(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220008
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】メモリ回路
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20171016BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
G11C7/06 130
G11C16/26
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-84942(P2016-84942)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2017-10604(P2017-10604A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】15172706.2
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク−マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ルボミール・プラヴェック
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポ・マリネリ
【審査官】
後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−238288(JP,A)
【文献】
特開2003−317492(JP,A)
【文献】
特開2003−068983(JP,A)
【文献】
特開平10−241382(JP,A)
【文献】
特開2004−020325(JP,A)
【文献】
特開2004−273110(JP,A)
【文献】
特開2004−047016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/06
G11C 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子(15)と第2の端子(17)とを有する、データを記憶するための少なくとも1つのビットセル(12)であって、前記端子(15、17)のうちの一方はビット線(16)に結合された、ビットセル(12)と、
前記ビット線(16)に接続され、電流源(22)に接続され、前記ビットセル(12)に少なくとも読み取り電流を選択的に供給するように動作可能である少なくとも1つの電流スイッチ(20)と、
前記ビット線(16)上で感知ノード(33)に接続された少なくとも1つの入力(31)を有するセンス増幅器(30)であって、前記感知ノード(33)は前記ビットセル(12)と前記少なくとも1つの電流スイッチ(20)との間に位置し、前記少なくとも1つの入力(31)は前記ビットセル(12)に直接接続する、センス増幅器(30)と
を備える、メモリ回路。
【請求項2】
前記電流スイッチは、ソースとドレインとを備えるPMOSトランジスタ(20)を備え、前記ソースと前記ドレインとのうちの一方は前記電流源(22)に接続され、前記ソースと前記ドレインとのうちの他方は前記ビット線(16)に接続された、請求項1に記載のメモリ回路。
【請求項3】
前記ビットセル(12)の前記第1の端子(15)は前記ビット線(16)に接続された、請求項2に記載メモリ回路。
【請求項4】
前記電流スイッチは、ソースとドレインとを備えるNMOSトランジスタ(20)を備え、前記ソースと前記ドレインとのうちの一方は前記電流源(22)に接続され、前記ソースと前記ドレインとのうちの他方は前記ビット線(16)に接続された、請求項1に記載のメモリ回路。
【請求項5】
前記ビットセル(12)の前記第2の端子(17)は前記ビット線(16)に接続された、請求項4に記載メモリ回路。
【請求項6】
少なくとも第1のビットセル(12.1)および第2のビットセル(12.2)と、
前記第1のビットセル(12.1)および前記第2のビットセル(12.2)にそれぞれ結合された少なくとも第1のビット線(16.1)および第2のビット線(16.2)と、
前記第1のビット線(16.1)および前記第2のビット線(16.2)にそれぞれ接続され、前記電流源(22)に接続され、前記第1のビットセル(12.1)および前記第2のビットセル(12.2)のうちの一方に少なくとも読み取り電流を選択的に供給するように動作可能である少なくとも第1の電流スイッチ(20.1)および第2の電流スイッチ(20.2)と
を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のメモリ回路。
【請求項7】
前記センス増幅器(130)は第1の増幅器段(137)を有し、前記第1の増幅器段(137)は、
前記第1のビット線(16.1)上で第1の感知ノード(133.1)に接続された少なくとも第1の増幅器回路(130.1)であって、前記第1の感知ノード(133.1)は前記第1のビットセル(12.1)と前記第1の電流スイッチ(20.1)との間に位置する、第1の増幅器回路(130.1)と、
前記第2のビット線(16.2)上で第2の感知ノード(133.2)に接続された少なくとも第2の増幅器回路(130.2)であって、前記第2の感知ノード(133.2)は前記第2のビットセル(12.2)と前記第2の電流スイッチ(20.2)との間に位置する、第2の増幅器回路(130.2)と
を備える、請求項6に記載のメモリ回路。
【請求項8】
前記センス増幅器(130)は第2の増幅器段(139)においてデータマルチプレクサ(134)を備え、前記データマルチプレクサ(134)は、前記第1の増幅器段(137)の前記第1の増幅器回路(130.1)および前記第2の増幅器回路(130.2)の各々の出力と個々に接続された、請求項7に記載のメモリ回路。
【請求項9】
前記データマルチプレクサ(134)ならびに前記少なくとも第1の電流スイッチ(20.1)および第2の電流スイッチ(20.2)は、前記少なくとも第1のビットセル(12.1)および第2のビットセル(12.2)のうちの一方のみに同期的に切り替わるために相互結合された、請求項8に記載のメモリ回路。
【請求項10】
前記第1の増幅器回路(130.1)および前記第2の増幅器回路(130.2)のうちの少なくとも一方は、それぞれの前記ビットセル(12.1、12.2)に直接接続されたインバータ(140)を備える、請求項7〜9のいずれか一項に記載のメモリ回路。
【請求項11】
前記少なくとも第1の増幅器回路(130.1)および第2の増幅器回路(130.2)は、前記第1のビットセル(12.1)または前記第2のビットセル(12.2)中のデータを消去するかまたは書き込むのに好適な電圧レベルに少なくともある、請求項7〜10のいずれか一項に記載のメモリ回路。
【請求項12】
n個のビットセル(12.1、12.2)とn個のビット線(16.1、16.2)とを備え、前記n個のビット線(16.1、16.2)のうちの1つは前記n個のビットセル(12.1、12.2)のうちの1つに結合され、前記電流源(22)に接続されたn個の電流スイッチ(20.1、20.2)をさらに備え、前記n個の電流スイッチ(20.1、20.2)のうちの1つはそれぞれ前記n個のビット線(16.1、16.2)のうちの1つに接続された、請求項6〜11のいずれか一項に記載のメモリ回路。
【請求項13】
前記第1の増幅段(137)は、
n個のビット線(16.1、16.2)上でn個の感知ノード(133.1、133.2)に接続されたn個の増幅器回路(130.1、130.2)をさらに備える、請求項7〜12のいずれか一項に記載のメモリ回路。
【請求項14】
プロセッサ(41)と、
電気エネルギー供給装置(42)と、
入力または出力(43)のうちの少なくとも一方と、請求項1〜13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのメモリ回路(10、100、200)と
を備える、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ回路の分野に関し、詳細には電子デバイスのためのデジタルメモリ回路に関する。本発明は、記憶されたデータの読取りのために最小の電気エネルギーのみを必要とする特にモバイル電子デバイス用のメモリ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラーフォン、タブレットコンピュータ、ウォッチなどのような、ポータブル電子デバイスまたはモバイル電子デバイスでは、バッテリーの寿命を延ばすために、または限られたエネルギー蓄積能力のみを提供するかなりコンパクトな充電式バッテリーを利用するために、消費電力量を低減させることは一般的な目的である。ほとんどすべての種類のデジタル電子デバイスはメモリ回路を利用する。例えば、特許文献1(米国特許第5,754,010号)は、ビット線に結合されたビットセルを備えたメモリ回路を有し、プリチャージ時間中にビット線にプリチャージ電流を供給するプリチャージ回路をさらに有する、フラッシュメモリアレイを開示している。「読取り」動作より前のメモリアレイ中の多数のビット線のプリチャージングは、各ビット線上で容量性負荷をチャージするためにポータブルバッテリーから大電流を引き出す。
【0003】
ビットセルまたはメモリセルの読出しのために、その特定のセル中を流れている電流は、センス増幅器によって基準電流と比較される。特許文献1などにおいて開示された従来のメモリ回路では、NMOSタイプマルチプレクサは、センス増幅器の入力へのドレインと接続される。そのようなNMOSマルチプレクサのソースはビット線に接続される。そのようなNMOSタイプマルチプレクサは、実質的な無視できるしきい値電圧を呈するので、メモリビット線上の可能な限り低い電圧レベルは、そのようなNMOSマルチプレクサのゲート上の電圧によって、したがってそのようなNMOSトランジスタのしきい値電圧によって制限される。
【0004】
典型的に、メモリビット線Vbl上の最大電圧は、おおよそ、NMOSマルチプレクサのゲート上の電圧Vg−NMOSマルチプレクサのしきい値電圧Vthである。したがって、メモリの読取りのための最小供給電圧は極めて高くなければならない。また、NMOSマルチプレクサは、少なくとも1つのビットセルまたはメモリセルの消去または書込みのために高い電圧レベルをサポートすることが必要であり得るので、そのようなマルチプレクサは、かなり高いしきい値電圧を呈するNMOSトランジスタから構成される必要がある。NMOSマルチプレクサのかなり高いしきい値電圧は、所与の供給電圧についてメモリビット線上の電圧レベルをさらに低減する。その上、メモリセルをプログラムするためのNMOSマルチプレクサのかなり高いしきい値電圧は、記憶されたデータの読取りのための供給電圧の低下を相殺する。
【0005】
ビット線電圧は、メモリセル電流を制限し、したがって、メモリアクセス時間および最小読取り電圧に影響を及ぼす。NMOSタイプマルチプレクサのゲート上の電圧はメモリ回路の供給電圧に等しいか、またはそれは、プリチャージ回路によって、したがって、いわゆるチャージポンプによって生成され得る。そのようなプリチャージ回路の使用および実装は、通常、より大きい電力消費量につながり、例えばチャージポンプのためのクロックを含む、かなり複雑な制御回路の実装を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,754,010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、所与の供給電圧のみに基づいてデータの読取りを行うことができるように、チャージポンプまたはプリチャージ回路を使用することなしに供給電圧の低下および低減を実現しサポートするメモリ回路のための異なる手法および有益なアーキテクチャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、データを記憶するために少なくとも1つのビットセルを備えるメモリ回路に関係する。ビットセルは第1の端子を有し、第2の端子をさらに有する。前記端子のうちの少なくとも一方はビット線に結合される。さらに、メモリ回路は、ビット線に接続され、電流源にさらに接続された少なくとも1つの電流スイッチまたはマルチプレクサを備える。電流スイッチは、切替え可能であり、したがって、ビットセルに電流を選択的に供給するように動作可能である。ビットセルの第1の端子または第2の端子を介してビットセルに接続されたビット線は、電流スイッチの切替えを通して電流源に接続可能である。メモリ回路は、ビット線上に位置する感知ノードに接続された少なくとも1つの入力を有するセンス増幅器をさらに備える。感知ノードは、ビットセルと少なくとも1つの電流スイッチとの間に位置する。言い換えれば、センス増幅器に接続された感知ノードは、電流スイッチと、第1の端子または第2の端子のうちのその一方との間のビット線上に位置し、その一方を介して、少なくとも1つのビットセルはビット線に結合または接続される。
【0009】
このようにして、センス増幅器の入力は、ビット線に直接接続されるが、少なくとも1つの電流スイッチを介して電流源から分離される。
【0010】
したがって、ビット線上の電圧は、メモリセルが非導電性であるときまたはメモリセルがオフであるとき、供給電圧に近くなり得る。メモリセル電流がセンス増幅器の基準電流よりも高い場合、電圧はメモリセルによって0ボルトにプルダウンされ得る。したがって、ビットセル上の電圧は、上記で説明した従来技術の解決策と比較してより高くなり得る。したがって、少なくとも1つのビットセルは、より低い供給電圧Vddにおいてより高い電流を供給され得る。このようにして、メモリ回路の読取りモードにおける供給電圧は、プリチャージ回路またはチャージポンプを実装する必要なしに低減され得る。結局、メモリ回路の低い読取り電力消費量および単純な制御を実現することができる。
【0011】
別の実施形態によれば、電流スイッチは、ソースとドレインとを有するPMOSデバイスまたはPMOSトランジスタを備え、ソースとドレインのうちの一方は電流源に接続され、PMOSトランジスタのソースとドレインのうちの他方はビット線に接続される。この解決策は、従来使用されるNMOSタイプスイッチをPMOSベースのスイッチと交換することのみが必要であるので、特に有利であり、この交換は、例えば、PMOSトランジスタによって、前記トランジスタのソースからドレインにまたはその逆にセンス増幅器の感知ノードを再構成することによって行われる。電流スイッチがPMOSトランジスタとして実装されたとき、前記トランジスタのソースは電流源に接続されるが、前記トランジスタのドレインはビット線とセンス増幅器の感知ノードとに接続される。このようにして、少なくとも1つのビットセルが非導電性である場合、ビット線上の電圧レベルは供給電圧に等しくなり得る。
【0012】
さらなる実施形態によれば、そのうえ、ビット線にはメモリセルの第1の端子も接続される。
【0013】
別の実施形態によれば、電流スイッチは、ソースとドレインとを備えるNMOSトランジスタを備え、ソースとドレインのうちの一方は電流源に接続され、NMOSトランジスタのソースとドレインのうちの他方はビット線に接続される。この実施形態では、典型的に、ビット線に接続されるのはメモリセルの第2の端子であり、一方、メモリセルの第1の端子は供給電圧に接続される。ここでも、メモリセルが非導電性である場合、感知ノードにおける電圧レベルは供給電圧Vdd程度に高くなり得る。電流スイッチがNMOS構成要素に基づくとき、典型的に、センス増幅器の感知ノードに接続されるのはそれぞれのNMOSトランジスタのソースであり、一方、NMOSトランジスタのドレインは、Vssへのシンクとして実装される電流源に接続される。
【0014】
さらなる実施形態によれば、メモリ回路は、ただ1つのビットセルではなく、少なくとも第1のビットセルおよび第2のビットセルを備える。その場合、メモリ回路は、第1のビットセルおよび第2のビットセルにそれぞれ結合された少なくとも第1のビット線および第2のビット線をも備える。言い換えれば、第1のビット線は第1のビットセルに結合または接続され、第2のビット線は第2のビットセルに結合または接続される。第1のビット線および第2のビット線は、典型的には互いに絶縁される。
【0015】
この実施形態では、メモリ回路は、第1のビット線および第2のビット線にそれぞれ接続された少なくとも第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチをも備える。したがって、第1の電流スイッチは第1のビット線に接続され、第2の電流スイッチは第2のビット線に接続される。したがって、第1の電流スイッチは第1のビット線に組み込まれ、第2の電流スイッチは第2のビット線に組み込まれる。第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチは、両方とも1つの同じ電流源に接続される。第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチの各々は、第1のビットセルおよび第2のビットセルのうちの一方に電流を選択的に供給するようにさらに動作可能である。
【0016】
第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチによって、第1のビットセルまたは第2のビットセルのいずれかは、典型的には読取り電流によって、それぞれの電流を供給され得る。第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチは、第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチのうちの一方のみが電流源への接続を確立するが、第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチのうちの他方が電流源からそれぞれのビット線を絶縁するような方法で制御される。
【0017】
少なくとも第1のビットセルおよび第2のビットセルをもつ別の実施形態では、メモリ回路のセンス増幅器は第1の増幅器段を有する。前記第1の増幅器段は、第1のビット線上で第1の感知ノードに接続された第1の増幅器回路を備える。ここで、第1の感知ノードは、第1のビットセルと第1の電流スイッチとの間に位置する。第1の増幅器段は、少なくとも第2の増幅器回路をさらに備える。第2の増幅器回路は、第2のビット線上で第2の感知ノードに接続される。第2の感知ノードは、第2のビットセルと第2の電流スイッチとの間に位置する。このようにして、センス増幅器は、第1の増幅器回路と第2の増幅器回路とをもつ第1の増幅器段に分割され、それらの各々は、それぞれの第1のビット線および第2のビット線に属するかまたは接続される。したがって、センス増幅器の少なくとも一部分、すなわち、センス増幅器の第1の増幅器段は、第1のビット線と第2のビット線との間で分割される。したがって第1のビット線および第2のビット線の各々は、センス増幅器の第2の段に接続されたそれ自体の増幅器回路を備える。
【0018】
それに応じて、別の実施形態では、センス増幅器は、第2の増幅器段においてデータマルチプレクサを備える。データマルチプレクサは、第1の増幅器段の第1の増幅器回路および第2の増幅器回路の各々の出力と個々に接続される。したがって、データマルチプレクサは少なくとも2つの別個の入力を備え、1つの入力は、第1の増幅器段の第1の増幅器回路および第2の増幅器回路の各々に関する。
【0019】
別の実施形態によれば、センス増幅器のデータマルチプレクサならびに少なくとも第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチは、少なくとも第1のビットセルおよび第2のビットセルのうちの一方のみに同期的に切り替わるために相互結合される。例えば第1のビットセルが読出しを受けるべきである場合、第1の電流スイッチは、第1のビットセルに読取り電流を供給するためにオンに切り替えられる。同時にまた、センス増幅器の第2の段のデータマルチプレクサは、第1のビット線に実際に接続されたセンス増幅器の第1の増幅器段の第1の増幅器回路の出力を受信し読み取るために、切り替えられる。
【0020】
したがって、特定のメモリセルの読取りのために、2つの構成要素、すなわち、電流スイッチとデータマルチプレクサとの切替えが必要である。これは、従来技術と比較してやや複雑であると思われるかもしれない。しかし、このアーキテクチャは読取りモードにおける電力消費量の低減を可能にするので、電力消費量に関する利点が、切替え作業に関する不利益を容易に償う。
【0021】
別の実施形態によれば、第1の増幅器回路および第2の増幅器回路のうちの少なくとも一方は、それぞれのビットセルに直接接続されたインバータを備える。ビット線上の電圧レベルは供給電圧程度に高くなり得るので、第1の増幅器段のそれぞれの増幅器回路も、供給電圧Vddの領域中の電圧レベル上にあり得る。したがって、第1の増幅器回路および第2の増幅器回路の、したがってそれらのそれぞれのインバータの出力は、供給電圧のレベル上にあるかまたはその周辺にあり得る。これは、さらなるデジタルデータ処理のために特に有益である。
【0022】
別の実施形態によれば、センス増幅器の第1の段の少なくとも第1の増幅器回路および第2の増幅器回路は、少なくとも第1のビットセルまたは第2のビットセル中のデータの消去または書込みに好適な電圧レベルに高電圧耐性がある。そのようにこの用語において、高電圧レベルは、第1のビットセルまたは第2のビットセル中のデータを消去するかまたは書き込むのに好適である電圧レベルを指す。
【0023】
第1の増幅器回路および第2の増幅器回路は高電圧耐性であるので、それらを第1のビット線および第2のビット線に直接接続することができる。メモリ回路の書込みまたは消去モードでは、第1の増幅器回路および第2の増幅器回路は、不適切に高い電圧レベルからデータマルチプレクサを保護する絶縁構成要素として働く。
【0024】
一般に、メモリ回路は、いかなる方法でも第1のビットセルおよび第2のビットセルのみに限定されるものではないが、第1のビットセルおよび第2のビットセル、第1のビット線および第2のビット線、ならびに第1の増幅器回路および第2の増幅器回路、および第1の電流スイッチおよび第2の電流スイッチとともに上記で説明した概念は、概して、n個のセル、n個のビット線、n個の電流スイッチおよびn個の増幅器回路に拡張可能である。ただし、この場合、nは2よりも大きい整数である。
【0025】
それに応じて、さらなる実施形態では、メモリ回路は、n個のビットセルと、n個のビット線とを備える。メモリ回路は、n個の電流スイッチをさらに備える。ここで、n個のビット線のうちの1つは、n個のビットセルのうちの1つに結合される。典型的に、各ビット線は1つのビットセルに結合される。言い換えれば、各ビットセルは1つのビット線に結合される。n個の電流スイッチの各々は共通の電流源に接続される。電流スイッチの各々は、ビット線のうちの1つのみにさらに接続される。言い換えれば、n個のビット線の各々はただ1つの電流スイッチに接続される。このようにして、電流源によって供給される電流を、一度にn個のビット線のうちの1つのみに、したがって、n個のビットセルのうちの1つのみに選択的に提供および供給することができる。
【0026】
さらなる実施形態によれば、メモリ回路は、n個のビット線上でn個の感知ノードに接続されたn個の増幅器回路をも備える。n個の増幅器回路の各々は、n個のビット線のうちの1つのみに接続される。n個のビット線の各々は、n個の増幅器回路のうちの1つのみに接続される。
【0027】
n個の増幅器回路の各出力はデータマルチプレクサに接続される。したがって、データマルチプレクサはn個の入力を備え、それらの入力の各々は、1つのビット線に接続された増幅器回路のうちの1つのみに接続される。
【0028】
メモリ回路は、概して、異なる方法で実装可能であり、ほんのいくつかを挙げれば、EEPROMタイプメモリ、フラッシュタイプメモリ、OTP、ROMまたはRAMタイプメモリなどのような、様々なタイプのメモリセルに概して適用可能であり得る。
【0029】
別の態様では、本発明は電子デバイスにも関係する。電子デバイスは、少なくともプロセッサと、電気エネルギー供給装置と、入力または出力のうちの少なくとも1つとを備える。プロセッサはデジタルデータを処理するように構成され、一方、電気エネルギー供給装置は、プロセッサを駆動するためにそれぞれのエネルギーを提供する。少なくとも1つの入力または出力によって、環境への、例えば他の電子デバイスまたは最終消費者へのデータ通信を行うことができる。さらに、電子デバイスは、上記で説明した少なくとも1つのメモリ回路を備える。メモリ回路は、典型的には、プロセッサにおよび/または入力もしくは出力のうちの一方にデータ転送方式で接続される。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に関する、非限定的な例示的な実施形態の以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係るメモリ回路のPMOSタイプ実装形態を示す。
【
図2】2つのビットセルをもつメモリ回路のPMOSタイプ実装形態を示す。
【
図3】NMOSタイプ構成要素をもつメモリ回路の代替実施形態を示す。
【
図4】そのようなメモリ回路を備える電子デバイスを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示すメモリ回路10は、ビット線16に接続された第1の端子15を有するビットセル12を備える。第2の端子17はVssに接続され得る。図示のように、ビットセル12は2つのトランジスタ13、14を備え、それらのうちの一方は選択トランジスタとして働き、それらのうちの他方は制御トランジスタとして働く。ビット線16は、PMOSトランジスタとして実装される、電流スイッチまたはマルチプレクサ20に接続される。前記トランジスタ20のドレインはビットセル12の第1の端子15に接続されるが、前記トランジスタ20のソースは電流源22に接続され、電流源22は供給電圧Vddにさらに接続される。少なくとも1つの入力31と出力32とを有するセンス増幅器30がさらに提供される。
【0033】
図1による実施形態では、センス増幅器30の入力31は、電流スイッチ20とビットセル12の第1の端子15との間のビット線16上に位置する感知ノード33に接続される。したがって、センス増幅器30の入力31は、ビット線16に、したがってビットセル12に直接および永続的に接続される。
図1に示すように、センス増幅器30はインバータとして構成される。したがって、入力31における電圧は、ビットセル12が非導電性である場合である、Vddに近い場合、センス増幅器30の出力32は0になる。他の構成では、ビットセル12が導電性である場合、センス増幅器30の入力31は0ボルトに近くなり、したがって、センス増幅器30の出力32は論理1を表す。
【0034】
図3に、メモリ回路100のさらなる実施形態を示す。そこで、同じまたは同様の構成要素は、
図1において使用したのと同じまたは同様の参照番号で示してある。
【0035】
図3に示すメモリ回路100はNMOSアーキテクチャとして実装される。そこで、メモリセル12は、2つのトランジスタ13、14をも備え、第1の端子15および第2の端子17をさらに有する。第1の端子15は供給電圧Vddに接続されるが、第2の端子17はビット線16に接続される。センス増幅器30の実装形態は、
図1に関してすでに説明した実装形態と同じまたは等価である。しかし
図3では、電流スイッチ20はNMOSトランジスタとして実装される。この電流スイッチ20またはトランジスタのソースはビット線16に接続されるが、電流スイッチ20のドレインは、Vssに接続された電流源22に接続される。メモリ回路100の動作および特性は、
図1に関して説明したメモリ回路10といくぶん同じである。
【0036】
図2に、2つのビットセル12.1、12.2を備えるさらなるメモリ回路200を示す。メモリ回路200の全般的アーキテクチャは、
図1によるPMOS実装形態のアーキテクチャに基づく。これは、同様に、
図3に示すNMOSアーキテクチャでも実装可能である。
【0037】
メモリ回路200は、第1のビット線16.1および第2のビット線16.2をも備える。ここで、第1のビット線16.1は第1のビットセル12.1に接続される。第2のビット線16.2は第2のビットセル12.2に接続される。2つの電流スイッチ20.1、20.2がさらに設けられている。したがって、ビット線ごとにおよびビットセルごとに、1つの電流スイッチ20.1、20.2が与えられる。これらの電流スイッチ20.1、20.2は共通の電流源22に接続される。電流源22に関して、第1の電流スイッチ20.1および第2の電流スイッチ20.2は並列に配置される。
【0038】
センス増幅器130は破線矩形の構造で示してある。センス増幅器130は第1の増幅器段137および第2の増幅器段139を備える。第1の増幅器段137は第1の増幅器回路130.1および第2の増幅器回路130.2を備える。
図1による実施形態に関して説明したセンス増幅器30と同様に、第1の増幅器回路130.1および第2の増幅器回路130.2の各々はインバータ140を備える。第1の増幅器回路130.1は、第1の感知ノード133.1に接続される第1の入力131.1を備える。
図1による実施形態に対応して、前記第1の感知ノード133.1は第1のビット線16.1に接続される。それは第1のビットセル12.1と第1の電流スイッチ20.1との間に位置する。
【0039】
同様に、また、第2の増幅器回路130.2は、第2の感知ノード133.2に接続された第2の入力131.2を備える。第2の感知ノード133.2は第2のビット線16.2に接続される。それは第2のメモリセル12.2と第2の電流スイッチ20.2との間に位置する。
【0040】
第1の増幅器回路130.1および第2の増幅器回路130.2またはそれらの第1および第2のインバータ140は、高電圧デバイスとして実装される。したがって、第1の増幅器回路130.1および第2の増幅器回路130.2を構成するかまたはそれらに属するインバータ140は高電圧耐性である。したがって、第1のビットセル12.1または第2のビットセル12.2中のデータを消去または書き込むのに好適なビット線12.1、12.2上の電圧レベルは、センス増幅器130の第2の段139から分離され、絶縁される。
【0041】
第1の増幅器回路130.1および第2の増幅器回路130.2の出力は、センス増幅器130の第2の段139のデータマルチプレクサ134の入力134.1、134.2に接続される。データマルチプレクサ134は電流スイッチ20.1、20.2に結合される。例えば、第1のメモリセル12.1の読取りのために、第1の電流スイッチ20.1はオンに切り替えられ、第1の増幅器回路130.1から取得可能なそれぞれの信号はデータマルチプレクサ134に切り替えられる。データマルチプレクサ134の出力135は、次いで、センス増幅器130の出力132を形成する。
図2に示す実施形態では、さらに、出力バッファを形成するデータマルチプレクサ134の出力135において2つのインバータ136、138を直列に示してある。
【0042】
メモリ回路200の実装形態は、いかなる方法でもただ2つのビットセル12.1、12.2に限定されるものではない。
図2に示すアーキテクチャおよび概念は、n個のビットセル12.1、…、12.nに拡張可能である。その場合、それ自体の電流スイッチ20.1、…、20.nをそれぞれ備えるn個のビット線16.1、…、16.nが提供される。センス増幅器130の第1の段137は、その場合、n個の増幅器回路130.1、…、130.nをも有し、センス増幅器130のデータマルチプレクサ134はn個の入力を備え、n個の入力の各々は、n個の増幅器回路130.1、…、130.nの1つの出力に接続される。
【0043】
センス増幅器30、130の入力31、131はビット線16にまたはビット線16.1、16.2に直接接続されるので、センス増幅器130の入力電圧レベルは供給電圧Vdd程度に高くなることができる。このようにして、メモリ回路10、100、200が読取りモードにある場合、供給電圧レベルを低減することができ、したがって、チャージポンプ回路を設ける必要なしにエネルギーを節約することができる。
【0044】
さらに、
図4に、電子デバイス40を概略的に示す。電子デバイス40は、プロセッサ41およびエネルギー供給装置42、ならびに上記で説明した入力または出力43およびメモリ回路10、100または200を備える。電子デバイス40はポータブル電子デバイスとして構成され得る。したがって、エネルギー供給装置42は、バッテリー、充電式バッテリーまたは太陽電池あるいはそれらの組合せとして実装され得る。入力または出力43は、タッチスクリーン、キーボードまたはいくつかの他の入力デバイスを備え得る。出力として実装されたとき、入出力43は、典型的には、ディスプレイ、スピーカー、またはバイブレータのような触覚信号を生成するための手段のうちの少なくとも1つを備える。メモリ回路200は、プロセッサ41にデータ転送方式で少なくとも接続される。メモリ回路200は、さらに、エネルギー供給装置42にならびに入力または出力43に直接接続され得る。
【符号の説明】
【0045】
10 メモリ回路
12 ビットセル
12 メモリセル
12.1 ビットセル
12.1 メモリセル
12.2 ビットセル
12.2 メモリセル
12.n ビットセル
13 トランジスタ
14 トランジスタ
15 端子
16 ビット線
16.1 ビット線
16.2 ビット線
16.n ビット線
17 端子
20 NMOSトランジスタ
20 PMOSトランジスタ
20 トランジスタ
20 マルチプレクサ
20 電流スイッチ
20.1 電流スイッチ
20.2 電流スイッチ
20.n 電流スイッチ
22 電流源
30 センス増幅器
31 入力
32 出力
33 感知ノード
40 電子デバイス
41 プロセッサ
42 電気エネルギー供給装置
43 入出力
100 メモリ回路
130 センス増幅器
130.1 増幅器回路
130.2 増幅器回路
130.n 増幅器回路
131 入力
131.1 入力
131.2 入力
132 出力
133.1 感知ノード
133.2 感知ノード
134 データマルチプレクサ
134.1 入力
134.2 入力
135 出力
136 インバータ
137 増幅器段
138 インバータ
139 増幅器段
140 インバータ
200 メモリ回路