特許第6220220号(P6220220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220220
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】地区放送システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20171016BHJP
   H04W 76/02 20090101ALI20171016BHJP
   H04H 20/02 20080101ALI20171016BHJP
【FI】
   H04W4/06
   H04W76/02
   H04H20/02
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-218388(P2013-218388)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82688(P2015-82688A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】東 一喜
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150297(JP,A)
【文献】 特開2008−148189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04H 20/02
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
市町村同報系システムからの通報を通知可能な地区放送システムにおいて、
市町村同報系システムからの通報を録音可能な放送卓と、
戸別受信機に出力する基地局と、
前記基地局からの音声通知を受信し、スピーカから音声放送する戸別受信機と、
を有し、
放送が継続して5分以上の場合には、5分以上経過する前に使用している無線回線チャネルを一度切断した後、無線回線チャネルを再確保し、無線回線チャネルが確保できた時点で前記放送を継続することを特徴とする地区放送システム。
【請求項2】
市町村同報系システムからの通報を通知可能な地区放送システムにおいて、
市町村同報系システムからの通報を録音可能な放送卓と、
戸別受信機に出力する基地局と、
前記基地局からの音声通知を受信し、スピーカから音声放送する戸別受信機と、
を有し、
放送が継続して5分以上の場合には、5分以上経過する前に使用している無線回線チャネルを一度切断すると共に、放送中の放送内容を録音後、無線回線チャネルを再確保し、無線回線チャネルが確保できた時点で前記録音した放送内容を再生することを特徴とする地区放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる無線通信システムを接続して、一方の無線通信システムからの放送を他方の無線通信システムにおいて放送することのできる無線通信システムに関し、例えば、市町村同報系システムからの放送を市町村デジタル地区放送システムにおいて放送することのできる無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なる無線通信システムを接続して、一方の無線通信システムからの放送を他方の無線通信システムにおいて放送することができる無線通信システム、例えば、緊急災害時等において、市町村防災同報無線通信システムで行われる緊急放送に連動して、該緊急放送の内容を、地域振興無線通信システムにおいて放送することのできる無線通信システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−150297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1における従来の地域振興無線通信システムは、決められた無線回線チャネルが割り振られるので、決められた無線回線チャネルを独占して使用し放送することができる。しかし、例えば、地域振興無線通信システムの代わりに市町村4値FSK(Frequency Shift Keying)デジタル地区放送システムを市町村防災同報無線通信システムに接続した場合、市町村4値FSKデジタル地区放送システムが簡易無線のため、無線回線チャネルを誰でも使用することが可能である。そのため、放送に使おうとした無線回線チャネルを他で使用している場合には、放送を行うことが出来ない。
【0005】
特許文献1では、地域振興無線通信システムにおいて、放送用に決められた無線回線チャネルが割り振られているので、無線回線のチャネル確保をしなくて良いが、市町村4値FSKデジタル地区放送システムでは、無線回線チャネルの確保が必要になる。そのため、市町村4値FSKデジタル地区放送システムで無線回線チャネルの確保が為されていない状態で、市町村防災同報無線通信システムからの放送が開始された場合には、市町村4値FSKデジタル地区放送システムにおける放送が途中からになってしまう。
【0006】
また、市町村4値FSKデジタル地区放送システムは簡易無線であるため、5分以内に確保している無線回線チャネルを解放しなくてはならない。そのため、5分以上の放送の場合には、放送途中で無線回線チャネルを一旦解放し、再び無線回線チャネルを確保する必要があるので、無線回線チャネル解放と再確保の間の放送内容が失われてしまう。
つまり、市町村4値FSKデジタル地区放送システムにおいて、簡易無線のため無線回線チャネルを他で使用していた場合に、放送を最初から行うことが出来ないという問題があった。また、5分以上の放送時には、無線回線チャネルを一旦解放し、再確保する間にリアルタイムの放送を優先しないのであれば、放送内容が失われてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたものであり、市町村同報系システムと市町村デジタル地区放送システムとを接続し、市町村同報系システムで行われる緊急放送に連動して、該緊急放送の内容を市町村デジタル地区放送システムで放送するようにした場合でも、市町村デジタル地区放送システムにおいて放送内容が失われることがないようにすることが可能な無線通信システムの地区放送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る無線通信システムの地区放送システムは、市町村同報系システムからの通報を通知可能な地区放送システムにおいて、市町村同報系システムからの通報を録音可能な放送卓と、複数の戸別受信機に出力する基地局と、前記基地局からの音声通知を受信し、送信応答を前記放送卓へ送信すると共にスピーカから音声放送する戸別受信機と、を有し、市町村同報系システムからの通報を、前記放送卓を経由して前記基地局に通知し、使用可能な無線回線チャネルが全て使用中で放送できない場合に、放送内容を前記放送卓で録音しておき、無線回線チャネルを確保できた時点で前記録音している放送内容を再生することを特徴とする。
本発明によれば、その間の放送内容が放送可能となった時点で追い掛け放送することにより、その間の放送内容が放送されないまま失われてしまうことを防止することができる。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明に係る無線通信システムの地区放送システムは、上記した地区放送システムにおいて、放送が継続して5分以上の場合には、5分以上経過する前に使用している無線回線チャネルを一度切断すると共に、放送中の放送内容を録音しておき、無線回線チャネルが確保できた時点で前記録音した放送内容を再生することを特徴とする。
本発明によれば、一定時間経過した後でも、放送内容が失われることの無いように放送を行うことができる。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に係る無線通信システムの地区放送システムは、上記した地区放送システムにおいて、前記放送卓は、音声切替通知のタイミングと放送内容も保持することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る無線通信システムの地区放送システムは、上記した地区放送システムにおいて、前記録音した放送内容は、放送内容のはじめから追い掛け再生することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明に係る無線通信システムの地区放送システムは、上記した地区放送システムにおいて、前記録音した放送内容は、放送内容の途中からリアルタイムで再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、市町村同報系システムと市町村デジタル地区放送システムとを接続し、市町村同報系システムで行われる緊急放送に連動して、該緊急放送の内容を市町村デジタル地区放送システムで放送するようにした場合でも、市町村デジタル地区放送システムにおいて放送内容が放送されないまま失われることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る無線通信システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態1に係る無線通信システムの放送卓の構成図である。
図3】本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保できた場合の動作シーケンスを示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルが使用中だった場合の動作シーケンスを示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、放送のリアルタイム性を優先した場合を示す。
図6】本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、放送内容を優先した場合を示す。
図7】本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルが所定の時間経過後に確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、放送内容を優先した場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る無線通信システムについて、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る無線通信システムの構成を示す図であり、市町村同報系システム30と市町村デジタル地区放送システム70とが統合され、連動するように構成された無線通信システムの構成例を示す図である。
本発明の実施形態1に係る無線通信システムは、市町村同報系システム30の親局設備10から送信された音声情報(放送)が屋外子局20に送信され、屋外子局20が拡声装置を用いて地域住民へ音声通報すると共に、当該音声情報が市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52を経由して戸別受信機60に送信され、当該戸別受信機60の内蔵スピーカにより音声で報知される。また、市町村同報系システム30からの音声情報(放送)送信時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができない場合には、チャネル確保ができた時点から音声情報の再生を最初から行うようにすることにより、市町村デジタル地区放送システム70において放送内容が失われることがないようにすることができる。
【0016】
〔無線通信システムの構成〕
市町村同報系システム30は、従来と同様の構成であって、緊急災害時における緊急情報や、日常の広報連絡事項等を無線送信するデジタル基地局13を含む親局設備10と、親局設備10からの電波を受信して、緊急情報等を音声で出力する屋外子局20とから構成されている。
【0017】
親局設備10は、通常、防災センター、市役所あるいは町村役場といった行政当局の建物内に設置されている。親局設備10では、例えば、J−ALERT(全国瞬時警報システム)等の外部の情報源からの緊急地震速報などの緊急情報を受信し、該緊急情報等に基づき、操作部PC11等で予め作成(蓄積)された音声信号をLAN回線101で接続された操作卓12に送信する。当該操作卓12から、音声回線102、シリアル回線103及びDIO(Digital Input Output)回線104等の有線で接続されたデジタル基地局13に送信された音声信号は、デジタル信号に変換され、デジタル基地局13の無線部から屋外子局20に無線送信される。
また、親局設備10の操作卓12にはマイクやスピーカが設けられており、例えば、マイクから緊急情報が音声入力されると、該入力されたアナログ音声信号はデジタル基地局13の制御部でデジタル信号に変換され、デジタル基地局13の無線部から屋外子局20に無線送信される。
【0018】
屋外子局20は、主に屋外に設置され、親局設備10からの通報内容を受信して、拡声装置により音声で拡声放送する屋外拡声子局20a、または、主に公民館や各家庭の屋内に設置され、デジタル基地局13からの通報内容を受信して、内蔵スピーカにより音声で報知する戸別受信機20bがある。
このように、親局設備10が、緊急災害時における緊急情報や、日常の広報連絡事項等を無線送信すると、これを受信した屋外拡声子局20aは、拡声装置を用いて地域住民へ音声通報し、また、戸別受信機20bは、内蔵スピーカにより報知するようになっている。
【0019】
一方、市町村デジタル地区放送システム70は、地域の産業振興や自治会の地域コミュニティを図ることを目的としたもので、各種通報を無線送信する基地局設備50と、基地局設備50からの電波を受信して、通報内容を内蔵スピーカにより音声で報知する戸別受信設備である戸別受信機60と、戸別応答装置62とから構成されている。
なお、市町村デジタル地区放送システム70で用いられる無線信号は、例えば、周波数を偏移させることによりデジタルデータを送信することができる4値FSK(Frequency Shift Keying)信号である。
【0020】
基地局設備50は、放送卓52以外は従来の市町村デジタル地区放送システムの基地局設備と同様の構成であって、市町村デジタル地区放送システム70の親局であり、遠隔地にいるオペレータによって電話機80から公衆回線網301を介して操作され、各種の指令などを受け付ける遠隔操作装置51と、遠隔操作装置51とLAN回線201を介して接続され、オペレータにより操作されて各種の指令などを受け付ける放送卓52と、デジタル基地局53とを備えており、例えば、放送卓52のマイクからオペレータにより通報内容が音声入力されると、該入力されたアナログ音声信号は、デジタル基地局53でデジタル音声信号に変換され、戸別受信機60に無線送信される。無線送信された音声信号を受信した戸別受信機60は、内蔵スピーカにより報知する。
【0021】
戸別受信機60は、主に屋外に設置され、基地局設備50からの通報内容を受信して、内蔵スピーカにより音声で報知する。
このように、基地局設備50が、緊急災害時における緊急情報や、日常の広報連絡事項等を無線送信すると、これを受信した戸別受信機60は、内蔵スピーカにより報知するようになっている。
【0022】
また、市町村同報系システム30の屋外子局20と市町村デジタル地区放送システム70の基地局設備50の放送卓52とは、音声回線202、シリアル回線203及びDIO回線204等の有線で接続されている。
なお、市町村同報系システム30の屋外子局20と市町村デジタル地区放送システム70の基地局設備50の放送卓52とを無線により接続するよう構成することも可能である。
【0023】
ここで、本発明の実施形態1に係る無線通信システムの特徴である放送卓52について、図2を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る無線通信システムの放送卓の構成図である。
図2に示すように、放送卓52は、音声入力を受け付けるマイク52c、音声出力を行うスピーカ52d、オペレータからの操作や各種入力を受付け、また、各種情報を表示する操作表示部52e、制御部52a、記憶部52b等の各構成部を備え、デジタル基地局53に、音声回線202、シリアル回線203及びDIO回線204等の有線で接続されている。
また、記憶部52bは、制御部52aからの指示に基づき、市町村同報系システム30の屋外子局20から送信された放送内容を記憶する。
【0024】
次に、本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70の無線回線チャネルをすぐに確保できた場合の動作シーケンスについて、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保できた場合の動作シーケンスを示す図である。
市町村同報系システム30の親局設備10の操作卓12から、デジタル基地局13に放送要求を通知する(S201)。
デジタル基地局13は、屋外子局20に放送要求を送信する(S202)。
屋外子局20は、市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52に放送要求を送信する(S203)。
放送卓52は、屋外子局20に放送要求応答を送信し(S204)、デジタル基地局53に送信制御要求[チャネル確保]を送信する(S205)。
デジタル基地局53は、放送卓52に状態通知[確保中]を送信する(S206)。
放送卓52は、状態を呼出中に遷移させ(S207)、遠隔操作装置51に通報ステータス[呼出中](S208)、屋外子局20に放送ステータス通知[呼出中]を送信する(S209)。
【0025】
デジタル基地局53は、CH1でキャリアモニタリングを行い(S210)、チャネルが確保できた場合、放送卓52に状態通知[チャネル確保]を送信する(S211)。
放送卓52は、電文送信要求[放送開始]をデジタル基地局53に送信する(S212)。
デジタル基地局53は、戸別受信機60に放送開始信号を送信し(S213)、放送卓52に電文送信応答を送信する(S214)。
放送卓52は、通報ステータス[放送可]を遠隔操作装置51及び屋外子局20に送信し(S215、S216)、デジタル基地局53に電文送信要求[音声]を送信する(S217)。
デジタル基地局53は、音声切替通知[音声]を戸別受信機60に送信し(S218)、電文送信応答を放送卓に送信する(S219)。
戸別受信機60は、スピーカを開く(S220)。
市町村同報系システム30の親局設備10は、音声切替が行われると(T201)、音声切替通知を屋外子局20に送信する(T202)。
屋外子局20は、音声切替通知を市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52に送信する(T203)。
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、市町村同報系システム30の親局設備10から送信された音声情報(放送)が屋外子局20に送信され、屋外拡声子局20aが拡声装置を用いて地域住民へ音声通報し、また、戸別受信機20bが内蔵スピーカにより報知すると共に、当該音声情報が市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52を経由して戸別受信機60に送信され、当該戸別受信機60の内蔵スピーカにより音声で報知することができる。
【0027】
次に、本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70の無線回線チャネルが使用中だった場合の動作シーケンスについて、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルが使用中だった場合の動作シーケンスを示す図である。
市町村同報系システム30の親局設備10の操作卓12から、デジタル基地局13に呼出要求を通知する(S101)。
デジタル基地局13は、屋外子局20に放送要求を送信する(S102)。
屋外子局20は、市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52に放送要求を送信する(S103)。
放送卓52は、屋外子局20に放送要求応答を送信し(S104)、デジタル基地局53に送信制御要求[チャネル確保]を送信する(S105)。
デジタル基地局53は、放送卓52に状態通知[確保中]を送信する(S106)。
放送卓52は、状態を呼出中に遷移させ(S107)、遠隔操作装置51に通報ステータス[呼出中](S108)、屋外子局20に放送ステータス通知[呼出中]を送信する(S109)。
【0028】
デジタル基地局53は、CH1でキャリアモニタリングを行い(S110)、チャネルが受信ありの場合には、放送卓52に状態通知[受信中]を送信し(S111)、次のチャネルCH2のキャリアモニタリングを行う(S112)。
放送卓52は、チャネル確保できていないと判断すると、市町村同報系システム30からの放送内容を録音する。また、録音と同時に、音声切替通知のタイミングと内容も保持する(S113)。
デジタル基地局53は、CH2もチャネルが受信ありの場合には、次のチャネルCH3のキャリアモニタリングを行う(S114)。
デジタル基地局53は、CH3もチャネルが受信ありの場合には、元に戻り、チャネルCH1のキャリアモニタリングを再び行う(S115)。これを繰り返し行い、一定期間、確保できるチャネルが見つかるまで行う。
【0029】
一方、市町村同報系システム30の親局設備10は、音声切替が行われると(T101)、音声切替通知を屋外子局20に送信する(T102)。
屋外子局20は、音声切替通知を市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52に送信する(T103)。
放送卓52は、録音中であれば、音声切替通知の情報とタイミングを保持する(T104)。
S115によるチャネルのキャリアモニタリングの結果、デジタル基地局53でチャネル確保できた時点で、放送卓52に状態通知[チャネル確保]を送信する(S116)。
放送卓52は、電文送信要求[放送開始]をデジタル基地局53に送信する(S117)。
デジタル基地局53は、戸別受信機60に放送開始信号を送信し(S118)、放送卓52に電文送信応答を送信する(S119)。
放送卓52は、通報ステータス[通報可]を遠隔操作装置51及び屋外子局20に送信し(S120)、デジタル基地局53に電文送信要求[音声]を送信する(S121)。
デジタル基地局53は、音声切替通知[音声]を戸別受信機60に送信し(S122)、電文送信応答を放送卓52に送信する(S123)。
戸別受信機60は、スピーカを開く(S124)。
放送卓52は、記憶部52bに録音している放送内容を最初から再生する(S125)。また、音声切替通知も切り替わったタイミングで送信する。
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、市町村同報系システム30の親局設備10から送信された音声情報(放送)が屋外子局20に送信され、屋外拡声子局20aが拡声装置を用いて地域住民へ音声通報し、また、戸別受信機20bが内蔵スピーカにより報知すると共に、当該音声情報が市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52を経由して戸別受信機60に送信され、当該戸別受信機60の内蔵スピーカにより音声で報知される。また、市町村同報系システム30からの音声情報(放送)送信時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができない場合には、チャネル確保ができた時点から音声情報の再生を最初から行うようにすることにより、市町村デジタル地区放送システム70において放送内容が放送されないまま失われてしまうことがないようにすることができる。
尚、チャネル確保ができた時点からの音声情報の再生は、放送内容の途中からではあるが、リアルタイムで放送を継続して行ってもよい。
【0031】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る無線通信システムについて、詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態2に係る無線通信システムの構成は、本発明の実施形態1に係る無線通信システムの構成と同様である。
本発明の実施形態2に係る無線通信システムは、市町村同報系システム30の親局設備10から送信された音声情報(放送)が屋外子局20に送信され、屋外拡声子局20aが拡声装置を用いて地域住民へ音声通報し、また、戸別受信機20bが内蔵スピーカにより報知すると共に、当該音声情報が市町村デジタル地区放送システム70の放送卓52を経由して戸別受信機60に送信され、当該戸別受信機60の内蔵スピーカにより音声で報知される。また、市町村同報系システム30からの音声情報(放送)送信時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができない場合には、チャネル確保ができた時点から音声情報の再生を最初から行うようにすると共に、5分以上の放送時に、無線回線チャネルを一旦解放した場合でも、放送内容が失われることがないようにすることができる。
【0032】
次に、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70の無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスについて、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、放送のリアルタイム性を優先した場合を示す。
なお、市町村同報系システム30からの放送開始から放送5分経過前までのシーケンス(図5の一点鎖線内)は図3に示した動作シーケンスによる。
【0033】
市町村デジタル地区放送システム70では、チャネルを確保してから4分30秒後に、放送卓52からデジタル基地局53に送信制御要求[チャネル再起動]を送信する(S301)。
デジタル基地局53は、無線回線チャネルを解放し(S302)、放送卓52に状態通知[確保中]を送信する(S303)。この時、チャネルを解放するため、音声は戸別受信機60にはいかない。
デジタル基地局53は、CH1でキャリアモニタリングを行い(S304)、無線回線チャネルを再確保できたら、放送卓52に状態通知[チャネル確保]を送信する(S305)。
【0034】
以上説明したように、本発明によれば、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができ、5分以上の放送時に、無線回線チャネルを一旦解放して一度音声が途切れた場合でも、チャネル再確保後に途中からではあるが、リアルタイムで放送を継続して行うことができる。
【0035】
次に、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70の無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスについて、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルをすぐに確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、放送内容を優先した場合を示す。
なお、市町村同報系システム30からの放送開始から放送5分経過前までのシーケンス(図6の一点鎖線内)は図3に示した動作シーケンスによる。
【0036】
市町村デジタル地区放送システム70では、チャネルを確保してから4分30秒後に、放送卓52からデジタル基地局53に送信制御要求[チャネル再起動]を送信する(S401)。この時、放送卓52で録音を開始する(S402)。
デジタル基地局53は、無線回線チャネルを解放し(S403)、放送卓52に状態通知[確保中]を送信する(S404)。この時、チャネルを解放するため、音声は戸別受信機60にはいかない。
デジタル基地局53は、CH1でキャリアモニタリングを行い(S405)、無線回線チャネルを再確保できたら、放送卓52に状態通知[チャネル確保]を送信する(S406)。
放送卓52は、放送の再生を開始する(S407)。
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができ、5分以上の放送時に、無線回線チャネルを一旦解放して一度音声が途切れた場合でも、チャネル再確保後に放送内容のはじめから追い掛け再生することができる。
【0038】
次に、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70の無線回線チャネルが所定の時間経過後に確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスについて、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施形態2に係る無線通信システムにおいて、市町村同報系システムからの放送時に、市町村デジタル地区放送システムの無線回線チャネルが所定の時間経過後に確保でき、5分以上の放送をする場合の動作シーケンスを示す図であり、さらに放送内容を優先した場合を示す。
なお、市町村同報系システム30からの放送開始から放送5分経過前までのシーケンス(図7の一点鎖線内)は図4に示した動作シーケンスによる。
【0039】
市町村デジタル地区放送システム70では、チャネルを確保してから4分30秒後に、放送卓52からデジタル基地局53に送信制御要求[チャネル再起動]を送信する(S501)。この時、放送卓52で録音し続けているので、そのまま録音を続ける。再生は一時停止する。
デジタル基地局53は、無線回線チャネルを解放し(S502)、放送卓52に状態通知[確保中]を送信する(S503)。この時、チャネルを解放するため、音声は戸別受信機60にはいかない。
デジタル基地局53は、CH1でキャリアモニタリングを行い(S504)、無線回線チャネルが再確保できたら、放送卓52に状態通知[チャネル確保]を送信する(S505)。
放送卓52は、放送の再生を開始する(S506)。
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、市町村同報系システム30からの放送時に、市町村デジタル地区放送システム70においてチャネル確保ができ、5分以上の放送時に、無線回線チャネルを一旦解放して一度音声が途切れた場合でも、チャネル再確保後に放送内容のはじめから追い掛け再生することができる。
尚、本発明は、追い掛け再生ではなく、チャネル再確保後に途中からではあるが、リアルタイムで放送を継続して行ってもよい。
【0041】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
10:親局設備、11:操作部PC、12:操作卓、13:デジタル基地局、20:屋外子局、20a:屋外拡声子局、20b:戸別受信機、30:市町村同報系システム、50:基地局設備、51:遠隔操作装置、52:放送卓、52a:制御部、52b:記憶部、52c:マイク、52d:スピーカ、52e:操作表示部、53:デジタル基地局、60:戸別受信機、62:戸別応答装置、70:市町村デジタル地区放送システム、80:電話機、101:LAN回線、102:音声回線、103:シリアル回線、104:DIO回線、201:LAN回線、202:音声回線、203:シリアル回線、204:DIO回線、301:公衆回線網。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7