特許第6219785号(P6219785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6219785
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】断線修復手段を備えたワイヤ放電加工機
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/10 20060101AFI20171016BHJP
   B23H 7/02 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   B23H7/10 A
   B23H7/02 H
   B23H7/02 R
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-128214(P2014-128214)
(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-7654(P2016-7654A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年6月17日
【審判番号】不服2016-6401(P2016-6401/J1)
【審判請求日】2016年4月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】入江 章太
(72)【発明者】
【氏名】平賀 薫
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 柏原 郁昭
【審判官】 平岩 正一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/157373(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 7/00-7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電加工中にワイヤ電極が断線した時、加工してきた加工経路上に自動結線を行い、加工経路に沿ってワイヤが断線した位置まで戻って前記ワイヤ電極の断線位置から放電加工を再開させる断線修復手段と、前記ワイヤ電極と被加工物との間に発生させる放電によって前記被加工物を放電加工し、前記放電加工によって生じる加工屑を付着・堆積させることによって、前記放電加工により生成される中子と前記被加工物を固定する中子固定機能を有し、各移動軸を制御し加工プログラムに従って各移動軸の座標や加工距離を算出しながら加工経路に沿って被加工物を加工するワイヤ放電加工機において、
現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち最も新しく加工された付着・堆積動作の中子固定終了位置を記憶する中子固定終了位置記憶手段と、
を有し、
前記加工してきた加工経路上の前記断線位置と前記中子固定終了位置との間のみで、前記断線修復手段により自動結線を実行することを特徴とするワイヤ放電加工機。
【請求項2】
前記断線修復手段は、
前記断線修復手段による自動結線位置が、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるかを判断する中子固定終了位置判断手段と、
を有し、前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にあると判断された場合、前記断線修復手段により自動結線を実行することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項3】
前記断線修復手段は、前記断線位置から加工経路に沿って後退して自動結線を行い、結線できなかった場合は、更に加工経路に沿って後退し自動結線を行う動作を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項4】
前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にはないと判断された場合、アラームを表示することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項5】
前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にはないと判断された場合、断線時のプログラム位置より先に結線指令位置がある場合は、その指令位置まで加工をスキップし、前記結線指令位置から加工を再開することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項6】
前記中子固定終了位置判断手段は、
放電加工中にワイヤ電極が断線したとき、加工経路上での断線位置を記憶する断線位置記憶手段と、
前記断線修復手段により加工経路に沿って後退する際に前記断線位置からの後退位置を算出する後退位置算出手段と、を有し、
前記断線位置と前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項7】
前記中子固定終了位置判断手段は、
前記断線修復手段により加工経路に沿って後退中の位置を後退位置として記憶する後退位置記憶手段を有し、
前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機において、中子を被加工物に固定する機能(以下、中子固定機能と称す)を用いた加工中にワイヤ電極の断線が生じ、該ワイヤ電極の断線を修復する断線修復動作を行う場合、ワイヤ電極が加工経路を後退中に中子固定部分に到達すると結線不能となるため、中子固定部の位置を監視しながら断線修復動作を行う断線修復手段を備えたワイヤ放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の中子固定機能を備えたワイヤ放電加工機が考案されている(先行文献1〜4)。中子固定機能とは、ワイヤ放電加工機におけるワイヤ電極の成分粒子の被加工物への付着現象を利用し、ワイヤ電極の成分粒子からなる付着物を被加工物の加工溝に堆積させて中子と被加工物とを固定する機能である。
【0003】
前記付着物によって被加工物に固定された中子は打撃などによって外力を加えることで被加工物からはずすことが可能なため、従来のように加工形状に切り残し部を設け放電加工を行い、加工終了後に再度切り残し部を放電加工して中子を切り落とすといった工程を省略でき、加工時間を短縮して加工効率を向上させることができる。
【0004】
ここで、中子固定機能について、被加工物を加工するNCプログラムを用いて説明する。図8はNCプログラムによる指令で中子固定機能を動作させるときのプログラム例である。NCプログラムの指令によりワイヤ放電加工機の中子固定機能を動作させることとする。なお、中子固定機能を動作させる指令コードをM100とし、中子固定距離は2mmとしている。
【0005】
図8に示されるプログラム例(O0100)を実行すると、加工結果は図9のようになる。図9はNCプログラムによる指令で中子固定機能を動作させたときの加工結果の例を示す図である。被加工物40を加工開始孔41より加工が開始され、ワイヤ電極はプログラムにより指令された加工経路42を加工し、加工溝43を形成していく。
【0006】
ブロックN104およびブロックN107にてM100が指令されると、中子固定機能が有効となり、付着物を堆積させながら加工が進む。この、付着物が堆積している部分を中子固定部45と呼ぶこととする。中子固定部45は、付着物により加工溝が埋まっている状態となっている。
【0007】
中子固定機能が有効な状態で加工が2mm進行すると、中子固定機能が無効になり、再び加工溝を形成しながら加工が進行する。ブロックN111でプログラムが終了する。このとき、被加工物40と中子44は中子固定部45により固定されている。
【0008】
中子44は、ハンマーでたたくなど外力を加えることで取り外すことができる。従来は図10に示されるように、加工形状に切り残し部51を設け放電加工を行い、後工程で再度切り残し部51を放電加工して中子44を切り落とすといった作業を行っていたが、その工程を省略できるため、加工時間を短縮して加工効率を向上させることができる。
【0009】
ここで、ワイヤ放電加工機の中子保持機能を用いた加工中に断線が生じたときを考える。図11は中子固定機能を用いたときの断線修復を説明する図である。断線位置47でワイヤ電極が断線し、自動結線位置において結線のために加工経路を逆走する(符号50の矢印参照)。中子固定部45が形成されていない場合、断線位置47から加工経路を符号50aに示されるように自動結線位置48まで逆走して結線動作を行い、結線後加工経路に沿って断線位置47まで移動した後、加工再開を行う。
【0010】
加工中に断線が生じたときに、自動的に断線を修復し加工を再開させる機能についても、種々なものが考案されている。図12は従来の断線修復手段による断線修復を示す図である。
【0011】
図12に示すように、(1)加工開始孔に戻りワイヤ電極を自動結線し、加工経路上でワイヤ電極が断線した位置(以下、断線位置と称す)まで加工経路に沿って断線位置まで戻り、ワイヤ電極の断線位置から放電加工を再開するもの(先行文献8)、(2)ワイヤ電極の断線位置とワイヤ電極の断線が生じた加工ブロックの開始点との中間位置でワイヤ電極を自動結線し、加工経路に沿って断線位置まで戻りワイヤの断線位置から放電加工を再開するもの(先行文献6)、(3)断線位置を中心に描いた半径の円と加工経路との交点のうち最も新しく加工された位置に移動し自動結線し、加工経路に沿って断線位置まで戻り、ワイヤ電極の断線位置から放電加工を再開するもの(先行文献5)などの方法が考案されている。いずれの方法も自動結線を行った後、加工経路に沿って断線位置まで戻って、ワイヤの断線位置から放電加工を再開するものである。
【0012】
ここで、公知の中子固定機能を備えたワイヤ放電加工機の技術を開示する特許文献について説明する。
特許文献1には、工作物からの切り抜き物の落下を防止し、切り残し部を再度放電加工で加工することなく、溶着部を外力で破壊して切り抜き物を切り離し、加工時間を短縮して加工効率を向上させる工作物切り離し加工方法が開示されている。
特許文献2には、工作物の板厚、加工部材の個数およびその比重の加工用プログラムを解析し、加工部材の加工周長および加工部材の形状の上面面積を演算して加工部材の質量を演算し、加工部材の工作物への保持可能な溶着部の溶着長さの関係についてコントローラメモリーの測定値のマップから、加工部材の質量に対応する保持可能な溶着部の所定の溶着長さおよび溶着箇所を演算する加工用プログラム編集方法が開示されている。
【0013】
特許文献3には、中子をワーク簿材に固定するために最低限必要な量の付着物を堆積させる箇所を任意に設定できるワイヤ放電加工機およびワイヤ放電加工機用自動プログラミング装置が開示されている。
特許文献4には、中子の形状、重量から付着領域を設定し、それに基づいて加工プログラムを生成するワイヤ放電加工機の加工プログラム生成装置が開示されている。
【0014】
特許文献5には、ワイヤ電極が、断線位置を中心に描いた半径の円と加工経路との交点のうち最も新しく加工された位置に移動し、ワイヤ電極の自動結線を行うことが可能なワイヤ放電加工における断線修復装置が開示されている。
特許文献6には、ワイヤ電極の断線位置とワイヤ電極の断線が生じたブロックの開始点との中間位置でワイヤ電極を自動結線し、放電加工を再開する断線修復方法が開示されている。
【0015】
特許文献7には、ワイヤ電極の断線位置あるいはワイヤ電極の断線位置より加工軌跡に沿ってわずかな距離を戻った位置でワイヤを自動結線し、放電加工を再開する自動ワイヤ供給方法が開示されている。
特許文献8には、加工中にワイヤ断線が生じた場合、加工開始孔に移動し、ワイヤ電極を自動供給する装置によりワイヤ自動供給を行い、断線地点まで元の加工軌跡をたどり移動し、断線地点から加工を再開するワイヤ放電加工方法および、同一加工穴中で、発生するワイヤ断線の回数が指定回数以上になると、加工を止め、次の加工に移行するワイヤ放電加工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2012−166332号公報
【特許文献2】特開2014−24132号公報
【特許文献3】特開2014−14907号公報
【特許文献4】特開2013−144335号公報
【特許文献5】特開2011−136409号公報
【特許文献6】特開平8−309622号公報
【特許文献7】特開平2−145215号公報
【特許文献8】特開昭56−95540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
背景技術で説明したように中子固定機能を用いた加工の場合、中子固定部45では加工溝に付着物が堆積しているため結線できない(図11,結線位置への移動50b)、中子固定部45を通り過ぎて結線完了した場合、加工経路に沿って断線位置まで戻るときワイヤ電極が中子固定部45に到達すると、中子固定部45では加工溝43に付着物が堆積し加工溝43が埋まっている状態であるため、ワイヤ電極が付着物に引っかかり断線してしまう(図12,断線位置まで戻る経路49)、といった理由から、断線修復の際に中子固定部45の終点(以下、中子固定終了位置46と呼ぶ)を越えて後退し自動結線を行っても、加工を再開できないという問題があった。
【0018】
特許文献1は、溶着させる工程でのワイヤ電極の断線時には、ワイヤ電極を断線点での加工スリットに供給して溶着工程または加工工程を引き続き行うことができる。これは、加工途中に電気加工条件を変更し、ワイヤ電極の一部を溶融して被加工物と中子とを溶着させ、中子を被加工物に固定する中子固定機能に関するものである。中子固定機能動作中の断線に関しては、その場で結線し引き続き加工を行うことができるとなっているが、中子固定機能の動作終了後に断線した際の修復方法に関する記載はない。
【0019】
特許文献2は、加工プログラムを解析して中子保持部分の長さや場所を自動で計算するものであり、特許文献1と同様に中子固定機能動作中の断線に関してはその場で結線し引き続き加工を行うことができるとなっているが、中子固定機能の動作終了後に断線した際の修復方法に関する記載はない。
【0020】
特許文献3は、中子固定機能を使用する場合の中子固定箇所を任意に設定するものであるが、中子固定機能の動作後に断線した際の修復方法に関する記載はない。
特許文献4は、煩雑な作業を解することなくワイヤ電極の成分を中子に付着させることができるワイヤ放電加工機の加工プログラム生成装置であるが、中子固定機能の動作後に断線した際の修復方法に関する記載はない。
【0021】
特許文献5は、断線位置からある距離だけ離れた加工経路上の位置で自動結線を行うことで結線位置から断線位置まで戻る時間を短縮するとともに、加工液流の乱れをなくし結線率を向上させるものであるが、結線位置と断線位置の間に中子固定部分があると、断線位置まで戻るときに再び断線してしまうという問題がある。
【0022】
特許文献6は、断線位置と断線が生じたブロックの開始点との中間位置の加工溝で自動結線を行い、断線後の放電加工再開までの時間を短縮するものであるが、特許文献5と同様に、結線位置と断線位置の間に中子固定部分があると、断線位置まで戻るときに再び断線してしまうという問題がある。
【0023】
特許文献7は、断線位置での結線が不可能な場合、この方法では加工再開ができない。また、断線位置から中子固定部の間で自動結線を行う本願とは異なる。
特許文献8は、加工開始孔にて自動結線を行うが、特許文献5や特許文献6と同様に、加工開始孔と断線位置の間に中子固定部分があると、断線位置まで戻るときに再び断線してしまうという問題がある。また、次の加工に移行する条件は、ワイヤの断線回数が指定回数以上となったときであるため、中子固定部の有無を見て次の加工に移行するかを判断する本発明とは異なる。
【0024】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決するため、中子固定機能を用いた加工において断線が生じ断線修復動作に入ったときに、加工してきた加工経路上で自動結線を行うワイヤ放電加工機において、断線修復による自動結線は断線位置と中子固定終了位置の間のみで行われることを特徴とするワイヤ放電加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願の請求項1に係る発明は、放電加工中にワイヤ電極が断線した時、加工してきた加工経路上に自動結線を行い、加工経路に沿ってワイヤが断線した位置まで戻って前記ワイヤ電極の断線位置から放電加工を再開させる断線修復手段と、前記ワイヤ電極と被加工物との間に発生させる放電によって前記被加工物を放電加工し、前記放電加工によって生じる加工屑を付着・堆積させることによって、前記放電加工により生成される中子と前記被加工物を固定する中子固定機能を有し、各移動軸を制御し加工プログラムに従って各移動軸の座標や加工距離を算出しながら加工経路に沿って被加工物を加工するワイヤ放電加工機において、現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち最も新しく加工された付着・堆積動作の中子固定終了位置を記憶する中子固定終了位置記憶手段と、を有し、前記加工してきた加工経路上の前記断線位置と前記中子固定終了位置との間のみで、前記断線修復手段により自動結線を実行することを特徴とするワイヤ放電加工機である。
【0026】
請求項2に係る発明は、前記断線修復手段は、前記断線修復手段による自動結線位置が、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるかを判断する中子固定終了位置判断手段と、を有し、前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にあると判断された場合、前記断線修復手段により自動結線を実行することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項3に係る発明は、前記断線修復手段は、前記断線位置から加工経路に沿って後退して自動結線を行い、結線できなかった場合は、更に加工経路に沿って後退し自動結線を行う動作を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機である。
【0027】
請求項4に係る発明は、前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にはないと判断された場合、アラームを表示することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項5に係る発明は、前記中子固定終了位置判断手段により、前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置との間にはないと判断された場合、断線時のプログラム位置より先に結線指令位置がある場合は、その指令位置まで加工をスキップし、前記結線指令位置から加工を再開することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機である。
【0028】
請求項6に係る発明は、前記中子固定終了位置判断手段は、放電加工中にワイヤ電極が断線したとき、加工経路上での断線位置を記憶する断線位置記憶手段と、前記断線修復手段により加工経路に沿って後退する際に前記断線位置からの後退位置を算出する後退位置算出手段と、を有し、前記断線位置と前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機である。
【0029】
請求項7に係る発明は、前記中子固定終了位置判断手段は、前記断線修復手段により加工経路に沿って後退中の位置を後退位置として記憶する後退位置記憶手段を有し、前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機である。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、中子固定機能を用いた加工において断線が生じ断線修復動作に入ったときに、加工してきた加工経路上で自動結線を行うワイヤ放電加工機において、断線修復による自動結線は断線位置と中子固定終了位置の間のみで行われることを特徴とするワイヤ放電加工機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】結線動作を行うワイヤ放電加工機の要部を説明する図である。
図2】本発明に係る断線修復の方法を説明する図である。
図3】実施形態1に係るブロック図である。
図4】実施形態1における中子固定終了位置の判断の例を説明する図である。
図5】実施形態2に係るブロック図である。
図6】実施形態2における中子固定終了位置の判断の例を説明する図である。
図7】本発明に係る処理を示すフローチャートである。
図8】NCプログラムによる指令で中子固定機能を動作させるときのプログラム例である。
図9】NCプログラムによる指令で中子固定機能を動作させたときの加工結果の例を示す図である。
図10】切り残し部を設けて加工した場合の加工結果の例を示す図である。
図11】中子固定機能を用いたときの断線修復を説明する図である。
図12】従来の断線修復手段による断線修復を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
まず、自動結線を行うためのワイヤ放電加工機の構成を説明する。図1は、本発明の方法を実施するワイヤ放電加工機の主要部を概略で示す図である。図1に示されるワイヤ放電加工機は中子固定機能を有する。ワイヤ放電加工機の本体部の全体は、対向配置された上方機枠部1と下方機枠部2に大きく2分され、各部1、2は図示しないコラムにより上下方向の相対移動が可能なように取り付けられている。これは、加工対象となるワークの厚み等により、ワイヤ電極送給経路上流側の上ガイド7とワイヤ電極送給経路下流側の下ワイヤ電極ガイド18との間隔を調整する必要があるからである。
【0033】
上方機枠部1には、ワイヤ電極巻上げユニット3、ブレーキローラ4、ワイヤ電極溶断機構5、ワイヤ電極引き込みユニット6、上ワイヤ電極ガイド7が配置されている。上ワイヤ電極ガイド7には加工領域へ加工液を噴出するためのノズルが設けられている。
【0034】
ワイヤ電極巻上げユニット3は巻き上げモータ8に連結された供給リール9を備え、ブレーキローラ4は、タイミングベルト、パウダークラッチなどを介して正逆回転可能なブレーキ用モータ10で駆動される。符号11はブレーキローラ4の回転量(ワイヤ電極移動量)を検出するパルスコーダである。
【0035】
ワイヤ電極溶断機構5は、上ワイヤ電極ガイド7の上方に配置されたワイヤ電極送りパイプ構造12とこのワイヤ電極送りパイプ構造12の入り口側と出口側に配置された第1のワイヤ電極溶断用電極13、および、ワイヤ電極先端検出手段14aを兼ねる第2のワイヤ電極溶断用電極(実質的なワイヤ溶断手段)14bと、圧接用ローラ15で構成されている。この電極14bと圧接用ローラ15はワイヤ電極20の走行経路に対し遠近移動可能とされている。即ち、第2のワイヤ電極溶断用電極14bと圧接用ローラ15は、図示しないソレノイドへの通電制御を介し、ワイヤ電極溶断手段またはワイヤ電極先端検出手段として使用されるときには、図1に示すように長孔内をワイヤ電極20の走行経路に入り込むように移動され、また、通常加工時にはワイヤ電極20から遠ざけられる。
【0036】
この実施形態では、ワイヤ電極送りパイプ構造12のA、B間に冷却用エアーを流した状態で第1のワイヤ電極溶断用電極13と第2のワイヤ電極溶断用電極14bとの間のワイヤ電極20に通電してワイヤ電極20を加熱することによりアニール作用を行い、冷却用エアーが流れない第2のワイヤ溶断用電極14bの位置では、ワイヤ電極20の温度が、冷却用エアーが流れる部分と比較して急激に上昇するから、ワイヤ電極20はこの位置で溶断されることになる。
【0037】
上ワイヤ電極ガイド7内にはワイヤ電極通路に面して加工用上電極30aが配置され、放電加工時に加工用下電極30bとの間に加工用の通電が行われる。下方機枠部2には、ワイヤ電極巻き取りローラ17とこれに対向したピンチローラ16および下ワイヤ電極ガイド18が配置されている。下ワイヤ電極ガイド18には、加工液を噴射するためのノズルが設けられている。符号19はワイヤ放電加工機のテーブル面を示している。加工用下電極30bは下ワイヤ電極ガイド18内のワイヤ電極通路に面して配置される。なお、符号31a、31bは上ワイヤ電極ガイド7、下ワイヤ電極ガイド18のノズルから加工領域に噴射する加工液の取込口である。
【0038】
ワイヤ電極20は、供給リール9から引き出され、転向ローラ21、22に掛け回されてブレーキローラ4に案内され、第1のワイヤ電極溶断用電極13の位置を通り、ワイヤ電極送りパイプ構造12を貫通して上ワイヤ電極ガイド7に至り、更に、下ワイヤ電極ガイド18をへて転向ローラ23で向きを変えてワイヤ電極巻き取りローラ17に至るワイヤ電極経路を形成する。
【0039】
ワイヤ電極20は、定電流回路(図示せず)により制御されるブレーキ用モータ10で駆動されるブレーキローラ4によって所定のバックテンションを与えられ、ワイヤ電極巻き取りローラ17の牽引作動で走行する。下ワイヤ電極ガイド18内に配置された加工用下電極30bは加工用上電極30aと共に走行中のワイヤ電極20に接触して加工用の電力をワイヤ電極20に供給する。
【0040】
ワイヤ電極20の通常走行時(放電加工時)には、供給リール9の巻き上げモータ8は逆方向(破線の矢印)に空転されている。グリップ部26はワイヤ電極20の通常走行時においては開放状態にあり、ワイヤ電極20とは接触しない。符号24はピンチローラで、ブレーキローラ4の週面に接してワイヤ電極20とブレーキローラ4との接触を確実にする。符号25は誘導パイプで、下方機枠部2において転向ローラ23とワイヤ電極巻き取りローラ17間に配置され、誘導パイプ25内にワイヤ電極20が貫通される。ワイヤ電極引き込みユニット6は、先端にグリップ部26を設けたアーム27とこれを引き込むエアシリンダ28で構成され、先端のグリップ部26は圧接用ローラ15の下流側に位置する。ワイヤ電極引き込みユニット6は実質的なワイヤ電極除去手段である。
【0041】
ワイヤ電極送りパイプ構造12は、矢印A、Bで各々示した位置に図示しない導水部及び排水部を有しており、前記した通り、ワイヤ電極20の溶断時にはA、B間でアニールが行なわれ、第2のワイヤ電極溶断用電極14bの位置でワイヤ電極20が溶断される。ワイヤ電極送りパイプ構造12は、全体がワイヤ電極20と電気的に絶縁された構造とされる。更に、このワイヤ電極送りパイプ構造12は、第1のワイヤ電極溶断用電極13と共にスライド部材102に支持されており、スライド部材102は支柱ガイド103に沿って図示しない駆動手段によって、図示した最上位置と上ワイヤ電極ガイド7に形成された位置決め部71との間(距離L)で昇降駆動させる。この機構は自動結線時に利用される。
【0042】
上述のワイヤ放電加工機は、放電加工中にワイヤ電極が断線した時、加工してきた加工経路上に自動結線を行い、加工経路に沿ってワイヤが断線した位置まで戻って前記ワイヤ電極の断線位置から放電加工を再開させる断線修復し、前記ワイヤ電極と被加工物との間に発生させる放電によって前記被加工物を放電加工し、前記放電加工によって生じる加工屑を付着・堆積させることによって、前記放電加工により生成される中子と前記被加工物を固定する中子固定機能を有しており、各移動軸を制御し加工プログラムに従って各移動軸の座標や加工距離を算出しながら加工経路に沿って被加工物を加工することができる。
【0043】
図2は本発明に係る断線修復の方法を説明する図である。本発明は、中子固定機能を用いた加工において断線が生じ断線修復動作に入ったときに、加工してきた加工経路上で自動結線を行うワイヤ放電加工機において、断線修復による自動結線は断線位置47と中子固定終了位置46の間で行われることを特徴とするワイヤ放電加工機である。
ここで、中子固定位置にワイヤ電極が到達したかの判断方法を説明する。
【0044】
<実施形態1>
断線位置から見た後退位置を監視して判断する方法:
図3は実施形態1に係るブロック図である。中子固定終了位置記憶手段60は、前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了したときに加工距離を取り込み、現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作が終了した位置の加工距離を中子固定終了位置として記憶する手段である。
【0045】
中子固定終了位置判断手段61は、断線位置記憶手段62と後退位置算出手段63を有し、断線位置と後退位置と前記中子固定終了位置から、前記自動結線位置が前記中子固定終了位置に到達せず、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断する手段である。
【0046】
断線位置記憶手段62は、放電加工中に断線したときに加工距離を取り込み、これを断線位置として記憶する手段である。後退位置算出手段63は、前記断線修復手段により加工経路に沿って後退するとき、前記断線位置からの後退位置を算出し、これを後退位置とする手段である。
【0047】
中子固定機能が実行された場合、加工屑の付着・堆積中動作が終了した位置が中子固定終了位置記憶手段60に記憶される。ここでは、現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作の終了位置の加工距離を記憶しているが、加工距離の代わりに座標など他の位置情報を記憶してもよい。
【0048】
中子固定終了位置記憶手段60は、前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作の終了位置を、中子固定終了位置として中子固定終了位置判断手段61に渡す。断線位置記憶手段62は、加工経路上での断線位置を記憶する。ここでは放電加工中に断線したときの加工距離を記憶しているが、加工距離の代わりに座標など他の位置情報を記憶してもよい。
【0049】
また、後退位置算出手段63は、断線修復手段により加工経路に沿って後退する際に前記断線位置から見た後退位置を算出する。ここでは、断線修復時の後退中に断線位置からどれだけ後退したかを示す後退距離を算出しているが、距離の代わりに座標など他の位置情報を算出してもよい。
【0050】
図4は実施形態1における中子固定終了位置の判断の例を説明する図である。
(1)中子固定終了位置での加工距離を記憶する。
(2)断線位置での加工距離を記憶する。
(3)断線修復時の後退距離を算出する。
(4)((断線位置での加工距離)―(中子固定終了位置での加工距離))>後退距離、
または、
((断線位置での加工距離)―(中子固定終了位置での加工距離))/後退距離> 1
のとき、自動結線位置は断線位置と中子固定終了位置との間にあると判断する。
一方、
((断線位置での加工距離)―(中子固定終了位置での加工距離))≦後退距離、
または、
((断線位置での加工距離)―(中子固定終了位置での加工距離))/後退距離≦ 1
のとき、自動結線位置は断線位置と中子固定終了位置との間にはないと判断する。
【0051】
上述したように、中子固定終了位置判断手段61は、前記断線位置と前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記中子固定終了位置に到達せず、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断する。具体的には、断線位置での加工距離と中子固定終了位置での加工距離の差を算出し、後退距離と比較し、後退距離が断線位置での加工距離と中子固定終了位置の加工距離の差より小さい場合は、自動結線位置は断線位置と中子固定終了位置の間にあると判断し、後退距離が断線位置での加工距離と中子固定終了位置の加工距離の差以上である場合は、自動結線位置が断線位置と中子固定終了位置との間にはないと判断できる。また、比を用いてこれらを判断してもよい。また、座標など他の位置情報を用いて判断してもよい。
【0052】
<実施形態2>
後退時の加工位置を監視して判断する方法:
図5は実施形態2に係るブロック図である。中子固定終了位置記憶手段60は、前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了したときに加工距離を取り込み、現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作が終了した位置の加工距離を中子固定終了位置として記憶する手段である。
【0053】
中子固定終了位置判断手段61は、後退位置記憶手段63を有し、後退位置と前記中子固定終了位置から、前記自動結線位置が前記中子固定終了位置に到達せず、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断する手段である。後退位置記憶手段62は、前記断線修復手段により加工経路に沿って後退するときに加工距離(加工開始点からの距離)を取り込み、これを後退位置として記憶する手段である。
【0054】
中子固定機能が実行された場合、加工屑の付着・堆積中動作が終了した位置が中子固定終了位置記憶手段60に記憶される。ここでは、現在加工を行っている加工形状において前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作の終了位置の加工距離を記憶しているが、加工距離の代わりに座標など他の位置情報を記憶してもよい。
【0055】
中子固定終了位置記憶手段60は、前記中子固定機能による加工屑の付着・堆積動作が終了した位置のうち、最も新しく加工された付着・堆積動作の終了位置を、中子固定終了位置として中子固定終了位置判断手段61に渡す。
【0056】
後退位置記憶手段63は、断線修復手段により加工経路に沿って後退する際に、後退位置を記憶する。ここでは後退位置として、加工開始点からの加工距離を記憶しているが、加工距離の代わりに座標など他の位置情報を記憶してもよい。
【0057】
図6は実施形態2における中子固定終了位置の判断の例を説明する図である。
(1)中子固定終了位置での加工距離を記憶する。
(2)断線修復後退時の加工距離を監視する。
(3)(中子固定終了位置での加工距離)<(断線修復後退時の加工距離)、
または、
(中子固定終了位置での加工距離)/(断線修復後退時の加工距離)<1
のとき、自動結線位置は断線位置と中子固定終了位置との間にあると判断する。 一方、
(中子固定終了位置での加工距離)≧(断線修復後退時の加工距離)、
または、
(中子固定終了位置での加工距離)/(断線修復後退時の加工距離)≧1
のとき、自動結線位置は断線位置と中子固定終了位置との間にはないと判断する。
【0058】
中子固定終了位置判断手段61は、前記中子固定終了位置と前記後退位置から前記自動結線位置が前記中子固定終了位置に到達せず、前記断線位置と前記中子固定終了位置の間にあるか否かを判断する。具体的には、断線修復手段により後退中の加工距離と中子固定終了位置の加工距離とを比較し、断線修復手段により後退中の加工距離が前記中子固定終了位置の加工距離より大きい場合は、自動結線位置が前記断線位置と中子固定終了位置との間にあると判断し、断線修復手段により後退中の加工距離が中子固定終了位置の加工距離以下である場合は、自動結線位置が断線位置と中子固定終了位置との間にはないと判断できる。また、比を用いてこれらを判断してもよい。また、座標など他の位置情報を用いて判断してもよい。
【0059】
図7は、中子固定機能を用いた加工において、放電加工中に断線が生じた際の処理を説明するフローチャートである。以下、各ステップにしたがって説明する。
[S100]ワイヤ電極が断線したかどうかを検出する。断線を検出した場合はS101へ移行する。検出していない場合は、この処理を終了する。
[S101]加工経路に沿って後退を開始し、S102へ移行する。
[S102]現在の加工形状で中子固定機能が実行されたかを判断する。中子固定機能が実行されていた場合(YES)、S103に移行する。中子固定機能が実行されていない場合(NO)、後退を続行し、S104へ移行する。なお、この実施形態では、中子固定機能が実行された際にフラグを立て、このフラグを判別することで現在の形状で中子固定機能が実行されたかを判断している。このフラグは、プログラムにて加工開始点の設定指令(例えばG92)が実行されたときに落ちるように設計されている。
[S103]後退中に中子固定終了位置に到達したかを判断する。中子固定終了位置に到達した場合(YES)は、後退を終了し、この処理を終了する。その際、アラームの表示や、断線時のプログラム位置より先に結線指令がある場合にはその指令位置まで加工をスキップし、結線指令位置から加工を再開してもよい。中子固定終了位置に到達していない場合(NO)は、後退を続行し、S104へ移行する。なお、中子固定位置の終了位置に到達したかの判断手段については、前述のとおりである。
[S104]現在位置が自動結線位置かを判断する。自動結線位置の場合(YES)はS105に移行する。自動結線位置ではない場合(NO)は、後退を続行し、S102に移行する。なお、この実施例における自動結線位置とは、(1)後退開始位置から一定距離以上離れている位置、(2)加工開始位置、のいずれかの位置である。この、自動結線位置まで後退し自動結線を行う動作については、先行文献5により公知である。
[S105]後退を終了し、自動結線処理を行う。自動結線処理が終了したら、S106へ移行する。
[S106]結線が完了しているかを判断する。結線が完了している場合はS107へ移行する。結線が完了していない場合は、S101へ移行し、再度後退を開始する。
[S107]加工経路に沿って断線位置に戻り加工を再開し、この処理を終了する。
【符号の説明】
【0060】
1 上方機枠部
2 下方機枠部
3 ワイヤ電極巻上げユニット
4 ブレーキローラ
5 ワイヤ電極溶断機構
6 ワイヤ電極引き込みユニット(ワイヤ電極除去手段)
7 上ワイヤ電極ガイド
7a 上ノズル
8 巻き上げモータ
9 供給リール
10 ブレーキ用モータ
11 パルスコーダ
12 ワイヤ電極送りパイプ構造
13 第1のワイヤ電極溶断用電極
14a ワイヤ電極先端検出手段
14b 第2のワイヤ電極溶断用電極(ワイヤ電極溶断手段)
16 ピンチローラ
17 ワイヤ電極巻き取りローラ
18 下ワイヤ電極ガイド
18a 下ノズル
19 テーブル面
20 ワイヤ電極
21,22,23 転向ローラ
24 ピンチローラ
25 誘導パイプ
26 グリップ部
27 アーム
30a 加工用上電極
30b 加工用下電極

40 被加工物
41 加工開始孔
42 加工経路
43 加工溝
44 中子
45 中子固定部
46 中子固定終了位置
47 断線位置
48 自動結線位置
49 断線位置まで戻る経路
50a,50b 結線位置へ移動経路
51 切り残し部

60 中子固定終了位置記憶手段
61 中子固定終了位置判断手段
62 断線位置記憶手段
63 後退位置算出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12