特許第6218992号(P6218992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6218992
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20171016BHJP
   A61B 1/005 20060101ALI20171016BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   A61B1/00 612
   A61B1/005 523
   A61B1/005 511
   A61B1/005 513
   G02B23/24 A
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-521012(P2017-521012)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2016076834
(87)【国際公開番号】WO2017073187
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2017年4月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-212020(P2015-212020)
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康弘
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/072233(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/084135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇管を有する長軸方向に延設された管体と、
前記管体の基端側に配置される駆動源と、
前記管体の先端側に配置される被駆動部材と、
前記管体内に、該管体の長軸に沿って延出するように設けられ、前記駆動源の駆動力によって延出軸周りに回転駆動されて該回転を前記被駆動部材に伝達する伝達部材と、
を具備し、
前記管体の長軸周りの捻り耐性を、前記駆動源の出力部から前記被駆動部材の入力部までに至る前記伝達部材の前記延出軸周りの捻り耐性より高く設定した
ことを特徴とする挿入装置。
【請求項2】
前記被駆動部材は、前記長軸周りに回転される部材であることを特徴とする請求項1に記載された挿入装置。
【請求項3】
前記被駆動部材は、前記管体の先端近傍に取り付けられている外付け装置を前記長軸周りに回転させることを特徴とする、請求項2に記載された挿入装置。
【請求項4】
前記被駆動部材は、前記管体の先端側に設けられた湾曲部を湾曲動作させることを特徴とする、請求項2に記載された挿入装置。
【請求項5】
前記駆動源は、前記管体の基端側に設けられた筐体内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載された挿入装置。
【請求項6】
前記伝達部材は、前記長軸周りに螺旋状に巻回されたコイルであることを特徴とする、請求項1に記載された挿入装置。
【請求項7】
前記コイルは、多層コイルとして形成されていることを特徴とする、請求項6に記載された挿入装置。
【請求項8】
前記多層コイルは、巻回方向が異なる少なくとも二つのコイル層を有することを特徴とする、請求項7に記載された挿入装置。
【請求項9】
前記駆動源と伝達部材とは、減速歯車機構によって連結されていることを特徴とする、請求項1に記載された挿入装置。
【請求項10】
前記駆動源と伝達部材とは、長軸方向に沿って相対移動可能に連結されており、該相対移動量は、前記伝達部材が回転することにより生じる長軸方向の緩み量より大きく設定されていることを特徴とする、請求項1に記載された挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管内に配置された駆動源および被駆動部材と、該可撓管内に長軸に沿って設けられて該駆動源の回転駆動力を被駆動部材に伝達する伝達部材と、を有する挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療分野および工業用分野等において利用されている。
医療用の内視鏡は、挿入部を被検部である体内に挿入することによって観察、検査、あるいは処置等を行える。
【0003】
内視鏡は、一般に、挿入部と、操作部と、ユニバーサルコードと、を有している。挿入部に可撓管部を有する構成において、該挿入部は、経肛門的、経口的、または経鼻的に消化器消化管へ挿入される。
【0004】
特許4965002号公報には、体内等に挿入される細長の挿入部と、この挿入部の基端に設けられた操作部と、この操作部の側部から延出されるユニバーサルコードと、を有する電子内視鏡が示されている。
【0005】
この電子内視鏡の挿入部の可撓管部およびユニバーサルコードは、それぞれ可撓性を有する蛇管を備えて構成されており、例えば、ユニバーサルコードを構成する蛇管は、外皮と、網管と、螺旋管と、を積層した層状管部材であり、先端から基端に至る貫通孔を有している。そして、螺旋管は、導電性を有する帯状の金属製薄板を螺旋状に巻回して得られる。網管は、導電性を有する金属細線を網目状に網組した導電性管状金網であって螺旋管を覆い包む。螺旋管と網管とは導電性管部材を構成する。外皮は、可撓性および絶縁性を有する樹脂部材である。外皮は、網管を被覆している。
なお、可撓管部を構成する蛇管の構成は、ユニバーサルコードの蛇管の構成と略同様であって、外径寸法、長さ寸法等が異なる場合がある。
【0006】
上述した構成の可撓管部を有する挿入部を例えば腸管内へ挿入する際、術者は、操作部に設けられた湾曲操作ノブを操作して湾曲部を湾曲させつつ、体外に位置する挿入部を捻り操作、あるいは、送り操作を行って腸管深部に向けて挿入させていく。
【0007】
しかし、湾曲操作ノブを操作する際、術者の手指に大きな負荷がかかる。また、挿入部を深部に向けてスムーズに挿入させる技術である捻り操作、あるいは、送り操作は、熟練を要する。
【0008】
このため、内視鏡においては、術者の手指にかかる負荷を軽減するための電動湾曲機構、あるいは、挿入部を深部に向けて進退させるための挿入補助機構、等の電動機構部が周知である。
【0009】
特許5458224号公報には本願の管体に対応する挿入部の先端側に設けられる本願の外付け装置に対応する生体内導入装置が示されている。
この生体内導入装置は、螺旋状に巻き付くように推進部位(または後退部位)として機能するフィンが形成され、挿入部の外皮上に間隙を空けて、長手軸を中心に軸回りに回転して、導入推進として機能するスパイラルチューブが設けられている。
【0010】
スパイラルチューブは、回転駆動部により回転可能である。回転駆動部は、操作部に駆動源となるモーターが配置され、回転軸には柔軟に曲がる本願の伝達部材に対応するコイルシャフトの一端が連結される。モーターの回転力は、柔軟に曲がるコイルシャフトにより伝達されて駆動歯車を回転させる。
【0011】
モーターの回転力は、本願の被駆動部材であるスパイラルチューブの回転に利用され、フィンが管腔を手繰り寄せて圧縮していくことにより挿入部を前進させる。スパイラルチューブは、湾曲部の湾曲に従う柔軟性を有する材料(例えば、ゴム材料や樹脂材料)または構造等を有している。
【0012】
特開2014−223293号公報には駆動部の回転駆動力をトルクワイヤによって伝達して機能部を動作させる導入装置が示されており、湾曲機能を電動で湾曲動作させる電動駆動機構についても具体的に示されている。
この電動湾曲機構は、主に、本願の駆動源であるモーターと、トルクワイヤである本願の伝達部材である駆動シャフトと、本願の被駆動部材であるプーリーと、を備えて構成されている。
【0013】
モーターは、湾曲部を湾曲動作させるための回転駆動力を発生する。そして、モーターは、駆動ケーブルの第1接続部内に設けられている。
駆動シャフトは、モーターの駆動力をプーリーに伝達する。駆動シャフトは、保護チューブによって覆われた状態でユニバーサルコード内に長軸に沿って挿通されている。
プーリーは、回転されて上湾曲ワイヤ、下湾曲ワイヤを牽引弛緩することによって湾曲部を上湾曲あるいは下湾曲させる。プーリーは、操作部内に設けられている。
【0014】
文献3においては、第1接続部を駆動ケーブル接続部に連結することによって出力用連結部の出力側ケース体が入力用連結部のケース本体に設けられた連結凸部に装着された状態において、筒状部材の駆動力伝達部内にピン部材が係入配置されて、モーターの回転駆動力をプーリーに伝達可能な連結状態になる。
【0015】
この連結状態において、モーターのモーター軸141aが回転されることによってピン部材が回転される。すると、第1回転入力軸が回転されて第1傘歯車が回転する。第1傘歯車の回転に伴って第2傘歯車が回転して第2回転入力軸が回転する。第2回転入力軸が回転することによって駆動シャフトが回転し、駆動シャフトの回転駆動力が駆動力受け部を介してプーリーに伝達される。この結果、プーリーが回転されて例えば上ワイヤが牽引されて湾曲部が上方向に湾曲する。
【0016】
そして、特許5458224号公報の湾曲部の湾曲に従う柔軟性を有するスパイラルチューブが設けられる挿入部では、深部へのスムーズな挿入性を向上させる目的で該挿入部を構成する可撓管部の柔軟性の向上が図られている。また、特開2014−223293号公報の駆動シャフトが挿通されるユニバーサルコードにおいては、該ユニバーサルコードの柔軟性を高めて該駆動シャフトが挿通されることによって操作部の取り回しが難しくなることを防止するようにしている。
しかしながら、可撓管部およびユニバーサルコードに柔軟性を持たせるために蛇管の可撓性を高めた場合、蛇管に以下に示すような不具合が発生するおそれがある。具体的に、特許5458224号公報において、モーターの回転力は、スパイラルチューブを回転させるため利用される。そして、回転力は、コイルシャフトの回転によって伝達され、スパイラルチューブはコイルシャフトによって回転力が伝達されている状態において長手軸周りに回転する。
【0017】
このとき、コイルシャフトに捻り力が加わる一方、回転されているスパイラルチューブから蛇管に捻り力が加わる。
このため、挿入部のスムーズな挿入性を図るために柔軟性が高く設定された蛇管は、捻り力によって、コイルシャフトよりも先に破損するおそれがある。
【0018】
これに対して、特開2014−223293号公報において、モーターの駆動力は、湾曲ワイヤを牽引するために利用される。そして、モーターの駆動力は、出力用連結部の出力側ケース体が入力用連結部のケース本体に設けられた連結凸部に装着された連結状態において、プーリーに伝達可能な状態になる。
【0019】
このため、駆動シャフトが回転されている状態において、該駆動シャフトに捻り力が加わる一方、当該駆動シャフトを回転させる入力側ケース体に設けられた接続コネクタに固設されたユニバーサルコードにも捻り力が加わる。
ここで、操作部の取り回しを容易にする目的で柔軟性を高く設定された蛇管は、捻り力によって、コイルシャフトよりも先に破損するおそれがある。
【0020】
そして、可撓管の蛇管、あるいは、ユニバーサルコードの蛇管が破損した場合、コイルシャフトが破損した場合に比べて内視鏡の修理が煩雑であり、かつ、高額になる。
【0021】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、電動機構部が有する機能を損なうことなく、該電動機構部が備える回転駆動源の回転力を被駆動部材に伝達する伝達部材より先に該回転駆動源あるいは該被駆動部材が配置されて蛇管を有する管体が当該回転駆動源からの捻り力あるいは当該被駆動部材からの捻り力によって破損されることを防止する挿入装置を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様における挿入装置は、蛇管を有する長軸方向に延設された管体と、前記管体の基端側に配置される駆動源と、前記管体の先端側に配置される被駆動部材と、前記管体内に、該管体の長軸に沿って延出するように設けられ、前記駆動源の駆動力によって延出軸周りに回転駆動されて該回転を前記被駆動部材に伝達する伝達部材と、を具備し、前記管体の長軸周りの捻り耐性を、前記駆動源の出力部から前記被駆動部材の入力部までに至る前記伝達部材の前記延出軸周りの捻り耐性より高く設定してある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係り、挿入装置の一例であって挿入補助機構を備えた内視鏡を含む内視鏡システムを説明する図
図2】第1実施形態の回転ユニットに回転駆動力を伝達する構成を説明する図
図3】第1実施形態の湾曲部、可撓管部、回転ユニットの構成例を説明する図
図4】第1実施形態の可撓管部、ベース部、回転ユニットを説明する図
図5図4のY5−Y5線断面図
図6】第1実施形態の可撓管の構成例を説明する図
図7】第2実施形態に係り、挿入装置の他の例であって電動湾曲機構を備えた内視鏡を含む内視鏡システムを説明する図
図8】第2実施形態のプーリーに回転駆動力を伝達する構成を説明する図
図9】第2実施形態のユニバーサルコードの構成例を説明する図
図10】第2実施形態のユニバーサルコードとコネクタ本体との固定構造を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図において、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。即ち、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0025】
図1図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態において挿入機器は、図1に示す内視鏡2である。内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡外部装置である周辺ユニット10と、を具備して主要部が構成されている。
本実施形態の内視鏡2は、例えば体内に挿入される挿入部3を有し、挿入部3には電動機構部である後述する挿入補助機構となる回転ユニット30が設けられている。
内視鏡2は、長軸である長手軸Cに沿って延設される挿入部3と、挿入部3より基端方向側に設けられた操作部5と、を備える。
【0026】
挿入部3は、蛇管であって管体である可撓管部4を有している。可撓管部4の基端部は、操作部5に接続されている。可撓管部4は、中心軸側から順に螺旋管4aと、網状管4bと、外皮4cと、を積層した層状管部材であり、予め定めた可撓性を備えている。符号4hは、可撓管部4の先端から基端に至る貫通孔である。
【0027】
螺旋管4aは、帯状の例えば金属製の薄板を螺旋状に巻回して形成されている。網状管4bは、例えば金属細線を網目状に網組した管状金網である。網状管4bは、螺旋管4aを覆い包む。外皮4cは、可撓性および絶縁性を有する樹脂部材である。外皮4cは、螺旋管4aと網状管4bとが一体な管状の網状管4bを被覆する。
【0028】
操作部5には、ユニバーサルコード6の一端が接続されている。ユニバーサルコード6は蛇管であって、中心軸側から順に螺旋管6a、網管6b、および外皮6cを積層した層状管部材であり、予め定めた可撓性を備えている。符号6hは、ユニバーサルコード6の先端から基端に至る貫通孔である。
【0029】
螺旋管6a、網管6b、および外皮6cは、螺旋管4a、網状管4b、および外皮4cと略同様に構成されており、外径寸法、長さ寸法、および可撓性が適宜設定されている。本実施形態においては、操作部5の取り回しを考慮して可撓性が設定してある。
【0030】
ユニバーサルコード6の他端は、周辺ユニット(peripheral unit)10に接続されている。周辺ユニット10は、画像処理部11、光源部12、駆動制御部13、駆動操作入力部15、および表示部16等、を備える。
【0031】
挿入部3は、挿入部3の先端を形成する先端硬性部(distal rigid section)21と、先端硬性部21より基端方向側に設けられる湾曲部(bending section)22と、湾曲部22より基端方向側に設けられる可撓管部4を構成する第1の可撓管部(first flexible tube section)23、第1の可撓管部23より基端方向側に設けられる第2の可撓管部(second flexible tube section)25、および第2の可撓管部25より基端方向側に設けられる第3の可撓管部(third flexible tube section)26を備える。
【0032】
長手軸Cに平行な軸平行方向について第2の可撓管部25と第3の可撓管部26との間には、ベース部27が設けられている。第2の可撓管部25は、ベース部27を介して第3の可撓管部26に連結されている。本実施形態において、可撓管部4は、先端側から順に第1の可撓管部23、第2の可撓管部25、ベース部27、および、第3の可撓管部26を備えている。
【0033】
長手軸Cに平行な軸平行方向についての第1の可撓管部23の第1の軸平行寸法L1は、軸平行方向についての第2の可撓管部25の第2の軸平行寸法L2より小さくてる。また、軸平行方向についての第2の可撓管部25の第2の軸平行寸法L2は、軸平行方向についての第3の可撓管部26の第3の軸平行寸法L3より、小さくなる。さらに、軸平行方向についてのベース部27の第4の軸平行寸法L4は、第1の軸平行寸法L1より小さくなる。
【0034】
ここで、長手軸Cに垂直な断面において、長手軸Cから離れる方向を外周方向(離軸方向)とし、長手軸Cに向かう方向を内周方向(向軸方向)とする。
挿入部3の外周方向側には、筒状の回転ユニット30が設けられている。回転ユニット30は、外付け装置であって、挿入部3を挿通した状態で、該挿入部3の外周面側に装着されている。
【0035】
挿入部3に装着された回転ユニット30は、後述するように回転駆動力が伝達されることにより、挿入部3に対して長手軸Cを中心にして軸回りに回転する。
回転ユニット30は、長手軸Cに沿って延設されるスパイラルチューブ31を備える。
【0036】

スパイラルチューブ31は、コルゲートチューブ部32と、フィン部33と、を備える。
フィン部33は、コルゲートチューブ部32の外周面に設けられ、コルゲートチューブ部32の基端方向から先端方向へ長手軸Cを中心にして螺旋状に延設されている。
【0037】
スパイラルチューブ31の先端方向側には、先端側筒状部35が設けられている。先端側筒状部35は、先端方向側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパ状に形成されている。これに対して、スパイラルチューブ31の基端方向側には、筒状の基端側筒状部36が設けられている。
【0038】
回転ユニット30は、フィン部33が管腔壁(lumen wall)等によって内周方向に押圧された状態で、スパイラルチューブ31が長手軸Cを中心に回転することにより、先端方向または基端方向への推進力を挿入部3に付与する。
【0039】
挿入部3は、先端方向への推進力によって、小腸の内部、大腸の内部等の管腔内において挿入部挿入方向(先端方向)である深部へ向かっての移動性が向上し、基端方向への推進力によって挿入部抜去方向(基端方向)である外部へ向かっての移動性が向上する。
【0040】
操作部5の外表面には、湾曲部22を湾曲動作させるための湾曲操作ノブ37が設けられている。湾曲部22は、湾曲操作ノブ37の操作により、湾曲ワイヤ(図5の符号38A,38B参照)が牽引されて湾曲する。
本実施形態において湾曲部22は、湾曲操作によって湾曲する能動湾曲部のみから構成されている。
【0041】
なお、湾曲ワイヤ38A,38Bは、コイル(図5の符号39A,39B参照)に挿通された状態で、長手軸Cに沿って延設されている。湾曲ワイヤ38A,38Bの先端は、湾曲部22の先端部に接続され、基端は湾曲操作ノブ37に連結されるプーリー(不図示)に接続されている。
一方、コイル39A,39Bの先端は、第1の可撓管部23の先端部の内周面に接続され、基端は操作部5の内部まで延設されている。
【0042】
本実施形態においては、2本の湾曲ワイヤ38A,38Bが設けられ、湾曲部22は2方向に湾曲可能である。しかし、湾曲ワイヤを例えば4本設けて湾曲部22を4方向に湾曲可能な構成にしてもよい。
【0043】
挿入部3の内部には、図3乃至図5に示すように撮像ケーブル41、ライトガイド42、および、チャンネルチューブ43が、長手軸Cに沿って延設されている。
挿入部3の先端部を構成する先端硬性部21の内部には、被写体を撮像する撮像素子(不図示)が設けられている。撮像素子は、観察窓46を通して、被写体の撮像を行う。
【0044】
撮像ケーブル41の一端は、撮像素子に接続されている。撮像ケーブル41は、挿入部3の内部、操作部5の内部、および、ユニバーサルコード6の内部を通って延設されている。撮像ケーブル41の他端は、周辺ユニット10の画像処理部11に接続されている。画像処理部11では撮像された被写体像の画像処理を行って、被写体の内視鏡画像を生成する。生成された被写体の内視鏡画像は、表示部16に表示される。
【0045】
ライトガイド42は、周辺ユニット10の光源部12に接続されている。ライトガイド42は、ユニバーサルコード6の内部、操作部5の内部、および、挿入部3の内部、を通って延設されている。光源部12から出射された照明光は、ライトガイド42によって導光され、先端硬性部21に設けられた照明窓47から被写体に向けて照射される。
【0046】
図1の符号48は、処置具挿入部である。処置具挿入部48は、鉗子等の処置具が挿入される挿入口を有し、操作部5の外表面に設けられている。図3図5に示すチャンネルチューブ43は、一端が処置具挿入部48に接続され、操作部5の内部、挿入部3の内部を通って延設されている。処置具挿入部48から挿入された処置具は、チャンネルチューブ43の内部を通って、先端硬性部21に形成された開口部49から外部に向かって導出される。
【0047】
図4に示すようにベース部27には、金属から形成される支持部材51が設けられている。支持部材51の先端部には、第2の可撓管部25の基端部が連結され、支持部材51の基端部には接続部材90を介して第3の可撓管部26の先端部が連結されている。これにより、第2の可撓管部25と第3の可撓管部26とが、ベース部27を介して接続される。
【0048】
図4および図5に示すようにベース部27では、支持部材51によって空洞部52が規定されている。また、支持部材51には、被駆動部材である駆動力伝達ユニット53が取付けられている。駆動力伝達ユニット53は、空洞部52に配置されている。
【0049】
駆動力伝達ユニット53は、回転ユニット30を回転させる回転駆動力が伝達されることにより、駆動される。駆動力伝達ユニット53は、駆動歯車55を備える。
駆動力伝達ユニット53は、回転筒状部材58を備える。回転筒状部材58は、支持部材51が回転筒状部材58に挿通された状態で、ベース部27に回転可能に係止されている。回転筒状部材58は、挿入部3(ベース部27)に対して長手軸Cを中心として回転可能である。
【0050】
ここで、回転ユニット30が回転する2方向を長手軸回り方向とする。
回転筒状部材58の内周面には、長手軸回り方向の全周に渡って内周歯車部59が設けられている。内周歯車部59には駆動歯車55が噛合している。
【0051】
本実施形態において、回転筒状部材58には三つの内側ローラ61A,61B,61Cが取付けられている。内側ローラ61A,61B,61Cは、長手軸回り方向に対して略等間隔に離れた状態で、配置されている。それぞれの内側ローラ61A,6B,61Cは、対応するローラ軸Q1,Q2,Q3を有する。
【0052】
それぞれの内側ローラ61A,61B,61Cは、対応するローラ軸Q1,Q2,Q3を中心にして、回転筒状部材58に対して回転可能である。また、内側ローラ61A,61B,61Cは、回転筒状部材58と一体に、挿入部3(ベース部27)に対して、長手軸Cを中心として回転可能である。
【0053】
回転筒状部材58および内側ローラ61A,61B,61Cの外周方向側には、筒状のカバー部材62が被覆されている。カバー部材62の先端は、接着剤等の接着部63Aを介して支持部材51の外周面に固定され、カバー部材62の基端は接着剤等の接着部63Bを介して支持部材51の外周面に固定されている。
【0054】
カバー部材62によって、駆動力伝達ユニット53が配置される空洞部52が、挿入部3の外部から仕切られる。カバー部材62の先端の固定位置およびカバー部材62の基端の固定位置では、支持部材51とカバー部材62との間が液密に保たれている。
【0055】
これにより、空洞部52および駆動力伝達ユニット53への挿入部3の外部からの液体の流入が防止される。また、長手軸回り方向について内側ローラ61A,61B,61Cが位置する部位では、カバー部材62は外周方向に向かって突出している。
【0056】
なお、カバー部材62は、挿入部3に対して固定されており、回転筒状部材58および内側ローラ61A,61B,61Cは、カバー部材62に対して長手軸回り方向に回転可能である。
【0057】
図5に示すように、基端側筒状部36の内周面には、六つの外側ローラ65A,65B,65C,65D,65E,65F(以下、外側ローラ65A〜65Fとも記載する)が取付けられている。これら外側ローラ65A〜65Fは、カバー部材62の外周方向側に位置している。
【0058】
挿入部3に回転ユニット30が装着された状態では、長手軸回り方向について外側ローラ65Aと外側ローラ65Bとの間に内側ローラ61Aが位置し、長手軸回り方向について外側ローラ65Cと外側ローラ65Dとの間に内側ローラ61Bが位置している。また、長手軸回り方向について外側ローラ65Eと外側ローラ65Fとの間に内側ローラ61Cが位置している。
【0059】
それぞれの外側ローラ65A〜65Fは、対応するローラ軸P1,P2,P3,P4,P5,P6(以下、ローラ軸P1〜P6とも記載する)を有する。それぞれの外側ローラ65A〜65Fは、対応するローラ軸P1〜P6を中心として、カバー部材62および基端側筒状部36に対して回転可能である。また、外側ローラ65A〜65Fは、回転ユニット30と一体に、挿入部3(ベース部27)に対して、長手軸Cを中心として回転可能である。
【0060】
回転駆動力によって駆動力伝達ユニット53が駆動されることにより、回転筒状部材58が長手軸Cを中心として回転する。これにより、内側ローラ61Aが外側ローラ65Aまたは外側ローラ65Bを押圧する。
【0061】
同様に、内側ローラ61Bが外側ローラ65Cまたは外側ローラ65Dを押圧し、内側ローラ61Cが外側ローラ65Eまたは外側ローラ65Fを押圧する。これにより、駆動力が内側ローラ61A,61B,61Cから回転ユニット30の外側ローラ65A〜65Fに伝達され、回転ユニット30が挿入部3およびカバー部材62に対して長手軸Cを中心として回転する。
【0062】
上述のように基端側筒状部36に取付けられる外側ローラ65A〜65Fは、駆動された駆動力伝達ユニット53から回転駆動力を受ける駆動力受け部となる。駆動力受け部である外側ローラ65A〜65Fは、スパイラルチューブ31より基端方向側に設けられている。また、挿入部3に回転ユニット30が装着された状態において、外側ローラ65A〜65Fは、ベース部27の外周方向側に位置している。
【0063】
なお、それぞれの内側ローラ61A,61B,61Cは、対応するローラ軸Q1,Q2,Q3を中心として回転する。このため、それぞれの内側ローラ61A,61B,61Cとカバー部材62との間の摩擦は小さくなる。
また、同様に、それぞれの外側ローラ65A〜65Fは、対応するローラ軸P1〜P6を中心として回転する。このため、それぞれの外側ローラ65A〜65Fとカバー部材62との間の摩擦も小さくなる。
【0064】
これらのことによって、内側ローラ61A,61B,61Cから回転ユニット30に回転駆動力が適切に伝達され、回転ユニット30が適切に回転する。
【0065】
基端側筒状部36には、内周方向に向かって突出する係止爪67が設けられている。また、ベース部27の支持部材51には、係止溝68が長手軸回り方向について全周に渡って設けられている。回転ユニット30は、係止爪67を係止溝68に係止することにより、挿入部3の長手軸Cに沿った移動が規制されるようになっている。
なお、相対移動量は、後述する駆動シャフト79が回転することにより生じる長軸方向の緩み量より大きく設定してある。
【0066】
ただし、係止爪67が係止溝68に係止された状態において、係止爪67は係止溝68に対して長手軸回り方向に移動可能である。
【0067】
図1および図2に示すように、操作部5にはモーターハウジング71が固設されている。モーターハウジング71の内部には、駆動源であるモーター72が収容され該ハウジング71に一体に固定されている。モーター72には、モーターケーブル73の一端が接続され、他端は周辺ユニット10の駆動制御部13に接続されている。そして、モーターケーブル73は、操作部5の内部、および、ユニバーサルコード6の内部を通って延設されている。
モーター72は、駆動制御部13からモーターケーブル73を介して電力が供給されることにより、モーター72の軸部72aが時計回り、または、反時計回りに駆動される。モーター72が駆動されることにより、回転ユニット30を回転させるための回転駆動力が発生する。
【0068】
モーター72の軸部72aには、出力部である中継歯車75が取付けられている。また、操作部5の内部には、中継歯車75と噛合う駆動歯車76が設けられている。中継歯車75と駆動歯車76とは減速歯車機構を構成している。
【0069】
図2および図4に示すように挿入部3の第3の可撓管部26の内部には、軸方向の貫通孔を有するガイドチューブ77が長手軸Cに沿って延設されている。ガイドチューブ77の先端は、ベース部27の支持部材51に接続されている。ガイドチャンネル78の先端側は、空洞部52に連通している。ガイドチューブ77は、保護部材であって、軸方向の貫通孔は、ガイドチャンネル78として形成されている。
【0070】
ガイドチャンネル78内には伝達部材である駆動シャフト79が挿通配置されている。駆動シャフト79のシャフト軸Sは、長手軸Cに沿って延設されている。駆動シャフト79は、フレキシブルシャフト、多条多層コイルであるトルクコイル、トルクワイヤ等であり、本実施形態において駆動シャフト79は、例えば二つのコイル層を有する多条多層コイルであり、特殊硬鋼線、あるいは、バネ用ステンレス鋼線をシャフト軸S周りに螺旋状に右巻、左巻と交互に巻回して層状に形成されている。
【0071】
そして、駆動シャフト79は、予め選択された線経の線材で形成され、巻方向に回転させたとき予め定めた捩れ特性を備えるように捻り耐性(捻り剛性ともいう)が設定されている。
【0072】
モーター72の回転駆動力は、中継歯車75および駆動歯車76を介して、駆動シャフト79に伝達される。駆動シャフト79は、該駆動シャフト79に回転駆動力が伝達されることによってシャフト軸Sを中心に軸回りに回転する。
【0073】
駆動シャフト79の先端は、入力部である駆動力伝達ユニット53の駆動歯車55に接続されている。駆動シャフト79の軸回りの回転は、駆動力伝達ユニット53に伝達され、駆動力伝達ユニット53が駆動される。そして、駆動力伝達ユニット53に伝達された回転駆動力は、回転筒状部材58に伝達され、この結果、上述したように回転駆動力が伝達されて回転ユニット30が回転する。
【0074】
図1図3、および図4に示すように本実施形態において第1の可撓管部23および第2の可撓管部25は、第1の螺旋管4a1と、第1の可撓網状管4b1と、第1の可撓外皮4c1とで形成されている。第1の螺旋管4a1、第1の可撓網状管4b1および第1の可撓外皮4c1は、第1の可撓管部23の先端から第2の可撓管部25の基端まで、長手軸Cに沿って延設されている。
【0075】
図3に示すように、湾曲部22は、湾曲管81を備える。湾曲管81は、金属製の複数の湾曲駒(bending pieces)82を備える。それぞれの湾曲駒82は、隣接する湾曲駒82に対して回動可能に連結されている。湾曲部22では、湾曲管81の外周方向側に湾曲ブレード(bending blade)である湾曲網状管(bending reticular tube)83が被覆されている。湾曲網状管83では、金属製の素線(図示しない)が網状に編み込まれている。また、湾曲部22では、湾曲網状管83の外周方向側に、湾曲外皮(bending envelope)85が被覆されている。湾曲外皮85は、例えばフッ素ゴムから形成されている。
【0076】
湾曲管81の基端部は、筒状の接続管84に嵌合している。第1の螺旋管4a1および第1の可撓網状管4b1は、接続管84の内周方向側に挿入された状態で、接続管84と嵌合している。また、第1の可撓外皮4c1は、接着剤等の接着部86を介して、湾曲外皮85に接着されている。上述のようにして、第1の可撓管部23と湾曲部22との間が連結されている。
【0077】
図4図5に示すように第1の螺旋管4a1、第1の可撓網状管4b1および第1の可撓外皮4c1は、支持部材51の内周方向側に挿入された状態で、支持部材51と嵌合している。これにより、第2の可撓管部25がベース部27に連結される。また、本実施形態では、第1の螺旋管4a1、第1の可撓網状管4b1および第1の可撓外皮4c1は、第1の可撓管部23と第2の可撓管部25との間において連続する状態で、延設されている。
【0078】
図6に示すように第1の螺旋管4a1は、金属製の帯状部材95を備え、帯状部材95は長手軸Cを中心とする螺旋状に巻回されて延設されている。第1の可撓網状管4b1は、金属製の素線96を備え、素線96が編み込まれている。第1の可撓外皮4c1は、樹脂材料から形成されている。
【0079】
図4に示す第3の可撓管部26は、図6に示す第2の螺旋管4a2と、第2の可撓網状管4b2と、第2の可撓外皮4c2とで形成されている。第2の螺旋管4a2、第2の可撓網状管4b2および第2の可撓外皮4c2は、第3の可撓管部26の先端から第3の可撓管部26の基端まで、長手軸Cに沿って延設されている。
【0080】
支持部材51の基端部は、接続部材90と嵌合している。第2の螺旋管4a2および第2の可撓網状管4b2は、接続部材904の内周方向側に挿入された状態で、接続部材90と嵌合している。これにより、第3の可撓管部26がベース部27に連結される。
【0081】
図6に示すように第2の螺旋管4a2では、金属製の帯状部材97が、長手軸Cを中心とする螺旋状に巻回されて延設されている。第2の可撓網状管4b2では、金属製の素線98が編み込まれている。第2の可撓外皮4c2は、樹脂材料から形成されている。
なお、この図6において第1の可撓管部23および第2の可撓管部25に関連する構成はカッコなしの参照符号で示し、第3の可撓管部26に関連する構成はカッコ内の参照符号で示している。
【0082】
上述したように挿入部3に装着された回転ユニット30の駆動力受け部である外側ローラ65A〜65Fは、ベース部27の外周方向側に位置している。つまり、回転ユニット30の基端がベース部27の外周方向側に配置されている。そして、ベース部27の外周方向側の部位から、回転ユニット30が先端方向に向かって延設されている。
したがって、挿入部3に装着された回転ユニット30は、第3の可撓管部26の外周方向側を被覆していない。言い換えれば、回転ユニット30を挿入部3に装着した状態において、スパイラルチューブ31は、第2の可撓管部25の外周方向側を被覆している。
【0083】
そして、回転ユニット30の先端は、長手軸Cに平行な軸平行方向について、第1の可撓管部23と第2の可撓管部25との間の領域に位置している。したがって、回転ユニット30を挿入部3に装着した状態で第1の可撓管部23の外周方向側は、回転ユニット30によって被覆されていない。
【0084】
湾曲部22には、長手軸Cに対して直交する軸に湾曲する湾曲管81が設けられ、湾曲外皮85は、可撓性が高い材料から形成されている。そして、湾曲部22は、第1の可撓管部23、第2の可撓管部25および第3の可撓管部26のいずれよりも、可撓性が高く設定してある。
【0085】
また、回転ユニット30のスパイラルチューブ31は、可撓性の高い樹脂から形成され、第1の可撓管部23、第2の可撓管部25および第3の可撓管部26のいずれよりも可撓性が高くなっている。
【0086】
なお、第1の可撓管部23、第2の可撓管部25および第3の可撓管部26は、螺旋管4a1,4a2の内径、帯状部材95,97の肉厚、螺旋管4a1,4a2の層数、可撓網状管4b1,4b2の素線96,98の径、可撓外皮4c1,4c2の肉厚、可撓管部23,25,26の外径、可撓外皮4c1,4c2を形作る樹脂の硬度、等に対応して変化する。
【0087】
具体的に、可撓管部23,25,26の可撓性は、螺旋管4a1,4a2の内径が大きくなるにつれて低くなり、帯状部材95,97の肉厚が厚くなるにつれて低くなり、螺旋管4a1,4a2の層数が多くなるにつれて低くなり、素線96,98の径が大きくなるにつれて低くなり、可撓外皮4c1,4c2の肉厚が厚くなるにつれて低くなる。そして、可撓外皮4c1,4c2を形作る樹脂の硬度を硬くすると可撓管部23,25,26の可撓性が低くなる。
【0088】
そして、回転ユニット30が挿入部3に装着されていない状態において、第1の可撓管部23は、第2の可撓管部25と同一の可撓性、あるいは、第1の可撓管部23の可撓性より高い可撓性が高くなる。本実施形態においては、例えば、第1の可撓管部23と第2の可撓管部25との間で第1の可撓外皮4c1の樹脂の硬度を変化させることにより、第1の可撓管部23が第2の可撓管部25とは異なる可撓性となる。
【0089】
なお、本実施形態では前述の実施例を含むいずれの場合においても、第2の可撓管部25にスパイラルチューブ31が被覆配置されていない状態において、第2の可撓管部25は、第1の可撓管部23と同一または第1の可撓管部23より高い可撓性を有する。
ただし、第2の可撓管部25にスパイラルチューブ31が被覆されていない状態でも、第2の可撓管部25は、スパイラルチューブ31および湾曲部22よりも可撓性が低い。
【0090】
また、スパイラルチューブ31が第2の可撓管部25の外周方向側に被覆された状態において、第2の可撓管部25部分の可撓性は、第1の可撓管部23の可撓性よりも低くなる。
ただし、スパイラルチューブ31は、第1の可撓管部23および第2の可撓管部25より可撓性が高い。第2の可撓管部25は、第1の可撓管部23と同一、または、第1の可撓管部23より高い可撓性を有する。このため、第2の可撓管部25にスパイラルチューブ31が被覆された状態でも、第2の可撓管部25の可撓性が第1の可撓管部23に対して過度に低くなることはない。
【0091】
第3の可撓管部26の可撓性は、長手軸Cに平行な軸平行方向について全長に渡って第1の可撓管部23および第2の可撓管部25の可撓性より低い。
【0092】
挿入部3の内部には、支持部材51によって規定される空洞部52までガイドチューブ77および駆動シャフト79が先端方向に向かって延設されている。すなわち、第3の可撓管部26の内部には、第1の可撓管部23の内部および第2の可撓管部25の内部には延設されないガガイドチューブ77および駆動シャフト79が延設されている。
【0093】
このため、第3の可撓管部26に内蔵される内蔵物の数が第1の可撓管部23および第2の可撓管部25に内蔵される内蔵物の数に比べて多くなる。そして、内蔵物の数が多くなることにより、第3の可撓管部26では、内部に形成される空間の長手軸Cに垂直な断面積を、第1の可撓管部23および第2の可撓管部25の垂直な断面積に比べて大きくする必要がある。
【0094】
したがって、第3の可撓管部26では第2の螺旋管4a2の内径を、第1の可撓管部23および第2の可撓管部25を構成する第1の螺旋管4a1の内径を大きくする必要があり、このため、第3の可撓管部26は、第1の可撓管部23および第2の可撓管部25より、可撓性が低くなっている。
【0095】
加えて、本実施形態において、第3の可撓管部26の捻り剛性は、ガイドチャンネル78内に配置されている駆動シャフト79の捻り剛性より高く設定してある。つまり、第3の可撓管部26は、帯状部材97の肉厚、素線の径、あるいは、可撓外皮4c2の肉厚、あるいは、樹脂硬度を適宜設定して、捻り剛性については駆動シャフト79の捻り剛性より高く設定し、可撓性については第1の可撓管部23および第2の可撓管部25より低く設定してある。
【0096】
ここで、上述のように構成した内視鏡2の作用を説明する。
術者は、挿入部3を例えば腸管内へ挿入する際、内視鏡2の操作部5を例えば左手で保持し、可撓管部4を右手で保持して該挿入部3を挿入する。この際、術者は、必要に応じて回転ユニット30のスパイラルチューブ31を回転させて例えば挿入部3を先端方向へ向けて移動させる推進力を得つつ、挿入部3を深部に挿入していく。
【0097】
術者が回転ユニット30を回転させるためにモーター72の駆動を選択すると、モーター72の軸部72aが回転を開始し、該軸部72aの回転が軸部72aに取り付けられた中継歯車75に噛み合う駆動歯車76に伝達される。すると、駆動歯車76の回転が該歯車76に接続された駆動シャフト79に伝達されて該シャフト79がシャフト軸Sを中心に軸回りに回転する。
【0098】
駆動シャフト79の軸回りの回転は、駆動歯車55が噛合する内周歯車部59を介して回転筒状部材58に伝達されて、該回転筒状部材58が回転を開始する。そして、上述したように駆動力が内側ローラ61A,61B,61Cから回転ユニット30の外側ローラ65A〜65Fに伝達され、基端側筒状部36が回転され、回転ユニット30が挿入部3およびカバー部材62に対して長手軸Cを中心に回転する。この結果、回転ユニット30から挿入部3を先端方向へ移動させる推進力を得られる。
【0099】
挿入部3を、推進力を得つつ腸管内を深部に向かって移動させているとき、回転ユニット30が装着されている第2可撓管部25は、腸管内の屈曲部、あるいは、管腔が狭くなっている狭窄部等を通過することがある。
【0100】
そして、挿入部3が腸管内の屈曲部を通過するとき、スパイラルチューブ31および第2の可撓管部25が変形することによって、第2の可撓管部25の第1の可撓外皮4c1とコルゲートチューブ部32との間の摩擦力が増大するとともに、先端側筒状部材35と第1の可撓管部23の第1の可撓外皮4c1との間の摩擦力が増大する。
一方、挿入部3が狭窄部を通過するときには、腸壁から外力によってスパイラルチューブ31が変形されて、先端側筒状部材35と第1の可撓管部23の第1の可撓外皮4c1との間の摩擦力が増大し、加えて、コルゲートチューブ部32と第2の可撓管部25の第1の可撓外皮4c1との間の摩擦力が増大することもある。
【0101】
そして、上述した摩擦力が増大していくことによってスパイラルチューブ31の回転が不可能になって推進力を得ることが困難になる。このとき、術者は、表示部16に表示されている内視鏡画像から推進力を得られていない状態であると判断した場合、モーター72の駆動を停止させる、あるいは、モーター72の軸部72aを逆方向に回転させる等の対応を行う。
【0102】
ここで、術者が、万一、推進力が得られていない状態であることに気付かなかった場合、モーター72の軸部72aは、回転し続ける。しかし、軸部72aの回転は、スパイラルチューブ31の回転が不可能な状態であるため、中継歯車75の回転を駆動歯車76に伝達すること、すなわち、駆動シャフト79を回転させることができない。
【0103】
したがって、軸部72aの回転に伴って中継歯車75が回転されている間、駆動シャフト79には捻り力が付与される。一方、駆動シャフト79が回転不能であることによって、中継歯車75には駆動歯車75の周囲を公転させようとする外力が働く。ここで、モーター72がハウジング71に一体固定されているため中継歯車75は公転されること無く、その外力が中継歯車75が取り付けられた軸部72を介してモーター72に伝達される。
【0104】
その後、モーター72に伝達された外力は、操作部5に固設されたハウジング71に捻り力として作用する。ハウジング71が操作部5に固設されているため、捻り力は、操作部5を捻る捻り力として作用する。この結果、操作部5に接続された可撓管部4に該操作部5に伝達された捻り力が作用する。
【0105】
上述したように可撓管部4は、先端側から順に第1の可撓管部23、第2の可撓管部25、ベース部27、および第3の可撓管部26、を備えて構成されている。また、第2の可撓管部25の第1の可撓外皮4c1とコルゲートチューブ部32との間の摩擦力、先端側筒状部材35と第1の可撓管部23の第1の可撓外皮4c1との間の摩擦力が増大している。このため、ベース部27の基端側に位置する第3の可撓管部23,26に捻り力が付与されて捻られる。
【0106】
本実施形態においては、第3の可撓管部26の捻り剛性を駆動シャフト79の捻り剛性より高く設定してある。この結果、第2の可撓管部25の第1の可撓外皮4c1とコルゲートチューブ部32との間の摩擦力、先端側筒状部材35と第1の可撓管部23の第1の可撓外皮4c1との間の摩擦力が増大してスパイラルチューブ31の回転が停止されて第3の可撓管部26に捻り力が付与されている状態において、該第3の可撓管部26が駆動シャフト79より先に破損することを確実に防止することができる。
【0107】
このため、挿入補助機構である回転ユニット30を設けた内視鏡2において、第3の可撓管部26が駆動シャフト79より先に破損して内視鏡を修理することが防止される。
【0108】
図7図10を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
図7に示すように本実施形態の導入装置は、内視鏡2Aである。内視鏡システム100は、内視鏡2Aと、周辺ユニット10Aと、を具備して主要部が構成されている。本実施形態において、周辺ユニット10A内には、上述した画像処理部、光源部、駆動制御部、および駆動操作入力部を備えている。符号16は表示部であり、上述したように内視鏡画像が表示される。
【0109】
本実施形態の内視鏡2Aは、電動機構部である後述する挿入補助機構となる電動湾曲機構が設けられている。
内視鏡2Aは、例えば体内に挿入される細長な挿入部101を有している。挿入部101の基端側には操作部102が設けられている。操作部102からは可撓性を有するユニバーサルコード103が延出している。ユニバーサルコード103の延出端には接続コネクタ104が設けられている。
【0110】
ユニバーサルコード103は、管体であり、上述したような蛇管であって中心軸側から順に螺旋管111と、網管112と、外皮113と、を積層した層状管部材である。ユニバーサルコード103は、操作部102の取り回しを考慮して帯状部材の肉厚、素線の径、あるいは、可撓外皮113の肉厚、あるいは、樹脂硬度を適宜設定して、予め定めた可撓性を備えている。符号114は、ユニバーサルコード103の先端から基端に至る貫通孔である。
符号115a,115bは、折れ止めチューブであって、後述するコネクタ本体(図8図9の符号130)に一体固定されるユニバーサルコード103が座屈すること、後述する操作部本体(図8の符号150)に一体固定されるユニバーサルコード103が座屈することを防止している。符号116は、コネクタ受けであって、コネクタ受け116には接続コネクタ104が着脱自在である。
接続コネクタ104には、ライトガイド口金117、複数の接点部(図8の符号118,119,120参照)、送気送水口金(不図示)等が設けられている。
【0111】
挿入部101は、先端側から順に先端部121、湾曲部122、可撓管部123が連設して設けられている。湾曲部122は、上下方向および左右方向の四方向に湾曲する湾曲部である。なお、湾曲部122は、二方向に湾曲する湾曲部であってもよい。
湾曲部122は、駆動部である駆動モーター(図8の符号141参照)の回転駆動力を被駆動部材であるプーリー(図8の符号142参照)に伝達することによって湾曲動作する構成になっている。
【0112】
なお、可撓管部123は、蛇管であって、中心軸側から順に螺旋管124と、網管125と、外皮126と、を積層した層状管部材であり、予め定めた可撓性を備えるように形成されている。符号127は、可撓管部123の先端から基端に至る貫通孔である。
本実施形態において、可撓管部123は、上述した第1の可撓管部23と略同様な構成である。可撓管部123の可撓性は、適宜設定されている。
【0113】
操作部102には、操作指示部材として、上下湾曲操作指示ノブ108および左右湾曲操作指示ノブ109が設けられている。指示ノブ108,109は、それぞれ図示されていない軸に対して回動自在である。
図8に示すように接続コネクタ104のコネクタ本体130の基端面からはライトガイド口金117が突出している。また、基端面には接点部118,119,120が設けられている。
【0114】
符号141は駆動モーターであって、コネクタ本体130に固設されたコネクタ骨格部品170に形作られたモーター固定部172に一体固定されている。符号132は第1信号ケーブル、符号133は第2信号ケーブル、符号134はモーター駆動ケーブルである。
モーター駆動ケーブル134の先端は、駆動モーターに接続され、基端は第3接点部119を介して駆動制御部に接続されている。
【0115】
図8を参照して内視鏡システム100の湾曲機能を電動で湾曲動作させる電動湾曲機構について説明する。
なお、図面を簡略化するため、図8において湾曲部122については上下湾曲機能を電動で駆動する電動湾曲機構についてその構成を説明して、左右湾曲機能を電動で駆動する電動湾曲機構については説明を省略する。
【0116】
湾曲部122を湾曲させる電動湾曲機構は、主に、駆動部である駆動モーター(以下、モーターと略記する)141と、伝達部材である駆動シャフト143と、プーリー142とを備えて構成されている。
モーター141は、湾曲部122を湾曲動作させるための駆動力を発生する。モーター141は、駆動制御部から出力される制御信号および電力に基づいて駆動される。モーター141にはモーター軸141aの回転を検出するためのモーター用エンコーダ(不図示)が設けられている。
【0117】
モーター141のモーター軸141aは、時計回り、または、反時計回りに回転可能である。モーター軸141aの回動量は、モーター用エンコーダで検出され、モーター駆動ケーブル134、第3接点部119を介して駆動制御部に入力される。
【0118】
モーター軸141aには中継歯車144が取付けられている。駆動シャフト143には中継歯車144と噛合う駆動歯車145が設けられている。中継歯車144と駆動歯車145とは減速歯車機構を構成している。
【0119】
駆動シャフト143のシャフト軸(不図示)は、ユニバーサルコード103の長手軸(不図示)に沿うようにユニバーサルコード103内に挿通される。具体的に、駆動シャフト143は、ユニバーサルコード103の内部に長手軸に沿って延設されたガイドチャンネルとしての貫通孔を有するガイドチューブ146内に挿通されている。ガイドチューブ146の先端は、操作部102内に設けられたチューブ固定部材147に固定され、基端は図8に示すようにコネクタ骨格部品170に設けられたチューブ固定部173に固定されている。
【0120】
駆動シャフト143は、フレキシブルシャフト、多条多層コイルであるトルクコイル、トルクワイヤ等である。本実施形態において駆動シャフト143は、例えば二つのコイル層を有する多条多層コイルであり、特殊硬鋼線、あるいは、バネ用ステンレス鋼線をシャフト軸周りに螺旋状に右巻、左巻と交互に巻回して層状に形成されている。
そして、駆動シャフト143は、予め選択された線経の線材で形成され、巻方向に回転させたとき予め定めた捩れ特性を備えるように捻り剛性が設定されている。具体的に、駆動シャフト143の捻り剛性は、ユニバーサルコード103の捻り剛性より低く設定してある。言い換えれば、ユニバーサルコード103の捻り剛性は、駆動シャフト143の捻り剛性より高くなっている。
駆動シャフト143は、モーター141の駆動力をプーリー142に伝達する。そのため、駆動シャフト143のプーリー142側に位置するシャフト先端部にはプーリー用傘歯車151が固設されている。
すなわち、ガイドチューブ146の先端面および基端面からは駆動シャフト143の端部が突出している。
【0121】
操作部102内には、回動自在なプーリー142と、プーリー142の回動量を検出するプーリー用ポテンショメータ136と、ノブ軸用ポテンショメータ135と、が設けられている。
ノブ軸用ポテンショメータ135は、上下湾曲操作指示ノブ108のノブ軸108aの回動量を検出する。ノブ軸用ポテンショメータ135には第1信号ケーブル132の先端が接続されている。ノブ軸用ポテンショメータ135の検出信号は、第1信号ケーブル132、第1接点部118を介して駆動操作入力部に出力されるようになっている。この後、駆動制御部は、ノブ軸用ポテンショメータ135の検出信号に対応する駆動信号をモーター141に出力して湾曲部122を湾曲動作させる。
【0122】
プーリー用ポテンショメータ136には第2信号ケーブル133の先端が接続されている。プーリー用ポテンショメータ136の検出信号は、第2信号ケーブル133、第2接点部119を介して駆動操作入力部に出力されるようになっている。
【0123】
プーリー142は、回転されて湾曲ワイヤ148,149を牽引弛緩することによって湾曲部122を上方向あるいは下方向に湾曲させる。したがって、プーリー142には先端が湾曲部122の予め定めた上方向位置に固設された上湾曲ワイヤ148の基端が設けられると共に、先端が湾曲部122の予め定めた下方向位置に固設された下湾曲ワイヤ149の基端が設けられている。
【0124】
プーリー142には駆動力受け部が設けられている。駆動力受け部は、操作部102内に設けられプーリー用傘歯車151に噛合する入力部である駆動力受け傘歯車152と、第1平歯車153と、第2平歯車154と、で構成されている。
【0125】
第2平歯車154は、プーリー142に一体である。プーリー142は、第2平歯車154と共に回動自在である。第1平歯車153は、駆動力受け傘歯車152に一体である。駆動力受け傘歯車152は、第1平歯車153と共に回動自在である。そして、第1平歯車153と第2平歯車154とは噛合状態である。
【0126】
本実施形態において、駆動力受け部とプーリー142とは被駆動部材であり、モーター141のモーター軸141aが例えば矢印Y8方向から見て時計回りに回転されることによって、出力部である中継歯車144が回転されて駆動歯車145が回転する。この駆動歯車145が回転することによって駆動シャフト143が図中矢印Yr方向に回転する。駆動シャフト143の回転駆動力は、上述した駆動力受け部を介してプーリー142に伝達される。
【0127】
この結果、プーリー142は、図中矢印Yp方向に回転される。すると、上湾曲ワイヤ148が図中矢印Yu方向に牽引され、湾曲部122が上方向に湾曲する。そして、プーリー142が図中矢印Yp方向とは逆方向に回転されることによって下湾曲ワイヤ149が図中矢印Yd方向に牽引されて湾曲部122が下方向に湾曲する。
【0128】
上述したユニバーサルコード103は、図10に示す螺旋管111と、可撓網状管112と、可撓外皮113と、を積層して層状管部材として形成されている。図9に示したユニバーサルコード103の両端部の構成は同一であって、一端部はコネクタ本体130に固設され、他端部は操作部本体150に固設されるようになっている。
【0129】
ここで、コネクタ本体130に固設される一方側端部の構成について説明する。なお、他端部の構成については一方側端部の構成と同様であるため説明を省略する。
図9に示すようにユニバーサルコード103の端部は、ケーブル口金160を介してコネクタ本体130に固定されるようになっている。符号115cは、折れ止めインサート部材であり、金属製で予め定めた形状に形作られている。
【0130】
ユニバーサルコード103の端部にはケーブル口金160が設けられる。ケーブル口金160は、例えば、第1口金161と、第2口金162とを備えて構成されている。
具体的に、第1口金161の先端側部はユニバーサルコード固定部165であって、該ユニバーサルコード固定部165の内面にはユニバーサルコード103の端部に露出する可撓網状管112の外周面が配置されて、例えば接着剤を塗布して水密を確保して一体的に接着固定される。
【0131】
第2口金162は、第1口金161の端部に図示しない接着剤によって接着固定される。第2口金162の予め定めた位置には二つのビス孔(不図示)が設けられている。このビス孔には、第2口金162の内周面に配置されるコネクタ骨格部品170を一体に固定するビス171が配設されている。
したがって、コネクタ骨格部品170とユニバーサルコード103とはケーブル口金160によって一体である。
【0132】
ここで、上述のように構成した内視鏡2Aの作用を説明する。
術者は、挿入部101を例えば腸管内へ挿入する際、該挿入部101の可撓管部123を右手で把持し、左手で湾曲操作指示ノブ108,109を必要に応じて操作して湾曲部122を上下左右方向に湾曲動作させつつ、挿入部101を深部に挿入していく。
【0133】
上述したように湾曲操作ノブ108,109の操作に伴って、モーター141が駆動されモーター軸141aの回転が中継歯車144を介して駆動歯車145に伝達されて駆動シャフト143が回転する。そして、この駆動シャフト143の回転駆動力がプーリー142に伝達されることによって該プーリー142の回転にしたがって湾曲ワイヤ148,149が牽引弛緩されて湾曲部122が湾曲する。
【0134】
挿入部3を腸管内を深部に向かって移動させているとき、可撓管部123は、腸管内の屈曲部を通過することがある。ここで、可撓管部123が小さな湾曲半径で湾曲されることによって可撓管部123内に挿通配置されている内視鏡内蔵物の配置位置が変化する湾曲ワイヤ148,149の移動が阻止されるおそれがある。そして、湾曲ワイヤ148,149の移動が阻止されることによって、プーリー142は回転を停止した状態になる。
【0135】
しかし、モーター軸141aは、プーリー142の回転が停止された状態であっても、回転し続ける。しかし、モーター軸141aの回転は、プーリー142の回転が停止されている状態であるため、中継歯車144、駆動歯車145を介して駆動シャフト143に伝達して、該駆動シャフト143を回転させることができない。
【0136】
したがって、モーター軸141aの回転に伴って中継歯車144が回転されている間、駆動シャフト143には捻り力が付与される。一方、駆動シャフト143が回転不能であることによって、中継歯車144には駆動歯車145の周囲を公転させようとする外力が働く。ここで、モーター141がコネクタ骨格部品1170のモーター固定部172に一体固定されているため中継歯車144は公転されること無く、その外力が中継歯車144が取り付けられたモーター軸141aを介してモーター141に伝達される。
【0137】
その後、モーター141に伝達された外力は、コネクタ骨格部品1170に捻り力として作用する。コネクタ骨格部品1170がケーブル口金160を介してユニバーサルコード103に一体であるため、捻り力は、該ユニバーサルコード103に対して捻り力として作用する。この結果、ユニバーサルコード103に対して捻り力が作用する。
【0138】
本実施形態においては、ユニバーサルコード103の捻り剛性を駆動シャフト143の捻り剛性より高く設定してある。この結果、プーリー142の回転が停止されてユニバーサルコード103に捻り力が付与されている状態において、コネクタ骨格部品170がコネクタ本体130内で捻られることおよびユニバーサルコード103が駆動シャフト143より先に破損することを確実に防止することができる。
【0139】
このため、挿入補助機構である電動湾曲機構を設けた内視鏡2Aにおいて、ユニバーサルコード103が駆動シャフト143より先に破損して内視鏡を修理することが防止される。
【0140】
なお、上述においてケーブル口金160を第1口金161と、第2口金162とを備える構成としている。しかし、ケーブル口金を第1口金161と第2口金162とを一体で構成するようにしてもよい。
【0141】
符号163は、第1のOリングである。第1のOリング163は、第1口金161の外周面に設けられ折れ止め用インサート部材115cの内面に密着する。符号164は、第2のOリングである。第2のOリング164は、第2口金162の基端側外周面に配置されるコネクタ本体130の先端側外周面に設けられ折れ止め用インサート部材115cの内面に密着する。
【0142】
本実施形態において、駆動シャフト143を介してモーター141の回転駆動力をプーリー142に伝達して湾曲部122を湾曲動作させている状態において、ユニバーサルコード103が駆動シャフト143より先に捻り力によって破損することを確実に防止することができる。
このため、電動湾曲機構を設けた内視鏡において、ユニバーサルコード103が駆動シャフト143より先に破損して内視鏡を修理することを防止される。
【0143】
本実施形態においては、湾曲部122を湾曲させるために操作される操作指示部材として湾曲操作ノブ108,109を挙げている。しかし、操作指示部材は、該ノブ108,109に限定されるものではなく、ジョイスティック、あるいは、トラックボール等であってもよい。
【0144】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。挿入機器は内視鏡に限定されるものでは無く、例えば、内視鏡の処置具チャンネル内に挿通される内視鏡用処置具、内視鏡を体内に案内する案内チューブ等であってもよい。そして、この場合、挿入装置は、内視鏡用処置具の挿入部、あるいは、案内チューブの挿入部に装着される。
【0145】
本発明によれば、電動機構部が有する機能を損なうことなく、該電動機構部が備える回転駆動源の回転力を被駆動部材に伝達する伝達部材より先に該回転駆動源あるいは該被駆動部材が配置されて蛇管を有する管体が当該回転駆動源からの捻り力あるいは当該被駆動部材からの捻り力によって破損されることを防止した挿入装置を実現できる。
【0146】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0147】
本出願は、2015年10月28日に日本国に出願された特願2015−212020号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
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