特許第6220883号(P6220883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプスコ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6220883-冷却塔の検査方法および装置 図000002
  • 特許6220883-冷却塔の検査方法および装置 図000003
  • 特許6220883-冷却塔の検査方法および装置 図000004
  • 特許6220883-冷却塔の検査方法および装置 図000005
  • 特許6220883-冷却塔の検査方法および装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220883
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】冷却塔の検査方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F28G 13/00 20060101AFI20171016BHJP
   F28C 1/02 20060101ALI20171016BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   F28G13/00 A
   F28C1/02
   G01S13/88 200
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-540211(P2015-540211)
(86)(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公表番号】特表2016-504553(P2016-504553A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】GB2013052857
(87)【国際公開番号】WO2014068325
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】1219764.6
(32)【優先日】2012年11月2日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515119457
【氏名又は名称】エプスコ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EPSCO LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート オリバー スミス
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−136695(JP,A)
【文献】 特開平11−153558(JP,A)
【文献】 特表2008−533319(JP,A)
【文献】 特開平05−087945(JP,A)
【文献】 特開昭61−030782(JP,A)
【文献】 特開2010−237107(JP,A)
【文献】 特開2010−101841(JP,A)
【文献】 特表2000−509481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 13/00
F28C 1/02
G01S 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パック(16)を検査する方法であって、
該方法は、地中レーダ(GPR)装置(34)を提供するステップと、
前記充填パック(16)の頂面(38)、底面または側面に対して前記GPR装置(34)を移動させるステップと、
前記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理するステップと、
を含む冷却塔の充填パック検査方法。
【請求項2】
前記GPR装置の動作モードは、距離に基づくデータ収集である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GPR装置(34)は、前記充填パック(16)の頂面を一連の平行なスキャンライン(40)で横断する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記GPR装置(34)、遠隔操作可能な車両(ROV)(24)に取り付けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ROV(24)は、装軌車両、装輪車両、飛行可能な車両、または、浮動可能な車両である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ROV(24)は、後のダウンロードおよび分析のためにGPRデータを格納するように構成されたデータロガー(36)も搭載している、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ROV(24)は、ビデオカメラを装備している、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理する前記ステップは、前記充填パック(16)を、その上の汚れから区別するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記充填パック(16)に関する受信したデータをフィルタリングし、無視および/または削除するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記GPR装置(34)は、前記充填パック(16)特有の構成素材に対する適切な相対密度や誘電率のプログラミングによって前記充填パック(16)の構造それ自体を同定または認識し、無視するように構成可能である、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理する前記ステップは、前記汚れの堆積タイプおよび性質の決定を支援するために、前記受信したGPRデータを分析するステップを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記GPR装置(34)は、ハンドヘルドの装置である、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
冷却塔からの汚れを清掃する方法であって、
該方法は、地中レーダ(GPR)装置(34)を提供するステップと、
前記充填パック(16)の頂面(38)、底面または側面に対して前記GPR装置を移動させることにより、GPRで前記冷却塔の前記冷却塔の充填パック(16)を検査するステップと、
前記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理するステップと、
容認できないレベルの汚れが存在している前記充填パック(16)の部分を同定するステップと、
前記そのように同定された部分を清掃するステップと、
を含む、冷却塔からの汚れを清掃する方法。
【請求項14】
汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パック(16)を検査する装置であって、
該装置は、前記充填パック(16)の表面に対して移動させることが可能である遠隔操作可能な車両(ROV)(24)および前記ROV(24)に取り付けられた地中レーダ(GPR)装置(34)と、を備える冷却塔の充填パック検査装置において、
前記GPR装置(34)は、前記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理するよう構成されていることを特徴とする冷却塔の充填パック検査装置。
【請求項15】
汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パック(16)を検査するのに用いる装置であって、
該装置は、ダメージを与えることなく、前記充填パック(16)の表面を横断することができる遠隔操作可能な車両(ROV)(24)、および前記ROV(24)に取り付けられた地中レーダ(GPR)装置(34)と、を備える冷却塔の充填パックの検査に用いる装置において、
前記GPR装置(34)は、前記充填パック(16)内の汚れの位置および程度の三次元プロットを形成するために受信したGPRデータを処理するよう構成されていることを特徴とする、冷却塔の充填パック検査装置。
【請求項16】
前記ROV(24)は、装軌車両である、請求項14または請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ROV(24)は、無線制御、または有線制御される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記ROV(24)は、装輪車両、装軌車両、飛行可能な車両、または浮動車両である、請求項14〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ROV(24)は、後のダウンロードおよび分析のためにGPRデータを格納するように構成されたデータロガー(36)を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ROV(24)は、ビデオカメラを装備する、請求項14〜19のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れている領域を検出し、マッピングするために冷却塔を検査する方法および装置、ならびに冷却塔の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、特に、一般に発電所で用いられるような、双曲線状の大型の自然通風冷却塔に言及する。しかしながら、本発明は、強制または吸出し通風の冷却塔のような、他のタイプの冷却塔にも適用できる。
【0003】
冷却塔では、処理水が、冷却空気の逆流に対して、下向きに通される。水は、典型的には、充填物または充填パックの頂面を横切るパイプによって散布される。充填パックは、冷却空気と接触する水の表面積を大きくするために、水を水滴に分散させるために存在しており、充填パックは典型的には、プラスチックのチューブと丸溝ひだ(flutes)から成る。
【0004】
時間が経つにつれて、汚れが充填パックに蓄積する。汚れは、処理水から沈殿した無機物や有機物からの湯垢から成り、生物的な汚れは、例えば藻およびバクテリアから成る。汚れは、有効な流量面積を減らし、従って効率を低下させ、潜在的に健康を害する恐れもある。従って、充填パックの定期的な清掃が必要である。
【0005】
従来、充填パックにアクセスして、取り外し、清掃するのが困難なために、塔はたいてい急激に汚れる。これに有効な技術は、継続的な水の処理/投与、および/または、濾過に焦点を当てている。これらは汚れるのを遅くするが、基本的に、汚れの蓄積速度を抑えるに過ぎない。従来の清掃方法は、充填パックの取り外し、および高圧噴射に関与しており、これには、充填パックの取り外しの間の充填パックへのダメージ、細菌の拡散を抑えるために封じ込め領域の建立といったような問題、および時間と費用の問題がある。
【0006】
経験の示すところによれば、冷却塔のユーザーは、経年による汚れのレベルを測定できることを望んでいる。この測定情報は、保守オプションについて、よりよい暫定的な管理と意思決定を可能にすることができる。これまで、これは、目視検査のために充填パックの一部を取り外し、その場でパックを計量することによって試みられてきた。最近では、パックの丸溝ひだへの堆積物を視覚的にチェックするために内視鏡技術が用いられている。これらはいずれもある程度の有用性を有しているが、各々が欠点を有しており、とりわけ、それらはいずれも、隔離した部分を、冷却塔全体の代表としての役割を果たすようにチェックするに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題を克服または軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パックを検査する方法を提供し、本方法は、地中レーダ(GPR)の使用を含む。
【0009】
本発明は、地中レーダは、大部分が空洞から成る構造物における有用で正確なデータを提供できるという、予期せぬ発見に基づいている。これは、検査中の容積の全体または大部分が固体であるコンクリートの構造物や考古学の検査といったような、GPRの通常の用途とは対照的である。
【0010】
1つの実施形態において、GPR装置は、充填パックの頂面を横断して移動し、例えば、一連の平行なスキャンラインで充填パックの頂部を横断する。
【0011】
他の実施形態において、GPR装置は充填パックの表面に対して移動する。その表面は、充填パックの頂面、底面、または側面とすることができる。
【0012】
GPR装置は、充填パックの表面と実質的に接触させるのがよい。あるいは、GPR装置は充填パックの表面から間隔をあけることもできる。このような配置では、GPR装置は充填パックと接触しない。
【0013】
GPR装置は、遠隔操作可能な車両(ROV)、好ましくは装軌車両に取り付けるのがよい。GPR装置は、手動操作装置とすることができる。このような構成では、GPR装置は作業員が手で持ち運ぶことができ、さらに、作業員は充填パックの表面を横断することができる。
【0014】
GPR装置は、遠隔操作可能な車両(ROV)に取り付けることができる。ROVは無線制御および/または有線制御とするのがよい。
【0015】
ROVは、装輪車両とすることができる。ROVは、装軌車両とすることができる。ROVは、飛行可能な車両とすることができる。ROVは、浮動車両とすることができる。ROVは、ヘリコプターとすることができる。ROVは、飛行機とすることができる。
【0016】
ROVは、後のダウンロードと分析のためにGPRデータを格納するように構成されたデータロガーも搭載するのがよく、ビデオカメラを装備することができる。
【0017】
ROVは、後のダウンロードと分析のためにGPRデータを格納するように構成されたデータロガーも搭載するのがよい。
【0018】
ROVは、ビデオカメラを装備することもできる。
【0019】
本方法は、充填パック内の汚れの位置および程度についての三次元プロットを形成するために、受信したGPRデータを処理するステップを含むことができる。
【0020】
充填パック内の汚れの位置および程度についての三次元プロットを形成するために、受信したGPRデータを処理するステップは、充填パックをその汚れから区別するステップを含むのがよい。そのステップは、充填パックに関する受信したデータをフィルタリングし、無視または削除するステップを含むことができる。GPR装置は、充填パック特有の構成素材に対する適切な相対密度や誘電率のプログラミングによって充填パックの構造それ自体を同定/認識し、および無視するように構成可能とすることができる。この構成では、GPR装置は、プラスチック、ポリ塩化ビニル(PVC)、金属、アスベスト、木材、等で作られた充填パックを認識するように構成することができる。
【0021】
他の態様から、本発明は、前述の方法により冷却塔を検査するステップと、許容できないレベルの汚れが存在している、充填パックの部分を同定するステップと、そのように同定された部分を清掃するステップとを含む、冷却塔からの汚れの清掃方法を提供する。
【0022】
他の態様から、本発明は、前述の方法により冷却塔を検査するステップと、許容できないレベルの汚れが存在している、充填パックの部分を同定するステップと、そのように同定された部分を清掃するステップを含む、冷却塔からの汚れの清掃に的を絞った方法を提供する。
【0023】
本発明は、汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パックを検査するのに用いる装置も提供し、本装置は、ダメージを与えることなく充填パックの表面を横断することができる遠隔操作車両(ROV)、およびROVに取り付けられた地中レーダ(GPR)装置を備えている。
【0024】
本発明は、汚れの存在を検出するために冷却塔の充填パックを検査する装置も提供し、本装置は、充填パックの表面に対して移動することができる遠隔操作車両(ROV)および、ROVに取り付けられた地中レーダ(GPR)装置を備えている。
【0025】
ROVは、充填パックにダメージを与えることなく、充填パックに対して移動できるように構成するのがよい。
【0026】
ROVは、好ましくは、装軌車両である。
【0027】
ROVは、無線制御、および/または有線制御とすることができる。
【0028】
ROVは、装輪車両とすることができる。ROVは、装軌車両とすることができる。ROVは、飛行可能な車両とすることができる。ROVは、浮動車両とすることができる。ROVは、ヘリコプターとすることができる。ROVは、飛行機とすることができる。
【0029】
好ましくは、ROVは、後のダウンロードと分析のためにGPRデータを格納するよう構成された、データロガーも搭載する。
【0030】
1つの実施形態において、ROVはビデオカメラを装備する。
【0031】
GPR装置は、充填パックの頂面を横断することができる。
【0032】
GPR装置は、一連の平行なスキャンラインで、充填パックの頂部を横断することができる。
【0033】
GPR装置は、遠隔制御車両(ROV)に取り付けることができる。
【0034】
ROVは、装軌車両とすることができる。
【0035】
ROVは、後のダウンロードと分析のためにGPRデータを格納するように構成された、データロガーを搭載することもできる。
【0036】
ROVは、ビデオカメラを装備することもできる。
【0037】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながらほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】冷却塔の一形態の概略断面図である。
図2図1の冷却塔の一部を拡大した断面図である。
図3】本実施形態において用いられる遠隔操作車両の斜視図である。
図4】遠隔操作車両の作業を示す側面図である。
図5】遠隔操作車両の経路を示している充填パックの4分の1の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照すると、一形態の冷却塔は、支柱12の上に地面から離れて支えられるパラボラ状のコンクリートシェル10を含む。冷却すべき処理水は、パイプ14を経て分配され、多量の充填パック16の上に噴霧されて、充填パックを通り、最終的に再利用または排出するために水槽または水溜め18に集められる。
【0040】
図2は、冷却塔の一部分をより詳細に示している。配水パイプ14に噴霧ノズル20が設けられていることが分かる。ドリフトエリミネータ22が、パイプ14の上に位置付けられている。
【0041】
本発明の方法は、遠隔操作車両(ROV)24によって実行するのが好適である。任意の適切なROVを用いることができ、1つの適切な例は、ノースカロライナ州フキーヴァリナ所在のスーパードロイドロボット社によるHD2ロボットである。これは、図3に概略図が示され、モータ30によって駆動されるゴムトラック28によって支えられたシャーシ26を備えている。ビデオカメラ32が、ROV24の前面に取り付けられており、これは、チルトモータ(図示されていない)によって傾動させることができる。モータ30には、移動距離の尺度を与えるエンコーダが設けられている。ROV24は、前進/後進および操縦を制御するための1つのジョイスティックと、カメラの傾きを制御する別のジョイスティックとを備える、遠隔無線制御ユニットにより制御される。
【0042】
ROV24は、GPR装置34およびデータロガー36を担持している。適切なGPR装置の1つの例は、ニューハンプシャー州セーレム所在のジェオフィジカルサーベイシステム社のGSSI TerraSIRch SIRシステム3000(一般に、SIR−3000と称されている)である。同社は、適切なデータロガーも提供している。しかしながら、任意の適切な形態のGPR装置を用いることができる。
【0043】
この使用に好適な周波数は、400MHzのアンテナ周波数ではあるが、他の周波数でも適切であり得る。GPRの好ましい動作モードは、距離に基づいたデータ収集である。これは、スキャンを直線距離に関連付け、3Dモデルを生成するために必要とされる。モータのエンコーダは、3Dモデルの生成のために移動した水平距離のデータを提供する。しかしながら、代替的な距離入力も可能であり、例えば、手動プッシュ式のGPR装置に、キャスターホイール等を設けることができる。GPR装置34は、アドホックスキャンのために時間モードで用いることができ、これは手動で入力する距離情報の点から見て有用である。
【0044】
図4および図5を参照するに、使用時に作業員は充填パック16の頂面38にアクセスする。ROV24は、頂面38に位置付けられ、一連の直線スキャン40で頂面を横切って駆動される。典型的には、ROV24が中心から周辺部に向かい、そして、中心へ逆戻りし、横に移動してから、その手順を繰り返すのが都合がよい。これを行うには、周辺部に一連の照準マークを設けるのが好都合である。しかしながら、他のスキャニングのパターンも可能である。例えば、周辺部に到達したROVをその周辺部付近で短距離で向きを変え、平行線に沿って中心部に向けて逆戻りさせることが可能であり、もしくは、らせん状のスキャンを用いることもできる。
【0045】
各スキャンで、GPRデータが、データロガー36に格納される。通常のGPRの使用と同様に、レーダエコーは、表面部で、または密度の異なる媒体間の不連続部で変化し、受信時間は深さを規定する。データは、後に、各位置における汚れの度合いを示す3Dマップを生成するコンピュータにダウンロードされる。GPR装置は、構造物特有の素材に対する適切な相対密度や誘電率のプログラミングによって充填パックの構造そのものを妥当なものおよび駄目なものとみなすように構成される。3Dマップの生成および解釈は、地下または構造物の調査で用いられるものと同様であり、GPRを用いる当業者には明らかであろう。
【0046】
この情報が利用可能になると、充填パック16のさまざまな部分の清掃度について、清掃する必要があるかの決定を下すことができる。それは、GPR信号を汚れの程度と視覚的に相関させるために、内視鏡で充填パックの選択領域を検査するのにも有効である。本手順は、より的を絞った、効率的な清掃プロセスを可能にする。例えば、ある領域においては3回繰り返し処置し、他においてはたった1回処置するだけとすることができる。
【0047】
このように、本発明は、冷却塔を検査する改良された方法を提供する。本発明は、充填パックを単にその一部だけではなく、もっと全面的に調べることができ、これは、充填パックの分解と再組立てなしで行うことができる。
【0048】
本発明を、見本の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の構成および要素に変更を加えることができることは当業者に理解されるであろう。
【0049】
さらに、図示され、かつ上述した冷却塔の充填パックの検査方法においては、ROV24は、充填パック16の頂面に乗る装軌車両として記載されているが、ROVは、必ずしも、充填パック16の頂面に乗る装軌車両である必要はないと理解されたい。例えば、ROVは、充填パック16の頂面で作動する必要はない。ROVは、充填パック16の任意の面、例えば、頂面、底面、または側面に対して移動させることができる。さらに、ROVは充填パックの表面そのものに接触させる必要もない。ROVは、例えば、充填パック16の表面から離すことができる。つまり、ROVと充填パック16との間に隙間をあけることができる。
【0050】
また、ROV24は装軌車両であるように図示され、かつ上述したが、ROVは装輪車両、飛行可能な車両、または浮動可能な車両とすることができると理解されたい。ROVを飛行可能な車両とする場合、その車両は飛行機またはヘリコプターまたは同様のものとすることができる。ROVを浮動可能な車両とする場合、ROVは、水槽または水溜め18に配置することができる動力ボートまたは動力船とすることができる。このような場合、ROVは、充填パック16の低部(底)面をスキャンするか、そこに作用する。
【0051】
さらに、ROVのモータエンコーダは3Dモデルを生成するために走行した水平距離のデータを提供する。しかしながら、代替的な距離入力も可能であり、例えば、手動プッシュ式の装置には、キャスターホイール等を設けることができる。その装置は、アドホックスキャン用に時間モードで用いることができ、これは手動で入力する距離情報の観点で有用である。
【0052】
使用時に、作業員は充填パック16の頂面38にアクセスする。ROV24は、頂面38に位置付けられ、一連の直線スキャン40で頂面を横切って駆動される。典型的には、ROV24を中心から周辺部へ向け、そして中心へ逆戻りさせ、横に動かしてから、その手順を繰り返すのが都合がよい。これを行うには、周辺部に一連の照準マークを設けるのが好都合である。しかしながら、他のスキャニングパターンも可能である。例えば、周辺部に到達したROVをその周辺部付近で短距離で向きを変え、平行線に沿って中心部に向けて逆戻りさせることが可能であり、または、らせん状のスキャンを用いることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5