【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省「移動通信システムにおける三次元稠密セル構成及び階層セル構成技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Huawei, HiSilicon,Discussion on new measurement quantity for Multicarrier,3GPP TSG-RAN WG4#75 R4-152951,フランス,3GPP,2015年 5月18日,paragraph 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記HetNetでは、マクロセル内に多数のマクロセルが配置されることが想定され、そのマクロセルとスモールセルとの間の階層間ハンドオーバが頻繁に発生し、基地局での過剰なハンドオーバ処理、ハンドオーバの失敗、ピンポンハンドオーバが発生しやすい。そのため、基地局での過剰なハンドオーバ処理、ハンドオーバの失敗、ピンポンハンドオーバが発生しないように階層間ハンドオーバを精度よく適切に行う必要がある。
【0006】
上記階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うには、ハンドオーバ元のソースセル及びハンドオーバ先のターゲットセルそれぞれにおける移動局の通信品質である受信SINR(信号対干渉・雑音比)に基づいてハンドオーバの開始を判断することが有効である。しかしながら、この受信SINRは移動局で直接測定する機能が備わっていないため、従来のLTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedの標準規格では、前述のように参照信号の受信電力(RSRP)または参照信号の受信品質(RSRQ)に基づいてハンドオーバの開始を判断している。このRSRPまたはRSRQはいずれも通信品質(受信SINR)を直接反映したものでないため、上記階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うためのパラメータとして不十分である。
【0007】
上記RSRQの値は、上記RSRPよりは通信品質(受信SINR)を反映したものではあるが、各セルの下りリンク信号における無線リソースの使用状況によって変化してしまう。例えば、リソースブロック(RB)中のすべてのリソースエレメント(RE)を使用しているか、あるいは、リソースブロック(RB)中の一部のリソースエレメント(RE)のみを使用しているかによって、上記RSRQの値は変化してしまう。このため、上記RSRQの値を、前述のハンドオーバの開始判断における受信SINRの代わりに用いると、上記階層間ハンドオーバを適切に行うことができないおそれがある。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、サービングセル及び周辺セルそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、サービングセル及び周辺セルそれぞれにおける移動局での受信信号品質を精度よく測定することができる基地局及び通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る移動通信システムは、第1基地局と、前記第1基地局の周辺に存在する一又は複数の第2基地局とを備え、前記第1基地局は、移動局が接続しているとき、所定期間に下りリンク信号を常時送信し、前記第1基地局は、前記第2基地局に、前記所定期間と同一期間又は異なる期間に下りリンク信号の常時送信を行うように要求し、前記第2基地局は、前記第1基地局からの要求に基づいて、前記所定期間と同一期間又は異なる期間に下りリンク信号を常時送信し、前記第1基地局は、前記常時送信された下りリンク信号を受信した移動局からフィードバックされるRSRQ(参照信号の受信品質)の値に基づいて、前記第1基地局のセル及び前記第2基地局のセルそれぞれにおける前記移動局での受信信号品質を推定する。
前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記移動局からフィードバックされるRSRQの値に基づいて、前記第1基地局のセル及び前記第2基地局のセルそれぞれにおける前記移動局での受信SINRの値を推定してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記移動局が接続しているときの前記第1基地局のセルのリソース使用率R
uの情報と前記第1基地局のセルにおける前記移動局でのRSRQの測定値とに基づいて、下記式(1)により前記第1基地局のセルにおける前記移動局での受信SINRの値を推定し、前記第2基地局に対して、前記第2基地局のセルのリソース使用率R
uの情報を要求して取得し、取得した前記リソース使用率Ruの情報と前記第2基地局のセルにおける前記移動局でのRSRQの測定値とに基づいて、下記式(1)により前記第2基地局のセルにおける前記移動局での受信SINRの値を推定しもよい。
【数1】
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記移動局からフィードバックされる前記RSRQの値又は前記受信SINRの値に基づいて、ハンドオーバ開始を判定してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局及び前記第2基地局の少なくとも一方は、自身が送信すべきデータがなければダミーデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信し、自身が送信すべきデータがあればそのデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信してもよい。
また、移動通信システムにおいて、前記第1基地局及び前記第2基地局の少なくとも一方は、リソースブロック内のすべてのリソースエレメントを使って前記下りリンク信号の常時送信を行ってもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る基地局は、移動通信システムの基地局であって、移動局が接続しているとき、所定期間に下りリンク信号を常時送信し、自セルの周辺に存在する一又は複数の他の基地局に、前記所定期間と同一期間又は異なる期間に下りリンク信号の常時送信を行うように要求し、前記常時送信された下りリンク信号を受信した移動局からフィードバックされるRSRQ(参照信号の受信品質)の値に基づいて、自セル及び前記他の基地局のセルそれぞれにおける前記移動局での受信信号品質を推定する。
前記基地局において、前記移動局からフィードバックされるRSRQの値に基づいて、前記自セル及び前記他の基地局のセルそれぞれにおける前記移動局での受信SINRの値を推定してもよい。
また、基地局において、前記移動局が接続しているときの自セルのリソース使用率R
uの情報と自セルにおける前記移動局でのRSRQの測定値とに基づいて、上記式(1)により自セルにおける前記移動局での受信SINRの値を推定し、前記他の基地局に対して、前記他の基地局のセルのリソース使用率R
uの情報を要求して取得し、取得した前記リソース使用率Ruの情報と前記他の基地局のセルにおける前記移動局でのRSRQの測定値とに基づいて、上記式(1)により前記他の基地局のセルにおける前記移動局での受信SINRの値を推定してもよい。
また、前記基地局において、前記移動局からフィードバックされる前記RSRQの値又は前記受信SINRの値に基づいて、ハンドオーバ開始を判定してもよい。
また、前記基地局において、自身が送信すべきデータがなければダミーデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信し、自身が送信すべきデータがあればそのデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信してもよい。
また、前記基地局において、リソースブロック内のすべてのリソースエレメントを使って前記下りリンク信号の常時送信を行ってもよい。
【0011】
また、本発明の更に他の態様に係る基地局は、移動通信システムの移動局が接続しているセルの周辺に位置する基地局であって、移動局が接続している他の基地局からの要求に基づいて、下りリンク信号を常時送信する。
前記基地局において、自身が送信すべきデータがなければダミーデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信し、自身が送信すべきデータがあればそのデータの信号を前記下りリンク信号として常時送信してもよい。
また、前記基地局において、リソースブロック内のすべてのリソースエレメントを使って前記下りリンク信号の常時送信を行ってもよい。
【0012】
なお、前記移動通信システム及び基地局における「常時送信」は、所定期間(時間)の全体にわたって連続的又は断続的に送信することを意味し、所定期間(時間)内において下りリンク信号を連続的に切れ目なく送信する態様、所定期間(時間)内において一定時間間隔毎に下りリンク信号を断続的に送信する態様、サブフレーム単位やフレーム単位で送信する態様などの各種態様の常時送信を含む概念である。また、これら各種態様の常時送信は任意に指定できるようにしてもよい。また前記「常時送信」を行う所定期間(時間)の指定は、たとえばサブフレーム単位やフレーム単位で行ってもよい。また、前記「常時送信」を行う時間において、前記移動通信システムに用いている全周波数で送信してもよいし、前記周波数の一部を更に指定してもよい。通常は、基地局の通信状況に依らずに「常時送信」は行われていないため、意図的に周辺セルに常時送信をさせることで、ワーストの受信信号品質を精度よく測定することができる。
また、前記移動局が接続しているサービングセル基地局がマクロセル基地局であり前記周辺セルの基地局がマクロセル内に配置されたスモールセル基地局であってもよい。また、前記周辺セルの基地局がマクロセル基地局であり前記移動局が接続しているサービングセル基地局がマクロセル内に配置されたスモールセル基地局であってもよい。
【0013】
前記移動通信システム及び基地局において、前記移動局がRSRQを測定する「常時送信」の所定期間(時間)は、フィルタ等の手段を含む平均化処理に応じて、測定対象となる時間を若干前後に変更させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サービングセル及び周辺セルそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、サービングセル及び周辺セルそれぞれにおける移動局での受信信号品質を精度よく測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ここでは、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。
【0017】
まず、本発明を適用可能な移動通信システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るマクロセル基地局とスモールセル基地局とが配置された移動通信システムの概略構成を示す説明図である。
【0018】
図1において、本実施形態の移動通信システムは、LTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedの標準仕様に準拠した通信システムであり、第1の基地局としてのマクロセル基地局10と、そのマクロセル基地局10の無線通信エリアであるセル(以下、適宜「マクロセル」という。)10A内に位置する第2の基地局としてのスモールセル基地局20とを備える。スモールセル基地局20の無線通信エリアであるセル(以下、適宜「スモールセル」という。)20Aは、マクロセル基地局10のマクロセル10Aの内側に含まれている。マクロセル20Aは主に屋外にあるため、屋外マクロセルとも呼ばれる。
【0019】
近年、大都市部においては、中高層ビルの屋内オフィスでの通信トラフィックが急増しているため、高さ方向にも効率良く通信トラフィックを運ぶ手段が求められている。そのため、マクロセル10A内に位置するビル等の建物内の高さ方向を含めて3次元的にスモールセル基地局20を展開して設置する3次元空間セル構成が有効である。
【0020】
図1において、移動局であるユーザ端末装置(UE:User Equipment)30は、マクロセル基地局10のマクロセル10Aに在圏してマクロセル基地局10に接続されたユーザ端末装置(MUE)であり、マクロセル基地局10を介して電話やデータ通信などのための無線通信が可能な状態にある。このユーザ端末装置(以下「端末」という。)30は、サービングセルであるマクロセル10Aと周辺セルであるスモールセル20Aとの境界部に近い位置に在圏しているため、スモールセル20Aからの干渉を受けやすい状況にある。
【0021】
端末30は、マクロセル10Aやスモールセル20Aに在圏するときに、その在圏するセルに対応するマクロセル基地局やスモールセル基地局と間で所定の通信方式及び無線通信リソースを用いて無線通信することができる。端末30は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより基地局10,20等との間の無線通信等を行うことができる。
【0022】
マクロセル基地局10は、移動体通信網において屋外に設置されている通常の半径数百m乃至数km程度の広域エリアであるマクロセルをカバーする広域の基地局であり、「マクロセル基地局」、「Macro e−Node B」、「MeNB」等と呼ばれる場合もある。マクロセル基地局10は、他の基地局と例えば有線の通信回線で接続され、所定の基地局間通信インターフェースで通信可能になっている。また、マクロセル基地局10は、回線終端装置及び専用回線などの通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上のサーバ装置などの各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
【0023】
スモールセル基地局20は、広域のマクロセル基地局とは異なり、無線通信可能距離が数m乃至数百m程度であり、一般家庭、店舗、オフィス等の建物40の内部にも設置することができる小容量の基地局である。スモールセル基地局20は、移動体通信網における広域のマクロセル基地局がカバーするエリアよりも小さなエリアをカバーするように設けられるため「スモールセル基地局」と呼ばれたり、「Small e−Node B」や「Small eNB」と呼ばれたりする場合もある。スモールセル基地局20についても、回線終端装置及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や光回線等のブロードバンド公衆通信回線などの通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上のサーバ装置などの各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
【0024】
また、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20それぞれの基地局は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより、後述の干渉を抑制するための各種処理を実行したり、所定の通信方式及び無線通信リソースを用いて端末30との間の無線通信を行ったりすることができる。
【0025】
各基地局10、20は、移動局である端末に対してOFDM(直交周波数分割多重)方式の下りリンクの無線通信可能な基地局である。基地局10、20は、例えば、アンテナ、無線信号経路切り換え部、送受共用器(DUP:Duplexer)、下り無線受信部とOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調部、上り無線受信部、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access)復調部など備える。更に、各基地局10、20は、OFDM変調部、下り無線送信部、制御部等を備える。
【0026】
SC−FDMA復調部は、上り無線受信部で受信した受信信号に対してSC−FDMA方式の復調処理を実行し、復調されたデータを制御部に渡す。OFDM変調部は、制御部から受けた自局のセルに在圏している端末に向けて送信する下り信号のデータを、所定の電力で送信されるように、OFDM方式で変調する。また、基地局が例えばサーバ装置から送信停止対象のサブフレームの情報を受信した場合、OFDM変調部は、無線通信フレーム中の特定のサブフレームについてのみ下り送信を停止するように制御される。下り無線送信部は、OFDM変調部で変調した送信信号を、送受共用器、無線信号経路切り換え部及びアンテナを介して送信する。
【0027】
基地局10、20の制御部は、例えばコンピュータ装置で構成され、所定のプログラムが読み込まれて実行されることにより、各部を制御したり各種処理を実行したりする。また、制御部は、外部通信インターフェース部と協働して、送信停止対象のサブフレームの情報であるABSパターン情報をサーバ装置から受信する手段としても機能する。また、制御部は、サーバ装置から受信した送信停止対象のサブフレームの情報(ABSパターン情報)に基づいて、特定の送信停止対象のサブフレームにおける下り送信を停止するように制御する手段としても機能する。
【0028】
上記基地局10、20のうちスモールセル基地局20の制御部は、マクロセル基地局10から受信した同期信号に基づいてマクロセル基地局10との間の時間同期処理を行う手段としても機能する。なお、スモールセル基地局20における時間同期処理については後述する。
【0029】
なお、
図1では、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20を一つずつ図示しているが、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20はそれぞれ複数であってもよい。また、
図1では、マクロセル10A及びスモールセル20Aそれぞれに在圏する端末が1台ずつ在圏する場合について図示しているが、各セルに在圏する端末は複数台であってもよい。
【0030】
また、本実施形態の移動通信システムにおいて、各基地局10、20と通信回線を介して通信可能なサーバ装置を備えてもよい。このサーバ装置は、SON(Self-Organizing Network)サーバなどとも呼ばれ、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部などのハードウェアを用いて構成される。サーバ装置は、所定のプログラムが実行されることにより、所定の通信回線を介してマクロセル基地局10及びスモールセル基地局20と通信することができる。また、サーバ装置のコンピュータ装置は、被干渉のスモールセル基地局20から受信した干渉信号レベルの情報に基づいて、端末に対する下り送信の無線通信フレーム内の少なくとも一つのサブフレームについて干渉源のマクロセル基地局10からの下り送信の停止が必要か否かを判断する手段として機能する。また、サーバ装置のコンピュータ装置は、前記下り送信の停止が必要であると判断した場合、無線通信フレーム内の少なくとも一つの送信停止対象のサブフレームを決定する手段としても機能する。サーバ装置のコンピュータ装置は、外部通信インターフェース部と協働して、被干渉のスモールセル基地局20における干渉信号レベルの情報をスモールセル基地局20から受信する手段、及び干渉源のマクロセル基地局10に、前記決定した送信停止対象のサブフレームの情報を送信する手段としても機能する。
【0031】
次に、上記構成の移動通信システムにおけるセル間干渉制御について説明する。
前述のように急増する移動通信のトラフィックへの対策としてマクロセル10A上にスモールセル20Aを重畳するオーバレイセル構成の適用が有効である。しかし、オーバレイセル構成でマクロセル10Aとスモールセル20Aが同一周波数帯域を使用する場合、マクロセル10Aとスモールセル20Aとの間の干渉が生じるため、その適用効果を最大化するためには干渉を制御することが必要となる。干渉制御方法としては、LTE−Advanced標準のeICIC(enhanced Inter-Cell Interference Coordination)技術が有効である。
【0032】
図2は、LTEダウンリンクの無線通信フレームの時間軸方向のフォーマットの一例を示す説明図である。
図3は、サブフレームの一構成例を示す説明図である。無線フレーム長は10msであり、1ms長の10個のサブフレームから構成される。
【0033】
図2に示すように、LTEダウンリンクの信号の1単位である所定長(図示の例では10[ms])の無線通信フレーム100は、所定個数(図示の例では10個)の所定長(図示の例では1.0[ms])のサブフレーム110で構成される。LTEダウンリンクのスケジューリングの最小時間単位であるTTI(Transmission Time Interval)は1サブフレームであるので、サブフレームごとに、スケジューリングされた端末へ無線リソースの最小単位であるリソースブロック(RB)が割り当てられる。各サブフレーム110は、後述のように制御チャネル領域110Aとデータチャネル領域110Bとを有する。
【0034】
また、
図3に示すように、各サブフレーム110は14OFDMシンボルから構成される。また、無線リソース割当て最小単位はRB(Resource Block)と呼ばれ、周波数方向に12サブキャリア、時間軸方向に7OFDMシンボルの計84個のRE(Resource Element)で構成される。
【0035】
図4は、無線通信フレームを構成するサブフレームのフォーマットの一例を示す説明図である。
図4において、各サブフレーム110は、例えば周波数軸方向に12サブキャリア(15[kHz])、時間軸方向に14OFDMシンボルの計168個のRE(Resource Element)で構成される。なお、Extended Cyclic Prefixが用いられる場合は、1サブフレーム内に12OFDMシンボルが送信される。ここで、「シンボル」とは、無線通信で伝送される情報の一単位である。また、一つのシンボルは伝送対象の情報の1回の変調で生成され、1シンボルの情報量(ビット数)は変調方式によって決まる。1サブフレーム毎に各端末がどの周波数/時間リソースマッピングされているのか、各端末へのデータ信号がどのような変調フォーマット(変調方式、符号化率)を使用するか等のスケジューリングを行い、その結果が端末へ通知される。
【0036】
図4に示すように、各サブフレーム110は、下りリンクL1/L2制御チャネル信号のREがマッピングされる先頭部分の制御チャネル領域110Aと、データチャネル信号や上位制御チャネル信号のREがマッピングされるデータチャネル領域110Bとを有する。なお、制御チャネル領域110Aはサブフレームの先頭の1〜3のOFDMシンボルを割り当てることができる。
【0037】
サブフレーム110の制御チャネル領域110Aには、L1/L2制御チャネルであるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)が設定される。PDCCHは、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI:Downlink Control Information)の伝送に用いられる。DCIには、PDSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ情報、および空間多重に関する制御情報を含む下りリンクスケジューリング割当てが含まれる。また、DCIには、PUSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ関連情報、上りリンクのスケジューリング情報である上りリンクグラントも含まれる。
【0038】
また、サブフレーム110のデータチャネル領域110Bには、物理共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)が設定される。PDSCHは、下りリンクデータを送信する物理チャネルであり、MIMO伝送方式としてMIMOダイバーシティに加え、LTEでは最大4レイヤのMIMO多重、LTE−Advancedでは最大8レイヤのMIMO多重に対応する。また、MIB以外の報知情報であるSIBや着信時の呼び出しであるページング情報、その他上位レイヤの制御メッセージ、例えばRRC(Radio Resource Control protocol)レイヤの制御情報もPDSCHで送信される。端末は、PDCCHから取得した無線リソース割当位置、変調方式、データサイズ(TB:Transport Block size)等の情報に基づいてPDSCHを復号する。
【0039】
また、LTEにおいてサブフレーム110内の時間領域で14OFDMシンボルのうち、第1、5、8、12OFDMシンボル内にセル固有の参照信号(CRS)が分散して規則的に配置される。この参照信号CRSは、端末におけるチャネル品質情報(CSI:Channel State Information)の測定用の基準信号及びデータ復調用の基準信号という2つの役割を担っている。参照信号CRSはセルIDによって、異なるスクランブリングとマッピングされるサブキャリア位置の周波数シフトが適用される。また、前述のように、通常のサブフレーム内にマッピングされた参照信号CRSについてはABSで送信を停止することができず、MBSFNサブフレーム内にマッピングされた先頭以外の参照信号CRSについてはABSで送信を停止することができる。
【0040】
図5は、セル間干渉制御技術(eICIC)で採用されているABSによるサブフレームにおける送信停止の様子の一例を示す説明図である。eICICでは、例えばマクロセルの一部のサブフレーム(図示の例では♯1〜#3、#6〜#8のサブフレーム)でABSを設定することで、データチャネル(PDCCH)信号送信を停止し、スモールセルに接続している端末におけるデータチャネルの干渉を低減することができる。また、スモールセルの一部のサブフレーム(図示の例では♯0,#4,#5,#9のサブフレーム)で同様にABSを設定することにより、マクロセルに接続している端末におけるデータチャネルの干渉を低減することができる。
【0041】
次に、上記構成の移動通信システムにおいて端末30が接続しているマクロ基地局(第1基地局)10のマクロセル10Aからセル境界エリアを通過してスモールセル基地局(第2基地局)20のスモールセル20Aに移動するときのハンドオーバ処理について説明する。
【0042】
なお、以下の説明において、適宜、端末30が接続しているサービングセルであるマクロセル10A及びマクロ基地局10をそれぞれソースセル10A及びソースセル基地局10ともいう。また、ハンドオーバ後の端末30が接続する周辺セルであるスモールセル20A及びスモールセル基地局20をそれぞれターゲットセル20A及びターゲットセル基地局20ともいう。
【0043】
図6は本実施形態に係る移動通信システムのハンドオーバ制御時の端末30における下りリンクの参照信号(CRS)の受信品質(RSRQ)の時間変化を示すグラフである。図中縦軸の参照信号の受信品質(RSRQ)は次式(2)で定義される。
【数2】
【0044】
上記式(2)中の「N」はLTEシステム帯域幅内のリソースブロック数(例えば帯域幅が10MHzの場合、N=50)であり、「RSRP」は端末で受信される下りリンクの参照信号(CRS)の受信電力(平均値)であり、総受信信号電力「RSSI」は端末で受信される下りリンクの総受信電力である。RSSIは、端末が接続しているソースセル(自セル)からの下りリンク信号の受信電力だけでなく、ターゲットセルなどの隣接セルからの下りリンク信号の受信電力や、雑音電力も含む。
【0045】
端末30は、接続中のソースセル基地局10に測定結果報告(MR:Measurement Report)を送出する。ソースセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、周辺基地局であるターゲットセル基地局20から送信した参照信号の受信品質(RSRQ)Q2と自局(第1基地局)10から送信した参照信号の受信品質(RSRQ):Q1との受信品質差ΔQ(=Q2−Q1)が所定の閾値Th(HO)(「A3offset」や「ハンドオーバマージン」ともいう。)を上回っているかどうか監視するハンドオーバ開始判定処理を行う。
【0046】
上記ハンドオーバ開始判定処理において、ソースセル基地局10は、受信品質差ΔQが所定の閾値Th(HO)よりも大きくなったときにハンドオーバ処理を開始する。このハンドオーバの開始判定に用いるRSRQは、従来のRSRPに比して各セルでの通信品質(受信SINR)をより反映したものである。
【0047】
しかしながら、上記式(2)に示すRSRQの定義式の分母にあるRSSIは、ソースセル10Aからの下りリンク信号の受信電力と、ターゲットセル20Aからの下りリンク信号の受信電力とを含む。しかも、その受信電力の値は、各セルでのリソースの使用状況に応じて変動する。例えば、サブフレーム中のすべてのリソースエレメントを使用して送信した場合、RSSIは−70dBmであり、サブフレーム中の参照信号(CRS)のみを送信した場合、RSSIは−80dBmである。このようにRSRQの定義式に含まれるRSSIが各セルでの無線リソースの使用状況に応じて変動するため、RSRQは各セルでの無線リソースの使用状況に応じて変動する。
【0048】
また、上記RSRQと受信SINRとの間には次式(3)の関係がある。ここで、式(3)中の「R
u」は下りリンク信号の送信に用いられるリソース使用率であり、1リソースブロック(RB)当たりのサブキャリアの使用数で定義される。1RB中のすべてのサブキャリアを使用するフルバッファの場合、R
u=12であり、1RB中の参照信号(CRS)のみのサブキャリアを使用する場合、R
u=4である。
【数3】
【0049】
図7は、上記式(3)を用いて3種類のRu(=4,8,12)について計算したRSRQと受信SINRとの間を示すグラフである。図示のように、同じ受信SINRであっても、RSRQは下りリンク信号の送信に用いられるリソース使用率(R
u)に応じて変動してしまう。
【0050】
そこで、本実施形態に係る移動通信システムでは、以下に示すように、各セルでの無線リソースの使用状況にかかわらず、受信信号品質を精度よく測定できるように各セルからの下りリンク信号の送信を制御している。
【0051】
図8は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるサービングセル及び周辺セルにおける受信信号品質の測定の一例を示すシーケンス図である。なお、
図8において、端末30が接続しているセル10A及び第1基地局10をそれぞれサービングセル及びサービングセル基地局といい、第1基地局10の周辺のセル20A及び第2基地局20をそれぞれ周辺セル及び周辺セル基地局という。また、周辺セル基地局20は単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0052】
図8において、サービングセル基地局10は、受信信号品質の測定を開始するか否かの判断を行う。ここで、「常時送信」は、所定期間(時間)の全体にわたって連続的又は断続的に送信することを意味し、所定期間(時間)内において下りリンク信号を連続的に切れ目なく送信する態様、所定期間(時間)内において一定時間間隔毎に下りリンク信号を断続的に送信する態様、サブフレーム単位やフレーム単位で送信する態様などの各種態様の常時送信を含む概念である。また、これら各種態様の常時送信は任意に指定できるようにしてもよい。また、前記「常時送信」を行う所定期間(時間)の指定は、たとえばサブフレーム単位やフレーム単位で行ってもよい。また前記「常時送信」を行う時間において、前記移動通信システムに用いている全周波数で送信してもよいし、前記周波数の一部を更に指定してもよい。
【0053】
サービングセル基地局10は、端末30がRSRQを測定する「常時送信」の所定期間(時間)は、フィルタ等の手段を含む平均化処理に応じて、測定対象となる時間を若干前後に変更させてもよい。
【0054】
サービングセル基地局10は、受信信号品質の測定を開始すると、自局における全リソースによる下りリンク信号の常時送信を所定時間行う全リソースでの常時送信を開始するとともに、全リソースによる下りリンク信号の常時送信を所定期間行うように要求する全リソース送信要求を周辺セル基地局20に要求する。
【0055】
周辺セル基地局20は、サービングセル基地局10から受信した全リソース送信要求に基づいて、全リソースによる下りリンク信号の常時送信を所定時間行う全リソースでの常時送信を開始する。
【0056】
上記全リソースでの送信を開始した後、サービングセル基地局10は、全リソースでの下りリンク信号を受信した端末30からサービングセル10Aに対応する測定結果報告(MR)を受信し、その測定結果報告(MR)に含まれるにRSRQの測定値に基づいて、サービングセル10Aにおける端末30での受信信号品質としての受信SINRを推定する。更に、サービングセル基地局10は、全リソースでの下りリンク信号を受信した端末30から周辺セル20Aに対応する測定結果報告(MR)を受信し、その測定結果報告(MR)に含まれるにRSRQの測定値に基づいて、周辺セル20Aにおける端末30での受信信号品質としての受信SINRを推定する。
【0057】
サービングセル基地局10は、上記受信SINRの推定が終わった後、自局における全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了するとともに、上記所定期間が経過したタイミングで、全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了するように要求する全リソース送信終了要求を周辺セル基地局20に要求する。
【0058】
周辺セル基地局20は、サービングセル基地局10から受信した全リソース送信終了要求に基づいて、周辺セル基地局20における全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了する。
【0059】
以上、
図8の受信信号品質の測定例によれば、サービングセル基地局10及び周辺セル基地局20それぞれから全リソースを用いるという互いに同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で、全リソースでの下りリンク信号の常時送信が実施される。このように同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で各基地局10,20から常時送信された下りリンク信号を端末30が受信することにより、各基地局10,20からのRSRQ(参照信号の受信品質)を精度よく測定することができる。この高い精度のRSRQの測定値に基づいて、サービングセル10A及び周辺セル20Aそれぞれにおける端末30での受信SINRを精度よく推定することができる。
【0060】
また、上記ABSによる選択的なサブフレームの送信停止を行うセル間干渉制御技術(eICIC)により、サービングセル基地局10及び周辺セル基地局20のいずれか一方の基地局から所定のサブフレームの下りリンク信号を全リソースで送信するとき、他方の基地局では当該サブフレームのデータ信号の送信が停止されている。従って、前記一方の基地局からの下りリンク信号を端末30が受信するとき他方の基地局からのデータ信号による干渉がないため、上記RSRQに基づく受信SINRの推定結果の精度を更に高めることができる。
【0061】
なお、サービングセル基地局10及び周辺セル基地局20それぞれから送信される下りリンク信号の送信に互いに異なる周波数帯を使用してもよい。この場合は、上記ABSによる選択的なサブフレームの送信停止を行うセル間干渉制御技術(eICIC)を適用しなくても、前記データ信号による干渉を受けることなく上記RSRQに基づく受信SINRの推定結果の精度を更に高めることができる。
【0062】
図9は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるサービングセル及び周辺セルにおける受信信号品質の測定の他の例を示すシーケンス図である。
図9において、サービングセル基地局10は、受信信号品質の測定を開始すると、自局内の所定のメモリに記憶されている自局のリソース使用率R
uの情報を読み出す。また、サービングセル基地局10は、リソース使用率R
uの情報を要求するリソース使用率情報要求を、基地局間通信インターフェースを介して周辺セル基地局20に送信する。
【0063】
周辺セル基地局20は、その基地局内の所定のメモリに記憶されているリソース使用率R
uの情報を読み出し、基地局間通信インターフェースを介してサービングセル基地局10に送信する。
【0064】
サービングセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)に含まれるRSRQの測定値と、リソース使用率R
uとに基づき、次式(4)を用いて、各セル10A,20Aにおける端末30での受信SINRを推定する。
【数4】
【0065】
以上、
図9の測定例によれば、サービングセル10A及び周辺セル20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況の影響を受けない受信SINRの値を精度よく推定することができる。
【0066】
図10は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるサービングセル及び周辺セルにおける受信信号品質の測定の更に他の例を示すシーケンス図である。
図10において、サービングセル基地局10は、受信信号品質の測定を開始すると、自局内の所定のメモリに記憶されている自局のリソース使用率R
uの情報を読み出し、自局における全リソースでの常時送信を開始するとともに全リソース送信要求を周辺セル基地局20に要求する。
【0067】
周辺セル基地局20は、その基地局内の所定のメモリに記憶されているリソース使用率R
uの情報を読み出し、基地局間通信インターフェースを介してサービングセル基地局10に送信するとともに、サービングセル基地局10から受信した全リソース送信要求に基づいて全リソースでの常時送信を開始する。
【0068】
上記全リソースでの送信を開始した後、サービングセル基地局10は、全リソースでの下りリンク信号を受信した端末30からサービングセル10Aに対応する測定結果報告(MR)を受信し、その測定結果報告(MR)に含まれるにRSRQの測定値と、自局のリソース使用率R
uとに基づき、上記式(4)を用いて、サービングセル10Aにおける端末30での受信信号品質としての受信SINRを推定する。
【0069】
更に、サービングセル基地局10は、全リソースでの下りリンク信号を受信した端末30から周辺セル20Aに対応する測定結果報告(MR)を受信し、その測定結果報告(MR)に含まれるにRSRQの測定値と、周辺セル基地局20から受信したリソース使用率R
uとに基づき、上記式(4)を用いて、周辺セル20Aにおける端末30での受信信号品質としての受信SINRを推定する。
【0070】
サービングセル基地局10は、上記受信SINRの推定が終わった後、自局における全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了するとともに、上記所定期間が経過したタイミングで、全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了するように要求する全リソース送信終了要求を周辺セル基地局20に要求する。
【0071】
周辺セル基地局20は、サービングセル基地局10から受信した全リソース送信終了要求に基づいて、周辺セル基地局20における全リソースでの下りリンク信号の常時送信を終了する。
【0072】
以上、
図10の受信信号品質の測定例によれば、サービングセル基地局10及び周辺セル基地局20それぞれから全リソースを用いるという互いに同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で、全リソースでの下りリンク信号の常時送信が実施される。このように同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で各基地局10,20から常時送信された下りリンク信号を端末30が受信することにより、各基地局10,20からのRSRQ(参照信号の受信品質)を精度よく測定することができる。この高い精度のRSRQの測定値とリソース使用率R
uとに基づいて、サービングセル10A及び周辺セル20Aそれぞれにおける端末30での受信SINRを更に精度よく推定することができる。
【0073】
次に、本実施形態の移動通信システムにおける受信信号品質に基づくハンドオーバ制御について説明する。
【0074】
前述のように、上記RSRQが各セルでの無線リソースの使用状況に応じて変動するため、上記ソースセル(マクロセル)10Aからターゲットセル(スモールセル)20Aへの階層間ハンドオーバの開始を精度よく判定することができず、階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うことができないおそれがある。
【0075】
そこで、本実施形態では、以下に示す基地局によるハンドオーバ制御により、ソースセル及びターゲットセルそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、マクロセルとスモールセルとの間の階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うことができるようにしている。
【0076】
図11(a)は、本実施形態に係る移動通信システムのソースセル10Aからターゲットセル20Aに端末30がハンドオーバするときのハンドオーバ制御の一例を示すシーケンス図である。また、
図11(b)は、
図11(a)のハンドオーバ制御時のソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれから受信した下りリンク参照信号の受信品質(RSRQ)の時間変化の一例を示すグラフである。なお、
図11(a)において、前述の図
8と共通する部分については説明を省略する。
【0077】
図11において、ソースセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、ハンドオーバで用いるRSRQの測定値の精度を高めるために各セルにおいて全リソースで送信するか否かの判断を行う。具体的には、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局(第2基地局)20から送信した参照信号の受信品質(RSRQ):Q2と自局(第1基地局)10から送信した参照信号の受信品質(RSRQ):Q1との受信品質差ΔQ(=Q2−Q1)が所定の第1閾値Th1を超えか否か(又は閾値Th1以上になったか否か)を判断する。ここで、受信品質差ΔQが所定の第1閾値Th1を超えた場合(又は閾値Th1以上になった場合)、ソースセル基地局10は、両方の受信品質Q1,Q2が拮抗してきたと判断し、自局における全リソースでの所定期間の下りリンク信号の常時送信を開始するとともに、全リソースで下りリンク信号を所定期間だけ常時送信するように要求する全リソース送信要求をターゲットセル基地局20に要求する。
【0078】
ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から受信した全リソース送信要求に基づいて、ターゲットセル基地局20における全リソースでの下りリンク信号の常時送信を開始する。
【0079】
上記全リソースでの常時送信を開始した後、ソースセル基地局10は、ハンドオーバ開始判定処理を開始し、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、前述の受信品質差ΔQが所定の第2閾値Th2(HO)を超えたか(又は第2閾値Th2(HO)以上になったか)を監視する。
【0080】
ソースセル基地局10は、受信品質差ΔQが第2閾値Th2(HO)を超えた場合(又は第2閾値Th2(HO)以上になった場合)、ターゲットセル基地局20にハンドオーバ要求を送信し、ターゲットセル基地局20からハンドオーバ要求応答を受信したら、ハンドオーバ指示(HO Command)を端末30に送信する。ハンドオーバ指示を受けた端末30は、ハンドオーバ先のターゲットセル基地局20にハンドオーバ完了を送信してターゲットセル基地局20との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
【0081】
上記ハンドオーバが完了した後、ソースセル基地局10及びターゲットセル基地局20はそれぞれ、全リソースでの常時送信を終了する。
【0082】
以上、
図11のハンドオーバ制御例によれば、ハンドオーバ開始判定処理にソースセル基地局10及びターゲットセル基地局20それぞれから全リソースを用いるという互いに同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で、全リソースでの下りリンク信号の常時送信が実施される。このように同じリソース使用条件(フルバッファ条件)の下で各基地局10,20から送信された下りリンク信号を端末30が受信することにより、各基地局10,20からのRSRQ(参照信号の受信品質)を精度よく測定することができ、その高い精度のRSRQの測定値に基づいて、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへの階層間ハンドオーバの開始を精度よく判定できる。従って、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへの階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うことができる。
【0083】
また、上記ABSによる選択的なサブフレームの送信停止を行うセル間干渉制御技術(eICIC)により、ソースセル基地局10及びターゲットセル基地局20のいずれか一方の基地局から所定のサブフレームの下りリンク信号を全リソースで送信するとき、他方の基地局では当該サブフレームのデータ信号の送信が停止されている。従って、前記一方の基地局からの下りリンク信号を端末30が受信するとき他方の基地局からのデータ信号による干渉がないため、上記階層間ハンドオーバの開始判定に用いるRSRQの測定値の精度を更に高めることができる。
【0084】
なお、ソースセル基地局10及びターゲットセル基地局20それぞれから送信される下りリンク信号の送信に互いに異なる周波数帯を使用してもよい。この場合は、上記ABSによる選択的なサブフレームの送信停止を行うセル間干渉制御技術(eICIC)を適用しなくても、前記データ信号による干渉を受けることなく上記階層間ハンドオーバの開始判定に用いるRSRQを精度よく測定することができる。
【0085】
図
12は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるソースセルからターゲットセルに端末がハンドオーバするときのハンドオーバ制御の他の例を示すシーケンス図である。なお、図
12において、前述の図
8と共通する部分については説明を省略する。
【0086】
図
12において、ソースセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、受信SINRの推定のためのリソース使用率R
uの情報をターゲットセル基地局20に要求するか否かの判断を行う。具体的には、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局(第2基地局)20から送信した参照信号の受信品質(RSRQ):Q2と自局(第1基地局)10から送信した参照信号の受信品質(RSRQ):Q1との受信品質差ΔQ(=Q2−Q1)が所定の第1閾値Th1を超えか否か(又は閾値Th1以上になったか否か)を判断する。ここで、受信品質差ΔQが所定の第1閾値Th1を超えた場合(又は閾値Th1以上になった場合)、ソースセル基地局10は、両方の受信品質Q1,Q2が拮抗してきたと判断し、ハンドオーバ開始判定処理を開始し、自局内の所定のメモリに記憶されている自局のリソース使用率R
uの情報を読み出す。また、ソースセル基地局10は、リソース使用率R
uの情報を要求するリソース使用率情報要求を、基地局間通信インターフェースを介してターゲットセル基地局20に送信する。
【0087】
ターゲットセル基地局20は、その基地局内の所定のメモリに記憶されているリソース使用率R
uの情報を読み出し、基地局間通信インターフェースを介してソースセル基地局10に送信する。
【0088】
ソースセル基地局10は、ハンドオーバ開始判定処理を開始した後、端末30から受信した測定結果報告(MR)に含まれるRSRQの測定値と、リソース使用率R
uとに基づき、前述の式(4)を用いて各基地局から受信した下りリンク信号の受信SINRを推定する。
【0089】
そして、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局(第2基地局)20から送信した下りリンク信号の受信SINR
targetと自局(第1基地局)10から送信した下りリンク信号の受信SINR
sourceとの差ΔSINR(=受信SINR
target−受信SINR
source)が所定の第3閾値Th3(HO)を超えたか(又は第3閾値Th3(HO)以上になったか)を監視する。
【0090】
ソースセル基地局10は、受信SINRの差ΔSINRが第3閾値Th3(HO)を超えた場合(又は第3閾値Th3(HO)以上になった場合)、ターゲットセル基地局20にハンドオーバ要求を送信し、ターゲットセル基地局20からハンドオーバ要求応答を受信したら、ハンドオーバ指示(HO Command)を端末30に送信する。ハンドオーバ指示を受けた端末30は、ハンドオーバ先のターゲットセル基地局20にハンドオーバ完了を送信してターゲットセル基地局20との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
【0091】
以上、図
12のハンドオーバ制御例によれば、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況の影響を受けない受信SINRの値を推定し、その受信SINRの推定値に基づいて、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへの階層間ハンドオーバの開始を精度よく判定できる。従って、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへの階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うことができる。
【0092】
以上、本実施形態によれば、サービングセル10A及び周辺セル20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、サービングセル及び周辺セルそれぞれにおける端末30での受信信号品質を精度よく測定することができる。
また、本実施形態によれば、ソースセル(サービングセル)10A及びターゲットセル(周辺セル)20Aそれぞれにおける無線リソースの使用状況にかかわらず、階層間ハンドオーバを精度よく適切に行うことができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、サービングセル10Aがマクロセルであり周辺セル20Aがスモールセルの場合について説明したが、上記実施形態の受信信号品質の測定は、サービングセル10Aがスモールセルであり周辺セル20Aがマクロセルの場合にも同様に適用することができる。
また、上記実施形態では、マクロセル10Aからスモールセル20Aへの階層間ハンドオーバの場合について説明したが、上記実施形態のハンドオーバ制御は、スモールセル20Aからマクロセル10Aへの階層間ハンドオーバの場合にも同様に適用することができる。
【0094】
また、本実施形態では、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に説明したが、LTE/LTE−Advancedと類似のOFDM(直交周波数分割多重)方式の下りリンクの無線通信、無線通信フレーム、OFDMシンボルなどを用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能であり、さらに本実施形態に示した送信機および受信機の構成に限定されない。
【0095】
また、本明細書で説明された処理工程並びに移動通信システム、マクロセル基地局10、スモールセル基地局20及びユーザ端末装置(移動局)30の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0096】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0097】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0098】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。