(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220085
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】交換可能な遠位装置を備える機械的遠隔操作デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 34/37 20160101AFI20171016BHJP
【FI】
A61B34/37
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-567147(P2016-567147)
(86)(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公表番号】特表2017-506999(P2017-506999A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2015051473
(87)【国際公開番号】WO2015113933
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年9月1日
(31)【優先権主張番号】00138/14
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】CH
(31)【優先権主張番号】14159025.7
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】00408/14
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】516233136
【氏名又は名称】ディスタルモーション エスエー
【氏名又は名称原語表記】DISTALMOTION SA
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】ベイラ, リカルド
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/014621(WO,A2)
【文献】
特開2007−290096(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0318101(US,A1)
【文献】
特開2009−018027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/37
B25J 3/00−3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的遠隔操作デバイスであって、
前記デバイスの近位部に設けられ、ハンドルジョイントにより相互に接続された複数のハンドルリンクを有するハンドルと、
前記デバイスの遠位部に設けられ、エンドエフェクタジョイントにより相互に接続された複数のエンドエフェクタリンクを有するエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの動きが前記ハンドルの動きに対応するよう前記エンドエフェクタを前記ハンドルに運動学的に接続するよう構成された伝達システムと、を備え、
前記伝達システムは、
単一の軸に対して同軸となるよう設けられた複数の回転可能要素であってそのそれぞれが他と独立に回転するよう構成された複数の回転可能要素の少なくともひとつの構成と、
前記複数の回転可能要素の回転を前記ハンドルの動きに基づいて生じさせるよう構成された駆動要素を有する第1伝達手段と、
前記複数の回転可能要素の回転により駆動されるよう構成された被駆動要素であってその被駆動要素が駆動されることにより前記エンドエフェクタリンクの動きが生じる被駆動要素を有する第2伝達手段と、を含み、
前記伝達システムは前記第1伝達手段と前記第2伝達手段とを取り外し可能に結合するよう構成され、
被駆動要素のそれぞれは対応するひとつの回転可能要素に取り外し可能に結合される機械的遠隔操作デバイス。
【請求項2】
前記第2伝達手段の被駆動要素のそれぞれのセグメントは前記少なくともひとつの構成の対応するひとつの回転可能要素に取り外し可能に接続され、
セグメントのそれぞれは、前記少なくともひとつの構成の前記対応する回転可能要素がその周りで回転する前記軸に実質的に垂直な平面内の経路に沿って導かれる請求項1に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項3】
前記経路は丸い軌道に沿って延び、
前記丸い軌道の中心点は前記複数の回転可能要素がその周りで回転可能な前記軸と一致する請求項2に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項4】
前記複数の回転可能要素がその周りで回転可能な前記軸は前記機械的遠隔操作デバイスのジョイントの前記軸と一致する請求項1から3のいずれか1項に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項5】
前記第2伝達手段の被駆動要素のそれぞれは、前記複数の回転可能要素がその周りで回転可能な前記軸の周りで回動可能に取り付けられた係合レセプタクルにアンカーされ、
前記少なくともひとつの構成の対応する回転可能要素のそれぞれは前記対応する係合レセプタクルの中に取り外し可能に取り付けられうる相補的な係合部を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項6】
相補的な係合部のそれぞれは対応する回転可能要素に接続された複数のサポートのうちのひとつに取り付けられる請求項5に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項7】
前記係合レセプタクルおよび対応する係合部は第1ハウジングの中に収められ、
前記第1ハウジングは互いに取り外し可能に取り付けられた2以上の相補的ハウジングパーツを含む請求項6に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項8】
前記係合レセプタクルは前記相補的ハウジングパーツのうちのひとつの中に取り付けられ、前記相補的な係合部は他の相補的ハウジングパーツの中に取り付けられる請求項7に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項9】
前記少なくともひとつの構成は第1構成と第2構成とを含み、前記第1構成および前記第2構成のそれぞれは複数の回転可能要素を有し、
前記第1構成の回転可能要素は第1回転軸の周りで回転するよう互いに同軸に取り付けられ、前記第2構成の回転可能要素は第2回転軸の周りで回転するよう互いに同軸に取り付けられる請求項1から8のいずれか1項に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項10】
前記第1伝達手段の駆動要素のそれぞれは、前記第2構成の回転可能要素のそれぞれの回転が前記第1構成の対応する回転可能要素を回転させるように、前記第1構成のひとつの回転可能要素および前記第2構成の対応するひとつの回転可能要素に接続される請求項9に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項11】
前記第2構成の前記複数の回転可能要素がその周りで回転可能な前記軸は前記機械的遠隔操作デバイスのジョイントの前記軸と一致する請求項9または10に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項12】
前記伝達システムはさらに複数の伝達要素を有する第3伝達手段を含み、
前記複数の伝達要素のそれぞれは、前記ハンドルの駆動可能要素に運動学的に接続され、かつ前記ハンドルの駆動可能要素が駆動されたときに前記第2構成の対応するひとつの回転可能要素の回転を生じさせるよう構成される請求項9から11のいずれか1項に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項13】
前記第3伝達手段の伝達要素のそれぞれのセグメントは、前記第2構成の対応する回転可能要素にアンカーされる請求項12に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項14】
前記機械的遠隔操作デバイスはマスタ−スレーブ構成を有し、前記マスタ−スレーブ構成はスレーブユニットとマスタユニットとを備え、
前記スレーブユニットはスレーブジョイントにより相互に接続された複数のスレーブリンクを有し、
前記マスタユニットは、マスタジョイントにより相互に接続された複数のマスタリンクを有する請求項1から13のいずれか1項に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項15】
前記スレーブユニットの前記複数のスレーブリンクおよび対応するスレーブジョイントにより形成されるチェーンの運動学的モデルは、前記マスタユニットの前記複数のマスタリンクおよび対応するマスタジョイントにより形成されるチェーンの運動学的モデルと同じである請求項14に記載の機械的遠隔操作デバイス。
【請求項16】
ステーションに取り付けられた少なくとも2つの機械的遠隔操作デバイスを備える低侵襲手術のための機械的マニピュレータであって、機械的遠隔操作デバイスのそれぞれは請求項1から15のいずれか1項に記載のものである機械的マニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔から駆動される機械的システムの分野に関する。ある実施の形態では、本発明は主に手術の用に供される機械的遠隔操作デバイスであって交換可能な遠位装置を備える機械的遠隔操作デバイスに関する。ある実施の形態は特に低侵襲手術に適用されうる。本発明は、力フィードバックにしたがう高剛性かつ高精度の繊細な作業が必要とされる任意の遠隔操作アプリケーションにも適している。そのようなアプリケーションの例は、組み立て作業、狭い場所での作業、危険なまたは困難な環境での作業および汚染された環境またはクリーンルーム環境での作業を含む。
【背景技術】
【0002】
多くの環境やアプリケーションは機械的な遠隔操作デバイスを用いた遠隔作業を必要とする。これらのアプリケーションは、組み立てタスクでの繊細な作業、狭い場所での作業、危険なまたは困難な環境での作業、クリーンルームまたは無菌環境での作業、および開腹(open field)や低侵襲の手術環境における作業を含む。これらのアプリケーションは精度公差や典型的なエンドユーザなどのパラメータにより異なるが、そのそれぞれは機械的な遠隔操作システムに多くの同じフィーチャを要求する。そのようなフィーチャは例えば力フィードバックにしたがう高剛性かつ高精度の繊細な作業を行いうる能力である。
【0003】
機械的な遠隔操作デバイスシステムのアプリケーションの代表的な例として手術アプリケーションをここでより詳細に説明する。手術アプリケーションでは、既知のデバイスが存在するが、現行のものにおける顕著な短所が明らかとなっている。
【0004】
開腹手術は依然としてほとんどの手術的手順において標準的な技術となっている。それは医療コミュニティにより数十年に亘り使用されており、腹壁または他の体の領域を大きく切開し、そこを通じて従来の手術器具を挿入することにより手術タスクを行うことからなる。しかしながら、そのような大きな切開により、このアプローチは患者に対して非常に侵襲的であり、手術中にかなりの失血を生じさせ、また病院での長期の痛みを伴うリハビリ期間を生じさせる。
【0005】
開腹手術の侵襲性を低減するために、低侵襲技術である腹腔鏡術が開発された。単一の大きな切開の代わりに、患者にいくつかの小さな切開を設け、それらを通じて長くて細い手術器具および内視鏡カメラを挿入する。この手段の低侵襲性により、この技術は失血および痛みを低減し、入院期間を短くする。経験を積んだ外科医により行われた場合、この技術は開腹手術と同様の医療成績を得ることができる。しかしながら、上述の利点があるにもかかわらず、腹腔鏡術は硬くて長い器具を扱うため非常に高度の手術スキルを必要とする。入り口切開部が回転の基点として機能するため、患者の内部で器具を位置決めしたり方向付けたりする際の自由度が低減される。この切開部に対する外科医の手の動きは器具の先端に対して反転されかつ拡大される(「てこの効果」)。これにより、繊細さおよび感度が低減され、かつ外科医の手の震えが増幅される。加えて、長くてまっすぐな器具は外科医に手や腕や体について無理な姿勢で作業することを強要する。これは数時間に亘る作業中に顕著な疲れを生じさせうる。したがって、腹腔鏡器具のこれらの不利な点により、これらの低侵襲技術は主に単純な手術における使用に限られ、少数の外科医しか複雑な手術においてそれを使用することができない。
【0006】
これらの制限を克服するため、複雑な低侵襲手術へのより使いやすいアプローチを提供する手術ロボットシステムが開発された。コンピュータ化されたロボットインタフェースにより、これらのシステムは遠隔腹腔鏡術を実行可能とする。そこでは、外科医はコンソールに座ってふたつのマスタマニピュレータを操作し、いくつかの小さな切開を通じて作業を行う。腹腔鏡術と同様に、ロボット的アプローチもまた低侵襲であり、痛みや失血やリハビリ期間についての開腹手術に対する上述の利点を生じさせる。加えて、それは開腹技術や腹腔鏡技術と比べて、外科医にとって人間工学的によりよいものを提供する。しかしながら、技術的にはより簡単ではあるものの、ロボット手術はいくつかの負の側面を有する。これらのシステムの主な欠点は、既存のロボットデバイスが非常に複雑であることに関する。既存のロボットデバイスは複雑なメカトロシステムを備え、したがって取得および維持の費用が膨大となり、世界中の大抵の外科はそのような費用を負担することができない。これらのシステムの別の欠点は、現行の手術ロボットが大きいということから生じる。その大きさにより手術室環境内の貴重なスペースの取り合いが生じ、また準備期間をかなり増大させる。したがって患者へのアクセスが妨げられ、これは、一般に力フィードバックが欠如していることとあいまって、安全上の懸念を生じさせる。
【0007】
WO9743942、WO9825666およびUS2010011900は患者の体内で外科医の手の動きを再現するよう設計されたロボット的遠隔操作手術器具を開示する。コンピュータ化されたロボットインタフェースにより、それは遠隔腹腔鏡術を実行可能とする。そこでは、外科医はコンソールに座ってふたつのジョイスティックを操作し、いくつかの小さな切開を通じて作業を行う。しかしながら、このシステムは自律性も人工知能も有さない、単に外科医によって完全に制御される複雑なツールである。制御コマンドはロボット的マスタとロボット的スレーブとの間で複雑なコンピュータ制御メカトロシステムにより伝達される。このシステムの製造および維持のコストは膨大であり、病院の従業員が使うのは困難である。
【0008】
WO2012049623は、マスタスレーブ構成を伴う手術器具のための機械的マニピュレータであって遠位エンドエフェクタの遠隔駆動を含むマニピュレータを開示する。しかしながら、そこで開示されるシステムは交換可能な器具を提供しない。
【0009】
WO2013014621は、マスタスレーブ構成を備える遠隔操作のための機械的遠隔操作デバイスを開示する。マスタスレーブ構成はスレーブユニットを含み、該スレーブユニットは運動学的に同等なマスタユニットによって駆動され、その結果、スレーブユニットの各部分はマスタユニットの対応する部分の動きを模倣する。機械的伝達システムはそのデバイスによく適合されているが、軸ジョイントを通過するケーブルはデバイスの操作中により合わされる。これにより、ケーブルは互いにこすれ合うこととなる。これによりケーブルの経時的な損耗が増大し、また機械的伝達全体の摩擦が増大する。
【発明の概要】
【0010】
これらに鑑み、本発明のある目的は交換可能な遠位器具を備える機械的遠隔操作デバイスを提供することである。このデバイスは、手術環境における使用のために設計されてもよく、その場合、交換可能な遠位器具は手術器具であろう。しかしながら、当業者であれば、複雑な遠隔操作が要求される他のアプリケーションや交換可能な器具が異なる複数の操作タスクについて便利である他のアプリケーションにおいてこのデバイスを利用できることを認識するであろう。
【0011】
本発明の別の目的は改良された伝達システムを備える機械的遠隔操作デバイスを提供することである。そのようなシステムでは、伝達システムおよび特にジョイントは、ケーブルがこすれ合うことなく、したがって損耗が低減されるよう設計されてもよい。
【0012】
これらの目的および他の利点は、遠隔操作のための機械的遠隔操作デバイスを通じて達成される。このデバイスは、操作が発生しなければならない遠位領域においてオペレータの手の動きを自然に再現するよう設計される。機械的遠隔操作デバイスはスレーブユニットを備えてもよい。該スレーブユニットはマスタユニットによって駆動されるよう構成される。該マスタユニットはスレーブユニットと運動学的に同等であることが好ましい。スレーブユニットはスレーブジョイントにより相互に接続された複数のスレーブリンクを有する。スレーブユニットは近位部と遠位部(遠位器具とも称される)とを備える。遠位部はスレーブジョイントのうちのひとつ(インタフェーススレーブジョイントとも称される)と遠位に接続される。より詳細には、スレーブユニットのこのインタフェーススレーブジョイントは同軸構成を有してもよい。インタフェーススレーブジョイントはスレーブユニットの近位リンクおよび遠位リンクを、これらのふたつの隣り合うリンクが同軸ジョイントの軸の周りで互いに対して軸回転可能なように接続する。マスタユニットはマスタジョイントにより相互に接続された複数のマスタリンクを備え、対応するインタフェースマスタジョイントを含む。
【0013】
機械的遠隔操作デバイスを操作するための多関節ハンドルはマスタユニットに接続され、多関節エンドエフェクタは遠位器具の遠位先端に接続される。機械的遠隔操作デバイスはさらに、マスタユニットおよびスレーブユニットの等価な自由度を運動学的に接続するよう構成された伝達システムを備える。そのような自由度の接続は、機械的遠隔操作デバイスの操作中に前記エンドエフェクタがハンドルの動きを再現するように、エンドエフェクタの自由度をハンドルの自由度に接続することを含む。
【0014】
伝達システムは、(i)同軸となるよう設けられ、スレーブユニットのインタフェーススレーブジョイントの軸と同軸となり、他と独立に回転するよう構成された複数の回転可能要素の少なくともひとつの構成と、(ii)スレーブユニットの近位部に組み込まれた第1伝達手段であって前記少なくともひとつの構成の複数の回転可能要素のそれぞれの回転を生じさせるよう構成された駆動ケーブル等を有する第1伝達手段と、(iii)遠位器具に組み込まれた第2伝達手段であって複数の回転可能要素の前記少なくともひとつの構成の対応する回転可能要素のそれぞれの回転により駆動されるよう構成された被駆動ケーブル等を有する第2伝達手段と、を含む。
【0015】
本発明に係る伝達システムはスレーブユニットの近位部および遠位部それぞれの第1伝達手段および第2伝達手段を取り外し可能に互いに結合するよう構成されていると有利である。この構成では、前記第2伝達手段の被駆動ケーブルのそれぞれは、追加的な要素により、複数の回転可能要素の前記少なくともひとつの構成の対応するひとつの回転可能要素に取り外し可能に接続され、これにより機械的遠隔操作デバイスと共に使用されるユーザフレンドリな交換可能かつモジュール化された道具/器具システムを提供することができる。
【0016】
本発明のひとつの実施の形態によると、第2伝達手段の被駆動ケーブルのそれぞれのセグメントは、複数の回転可能要素の前記少なくともひとつの構成の対応するひとつの回転可能要素に取り外し可能に接続される。これらのセグメントのそれぞれは、複数の回転可能要素の前記少なくともひとつの構成の前記回転可能要素がその周りで回転可能な軸に実質的に垂直な平面内の経路に沿って導かれる。この経路は丸い軌跡に沿って延びることが好ましく、その円い軌跡の中心点は回転可能要素の軸と一致する。
【0017】
本発明の別の実施の形態によると、前記第2伝達手段の被駆動ケーブルのそれぞれは、スレーブユニットのインタフェーススレーブジョイントの軸の周りで回動可能に取り付けられた係合レセプタクルにアンカーされる。複数の回転可能要素の前記少なくともひとつの構成の対応する回転可能要素のそれぞれは前記対応する係合レセプタクルの中に取り外し可能に取り付けられる相補的な係合部を備える。
【0018】
本発明のさらなる実施の形態によると、相補的な係合部のそれぞれは、対応するひとつの回転可能要素に接続されたポインタに取り付けられる。これらのポインタはインタフェーススレーブジョイントの軸の周りに回転可能であり、その動きの角度振幅がエンドエフェクタ関節部のフルレンジ動作を可能とするように互いに角度オフセットされていてもよい。
【0019】
本発明のさらなる実施の形態によると、係合レセプタクルおよび対応する係合部はスレーブハウジングの中に収められている。スレーブハウジングは取り外し可能に互いに取り付けられたふたつの相補的ハウジングパーツを備える。前記係合レセプタクルはスレーブユニットの遠位部に接続された相補的ハウジングパーツのうちのひとつの中に取り付けられ、一方前記相補的係合部はスレーブユニットの近位部に接続された他の相補的ハウジングパーツの中に取り付けられる。
【0020】
本発明の別の実施の形態によると、伝達システムは複数の回転可能要素の2つの構成を含み、第1構成の回転可能要素はそのそれぞれがスレーブユニットのインタフェーススレーブジョイントの軸の周りで回転できるよう互いに同軸に取り付けられ、第2構成の回転可能要素はマスタユニットのインタフェースマスタジョイントの軸と共線となり、互いの周りで回転するよう互いに同軸に取り付けられる。この構成では、第1伝達手段の駆動ケーブルのそれぞれは、前記第2構成の回転可能要素のそれぞれの回転が前記第1構成の対応する回転可能要素を回転させるように、スレーブユニットの第1構成のひとつの回転可能要素およびマスタユニットの第2構成の対応するひとつの回転可能要素に接続される。
【0021】
本発明のさらに別の実施の形態によると、ふたつ以上の上記の遠隔操作デバイスを一緒に動作するよう設定してもよい。この場合、ユーザは両手で操作することができる。加えて、ふたつ以上の遠隔マニピュレータを移動可能かつ多関節ステーションに設置してもよい。この場合、そのようなマニピュレータを地上である場所から別の場所へ簡単に動かすことができ、三次元空間内でその作業位置および向きを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に本発明のいくつかの実施の形態を添付の図面を参照して説明する。これにより、本発明をよりよく理解することができるであろう。
【
図1】本発明に係る機械的遠隔操作デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1の機械的遠隔操作デバイスの伝達システムの模式図である。
【
図3】第1、第2および第3伝達手段を備える
図1の伝達システムの模式図である。
【
図4】
図4、
図5、
図6は、ハンドルの各自由度をエンドエフェクタに伝達するための伝達システムの模式図である。
【
図5】
図4、
図5、
図6は、ハンドルの各自由度をエンドエフェクタに伝達するための伝達システムの模式図である。
【
図6】
図4、
図5、
図6は、ハンドルの各自由度をエンドエフェクタに伝達するための伝達システムの模式図である。
【
図8】係合レセプタクルを含む伝達システムの第1構成のスレーブハウジングの下部の斜視図である。
【
図9】
図8のスレーブハウジングのガイド手段の斜視図である。
【
図10】
図8の対応する係合レセプタクルの中に取り外し可能に取り付けられるよう構成された相補的係合部を含むスレーブハウジングの上部の図である。
【
図12】多関節かつ移動可能ステーション上に設けられたふたつの同じ
図1の機械的遠隔操作デバイスを備える例示的な実施の形態、すなわち手術のための機械的遠隔マニピュレータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態にしたがい構成される機械的遠隔マニピュレータは低侵襲手術や他のアプリケーションにおいて用いられてもよい。そのような機械的遠隔マニピュレータは本明細書で説明され、
図12において概説される。このマニピュレータは例えば
図1に示される同じ機械的遠隔操作デバイスを2つ備えることが好ましい。このふたつの同じ機械的遠隔操作デバイスは多関節かつ移動可能ステーション110(
図12)上に設けられ、互いに独立に操作されうるよう構成される。
図1の機械的遠隔操作デバイスのそれぞれはコンセプト的にWO2013/014621に開示され、マスタスレーブ構成を備える一方、機械的制限手段90を備える。マスタスレーブ構成はスレーブユニット10を備え、スレーブユニット10は運動学的に同等なマスタユニット20により駆動される。機械的制限手段90は、
図3に示されるようにデバイスの操作中に遠隔運動中心(RCM)から外れることなくスレーブユニット10の各部がマスタユニット20の対応する各部の動きを模倣するよう構成される。しかしながら、本発明の他の実施の形態では、機械的遠隔操作デバイスは遠隔運動中心(RCM)を有さなくてもよい。2つの機械的遠隔操作デバイスは構造的にも機能的にも同等であるから、特に
図1から
図6に示されるように、以下では一方の機械的遠隔操作デバイスのみを参照して説明する。
【0024】
より詳しくは
図3を参照すると、スレーブユニット10は複数のスレーブリンク11、12、13、14を備え、複数のスレーブリンク11、12、13、14は対応するスレーブジョイント16、17、18、19により互いに接続される。多関節エンドエフェクタ31はスレーブリンク14の遠位端に設けられ、スレーブリンク14は同軸ジョイント19を通じて隣接リンク13と、そのふたつの隣接するリンク13、14が軸ジョイント19の軸の周りで互いに対して同軸に回転できるように、回転可能に接続される。スレーブユニット10の残りのスレーブジョイント16、17、18はいわゆるピボットジョイントタイプのものである。ピボットジョイントはふたつの隣接するリンクを接続し(例えば、ピボットジョイント17はリンク12をリンク13に接続する)、そのようなリンクを前記ピボットジョイントの回転の軸に垂直な平面内で互いに角度をもって駆動可能とする。マスタユニット20は、スレーブユニット10と同じ構造的構成および運動学的構成を備える。より詳しくは、マスタユニット20は複数の対応するマスタリンク21、22、23、24を備え、複数のマスタリンク21、22、23、24は対応するマスタジョイント26、27、28、29により互いに接続される。これらのジョイントのうちのひとつは同軸ジョイント29であり、他のジョイントはピボットジョイント26、27、28である。機械的遠隔操作デバイスを操作するための多関節ハンドル30は、マスタユニット20のマスタリンク24の遠位端に接続される。
【0025】
機械的遠隔操作デバイスが
図3のニュートラル位置にあるときにオペレータによりハンドル30に加えられた上下方向の動きは、機械的制限手段90を通じてマスタリンク24をその縦軸に沿って移動させる。一方、ハンドルに加えられた前後方向の動きは、各ピボットジョイントの軸に平行な軸の周りでマスタリンク24を回転させる。これらの動きのそれぞれまたはそれらの組み合わせは、マスタユニット20のマスタジョイント26、27、28、29の角度変位を生じさせる。各マスタジョイントの前記角度変位は、機械的伝達を通じて、スレーブユニット10の対応するスレーブジョイント16、17、18、19に同じ角度変位を生じさせる。マスタユニット20の各ピボットジョイント26、27、28とスレーブユニット10の対応するピボットジョイント16、17、18との間の運動学的接続は、滑車で導かれるケーブルによって達成される。そのケーブルのそれぞれは、ふたつの対応する滑車にアンカーされるよう構成される。そのふたつの対応する滑車はシャフトの周りで回転可能に取り付けられ、そのシャフトの軸は、対応するピボットジョイントの軸に一致する。スレーブユニット10の各ピボットジョイント16、17、18とマスタユニット20の対応するピボットジョイント26、27、28との間の運動学的接続は、上述の国際特許出願(WO2013/014621)でより詳細に説明される。この構成では、スレーブユニット10の複数のスレーブリンク11、12、13、14および対応するスレーブジョイント16、17、18、19により形成されるチェーンの運動学的モデルは、マスタユニット20の複数のマスタリンク21、22、23、24および対応するマスタジョイント26、27、28、29により形成されるチェーンの運動学的モデルと同じである。
【0026】
図2に概説される通り、ハンドル30は、伝達システムにより、エンドエフェクタ31の三つの自由度を駆動するよう構成される。その伝達システムは、ハンドル30の三つの滑車30a、30b、30cをエンドエフェクタ31の対応する三つの滑車31a、31b、31cに運動学的に接続するよう構成される。このようにすることで、遠隔操作手術デバイスが操作されるとき、ハンドル30の各滑車の角変位はエンドエフェクタ31の対応する滑車によって模される。後者は、一方の向きにおける滑車31b、31cの両方の反対向き回転があご部32a、32bを互いに離れるよう逆向きに回転させ、あご部のグリップを開かせる一方、他方の向きにおける滑車31b、31cの両方の反対向き回転が、あご部32a、32bを互いに近づくよう逆向きに回転させ、グリップを閉じてあご部のグリップ力を維持するよう構成される。あご部32a、32bの作業端部はグリップのための表面を有し、例えば鉗子や焼灼アプリケーションにおいて使用されうる。あるいはまた、あご部32a、32bの先端がハサミのように協働して切断する刃である場合、あご部を閉じる「グリッピング」は切断アクションであってもよい。したがって、グリッピングは、エンドエフェクタ31の性質によって異なる機能を実行してもよい。さらに、このエンドエフェクタは、滑車31aが本発明にしたがいケーブル駆動システムによって駆動された場合、滑車31aの軸の周りで回動するよう構成されてもよい。
【0027】
図2を参照すると、この好適な実施の形態に係る伝達システムは、スレーブユニットのインタフェーススレーブジョイントの軸19aに対して同軸となるよう設けられた三つの回転可能要素41a、41b、41cの第1構成40と、マスタユニットのインタフェースマスタジョイントの軸29aに対して同軸となるよう設けられた三つの回転可能要素51a、51b、51cの第2構成50と、を備える。回転可能要素41dはスレーブユニット10のインタフェーススレーブジョイント19を駆動する被駆動滑車を備える。この被駆動滑車は、スレーブリンク14に固く取り付けられている。回転可能要素51dはマスタユニット20のインタフェースマスタジョイント29を駆動する駆動滑車を備える。この駆動滑車は、マスタリンク24に固く取り付けられている。第1構成40の回転可能要素41a、41b、41cは部分的にスレーブハウジング40'の内部に収められている。一方、第2構成50の回転可能要素51a、51b、51cは部分的にマスタハウジング50'の内部に収められている。
図1に示されるように、スレーブハウジング40'およびマスタハウジング50'はそれぞれ、スレーブユニット10の遠位リンク14およびマスタユニット20の対応するマスタリンク24に接続される。スレーブハウジング40'はさらに回転可能要素41dに接続され、マスタハウジング50'はさらに対応する回転可能要素51dに接続される。
【0028】
図2に示される伝達システムはさらに第1伝達手段を備える。第1伝達手段は、三本のケーブル62a、62b、62cまたは同様の構成を有する。三本のケーブル62a、62b、62cのそれぞれは、第2構成の回転可能要素51a、51b、51cのうちのひとつを第1構成40の回転可能要素41a、41b、41cのうちの対応するひとつと、第2構成50の回転可能要素51a、51b、51cのそれぞれの回転が対応するケーブルを駆動し、その駆動により第1構成40の回転可能要素41a、41b、41cのうちの同等のものが回転するように、接続する。
【0029】
図4から
図6を参照すると、伝達システムは第2伝達手段を備える。この第2伝達手段は三本の被駆動ケーブル63a、63b、63cまたは同様の構成を有する。三本の被駆動ケーブル63a、63b、63cのそれぞれは、エンドエフェクタ31の対応する滑車31a、31b、31cにアンカーされることで、それぞれの滑車の回動接続の周りでのその滑車の角変位を可能とするよう構成される。これらの被駆動ケーブルはスレーブリンク14を通じて軸方向に延び、スレーブユニット10の第1構成40の対応する回転可能要素41a、41b、41cに取り外し可能にアンカーされる。各被駆動ケーブルの対応する回転可能要素への取り外し可能接続については後述する。
【0030】
伝達システムはさらに第3伝達手段を備える。この第3伝達手段は三本のケーブル61a、61b、61cまたは同様の構成を有する。三本のケーブル61a、61b、61cのそれぞれは、ハンドル30の対応する滑車30a、30b、30cにアンカーされることで、それぞれの滑車の回動接続の周りでのその滑車の角変位であってハンドル30の駆動により生成される角変位によって駆動されるよう構成される。これらのケーブル61a、61b、61cのそれぞれはマスタリンク24に沿って軸方向に延び、マスタユニット20の第2構成50の対応する回転可能要素51a、51b、51cにアンカーされる。
図2は、このタイプの接続がいかにして達成されるのかを部分的により詳細に示す。ケーブル61a、61b、61cのそれぞれ(ケーブル61aおよび61cのみが図示されている)は、マスタユニット20の軸ジョイント29の軸に好適には垂直な平面内で、(本実施の形態では)120度よりも小さい角度を通じて実質的に丸い経路に沿って、部分的に導かれる。各ケーブルのセグメント75a、75c(75bは
図2では見えない)は対応するポインタ76a、76b、76cに取り付けられる。これらのポインタは、対応する回転可能要素51a、51b、51cと併せて同軸に取り付けられ、互いに重ね合わされ、角度方向にオフセットされる。
【0031】
伝達システムの構成によると、機械的遠隔操作デバイスの操作中におけるハンドル30の各滑車30a、30b、30cのその回動接続の周りでの角変位は第3伝達手段の対応するケーブル61a、61b、61cを駆動し、これにより第2構成50の対応する回転可能要素51a、51b、51cの角変位であってマスタユニット20のインタフェーススレーブジョイント29の軸の周りでの角変位が引き起こされる。これらの回転可能要素51a、51b、51cのひとつひとつの回転は、第1伝達手段の対応するケーブル62a、62b、62cを駆動し、これにより第1構成40の等価な回転可能要素41a、41b、41cの角変位であってスレーブユニット10のインタフェーススレーブジョイント19の軸の周りでの角変位が引き起こされる。これらの回転可能要素41a、41b、41cのひとつひとつの回転は次に、第2伝達手段の対応する被駆動ケーブル63a、63b、63cにより、エンドエフェクタ31の対応する滑車31a、31b、31cの角変位を引き起こす。スレーブユニット10およびマスタユニット20のそれぞれの残りの2つの回転可能要素41d、51dは、マスタリンク24の軸回転が対応するスレーブリンク14をその縦軸の周りで回転させるように、ケーブル62dにより接続される。
【0032】
この構成によると、伝達システムは、マスタリンク24と対応するスレーブリンク14とが同軸的に回転する場合にケーブルが捩れるのを避けるよう構成されるので有利である。これにより、機械的遠隔操作デバイスを長期間使用することによるケーブルの損耗がかなり低減される。
【0033】
図8、
図9および
図10を参照すると、本発明に係る伝達システムは、ユーザフレンドリで交換可能かつモジュール化されたツールシステムを機械的遠隔操作デバイスに提供するために、第2伝達手段の被駆動ケーブル63a、63b、63cのそれぞれを第1伝達手段の対応するケーブル62a、62b、62cに取り外し可能な態様で接続するための着脱機構を備える。この目的のために、スレーブハウジング40'の下部40aおよび上部40bは、好ましくは螺子により、互いに対して取り外し可能に取り付けられる。これにより、
図1に示されるように、ユーザはスレーブユニット10の近位部10bから遠位部10a(
図7)を構造的に外すことができる。
【0034】
図9を参照すると、伝達システムの着脱機構はスレーブハウジングの下部40aの内部にガイド手段73a、73b、73cを備える。これらのガイド手段73a、73b、73cのそれぞれはローラ列の形態であることが好ましい。このローラ列は、スレーブユニット10のインタフェーススレーブジョイント19の軸に実質的に垂直な平面内で所定の角度範囲に亘る実質的に丸い経路に沿って第2伝達手段のケーブル63a、63b、63cのそれぞれのセグメント74a、74b、74cをガイドするよう構成される。同じ発明の他の実施の形態では、ローラ列で構成される代わりに、ガイド手段は、第2伝達手段のケーブル63a、63b、63cのそれぞれのセグメント74a、74b、74cをその経路内でガイドするために、非可動要素または表面を備えてもよい。これらのケーブルのひとつひとつの各セグメント74a、74b、74cは係合レセプタクル81a、81b、81cにアンカーされる。係合レセプタクル81a、81b、81cは、
図8に示されるように、スレーブユニット10の前記インタフェーススレーブジョイント19の軸19aの周りで回動可能となるよう取り付けられる。
図10に示されるように、相補的係合部82a、82b、82cは接続ピンの形態であることが好ましい。この相補的係合部82a、82b、82cのそれぞれは対応するサポート83a、83b、83cに設けられる。サポート83a、83b、83cは第1構成の対応する回転可能要素と共に同軸となるよう構成される。これらのサポート83a、83b、83cはポインタの形態であることが好ましく、互いに重ね合わされ、かつ互いに角度オフセットしている。
図11cに示されるように、接続ピン82a、82b、82cのそれぞれは、対応する係合レセプタクル81a、81b、81cの内部に取り外し可能に取り付けられるよう構成される。
【0035】
伝達システムによると、比Rs/Rm(
図2)は比Ds/Dmと等しい。ここで、
i)Rsはスレーブユニット10のインタフェーススレーブジョイント19の軸と第2伝達手段の被駆動ケーブル63a、63b、63cのアンカーされたセグメント73a、73b、73cのうちのひとつとの間の径方向距離であり、
ii)Rmはマスタユニット20のインタフェーススレーブジョイント29の軸と第3伝達手段のケーブル61a、61b、61cのアンカーされたセグメントのうちのひとつとの間の径方向距離であり、
iii)Dsはエンドエフェクタ31の対応するひとつの滑車31、31b、31cの直径であり、
iv)Dmはハンドル30の対応するひとつの滑車30a、30b、30cの直径である。
【0036】
本発明に係る機械的遠隔操作デバイスの構成によると、オペレータは遠位端にエンドエフェクタ31を備える遠位部10aを簡単に取り外すことができ、またそれをハサミやメスやカッターや持針器や他の任意の手術器具などの任意のタイプのエンドエフェクタを備える他の遠位部と置き換えることができる。
【0037】
この好適な実施の形態で開示される伝達システムはケーブルを備えるが、その具体的な構成はこの実施の形態に限定されない。例えば、本発明は棒やリンケージなどの他の可撓性や非可撓性駆動要素を包含してもよい。この駆動要素は上述の機能と同じ機能を達成するよう構成されてもよい。
【0038】
さらに、好適な実施の形態に係る機械的遠隔操作デバイスの伝達システムは第1、第2および第3伝達手段を備え、そのそれぞれがハンドルが操作されたときにエンドエフェクタの3自由度を駆動するための三つのケーブルを備えるが、本発明の範囲は、第1および第2伝達手段のみを備える構成をもカバーする。それらの伝達手段のケーブルはスレーブユニット10の近位部10bからの遠位部10aの取り外しを可能とするようスレーブユニットのジョイント19のみを回る。それぞれが別個のケーブルの組を備える三つより多い伝達手段もまた実施の形態をカバーするものとして想定されている。そのような実施の形態では、マスタユニットおよびスレーブユニットはそれぞれいくつかの同軸ジョイントを備える。
【0039】
本発明を本発明の具体的な実施の形態を参照して具体的に説明したが、添付の請求項によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形状や詳細に係る種々の変更を行うことができることは当業者には理解されるであろう。例えば、本発明の範囲は、少なくとも第1および第3伝達手段がハンドルのN自由度をエンドエフェクタに伝達するためのN個のケーブルを備え、Nが例えば2、4または5であってもよい構成を含む。加えて、本明細書で説明される実施の形態により開示される伝達システムは、運動学的に同等なマスタスレーブ構成を必ずしも備えない任意の遠隔操作デバイスにも適用可能である。