(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電極アセンブリは、前記第1の電極パッドよりも近位側に配置される第2の電極パッドおよび同第2の電極パッドよりも近位側に配置される第2の尾部を備えている、請求項1に記載の医療用デバイス。
前記電極アセンブリは、前記第2の尾部上の第2の引込縁部、前記第2の電極パッド上の第2の突出縁部、および該第2の引込縁部と該第2の突出縁部の間に配置された第2の遷移領域を含む第2の縁部を有し、
前記第2の遷移領域内に前記第2の縁部に沿って曲率が連続して変化する第2の湾曲が配置される、
請求項2または3に記載の医療用デバイス。
前記第1の近接電極パッド、前記第1の遠位電極パッド、または両方とも、第1の引込縁部、第1の突出縁部、および該第1の引込縁部と該第1の突出縁部の間に配置された第1の遷移領域を含む第1の縁部を有し、
前記第1の遷移領域内に前記第1の縁部に沿って曲率が連続して変化する第1の湾曲が配置される、請求項13に記載の医療用デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に定義する用語では、特許請求の範囲または本願明細書の他のどこかに異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
全ての数値は本願明細書では、明確に示されているかどうかに拘わらず、「約」という用語によって変更されるものと考えられる。「約」という用語は普通、当業者が言及した値と同等である(すなわち、同じ機能および結果を有する)と考える数の範囲のことを言う。多くの例では、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含み得る。
【0010】
終点による数値範囲の言及は、その範囲内の全ての数(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5)を含む。
本願明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかにそうでないと示していない限り、複数の指示対象を含む。本願明細書および添付の特許請求の範囲で示されるように、「または」という用語は普通、内容が明らかにそうでないと示していない限り、「および/または」を含む意味で利用される。
【0011】
「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などに対する明細書中での言及は、記載した実施形態が、1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含むことがあるということを示す。しかし、このような言及は必ずしも、全ての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを意味するものではない。加えて、特定の特徴、構造、および/または特性が一実施形態に関連して記載されている場合、このような特徴、構造、および/または特性はまた、そうでないと明らかに記されていない限り、明確に記載されているかどうかに拘わらず、他の実施形態に関連して使用することもできることを理解されたい。
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図中では、異なる図面における同様の要素は同じ番号が付けられている。必ずしも等尺度ではない図面は、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0013】
外科医は、特に血管などの身体の管腔内またはその周りで、身体の内部組織を変更することによって、アクセスを得る、および治療に影響を与えるためにカテーテルを使用する。例えば、バルーン血管形成術および他のカテーテルはしばしば、アテローム性動脈硬化症により狭くなった動脈を開くために使用される。
【0014】
カテーテルを使用して、治療抵抗性高血圧症の患者にRFエネルギー治療によって脱腎神経を行うことができる。これは、高血圧を治療する際に臨床的に効果的であることが分かった比較的新しい処置である。処置では、RFエネルギーが腎動脈の壁面に加えられて、腎動脈に隣接する交感神経系の高活性化(しばしば、慢性高血圧の原因となる)を減らす。この処置は、いくつかの場合では成功することが分かったが、かなりの量の痛みを伴うだけでなく、既存の治療は、臨床医が正確に行うのが比較的難しく、極めて時間がかかる可能性がある。
【0015】
多くの患者に影響を与える別の状態は、鬱血性心不全(CHF)である。CHFは、心臓が損傷し、身体の器官への血流が減少した場合に起こる状態である。血流が大幅に減少すると、腎機能が変わって、体液鬱滞、異常ホルモン分泌、および血管の狭窄の増加につながる。これらの結果により、心臓の負荷が増加し、さらに、腎臓および循環器系を通して血液を汲み上げるための心臓の能力が低くなる。
【0016】
腎臓の次第に減少するかん流は、CHFの悪化のスパイラルを持続させる主要な非心臓性要因であると考えられる。例えば、心臓が血液を汲み上げようとすると、心拍出量は維持されるまたは減少し、腎臓は心臓の1回拍出量を維持するために体液および電解質を一定に保つ。結果として生じる圧力の増加はさらに、心筋に過負荷をかけ、それによって、心筋はより高い圧力に対抗して汲み上げるためにより激しく働かなければならない。既に損傷を受けた心筋はその後、増加した圧力によってさらに応力および損傷が加えられる。心疾患を悪化させることに加え、腎臓疾患は、悪化のスパイラルにつながり、さらに腎機能を悪化させる可能性がある。例えば、上に記載した前方流心疾患(収縮期心不全)では、腎臓は虚血となる。後方流心疾患(拡張期心不全)では、腎臓は腎静脈高血圧に対して鬱血する。したがって、腎臓は、その独自の悪化していく疾患の一因となる可能性がある。
【0017】
腎臓の機能は、以下の3つの広い分類に要約することができる。すなわち、血液を濾過し、身体の代謝によって生成される老廃物を排泄すること、塩分、水分、電解質および酸塩基平衡を調節すること、ならびに、重要な器官の血流を維持するためにホルモンを分泌することである。腎臓を適切に機能させないと、患者は、血液および身体中の水の維持、少ない尿流量、および不要な毒素蓄積に苦しむ。これらの状態は、腎機能の低下または腎不全(腎機能障害)によるものであり、心臓の負荷を増加させると考えられる。CHF患者では、腎不全は、体液が保持され、血中毒度が不完全な機能の腎臓により蓄積すると、心臓をさらに悪化させる。その結果による高血圧はまた、脳血管疾患および発作の進行に大きな影響がある。
【0018】
自律神経系は、可変範囲でほとんど全ての器官および生理学系に影響を与える神経のネットワークである。普通、系は、交感および副交感神経からなる。例えば、腎臓に対する交感神経は、鎖の神経節内、または腹腔神経節内で脊椎およびシナプスに沿って交感神経鎖を横切って、その後、「腎神経」の内側で神経節後線維を介して腎臓を刺激することにつながる。腎臓門(動脈、およびある程度は、静脈)に沿って前進する腎神経内には、腎臓からの神経節後交感神経および求心性神経がある。腎臓からの求心性神経は、(痛みのある線維である場合)後根内を、また知覚線維である場合、前根内に、その後、脊髄に、最終的には、脳の特定部位に前進する。救心性神経、圧受容器および化学受容器は、脳を介して交感神経系に腎臓からの情報を運び、そのアブレーションまたは抑制は、腎神経アブレーション、または脱神経、または部分的途絶の後に血圧で見られる改善に対して少なくとも部分的に原因となっている。また、頸動脈洞のレベルでの圧受容器反応は、腎動脈求心性神経によって仲介され、それによって、腎動脈求心性神経反応の損失が、動脈圧の変化に対する頸動脈圧受容器の反応を鈍らせることが提示および一部経験的に証明されてきた(本願明細書にその開示を援用する、American J. Physiology and Renal Physiology 279:F491−F501, 2000年参照)。
【0019】
心不全状態は、腎臓の異常に高い交感神経活性につながることが、動物モデルで確立された。腎交感神経活性における増加は、身体からの水分および塩分の除去を少なくすること、および副腎からのアルドステロン分泌を刺激するレニン分泌を増加させることにつながる。レニン分泌の増加は、アンジオテンシンIIレベルの増加につながる可能性があり、これは腎臓への供給をする血管の収縮、および全身血管収縮につながり、これらの全ては、腎血流量の減少および高血圧につながる。例えば、脱神経支配による交感腎神経活性の減少は、これらの過程を逆にすることがあり、実際、臨床で示されてきた。
【0020】
高血圧と同様に、交感神経過活動は、CHFの進展および進行の一因となる。静脈血漿への腎臓および心臓からのノルエピネフリン溢出は、本態性高血圧と比較してCHF患者でさらに高い。慢性交感神経刺激は心臓に対して過度な負担をもたらし、それは、心臓がその拍出量を増加させるなどの直接な形でも、および、収縮した脈管構造が、心臓が汲み上げを行うことに対して高い抵抗を示すなどの間接的な形でも起こる。心臓がより多くの血液を汲み上げようとすると、左心室重量が増加し、心臓リモデリングが起こる。心臓リモデリングは、心臓収縮の同期をさらに妨げる、心臓の異種交感神経活性につながる。したがって、リモデリングは最初に、心臓の汲み上げを増加させるのを助けるが、最終的には、心臓の効率を減少させる。左心室の機能の低下により、さらに、交感神経系、およびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を活性化させて、高血圧からCHFにつながる悪循環を推進させる。
【0021】
本開示の実施形態は、しばしば、治療効果を達成するために、対象となる組織の治療のための、電力生成/制御装置に関する。いくつかの実施形態では、対象組織は、腎動脈および関連する腎神経を含む、神経を含むまたは神経に近接した組織である。他の実施形態では、対象組織は、動脈疾患で見られるような疾病組織をさらに含む可能性がある、管腔組織である。
【0022】
本開示のさらに別の例示的実施形態では、対象となる投与量のエネルギーを運ぶ能力を、有益な生化学的反応を達成するために神経組織に使用することができる。例えば、慢性痛、尿管器系不全、高血圧、および幅広い種類の他の持続性状態が、神経組織の動作により影響を受けることが知られている。例えば、薬剤に反応しない可能性がある慢性高血圧は、腎動脈に近接した過剰な神経活性を停止させることによって改善するまたはなくすことができることが知られている。また、神経組織は自然には、再生特性を有しないことが知られている。したがって、神経組織の伝導通路を遮ることによって過剰な神経活性に有益に影響を与えることが可能であり得る。神経伝導通路を遮る場合、隣接する神経または器官組織への損傷を防ぐことが特に有利である。エネルギー投与を方向付け制御する能力は、神経組織の治療によく適している。加熱またはアブレーション・エネルギー投与かどうかに拘わらず、本願明細書に記載および開示するようなエネルギー運搬の正確な制御は、神経組織に案内され得る。さらに、案内されたエネルギーの付加は、典型的なアブレーション・プローブを使用した場合に必要なように、正確に接触する必要なく神経を対象とするのに十分であり得る。例えば、アブレーションを起こすことなく、管腔組織の穿刺を必要とすることなく、神経組織を変性させるのに十分高い温度で、偏心加熱を行うことができる。しかし、正確なエネルギー投与を電力制御/生成装置によって制御した状態で、アブレーション・プローブと同様に組織を穿刺し、アブレーション・エネルギーを運搬するように、本開示のエネルギー運搬表面を構成することも望ましい場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、脱神経治療の有効性は、特定の患者に対する治療の1つまたは複数のパラメータを調整する、または追加の治療の必要性を認識するために、治療の前、間、および/または後の測定によって評価することができる。例えば、脱神経システムは、治療により対象または近接組織内において神経活性の減少が引き起こされたか、または引き起されているかどうかを評価するための機能を備え得る(この機能により、治療のパラメータを調節するためのフィードバックが与えられ、または追加の治療の必要性が示され得る)。
【0024】
開示は脈管構造内の技術の使用を中心としているが、この技術はまた他の管腔組織にも有用である。本開示を使用することができる他の解剖学的構造は、食道、口腔、鼻咽頭腔、耳管および鼓室、脳の洞、動脈系、静脈系、心臓、喉頭、気管、気管支、胃、十二指腸、回腸、結腸、直腸、膀胱、尿管、射精管、精管、尿道、子宮腔、膣管、および頸管である。
(システム概要)
図1Aは、身体通路内で治療を行うシステム100を示している。システム100は、制御ユニット110を備えている。制御ユニット110は、カテーテル・デバイス120にRFエネルギーを運搬するためのRF発生器を備えることができる。本願明細書に開示された実施形態で使用可能な例示的な制御ユニットおよび関連エネルギー運搬方法は、本願明細書に援用する、同一譲受人の米国特許出願公開第2012/0095461号に開示されている。本願明細書に開示された実施形態で使用可能な別の例は、同一譲受人の「アテロームおよび他の対象組織および/または構造の選択的治療用同調RFエネルギー(Tuned RF Energy for Selective Treatment of Atheroma and Other Target Tissues and/or Structures)」という名称の米国特許第7,742,795号、「アテローム性物質の選択可能偏心リモデリングおよび/またはアブレーション(selectable Eccentric Remodeling and/or Ablation of Atherosclerotic Material)」という名称の米国特許第7,291,146号、および「身体組織上の望ましい温度効果を誘導するシステム(System for Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissue)」という名称の米国特許出願公開第2008/0188912号に開示されており、その全体の開示を本願明細書に援用する。いくつかの実施形態では、特に単極エネルギー運搬を利用するいくつかの実施形態では、システムはまた、カテーテル・デバイスに関連し得る接地/共通電極、制御ユニット110に電気結合された、あるいはシステム100に関連する別個のパッドを備えることもできる。
【0025】
いくつかの実施形態では、制御ユニット110は、プロセッサを備える、あるいは、治療を制御または記録するためにプロセッサに結合されることがある。プロセッサは典型的には、しばしば、本願明細書に記載する実施形態および方法の1つまたは複数のうちの、いくつかまたは全てを実施するための機械可読プログラム命令またはコードを実行する1つまたは複数のプログラム可能プロセッサを含む、コンピュータ・ハードウェアおよび/またはソフトウェアを備える。コードはしばしば、メモリ(任意選択では、読取専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、不揮発性メモリなど)などの有形媒体、および/または記録媒体(フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ドライブ、CD、DVD、不揮発性固体メモリ・カードなど)に具現化される。コードおよび/または関連データおよび信号はまた、ネットワーク接続(無線ネットワーク、イーサネット(登録商標)、インターネット、イントラネットなど)を介してプロセッサにまたはプロセッサから伝達され、コードのいくつかまたは全てはまた、カテーテル・システムの構成要素間で、1つまたは複数のバスを介してプロセッサ内に伝達され、適当な標準的または固有の通信カード、コネクタ、ケーブルなどがしばしば、プロセッサ内に含まれる。プロセッサはしばしば、少なくとも部分的に、単一プログラム、一連の別個のサブルーチンまたは関連プログラムなどとして書き込むことができる、ソフトウェア・コードでプロセッサをプログラミングすることによって、本願明細書に記載された計算および信号伝達ステップを行うように構成され得る。プロセッサは、標準的または独占所有権のあるデジタルおよび/またはアナログ信号処理ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを備えることができ、患者の治療中に本願明細書に記載した計算を行うために十分な処理力を有することが望ましい場合があり、プロセッサは任意選択では、パソコン、ノートブック・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、独占所有権のある処理ユニット、またはその組合せを含む。最新のコンピュータ・システムに関連する標準的または固有の入力デバイス(マウス、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティックなど)、および出力デバイス(プリンタ、スピーカ、ディスプレイなど)を含むこともでき、複数の処理ユニット(または、さらに別個のコンピュータ)を有するプロセッサを、幅広い範囲の集中型または分散型データ処理アーキテクチャで利用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム100用の制御ソフトウェアは、クライアント・サーバ・スキーマを使用して、システムの使用容易性、柔軟性、および信頼性を良くすることができる。「クライアント」は、システム制御ロジックであり、「サーバ」は制御ハードウェアである。通信マネージャは、システム状態の変化を加入しているクライアントおよびサーバに配信する。クライアントは、現在のシステム状態が何であるか、および状態の特定の変化に基づいてどのコマンドまたは決定を行うべきであるかを「知っている」。サーバは、クライアント・コマンドに基づいてシステム機能を行う。通信マネージャは集中型情報マネージャであるので、新しいシステム・ハードウェアは、従来の既存のクライアント・サーバ関係に対する変更を必要とせず、新しいシステム・ハードウェアおよびその関連制御ロジックはその後、単に、通信マネージャを通して管理された情報に対する追加の「加入者」となるだけである。この制御スキーマは、固定されたベース・ルーチンを備えた頑強な中央オペレーティング・プログラムを有する利点を提供することができ、システムで動作するように設計された新しい回路構成要素を動作させるために、ベース・ルーチンに対する変更は必要ではない場合がある。
(拡張可能デバイスおよび電極アセンブリ)
再び
図1Aを参照すると、カテーテル・デバイス120は、対応、非対応、または半対応バルーンである可能性がある拡張可能デバイス130を備え得る。拡張可能デバイス130は、制御ユニット110に電気結合された複数の電極アセンブリを備える。このような電極アセンブリは、単極または双極であるように電気的に構成することができ、さらに、感熱能力を有する。
【0027】
図1Bに示すように、電極アセンブリは、複数の円筒形治療区域A〜Dに従って、ここでは拡張状態で示した、拡張可能デバイス130上に配置され得る。いくつかを以下にさらに説明する他の実施形態では、拡張可能デバイス130、または治療システムの他の構成要素は、治療区域内にない、あるいは治療エネルギーを運搬するために使用されない、または運搬するように構成されていない、追加の電極アセンブリを備え得る。
【0028】
治療区域A〜Dおよび関連する電極アセンブリ140a〜140dが、さらに
図1Cに示されており、これは
図1Bの拡張可能デバイス130の「展開」図である。いくつかの実施形態では、拡張可能デバイスは、4mm直径、および2本の電極アセンブリ140a〜140bを備えたバルーンである。他の実施形態では、拡張可能デバイスは、5mm直径、および3本の電極アセンブリ140a〜140cを備えたバルーンである。いくつかの実施形態では、拡張可能デバイスは、
図1Bに示すように、6、7または8mm直径、および4本の電極アセンブリ140a〜140dを備えたバルーンである。2本の電極アセンブリ140a、140bを有する4mmバルーンが、
図1Dに示され、3本の電極アセンブリ140a〜140cを有する5mmバルーンが
図1Eに示されている。これらの構成のいずれでも、拡張可能デバイスは、約10mmから約100mm、または約18mmから約25mmの作業長さを有し得、これは
図1Bおよび
図1Cに示した全ての治療区域A〜Dのほぼ長手方向距離である。電極アセンブリ140a〜140dは、接着剤を使用してバルーンに取り付けることができる。
【0029】
図1Fは、(
図1Bから
図1Eおよび他の図面に示した電極アレイを、単極構成でも使用することができるが)単極電極190のアレイを備えた拡張可能デバイスの実施形態を略図的に示している。いくつかの例では、拡張可能デバイス上の単極電極190の1つは、他の電極に対する共通または接地電極として働くように構成することができる。別の方法では、(
図1Fの破線で示したリング電極192などの)拡張可能デバイス上の別のまたは異なる形状および構成をしている電極、または他の拡張可能デバイス上の、あるいはカテーテルに関連する電極(例えば、
図1Gでは194)は、共通電極として構成することができる。さらに他の例では、共通電極として働くように、接地パッドを患者の皮膚に固定することができる。
図1Gには明白には示されていないが、単極電極はそれぞれ、本願明細書に記載した他の実施形態と同様に、感温デバイスに近接して、またはその上に位置決めすることができる。
(a.重複および非重複治療区域)
再び
図1Bを参照すると、治療区域A〜Dは、長手軸L−Lに沿って互いに長手方向に隣接しており、電極アセンブリによって加えられるエネルギーが重複しない治療を作り出すように構成することができる。長手方向に隣接した双極電極アセンブリ140a〜140dによって加えられた治療は、長手軸L−Lに沿って周方向に非連続である。例えば、
図1Cを参照すると、治療区域Aに作り出された損傷は、いくつかの実施形態では、治療区域Bに作り出された損傷との(この図でL−Lに対して横方向に)周面周りでの重複を最小限に抑えることができる。
【0030】
しかし、他の実施形態では、
図1Cに示す電極アセンブリなどの電極アセンブリによって加えられるエネルギーは、少なくともある程度、長手方向に、周方向に、および/または他の方法で重複することがある。
図31および
図32は、どのように電極3102および3104が通電されて、重複する治療区域を作り出すことができるかの非限定的例を略図的に示している。
図31および
図32に特には示さないが、電極3102および3104はそれぞれ、双極電極対(または、単一の単極電極)であり得、(例えば、
図1Cのように)互いに長手方向および周方向にずれるように、カテーテル・バルーンまたは他の拡張可能デバイスの外表面上に位置決めすることができる。
図31に示すように、各電極3102および3104は、(その外側境界が「TT」とラベル付けされた)対象温度区域、および(その外側境界が「TP」とラベル付けされた)熱プルームを備えた治療区域に関連付けることができる(または、電極と位置決めして組織内にこのような治療区域を作り出すように構成することができる)。いくつかの実施形態では、対象温度区域は、所望の対象治療温度、またはそれより上である、または所望の対象温度範囲内にある組織の領域を示す。いくつかの実施形態では、熱プルームは、必ずしも対象温度、または対象温度範囲内ではない組織の領域を示すが、熱プルームの外側の未治療区域に対して温度の増加を示す。
【0031】
電極/電極対の間の治療区域が重複するかどうかは、これに限らないが、電極幾何形状、電極配置密度、電極位置決め、(単極実施形態では)1つまたは複数の接地/共通電極配置および幾何形状、エネルギー発生器出力設定、出力電圧、出力電力、デューティ・サイクル、出力周波数、組織特性、組織タイプなどを含む、幅広い様々な要因によって影響され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、双極電極対の個別の電極はそれぞれ、その独自の治療区域を画定することができ、このような治療区域は部分的にまたは全体的に重複することがある。
【0033】
図31では、治療区域の熱プルームは重複するが、対象温度区域は重複しない。
図32では、対象温度区域および熱プルームは両方とも重複する。いくつかの実施形態では、治療区域の重複は、デバイスの周面周りに、および/または身体通路を囲む組織内の周面周りに実質的に連続して延びる可能性がある。他の実施形態では、治療区域内に重複がある可能性はあるが、その重複は周面周りに実質的に連続しておらず、治療区域内のかなりの不連続が存在する可能性がある。
【0034】
バルーン取付電極のアレイを利用した少なくともいくつかの電子外科的システムは、隣接する電極パッド間に重複する治療区域を作り出すことができ、少なくともいくつかの例では、身体通路の周面周りに効果的に実質的に連続している治療区域を作り出すことができることが経験的に判断された。1つの経験では、(全体を援用する)米国特許出願公開第2008/0188912号、特に(本願明細書では
図33として再現された)
図9Cに図示および記載したのと同様のカテーテルおよび拡張可能バルーンを使用して、隣接する電極対間に重複する治療区域を生成し、それによって、治療区域が周面周りに実質的に連続して効果的に延ばした。
図33に示すように、拡張可能バルーン20は、バルーンの周面周りに位置決めされたいくつかの長手方向に延びる一連の双極電極対34を備えている。例えば
図1Cに示した電極アレイとは異なり、
図33に示す電極アレイは、拡張可能バルーン20上に対称に配置されている。
【0035】
図33と同様のカテーテル・ベース・バルーン電極アレイを利用した1つの実験では、無縁周波数療法の様々な電力および持続時間(約5秒から約120秒間、約60℃から約75℃)で治療された、または未治療のままである14本の腎血管の局所反応は、28プラスマイナス1日目および84日目に評価された。加えて、合計7体の動物からの腎臓を、光学顕微鏡検査法により評価した。
【0036】
腎臓および腎動脈は、下層にある筋肉を無傷のまま移植され、10%中性緩衝ホルマリン内に固定された。固定組織はその後、組織病理学的処理および評価のため提示された。各血管は、組織が排出され、処理され、パラフィンに埋め込まれ、5ミクロンまでで2回分割され、ヘマトキシリンおよびエオシン(H+E)およびエラスチン・トリクロム(ET)で染色されるまで、約3〜4mmごとにトリミングされた。腎臓は、3つのレベル(頭部、中央、および尾部)でトリミングされ、処理され、パラフィンに埋め込まれ、分割され、H+Eで染色され、全ての結果のスライドが、光学顕微鏡検査法により検査された。
【0037】
無線周波数療法の様々な電力および持続時間で治療された、または未治療のままである6本の急性動脈によるステップ分割の評価、および独立した腎臓の評価により、媒体および血管周囲組織内の凝固壊死、およびコラーゲン・ヒアリン化により特徴付けられた急性熱変化が示された。
図34は、10秒間75℃プロトコルで6対の電極で治療された左腎動脈(Aとラベル付けされている)および周囲の組織の断面を示す。
図34では、(矢印の頭で示すような)いくつかの神経枝、神経節(短い矢印)、および隣接するリンパ節(LN)の一部に対する損傷を含む、周囲の熱傷が、点線の境界内で観察された。
図35は、5秒間75℃プロトコルで、6対の電極で治療された右腎動脈および周囲の組織の断面を示す。
図35では、周囲の損傷が、点線の境界内で観察され、(矢印の頭で示すような)いくつかの神経枝を含む。
図34および
図35を参照すると、熱傷は、左動脈内、および右動脈の媒体内で治療された最も中心にあるセグメント内では周面状である。腎臓は、治療関連の変化を示していない。周面治療は、最大10mmの深さである径方向範囲で外因性腎神経支配部に到達し、ここで損傷を作り出すのに効果的であった。かなりの再狭窄反応をトリガする可能性がある規模のバルーン治療によって生じる顕著な処理損傷に対して最小限である。
【0038】
図36および
図37は、治療後27日目での、
図34の左腎動脈の追加の断面を示す。
図38は、75℃RF治療の別の代表的な低倍率画像である。
図38の治療の区域は、残留壊死被膜媒体、ならびに、早期平滑筋細胞過形成、線維増殖症、および炎症性浸潤(例えば、ブラケット)による外膜肥大によって証明される。
図38はまた、(破線によって示されるように)隣接する外膜内に治療の区域の拡張を示している。
【0039】
図39〜
図41はさらに、いくつかの実施形態では、どのように治療区域をRFエネルギー治療の過程にわたって重複する可能性があるかを示している。
図39〜
図41は、30秒の治療の過程にわたって感熱ゲルで充填されたシリンダ内に位置決めされたVessix V2カテーテルを示している。
図39は、ゲル内の四角形パッチが局所電極加熱を示した、ちょうど治療開始後の感熱ゲルを示している。
図40に示すように、治療が進行すると、ゲル内のパッチは、熱伝導により寸法が大きくなり、接触しそうになる。
図41は、パッチ内の実質的な重複を示す、30秒の治療の完了におけるゲルを示している。
(b.電極アセンブリ構造)
再び
図1Cを参照すると、各電極パッド・アセンブリは、遠位電極パッド150a〜150dで、中間尾部160a〜160dで、近接電極パッド170a〜170d、および近接尾部180b、180d(電極パッド・アセンブリ140bおよび140cでは図示せず)である、4つの主な要素を含む。電極アセンブリ140a〜140dの構造的詳細は、
図2A〜
図2Cを参照して図示および記載されている。
【0040】
図2Aは、電極アセンブリ140として
図1Cで特定された、電極アセンブリ200の上面図を示す。電極アセンブリ200は、複数の層を有する可撓性回路として構成されている。このような層は、連続的または非連続的である、すなわち、別個の部分でできている。
図2Bおよび
図2Cに示されるように、絶縁ベース層202は、電極アセンブリ200に対する基盤を提供する。ベース層202は、ポリイミドなどの可撓性ポリマーから構成することができる。いくつかの実施形態では、ベース層202は、約0.0127mm(0.5ミル)厚さである。複数の別個のトレースで作られた導電層204は、ベース層202の上にある。導電層204は、例えば、電着銅の層であり得る。いくつかの実施形態では、導電層204は、約0.018mm厚さである。絶縁層206は、導電層204の上に別個にまたは連続してあり、それによって、導電層204は、ベース層202と絶縁層206との間で流体密封されている。ベース層202と同様に、絶縁層206は、ポリイミドなどの可撓性ポリマーで構成することができる。いくつかの実施形態では、絶縁層206は、約0.0127mm(0.5ミル)厚さである。他の実施形態では、絶縁層206は、PTFEまたはシリコーンなどの完全または部分ポリマー・コーティングである。
【0041】
図2Aに示す電極アセンブリ200は、遠位電極パッド208を備えている。この領域では、ベース層202は、矩形形状を形成する。図示するように、電極アセンブリ200は、追加の可撓性を提供するために、複数の開口部を備えることができ、アセンブリのパッドおよび他の部分は、丸みを帯びたまたは湾曲した隅部、遷移、および他の部分を備えることができる。いくつかの例では、開口部、および丸みを帯びた/湾曲した機構は、多数の部位が処置中に治療される場合に必要なように、拡張可能デバイスが繰り返し拡張または崩壊される(また、保護シースからの展開、およびその中への引き出しを必要とする可能性がある)場合、いくつかの例では、起こる可能性があるように、その拡張可能デバイスからの層間剥離に対するアセンブリの耐性を高くすることができる。
【0042】
遠位電極パッド208は、ベース層202の上部にある複数の別個のトレースを備えている。これらのトレースは、接地トレース210、活性電極トレース212、およびセンサ・トレース214を備えている。接地トレース210は、センサ接地パッド218から横方向にずれた細長い電極支持体216を備えている。センサ接地パッド218は、接地トレース210の細長い支持体216に電気結合され、遠位電極パッド208上で中心に配置される。ブリッジ220は、センサ接地パッド218の最遠位部を接地トレース210の細長い電極支持体216の遠位部に接続させる。ブリッジ220は、センサ接地パッド218まで前進すると、幅が減少してテーパ状になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ220は、所望の量の可撓性を可能にするように、比較的均一で薄い幅を有する。細長い電極支持体216は、その近接端で幅が減少してテーパ状になっているが、これは必要ではない。いくつかの実施形態では、細長い電極支持体216は、所望の量の可撓性を可能にするように、その近接部ではるかに薄いトレースに急激に遷移する可能性がある。普通、ネッキングが示されるトレースの湾曲は、バルーン再捕捉力、およびより鋭い輪郭を呈することがあるあらゆるスナッギングに対する潜在性を小さくするように最適化される。トレースの形状および位置はまた、展開および使用中の歪みを防ぐように、全体として電極アセンブリ200に寸法安定性を提供するように最適化される。
【0043】
いくつかの例では、遠位電極パッド208、近接電極パッド236、または両方は、再捕捉力を小さくする、電極アセンブリ200と、医療用デバイスがそこを通して引き出されている場合に電極アセンブリ200がこれを通して前進する管腔の間のスナッギングを小さくする、使用後により容易に畳むおよび/または再び畳むためのバルーンの能力を大きくする、および/またはカテーテル(例えば、ガイド・カテーテル)、イントロデューサ、またはシースの管腔を含む管腔を通して引き出す間に取り付けられるバルーンまたは他の医療用デバイスからの電極アセンブリ200の層間剥離を小さくするように構成することができる。例示的には、複合構造を形成するためにバルーン・カテーテルのバルーン部に接着された電子アセンブリ200が、その意図した目的で使用された後に、複合構造は、軸方向に沿って様々な形状(例えば、パンケーキ形状、S字形など)に折り畳まれ、カテーテルの管腔を通して引き出すことができる。複合構造の引き出し中、電子アセンブリ200は、例えば、パッド208/236の縁部に沿って遷移点で管腔と相互作用し得、このような相互作用により、管腔を通して複合構造を引き出すのに必要な力の急激な変化を生じさせることができる。管腔および電子アセンブリ200の物理的相互作用によって作り出された力は、パッド208/236の縁部に沿った湾曲
の曲率に少なくとも部分的に左右され得る(湾曲
の曲率=1/R、式中、Rは湾曲に沿った点でのその接触円の半径である)。
【0044】
複合構造が、例えば管腔を通して引き出された場合、複合構造と管腔との間の力、および/または力の急激な変化を軽減させることが望ましい。いくつかの例では、電子アセンブリ200上のパッド208/236の形状は、管腔と複合構造との間の接触点で力を小さくするように構成されている。例えば、簡単な設計では、
図51に示すように、医療用デバイス(例えば、バルーン・カテーテル)上のパッド208/236の「引込縁部」5102と「突出縁部」5104との間の遷移の形状は、半径湾曲遷移5108、または
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110を有することがある。別の方法では、または加えて、トレースの引込縁部5102と突出縁部5104との間の遷移の形状は、所望の場合、半径湾曲遷移5108および
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110を定義する関数とは異なる数学関数によって定義された湾曲を有するあらゆる他の形状をとることができる。
【0045】
実験を通して、電子アセンブリ200上のパッド208/236の引込縁部5102と突出縁部5104との間の
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110は、半径湾曲遷移5108より電子アセンブリ200が管腔に接触するときに、より滑らかな力プロファイルを作り出すことができる。
図51に示すように、半径湾曲遷移5108に対する法線5106(例えば、法線5106がその配置で曲線の
曲率のプロットを示す場合)は、点Aで引込縁部5102と突出縁部5104との間に急激なまたは鋭い遷移を示す。半径湾曲遷移5108の引込縁部5102と突出縁部5104との間の
曲率の急激なまたは鋭い遷移は、複合構造のパッド208/236が管腔と物理的に相互作用する場合に、管腔を通して複合構造を引き出すのに必要な力の急激な変化につながる。これに対して、
図51に示すように、
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110に対する法線5106は、点A’で引込縁部5102と突出縁部5104との間の
曲率の段階的なまたは滑らかな遷移を示す。半径遷移5108の結果と異なって、
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110の引込縁部5102と突出縁部5104との間の
曲率の段階的なまたは滑らかな遷移は、複合構造のパッド208/236が管腔と物理的に相互作用する場合に、管腔を通して複合構造を引き出すのに必要な力の滑らかな変化につながる。
【0046】
数学的意味では、半径湾曲遷移5108の
曲率は、遷移曲線に沿って一定の値であるが、複合構造と管腔との間の接触での力の急激なまたは鋭い変化につながる、半径湾曲遷移5108の点A(例えば、湾曲が方向を変えるところ)で数学的に非連続である第2次導関数を有する。一方では、数学的意味では、連続湾曲遷移5110の連続的に変化する
曲率は、複合構造と管腔との間の滑らかな接触を可能にする、
曲率が連続的に変化する湾曲遷移5110の点A’(例えば、湾曲が方向を変えるところ)で数学的な連続関数である第2次導関数を有する。
【0047】
図51に示した
曲率が連続的に変化する湾曲遷移5110は、比較的簡単な数学的方程式によって示され得るが、
曲率が連続的に変化する湾曲遷移5110のさらなる改善は、より複雑な曲線が数学的な連続関数によって定義された湾曲を有するものである限り、遷移に対してより複雑な曲線を選択することを含むことがある。このような遷移は、放物線関数、多項式関数などの関数であってもよい。さらに、
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110の連続関数と半径湾曲遷移5108の非連続関数との間の区別は、点A’および点Aに対してそれぞれ記載されているが、同じ区別を遷移5110、5108に沿った他の点で行うことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、連続湾曲遷移5110は連続関数であってもよい。すなわち、xがfの定義域を通してCに近づくときにf(x)の極限が存在し、f(c)と等しい場合、連続関数「f」は、その定義域のある点「C」で連続であり得る。これは、以下の通りに記載することができる。
【0049】
【数1】
詳細には、これは以下の3つの条件を意味する。(1)fは、cで定義しなければならない。(2)上式の左辺における極限が存在しなければならない。(3)この極限の値はf(c)に等しくなければならない。関数fは、その定義域の全ての点において連続している場合に、連続であると言うことができる。これは、1つの例にすぎない。
【0050】
いくつかの実施形態では、湾曲は、方程式y=f(x)によって定義される平面曲線の単純な場合として考えることができる。座標xに関する導関数に対するプライムを使用して、湾曲は以下の通りである。
【0051】
【数2】
これは、1つの例にすぎない。
【0052】
いくつかの実施形態では、曲線は、放物線状であり、関数y=x
2によって示されている。湾曲は、y(t)=(t,t
2)=(x,y)としてパラメータ化することができる。パラメータtに関する導関数に対するプライムを使用して、以下の通りである。
【0053】
【数3】
不要な絶対値を置換および小さくすることによって、以下のことにつながる。
【0054】
【数4】
これは、1つの例にすぎない。
【0055】
(パッド208/236の引込縁部5102と突出縁部5104との間の他の点と共に)点A’での滑らかな湾曲遷移の結果、連続湾曲遷移5110は、複合構造が管腔を通して引き出されたときに、徐々に増加し、次いで徐々に減少する管腔を通して複合構造を引き出すのに必要な力に正味の影響があり得る。所要の力のこのような滑らかな遷移により、バルーン再捕捉力全体を小さくする、そのより鋭い輪郭(例えば、半径湾曲)が呈し得るあらゆるスナッギングの潜在的可能性を低くする、バルーンの再折畳を促進する、および/または他の利点を提供することがある。
【0056】
実験では、バルーン・カテーテル上の電極アセンブリのパッド208/236に対する
、曲率が連続して変化する湾曲遷移5110の利用は、電極アセンブリ200(例えば、固い構造)がバルーン(例えば、あまり固くない構造)上で完全に平らになるように折り畳まれた場合に有益であることが示されている。しかし、
曲率が連続して変化する湾曲遷移5110の利点は、複合構造がパンケーキの形状以外の1つまたは複数の形状(例えば、S字形、U字形など)に折り畳まれた場合に効力があることが示されている。
【0057】
図52は、遠位電極パッド208と近接電極パッド236を備えた電極アセンブリ200の一部を示している。遠位電極パッド208、近接電極パッド236、または両方は、
曲率が連続して変化する湾曲を利用する1つまたは複数の遷移を含む。例えば、
図53に示すように、近接電極パッド236は、引込縁部5102a、突出縁部5104a、および引込縁部5102aと突出縁部4104aとの間の遷移5110aを備える。遷移5110aは、
曲率が連続して変化する湾曲遷移であってもよい。したがって、遷移5110aは、再捕捉力を小さくする、スナッギングを小さくする、使用後により容易に折り畳むおよび/または再び折り畳むためのバルーンの能力を高くする、および/または層間剥離を少なくするのを助ける。
【0058】
これらのいくつか、および他の実施形態では、遠位電極パッド208は、引込縁部5102b、突出縁部5104b、および引込縁部5102bと突出縁部5104bとの間の遷移5110bを備える。この例では、遷移5110bは、遠位電極パッド208の反対側にある。遷移5110bは、
曲率が連続して変化する湾曲遷移であってもよい。したがって、遷移5110bは、再捕捉力を小さくする、スナッギングを小さくする、使用後により容易に折り畳むおよび/または再び折り畳むためのバルーンの能力を高くする、および/または層間剥離を少なくするのを助ける。
【0059】
いくつかの実施形態では、遷移5110aは、遷移5110bと同じ関数であってもよい。すなわち、遷移5110aに沿った連続して変化する曲線は、遷移5110bに沿ったものと同じであってもよい。他の実施形態では、遷移5110a/5110bは異なっていてもよい。例えば、遷移5110aに沿って連続して変化する曲線は、遷移5110bと異なっていてもよい。
【0060】
同様の遷移を、遠位電極パッド208に利用することができる。
電極アセンブリ200に考えられる寸法および/または形状のいくつかが、
図54〜
図56に示されている。寸法および/または形状は単に例示的ものであり、変化することがある。
【0061】
近接尾部238は、近接電極パッド236から近接方向に延ばすことができる。少なくともいくつかの実施形態では、近接電極パッド236は、近接尾部238と芯合わせされる。すなわち、近接尾部238は、近接電極パッド236の中間と結合するように位置決めされている。したがって、近接電極パッド236は、基本的に対称に近接尾部238に対して、あるいはそこから横方向に延ばすことができる(例えば、両側で近接尾部238から同じ距離、横方向に延びる)。また、近接電極パッド236が横方向に延びる場合に、近接電極パッド236および近接尾部238によって形成された角度は、近接電極パッド236の両側で実質的に同じであることが分かる。この配置は、いくつかの理由で望ましい。例えば、近接電極パッド236を近接尾部238と芯合わせすることによって、電極アセンブリ200がそこから収縮された場合に、近接電極パッド236がカテーテルまたはスリーブの端部を捕えるまたは捕捉する可能性が低くなる。
【0062】
また、他の実施形態では、中間尾部228も遠位電極パッド208上で芯合わせすることができることを理解されたい。例えば、中間尾部228はパッド208/236の間に延ばすことができ、近接電極パッド236、遠位電極パッド208、または両方のパッド208/236上で芯合わせされ得る。すなわち、中間尾部228は、近接電極パッド236の中間、遠位電極パッド208の中間、または両方のパッド208/236の中間に結合するように位置決めされる。したがって、近接電極パッド236、遠位電極パッド208、または両方は、基本的に対称に中間尾部228に対して、あるいはそこから横方向に延ばすことができる(例えば、両側で中間尾部228から同じ距離、横方向に延びる)。いくつかの場合では、近接電極パッド236が横方向に延びる場合、近接電極パッド236および中間尾部228によって形成された角度は、近接電極パッド236の両側で実質的に同じである。同様に、いくつかの場合では、遠位電極パッド208が横方向に延びる場合、遠位電極パッド208と中間尾部228によって形成される角度は、遠位電極パッド208の両側で実質的に同じである。この配置は、いくつかの理由で望ましい。例えば、近接電極パッド236および/または遠位電極パッド208を中間尾部228と芯合わせすることによって、電極アセンブリ200がそこに進んだ場合および/または後退した場合に、近接電極パッド236がカテーテルまたはスリーブの端部を捕えるまたは捕捉する可能性が低くなり得る
図2Aの接地トレース210および活性電極トレース212は、同様の構成を共有する。活性電極トレース212はまた、細長い電極支持体216を備えている。
【0063】
図2Bは、遠位電極パッド208の部分断面A−Aを示している。電極222は図では、(導電層204)の接地トレース210の細長い電極支持体216に電極222を結合させることを可能にするために、複数の通路(例えば、孔)を有する絶縁層206の一部にわたって層状になっている。
【0064】
図2Aに示すように、接地電極トレース210および活性電極トレース212は、複数の電極を備えることができる。3本の電極222が、各電極トレースに設けられるが、より多くのまたは少ない電極を使用することもできる。加えて、各電極222は、他のデバイスおよび/または組織に捕まる傾向を少なくするために半径隅部を有する。電極222、およびこれらに関連するトレースの上記記載は、双極電極アセンブリの文脈で説明されているが、当業者は、同じ電極アセンブリが単極モードでも働くことができることが分かるであろう。例えば、1つの非限定的例では、活性電極トレース212および242に関連する電極を単極電極として使用することができ、接地トレース210はこれらの電極に通電中に切断される。
【0065】
電極222間の長手方向間隙を含む、複数の電極毎にほぼ4mmの長手方向長さを有する腎性高血圧表示の例示的な実施形態は、狭窄反応を避けながら、最適な損傷寸法および深さに関して効果的な組織リモデリング結果を提供することが実験的に判断されている。図示した構成は、熱浸透の深さを平衡化させることによって、および最終デバイスに関する可撓性およびプロファイルを最適化するために電極対の数を最小限に抑えようとしながら、治療区域に並んだ組織への熱損傷を避けることによって達成された。しかし、図示した構成は必ずしも必要な要件ではない。というのは、電極寸法および配置幾何形状は、所望の治療効果によって変化する可能性があるからである。
【0066】
33頭のヨークシャ豚に、Vessix Vascular社の脱腎神経無線周波数(RF)バルーン・カテーテルによって脱腎神経(RDN)が行われた。Vessix Vascular社の電極設計による推定脱腎神経は、Vessix社の16mm周面電極とオフセット設計を有する2mmおよび4mm電極の間の処置後7日目および28日目での安全性を比較するために、設定のスペクトル(電極長さ、温度、および持続時間の関数)により達成された。腎動脈の組織切片を検査して、7日目および28日目に、これに限らないが、負傷、炎症、線維症、および石化を含む組織反応を評価した。
【0067】
Vessix Vascular社のRDN RFバルーン・カテーテルでの腎動脈の治療により、急性「損傷」段階から慢性の「反応/修復」段階までの動脈/外膜反応の進行を示す、動脈壁および隣接する外膜の変化のスペクトルにつながった。腎動脈内の治療した領域は、隣接する外膜組織(「治療区域」と解釈される)内での動脈壁およびその延長部のこれらの変化の存在により明らかであった。
【0068】
7日目には、長さに拘わらず全ての電極、治療温度または持続時間は、一次損傷反応に関連付けられた。しかし、2mmおよび4mm電極も、7日目ではいずれの16mmRF治療でも観察されなかった、治療持続時間に関わらない、早期反応/修復反応に関連付けられた。16mm電極で影響を受けた動脈周面の範囲全体が、治療の持続時間に拘わらず、影響が典型的には最小から中度/適度(それぞれ、影響を受けた周面の〜<25%から〜25〜75%)である、より短い電極(2mmおよび4mm)に対して、温度に拘わらず増加した(中度/適度から顕著である、それぞれ、カバーされる周面の〜>75%から100%)。
【0069】
28日目には、4mm未満の電極を除いて、全ての治療グループにおいて、時点に拘わらず、頻繁な最小の新生内膜形成が観察された。治療グループに拘わらず、28日目にだけ、中度/適度の新生内膜形成がまれに観察されたが、16mm電極は、2および4mm未満の電極に対して中度/適度の新生内膜の発生率の中度および同等の増加に関連付けられた。
【0070】
内皮細胞の露出(すなわち、損失)は、あらゆる介入デバイスの通過に対する普通の後遺症であり、またVessix Vascular社のRDN RFバルーン・カテーテルでの治療に対する予測される後遺症である。血栓形成を防ぐ際の内皮の重要性により、露出した領域における修復を監視した。このように、管腔表面の再内皮化の大きさ/程度は、影響を受けた動脈のほぼ周面に対して解釈された。
【0071】
7日目には、2および4mm電極は、ない場合より完全な内皮化を有する動脈部を、それがないものよりも多く有し、完全な内皮化が、2および4mm電極の全ての動脈部に存在した。16mm電極で治療した動脈部は、1回分に拘わらず、7日目では完全な内皮化が観察されなかった。
【0072】
7日目では、治療に拘わらず、炎症は全体として典型的には最小であったが、1回分に拘わらず、16mm電極は両方とも、2および4mm電極に対して炎症が全体的に増加していた。中度/適度な炎症性浸潤が、2および4mm電極ではほとんど観察されなかったが、16mm電極では共通して頻繁であった。
【0073】
図2Aの実施形態では、各電極222は、約1.14mm×0.38mmであり、電極222の間には約0.31mmの間隙がある。接地トレース210および活性電極トレース212の電極222は、約1.85mmだけ横方向に間隔をおいて配置されている。
図2Bに示す実施形態などのいくつかの実施形態では、電極222は、導電層204から約0.038mm厚さで、絶縁層206の上に0.025mm突出する金パッドである。他のこのような適切な材料の使用を制限することなく、金は優れた電極材料である。というのは、極めて生体適合性があり、放射線不透過性があり、導電性および伝熱性があるからである。他の実施形態では、導電層204の電極厚さは、約0.030mmから約0.051mmまでの範囲にわたり得る。このような厚さでは、例えば、銅導電層204と比較して、電極222の相対剛性は高くすることができる。これにより、単一の電極とは対照的に、複数の電極を使用することにより、可撓性が高くなり得る。他の実施形態では、電極は、電極222に対して、0.5mm×0.2mm、または2.2mm×0.6mmであってもよい。
【0074】
優れた組織接触を行うように十分な高さを維持しながら、優れた可撓性を達成するように絶縁層206の上の金の厚さを平衡化することは重要な設計最適化検討事項であるが、これは、バルーンの展開または崩壊中に捕えることがある表面高さを避ける目的で相殺される。これらの問題は、バルーン圧力などの、特定の処置の他の要素により変化する。多くの実施形態では、絶縁層206の上に約0.025mm突出する電極が、1013250Pa(10atm)より低く、下限では202650Pa(2atm)のバルーン拡張圧力で優れた組織接触を行うことが判断された。これらの圧力は、血管形成術用バルーンの典型的な拡張圧力より十分低い。
【0075】
センサ・トレース214は、遠位電極パッド208の上の中心に配置され、センサ接地パッド218に面するセンサ電力パッド224を備えている。これらのパッドは、
図2Cに示した部分断面図に示されるように、熱電対(例えば、タイプT構成:銅/コンスタンタン)またはサーミスタなどの、感熱デバイス226の電力極および接地極に接続することができる。
【0076】
感熱デバイス226は、センサ電力パッド224に近接して接続され、センサ接地パッド218に遠位して接続される。全体の厚さを小さくするのを助けるために、感熱デバイス226は、ベース層202内の開口部の中に位置決めされている。いくつかの実施形態では、感熱デバイス226は、異常に薄い、産業標準の約3分の2である、0.1mmの厚さを有するサーミスタである。図示するように、感熱デバイス226は、遠位電極パッド208の非組織接触側にある。したがって、感熱デバイス226は、カテーテル120などの最終デバイス内に組み込まれる場合に、電極構造とバルーンとの間で捕捉される。サーミスタなどの表面取付電気構成要素は、典型的には、組織に引っ掛かり、おそらく、バルーン展開および/または収縮の際に問題を起こす可能性がある、鋭い縁部および隅部を有するので、これは有利である。はんだは典型的には非生体適合性であるので、このような配置はまた、はんだ付け接続が血液と接触しないようにする。さらに、感熱デバイスの配置により、組織および電極222を代表する温度を測定することができる。従来技術の設計は典型的には、2つの解決法のうちの1つ、組織に接触すること、または電極に接触することのいずれかをとる。ここでは、これらの従来技術の解決法はいずれも利用されない。
【0077】
矩形遠位電極パッド208から、組み合わせられたベース層202、導電層204、および絶縁層206により、中間尾部228に対する横幅が小さくなる。ここでは、導電層204は、それぞれ、遠位電極パッド208の接地トレース210、活性電極トレース212、およびセンサ・トレース214の同一に広がるトレースである中間接地ライン230、中間活性電極ライン232、および中間センサ・ライン234を備えるように形成されている。
【0078】
中間尾部228から、組み合わせられたベース層202、導電層204、および絶縁層206は、近接電極パッド236を形成するように横幅が大きくなる。近接電極パッド236は、遠位電極パッド208と同様に構成されており、電極幾何形状および感熱デバイスは同じであるが、様々な相違点が存在することもある。しかし、図示するように、近接電極パッド236は、中間接地ライン230に沿って延びる中心軸G−Gに対して、遠位電極パッド208から横方向にずれている。中間活性電極ライン232および中間センサ・ライン234は、中心軸G−Gに対して、平行なそれぞれの軸上で近接電極パッド236と横方向に同一に広がる。
【0079】
近接電極パッド236から、組み合わせられたベース層202、導電層204、および絶縁層206は、近接尾部238を形成するために、横幅が小さくなる。近接尾部238は、近接接地ライン240、近接活性電極ライン242、および近接センサ・ライン244と、中間活性電極ライン232および中間センサ・ライン234を備えている。近接尾部238は、1つまたは複数のサブ配線ハーネスおよび/またはコネクタへの、最終的に、制御ユニット110への結合を可能にするコネクタ(図示せず)を備えている。これらのラインはそれぞれ、中心軸G−Gに対して平行なそれぞれの軸に沿って延びている。
【0080】
図示するように、電極アセンブリ200は、軸G−G周りで、遠位電極パッド208および近接電極パッド236の非対称配置を有する。さらに、両方の電極パッドの接地電極は実質的には、中間および近接接地ライン230/240と共に、軸G−Gに沿って並べられている。このような配置が多くの利点を示すことが分かった。例えば、同じ接地トレースを基本的に共有することによって、近接尾部の幅は、各電極パッドが独立した接地ラインを有する場合には約2倍の広さであるが、中間尾部228の約1.5倍で済む。したがって、近接尾部238は、中間尾部228の2つより狭い。
【0081】
さらに、接地トレースを共有するように電極パッドを配置することにより、どの電極が互いに相互作用するかを制御することが可能になる。これは、単一の電極アセンブリを検討した場合には直ぐには明らかにならないが、2つ以上の電極アセンブリ200が、例えば
図1Cに示すように、バルーンの上で組み立てられる場合に明らかになる。様々な電極パッドを、ソリッド・ステート・リレーを使用して、および約100マイクロ秒から約200ミリ秒、または約10ミリ秒から約50ミリ秒の範囲の焼成時間で多重化を行うことによって、焼成および制御することができる。実用的な目的で、電極パッドは、同時に焼成されるように見えるが、異なる電極アセンブリ200の隣接する電極パッド間の迷走電流は、マイクロ・バーストの際の電極の急速焼成によって防止される。これは、異なる電極パッド・アセンブリ200の隣接する電極パッドが互いに段階の外で焼成されるように行うことができる。したがって、電極アセンブリの電極パッド配置により、短い治療時間、合計電極焼成時間の10分以下が可能になり、いくつかの概算治療時間は10秒の短さであり、例示的な実施形態では、約30秒である。短い治療時間の利点としては、神経組織に対してエネルギー治療が行われた場合に生じる術後の痛さが最小限であること、血管閉塞時間を短くすること、閉塞の副作用を減らすこと、および管腔組織への比較的小さな熱入力による血液かん流によって側枝組織を急速に冷却することが挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態では、共通の接地は、典型的には、サーミスタ信号を発生器制御に対して感知および使用することができるように、負電極ポールから来る500kHzでの200VAC、およびRF回路のフィルタリングを必要とする、(サーミスタの場合)感熱デバイス226からの1V信号を運ぶ。いくつかの実施形態では、共通の接地により、隣接する電極対のサーミスタを使用して、隣接する電極対を焼成することなく、温度を監視することができる。これにより、1つだけを焼成しながら、遠位電極パッド208および近接電極パッド236の両方に近接する温度を感知することが可能になる。
【0083】
再び
図1Cを参照すると、各電極アセンブリ140a〜140dでの電極パッド配置により、バルーン130上の十分な配置も可能になる。図示するように、電極アセンブリ140a〜140dでは、バルーン表面積の最大使用を可能にするように、互いに「固定」される。これは、各中間尾部の長手方向長さを設定することにより、電極パッドを離して配置することによって一部達成される。例えば、中間尾部長さ電極アセンブリ140aは、その遠位および近接電極パッド150a、170aを分離させる長さに設定され、それによって、横方向に隣接する電極アセンブリ140bの横方向に隣接する近接電極パッド170bは、電極アセンブリ140aの中間尾部160aの隣に固定される。さらに、電極アセンブリ140aの遠位電極パッド150aは、電極アセンブリ140bの中間尾部160bと電極アセンブリ140dの中間尾部160dとの間に固定される。したがって、各中間尾部160a〜dでの長さにより、いずれか1つの電極アセンブリの各電極パッドを、非隣接治療区域内に配置させる必要がある。
【0084】
バルーン表面積最大化はまた、各電極アセンブリ140a〜140dの両方の電極パッドを横方向にずらすことによって部分的に可能になる。例えば、各遠位電極パッド150a〜150dの右横方向のずれ、および近接電極パッド170a〜170dの左横方向のずれにより、隣接する電極パッド・アセンブリを互いに固定することが可能になり、それによって、電極パッドのいくつかが横方向に互いに重なる。例えば、電極アセンブリ140aの遠位電極パッド150aは、電極アセンブリ140bの近接電極パッド170bと横方向に重なる。さらに、電極アセンブリ140bの遠位電極パッド150bは、電極アセンブリ140cの近接電極パッド170cと横方向に重なる。しかし、各中間尾部の長さにより、電極パッドの周方向重複(この図では、長手方向重複)が防止され、したがって、長手方向L−Lの治療区域の非隣接性が維持される。
【0085】
電極パッドの配置および幾何形状と、可撓性回路の尾部の配置および幾何形状はまた、比較的小型の非拡張状態にバルーンを折り畳む、あるいは崩壊させるのを容易にする。例えば、最大10mmの拡張直径の実施形態では、非拡張状態のデバイスは、約1mm直径であることがある。
【0086】
いくつかの実施形態では、同一の寸法および構成を有する標準的電極アセンブリを利用し、バルーンの外表面上の電極アセンブリの数および相対位置は、バルーン直径および/または長さの関数となり、電極アセンブリ幾何形状は、様々なバルーン寸法の中で変わらないままである。バルーン直径および/または長さに対する電極アセンブリの相対位置決めはその後、所与の寸法のバルーン上の隣接する電極アセンブリの隣接する電極パッドの周方向および/または軸方向重複の所望の程度または防止によって判断することができる。しかし、他の実施形態では、バルーン上の電極アセンブリ全ては、同一である必要はない。
【0087】
図3A〜
図3Dは、
図1Aのシステム100で使用可能な代替電極パッド構成を示している。
図3Aは、電極アセンブリ200と同様に構成されているが、互いに直接隣接している2つの電極パッド302を有する電極アセンブリ300を示している。
【0088】
図3Bは、電極アセンブリ200と同様に構成されているが、互いに直接隣接している2つの電極パッド306を有する電極パッド・アセンブリ304を示している。さらに、電極パッド306は、
図1Cの長手軸L−Lおよび
図2Aの長手軸G−Gに対して横に配置された電極を有する。
【0089】
図3Cは、電極アセンブリ304と同様に構成されているが、3つの交互に分離された電極パッド312を有する電極アセンブリ310を示している。
図3Bの電極アセンブリ304と同様に、電極パッド312は、横方向に配置された電極を特徴とする。
【0090】
図3Dは、電極アセンブリ310と同様に構成されているが、より大きな電極表面積を備えた電極パッド312を有する電極アセンブリ314を示している。
図3Bの電極アセンブリ304と同様に、電極パッド316は、横に配置された電極を特徴とする。
【0091】
図4A〜
図4Cは、
図1Aのシステム100で使用可能な代替電極パッド構成を示している。
図4Aは、電極アセンブリ200と同様に構成されているが、単一の遠位電極パッド402だけを有する電極アセンブリ400を示している。
【0092】
図4Bは、電極アセンブリ400と同様に構成されているが、接地表面積410より大きい活性電極408の表面積を備えた単一の遠位電極パッド407を有する電極アセンブリ404を示している。
【0093】
図4Cは、電極アセンブリ404と同様に構成されているが、より大きな可撓性を可能にするために高多孔性構成を有する単一の遠位電極パッド414を有する電極アセンブリ412を示している。
【0094】
図5A〜
図5Fは、
図1Aのシステム100で使用可能な代替電極構成を示している。いくつかの実施形態では、図示した電極構成は、
図4A〜4Cの構成で使用可能である。
図5Aは、電極アセンブリ400と同様に構成されているが、単一の近接電極パッド502を備えるように配置された電極アセンブリ500を示している。電極アセンブリ500はさらに、バルーンに取り付けるための細長い遠位部504を備えている。
【0095】
図5Bは、電極アセンブリ500と同様に構成されているが、電極パッド508上により相対的な電極表面積を有する電極アセンブリ506を示している。
図5Cは、電極アセンブリ500と同様に構成されているが、電極パッド512およびより多くの電極上により相対的な電極表面積を有する電極アセンブリ510を示している。
【0096】
図5Dは、電極アセンブリ510と同様に構成されているが、電極パッド512上に不均一電極構成を有する電極アセンブリ514を示している。
図5Eは、電極アセンブリ500と同様に構成されているが、電極パッド516およびより少ない電極518上にあまり相対的ではない電極表面積を有する電極アセンブリ514を示している。電極パッド516はまた、電極と同じ側に取り付けられた2つの感熱デバイス520を組み込む。
【0097】
図5Fは、電極アセンブリ514と同様に構成されているが、横に配置された電極524および単一の感熱デバイス526を有する電極アセンブリ522を示している。
図2から
図5Fの電極アセンブリは、双極または単極構成で使用することができる。
図5Gから
図5Iは、単極電極構成の追加の例を示している。
図5Gでは、温度センサ532の両側に単極電極530の2つの平行アレイがある。
図5Gでは、単極電極530の各アレイは、その独自の別個のトレースを有し、温度センサ532もその独自の別個のトレースを有する。しかし、他の実施形態では、特定のフレックス回路アセンブリ上の単極電極530の全ては単一の活性トレースを共有し、温度センサの2つのトレースの1つも共有することができるが、他の実施形態では、温度センサ用の電力および接地トレースは、1つまたは複数の単極トレースとは別であり得る。
【0098】
図5Hは、単極電極536の全てが単一のトレースに結合される単極電極パッドに対する別の配置を示している。
図5Iは、単極電極および温度センサに対する別の代替配置を示している。単極電極パッドは、(
図1Cなどに示すように)長手方向および周方向にずれた配置で拡張可能デバイスの周りに配置され得、
図3Aから
図5Fに示すのと同様の幾何形状および配置を有し得る。
(治療方法および制御システム)
(a.デバイス位置決め)
図6は、開示の1つの非限定的実施形態による、治療方法600を行うために使用されている、
図1Aのシステム100を示している。ここで、制御ユニット110は図では、(複数の電極アセンブリを有する)拡張可能デバイスが、治療が必要な身体通路の部分S1に隣接して配置されるように、身体通路内に配置されたカテーテル・デバイスに動作可能に結合されている。部分S1でのカテーテル・デバイスの配置は、従来の方法により、例えば、透視下でガイドワイヤの上で行うことができる。
【0099】
S1内に配置されると、拡張可能デバイスは、例えば、バルーンの場合、202650〜1013250Pa(2〜10atm)から流体を加圧することによって拡張させることができる。これにより、拡張可能デバイスの電極を、身体通路と接触させる。
【0100】
いくつかの実施形態では、制御ユニット110は、身体通路に対する電極の位置決めを確認するために、電極アセンブリでのインピーダンスを測定する。これらの実施形態の少なくともいくつかでは、電極の全てに対して位置決めが感知されたわけではないとしても、治療が進むことがある。例えば、いくつかの実施形態では、電極の50%以上に対して位置決めが感知された場合に、治療が進み、周方向および/または軸方向の位置決めの完全な均一性より少ないことが可能である。例えば、いくつかの例では、近接電極の1つまたは複数が大動脈内にあり、血液に曝されているようにカテーテルを位置決めすることができ、このような電極に対して感知されたインピーダンスは、予め指定した範囲(例えば、500〜1600Ωなど)内にない場合があり、これらの電極に対して組織が位置決めされていないことを示している。いくつかの例では、システムは、均一電極/組織位置決めがより少ない場合でも、治療を進めるためのユーザ許可を可能にし得る。したがって、制御ユニット110は、黒い四角で示すように、対応する数の損傷Lを作り出すように電極を作動させることができる。電極の作動中に、制御ユニットは、電極パッドの感熱デバイスを使用して、組織および電極のいずれにも接触しない、感熱デバイスの独自の配置により電極および組織の両方の熱を監視する。このように、より多いまたは少ない電力を、治療中に必要に応じて各電極パッドに供給することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、制御ユニット110は、デバイスの全ての電極に対する位置決めを判断するための均一の標準を適用することができる。例えば、制御ユニットは、電極の全てに対して同じ予め指定した範囲の抵抗測定を利用することができる。しかし、全てではないが、いくつかの単極応用例を含む他の例では、異なる標準を、位置決めを判断するために異なる単極電極に適用することがある。例えば、いくつかの単極実施形態では、各単極電極は、(1つまたは複数の)共通/不関電極に対して組織を通して別個の電気回路を設定し、これらの回路の特性(例えば、抵抗)は、単極電極と共通電極との間の距離、その間の組織特性、ならびにデバイスおよび周辺組織の他の幾何形状および特性に基づいて、かなり変化することがある。このように、少なくともいくつかの実施形態では、例えば、単極電極と共通電極との間の距離によって変化する位置決めを判断するための基準を適用することが望ましいことがある(例えば、2本の電極の間の距離が大きければ大きいほど、優れた位置決めを判断するのに必要なインピーダンス測定が高くなる)。しかし、他の実施形態では、距離および他の幾何形状のこれらの差による相違は、最小または非実質的であり、均一な基準を適用することもできる。
【0102】
図24A〜
図24Fは、治療の過程中の制御ユニットによって表示される一連のスクリーン・ショットの1つの非限定的な例を示している。
図24Aでは、システムはユーザにカテーテルを接続するように促す。
図24Bでは、システムは、カテーテルが接続されたこと、および接続したカテーテルに関する他の情報(例えば、寸法/直径)を確認する。
図24Cおよび
図24Dでは、システムは上に論じたように、電極位置決めを確認し、どの電極および何本の電極が位置決めされたかを示し、進行するための許可を求めることができる。
図24Cでは、3本の電極(例えば、第1の3本のまたは「近接」電極)が、位置決めされているように示されており、
図24Dでは、全ての電極が位置決めされているように示されている。
図24Eおよび
図24Fでは、システムは、治療の間および後の両方に、治療の特定のパラメータ(例えば、電力、温度、時間、および活性/活性化電極の数)を表示することができる。上記パラメータおよび/または他の情報などの治療に関する情報は、システムによって捕捉し、メモリに保存することができる。
【0103】
図6を再び参照すると、部分S1内の所定の治療が完了した後に、拡張可能デバイスは収縮され、未処理部分S2に移動されて、部分S1で行われた治療を繰り返し、同様に部分S3、および必要に応じて任意のより多くの部分にまで移動される。部分は図では、直接隣接しているが、ある距離だけ離れていることもある。
【0104】
いくつかの例では、
図6に示した以外の代替方法が利用される。例えば、他の実施形態では、通路内の単一の位置のみで治療が行われ、通路内の多数の位置に拡張可能デバイスを移動させる必要はない。
【0105】
再び、過剰な神経活性の減少に関連する腎性高血圧の例を参照すると、システムを使用して、神経活性に影響を与えるように、直接エネルギーへの非穿刺、非アブレーション方法を行うことができる。したがって、示した身体通路は、部分S1〜S3において神経組織Nによって囲まれた腎動脈であってもよい。拡張可能デバイス上の電極は、影響を受ける神経Nの知られている方向にエネルギーを運搬するように電力を与えることができ、エネルギー浸透の深さは、エネルギー1回分、電極タイプ(例えば、単極対双極)および電極幾何形状の関数である。本願明細書にその開示全体を援用する、「身体組織への望ましい温度影響を誘導するためのシステム(System for Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissue)」という名称の米国特許出願公開第2008/0188912号は、必ずしも全てではないが、いくつかの実施形態で考慮され得る、電極幾何形状および組織治療区域の容量に対するいくつかの検討事項を記載している。いくつかの例では、経験的分析を使用して、神経組織Nのインピーダンス特性を判断することができ、それによって、カテーテル・デバイスを使用して、本願明細書に開示および記載するように、対象の方法で組織を最初に特徴付け、その後治療することができる。エネルギーの運搬および調整はさらに、蓄積された損傷モデリングも必要とする場合がある。
【0106】
図示するように、各損傷Lは、拡張可能デバイス130の対応する治療区域A〜D内に作り出される。したがって、1つの特定の治療区域A〜Dに作られたあらゆる損傷Lは、動作軸O−Oに沿ったあらゆる点において隣接する治療区域A〜Dの損傷と周方向に重ならない。いくつかの実施形態では、拡張可能デバイス130の治療区域は、2つ以上の電極パッドを有し、したがって、このような場合、これらの電極パッドによって作り出された損傷Lは周方向に重なる。これらの場合では、より多くの損傷Lが、特定の生体構造に必要であることがある、または1対の電極パッドが、治療を行う前に診断ルーチンを行うために必要である。それにも関わらず、隣接する治療区域の電極の周方向重複は存在しない。
(b.エネルギー運搬)
必要な特定のリモデリング効果によって、制御ユニットは、1から180秒の間、約0.25から5ワット平均電力で、または約0.25から900ジュールで電極に通電する。より高いエネルギー治療を、90秒間0.5ワット、または180秒間0.25ワットなどの、より低い電力およびより長い持続時間で行うことができる。単極実施形態では、制御ユニットは、電極構成、および電極と共通接地との間の距離によって、最長5分間最大30ワットで電極に通電することができる。エネルギーは、より少ない導電損失でより局所化された領域にわたって進むので、より短い距離はより短い期間にわたってより低いエネルギーを与える。脱腎神経化で使用される例示的な実施形態では、約5ワットの治療設定で約30秒間エネルギーが運搬され、それによって、治療区域が治療中に約68℃まで加熱される。上に記したように、電力要求は、電極タイプおよび構成によって大きく左右される。普通、より幅広い電極間隙では、より多くの電力が必要であり、この場合、平均電力は5ワットより高く、合計エネルギーは45ジュールを超えることがある。同様に、より短いまたは小さい電極対を使用する場合は、平均電力を減らす必要があり、合計エネルギーは4ジュール未満になることがある。電力および持続時間は、いくつかの例では、厳しい損傷を引き起こすのに十分なのより小さく、特に、血管内の疾病組織をアブレーションするのに十分なのより小さいようにキャリブレーションされることがある。開示全体を本願明細書に援用する、スラガー(Slager)らによって、J.of Amer.Cardiol.(1985年6月)、第1382〜6ページの「放電加工によるアテローム動脈硬化性プラークの蒸発(Vaporization of Atherosclerotic Plaque by Spark Erosion)」というタイトルの記事において、およびステファン・エム・フライ(Stephan M.Fry)による、「熱および崩壊血管形成術:外科医のガイド(Thermal and Disruptive Angioplasty: a Physician’s Guide)」、ストラテジック・ビジネス・デベロップメント・インコーポレイテッド(Strategic Business Development, Inc.)、1990年によって、血管内のアテローム動脈硬化性物質をアブレーションする機構が、十分記載されている。
【0107】
いくつかの実施形態では、患者の腎動脈の1つまたは両方に行われたエネルギー治療は、悪影響を与えることなく、身体の他の通路内で可能性があるよりも高いレベルで行われる可能性がある。例えば、身体の周辺および冠動脈は、特定の熱反応限界より上の加熱に曝されると、有害な長期閉塞反応の影響を受けやすい。しかし、腎動脈は、悪影響を与えることなく、このような熱反応限界より上の加熱に曝すことができることが発見された。
【0108】
いくつかの実施形態では、CHFの収縮および拡張形態の両方を緩和させるために、腎臓内の交感神経活性に影響を与えるように、患者の腎動脈の1つまたは両方にエネルギー治療が行われることがある。腎動脈に近接した組織に治療熱エネルギーを加えることは、交感神経活性を小さくするのに効果的であり、CHFの生体内作用および得られる影響を緩和する。いくつかの実施形態では、迅速な処置(例えば、10分以下の腎臓毎の治療時間)において熱エネルギーの制御した1回分を軽度に加えることが使用され、処置の有効性を最大限にしながら、患者によって感じる痛みを最小限に抑える処置を提供し、臨床スタッフに単純な処置を提供する。本開示のバルーン取付電極およびエネルギー運搬方法は、収縮および拡張CHFと合わせて、またはこれとは別に、慢性高血圧症に関連する交感神経活性を少なくするために、エネルギーを与えることに特によく適している。
【0109】
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載した電極パッドに通電して、治療した組織のリモデリングによる所望の治療結果を達成するために、対象組織を評価し、その後、選択的に治療することができる。例えば、組織署名を使用して、インピーダンス測定の使用で組織治療領域を識別することができる。身体通路内で周方向に間隔をおいて配置された電極を利用したインピーダンス測定を使用して、組織を分析することができる。対になった隣接する電極の間のインピーダンス測定は、電流経路が疾病組織を通過する場合と、例えば管腔壁の健康な組織を通過するときで異なる場合がある。したがって、疾病組織の両側の電極間のインピーダンス測定は、損傷または他のタイプの対象組織を示すことができ、他の対の隣接する電極間の測定は健康な組織を示すことができる。血管内超音波法、光コヒーレンス・トモグラフィなどの他の特性を使用して、インピーダンス測定と併せて、またはその代替方法としてのいずれかで、治療される領域を識別することができる。いくつかの例では、組織署名および/または署名プロファイルが人によって異なるので、隣接する組織を区別するのを助けるように治療される組織の基準測定を得ることが望ましい場合がある。加えて、組織署名および/または署名プロファイル曲線は、異なる組織間の関連傾斜、ずれなどの識別を容易にするように標準化され得る。インピーダンス測定は、1つまたは複数の周波数、理想的には2つの異なる周波数(低いおよび高い)で達成することができる。低周波数測定は、約1〜10kHz、または約4〜5kHzの範囲で行うことができ、高周波数測定は、約300kHz〜1MHz、または約750kHz〜1MHzの間の範囲で行うことができる。低周波数測定は主に、インピーダンスの抵抗成分を示し、組織温度と密接に相関しており、より高い周波数測定はインピーダンスの容量成分を示し、細胞構成の崩壊および変化と相関している。
【0110】
インピーダンスの抵抗および容量成分の間の位相角度シフトはまた、インピーダンスの容量および抵抗変化の結果、電流と電圧との間のピーク変化により起こる。位相角度シフトはまた、RF脱神経化中に、組織接触および損傷形成を評価する手段として監視することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、身体管腔のリモデリングは、穏やかなまたは標準的な拡張と組み合わせて、穏やかな加熱により行うことができる。例えば、電極が上に配置された血管形成術バルーン・カテーテル構造は、拡張の前、間、および/または後に、任意選択では標準的な未加熱血管形成術拡張圧力で、またはそれよりかなり低い拡張圧力と組み合わせて、血管壁に電位を加えることがある。1013250〜1621200Pa(10〜16気圧)のバルーン膨張圧力が例えば、特定の損傷の標準的血管形成術拡張に適している場合、本願明細書に記載した(バルーン上の可撓性回路電極、バルーン構造上に直接蒸着された電極などにより)適当な電位と組み合わせた変更拡張治療は、1013250〜1621200Pa(10〜16気圧)を利用することができ、または607950Pa(6気圧)以下、可能であれば101325〜202650Pa(1〜2気圧)の圧力で行われることがある。このような中度の拡張圧力は、身体管腔、循環器系、および周辺脈管構造の疾病の治療のために、本願明細書に記載された組織特徴、同調エネルギー、偏心治療、および他の治療態様の1つまたは複数の態様と組み合わせられていても(組み合わせられていなくても)よい。
【0112】
多くの実施形態では、身体管腔の拡張の前、間、および/または後に加えられた穏やかな加熱エネルギーにより、合併症を低く抑えながら、拡張効果が大きくなる。いくつかの実施形態では、バルーンを備えたこのような制御加熱は、反動の減少を示して、移植の欠点なしで、ステント状拡張の利点の少なくともいくつかが提供される。加熱の利点は、外膜層の加熱を有害な反応閾値より下に制限することによって強化することができる(および/または合併症を抑制することができる)。多くの場合、内膜および/または媒体のこのような加熱は、約10秒未満、しばしば3(さらには、2)秒未満の加熱時間を使用して行うことができる。他の場合では、極めて低い電力をより長い持続時間だけ使用することができる。対象組織位相角度に回路の駆動電位を適合させることによって、対象組織へのエネルギーの効率的な結合は、望ましい加熱効率を高め、電力曲線の下の領域を効果的に最大限にする。位相角度の適合は、絶対的である必要はなく、特徴付けられた対象組織への完全位相適合は利点を有し、代替システムは典型的な対象組織を実質的に適合させるように適当な電位を予め設定することができる。実際の位相角度は、正確に適合させなくてもよいが、対象組織内の加熱局所化は、標準的電力形態を使用したものよりかなり良い。
【0113】
いくつかの実施形態では、上に論じたように、単極RFエネルギー付与は、バルーン上の電極のいずれかと外皮またはデバイス自体の上に位置決めされた戻り電極との間で運搬することができる。単極RFは、深い損傷が必要である領域で望ましいことがある。例えば、単極応用例では、各電極対は、対毎に1本の正極および1本の負極を有するよりはむしろ、正極極性で電力を与えられ得る。いくつかの実施形態では、単極および双極RFエネルギー応用例の組合せは、様々な深さ/寸法の損傷を対の電極の極性を変えることによって選択的に達成することができる場合に行うことができる。
(c.対象温度)
RFエネルギーの付加は、対象および/または側枝組織の温度を制限するように制御して、例えば、対象組織も側枝組織も不可逆熱損傷を維持するように、対象組織の加熱を制限することができる。いくつかの実施形態では、表面温度範囲は約50度から約90℃までである。穏やかな加熱では、表面温度は約50℃から約70℃までの範囲であり、より活動的な加熱では、表面温度は約70℃から約90℃までの範囲である。バルク組織温度がほとんど50℃から55℃の下のままであるように、約50℃から約70℃までの範囲の表面温度未満に側枝組織の加熱を抑制するように加熱を制限することにより、そうでなければ、狭窄、熱損傷などにつながることがある免疫反応を抑制することができる。50℃から70℃の間の比較的穏やかな表面温度は、より大きい血管管腔、および改善された血流を提供するように、治療中、治療の直後、および/または治療に対する組織の治癒反応による治療後、1時間、1日、1週間、さらには1か月より長くタンパク質結合を変性および損傷させるのに十分である場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態では、対象温度は、治療中に変化することがあり、例えば、治療時間の関数であってもよい。
図7は、30秒の持続時間であり、12秒で名目身体温度から約68℃の最大対象温度まで増加する治療に対する1つの可能な対象温度プロファイルを示している。
図7に示す実施形態では、12秒の増加段階中の対象温度プロファイルは、対象温度(T)が時間(t)の関数である二次方程式によって定義される。方程式の係数は、名目身体温度から68℃までの傾斜が、重力の影響により移動弧の最大高さに到達する発射物の軌道に類似した経路に従うように設定されている。すなわち、12秒および68℃に到達したときに、温度上昇において温度の傾斜(d
2T/dt
2)および直線的に減少する傾斜(dT/dt)内の一定の減速があるように、傾斜は設定され得る。68℃に近づくとその傾斜が次第に減少するこのようなプロファイルにより、残りの治療に対する設定対象温度を最小限に抑えること、および/または目標に達しないことが容易になる。いくつかの実施形態では、
図7の対象温度プロファイルは、双極または単極治療に等しく適切であるが、少なくともいくつかの単極実施形態では、治療時間を長くすることができる。
【0115】
図8、
図9、および
図10は、開示の様々な実施形態での使用の追加の対象温度プロファイルを示している。
図8は、変化する上昇時間および設定対象温度を備えたプロファイルを示している(例えば、1つのプロファイルは約3秒の上昇時間および55℃の設定温度を有し、1つのプロファイルは5秒の上昇時間および60℃の設定温度を有し、1つのプロファイルは8秒の上昇および65℃の設定温度を有し、1つのプロファイルは12秒の上昇および70℃の設定温度を有し、1つのプロファイルは17秒の上昇および75℃の設定温度を有する)。
【0116】
図9および
図10は、異なる上昇プロファイルを利用する温度プロファイルを示しており、そのうちのいくつかは、設定対象温度に比較的積極的に近づき(例えば、「急速上昇」プロファイル)、そのうちのその他は、設定対象温度にあまり積極的でなく近づく(例えば、「ゆっくり上昇」プロファイル)。
図10に示した「中間改善上昇」温度プロファイルは、少なくともいくつかの治療プロトコルに対する最適な結果を提供するが、本開示の全ての実施形態がこの温度プロファイルに限られるものではなく、異なる治療および異なる状況は有利には他のプロファイルを使用することがあることが経験的に判断されてきた。中間改善上昇は、最適化した治療時間全体を提供しながら、より積極的な加熱プロファイルが生じさせる有害な顕微鏡熱損傷を防ぎながら、対象温度まで対象組織を効率的に温める例示的実施形態である。図示した対象温度プロファイルそれぞれでは、二次方程式を利用するまたは近似させる温度傾斜を利用することができるが、組織を効率的に加熱し、治療時間を最適化し、対象組織に対する熱損傷を防ぐあらゆる関数または他のプロファイルを使用することもできる。しかし、さらに他の実施形態では、これらの目的の全てを達成する温度プロファイルを利用する必要はない。例えば、限定することなく、少なくともいくつかの実施形態では、治療時間の最適化は重要ではないことがある。
【0117】
Vessixシステムの脱神経化実施形態で使用される対象温度プロファイルを最適化および検証するために、卓上および動物実験の両方が行われた。以下は、例示的な実施形態として、中間改善上昇温度プロファイルの選択をサポートする卓上実験および分析を要約したものである。
【0118】
試験は、その上昇時間アルゴリズムが、最適レベルの効果および安全性を提供するかを判断するために行われた。いくつかの前の上昇時間アルゴリズムは、できるだけ迅速に設定温度まで簡単に上昇し、これは必ずしも、少なくともいくつかの状況では最良の動作過程ではないと考えられる。有効性が、3つの寸法パラメータで定量的に評価される。目的は、優れた有効性を提供しながら、視覚的検査に基づいて、治療区域での組織の炭化、変性、および脱水の最小量を作り出すアルゴリズムを判断することである。
【0119】
水槽が、身体温度をシミュレーションするために最大37℃にされ、肝臓試料が、生体内での状態をシミュレーションするために水槽内に置かれた。デバイスの良い位置決めは、組織と接触する各双極電極の電極/組織インターフェースのインピーダンス値に留意することによって検証された。より高いインピーダンス(>500Ω)が、優れた位置決めのための基準点として使用された。
【0120】
図9および
図10の温度プロファイルが実行された後、肝臓試料は、表面の損傷の長さおよび幅、浸透深さ、および2mm深さでの損傷の長さおよび幅が、各治療部位で測定された。分析者は、報告バイアスを減らすために、どの治療がどの順序で行われたかを知らなかった。かなりの組織損傷のあらゆる観察がまた、記録された。
【0121】
図11および
図12は、他の有効性測定に浸透深さを関連させるために作り出された有効性測定基準を表形式で示している。第1は、表面での損傷の面積の平方根で割った浸透深さである。この測定基準は、非寸法の形で、表面損傷の面積に対する表面上の損傷に対する深さを関連付ける。100%の値は、浸透深さが、表面損傷の平均寸法と等しいことを意味している。次の測定基準は、表面の面積によって割った2mmでの面積である。この測定基準により、どの程度熱が組織に浸透しているかが明らかになる。100%の値は、2mm深さでの面積、および表面積が同じであることを意味している。最後の測定基準は、表面の面積で割った2mmでの損傷の幅に浸透深さを掛けたものである。この数は、損傷の一般的形状に関する情報、およびエネルギーが電極から径方向に伝搬する、または組織を貫通する傾向にあるかに関する情報を提供する。100%の値は、損傷寸法の断面積が損傷の表面の寸法に等しいことを意味している。
【0122】
実験データの全てを注意深く検討した後、中間改良上昇プロファイルが、特定の実施形態での使用のためには最も良い温度上昇アルゴリズムであるが、また、他の対象温度プロファイルも、本開示の開示した実施形態と併せて適当に使用することができることが分かった。
(d.制御アルゴリズム)
図13および
図14は、上に記載し、
図1〜
図6に示したような電気外科用デバイス、または、上に記載し、
図7〜
図10に示したような、対象温度プロファイル、もしくは他のプロファイルに基づく他のデバイスのエネルギー付加を制御する方法の1つの実施形態を示している。制御方法は、上でさらに詳細に説明した、または他の方法での、
図1の制御ユニット110、および/または制御ソフトウェアの処理機能を使用して実行することができる。少なくともいくつかの例では、制御方法は、システムの費用、寸法および複雑性を最小限に抑えることができる、単一の出力設定(例えば、電圧)で電極または他の運搬部位のいくつかに同時に通電するために、比較的単純なロバスト・エネルギー発生器を使用しながら、デバイスの様々な治療部位で温度または(1つまたは複数の)治療パラメータを細かく調整する。制御方法は、対象温度または(1つまたは複数の)治療パラメータからの逸脱を最小限に抑え、したがって、治療のあらゆる短い時間の間にエネルギー発生器に関する需要(例えば、電圧需要)の変化を最小限に抑える。
【0123】
いくつかの実施形態では、高い瞬時電力の付加、顕微鏡レベルでは、望ましくはないが熱ブロックにつながる、あるいはデバイス/組織インターフェースでの熱伝導熱移送の正味の減少を引き起こす可能性がある、関連する組織の焼き焦げまたは他の損傷を防ぐ、穏やかな制御加熱を行うように、上に記載したような対象温度プロファイルに基づいて、RFまたは他のエネルギーの付加を調整することが望ましい。すなわち、対象温度近くで温度を再び確立するために、温度のより大きい振幅、および結果的に生じるエネルギーのより激しい瞬時付加を避けることによって、中間インターフェース位置での組織完全性が保持され得る。組織乾燥は、熱伝導の正味の損失につながり、その結果、電極/組織インターフェースの下の、対象組織へのエネルギーの穏やかな治療運搬の効果的輸送が少なくなることがある。
【0124】
当業者は、
図13および
図14の特定の制御方法が、上に既に記載した特定の電気外科用デバイスの内容で例示的目的で提示されているが、これらの制御方法および同様の方法は、他の電気外科用デバイスにも有益に適用することができることが、当業者には分かるであろう。
【0125】
普通、
図13および
図14の制御方法実施形態は、
図7〜
図10の対象温度プロファイルの1つなど、規定の対象温度で様々な治療部位を維持しようとしている。本実施形態では、基本的に、RF発生器の出力電圧を調整し、どの電極が所与のタイムスライスで通電されるかを判断することによって(例えば、特定の電極をそのサイクルに対してオンおよびオフに切り換えることによって)それを行う。
【0126】
発生器の出力設定、および電極の切換は、測定温度と、前の所望の出力設定を考慮するフィードバック・ループによって判断される。特定の治療サイクル(例えば、治療の25ミリ秒スライス)の間、各電極は、3つの状態、オフ、通電、または測定の1つに対して識別され得る。いくつかの実施形態では、電極は、デフォルトの電極状態がオフであって、特定の基準を満たす場合に、通電および/または測定状態(通電された電極も測定している可能性がある)にあるだけである。通電されたまたは測定している電極として識別された電極は、サイクルの一部に対して、またはサイクル全体に対して、電圧が付加されている、または温度信号を検出している場合がある。
【0127】
図13および
図14の制御ループ実施形態は、温度の変化を最小限に抑え、したがって、治療サイクルから治療サイクルまでの電圧需要の変化を最小限に抑えながら、できるだけ対象温度近くに多くの候補電極を保持するように設計されている。
図15は、電極に対する4つの治療サイクルにわたる例示的な時間/温度プロットを示し、制御アルゴリズムの1つの実施形態がどのように対象温度を維持するかを示している。
【0128】
図13および
図14の制御ループ実施形態を、次に詳細に説明する。
ステップ1300で示すように、各電極は最初にオフに設定される。ステップ1302では、電極の1本が、その治療サイクルに対する一次電極として指定される。以下にさらに詳細に論じるように、治療中、指定された一次電極は、治療サイクルから治療サイクルまで(例えば、利用可能な電極全てを通るサイクル)で変化する。どの電極が一次電極として指定されるかの判断は、参照テーブルにアクセスする、またはあらゆる他の適切な機能を使用して、一次電極を識別し、治療サイクルから治療サイクルまでの一次電極の選択を変更することによって行うことができる。
【0129】
ステップ1302では、追加の電極がまた、その治療サイクル中の通電および/または測定のための候補電極として指定される。指定された追加の電極は、その治療サイクルの間に指定された一次電極に対して特定の関係にあることにより、または特定の関係を欠いていることにより候補となることがある。
【0130】
例えば、いくつかの双極電極実施形態では、一次電極およびこれらの追加の電極が両方とも治療サイクルで同時に通電され、関連する感熱デバイスによる温度測定への干渉、各電極で運搬されるエネルギー量の不正確性、または他の望ましくない結果を望ましくないが引き起こす可能性がある場合に、一次電極とこれらの他の電極の間の漏電の潜在的可能性があるように、電気外科用デバイス上の電極のいくつかが配置されている場合がある。例えば、
図1Cに示す実施形態では、電極パッド150cが一次電極として指定される場合、電極パッド150cの負極に直ぐに隣接または近接している負極を有する電極パッド150dおよび170dは、その特定の治療サイクルに対して測定および/または通電の候補ではないと考えられ得る。というのは、指定した一次電極に漏洩誘導近接しているからである。加えて、本実施形態では、電極パッド150cの負極に直ぐに隣接または近接している正極を有する電極パッド150bは、候補ではないと考えられ得る。というのは、また、指定した一次電極に漏洩誘導近接しているからである。さらに、この特定の実施形態では、電極パッド170bはまた、非候補であると考えられる。というのは、漏洩誘導近接電極パッド150bと同じ可撓性構造上にあるからである。最後に、この特定の実施形態では、電極パッド150aおよび170aは、隣接している非候補なので、候補であると考えられる。
【0131】
別の非限定的例として、いくつかの単極電極実施形態では、候補電極は、一次電極に関連する電気回路の1つまたは複数の測定または推定性状と同様の測定または推定電気回路性状を有する単極電極である。すなわち、いくつかの単極システムでは、一次単極電極によって規定された電気回路(例えば、単極電極、共通電極、および患者の組織を通る通路によって規定される回路)と実質的に同様の電気回路を規定する単極電極に同時に通電するだけであることが望ましい。いくつかの例では、これにより、通電中の電流流れの均一性が容易になる。他の実施形態では、予め規定したテーブルまたは他のリストまたは関連により、どの電極が現在の一次電極に基づいて、候補電極であるかが判断される。
【0132】
少なくともいくつかの実施形態では、非候補に関連するスイッチが開かれて、非候補をシステムの回路の残りから隔離する。このような切換は、少なくともいくつかの実施形態では、また別の方法では、対の間の共通接地がスイッチ・オフによって影響されない限り、通電に利用可能な電極対の数を最大限にするために使用することができる。
【0133】
他の実施形態では、電気外科用デバイスは、漏洩の潜在的可能性を防ぐ、あるいは、このような漏洩を考慮するように構成することができ、したがって、デバイスの電極は全て、治療サイクル中に通電および/または測定の候補である可能性がある。
【0134】
いくつかの実施形態では、一次電極、候補、または非候補のいずれかとして電極を割り当てることは、各電極の状態を識別するアレイ内のシーケンス行列または参照テーブル、および一次電極の指定の順序によって判断することができる。1つの非限定的実施形態では、一次電極指定は、近接電極を通して周方向、その後、遠位電極を通して周方向に循環する(例えば、
図1Cでは、順序は170a、170b、170c、170d、150a、150b、150c、150dである)。しかし、順序の次の間の距離、順序の次の近さ、または分配の均一性を最適化するものを含む、あらゆるパターンまたは他の方法を使用することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、追加の条件により、特定の電極が特定の治療サイクルに対して、および/または治療の残りに対してオフに設定されることにつながることがある。例えば、以下に論じるように、治療の過程中に、4℃の温度オーバーシュートが許容される可能性がある(例えば、このようなオーバーシュートにより電極が通電されないことにつながる場合でさえも、必ずしもオフに設定されている必要はなく、測定に利用可能である)。しかし、少なくともいくつかの実施形態では、8つの連続治療サイクルが特定の電極に対して温度オーバーシュートを測定した場合、その電極は治療の残りに対してオフに設定される、治療を続けたままであり、以下に論じる制御ループ過程を変更しない。
【0136】
ステップ1304では、一次および他の候補電極それぞれに対する対象電圧が判断される。この特定の実施形態では、特定の電極に対する対象電圧は、その電極の治療部位に関連する温度誤差と、その電極に対して(必ずしも付加されていないが)計算された最後の対象電圧に基づいて判断される。温度誤差は、治療部位の現在の温度を測定する(例えば、その治療部位に近接した電極に関連する感熱デバイスを利用する)、および治療の際にその瞬間に対する測定温度および対象温度の差を判断することによって計算される。
【0137】
当業者は、この特定の実施形態は、制御変数として電圧を使用するように記載しているが、例えば、電力と電圧との間の知られている関係(すなわち、電力が電圧掛ける電流またはインピーダンスに等しい)に基づいて、制御変数としての電圧への代替として電力を使用することができることが分かるであろう。
【0138】
図14は、電極に対する対象電圧を判断するサブルーチンの1つの実施形態を示している。1402では、ターゲット(T
e)からの温度誤差は、(例えば、その電極に関連するサーミスタによって測定されるように)その時間(T
g)の対象温度を実際の温度(T)から引くことによって算出される。1404では、1402で計算された温度誤差が4℃より大きいかどうか判断される(すなわち、対象温度が68℃である場合、サーミスタによって測定されたような温度が72℃より上かどうかを判断する)。温度誤差が4℃より大きい場合、1406で、サブルーチンはその電極に、その治療サイクルの間、ゼロの対象電圧を割り当てる。温度誤差が4℃以下である場合、サブルーチンは1408に進み、温度誤差が2℃より大きいかどうかを判断する。温度誤差が2℃より大きい場合、1410で、サブルーチンは、その電極に、その電極に対して最後に割り当てられた対象電圧の75%(または、別の割合)の対象電圧を割り当てる。温度誤差が2℃以下である場合、1412では、サブルーチンは、以下の方程式に基づいてその電極に対する対象電圧を割り当てることができる。
【0139】
【数5】
式中、Vは対象電圧であり、T
eは対象からの温度誤差であり、V
Lは最後に割り当てた電極電圧であり、K
L、K
PおよびK
Iは定数であり、nは0からt秒までの範囲の時間値である。
【0140】
図14の実施形態を含むいくつかの実施形態では、使用される方程式は以下の通りであり得る。
【0141】
【数6】
式中、Vは対象電圧であり、T
eは対象からの温度誤差であり、V
Lは最後に割り当てた電極電圧であり、K
Pは比例制御による定数であり、K
Iは積分制御による定数である。
【0142】
いくつかの実施形態では、前の治療サイクルからの電圧平均または複数電圧を利用するよりむしろ、対象電圧を判断するために最後に割り当てた電極電圧のみを使用することが有利である。というのは、いくつかの場合では、前の電圧の使用は、対象温度の細かい制御に焦点を当てた実施形態では計算誤差の一因となることがあるからである。
【0143】
再び
図13を参照すると、ステップ1306で対象電圧が一次電極および他の候補電極に対して判断されると、一次電極に対する対象電圧はゼロより大きいか判断される。そうでない場合、1308では、RF発生器の出力電圧は、他の候補電極に対して1304で判断された最も低い対象電圧にその治療サイクルで設定される。一次電極に対して1304で判断された対象電圧がゼロより大きい場合、1310では、RF発生器の出力電圧は、一次電極の対象電圧にその治療サイクルで設定される。
【0144】
ステップ1312では、ゼロより大きい対象電圧を有する一次および他の候補電極は、通電される電極として識別される。代替実施形態では、一次以外の候補電極は、これらの電極に対して判断された対象電圧が設定電圧より6V大きい場合に通電されるだけである。
【0145】
さらに他の実施形態では、一次以外の候補電極は、これらの電極に対して判断された対象電圧が設定電圧より1、5、または10V大きい場合に通電されるだけである。
ステップ1314では、通電される電極が現在、60℃より高い温度であるか判断される。68℃より高い温度であるこれらの電極は、オフに切り換えられる、あるいは、その治療サイクルで通電されるのが防止され、あるいは他の状態で上記基準を満たすこれらの電極は、ステップ1316において設定電極で通電される。したがって、別の治療サイクルが始まり、
図13の制御ループは、治療が完了するまで繰り返される。いくつかの実施形態では、各治療サイクルは、前のおよび次のサイクルと非重複である(例えば、
図13のステップは、次のサイクルのステップが開始する前に完全に行われる)が、他の実施形態では、サイクルは少なくともある程度重複していることもある。
【0146】
図16〜
図23は、対象温度プロファイルにデバイスの8本の電極での実温度を調整するために、
図13の制御ループを利用する、脱腎神経化用Vessixシステムを利用する治療のための、時間の経過に伴う温度(対象および実際)および対象電圧のチャートである。これらの図でチャート化された対象電圧は、電極に加えられる実電圧と同じではないことを理解されたい。というのは、上に記載するように、電極の1本だけに対する対象電圧を使用して、各治療サイクルにおいて加えられる実電圧を設定するからである。
図16〜
図23に示すように、
図13の制御ループは、対象温度でのデバイスの各電極において実温度を正確に維持するように働く。
図16〜
図23にも示すように、測定したインピーダンスは、いくつかの例では、治療の過程にわたって(特に、治療の始めに)減少して、高周波数RFエネルギーに応じて組織内のイオンの大きな移動性を反映させる。
【0147】
脱腎神経化用のVessixシステムの一部として利用される場合に、上に記載した温度制御方法の例示的な実施形態は、ノルエピネフリン(NEPI)濃度を効果的に減少させることが実験的に判断されている。1つの実験では、脱腎神経化用のVessixシステムの有効性および安全性は、治療後7日目での腎臓NEPI濃度レベルの評価を含む、治療後7および28日目での健康な子供のヨークシャ豚で評価された。
図25は、この特定の実験に対する研究設計を要約したテーブルである。グループ1および2の有効性は、7日目で、各動物の治療した動脈対未治療の対側対照腎臓内のNEPIレベルの割合の減少として測定された。
図26は、(平均プラスマイナスSDとして)両方のグループの割合NEPI減少を示している。研究の過程にわたって、あらゆる動物における体重、身体状態スコア、または臨床病理学パラメータの顕著な変化はなかった。全体的に、平均基準血管直径は、全ての時点にわたってグループの間で同様であった。管腔増加または損失が計算され(平均前検視−平均基準直径)、治療されなかった動物の血管と比較した場合に、治療した血管に対する同様の管腔増加を呈する。腎動脈前処理の血管形成術画像の代表例として、RF治療後7および28日目が
図27〜
図30に示されている。血管造影分析を介して、急性でまたは慢性的に、穿刺、切開、血栓、または塞栓は検出されなかった。
(e.神経信号刺激および監視)
上に記載した実施形態の少なくともいくつかでは、または代替実施形態では、脱腎神経化治療方法およびシステムは、神経信号の刺激、および治療した腎動脈に近接する組織内の神経信号反応の監視を行う。いくつかの例では、神経活性のこのような電気記録図は、脱神経化治療の有効性の評価を行う、および/または治療を調整するためのフィードバックを行うことができる。少なくともいくつかの実施形態では、このような電気記録図は、神経活性が存在する、および/または測定した基準に対してシフト(例えば、減少)したかどうかの評価を行い、腎動脈に近接した腎組織の存在をマッピングまたは定量化する必要はない。
【0148】
1つの実施形態では、
図1Cに示す遠位および近接電極パッド150a〜150dおよび170a〜170dの双極電極対などの、脱神経化治療を行うために使用される同じ電極アセンブリはまた、神経信号を刺激する、および神経信号反応を監視するように構成することができる。例えば、近接電極パッド150a〜150dの1つにおける近接双極電極対の1つを使用して、神経信号を刺激することができ、遠位電極パッド170a〜170dの1つにおける遠位双極電極対の1つを使用して、神経信号反応を監視することができる。別の方法では、遠位双極電極は刺激のために使用され、近接双極電極は監視のために使用される。これらまたは他の実施形態では、刺激および感知は、軸方向または周方向に隣接する電極対によって行うことができる。
【0149】
図2Aの内容で上に記載したような寸法、間隙、他の幾何形状および他の特徴を有する電極222は、神経信号の刺激および監視のために十分であるが、他の実施形態では、電極はさらに、寸法を小さくすることができる、および/または他の特徴を変更して、より高い信号解像度を提供することができる。神経信号の刺激および(特に)監視への干渉を最小限に抑えるために、本明細書に記載したシステムおよびデバイスに対する他の変更を行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、(RF発生器内部回路など)システムの回路の配置、および/またはカテーテル/フレックス回路に関連する配線のペアリング、捻じれ、および他の特徴を最適化して、少ない電磁束を提供するように、回路の固有の容量を少なくすることができる。
【0150】
代替実施形態では、神経信号を刺激および/または監視するために使用される電極は、エネルギー治療を行うために使用される電極とは異なる場合がある。刺激/監視電極は、刺激/監視に最適化された位置、幾何形状、および他の特性を有し得、エネルギー運搬電極は、エネルギー治療を行うために最適化された位置、幾何形状、および他の特性を有し得る。
図42は、(
図10に示す電極と同様に)エネルギー治療を行う電極、および神経信号を刺激および監視するための別個の電極(ここでは、拡張可能デバイスの遠位および近接端部の周面リング電極の形である)を含むカテーテルの例を示している。
図43は、神経信号を刺激および監視するためのリング電極を担持する、別個の近接および遠位拡張可能デバイスを含むカテーテルの例を示している。
図42および
図43の電極はそれぞれ、双極電極、単極電極であってもよい、または近接および遠位電極リングの間に双極電極を構成してもよい。
図24Dに示すように、電極の略図的代表例が、通電されるために利用可能な電極領域を識別するためのユーザ・インターフェース上に示されている場合があり、さらに、インピーダンスの測定による十分な組織位置決めの表示を含み得る。ユーザ・インターフェースは略図的に電極構成を示している場合があるので、略図的画像は、拡張可能構造上に存在する電極構成のタイプに限るものではないことを理解されたい。電極は、リング、双極対、点電極、軸方向に細長い電極などのいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0151】
単極実施形態では、別個の負極が接地として使用されており、電極は、治療中に刺激および感知のための正極として働く。負極は、カテーテル本体上の1つまたは複数の点で、拡張可能構造上に、または接地パッドの形で患者の外部に配置され得る。単極構成では、エネルギー運搬と神経反応検出との間の大きさの差が比較的大きいので、(以下にさらに記載するように)信号処理およびフィルタリングは、望ましい選択肢である。
【0152】
図1Aで図示および記載した制御ユニット110のRF発生器および他の回路を使用して、神経刺激信号を発生させ、反応を監視することができるが、他の実施形態では、別個のデバイスを、神経刺激および/または監視反応を生成するためのシステムに関連付けることができる。
【0153】
1つの実施形態では、神経刺激は、神経組織に刺激を与えて神経信号を伝搬させることができる、パルス幅変調の前に、約1秒以下、または約0.5ミリ秒の期間にわたって、第1の電極によって加えられる、約0.1Vから約5V、または約0.5Vの範囲の電圧であってもよい。パルス信号はあらゆる形態であってよく、方形波はその1つの例示的形態であり、というのも、ピーク電圧へ向かってのまたはピーク電圧からの傾斜がない、波形が急激にオン/オフする性質が神経反応を効率的に刺激するからである。
【0154】
神経活性は、刺激に応じた神経信号の大きさ、刺激に応じた神経信号の速度、および/または神経信号の分画大きさの1つまたは複数を測定することによって評価され得る。ここで、分画大きさとは、治療前基準と比較して、神経伝達信号に対する正味の減少および変化のことを言う。治療前信号は、傾斜の比較的大きな大きさおよび滑らかな遷移を有することが予測され、少なくともいくつかの治療で受けられた神経からの信号は、治療により遮断された神経伝達を示す傾斜内に、比較的より低い大きさ、およびあまり滑らかではない、急激な、または破断した遷移を有することが予測される。これらの測定は、第2の電極の電圧、および刺激と反応との間の測定時間の変化を測定することによって判断することができ、少なくともいくつかの実施形態では、背景雑音と神経信号とを区別するためにハイおよび/またはロー・パス・フィルタリングを利用することができる。
【0155】
現在、脱腎神経化などの介入エネルギー運搬治療は、解剖学的ランドマークに基づいて行われている。脱腎神経化の例では、神経の大部分が腎動脈の長さに沿って配置されていることが知られている。後治療評価は、典型的には中間指標ではなく、神経生存を示していない、NEPIおよび血圧低下などの二次的影響に基づいている。
【0156】
当該技術分野の現在の状態では、脱腎神経化処置の間にリアルタイムで、腎神経の機能挙動を直接評価するために利用可能な手段はない。この問題に対する解決法は、その活性前および後脱腎神経治療を評価するために、腎動脈内の腎神経の近傍でサブ閾値または低い刺激信号を運搬するために、交流電流または直流電流を使用することである。
【0157】
高解像度の迅速な神経生存測定は、
図1Bおよび
図1Cに示すものなどの多数の局所化電極を介して達成することができるが、実施形態は、バルーン上の双極フレックス回路電極に限るものではないことに留意されたい。カテーテル・ベース拡張可能構造に取り付けることが適切であるあらゆる電極構成(単極または双極)を利用することができ、リング電極、直線または螺旋状電極、点電極などを、バスケット、バルーン、またはカテーテル・システムで使用されるあらゆる他のこのようなタイプの構造に取り付けることができる。
【0158】
測定技術は、励起された神経線維に沿って広がる活動電位の生成を引き起こすために、神経の経路上の少なくとも1つの電極からの電気刺激を利用する。この活動電位はその後、別の点で記録される。この技術を使用して、神経インパルスが神経を流れるときに神経インパルスの伝達の適切性を判断し、それによって、神経損傷の兆候を検出することができる。電極間の距離、および電極間を電気インパルスが前進するのにかかる時間を使用して、インパルス伝達の速度(神経伝達速度)を計算する。伝達速度が遅いことは、神経損傷を示す。
【0159】
腎神経の電気刺激の後の反応の速度、振幅、および形状は、バルーン・カテーテル上の多数の電極を介して測定される。異常の発見としては、伝達が遅くなること、伝達が遮断されること、反応がなくなること、および/または振幅応答が低いことが挙げられる。
【0160】
図44および
図45を参照すると、電気信号形態学は、遅い伝達と組み合わせられた分画の程度の変化によって証明されるように、神経伝達の変化を示している。
図44は、治療前または基準状態の代表的な神経信号4401を示している。
図45は、少なくともいくつかのエネルギー治療を受けた後の、代表的な神経信号4501を示している。信号4401と信号4501を比較すると、神経信号の振幅が小さくなり、パルス幅が増加したことが明らかである。また、信号4501の傾斜および傾斜の変化は、信号4401の傾斜および傾斜の変化よりはるかに滑らかではないことが明らかである。これは、本開示のエネルギー治療にどのように神経が反応するかを例示しているものである。エネルギーが運搬されると、神経伝達性状は小さくなるまたはなくなり、それによって、神経信号は少なくなり、あまり連続しなくなり、速度がより遅くなる。
【0161】
神経信号測定は、信号フィルタリングを使用して最適化することができ、それによって心臓電気信号、刺激信号およびシステム雑音の影響が、回路の精度および感度を最適化するように、神経感知回路からフィルタリングされる。信号フィルタリングは、バンド・パス・フィルタなどの手段により達成することができる。例えば、100Hzの例示的値を備えた、約1Hzから約500Hzの範囲のロー・パス・フィルタ、および5kHzの例示的値を備えた、約1kHzから約10kHzの範囲のハイ・パス・フィルタを利用して、回路によって感知および測定される信号の周波数帯域を確立することができる。測定はその後、治療エネルギーの運搬を調整するために使用されるエネルギー制御アルゴリズムに適用されるフィードバックとして使用される。
【0162】
単極実施形態では、エネルギーが電極の1つまたは複数の正極から共通の接地経路の1つまたは複数の負極に流れるので、感知は組織の幅広い領域からである。この概念を
図1Bおよび
図1Cの実施形態に適用して、例示的な極性を使用して、外部パッチ(図示せず)を正極として使用し、電極アセンブリ140a〜140dは、神経信号測定に使用される共通の接地回路の負極として働く。感知の目的でエネルギーをこのように一見後ろ向きに付加する際には、電極アセンブリ140a〜140dは、問題の神経組織により近接しており、したがって、感知用の負極として働くことによって感知精度を良くすることができる。治療のエネルギー運搬モード中、外部パッチおよび電極アセンブリ140a〜140dの極性は、電極アセンブリ140a〜140dが正極であり、外部パッチが接地用の負極であるように切り換えることができる。
【0163】
双極実施形態では、電極アセンブリ140a〜140dの正極および負極が直ぐ隣接しているので、感知は組織の局所化領域からであり、したがって、感知された組織容量は、単極構成よりはるかに局所化されている。極の近接により、組織に通電するための本質的により低い量エネルギー運搬量、および極間のより小さい組織容量による本質的により高い程度の測定解像度が可能になるので、双極配置の電極の近接は望ましい場合がある。加えて、電極アセンブリ140a〜140d構成は、本明細書に記載したように、経路に沿って信号の直線的前進を感知および測定することを可能にする近接/遠位直線間隙を提供する。
【0164】
神経信号刺激および測定は、エネルギー治療前、間、および/または後に起こることがある。1つの実施形態では、神経活性は、神経活性の基準レベルを確立するために治療前に評価され、その後、神経活性の変化の閾値レベルにつながったかどうかを判断するために治療の後に再び評価される。神経信号大きさの割合の減少、信号傾斜の分画の程度、神経信号パルスの持続時間の増加、および神経信号パルス間の時間の増加のいずれか1つまたは複数を使用して、対象組織内で脱神経化が起こった、または起こっている最中であることを示す組織反応を測定することができる。すなわち、神経活性の完全崩壊は、脱神経化治療の遅延反応であることがあるが、神経活性のある減少は、治療の効果を示すのに十分な脱神経化治療の間または直後に起こることがある。代替実施形態では、効果的な脱神経化は、神経信号が所定の刺激に応じて検出されないものとして特徴付けられる。
【0165】
神経信号評価は更に、あるいはこれに代えて、エネルギー治療中に行うことができる。例えば、
図13に示す制御アルゴリズムを変更して、各電極焼成サイクルの前または後に、刺激した神経活性の時間スケール測定を可能にすることができる(このような測定は、約数ミリ秒、数マイクロ秒、数ナノ秒、数ピコ秒などのいずれかである)。これらのサイクル内測定は、治療前基準、前のサイクルからの測定、または他の基準と比較され得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、神経活性評価が、治療の前および後に、各治療サイクルの間に周期的に、または特定の数の治療サイクルの後に周期的に行われるかどうかに拘わらず、神経活性評価からのデータを使用して、脱神経化治療のためのパラメータを確立または調節することができる。例えば、
図13および
図14に示す実施形態では、各サイクルに対する設定電圧は、加えられた前の電圧と測定および平均化された温度誤差の関数であり得るが、治療温度での合計時間は、測定した神経活性の関数、または前に測定したあるいは予め設定された基準からの測定神経活性の偏差の関数であり得る。神経信号の測定した大きさ、神経信号の速度、および/または分画した大きさの1つまたは複数は、このようなアルゴリズムでは説明することができる。したがって、神経活性の明らかな減少が脱神経化治療で早期に測定されると、合計治療時間を短くすることができる。逆に、神経信号評価が神経活性の減少を測定していないと、合計治療時間は長くなることがある。もちろん、(1つまたは複数の)神経信号評価からのフィードバックを使用して、脱神経化治療の追加のまたは代替パラメータを変更することができる。
【0167】
神経信号の測定は、本明細書に記載するエネルギー運搬および制御方法に直接一体化させることができる。候補電極が制御アルゴリズムによって選択および通電されると、神経信号測定の追加の関数を、制御アルゴリズムと一体化させることができ、それによって、神経反応の追加の制御因子が、治療前組織細胞状態をできるだけ最大の程度に保持するために、余分なエネルギーの運搬を防ぎながら、エネルギーが運搬され、治療反応が達成される精度を高くする。
図13Aに示すように、追加の制御ループ・ステップ1313を使用して、神経信号減少閾値が満たされたかどうかを評価することができる。神経信号減少閾値が満たされない場合、制御ループはその後、ループ・ステップ1314に進んで、候補電極が温度閾値に到達したかどうかを判断する。ループ・ステップ1313で、神経が信号減少閾値に到達したと判断された場合、その後、電極は通電される候補電極として選択され得る。
(小さな/分岐血管および他の通路の治療)
本明細書に記載したシステムおよびデバイスは有利には、他のエネルギー・ベース治療システムおよびデバイスが適切でない状況で使用することができる。例えば、本明細書に記載したシステムおよびデバイスの実施形態を、血管、および他のカテーテル・ベースエネルギー治療システムを使用して治療するのには小さすぎる他の通路で使用することができる。いくつかの例では、本明細書に記載したシステムおよびデバイスは、4mm未満の直径、および/または20mm未満の長さを有する腎動脈または他の血管で使用することができる。血管蛇行、および治療を受けるべきでない領域に対する治療部位への近接などの他の要因は、現在記載したシステムおよびデバイスの少なくともいくつかの実施形態に対してではないが、前のデバイスを使用した治療に対する反対の表示、あるいは適切ではないことがある。
【0168】
図1Dおよび
図1Eは、それぞれ3つの電極アセンブリを備えた4および5mmバルーンを示している。しかし、これらの電極アセンブリの特定の幾何形状、および前述の部分に記載した他の特性は、1、2、または3mmバルーンまたはその中間寸法などのより小さい直径のバルーン上で使用することを容易にする。(いくつかの1mm実施形態などの)いくつかの例では、バルーンは、ガイドワイヤ管腔を備えていない。
図46は、主な本体4601がデュポン(DuPont)(商標)社から市販されている可撓性ポリイミドである、Kapton(登録商標)で作られ、ショルダ4602が標準的バルーン材料で作られている、バルーンの1つの実施形態を示している。いくつかの例では、
図46のバルーンのKapton(登録商標)本体を使用して、
図2Bに示すベース層202をなくすように、バルーン上で使用される可撓性回路アセンブリの別個の層の必要性をなくし、それによって可撓性回路アセンブリのプロファイルを小さくすることができる。
【0169】
上に記載したシステムおよびデバイスの他の特性もまた、比較的小さい血管での使用を容易にすることができる。例えば、小さな直径の血管へエネルギー治療を運搬するには、運搬されるエネルギー量、および/または治療によって生じた温度上昇に関する特に細かい制御が必要である。このように、特定の電極エネルギー運搬幾何形状、制御アルゴリズム、および上に記載した他の特性は、本システムおよびデバイスをこのような状況に特に適するようにすることができる。
【0170】
図47は、大動脈4702から腎臓4703まで分岐する典型的な一次腎動脈4701を略図的に示している。カテーテルのバルーンおよび電極アセンブリ4704が、組織の治療のために拡張および位置決めされる、本開示の実施形態が示されている。エネルギー1回分が加えられ、バルーンはその後、収縮し、取り除かれるまたは再び位置決めされる。
【0171】
図48は、一次腎動脈4801および大動脈4803から分岐する副腎動脈4802を略図的に示しており、両方とも腎臓4804まで延びている。副動脈は、直径が約1mmから約5mmまでの寸法の範囲である。
図48の腎動脈は、生体内で被験者によって変わる可能性があるものの単純な略図的表示であると理解されたい。例えば、動脈は、直径、長さ、蛇行、位置、および数が変わることがある。さらに、これらの変更は、各動脈に対して、および各被験者に対してである。
図48は、より小さい副動脈内の治療のために位置決めされた第1のバルーン・カテーテルA、およびより大きい一次腎動脈内の治療のために位置決めされた第2のバルーン・カテーテルBを示している。
【0172】
実際、カテーテルAおよびカテーテルBは、2つの動脈が完全なバルーン拡張および動脈管腔の組織との接触が可能であるのに十分なほど直径が近い場合には、同じものの中で1つである可能性がある。さらに、カテーテルAおよびカテーテルBは、各動脈の治療可能長さによって、それぞれの動脈の長さに沿って再び位置決めすることができることが可能である。またさらに、外科医がそのように望む場合、一次および副動脈を同時に治療することが可能である。
【0173】
出願人の知識では、本開示の前には、小さな動脈の過熱によって生じる技術的制限、より小さい断面の管腔面積内で手術する場合の空間的制約、および蛇行する経路をナビゲートする困難性により、副腎動脈の治療は可能ではなかった。本開示の実施形態は、拡張可能なカテーテル・ベース構造、バルーン上の可撓性回路電極を使用するので、「1つの寸法が全てに適合する」デバイスの制限が取り除かれた。本開示のバルーンおよび電極アセンブリは、増加する範囲の管腔直径に対する正確に制御した熱エネルギー放射を容易にするように増加した寸法および配置をしている。すなわち、バルーンおよび電極アセンブリは、対応する寸法の管腔内の最適な手術のために増加した寸法および配置をしている。電極の数は、組織の過熱を防ぐために選択される。バルーン・ベース拡張可能構造は、可撓性を備えたより小さい非拡張直径の位置までナビゲートすることが可能である。拡張したバルーンの大きな表面接触により、組織接触の均一性が可能になり、単一の点プローブまたは他のこのような同様の設計の屈曲および/または狭い空間制約を防ぐ。
【0174】
副腎動脈は、人間の患者の25〜30%に存在するが、これらの患者は前の脱腎神経化研究からは除外されていた。REDUCE−HTN臨床研究(Vessix脈管臨床研究プロトコルCR012−020の内容全体を、本願明細書に援用する)では、4人の被験者のサブセットが、長手方向および周方向にずれたパターンでバルーン表面上に取り付けられた最大8本の放射線不透過性の金電極を備えた0.036cm(0.014インチ)のワイヤ上経皮バルーン・カテーテルを備えた、Vessix脱腎神経化システム(ヴェシックス ヴァスキュラー インコーポレイテッド(Vessix Vascular,Inc.)[米国カリフォルニア州、ラーナ ヒルズ(Laguna Hills、CA)所在])を使用して、一次、および少なくとも1つの副腎動脈の治療に成功した。例示的な実施形態では、カテーテルは、約30秒間、約68℃でRFエネルギーの温度制御治療放射を運搬する所有権のある自動低電力RF双極発生器に接続されている。このコホートの中間基準オフィス・ベース血圧(OBP)は、25198/12399Pa(189/93mmHg)であった。主な腎動脈それぞれの10.5回の脱神経化の平均に加えて、このコホートは、副腎動脈毎に8回の脱神経化の平均で治療された。
【0175】
この研究で、4人の被験者では、処置周囲合併症は報告されず、中間の後処置血管形成術では、腎動脈痙攣またはあらゆる他の悪影響も示されなかった。これらの4人の被験者は、処置後2週間で、−4266/−2133Pa(−32/−16mmHg)のOBPの中間減少がある改善を示した(25331/12932(190/97)から22265/12132(167/91);23331/12266(175/92)から17199/9333(129/70);25598/12532(192/94)から23865/12132(179/91);24398/11599(183/87)から18398/7333(138/55))。
【0176】
図49および
図50は、電極アセンブリの電極のサブセットを使用してエネルギーが選択的に運搬される脱腎神経化遅漏の非限定的例を略図的に示している。
図49は、分岐4902を備えた腎動脈4901を略図的に示している。この例では、バルーンおよび電極アセンブリ4903は、腎動脈内に位置決めされ、それによって、電極4904の1本が、腎動脈への分岐に結合する小孔に近接しており、したがって、血管壁内には位置決めされていない。いくつかの実施形態では上に記載するように、本開示によるシステムおよび方法は、血管壁内に位置決めされていない電極または電極のサブセット(例えば、電極4904)に通電しない間に、血管壁内に位置決めされた電極または電極のサブセット(例えば、
図49では電極4905および4906)に選択的に通電するように構成することができる。当業者は、
図49の例に加えて、これに限らないが、血管蛇行性、血管直径の変化、血管壁内の蓄積の有無などを含む、様々な他の要因が、電極アセンブリと血管壁との間の完全ではない位置決めにつながる可能性があることが分かる。
【0177】
図50Aおよび
図50Bは、エネルギー治療が腎動脈5001内の2つの位置で電極アセンブリおよびバルーンで行われる、脱腎神経化治療の非限定的例を略図的に示している。
図50Aでは、電極5002〜5005の全てが腎動脈5001内にあり、通電の潜在的な候補であるように、バルーンが位置決めされている。
図50Bでは、エネルギー治療が
図50Aに示した位置で行われた後に、その一部が腎動脈5001内に留まり、その一部が大動脈5006内にあるように、バルーンおよび電極アセンブリが引き出された。
図50Bに示す位置決めの際、本開示のシステムおよび方法の特定の実施形態は、大動脈5006内の電極が通電の非候補として識別された状態で、通電の潜在的な候補として電極5002および5005だけを選択するように構成される(あらゆる他の電極は、腎動脈5001内に位置決めされ、および/または腎動脈5001の壁面の定位置に位置決めされている)。
図50Aおよび
図50Bに示すように、本開示の特定の実施形態は、少なくとも一部の患者では、神経組織の比較的高い濃度の領域である可能性がある、腎動脈5001に大動脈5006を結合させる小孔にある、または近接した組織にエネルギーを運搬することを容易にすることができる。
【0178】
2013年3月15日出願の米国特許出願第61/788,429号、2012年12月21日出願の米国特許出願第13/725,872号、2013年1月25日出願の米国特許出願第13/750,879号、2012年12月21日出願の米国特許出願第13/725,843号、2012年12月21日出願の米国特許出願第13/725,885号、2012年12月21日出願の米国特許出願第13/725,894号、および2012年12月21日出願の米国特許出願第13/725,904号は全て、本明細書に援用する。
【0179】
例示的な実施形態を例示的におよび理解を明確にするために一部詳細に記載したが、当業者は、様々な修正、適応、および変更を利用することができることが分かるであろう。