特許第6220736号(P6220736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6220736電子署名文書の管理システムおよび管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220736
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】電子署名文書の管理システムおよび管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20171016BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20171016BHJP
   G09C 1/00 20060101ALI20171016BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20171016BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20171016BHJP
【FI】
   G06Q30/06
   H04L9/00 675B
   G09C1/00 640D
   G09C1/00 660E
   G06Q10/06 324
   G06F21/64
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-122469(P2014-122469)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-4300(P2016-4300A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507197270
【氏名又は名称】株式会社にしがき
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】西垣 俊平
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 錬司
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−309788(JP,A)
【文献】 特開2005−148917(JP,A)
【文献】 特開2009−064413(JP,A)
【文献】 特開2003−258793(JP,A)
【文献】 特開2004−140636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 21/64
G09C 1/00
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するシステムであって、
各利用者が用いる複数の端末と、
管理装置と、
各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、
各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを含み、
第1の利用者の端末は、前記電子化された文書のデータを、第1の通信路を介して管理装置へ送信するとともに、送信した文書の前記管理装置におけるアドレスを第2の通信路を介して直接第2の利用者の端末へ通知し、さらに前記第2の利用者の内で署名を要請する1または複数の利用者の端末へ、第2の通信路および管理装置を介して当該文書の署名要請を通知し、
要請を受けた第2の利用者の端末は、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信し、文書内容の確認に伴う電子署名データを、第1の通信路を介して前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、電子署名が付された電子化された文書を、前記アドレスで、前記第1の通信路を介して閲覧可能に保管することを特徴とする電子署名文書の管理システム。
【請求項2】
電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するシステムであって、
各利用者が用いる複数の端末と、
管理装置と、
各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、
各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを含み、
第1の利用者の端末は、前記電子化された文書のデータを、第1の通信路を介して管理装置へ送信するとともに、署名を要請する複数の第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して管理装置における当該文書のアドレスおよび署名要請を通知し、
要請を受けた前記複数の第2の利用者の端末は、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信し、文書内容の確認に伴う電子署名データを、第1の通信路を介して前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記複数の第2の利用者の電子署名が揃うと、その電子署名が付された電子化された文書の全体を暗号化し、署名を置換えられないようにして、前記アドレスで、前記第1の通信路を介して閲覧可能に保管することを特徴とする電子署名文書の管理システム。
【請求項3】
前記第1の利用者の端末は、前記管理装置から、前記文書の雛形データを受信し、該第1の利用者の加工によって文書を完成させることを特徴とする請求項1または2記載の電子署名文書の管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、送信された文書データに対応して、予め定めるメタデータを作成し、付加して格納しており、
各利用者の端末は、前記閲覧にあたって、前記メタデータから、所望とする文書の検索を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子署名文書の管理システム。
【請求項5】
前記第2の利用者の端末は、前記文書の内容の確認の結果、署名をする場合は、承認釦がクリックされることで、予め登録しておいた電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信して前記文書に電子署名を付与し、署名を拒否する場合は、返却釦がクリックされることで、非承認であることを表すデータを前記管理装置へ送信することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電子署名文書の管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記電子署名が付された電子化された文書に、タイムスタンプによる署名時刻の第三者認証を行った後、該文書を保管することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子署名文書の管理システム。
【請求項7】
前記電子化された文書は、契約書または稟議書であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電子署名文書の管理システム。
【請求項8】
各利用者が用いる複数の端末と、管理装置と、各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを用い、電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するための方法であって、
前記第1の利用者の端末から、該第1の利用者の端末において電子化された文書のデータを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信するステップと、
前記第1の利用者の端末から、前記第2の利用者の端末へ、送信した文書の前記管理装置におけるアドレスを、前記第2の通信路を介して直接通知するステップと、
前記第1の利用者の端末から、署名を要請する1または複数の前記第2の利用者の端末へ、前記第2の通信路および前記管理装置を介して署名要請を送信するステップと、
要請を受けた第2の利用者の端末が、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信するステップと、
前記第2の利用者の端末から、文書内容の確認に伴う電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信するステップと、
前記管理装置が、前記電子署名が付された電子化された文書を、前記アドレスで、前記第1の通信路を介する利用者の端末から閲覧可能に保管しているステップとを含むことを特徴とする電子署名文書の管理方法。
【請求項9】
各利用者が用いる複数の端末と、管理装置と、各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを用い、電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するための方法であって、
前記第1の利用者の端末から、該第1の利用者の端末において電子化された文書のデータを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信するステップと、
前記第1の利用者の端末から、前記第2の利用者の端末へ、送信した文書の前記管理装置におけるアドレスを、前記第2の通信路を介して通知するステップと、
前記第1の利用者の端末から、署名を要請する複数の前記第2の利用者の端末へ、前記第2の通信路を介して署名要請を送信するステップと、
要請を受けた前記複数の第2の利用者の端末が、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信するステップと、
前記複数の第2の利用者の端末から、文書内容の確認に伴う電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信するステップと、
前記管理装置が、前記複数の第2の利用者の電子署名が揃うと、その電子署名が付された電子化された文書の全体を暗号化し、署名を置換えられないようにして、前記アドレスで、前記第1の通信路を介する利用者の端末から閲覧可能に保管しているステップとを含むことを特徴とする電子署名文書の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子化された署名文書の管理方法および装置に関し、前記署名文書としては、契約書や稟議書など、1または複数の利用者が署名するものに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような電子署名文書を取り扱う従来技術として、たとえば特許文献1や特許文献2が挙げられる。
【0003】
特許文献1は、発注者が取引先と契約を結ぶに際して、契約書の作成や管理のサービスを提供し、契約書の契約額面から、従前必要であった印紙税額を算出し、その印紙税額の所定割合を手数料として課金するようにした情報処理装置である。
【0004】
一方、特許文献2は、承認者端末が、承認前の電子契約書を第1の利用者の契約者端末から取得し、第2の利用者の契約者端末に送信して、契約内容が正当である旨の回答が得られると、承認者の電子署名を付与して第三者認証を行い、システム管理コンピュータを介して各契約者端末に送信することで、第三者認証をオンラインで簡単に行えるようにした電子化契約書認証システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−35757号公報
【特許文献2】特開2010−79682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の従来技術では、契約は、あくまで当事者間で行わせ、契約書面を保管することだけが示されている。したがって、前記契約書の安全性が充分に担保されておらず、また手間も煩雑で、コストも掛かり、契約に慣れた企業間の契約にしか適用し難いという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2の従来技術は、第三者が承認者となり、公証人のような機能を発揮することで、契約者それぞれが煩雑な電子署名を取得しなくとも、契約書の真正性を担保するものである。そして、正当な契約者であるかどうかを承認者端末がシステム管理コンピュータにそれぞれ問い合わせている。したがって、契約の当事者が署名する訳では無く、また契約書も通常の電子メールでやり取りされるので、安全上の問題がある。
【0008】
本発明の目的は、契約書などの電子署名文書を管理するにあたって、簡単かつ低コストで、安全性の高いシステムを実現することができる電子署名文書の管理システムおよび管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子署名文書の管理システムは、電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するシステムであって、各利用者が用いる複数の端末と、管理装置と、各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを含み、第1の利用者の端末は、前記電子化された文書のデータを、第1の通信路を介して管理装置へ送信(アップロード)するとともに、署名を要請する1または複数の第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して管理装置における当該文書のアドレスおよび署名要請を通知し、要請を受けた第2の利用者の端末は、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信(ダウンロード)し、文書内容の確認に伴う電子署名データを、第1の通信路を介して前記管理装置へ送信(アップロード)し、前記管理装置は、電子署名が付された電子化された文書を、前記アドレスで、前記第1の通信路を介して閲覧(ダウンロード)可能に保管することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子署名文書の管理方法は、電子化された文書に、複数の利用者間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するための方法であって、第1の利用者の端末から、電子化された文書のデータを、暗号化された第1の通信路を介して管理装置へ送信(アップロード)するステップと、前記第1の利用者の端末から、第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して管理装置における当該文書のアドレスを通知するステップと、前記第1の利用者の端末から、署名を要請する1または複数の第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して署名要請を送信するステップと、要請を受けた第2の利用者の端末が、前記管理装置から、前記第1の通信路を介して文書のデータを受信(ダウンロード)するステップと、前記第2の利用者の端末から、文書内容の確認に伴う電子署名データを、第1の通信路を介して前記管理装置へ送信(アップロード)するステップと、前記管理装置が、前記電子署名が付された電子化された文書を、前記アドレスで、前記第1の通信路を介する利用者の端末から閲覧(ダウンロード)可能に保管しているステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、複数の利用者間で適宜署名が施される契約書や稟議書(起案書、立案書)などの文書を電子化するにあたって、その契約や稟議の当事者となるのではなく、その当事者と通信回線を介して接続され、前記契約や稟議を仲介し、作成された署名文書を、閲覧(ダウンロード)可能に所定期間管理する管理装置を備えた管理システムを構築する。そのシステムは、各利用者に設置される複数の端末と、前記の管理装置と、各端末と管理装置との間を接続する暗号化された第1の通信路と、各端末間および各端末と管理装置との間を接続する第2の通信路とを備えて構成される。
【0012】
そして、第1の利用者側の端末は、前記契約や稟議の内容に応じた前記電子化された文書(契約書や稟議書)を作成し、そのデータに必要に応じて電子署名データを付すなどして、暗号化された第1の通信路を介して管理装置へ送信(アップロード)し、格納させる。同時に、或いは所定時間(たとえば、管理装置側で、アップされたデータを処理する時間等)経過後に、前記第1の利用者側の端末は、関係者、すなわち契約相手や稟議のメンバーである1または複数の第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して、管理装置における当該文書のアドレス(URL)を通知する。さらに、第1の利用者側の端末は、第2の利用者のうちの署名を要請する1または複数の利用者の端末に、署名要請を通知する。たとえば、前記第1の通信路は、インターネット回線上におけるSSL(Secure Socket Layer)暗号などで実現され、第2の通信路は、インターネット回線を利用した電子メールなどで実現される。
【0013】
要請を受けた1または複数の第2の利用者の端末は、前記管理装置から、暗号化された第1の通信路を介して文書のデータを受信(ダウンロード)し、文書の内容が適切であると確認されると、署名可を示す電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信(アップロード)する。管理装置は、管理する文書に、送信されてきた電子署名データを添付して格納する。こうして、管理装置が管理する文書は、1または複数の電子署名が付された電子化された文書となり、契約終了のタイミングや更新のタイミングなど、適切な期間に亘り、仲介の該管理装置において、指定のアドレス(URL)で、前記第1の通信路を介して、適宜閲覧(ダウンロード)可能に保管される。つまり、各利用者間で、前記契約書や稟議書などの電子署名文書が、前記指定のアドレス(URL)で共有可能となる。
【0014】
したがって、前記契約書や稟議書などの電子署名文書を管理するにあたって、簡単かつ低コストで、安全性の高いシステムを実現でき、企業間だけでなく、個人にも利用し易くすることができる。
【0015】
また、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記各端末は、前記電子署名データに併せて、印影のデータを送信(アップロード)することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、電子署名は、謂わば透かしのように、電子化された文書に埋め込まれるので、通常の紙出しや画面表示された文書における署名のように、実際に署名されているか否かの確認は、容易に行うことはできない。そこで、各端末は、前記電子署名データに併せて、印影のデータを送信(アップロード)することで、署名されている場合には文書に印影が表れることになり、署名されているか否かの確認を容易に行うことできるようになる。
【0017】
さらにまた、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記第1の利用者の端末は、前記管理装置から、前記文書の雛形データを受信(ダウンロード)し、該第1の利用者の加工によって文書を完成させることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、前記契約書や稟議書の作成は煩雑であるので、管理装置から雛形を取得(ダウンロード)することで、第1の利用者は、取得したデータを端末で加工するだけで、これらの文書を容易に完成させることができる。
【0019】
また、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記管理装置は、送信(アップロード)された文書データに対応して、予め定めるメタデータを作成し、付加して格納しており、各利用者の端末は、前記閲覧にあたって、前記メタデータから、所望とする文書の検索を行うことを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、管理装置は、送信(アップロード)された文書(ファイル)データに対応して、登録日やタイトルなど、予め定めるメタデータを作成し、付加して格納しており、各端末の利用者は、ソート(整列)されたそのメタデータ(ファイル一覧)から、目的とする文書を容易に捜し出すことができる。
【0021】
また、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記第2の利用者の端末は、前記文書の内容の確認の結果、署名をする場合は、承認釦がクリックされることで、予め登録しておいた電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信(アップロード)して前記文書に電子署名を付与し、署名を拒否する場合は、返却釦がクリックされることで、非承認であることを表すデータを前記管理装置へ送信(アップロード)することを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、第2の利用者が電子署名を添付する煩雑な作業を行わなくても、承認釦をクリックするだけで、登録しておいた電子署名データが自動的に送信(アップロード)されるので、利便性を向上することができる。また、署名の拒否も、返却釦をクリックするだけで、容易に対応することができる。
【0023】
また、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記管理装置は、前記電子署名が付された電子化された文書に、タイムスタンプによる署名時刻の第三者認証を行った後、該文書を保管することを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、署名時刻以降の非改ざん証明が可能になる。
【0025】
さらにまた、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記管理装置は、前記各利用者を、PIN(Personal Identification Number)コードおよび生体認証で個人認証を行うことを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、特許文献2のクレジットカード認証やワンタイムパスワード認証に比べて、PINコード認証は、簡便に行うことができる。また、生体認証を併用することで、セキュリティレベルを高めることもできる。
【0027】
さらにまた、本発明の電子署名文書の管理システムでは、前記電子化された文書は、契約書または稟議書であることを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、契約書や稟議書は、1または複数の署名が必要になり、容易に署名を集められる本発明が好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の電子署名文書の管理システムおよび管理方法は、以上のように、複数の利用者間で適宜署名が施される契約書や稟議書などの文書を電子化するにあたって、前記契約や稟議を仲介する管理装置を設け、第1の利用者の端末からは暗号化された第1の通信路を介して該管理装置へ電子署名文書のデータを送信(アップロード)するとともに、署名を要請する1または複数の第2の利用者の端末へ、第2の通信路を介して、管理装置における当該文書のアドレス(URL)および署名要請を通知し、要請を受けた第2の利用者の端末は、前記管理装置から、暗号化された第1の通信路を介して文書のデータを受信(ダウンロード)し、文書の内容が適切であると確認されると、電子署名データを、前記第1の通信路を介して前記管理装置へ送信(アップロード)し、各利用者は前記指定のアドレス(URL)で文書を閲覧(ダウンロード)可能となる。
【0030】
それゆえ、契約書や稟議書などの電子署名文書を管理するにあたって、簡単かつ低コストで、安全性の高いシステムを実現でき、企業間だけでなく、個人にも利用し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の一形態に係る電子署名文書の管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】署名の代わりに表示される印影を、端末において簡易的に作成する際の画面の例を示す図である。
図3】端末で作成した契約書を登録(アップロード)する際の画面の例を示す図である。
図4】前記電子署名文書の新着情報のファイル一覧の例を示す図である。
図5】前記電子署名文書の進捗状況のファイル一覧の例を示す図である。
図6】前記電子署名文書の取り扱いにあたっての処理の初期選択動作を示すフローチャートである。
図7】新規ファイル(前記電子署名文書)の作成手順を示すフローチャートである。
図8】前記電子署名文書の取り扱いにあたってのファイル選択処理の手順を示すフローチャートである。
図9】本電子署名文書の管理システムの使用にあたって、社内での権限を規定する手順を示すフローチャートである。
図10】取引先情報の登録手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の実施の一形態に係る電子署名文書の管理システムの全体構成を示すブロック図である。本発明のシステムは、EDI(Electronic Data Interchange)と、デジタルストレージ技術とを用いて、文書(ファイル)を交換することを基本としている。前記のEDIは、受発注や見積もり、決済、出入荷など、商取引に関する情報を、標準的な形式に統一して、インターネットや専用の通信回線網など通じて企業間で電子的に交換するものである。
【0033】
しかしながら、本発明は、そのような標準的なEDIやデジタルストレージ技術を用いても、後述するように、当事者間の契約や稟議を、第三者の管理装置1が仲介して、安全、かつ容易で低コストに、それらを行えるようにするとともに、契約書や稟議書(起案書、立案書)の保管や閲覧などのサービスを提供する、全く新規な電子署名文書の管理システムや管理方法を提供するものである。そして、電子化された文書(ファイル)が、契約書や稟議書であることで、これらの契約書や稟議書は、1または複数の署名が必要になるので、容易に署名を集められる本発明が特に好適である。
【0034】
図1の例では、X社とY社と言う2社間で契約書を交わす例を説明しており、当事者として、X社では、担当者のA氏、およびA氏の上長で承認者であり、役員のB氏が係わり、同様にY社では、担当者のC氏、およびC氏の上長で承認者であり、役員のD氏が係わる例を示している。A〜Dの各氏は、それぞれ、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末a〜dを所有しており、各情報処理端末a〜dはインターネットなどのネットワーク2に接続されている。そして、本発明の管理システムのために、各情報処理端末a〜dには、専用のプログラムが予め格納されているとともに、サーバなどで実現され、各情報処理端末a〜dと共通のネットワーク2に接続されている前記管理装置1が設けられている。
【0035】
管理装置1は、所定の水準を満たす図示しない認証局から、標準のSSL証明書を取得し、当該管理システムの加入契約者の各情報処理端末a〜dに配布することができ、各情報処理端末a〜dは、そのSSL証明書を使用して、管理装置1に、安全にログインを行うことができる。
【0036】
そのログイン時には、各情報処理端末a〜dは、予め登録しておいたPIN(Personal Identification Number)コードを使用して簡単に、かつ生体認証を併用して高いセキュリティでログインを行うことができる。
【0037】
PINコードは、後述する閲覧(ダウンロード)時と送信(アップロード)時とで、異なるコードを使用してもよい。たとえば、見るだけの閲覧時のPINコードは短く、文書データに変更を加える送信時のPINコードは長くする等である。生体認証も、後述する閲覧(ダウンロード)時は、不要とされてもよい。すなわち、文書(ファイル)の変更を伴う送信(アップロード)時には、第三者に推測され難い長いPINコードに、第三者に改竄され難い生体認証を併用すると言う具合である。生体認証としては、webカメラを用いた顔認証および虹彩認証、指紋照合デバイスを用いた指紋認証、指静脈照合デバイスを用いた指静脈認証、声紋照合デバイスを用いた声紋認証などである。
【0038】
こうして、前記ネットワーク2は、前記SSL証明書を使用した暗号化された(秘匿性の高い)セキュアな第1の通信路21と、通常の電子メールなどの秘匿性の比較的低い第2の通信路22とを備えていることになる。管理装置1には、各情報処理端末a〜dのアドレスやPINコードおよび生体認証用のデータなどの契約者情報が、サービス開始に当って(加入契約時に)予め登録されている。
【0039】
また、管理装置1は、信頼性の高い図示しないTSA(Time Stamping Authority)認証局から、後述する各情報処理端末a〜dの署名時に、信頼できるタイムスタンプを取得し、メタデータとしても付加する。前記タイムスタンプの取得は、たとえばクライアントである当該管理装置1から前記TSA認証局へ電子署名文書のデータを送信すると、そのデータのハッシュを元に、TSA認証局が"Time-stamp token"を作成し、クライアント(管理装置1)へ応答として返すことで行われる。クライアント(管理装置1)は、得られた"Time-stamp token"から、対象とする電子署名文書のデータの信頼できるタイムスタンプを取得することができる。デジタル署名と同時に、このような信頼できるタイムスタンプによる署名時刻の第三者認証を行うことで、署名時刻以降の非改ざん証明が可能になる。
【0040】
そして、注目すべきは、本発明の管理システムでは、電子化された前記契約書や稟議書などの文書(ファイル)に、複数の利用者A〜D間で、適宜電子署名を施し、閲覧可能に管理するにあたって、以下のような特徴を有している。図1の例では、実際に署名を行うのは、役員のB氏およびD氏であり、契約を纏めた担当者のA氏およびC氏も、文書(ファイル)の閲覧が可能になっている。
【0041】
第1の利用者である担当者のA氏は、第2の利用者であるC氏との間で、電子メールなどで契約書や稟議書などのやり取りを行い、取り纏めた契約書や稟議書などの電子化された文書(ファイル)F1を、端末aにおいて、PDFなどの形式で作成し、ステップS1で示すように、そのデータを、第1の通信路21を介して管理装置1へ送信(アップロード)し、格納させる。同時に、或いは所定時間(たとえば、管理装置1側で、アップされた文書(契約書)F1のデータを処理する時間等)経過後に、ステップS2で示すように、端末aは、予め登録されている第2の利用者であるB氏、C氏およびD氏の端末b、cおよびdに、第2の通信路22を介して、電子メールによって、管理装置1における当該文書のアドレス(URL)を自動的に通知する。その電子メールには、前記アドレス(URL)にリンクが張られており、受信した端末b、cおよびdでは、クリックすることで、前記文書(契約書)F1が閲覧(ダウンロード)可能になる。
【0042】
その後、ステップS3において、端末aは、さらに、署名を要請するB氏およびD氏の端末bおよびdに、第2の通信路22から管理装置1を介して、電子メールによって、署名要請を通知する。なお、ステップS3の署名要請は、第2の通信路22を使用して、上述のように管理装置1経由で端末b,dへ送信されてもよいが、端末aから直接端末b,dに送信されてもよい。しかしながら、関係者の全部B〜Dにアドレス(URL)を通知する(ステップS2)場合に比べて、署名相手b,dを特定する署名要請(ステップS3)は、管理装置1を経由して配信される方が、セキュリティの面で好ましい。
【0043】
B氏およびD氏の端末bおよびdは、ステップS4で、管理装置1から第2の通信路22を介して、前記の署名要請を受信すると、前記ステップS2のアドレス(URL)通知に応答して、管理装置1から、文書(契約書)F1のデータを受信(ダウンロード)し、文書(ファイル)を閲覧したB氏およびD氏は、ステップS5において、端末BおよびDから、文書(ファイル)F1の内容の確認に伴う署名可を表す電子署名データを、第1の通信路21を介して管理装置1へ送信(アップロード)する。
【0044】
こうして、署名を要請したB氏およびD氏の署名が揃うと、管理装置1は、A氏によって作成された前記の契約書のPDFファイル全体を、署名の鍵で暗号化し、署名を置換えられないようにして、文書(ファイル)F2を作成する。また、管理装置1は、その置換えられないようにした文書(ファイル)F2のデータを、前記のようにTSA認証局へ送信して、該文書(ファイル)F2に付加するタイムスタンプを取得する。管理装置1は、こうして得られた文書(ファイル)F2、タイムスタンプ、署名に使用された公開鍵、秘密鍵および操作ログを保管し、その内、文書(ファイル)F2、タイムスタンプおよび操作ログを、第1の通信路21を介して、各端末a〜dから閲覧(ダウンロード)可能とする。そのダウンロードの際に、管理装置1は、添付される前記PDFファイルも含めて、通信内容全体をSSL暗号化して送信する。
【0045】
つまり、B氏およびD氏の電子署名に、タイムスタンプが付された電子化された文書(ファイル)F2、すなわち契約書が、前記指定のアドレス(URL)において、A氏〜D氏の各利用者間で共有可能となる。その保管の期間は、たとえば契約終了のタイミングや契約更新のタイミングまでの適切な期間である。管理装置1は、格納している文書(ファイル)F2が置換えられたり(たとえば、署名が追加されたり、署名者が変更されたり、契約期間が延長されたりする等)、削除されたりすると、全当事者の情報処理端末a〜dに通知する。
【0046】
前記の操作ログは、文書(契約書)F1のアップロード(A氏)や、署名(B,D氏)などを、誰が何時行ったかを示すデータであり(後述の図4図5で示す)、メタデータとして併せて保存しておくことで、後に、文書(ファイル)F2の検索を行う際などに、役立てることができる。
【0047】
このようにして、契約書や稟議書などの電子署名文書を管理するにあたって、簡単かつ低コストで、セキュリティの高いシステムを実現でき、企業間だけでなく、個人にも利用し易くすることができる。本発明は、領収書などにも適用することが可能であるが、第1の利用者以外の署名が必要となり、複数の署名が必要になることが多い前記契約書や稟議書の場合に、容易に署名を集められる本発明は特に好適である。
【0048】
なお、図面の煩雑化を避けるために、各端末a〜dが、第1の通信路21から管理装置1に前記アドレス(URL)でアクセスして、文書(ファイル)F1,F2の内容の確認を行う(ダウンロードの)経路は省略している。
【0049】
また、上述のように、第1の利用者であるA氏が署名の当事者にならないケースがあってもよく、上述のように、第2の利用者であるB氏〜D氏も、一部しか署名の当事者にならないケースがあってもよい。上述の例では、部下であるA氏が契約書を作成し、管理装置1に送信(アップロード)して、自社の管理者であるB氏に署名してもらい、契約相手先でも、署名は管理者のD氏だけで、部下のC氏は閲覧して確認するだけである。このように、閲覧可能となる総ての利用者であるA氏〜D氏が署名をする必要はない。
【0050】
そして、各端末a〜dは、署名可を表す電子署名データに併せて、個別に定められた印影のデータを送信(アップロード)し、管理装置1は、署名済であることおよび誰が署名したのかを、見た目で直ぐに判断できるように、利用アカウント毎に、その印影を、文書内に埋め込まれているかのように表示する。これは、電子署名は、謂わば透かしのように、電子化された文書に埋め込まれるので、従来の電子署名済の文書データは、通常の紙出しや画面表示された文書における署名のように、見た目では署名済であることが直ちに分からず、電子証明書の真正性を確認しないと分からないためである。各端末a〜dが署名可を表す電子署名データに併せて、印影のデータを送信(アップロード)することで、署名されている場合には文書に印影が表れることになり、署名されているか否かの確認を容易に行うことできるようになる。
【0051】
印影のデータは、利用アカウント作成時に、管理装置1に読込まれて登録されており、適宜更新されてもよい。図2に、各端末a〜dにおいて、簡易的にその印影を作成する際の画面例を示す。キーボードなどで枠31内に印影の文字を入力し、参照符号32で示されるフォントの選択入力を行うと、参照符号33で示すように、入力に対応した印影が表示される。利用者が、この印影を使用する場合には保存釦34をクリックし、別の印影を作成する場合にはキャンセル釦35をクリックすることで、枠31等に再入力可能となる。
【0052】
一方、契約書や稟議書の作成は煩雑であるので、管理装置1が、前記契約書や稟議書などの文書(ファイル)の雛形データを予め格納しており、第1の利用者(上述の例ではA)の端末aが、それを受信(ダウンロード)し、該第1の利用者Aの加工によって文書を完成させる。これによって、第1の利用者Aは、取得したデータを端末aで加工(必要なデータを入力)するだけで、これらの文書を容易に完成させることができる。
【0053】
端末aからの完成された契約書の登録(アップロード)画面の例を、図3に示す。先ず、アイコン41で、文書のアップロードを選択し、さらにアイコン42で契約書を選択すると、この図3で示すような入力フォームとなる。そして、枠43にタイトルを入力し、釦44をクリックして取込みモードとした後、枠45内に、作成したPDFなどによる契約書のアイコンをドラッグ&ドロップで添付する。その他、枠46ではプルダウンで契約書の種類を選択し、枠47には印紙金額を記入する。さらに、枠48では、プルダウンで、予め登録されている自社側の人員の中から署名者(上述の例ではB)を選択し、同様に、枠49では、プルダウンで、予め登録されている相手側の人員の中から署名者(上述の例ではD)を選択し、枠50には、文書(ファイル)を配布すべき相手(上述の例ではB,C,D)のメールアドレスを登録する。枠51には、必要に応じて、メールで配信する際に表示される特記事項(署名を希望する期限や、契約の附則など)を記入することができる。入力が完了すると、釦52をクリックすることでアップロードが行われ、釦53をクリックすることで、再入力可能に或いは入力内容が消去される。
【0054】
また、管理装置1は、上述のように、端末Aから送信(アップロード)された文書(ファイル)データに対応して、登録日、タイトル、コメント、検索キーワードなど、予め定めるメタデータを作成し、付加して格納している。したがって、各端末A〜Dの利用者A〜Dは、ソート(整列)されたそのメタデータ(ファイル一覧)から、目的とする文書(ファイル)を容易に捜し出すことができる。そのソート(整列)画面には、文書(ファイル)のプレビュー画像が添付されていることが好ましい。これによって、所望とする文書(ファイル)の検索が、より簡単になる。
【0055】
図4および図5には、そのメタデータを使用したファイル一覧の例を示す。先ず、アイコン61で、新着情報(ニューライン)を選択すると、この図4で示すような一覧表示画面となる。欄62のようにファイルは着順に整理されており、前記メタデータから、欄63のように、各ファイルの優先度も示されている。同様に、前記メタデータから、欄64のように作成日が表示されている。なお、ファイル作成日として、署名日時が一覧表示の対象となる場合には、前記タイムスタンプで取得された日時が採用され、単に契約書などの最初の書面が作成された日時が一覧表示の対象となる場合には、必ずしも前記タイムスタンプは必要なく、NTPサーバなどから取得される時刻でもよい。
【0056】
そして、欄65の宛先、欄66の投稿者、および欄67の内容(概要)から、希望するファイルを選択して、詳細表示に移ることができる。ファイル数が多い場合や、希望するファイルが見つからない場合は、枠68に検索ワードを入力し、釦69をクリックすることで、容易に探し出すことができる。
【0057】
一方、アイコン71で、進捗状況を選択すると、図5で示すような一覧表示画面となる。アイコン72〜75で文書(ファイル)の種別を選択し、アイコン76〜81で進捗状況を選択し、この図5のような一覧表示を行うことができる。文書(ファイル)の種別は、アイコン72で全部を、アイコン73で契約書を、アイコン74で領収書を、アイコン75でその他を、それぞれ選択することができ、進捗状況は、アイコン76で全部を、アイコン77で総ての署名待ちを、アイコン78で自社の署名待ちを、アイコン79で相手先の署名待ちを、アイコン80で自社の署名済を、アイコン81で相手先の署名済を、それぞれ選択することができる。図4同様に、枠82に検索ワードを入力し、釦83をクリックすることで、希望するファイルを、容易に探し出すことができる。図5の例は、アイコン73で契約書を、アイコン76で進捗状況の総てを選択している。
【0058】
こうして、利用者(上述の例ではB,C,D)は、端末b,c,dの画面上で、文書(ファイル)の内容を確認し、署名をする(上述の例では利用者B,D)場合は、その画面上に表示される承認釦をクリックすることで、端末b,dから、署名可を表す電子署名データが、予め登録しておいた図2で示す印影のデータとともに、第1の通信路21を介して管理装置1へ送信(アップロード)され、管理装置1で対応文書(ファイル)に署名が付与される。これに対して、利用者B,Dは、署名を拒否する場合は、端末b,dの画面上で、返却釦をクリックすることで、該端末b,dからは、非承認(署名拒否)であることを表すデータが管理装置1へ送信(アップロード)される。その場合、対応文書(ファイル)に、前記印影に代えて、たとえば非承認のスタンプが付されてもよく、或いは、残余の利用者A,Cに、署名が拒否されたことを表す情報が送信されてもよい。
【0059】
こうして、利用者B,Dは、署名を添付する煩雑な作業を行わなくても、端末B,Dの画面上で、承認釦をクリックするだけで、登録しておいた印影のデータが、署名可を表す電子署名データとともに、自動的に送信(アップロード)されるので、利便性を向上することができる。また、署名の拒否も、端末B,Dの画面上で、返却釦をクリックするだけで、容易に対応することができる。
【0060】
端末a〜dがタブレット端末である場合には、前記の承認釦のクリックおよび印影の埋め込みに代えて、該タブレット端末のタッチパネルから、サインを入力して、そのサインを表示するようにしてもよい。
【0061】
図6図10は、管理装置1および端末a〜dの具体的な動作を説明するためのフローチャートである。先ず、図6は、端末a〜dの利用者が、どのような処理を行うかの初期選択の動作を説明するものである。ステップP1で、利用者A〜Dが端末a〜dから管理装置1のホームページにアクセスし、ステップP2でログイン作業を行い、参照符号D1で示すような、自身のメールアドレス(識別情報)、パスワードとなるPINコードおよび生体データが入力され、セキュアな第1の通信路21を介して、管理装置1へ送信される。
【0062】
ステップP3では、入力されたデータが、管理装置1において、データベースに登録されている契約者情報と照合され、該当する契約者が存在しない場合にはステップP4で、ログインエラーとなって、そのことが端末a〜dに通知される。一方、ステップP3で、正規の契約者であると判定されると、ステップP5において、前述の図4図5で示すような、現在、その契約者が関与している文書(ファイル)の一覧が表示される。その結果、利用者が、ステップP11の詳細表示を希望する場合、参照符号D11で示すファイル選択データが入力されて、後述の図8で示す処理に移る。
【0063】
一方、ステップP5において、ステップP21のソート(並べ替え)を希望する場合には、参照符号D21で示すフィールドがクリックされ、ステップP22のフィルタリングを希望する場合には参照符号D22で示すフィルタリングすべきファイルの種類(前述のアイコン72〜75)や進捗状況(前述のアイコン76〜81)などが入力され、ステップP23の検索を希望する場合には参照符号D23で示すファイル名や著者などが入力される(前述の枠82への入力および釦83のクリック)。参照符号D21〜D23で示す各入力操作によって、管理装置1からは、ソート(並べ替え)やフィルタリングされたファイル一覧のデータが送信され、ステップP24で、端末a〜dの画面上に、たとえば図4図5で示すような画面表示が行われる。こうして表示されたファイル一覧から、利用者は、図8で示すファイル選択処理に移る。
【0064】
また、ステップP5において、ステップP31の新規ファイルの作成を希望する場合には、ステップP32で、新規ファイル作成画面のデータが送信され、端末a〜dの画面上に表示され、後述の図7で示す処理に移る。さらにまた、ステップP5において、ステップP41のユーザプロファイルの確認を希望する場合には、ステップP42で、プロファイル管理画面のデータが送信され、端末a〜dの画面上に表示される。また、ステップP5において、ステップP51のユーザIDの管理を希望する場合には、ステップP52で、企業内ユーザIDの管理画面のデータが送信され、端末a〜dの画面上に表示される。さらにまた、ステップP5において、ステップP61のニューライン(新着情報)の確認を希望する場合には、ステップP62で、ログインしている利用者に対応した、図4で示すようなニューラインの画面データが送信され、端末a〜dの画面上に表示される。また、ステップP5において、ステップP70でログアウトが選択されると、処理を終了する。
【0065】
図7は、前述の説明では、端末aにおいて行われた新規ファイルの作成手順を示すフローチャートである。この図7の例では、新規ファイルとしては、契約書、領収書およびその他のファイルを示しており、たとえば稟議書は、契約書の印紙が無い場合と同様である。前記ステップP32からステップQ1に移ると、ステップQ2で、前記アイコン42の選択によって、作成すべきファイルの属性(種別)の選択が行われる。
【0066】
ステップQ2において、参照符号M11で示す契約書であることを示すデータが入力(選択)されるとステップQ11に移り、管理装置1は、前述の図3で示すような契約書の入力画面のデータを読み出して端末aの画面に表示させる。同様に、ステップQ2において、参照符号M21で示す領収書であることを示すデータが入力(選択)されるとステップQ21に移り、管理装置1は、領収書の入力画面のデータを読み出して端末aの画面に表示させる。ステップQ2において、参照符号M31で示すその他のファイルであることを示すデータが入力(選択)されるとステップQ31に移り、管理装置1は、その他のファイルの入力画面のデータを読み出して端末aの画面に表示させる。
【0067】
ステップQ11において、端末aから、前述の枠45へのドラッグ&ドロップおよび枠51への書き込みから、参照符号M12で示すように、契約書のアップファイルに、図3で示すような説明の入力が行われると、管理装置1は、ステップQ12で、その入力内容を確認し、エラーがあるときにはステップQ13で通知し、無いときにはステップQ14に移る。ステップQ14では、枠46のプルダウン選択によって契約の種類が選択され、ステップQ15では、枠47への入力によって、その契約の種類に対応した印紙金額の入力が行われる。ステップQ16では、枠48,49のプルダウン選択によって、自身を含めて、署名を希望する利用者(上述の例ではB,D)が選択される。
【0068】
その選択の結果、最初の署名を、自身が行う場合には参照符号M13で示す電子署名(印影)のデータが添付されてステップQ18に移り、他者が行う場合には参照符号M14で示すようにその選択の入力が行われ、ステップQ17でその署名者の選択が行われてステップQ18に移る。ステップQ18では、アップロードすべき他のファイルが存在するか否かが判断され、存在しない場合はステップQ19に移ってファイル(契約書)の作成が成功となり、署名者にメールにて署名要求が送信される。一方、ステップQ18で、アップロードすべき他のファイルが存在する場合は、ステップQ20でアップロードが行われた後、ステップQ19に移る。
【0069】
ステップQ21において、端末aから、領収書の入力画面に、参照符号M22で示すような、宛先の会社名、名目、金額等が入力され、続いて、最初の署名を、自身が行う場合には参照符号M13と同様に、参照符号M23で示す電子署名(印影)のデータが添付されてステップQ28に移り、他者が行う場合には参照符号M14と同様に参照符号M24で示すようにその選択の入力が行われ、ステップQ27でその署名者の選択が行われてステップQ28に移る。ステップQ28では、納品書等の他の添付すべきファイルが存在するか否かが判断され、存在しない場合はステップQ29に移ってファイル(領収書)の作成が成功となり、署名者にメールにて署名要求が送信される。一方、ステップQ28で、他の添付ファイルが存在する場合は、ステップQ30でアップロードが行われた後、ステップQ29に移る。
【0070】
ステップQ31において、端末aから、その他のファイル作成の入力画面に、参照符号M32で示すようなアップロードを希望するファイルに、そのファイルの説明が入力されると、管理装置1は、ステップQ32で、その入力内容を確認し、エラーがあるときにはステップQ33で通知し、無いときにはステップQ34に移る。ステップQ34では、他の添付すべきファイルが存在するか否かが判断され、存在しない場合はステップQ35に移ってその他のファイルの作成が成功となり、署名者にメールにて署名要求が送信される。一方、ステップQ34で、他の添付ファイルが存在する場合は、ステップQ36でアップロードが行われた後、ステップQ35に移る。
【0071】
これに対して、電子署名も新規ファイルの作成となり、図7で示すように、メールで通知を受けた署名者(上述の例ではB,D)は、ステップQ41で、メール画面のアドレス(URL)をクリックすると、ステップQ42のログイン画面に移り、ステップP2と同様に、参照符号M41で示すような、自身のメールアドレス(識別情報)、PINコードおよび生体データを入力するログイン作業を行う。ログインの結果、ステップQ43で利用者の認証が終了するとステップQ44の署名画面に移り、利用者を認証できなかった場合はステップQ45のエラー通知画面に移る。
【0072】
図8は、前記ステップP24でのファイル一覧表示の結果行われるファイル選択処理の手順を示すフローチャートである。前述の図4図5で示すような画面から、ステップR1で署名待ちのファイルを選択すると、ステップR2で署名画面となり、ステップR3で署名可否の判断が行われる。署名可の場合、すなわち承認釦がクリックされると、ステップR4で追加コメントが任意で追加可能となり、ステップR5で電子署名が行われると、ステップR6で、その電子署名(前述の印影)付きのファイル(契約書等)の詳細表示が行われる。一方、ステップR3で署名を拒否する場合、すなわち返却釦がクリックされると、ステップR7で未承認理由のコメントが書き込まれて、前記ステップR6のファイル詳細表示に移る(この場合は署名拒否)。
【0073】
これに対して、前述の図4図5で示すような画面から、ステップR11で特定のファイルの詳細表示を選択すると、ステップR12で、前記ステップR6と同様の電子署名(拒否も)付きのファイルの詳細表示が行われる。その結果、利用者が、ステップR13で印刷する場合には、ステップR14に移って印刷画面となる。また、ステップR12の詳細表示の結果、利用者が、ステップR15でその詳細表示のファイルを削除する場合には、ステップR16で削除確認画面となって、ステップR17で確認されると、ステップR18で該当ファイルのバックアップを取って削除を実行し、削除したことを関係する利用者へ通知する。一方、ステップR17で削除の確認が取れない場合、ステップR12のファイル管理画面へ戻る。
【0074】
さらにまた、ステップR12でファイルの詳細表示が行われた結果、利用者が、ステップR21で、そのファイルを置換える場合には、ステップR22に移って置換えるべきファイルのアップロード画面となり、ステップR23でアップロードが行われると、ドラッグ&ドロップなどで、参照符号N1で示すように、アップロードすべきファイルが選択される。その選択されたファイルが、ステップR24で確認されると、ステップR25でアップロードが成功したことを利用者へ通知する。一方、ステップR24でアップロードされたファイルが確認できない場合は、ステップR26でエラー通知が行われる。
【0075】
図9は、この電子署名文書の管理システムの使用にあたって、社内での権限(セキュリティレベル、ステータス)を規定する手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、ログインによる利用者認証に伴うID(ステータス)情報を使用し、所定の権限(セキュリティレベル、ステータス)以上の利用者しか行えないようにすることも可能である。たとえば、前述の例では、管理者である利用者B,Dのみが行えるようにする。
【0076】
ステップS1で、新規の社内IDの作成が選択されると、ステップS2の作成画面に移り、参照符号H1で示す部署、肩書き、氏名、与えられる権限(セキュリティレベル、ステータス)などのデータが入力される。入力データはステップS3で確認され、適切であればステップS4で新規ユーザIDが作成されて管理装置1に登録され、適切でなければステップS5で管理装置1からエラー通知が行われる。
【0077】
こうして入力された各IDに対して、ステップS11で権限(セキュリティレベル、ステータス)の変更が選択されると、参照符号H2で示す付与すべき新たな権限(セキュリティレベル、ステータス)のデータが入力され、ステップS12の保存釦の操作で仮保存される。その保存データはステップS13で確認され、適切であればステップS14で権限(セキュリティレベル、ステータス)の変更が実際に保存(更新登録)されて各ユーザの権限一覧画面に移り、適切でなければステップS15でエラー通知が行われる。
【0078】
一方、ステップS1からの新規IDの作成およびステップS11からの権限の変更にあたって、ユーザ権限の確認は、ステップS21のフィルタ処理またはステップS22の検索処理で行うことができる。ステップS21のフィルタ処理では、参照符号H3で示す権限の種類や部署が入力されてフィルタリングが行われ、ステップS22の検索処理では、参照符号H4で示す氏名やユーザIDが入力されて検索が行われる。ステップS21,S22の抽出結果は、ステップS23において、一覧表示され、前記ステップS1やS11からの処理の参考にすることができる。
【0079】
また、図10は、取引先情報の登録手順を説明するフローチャートである。取引先情報としては、ステップT1以降の新規登録と、ステップT11以降の登録変更とに大別される。これらは、任意の利用者が行うようにしてもよく、或いは所定の権限を有する利用者のみが行うようにしてもよい。
【0080】
新規登録では、ステップT1で新規登録が選択されると、ステップT2で、その新規の取引先企業のID作成画面となり、参照符号L1で示すように、企業名、住所、電話番号などの会社情報および担当者や管理者の名前、部署、電話番号などの人的情報が入力される。ステップT3では、その入力情報が確認され、適切であるときにはステップT4で取引先企業の情報として加えられて企業一覧表示が行われ、適切でないときにはステップT5でエラー通知が行われる。
【0081】
登録変更では、ステップT11で取引先情報一覧が選択されると、ステップT12でその一覧表示画面に移り、その一覧表示画面から変更すべき取引先が、ステップT13では、参照符号L2で示すサービス請求先の入力によるフィルタ処理によって、またはステップT14では、参照符号L3で示す企業名やファイル数の入力による検索によって抽出される。抽出結果は、ステップT15において、一覧表示される。
【符号の説明】
【0082】
1 管理装置
2 ネットワーク
21 第1の通信路
22 第2の通信路
a〜d 情報処理端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10