(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置について、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を例として図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、各構成要素はそれらと異なっていてもよく、その要旨を変更しない範囲で変更して実施することが可能である。
【0018】
図1は本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の概略平面図である。有機エレクトロルミネッセンス表示装置1はTFT基板(薄膜トランジスタ基板)50と、薄膜トランジスタ基板50の一部に対向して配置された対向基板60とを有している。薄膜トランジスタ基板50の上面50aのうち、対向基板60が配置されていない領域50a
1にはフレキシブル回路基板2が接続され、さらに、ドライバIC(Integrated Circuit)3が設けられている。
【0019】
ドライバIC3は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の外部からフレキシブル回路基板2を介して画像データを供給される、薄膜トランジスタ基板50上に配置されたICである。ドライバIC3は、画像データが供給されることにより、後述する有機エレクトロルミネッセンス素子30に図示しないデータ線を介して各画素に印加する電圧信号を供給する。
【0020】
次に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の表示領域Dの構成について、その詳細を説明する。
図2は
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のII−II切断線における概略断面図である。
【0021】
表示領域Dは有機エレクトロルミネッセンス素子30が形成される、画像を表示する領域である。表示領域Dにおける薄膜トランジスタ基板50は、絶縁基板10と、絶縁基板10上に形成された、薄膜トランジスタ11を有する回路層12と、平坦化膜13と、再帰性反射体20と、透明光学層14と、画素分離膜15と、有機エレクトロルミネッセンス素子30と、有機エレクトロルミネッセンス素子30上を表示領域D全体にわたって覆う封止膜40と、が順に形成されている。
【0022】
絶縁基板10は絶縁性の材料からなる基板であって、その上面に回路層12が形成される。回路層12は、薄膜トランジスタ11、パッシベーション膜11f及び図示しない電気配線等が形成された層であり、有機エレクトロルミネッセンス素子30を駆動するために形成されている。
【0023】
薄膜トランジスタ11は絶縁材料からなる基板10上に画素Pごとに設けられており、具体的には例えば、ポリシリコン半導体層11a、第1の絶縁膜11b、ゲート電極11c、ソース・ドレイン電極11d、第2の絶縁膜11eから構成されている。また、薄膜トランジスタ11上は、パッシベーション膜11fによって覆われている。薄膜トランジスタ11は、後述する再帰性反射体20の下に画素P毎に形成されている。
【0024】
平坦化膜13は例えば、回路層12上を覆うように形成されている。平坦化膜13は絶縁材料からなる層であり、絶縁基板10と有機エレクトロルミネッセンス素子30の間に形成されることにより、隣接する薄膜トランジスタ11間や、薄膜トランジスタ11と有機エレクトロルミネッセンス素子30の間が、電気的に絶縁される。
【0025】
平坦化膜13は、例えばアクリル、ポリイミド、エポキシ等の絶縁性を有する材料、熱可塑性材料、またはフッ素系材料としてもよい。また、平坦化膜13には、薄膜トランジスタ基板50における薄膜トランジスタ11と有機エレクトロルミネッセンス素子30とを電気的に接続するコンタクトホール32aが、画素P毎に形成されている。
【0026】
平坦化膜13上の各画素Pに対応する領域には、画素P毎に再帰性反射体20が形成されている。再帰性反射体20は、有機エレクトロルミネッセンス素子30からの発光や表示装置1の外側からの外光など、対向基板60側から入射する光を入射した方向へ反射するために形成されている。再帰性反射体20は、光反射率が高い材料からなることが好ましく、例えばアルミニウムや銀(Ag)等からなる。なお、再帰性反射体20の詳細な構成については説明の便宜上、後述する。
【0027】
再帰性反射体20上は透明光学層14によって覆われている。透明光学層14は、その上に有機エレクトロルミネッセンス素子30が設けられるための層であり、再帰性反射体20上を平坦化するために形成されている。透明光学層14は例えばSiO
2やSiN、アクリル、ポリイミド等の絶縁性を有する材料またはそれらの積層構造の透光性を有する絶縁材料からなる。無機材料を用いた場合、CMP(chemical mechanical polishing)を用いて平坦化してもよい。
【0028】
再帰性反射体20上には、透明光学層14を介して画素P毎に複数の有機エレクトロルミネッセンス素子30が形成されている。有機エレクトロルミネッセンス素子30は、下部電極(本実施形態においては陽極)32と、少なくとも発光層を有する有機層33と、有機層33上を覆うように形成された上部電極(本実施形態においては陰極34)とを有することにより、発光源として機能する。
【0029】
陽極32は、有機層33に駆動電流を注入する電極である。陽極32はコンタクトホール32aに接続していることにより、薄膜トランジスタ11に電気的に接続されて、薄膜トランジスタ11から駆動電流を供給される。
【0030】
陽極32は導電性を有する材料からなる。陽極32の材料は、具体的には例えば、ITO(Indium Tin Oxide)であることが好ましいが、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透光性及び導電性を有する材料であってもよい。
【0031】
隣接する各陽極32同士の間には、画素Pを区分する画素分離膜15が隣接する画素P同士の境界Bに沿って形成されている。画素分離膜15は、隣接する画素P同士の境界Bと再帰性反射体20の外周20aとの間の領域に対応する領域に形成されている。
【0032】
画素分離膜15は、隣接する陽極32同士の接触を防止する機能と、陽極32と陰極34の間の漏れ電流を防止する機能と、再帰性反射体20を画素P毎に区分する機能と、を有する。画素分離膜15は絶縁材料からなり、具体的には例えば、感光性の樹脂組成物からなる。なお、画素分離膜15の詳細な構成については説明の便宜上、後述する。
【0033】
有機層33は少なくとも発光層を有する、有機材料により形成された層であり、複数の陽極32上及び画素分離膜15上を覆うように形成されている。本実施形態における有機層33は、表示領域D内のうち画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成されているが、有機層33の形成される領域はこれに限らず、陽極32毎に形成されていてもよい。有機層33は光を発する層を有しており、その発光は、白色でも、その他の色であってもよい。
【0034】
有機層33は、例えば、陽極32側から順に、図示しないホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が積層されてなる。有機層33の積層構造はここに挙げたものに限られず、少なくとも発光層を含むものであれば、その積層構造は特定されない。
【0035】
発光層は、例えば、正孔と電子とが結合することによって発光する有機エレクトロルミネッセンス物質から構成されている。このような有機エレクトロルミネッセンス物質としては例えば、一般に有機発光材料として用いられているものであってもよい。
【0036】
陰極34は、有機層33上を覆うように形成されている。陰極34は画素P毎に独立しておらず、表示領域D内のうち、画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成される。このような構成を有することにより、陰極34は複数の有機エレクトロルミネッセンス素子30の有機層33に共通に接触する。
【0037】
陰極34は透光性及び導電性を有する材料からなる。陰極34の材料は、具体的には例えば、ITOであることが好ましいが、ITOやInZnO等の導電性金属酸化物に銀やマグネシウム等の金属を混入したもの、あるいは銀やマグネシウム等の金属薄膜と導電性金属酸化物を積層したものであってもよい。
【0038】
有機エレクトロルミネッセンス素子30上である陰極34の上面34aは、表示領域D全体にわたって封止膜40により覆われている。封止膜40は、有機層33をはじめとする各層への酸素や水分の侵入を防ぐ透明の膜である。封止膜40は無機材料および有機材料の複数の膜構成としてもよい。
【0039】
封止膜40の上面は、例えば充填剤45を介して対向基板60によって覆われている。対向基板60は例えば平面視で基板10よりも小さい外周を有する基板であり、基板10に対向するように配置されている。このような対向基板60としては具体的には例えば、有機層33が白色光を発するものである場合にはカラーフィルタ基板を用いることができる。
【0040】
対向基板60がカラーフィルタ基板である場合、対向基板60は、例えばカラーフィルタ61と、ブラックマトリクスBMと、透明基材62とを有する。カラーフィルタ61は、画素Pのそれぞれに対向する領域において、所定の波長領域の光を通過させるフィルタである。カラーフィルタ61は境界Bに沿って形成されたブラックマトリクスBMによって各画素Pに対応して例えば領域R、領域BL、領域Gにそれぞれ区分される。なお、対向基板60はカラーフィルタ基板に限られず、その他の基板であってもよい。
【0041】
次いで、再帰性反射体20及び、その周囲の画素分離膜15の詳細な構成について説明する。
図3は
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のIII領域の部分拡大図である。なお、説明の便宜上、陰極34、封止膜40、充填剤45及び対向基板60の記載は省略する。
【0042】
なお、本実施形態においては、
図3に示すように、隣接する複数の画素Pからなる組み合わせを画素セットSとする。画素セットSは、例えば異なる波長領域の光を発する画素Pが組み合わされてなる、画素Pの組み合わせの一単位である。本実施形態においては、表示領域Dにおいて複数の画素セットSが連続して配置されている。
【0043】
画素セットSは具体的には例えば、
図3に示すように、赤色の光を発する領域Rと、緑色の光を発する領域Gと、青色の光を発する領域BLLと、白色の光を発する領域Wと、から構成される。なお、
図3に示す画素セットSの構成は一例であり、隣接する2以上の画素Pからなる組み合わせであれば、その他の構成であってもよい。
【0044】
図3に示すように、再帰性反射体20は、平面視形状が正三角形である複数の再帰性反射構造21が互いに隣接してなる。なお、本実施形態における「正三角形」とは、正三角形状のみならず、製造の工程により正三角形状から誤差の範囲でずれたものも含む。
図3においては、6つの再帰性反射構造21が互いに隣接することにより、六角形の平面視形状を有する再帰性反射体20を構成している例を示す。
【0045】
また、画素分離膜15は、隣接する画素P同士の境界Bと、再帰性反射体20の外周20aとの間の領域に対応する領域の陽極32を覆うように形成されている。このような構成を有することにより、陽極32は、再帰性反射体20が形成された領域に対応する領域が画素分離膜15から露出する。
【0046】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、隣接する画素P同士の境界Bと再帰性反射体20の外周20aとの間の領域に対応する領域に画素分離膜15が形成されていることにより、再帰性反射体20が画素P毎に区分される。
【0047】
このため、画素P毎に区分された複数の有機エレクトロルミネッセンス素子30を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置1であっても、再帰性反射構造21を有する再帰性反射体20を適用することができる。これにより、薄膜トランジスタ基板50側に出射された有機エレクトロルミネッセンス素子30の発光が再帰性反射体20により対向基板60側へ反射され、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化と高画質化を実現することができる。
【0048】
また、本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、再帰性反射体20を有することにより、対向基板60の外側から入射した外光も、その出射側に反射される。このため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1への外光の映り込みを防ぐことができ、高画質化を実現することができる。
【0049】
また、
図3に示すように、コンタクトホール32aは、平面視で画素分離膜15の内側に位置するように形成されていることが好ましい。具体的には、コンタクトホール32aは、平面視で画素P同士の境界Bと、再帰性反射体20の外周20aとの間の領域に形成され、その上方は画素分離膜15によって覆われている。
【0050】
図4は
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の変形例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。
図4に示すように、再帰性反射体20の平面視形状は正六角形でなくてもよい。
図4においては、6つの再帰性反射構造21により平面視形状が六角形の再帰性反射体20が構成されている例を示す。
図4におけるコンタクトホール32aは、画素P同士の境界Bと、再帰性反射体20の外周20aとの間の距離が最も大きい箇所に形成されている。コンタクトホール32aの形成される箇所は、このように再帰性反射体20の平面視形状に応じて適宜選択されればよい。
【0051】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、このように画素分離膜15が境界Bと再帰性反射体20の外周20aとの間の領域に対応する領域に形成されていることにより、この領域内にコンタクトホール32aを配置することができる。このため、再帰性反射体20を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置1であっても、画素P毎にコンタクトホール32aを設置することが可能となる。
【0052】
また、コンタクトホール32aが平面視で画素分離膜15の内側に形成されていることにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、別途コンタクトホール32aを形成する領域を確保する必要がない。このため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の輝度の低下を防ぐことができる。
【0053】
図5は
図3に示す再帰性反射構造21の詳細な構造を説明する部分斜視図である。本実施形態における再帰性反射構造21は例えば、直角二等辺三角形状の3つの金属膜22からなる三角錐形状である。具体的には、再帰性反射構造21は、正六面体の六面のうち互いに隣接する三面から、直角二等辺三角形の面を有する三角錐を取り出した形状である。このような構成を有することにより、再帰性反射構造21の平面視形状は正三角形となる。
【0054】
なお、再帰性反射体20及び再帰性反射構造21はナノインプリントにより形成される。微細な構成の再帰性反射体20や再帰性反射構造21であっても、ナノインプリントで形成されることにより、その形成工程においてナノスタンパが透明光学層14から剥がれる際の抵抗を抑えることができる。このため、その他の製法で形成された再帰性反射構造と比べて、微細な直角二等辺三角形の面を有する三角錐形状の再帰性反射構造21が得られる。
【0055】
このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べて反射率の高い再帰性反射構造21が画素Pに合わせて形成され、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高精細化、高輝度化、視認性の向上を実現することができる。
【0056】
また、本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、再帰性反射構造21がこのような構成を有することにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、有機エレクトロルミネッセンス素子30からの発光や、対向基板60の外側から入射する外光を、高効率で対向基板60の外側に反射させることができる。このため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化、高画質化を実現することができる。
【0057】
また、再帰性反射構造21の平面視形状が正三角形のため、再帰性反射構造21を複数隣接させることにより、画素Pの平面視形状に応じた再帰性反射体20を形成することができる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、画素P内に占める再帰性反射体20の形成された領域の割合を増やすことができ、高輝度、高精細、高画質な有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を実現することができる。
【0058】
次に、カラーフィルタ基板である対向基板60の構成について、コンタクトホール32aの位置に応じて説明する。
図6は
図3に示す再帰性反射体20とカラーフィルタ基板(対向基板)60との配置例を示す部分拡大図である。
【0059】
図6に示すように、画素分離膜15は、画素区分部15aと台座基礎部15bとを有している。画素区分部15aは、画素Pの境界Bに沿って形成された、陽極32を画素P毎に区分する部分である。本実施形態における画素Pは平面視で略矩形であるため、画素区分部15aは平面視で格子状の形状となる。
【0060】
台座基礎部15bは、平面視で画素Pの境界Bから画素Pの中央に向けて突出する部分である。台座基礎部15bは、平面視でコンタクトホール32a上に重なるように形成されている。
【0061】
対向基板60は、例えば領域R、領域BL、領域G、領域Wが各画素Pに対応してそれぞれブラックマトリクスBMによって区分されている。このブラックマトリクスBMは、画素区分部15aに対応する領域に形成されたブラックマトリクス区分部BM
1と、平面視で画素Pの境界Bから画素Pの中央に向けて突出する、台座基礎部15bに対応する部分であるブラックマトリクス基礎部BM
2とを有している。
【0062】
ブラックマトリクス基礎部BM
2は、平面視で台座基礎部15bに重なるように形成されている。このため、コンタクトホール32aに対応する領域には、平面視で画素分離膜15の台座基礎部15bとブラックマトリクス基礎部BM
2とが重なって配置される。
【0063】
図7は
図3に示す再帰性反射体20とカラーフィルタ基板(対向基板)60との配置例の変形例を
図6と同様の視野において示す部分拡大図である。
図7においては、二以上のコンタクトホール32a同士が平面視で画素Pの境界Bを挟んで互いに隣接するように配置されている。
【0064】
コンタクトホール32aがこのように配置されることにより、画素分離膜15の複数の台座基礎部15bは、境界Bを挟んで互いに隣接する。このため、複数の台座基礎部15bは画素区分部15aを挟んで互いに隣接し、画素区分部15aのうち、複数の台座基礎部15b同士の間に位置する領域15a
1と台座基礎部15bとを有する台座部15cが、画素セットS毎に構成される。
【0065】
台座部15cは、スペーサSPが配置される領域である。スペーサSPは例えば感光性のフォトレジストからなり、有機エレクトロルミネッセンス素子30と対向基板60との距離を一定に保つために配置される。なお、スペーサSPは全ての画素セットS毎に配置されなくてもよく、対向基板60と有機エレクトロルミネッセンス素子30との距離を安定して保つことができる程度の数が配置されていればよい。
【0066】
また、コンタクトホール32aがこのように配置される場合、平面視でコンタクトホール32aと台座部15cに重なる位置にブラックマトリクス台座部BM
3が形成されることが好ましい。具体的には、平面視で画素分離膜15の台座基礎部15bに重なるようにブラックマトリクス基礎部BM
2が配置されることにより、複数のブラックマトリクス基礎部BM
2はブラックマトリクス区分部BM
1を挟んで互いに隣接する。
【0067】
これにより、ブラックマトリクス区分部BM
1のうち、複数のブラックマトリクス基礎部BM
2同士の間に位置する領域とブラックマトリクス基礎部BM
2とを有するブラックマトリクス台座部BM
3が、平面視で画素分離膜15の台座部15cに重なるように形成される。ブラックマトリクス台座部BM
3は、スペーサSP上に接する領域である。
【0068】
このような構成を有することにより、画素分離膜15の台座部15cとブラックマトリクス台座部BM
3との間にスペーサSPが配置されて、有機エレクトロルミネッセンス素子30と対向基板60との距離が一定に保たれる。
【0069】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、2以上のコンタクトホール32aが平面視で画素Pの境界Bを挟んで互いに隣接するように配置されることにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、再帰性反射体20の形成される領域を狭めることなく、広い面積の台座部15cが構成される。
【0070】
このため、本構成を有さないエレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、微細な画素Pを有していても、再帰性反射体20の領域を狭めることなく、画素分離膜15上にスペーサSPが搭載される領域として台座部15cを画素セットS毎に確保することができる。これにより、画素Pの高輝度化、高微細化を実現することができる。
【0071】
図8は
図3に示す再帰性反射体20とカラーフィルタ基板(対向基板)60との配置例の変形例を
図6と同様の視野において示す部分拡大図である。このように、画素Pの平面視形状は略正方形に限られず、略長方形であってもよい。この場合、再帰性反射構造21の数を適宜変更することにより、画素Pの形状に合わせた再帰性反射体20を構成すればよい。
図7においては例えば、22個の再帰性反射構造21からなる再帰性反射体20が、画素P毎に配置される。
【0072】
また、コンタクトホール32aは画素P同士の境界Bと、再帰性反射体20の外周20aとの間の距離が最も大きい箇所に形成され、台座基礎部15bは平面視でコンタクトホール32aに重なるように配置される。
【0073】
図8における対向基板60は、各画素Pに対応した平面視形状である、略長方形の領域R、領域BL、領域GがそれぞれブラックマトリクスBMによって区分されている。また、コンタクトホール32aに対応する領域には、ブラックマトリクス基礎部BM
2が平面視でコンタクトホール32a上及び台座基礎部15b上に重なるように配置されている。
【0074】
図9は再帰性反射体20とカラーフィルタ基板(対向基板)60との配置例の変形例を
図6と同様の視野において示す部分拡大図である。画素Pの平面視形状が略長方形の場合の再帰性反射体20の構成は、
図8に示したものに限られず、
図9に示すようにその平面視形状が略台形であってもよい。
図9に示す例においては例えば、7個の再帰性反射構造21からなる再帰性反射体20が、画素P毎に配置される。また、台座基礎部15b及びブラックマトリクス基礎部BM
2の平面視形状は
図8に示すように略三角形であってもよい。
【0075】
図10は再帰性反射体20の配置例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。
図10においては、対向基板60がカラーフィルタ基板でない場合の構成の例について説明する。具体的には、異なる波長領域の光を発光する3種類の有機層33が画素P毎に形成された構成を例として、各画素Pの配置と再帰性反射体20の構成について説明する。なお、説明の便宜上、
図10においては、3個の画素Pを有する画素セットSが4つ配列した構成を示す。
【0076】
図10に示す画素Pの平面視形状は
図9と同様に略長方形であり、また、画素P毎に形成された再帰性反射体20の平面視形状は略台形である。なお、ここに示す画素Pや再帰性反射体20の平面視形状は一例であり、その他の形状であってもよい。
【0077】
図10に示すように、有機層33は、例えば、赤色の光を発光する領域Rと、緑色の光を発光する領域Gと、青色の光を発光する領域BLとが、画素P毎に形成されている。これら各領域R、G、Bは、図中のX方向において、異なる領域同士が隣接するように配列されている。
【0078】
また、
図10に示す再帰性反射体20の平面視形状の向きは、Y方向に隣接する再帰性反射体20同士で互いに異なっているが、この向きは
図10に示す例に限られず、コンタクトホール32aの形成箇所などに応じて適宜設定すればよい。
【0079】
また、画素セットSを構成する各画素Pの平面視形状は、
図10に示すように同一であることに限られない。
図11は再帰性反射体20の配置例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。なお、説明の便宜上、
図11においては、3つの画素Pを有する画素セットSが4つ配列した構成を示す。
【0080】
各画素Pの平面視形状は、有機層33の各領域R、G、Bに応じて、それぞれ異なっていてもよい。具体的には、
図11に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、領域BLの平面視形状が略長方形であり、領域G及び領域Rの平面視形状が成す略矩形の形状よりも、アスペクト比の高い形状となっている。また、領域BLにおける再帰性反射体20の平面視形状も、その領域の平面視形状に応じた形状であり、領域G及び領域Rにおける再帰性反射体20の平面視形状と異なっている。
【0081】
また、各画素Pにおける再帰性反射体20を構成する再帰性反射構造21の数は、それぞれ異なっていてもよい。具体的には、
図11に示すように、領域BLにおける再帰性反射体20を構成する再帰性反射構造21の数を7つとし、領域G及び領域Rにおける再帰性反射構造21の数を6つとしてよい。
【0082】
なお、
図11においては、画素セットSを構成する各画素Pの平面視形状と、各画素Pに形成された再帰性反射体20の平面視形状が2種類である例について説明したが、画素セットSを構成する画素Pの平面視形状は2種類以上であってもよい。また、各画素Pと再帰性反射体20の平面視形状はこれらに限られず、その他の形状であってもよい。
【0083】
図12は再帰性反射体20の変形例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図であり、
図13は
図12に示す再帰性反射体20のXIII−XIII切断線における概略断面図である。
図12においては、再帰性反射体20が、平面視の大きさが互いに異なる複数の再帰性反射構造21により構成されている。なお、説明の便宜上、
図12、13においては、1つの画素Pのみを示し、有機層33と陽極32の記載を省略する。また、
図13においては、説明の便宜上、平坦化膜13と再帰性反射体20のみを示す。
【0084】
再帰性反射体20は、例えば、6つの第1の再帰性反射構造21aと、第1の再帰性反射構造21aよりもその平面視形状の小さい、4つの第2の再帰性反射構造21bとから構成されている。ここで「平面視形状の小さい」とは、平面視形状が正三角形である第1の再帰性反射構造21aの一辺の長さよりも、第2の再帰性反射構造21bの平面視形状の一辺の長さの方が短いことを示す。
【0085】
また、再帰性反射構造21は三角錐形状であるため、
図13に示すように、第1の再帰性反射構造21aの上面から平坦化膜13の上面13aまでの距離d
1は、第2の再帰性反射構造21bの上面から平坦化膜13の上面13aまでの距離d
2よりも大きくなる。
【0086】
なお、平面視の大きさが互いに異なる複数の再帰性反射構造21からなる再帰性反射体20の構成は、
図12に示すものに限られず、その他の構成であってもよい。
図14は再帰性反射体20の変形例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。なお、
図14においては有機層33と陽極32の記載を省略する。
【0087】
図14に示す再帰性反射体20も、
図12に示す再帰性反射体20と同様に6つの第1の再帰性反射構造21aと、4つの第2の再帰性反射構造21bとから構成されているが、その配置は、
図12に示す再帰性反射体20とは異なっている。
【0088】
また、再帰性反射体20を構成する再帰性反射構造21の平面視形状の大きさは2種類に限られず、3以上であってもよい。また、これら大きさの異なる各再帰性反射構造21の位置や配置は
図12、14に挙げた例に限られず、画素Pの形状や大きさに応じて適宜選択可能である。
【0089】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、このように、平面視の大きさが互いに異なる複数の再帰性反射構造21により再帰性反射体20が構成されていることにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、平面視において画素P内に占める再帰性反射体20の面積の割合を高くすることができる。
【0090】
このため、微細な画素Pを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置1であっても、画素P内における再帰性反射体20の面積の割合の減少が抑えられ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高精細化と高輝度化、視認性の向上を実現することができる。
【0091】
次いで、矩形以外の平面視形状を有する画素Pが適用された場合における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の構成について説明する。
図15は画素Pの配置例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。
【0092】
図15における再帰性反射体20の平面視形状は、6つの再帰性反射構造21からなる六角形状である。また、画素Pの平面視形状も再帰性反射体20と同様に六角形状であり、互いに隣接するようにマトリクス状に配置されている。
【0093】
コンタクトホール32aは、再帰性反射体20の外周20aと画素Pの境界Bとの間隔に応じて、適宜その平面視形状を選択すればよい。例えば、
図15におけるコンタクトホール32aの平面視形状は略矩形であり、外周20aの一辺に沿うように形成されている。
【0094】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、再帰性反射構造21の平面視形状が正三角形であるため、再帰性反射構造21を6つ隣接させることにより、平面視形状が六角形状の再帰性反射体20が形成される。このため、再帰性反射体20に合わせて、その平面視形状が六角形の画素Pを配列させることにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、表示領域D全体に占める再帰性反射体20の面積の比率を大きくすることができる。このため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化、高精細化、視認性の向上を実現することができる。
【0095】
図16は画素Pの配置例を
図3と同様の視野において示す部分拡大図である。
図16に示す例においては、画素セットS内において隣接する画素Pの平面視形状が互いに異なっている。また、隣接する画素P内の再帰性反射体20の平面視形状も互いに異なっている。具体的には、
図16に示す画素セットSは、例えば平面視形状が正六角形状である第1の画素P
1と、角度が240°の頂点を2つ有する六角形状である第2の画素P
2とをそれぞれ2つずつ有する。
【0096】
また、第1の画素P
1内には平面視形状が正六角形状である第1の再帰性反射体20bが形成され、第2の画素P
2内には角度が240°の頂点を2つ有する六角形状である第2の再帰性反射体20cが形成されている。なお、
図16においては、領域R、Gを有する画素P
1と、領域BL、Wを有する画素P
2とが形成された例を示す。
【0097】
また、複数の第1の画素P
1同士、または、第2の画素P
2同士は互いにX方向において隣接するように配置され、第1の画素P
1と第2の画素P
2とはY方向において互いに隣接するように配置されている。これにより、第1の再帰性反射体20bと第2の再帰性反射体20cとは、X方向において画素Pの境界Bを挟んで互いに隣接するように配置される。
【0098】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、その平面視形状に合わせた平面視形状を有する画素Pが互いに隣接するように配置されることにより、2以上の種類の平面視形状を有する再帰性反射体20(20a、20b)が形成されていたとしても、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、表示領域D全体に占める再帰性反射体20の面積の比率を大きくすることができる。このため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化、高精細化、視認性の向上を実現することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態には限られない。例えば、上述した実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成、又は同一の目的を達成することができる構成により置き換えてもよい。