位方向Ddに変位する軟磁性体3と、検出方向Dsxと直行する着磁方向Dmに着磁された一対の磁石4と、一例として内部圧力pによるラバーメンブレン50の変位が測定される対象である測定対象5とを有する。なお、
図1の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0013】
センサ2は、一例として、x方向に厚みを有する平板状であって、yz面に平行な検出面を有し、磁気検出素子として検出方向Dsxとするホール素子を有するホールICであり、一対の磁石4の間に配置される。なお、磁気検出素子は検出方向がDsxであればMR素子であってもよいし、検出方向Dsxを含めば複数の軸方向にそれぞれ磁気検出素子を配置した多軸磁気検出ICを用いてもよい。また、センサ2は、磁気検出素子に加え演算回路等を有していてもよい。
【0014】
軟磁性体3は、x方向に厚みを有する鉄等の軟磁性体材料を用いた平板であり、一対の磁石4の間に配置されるとともに、軟磁性体3が誘引する磁束がセンサ2で検出されるような範囲で変位するものとする。
【0015】
また、軟磁性体3は、測定対象5の内部圧力pが増加してラバーメンブレン50が変形すると、この変形に伴い接続部材51を介してx方向に変位する。なお、変位量は数mm程度の微小な変位であるとする。
【0016】
センサ2と軟磁性体3とは、ラバーメンブレン50が変形していない状態(以下、「平常状態」という。)においてx方向の厚み中心が一致しており、互いに最も接近する。なお、平常状態以外においてx方向の厚み中心を一致させるものであってもよい。
【0017】
一対の磁石4は、フェライト、サマリウムコバルト、ネオジウム等の材料を用いて形成された永久磁石で、少なくとも軟磁性体3の可動域である空間において一様な磁界を形成し、軟磁性体3が誘引する磁束が正負に振れたり、ヒステレシスの影響が出るほどに大幅に数値が変化したりしないものとする。一例として、軟磁性体3が誘引する磁束密度の変化幅は±10mT程度とする。
【0018】
測定対象5は、一例として、車両のスロットルバルブ等であって、その内部の空気圧が測定される対象となる。なお、測定対象5は、内部圧力pに限らず、微小な変位が生じるものであって、当該変位が接続部材51を介して軟磁性体3に伝達可能なものであればその種類は問わない。
【0019】
バネ6は、平常状態において、測定対象5の圧力pによって軟磁性体3に加えられる力と釣り合うようそのバネ長及びばね定数が選択される。なお、反力が不要な場合はバネ6を省略してもよい。
【0020】
(変位検出装置の動作)
次に、第1の実施の形態の作用を、
図1−
図3を用いて説明する。
【0021】
図2A−
図2Cは、変位検出装置1の動作を説明するための概略図である。
【0022】
図2Aに示すように、平常状態においてセンサ2と軟磁性体3とは、x方向の厚み中心のx座標が一致しており、互いに最も接近する。この状態においてセンサ2の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、Bx=0である。つまり、B=Bzである。
【0023】
次に、測定対象5の内部圧力pが増加してラバーメンブレン50が変形すると、この変形が接続部材51を介して軟磁性体3に伝達し、
図2B及び
図2Cに示すように、x方向の負の方向にd1、d2と変位量が増加するに従ってセンサ2の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが負の方向に増加する。また、
図2B及び
図2Cには、軟磁性体3がx方向の負の方向に変位する場合を示したが、正の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bxが正の方向に増加する。これらの軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図3のように表される。
【0024】
図3は、軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
【0025】
上記したように、軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係は、変位が0の付近でリニアな特性となる。一例として、磁石4間の距離が10mm、センサ2の検出する磁束密度の最大値が20mT、最小値が−20mT、センサ2と軟磁性体3の最短距離が0.5mm、軟磁性体3の厚みが1mmの条件の下で、変位が±1.0mmの範囲でリニアな特性が得られ、この変異の範囲を変位検出装置1の使用範囲とすることができる。
【0026】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によれば、センサ2において検出される磁束密度が0となる軟磁性体3の位置が存在するため、軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度とがリニアな特性となる。
【0027】
また、センサ2の磁気検出素子の温度依存特性は検出する磁束密度が増加するほどに顕著となり精度が劣るが、センサ2において検出される磁束密度の範囲が0付近であるため、温度依存特性を抑制することができ、磁束密度の範囲が0付近でない場合に比べて精度が向上する。
【0028】
また、多くの磁束を誘引する必要がないため、軟磁性体3を大きくする必要がなく、その結果として軟磁性体の重量の増加を抑制することができ、重量増加による軟磁性体と接続する測定対象の変位に対する感度の低下を抑制することができる。
【0029】
また、磁石4間の磁界を一様なものとし、軟磁性体を透過する磁束が大きく変動しない設計としたため、軟磁性体に生じるヒステレシスの影響が少なく、第1の実施の形態の構成を採用しない場合に比べて、精度の低下を抑制することができる。
【0030】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0031】
第2の実施の形態は、センサ20の検出方向がx方向及びz方向の2方向になっている点で第1の実施の形態と異なる。なお、測定対象5及びバネ6の図示を省略しているが、第1の実施の形態と同様に軟磁性体3の変位方向Ddをx方向である変位方向Ddxとするように接続されるものとする。
【0032】
変位検出装置10は、磁束密度の変化を検出方向Dsx及びDszで検出するセンサ20と、バネ6及び接続部材51に接続されて変位方向Ddに変位する軟磁性体3と、着磁方向Dmに着磁された一対の磁石4とを有する。なお、
図4の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0033】
また、センサ20は、磁気検出素子だけでなく演算回路を有しており、後述するように磁気検出素子の検出信号を演算した信号を出力信号とする。
【0034】
(変位検出装置の動作)
次に、第2の実施の形態の作用を、
図4、
図5及び
図2A−
図2Cを用いて説明する。なお、
図2A−
図2Cにおいてセンサ2をセンサ20に置き換えるものとする。
【0035】
図2Aに示すように、平常状態においてセンサ20と軟磁性体3とは、x方向の厚み中心がx座標において一致しており、互いに最も接近する。この状態においてセンサ20の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、Bx=0である。また、検出方向Dszの磁束密度はB=Bzであって最大値をとる。
【0036】
次に、
図2B及び
図2Cに示すように、x方向の負の方向にd1、d2と変位量が増加するに従ってセンサ20の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが負の方向に増加するとともに、検出方向Dszの磁束密度Bzが減少する。また、
図2B及び
図2Cには、軟磁性体3がx方向の負の方向に変位する場合を示したが、正の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bxが正の方向に増加するとともに磁束密度Bzが減少する。これらの軟磁性体3の変位とセンサ20の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図5のように表される。
【0037】
図5Aは、軟磁性体3の変位とセンサ20の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
図5Bは、軟磁性体の変位の角度とセンサの出力との関係を表すグラフ図である。
図5Cは、軟磁性体の変位とセンサの出力との関係を表すグラフ図である。
【0038】
図5Aに示すように、軟磁性体3の変位とセンサ20の検出する磁束密度との関係は、検出方向Dsxについて変位が0の付近でリニアな特性となるとともに、検出方向Dszについて変位が0において最大値をとり、変位の絶対値が増加するに従って磁束密度が減少する。
【0039】
ここで、磁束密度Bのx軸に対する角度をαとすると、arctan(Bz/Bx)=αである。角度αに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)が、
図5Bに示すように、リニアに出力される。
【0040】
一方、センサ20と軟磁性体3との位置関係について、
図2A−
図2Cに示すようにセンサ20と軟磁性体3とのz方向の距離をdzとすると、dzは軟磁性体の変位に関わらず一定であり、
図5Cに示すように、変位xに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)の関係が
図5Bに示す角度αに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)の関係と同様になる。
【0041】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、それぞれ異なる磁気検出素子で検出される磁束密度Bx及びBzの比を用いた演算により角度αを求めているため、磁気検出素子の温度依存特性の影響を打ち消すことができ、温度依存特性の影響がある場合に比べてセンサ20全体として検出精度が向上する。
【0042】
[第3の実施の形態]
図6は、第3の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0043】
第3の実施の形態は、センサの検出方向がx方向、y方向及びz方向の3方向になっている点で第1の実施の形態と異なる。また、軟磁性体の形状が球状となっている点で第1の実施の形態と異なる。なお、図示しない測定対象5は、軟磁性体3の変位方向をDdx及びDdy、つまりx方向及びy方向とするように接続されるものとする。
【0044】
変位検出装置11は、磁束密度の変化を検出方向Dsx、Dsy及びDszで検出するセンサ21と、接続部材51に接続されて変位方向Ddx及びDdyに変位する軟磁性体30と、円盤状であって着磁方向Dmに着磁された一対の磁石40とを有する。なお、
図6の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0045】
なお、軟磁性体30及び磁石40はz軸を中心として対象に形成されており、センサ21はz軸上にその中心を合わせて配置されているため、変位方向Ddxによって検出される磁束密度の変化と変位方向Ddyによって検出される磁束密度の変化とは同様のものとなる。
【0046】
(変位検出装置の動作)
次に、第3の実施の形態の作用を、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0047】
平常状態においてセンサ21の中心と軟磁性体30とは、互いに最も接近する。この状態においてセンサ21の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsx(Dsy)の磁束密度は、Bx=0(By=0)である。また、検出方向Dszの磁束密度はB=Bzであって最大値をとる。
【0048】
次に、x方向(y方向)の負の方向に変位量が増加するに従ってセンサ21の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsx(Dsy)の磁束密度Bx(By)が負の方向に増加するとともに、検出方向Dszの磁束密度Bzが減少する。また、軟磁性体3がx方向(y方向)の正の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bx(By)が正の方向に増加するとともに磁束密度Bzが減少する。これらの軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図7のように表される。
【0049】
図7Aは、軟磁性体30の変位とセンサ21の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
図7Bは、軟磁性体の変位の角度とセンサの出力との関係を表すグラフ図である。
図7Cは、軟磁性体の変位とセンサの出力との関係を表すグラフ図である。
【0050】
図7Aに示すように、軟磁性体30の変位とセンサ21の検出する磁束密度との関係は、検出方向Dsx(Dsy)について変位が0の付近でリニアな特性となるとともに、検出方向Dszについて変位が0において最大値をとり、変位の絶対値が増加するに従って磁束密度が減少する。
【0051】
ここで、磁束密度Bのx軸(y軸)に対する角度をα(β)とすると、
【数1】
【数2】
である。角度αに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)が、
図7Bに示すように、リニアに出力される。なお、角度βに対するセンサ20の出力電圧Vout(β)も同様にリニアに出力される。
【0052】
また、変位yが0の場合、第2の実施の形態で説明したのと同様に、
図7Cに示すように、変位xに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)の関係が
図7Bに示す角度αに対するセンサ20の出力電圧Vout(α)の関係と同様になる。
【0053】
(第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態の効果に加え、x方向及びy方向の変位を検出することができる。
【0054】
[第4の実施の形態]
図8は、第4の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0055】
第4の実施の形態は、磁石の形状及び配置並びに軟磁性体の形状が第1の実施の形態と異なる。なお、測定対象5の図示を省略しているが、第1の実施の形態と異なり、角度方向Ddθに軟磁性体31を回転させるように接続されるものとする。
【0056】
変位検出装置12は、磁束密度の変化を検出方向Dsxで検出するセンサ22と、角度方向Ddθに回転する軟磁性体31と、着磁方向Dmに着磁された一対の磁石41a及び41bとを有する。なお、
図8の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0057】
軟磁性体31は、リング状の磁石41bの外周面上に設けられ、磁石41bとともに角度方向Ddθに回転するに従って、センサ22に最も近づく部分のx座標が変化するように螺旋状に形成される。
【0058】
(変位検出装置の動作)
次に、第4の実施の形態の作用を、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0059】
θ=0の状態においてセンサ22は、軟磁性体31の最も接近する部分とx方向の中心のx座標が一致しているものとする。この状態においてセンサ20の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、Bx=0である。
【0060】
次に、角度方向Ddθに回転するに従って軟磁性体31の最も接近する部分のx座標が増加するため、センサ22の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが増加する。これらの軟磁性体31の回転角とセンサ22の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図9のように表される。
【0061】
図9は、軟磁性体31の変位とセンサ22の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
【0062】
図9に示すように、軟磁性体31の回転角とセンサ22の検出する磁束密度との関係は、リニアな特性となる。
【0063】
(第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、回転方向の変位角を検出することができる。
【0064】
[第5の実施の形態]
図10は、第5の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0065】
第5の実施の形態は、センサの検出方向がx方向及びy方向の2方向になっている点で第1の実施の形態と異なる。また、軟磁性体の形状がリング状となっている点で第1の実施の形態と異なる。なお、図示しない測定対象5は、軟磁性体32の変位方向をDdx及びDdy、つまりx方向及びy方向とするように接続されるものとする。
【0066】
変位検出装置13は、磁束密度の変化を検出方向Dsx及びDsyで検出するセンサ23と、接続部材51に接続されて変位方向Ddx及びDdyに変位する軟磁性体32と、円盤状であって着磁方向Dmに着磁された一対の磁石40とを有する。なお、
図10の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0067】
なお、軟磁性体32及び磁石40はz軸を中心として対象に形成されており、センサ23はz軸上にその中心を合わせて配置されているため、変位方向Ddxによって検出される磁束密度の変化と変位方向Ddyによって検出される磁束密度の変化とは同様のものとなる。
【0068】
(変位検出装置の動作)
次に、第5の実施の形態の作用を、
図10及び
図12を用いて説明する。
【0069】
平常状態においてセンサ23と軟磁性体32とは、これらのxy平面における中心が互いに最も接近する。この状態においてセンサ23の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsx(Dsy)の磁束密度は、Bx=0(By=0)である。
【0070】
次に、x方向(y方向)に変位量が増加するに従ってセンサ23の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsx(Dsy)の磁束密度Bx(By)が負の方向に増加する。また、軟磁性体32がx方向(y方向)の負の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bx(By)が正の方向に増加する。これらの軟磁性体32の変位とセンサ23の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図12のように表される。
【0071】
図12は、軟磁性体32の変位とセンサ23の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
【0072】
図12に示すように、軟磁性体32の変位とセンサ23の検出する磁束密度との関係は、検出方向Dsx(Dsy)について変位が0の付近でリニアな特性となる。
【0073】
(第5の実施の形態の効果)
上記した第5の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
[第6の実施の形態]
図11は、第6の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0075】
第6の実施の形態は、第5の実施の形態のセンサの検出方向及び軟磁性体の変位方向をx方向のみとしたものである。
【0076】
変位検出装置14は、磁束密度の変化を検出方向Dsxで検出するセンサ24と、接続部材51に接続されて変位方向Ddxに変位する軟磁性体33と、着磁方向Dmに着磁された一対の磁石4とを有する。なお、
図11の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0077】
軟磁性体33は、一対の軟磁性体がそれぞれの間隔を一定に保ったまま変位方向Ddxに変位する。
【0078】
(変位検出装置の動作)
次に、第6の実施の形態の作用を、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0079】
平常状態においてセンサ24と軟磁性体33とは、これらのx軸上における中心が互いに最も接近する。この状態においてセンサ24の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、Bx=0である。
【0080】
次に、x方向に変位量が増加するに従ってセンサ24の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが負の方向に増加する。また、軟磁性体33がx方向の負の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bxが正の方向に増加する。これらの軟磁性体33の変位とセンサ24の検出する磁束密度との関係は、上述した
図12のように表される。
【0081】
(第6の実施の形態の効果)
上記した第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
[第7の実施の形態]
図13は、第7の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0083】
第7の実施の形態は、軟磁性体33を支持する支持体34の柱部34aにコイル7が設けられており、当該コイル7に流す電流を制御することで支持体34の変位を制御するものである。なお、測定対象5及びバネ6の図示を省略しているが、軟磁性体33を含む支持体34の変位方向Ddzをz方向とするように接続されるものとする。
【0084】
変位検出装置14は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ25と、変位方向Ddzに変位する軟磁性体33と、着磁方向Dmに着磁された平板状の磁石41a及びリング状の磁石41bとを有する。なお、
図13の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0085】
支持体34の柱部34aは、リング状の磁石41bの中心を貫通するように設けられ、その外周部にコイル7を有する。
【0086】
センサ25は、図示しない制御回路に接続され、制御回路はセンサ25の出力電圧を監視する。また、コイル7は制御回路に接続され、制御回路はセンサ25の出力電圧に基づき、コイル7に流す電流を制御する。
【0087】
(変位検出装置の動作)
次に、第7の実施の形態の作用を、
図13及び
図15を用いて説明する。
【0088】
平常状態においてセンサ25と軟磁性体33とは、z方向の厚み中心が最も接近する。この状態においてセンサ25の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=0である。
【0089】
次に、z方向に変位量が増加するに従ってセンサ25の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加する。また、負の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bzが負の方向に増加する。これらの軟磁性体33の変位とセンサ25の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図15のように表される。
【0090】
図15は、軟磁性体33の変位とセンサ25の検出する磁束密度との関係を表すグラフ図である。
【0091】
図15に示すように、軟磁性体33の変位とセンサ25の検出する磁束密度との関係は、変位が0の付近でリニアな特性となる。
【0092】
センサ25は、上記したように、軟磁性体33の変位に応じた磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じて信号を出力する。制御回路は、センサ25の出力電圧を監視し、出力電圧によって軟磁性体33の変位を算出し、算出した変位に応じた電流値をコイル7に流す。制御回路は、例えば、軟磁性体33の変位を0にするように電流をコイル7に流してもよいし、軟磁性体33の変位を定数倍にするようにしてもよい。
【0093】
(第7の実施の形態の効果)
上記した第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、検出した変位に基づいて変位を抑制又は増幅する等の制御ができる。
【0094】
[第8の実施の形態]
図14は、第8の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0095】
第8の実施の形態は、第7の実施の形態のコイル及び磁石の数及び配置を変更したものである。なお、測定対象5及びバネ6の図示を省略しているが、軟磁性体35を含む支持体36の変位方向Ddzをz方向とするように接続されるものとする。
【0096】
変位検出装置15は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ26と、変位方向Ddzに変位する軟磁性体35と、着磁方向Dmに着磁された平板状の磁石42a及び2つのリング状の磁石42bとを有する。なお、
図14の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0097】
支持体36の柱部36aは、リング状の磁石42bの中心を貫通するように設けられ、その外周部にコイル7を有する。
【0098】
センサ26は、図示しない制御回路に接続され、制御回路はセンサ26の出力電圧を監視する。また、コイル7は制御回路に接続され、制御回路はセンサ26の出力電圧に基づき、コイル7に流す電流を制御する。
【0099】
(変位検出装置の動作)
次に、第8の実施の形態の作用を、
図14及び
図15を用いて説明する。
【0100】
平常状態においてセンサ26と軟磁性体35とは、z方向の厚み中心が最も接近する。この状態においてセンサ26の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=0である。
【0101】
次に、z方向に変位量が増加するに従ってセンサ26の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの負の方向の磁束密度Bzが増加する。また、負の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Bzが増加する。これらの軟磁性体35の変位とセンサ26の検出する磁束密度との関係は、
図15のグラフの正負を反転したものとなる。
【0102】
センサ26は、上記したように、軟磁性体35の変位に応じた磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じて信号を出力する。制御回路は、センサ26の出力電圧を監視し、出力電圧によって軟磁性体35の変位を算出し、算出した変位に応じた電流値をコイル7に流す。制御回路は、例えば、軟磁性体35の変位を0にするように電流をコイル7に流してもよいし、軟磁性体35の変位を定数倍にするようにしてもよい。
【0103】
(第8の実施の形態の効果)
上記した第8の実施の形態によれば、第7の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0104】
[第9の実施の形態]
図16Aは、第9の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す正面図である。
図16Bは、第9の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0105】
第9の実施の形態は、第2の実施の形態の変位検出装置10を応用し、測定対象を羽根型の測定対象52としたものである。
【0106】
変位検出装置16は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ27と、変位方向Ddzに変位する軟磁性体37と、着磁方向Dmに着磁された平板状の磁石43の対とを有する。なお、
図16Aの垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とし、
図16Bではこれらの軸を変換して示している。
【0107】
測定対象52は、羽根型形状であって、気流Fを受けてz方向の浮力を得るものである。また、測定対象52は、接続部材53を介して軟磁性体37に接続されている。また、測定対象52は、図示しないバネ等によりy方向に弾性指示されている。
【0108】
(変位検出装置の動作)
次に、第9の実施の形態の作用を、
図16を用いて説明する。
【0109】
測定対象52は、気流Fを受けるとy方向の浮力を得て、当該浮力により軟磁性体37は変位方向Ddyに変位する。軟磁性体37が変位したことによって変化した磁束密度は、センサ27により検出される。なお、検出方法は第2の実施の形態と同様である。
【0110】
(第9の実施の形態の効果)
上記した第9の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、検出した磁束密度から測定対象52の変位及び気流Fの流量を測定することができる。
【0111】
[第10の実施の形態]
図18Aは、第10の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
図18Bは、第10の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す正面図である。
図18Cは、第10の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す一部断面図である。
【0112】
第10の実施の形態は、軟磁性体の形状がくぼみ部を有する円柱状となっている点、磁石の形状がリング状となっている点で第1の実施の形態と異なる。なお、図示しない測定対象5は、軟磁性体38の変位方向をDdy、つまりy方向とするように接続されるものとする。
【0113】
変位検出装置17は、磁束密度の変化を検出方向Dsyで検出するセンサ28と、くぼみ部380を有し測定対称5に接続されて変位方向Ddyに変位する円柱形状の軟磁性体38と、着磁方向Dmに着磁されたリング状の磁石44とを有する。なお、くぼみ部380は、軟磁性体38の全周に渡って形成することで、軟磁性体38が軸を中心に回転したとしても後述する磁束fに変化を及ぼさないようにすることができる。リング状の磁石44の外縁には磁束密度の増強及び経年耐性強化のための軟磁性体が設けられる。
【0115】
なお、軟磁性体38及び磁石44はxy平面を中心として対称に形成されており、センサ28はxy平面上にその中心を合わせて配置されている。
【0116】
(変位検出装置の動作)
次に、第10の実施の形態の作用を、
図18を用いて説明する。
【0117】
平常状態においてセンサ28と軟磁性体38とは、これらのxy平面における中心が互いに最も接近する。磁束fは磁石44の内壁から軟磁性体38のくぼみ部380の表面に垂直に向かうように形成されるため、この状態においてセンサ28の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsyの磁束密度は、By=0である。
【0118】
次に、y方向に変位量が増加するに従ってセンサ28の検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsyの磁束密度Byが負の方向に増加する。また、軟磁性体38がy方向の負の方向に変位した場合には変位量が増加するに従って磁束密度Byが正の方向に増加する。これらの軟磁性体38の変位とセンサ28の検出する磁束密度との関係は、
図12と同様に表される。
【0119】
(第10の実施の形態の効果)
上記した第10の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0120】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0121】
上記した第1〜第9の実施の形態のセンサ、軟磁性体、磁石の組み合わせは例示であって、位置検出の機能が損なわれず、本発明の要旨を変更しない範囲内で、これらをそれぞれ適宜選択して新たな組み合わせに変更して用いてもよい。また、軟磁性体は以下に示す形状のものを用いてもよい。
【0123】
図17Aに示すように、軟磁性体38aは奥行き方向に軸を有する円柱形状であって、変位方向Ddxは円柱の軸に垂直な方向である。軟磁性体38aを用いた場合、x方向及び/又はz方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。
【0124】
図17Bに示すように、軟磁性体38bは、垂直方向に軸を有する円柱形状であって、変位方向Ddx及びDdyは円柱の軸に垂直な方向である。軟磁性体38bを用いた場合、x方向及び/又はy方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。
【0125】
図17Cに示すように、軟磁性体38cは、断面をxy平面に垂直にした半球形状であって、変位方向Ddx及びDdyは断面の法線に垂直な方向である。軟磁性体38cを用いた場合、x方向、y方向及び/又はz方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。