特許第6220904号(P6220904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220904
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20171016BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20171016BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20171016BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20171016BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20171016BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   H02J7/00 303C
   H02J7/00 B
   H02J7/00 Q
   H01M10/44 P
   H01M2/10 J
   H01M2/10 S
   B60L11/18 A
   B60L3/00 S
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-5540(P2016-5540)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-126502(P2017-126502A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100127801
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 慎也
(72)【発明者】
【氏名】川村 雅之
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−019832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M 2/10
10/42−10/48
H02J 1/00−1/16
7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電器、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部を有する第1蓄電モジュールと、
前記第1蓄電器に比べて、出力重量密度が優れ、かつ、エネルギー重量密度が劣る第2蓄電器、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部を有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断する、蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置であって、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電には、前記第1蓄電器から前記第2蓄電器の方向に電流が流れる充放電と、前記第2蓄電器から前記第1蓄電器の方向に電流が流れる充放電と、が含まれる、蓄電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蓄電装置であって、
前記充放電回路はインダクタを含み、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電の開始から所定時間経過後の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断する、蓄電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蓄電装置であって、
前記所定時間は、前記インダクタのインダクタンスに基づく、蓄電装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電装置であって、
前記充放電回路は、前記第1蓄電器の出力電圧及び前記第2蓄電器の出力電圧の少なくとも一方を変換する変換部を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値の少なくとも一方を、前記変換部における所定の係数に基づき修正する、蓄電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の蓄電装置であって、
前記所定の係数は、前記変換部の電圧変換率である、蓄電装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正が必要と判断した場合、前記第1検出部及び前記第2検出部の少なくとも一方を補正する、蓄電装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正が必要と判断した場合、前記第1検出部及び前記第2検出部の双方を補正する、蓄電装置。
【請求項9】
第1蓄電器、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部を有する第1蓄電モジュールと、
第2蓄電器、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部を有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記充放電回路はインダクタを含み、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電の開始から所定時間経過後の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記所定時間は、前記インダクタのインダクタンスに基づく、蓄電装置。
【請求項10】
第1蓄電器、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部を有する第1蓄電モジュールと、
第2蓄電器、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部を有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記充放電回路は、前記第1蓄電器の出力電圧及び前記第2蓄電器の出力電圧の少なくとも一方を変換する変換部を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値の少なくとも一方を、前記変換部における所定の係数に基づき修正する、蓄電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
前記所定の係数は、前記変換部の電圧変換率である、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの蓄電器を備えた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両走行用の蓄電装置のSOC(残容量、State Of Charge)を推定可能な電動車両が記載されている。当該電動車両では、車両外部の電源から各蓄電装置の充電が要求されると、各蓄電装置の充電に先立ち、蓄電装置間で充放電が実施される。電池ECUは、この充放電時に収集される各蓄電装置の電圧及び電流に基づいて各蓄電装置の電圧電流特性を算出する。そして、算出された電圧電流特性に基づいて各蓄電装置のOCVが算出され、その算出されたOCVに基づいて各蓄電装置のSOCが推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−220080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動車両では、蓄電装置間の充放電時に収集した各蓄電装置の電圧及び電流に基づいてSOCを推定している。このため、蓄電装置の電圧を検出する電圧センサや、蓄電装置に対して入出力される電流を検出する電流センサの精度は、SOCの推定精度を大きく左右する。しかし、電圧センサや電流センサの検出値には、図10に示すオフセット誤差やゲイン誤差等といった多様な誤差が含まれ、当該誤差は、いかに高品質な電流センサでも不可避的に発生する。したがって、蓄電装置のSOCを高精度に推定するためには、電流センサの検出値に含まれる誤差又は複数の電流センサ全体における誤差を低減する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、電流を検出する複数の検出部全体に含まれる誤差に対する補正の要否を精度良く判断し、さらには複数の検出部全体に含まれる誤差の期待値を充分に低減可能な蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
第1蓄電器(例えば、後述の実施形態での高容量型バッテリES−E)、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103e)を有する第1蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111e)と、
前記第1蓄電器に比べて、出力重量密度が優れ、かつ、エネルギー重量密度が劣る第2蓄電器(例えば、後述の実施形態での高出力型バッテリES−P)、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103p)を有する第2蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111p)と、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路(例えば、後述の実施形態でのVCU101)と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部(例えば、後述の実施形態でのECU109)と、を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断する、蓄電装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電には、前記第1蓄電器から前記第2蓄電器の方向に電流が流れる充放電と、前記第2蓄電器から前記第1蓄電器の方向に電流が流れる充放電と、が含まれる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、
前記充放電回路はインダクタを含み、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電の開始から所定時間経過後の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記所定時間は、前記インダクタのインダクタンスに基づく。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、
前記充放電回路は、前記第1蓄電器の出力電圧及び前記第2蓄電器の出力電圧の少なくとも一方を変換する変換部(例えば、後述の実施形態でのVCU101)を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値の少なくとも一方を、前記変換部における所定の係数に基づき修正する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記所定の係数は、前記変換部の電圧変換率である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正が必要と判断した場合、前記第1検出部及び前記第2検出部の少なくとも一方を補正する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正が必要と判断した場合、前記第1検出部及び前記第2検出部の双方を補正する。
【0014】
請求項9に記載の発明は、
第1蓄電器(例えば、後述の実施形態での高容量型バッテリES−E)、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103e)を有する第1蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111e)と、
第2蓄電器(例えば、後述の実施形態での高出力型バッテリES−P)、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103p)を有する第2蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111p)と、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路(例えば、後述の実施形態でのVCU101)と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部(例えば、後述の実施形態でのECU109)と、を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記充放電回路はインダクタを含み、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電の開始から所定時間経過後の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記所定時間は、前記インダクタのインダクタンスに基づく、蓄電装置である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、
第1蓄電器(例えば、後述の実施形態での高容量型バッテリES−E)、及び該第1蓄電器の入出力電流を検出する第1検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103e)を有する第1蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111e)と、
第2蓄電器(例えば、後述の実施形態での高出力型バッテリES−P)、及び該第2蓄電器の入出力電流を検出する第2検出部(例えば、後述の実施形態での電流センサ103p)を有する第2蓄電モジュール(例えば、後述の実施形態での蓄電モジュール111p)と、
前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の電流経路を構成する充放電回路(例えば、後述の実施形態でのVCU101)と、
前記充放電回路を介した前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間の充放電を制御する制御部(例えば、後述の実施形態でのECU109)と、を備えた蓄電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器の間で充放電中の前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値に基づき、前記第1検出部及び前記第2検出部の補正の要否を判断し、
前記充放電回路は、前記第1蓄電器の出力電圧及び前記第2蓄電器の出力電圧の少なくとも一方を変換する変換部(例えば、後述の実施形態でのVCU101)を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出値及び前記第2検出部の検出値の少なくとも一方を、前記変換部における所定の係数に基づき修正する、蓄電装置である。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
前記所定の係数は、前記変換部の電圧変換率である。
【発明の効果】
【0017】
同一の電気回路における任意の2点間で充放電を行う際、当該2点間での充放電に昇降圧を伴わない場合は、この2点で検出される電流値は、おおよそ等しい値になることが知られている。また、昇降圧を伴う場合であっても、2点で検出される電流値は昇降圧比に基づく相関関係を有することも知られている。この原理を利用して、後述するように2点に設けられた電流センサがそれぞれ検出した値を平均化することで、電流センサの誤差を均等にして、これらの電流センサの全体に含まれる誤差の期待値を低減することができるが、そのためには、2点間に互いに値の異なる複数の電流を流す必要がある。なお、誤差の期待値とは、電流センサに発生する誤差の程度を、その誤差毎の発生確率の重みで平均化した値である。
【0018】
しかし、既存の単一電源のみ有する蓄電装置では、電源と電力のやりとりを行う負荷(例えば、モータジェネレータ)の状態に、2点間を流れる電流値が束縛されるため、電流センサの誤差を低減することは困難である。
【0019】
そこで、請求項1の発明、請求項の発明及び請求項10の発明によれば、同一の電気回路に設けられた第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差に対する補正の要否を、負荷の状態に左右されない第1蓄電器と第2蓄電器の間の充放電時における、当該第1検出部が検出する第1蓄電器の入出力電流と、当該第2検出部が検出する第2蓄電器の入出力電流とに基づき、精度良く判断できる。
また、請求項1の発明によれば、特性の異なる2つの蓄電器を併用する当該蓄電装置において、蓄電器の入出力電流を検出する複数の検出部の全体に含まれる誤差の期待値を補正によって低減できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、第1蓄電器から第2蓄電器の方向に電流が流れる充放電時の第1検出部及び第2検出部の各検出値、並びに、第2蓄電器から第1蓄電器の方向に電流が流れる充放電時の第1検出部及び第2検出部の各検出値を利用することができるため、第1検出部及び第2検出部を補正することによって複数の当該検出値に含まれるオフセット誤差とゲイン誤差をまとめて均等にして、第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差の期待値を充分に低減できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、充放電回路がインダクタを含む場合、第1検出部及び第2検出部の各検出値は、充放電の開始から所定時間経過後の当該インダクタの誘導成分による影響が収まった後の値であるため、第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断の精度を向上できる。
【0022】
請求項4の発明及び請求項9の発明によれば、インダクタのインダクタンスに基づく適切なタイミングで検出された第1検出部及び第2検出部の検出値を、当該第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断に利用できる。
【0023】
請求項5の発明及び請求項10の発明によれば、充放電回路が変換部を含む場合であっても、第1検出部の検出値と第2検出部の検出値の少なくとも一方を変換部の係数に基づき修正することによって、第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断を精度良くできる。
【0024】
請求項6の発明及び請求項11の発明によれば、変換部の電圧変換率に基づく係数で修正された第1検出部及び第2検出部の検出値を、当該第1検出部及び第2検出部の全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断に利用できる。
【0025】
請求項7の発明及び請求項8の発明によれば、補正の要否判断において補正による誤差の低減が必要と判断した場合には、第1検出部及び第2検出部の検出値を利用して、第1検出部と第2検出部の全体に含まれる誤差の期待値を補正によって低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る一実施形態の蓄電装置を搭載した電動車両の概略構成を示すブロック図である。
図2】高容量型バッテリ、高出力型バッテリ、VCU、PDU及びモータジェネレータの関係を示す電気回路図である。
図3】VCUを介した高容量型バッテリと高出力型バッテリの間の充放電を実行した際の電流の流れを示す図である。
図4】ECUが電流センサを補正する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図4に示すステップS103,S107で行われるサブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
図6】充放電の開始後の充放電電流と所定時間との関係を示す図である。
図7】バッテリ間充放電時の各電流センサの電圧−電流特性を示す図である。
図8】他の実施形態の蓄電装置を搭載した電動車両の概略構成を示すブロック図である。
図9】他の実施形態における高容量型バッテリ、高出力型バッテリ、VCU、PDU及びモータジェネレータの関係を示す電気回路図である。
図10】電流センサのオフセット誤差及びゲイン誤差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る一実施形態の蓄電装置を搭載した電動車両の概略構成を示すブロック図である。図1中の太い実線は機械連結を示し、二重点線は電力配線を示し、細い実線は制御信号を示す。図1に示す1MOT型の電動車両は、モータジェネレータ(MG)11と、PDU(Power Drive Unit)13と、一実施形態の蓄電装置100とを備える。以下、電動車両が備える各構成要素について説明する。
【0030】
モータジェネレータ11は、蓄電装置100から供給される電力によって駆動され、電動車両が走行するための動力を発生する。モータジェネレータ11で発生したトルクは、変速段又は固定段を含むギヤボックスGB及びデファレンシャル・ギアDを介して駆動輪Wに伝達される。また、モータジェネレータ11は、電動車両の減速時には発電機として動作して、電動車両の制動力を出力する。なお、モータジェネレータ11を発電機として動作させることで生じた回生電力は、蓄電装置100が有するバッテリに蓄えられる。
【0031】
PDU13は、直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータ11に印加する。また、PDU13は、モータジェネレータ11の回生動作時に入力される交流電圧を直流電圧に変換する。
【0032】
蓄電装置100は、図1に示すように、高容量型バッテリES−Eと、高出力型バッテリES−Pと、VCU(Voltage Control Unit)101と、電流センサ103e,103pと、電圧センサ105p,105eと、スイッチ部107と、ECU(Electronic Control Unit)109とを備える。なお、高容量型バッテリES−Eと電流センサ103eとによって1つの蓄電モジュール111eが構成され、高出力型バッテリES−Pと電流センサ103pとによって1つの蓄電モジュール111pが構成されている。
【0033】
高容量型バッテリES−Eは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等といった複数の蓄電セルを有し、モータジェネレータ11に高電圧の電力を供給する。また、高出力型バッテリES−Pも、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等といった複数の蓄電セルを有し、VCU101を介してモータジェネレータ11に高電圧の電力を供給する。高出力型バッテリES−Pは、VCU101を介して、PDU13に対して高容量型バッテリES−Eと並列に接続されている。また、一般的に、高出力型バッテリES−Pの電圧は、高容量型バッテリES−Eの電圧よりも低い。したがって、高出力型バッテリES−Pの電力は、VCU101によって高容量型バッテリES−Eの電圧と同レベルまで昇圧された後、PDU13を介してモータジェネレータ11に供給される。
【0034】
なお、高容量型バッテリES−Eや高出力型バッテリES−Pは、前述したニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池に限定される訳ではない。例えば、蓄電可能容量は少ないものの、短時間に大量の電力を充放電可能なコンデンサやキャパシタを高出力型バッテリES−Pとして用いても構わない。
【0035】
また、高容量型バッテリES−Eの特性と高出力型バッテリES−Pの特性は互いに異なる。高容量型バッテリES−Eは、高出力型バッテリES−Pよりも、出力重量密度は低いが、エネルギー重量密度は高い。一方、高出力型バッテリES−Pは、高容量型バッテリES−Eよりも、エネルギー重量密度は低いが、出力重量密度は高い。このように、高容量型バッテリES−Eは、エネルギー重量密度の点で相対的に優れ、高出力型バッテリES−Pは、出力重量密度の点で相対的に優れる。なお、エネルギー重量密度とは、単位重量あたりの電力量(Wh/kg)であり、出力重量密度とは、単位重量あたりの電力(W/kg)である。したがって、エネルギー重量密度が優れている高容量型バッテリES−Eは、高容量を主目的とした蓄電器であり、出力重量密度が優れている高出力型バッテリES−Pは、高出力を主目的とした蓄電器である。
【0036】
このような高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの特性の違いは、例えば電極や活物質、電解質/液といった電池の構成要素の構造や材質等により定まる種々のパラメータに起因するものである。例えば、充放電可能な電気の総量を示すパラメータである蓄電可能容量は、高出力型バッテリES−Pより高容量型バッテリES−Eの方が優れる、一方、充放電に対する蓄電可能容量の劣化耐性を示すパラメータであるCレート特性や充放電に対する電気抵抗値を示すパラメータである内部抵抗(インピーダンス)は、高容量型バッテリES−Eより高出力型バッテリES−Pの方が優れる。
【0037】
VCU101は、高出力型バッテリES−Pの出力電圧を直流のまま昇圧する。また、VCU101は、電動車両の減速時にモータジェネレータ11が発電して直流に変換された電力を降圧する。さらに、VCU101は、高容量型バッテリES−Eの出力電圧を直流のまま降圧する。VCU101によって降圧された電力は、高出力型バッテリES−Pに充電される。なお、VCU101が出力する直流電力の電圧レベル又は電流レベルは、ECU117によって制御される。
【0038】
電流センサ103pは、高出力型バッテリES−Pの入出力電流Ipを検出する。電流センサ103pが検出した入出力電流Ipを示す信号はECU117に送られる。電流センサ103eは、高容量型バッテリES−Eの入出力電流Ieを検出する。電流センサ103eが検出した入出力電流Ieを示す信号はECU117に送られる。
【0039】
電圧センサ105pは、高出力型バッテリES−Pの電圧Vpを検出する。電圧センサ105pが検出した電圧Vpを示す信号はECU109に送られる。電圧センサ105eは、高容量型バッテリES−Eの電圧Veを検出する。なお、電圧センサ105eが検出した電圧Veは、高出力型バッテリES−Pの電圧VpをVCU101が昇圧した値に等しい。電圧センサ105eが検出した電圧Veを示す信号はECU109に送られる。
【0040】
スイッチ部107は、高容量型バッテリES−EからPDU13又はVCU101までの電流経路を断接するコンタクタMCeと、高出力型バッテリES−PからVCU101までの電流経路を断接するコンタクタMCpとを有する。各コンタクタMCe,MCpは、ECU109の制御によって開閉される。
【0041】
図2は、高容量型バッテリES−E、高出力型バッテリES−P、VCU101、PDU13及びモータジェネレータ11の関係を示す電気回路図である。図2に示すように、VCU101は、高出力型バッテリES−Pの出力電圧を入力電圧として、ハイサイドとローサイドから成る2つのスイッチング素子をオンオフ切換動作することによって、高出力型バッテリES−Pの電圧を昇圧して出力する。また、PDU13は、高容量型バッテリES−Eの出力電圧を入力電圧として6つのスイッチング素子をオンオフ切換動作することによって、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ11に出力する。
【0042】
ECU109が、PDU13の全てのスイッチング素子をオフ制御して、高容量型バッテリES−E及び高出力型バッテリES−Pをモータジェネレータ11から電気系統的に開放し、かつ、VCU101をスイッチング制御することによって、図3に示すように、高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−PがVCU101を介して互いに充放電可能な状態になる。
【0043】
ECU109は、PDU13及びVCU101の制御、並びに、スイッチ部107の開閉制御を行う。また、ECU109は、特性の異なる高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの各々の特性を活かすよう、VCU101を用いた電力分配制御を行う。この電力分配制御を行えば、高容量型バッテリES−Eは、電動車両の加速走行時に一定の電力をモータジェネレータ11に電力を供給するよう用いられ、高出力型バッテリES−Pは、電動車両の走行のために大きな駆動力が必要なときに、モータジェネレータ11に電力を供給するよう用いられる。また、電動車両の減速走行時には、ECU109は、モータジェネレータ11が発電した回生電力によって、高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの少なくともいずれか一方を充電する。当該電力分配制御が行われる電動車両の停車時には、上記説明したVCU101を介した高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの間の充放電が可能である。
【0044】
さらに、ECU109は、上記説明したVCU101を介した高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの間の充放電時に電流センサ103e,103pが検出した各入出力電流及び電圧センサ105e,105pが検出した各電圧に基づき、電流センサ103e,103pの補正の要否を判断し、当該補正が必要な場合は電流センサ103e,103pの検出値を補正する。以下、ECU109が電流センサ103e,103pを補正する際の処理について、図4及び図5を参照して詳細に説明する。図4は、ECU109が電流センサ103e,103pを補正する際の処理の流れを示すフローチャートである。図5は、図4に示すステップS103,S107で行われるサブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
図4に示すように、ECU109は、PDU13の全てのスイッチング素子をオフ制御して、高容量型バッテリES−Eから高出力型バッテリES−Pへの電力供給による充放電を行うようVCU101を制御する(ステップS101)。次に、ECU109は、電流センサ103e,103pの各検出値及び電圧センサ105e,105pの各検出値を取得する(ステップS103)。次に、ECU109は、PDU13の全てのスイッチング素子をオフ制御したまま、高出力型バッテリES−Pから高容量型バッテリES−Eへの電力供給による充放電を行うよう、すなわち、充放電電流がステップS101とは逆向きに流れるようVCU101を制御する(ステップS105)。次に、ECU109は、充放電電流がステップS101とは逆向きに流れるときの電流センサ103e,103pの各検出値及び電圧センサ105e,105pの各検出値を取得する(ステップS107)。
【0046】
なお、図4に示すステップS103,S107で行われるサブルーチンでは、図5に示すように、ECU109は、高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの間の電流経路を構成する充放電回路内にLC回路が含まれるか否かを判断し(ステップS201)、LC回路が含まれる場合はステップS203に進み、LC回路が含まれない場合はステップS205に進む。本実施形態では、図1及び図2に示すように、充放電回路内にVCU101が含まれるため、LC回路が含まれると判断する。ECU109は、ステップS203においてバッテリ間の充放電の開始から所定時間が経過するまで待機した後、電流センサ103e,103pの各検出値及び電圧センサ105e,105pの各検出値を取得する(ステップS205)。なお、ステップS203においてECU109が待機する所定時間は、充放電回路内に含まれるLC回路の誘導成分(インダクタンス)に基づいて決定される。当該所定時間は、LC回路のインダクタンスが大きいほど長く設定される。
【0047】
以下、充放電回路内にLC回路が含まれる場合(ステップS201でYES)に、ステップS205で電流センサ103e,103pの各検出値及び電圧センサ105e,105pの各検出値を取得するにあたり、ステップS203を行う理由、すなわち、バッテリ間の充放電の開始から所定時間が経過するまで待機する理由について詳述する。
【0048】
前述したように、電気回路における2点間で昇降圧を伴う場合、2点間に設けられた電流センサの検出値は、昇降圧比に基づく相関関係を有することが知られている。本発明ではこの相関関係を利用して、2点間に設けられた電流センサの補正を行うが、昇降圧を行うDC−DCコンバータなどにはLC回路が含まれるため、誘導電流の影響により、一般に充放電の開始後の充放電電流と所定時間との関係は、図6のようになる。従って、所定時間が経過して電流センサの検出値(充放電電流値)が飽和した後でないと、正確に電流センサの補正の要否判断および補正を行えない。なお、この電流センサの検出値が飽和するまでに要する時間は、LC回路のインダクタンス値とキャパシタンス値より定まる時定数τに依存するため、LC回路のインダクタンス値やキャパシタンス、時定数のいずれかに基づいて所定時間を設定することで、適切に電流センサの補正の要否判断および補正を行える。
【0049】
ステップS205を行った後、ECU109は、充放電回路内に昇降圧器が含まれるか否かを判断し(ステップS207)、昇降圧器が含まれる場合はステップS209に進み、昇降圧器が含まれない場合は図4のメインルーチンに戻る。ステップS209では、ECU109は、ステップS205で取得した検出値を昇降圧比に基づき修正した後、図4のメインルーチンに戻る。本実施形態では、図1及び図2に示すように、充放電回路内にVCU101が含まれるため、高容量型バッテリES−Eから高出力型バッテリES−Pへの充放電時には、ECU109は、電流センサ103pの検出値に降圧比を乗算する。また、高出力型バッテリES−Pから高容量型バッテリES−Eへの充放電時には、ECU109は、電流センサ103pの検出値に昇圧比の逆数を乗算する。
【0050】
次に、ECU109は、ステップS103及びステップS107で取得し、場合によっては修正した各検出値を用いて、図7に示すバッテリ間充放電時の各電流センサの電圧−電流特性を導出する(ステップS109)。図7に示す例では、電流センサ103eの電圧−電流特性が「Ve=aIe+b」と表され、電流センサ103pの電圧−電流特性が「Ve=cIe+d」と表される。
【0051】
次に、ECU109は、ステップS109で導出した電圧−電流特性を表す2本の直線の傾きの平均値(a+c)/2と一方の傾きaとの差分の絶対値(|(a+c)/2−a|)がしきい値th1を超えるか否かを判別することによって電流センサ103e,103pの補正を行うか否かを判断する(ステップS111)。ステップS111において、「|(a+c)/2−a|>th1」であればECU109は電流センサ103e,103pの補正を行うと判断してステップS113に進み、「|(a+c)/2−a|≦th1」であればECU109は当該補正を行わないと判断して一連の処理を終了する。
【0052】
ステップS113では、ECU109は、バッテリ間充放電時の高容量型バッテリES−Eの電圧−電流特性を示す2本の直線の傾きa,cが、これら2つの傾きの平均値(a+c)/2となるよう電流センサ103e,103pを補正することで、当該電流センサ103e,103pの検出値に含まれる図10に示したゲイン誤差を補正し、かつ、2本の直線の切片b,dが、これら2つの切片の平均値(b+d)/2となるよう電流センサ103e,103pを補正することで、当該電流センサ103e,103pの検出値に含まれる図10に示したオフセット誤差を補正する。
【0053】
ステップS113で上記補正を行うことによって、電流センサ103e,103pそれぞれに含まれるゲイン誤差とオフセット誤差を均等化できるため、電流センサ103e,103pの全体に含まれる誤差の期待値を低減できる。なお、バッテリ間充放電に昇降圧を伴わない場合は、電流センサ103e,103pの検出する電流値は略同一となり、一方、昇降圧を伴う場合は、電流センサ103e,103pの検出する電流値は昇降圧比に基づく相間関係を有するようになる。従って、電流センサ103e,103pの検出する電流値を用いた制御の精度を向上できる。
【0054】
なお、ステップS111では、ステップS109で導出した電圧−電流特性を表す2本の直線の傾きに基づき電流センサ103e,103pの補正の要否を判断しているが、当該2本の直線の切片に基づき当該補正の要否を判断しても良い。この場合、ECU109は、電圧−電流特性を表す2本の直線の切片の平均値(b+d)/2と一方の傾きbとの差分の絶対値(|(b+d)/2−b|)がしきい値th2を超えるか否かを判別することによって電流センサ103e,103pの補正を行うか否かを判断し、「|(b+d)/2−b|>th2」であれば当該補正を行うと判断し、「|(b+d)/2−b|≦th2」であれば当該補正を行わないと判断する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一の電気回路に設けられた電流センサ103e,103pの全体に含まれる誤差に対する補正の要否を、負荷の状態に左右されない高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの間の充放電時における、電流センサ103e,103pの検出値及び電圧センサ105e,105pの検出値に基づく各電流センサの電圧−電流特性を表す成分の差分に基づき、精度良く判断できる。なお、バッテリ間充放電に昇降圧を伴わない場合は、電流センサ103e,103pの検出する電流値は略同一となり、一方、昇降圧を伴う場合は、電流センサ103e,103pの検出する電流値は昇降圧比に基づく相間関係を有するようになる。また、高容量型バッテリES−Eから高出力型バッテリES−Pへの充放電時の検出値、並びに、高出力型バッテリES−Pから高容量型バッテリES−Eへの充放電時の検出値が利用される。このため、電流センサ103e,103pの補正が必要と判断された場合には、当該補正を行うことによって検出値に含まれるオフセット誤差とゲイン誤差をまとめて均等にして、電流センサ103e,103pの全体に含まれる誤差の期待値を充分に低減できる。
【0056】
また、高容量型バッテリES−Eと高出力型バッテリES−Pの間の充放電回路に誘導成分を含む回路が含まれる場合、電流センサ103e,103pの検出値及び電圧センサ105e,105pの検出値としては、充放電の開始から所定時間経過後の誘導成分による影響が収まった後の値が用いられるため、電流センサ103e,103pの全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断の精度を向上できる。また、充放電回路にVCU101が含まれる場合であっても、検出値がVCU101の昇降圧比に基づき修正されるため、電圧−電流特性を表す2本の直線の傾き及び切片の比較に基づき、電流センサ103e,103pの全体に含まれる誤差に対する補正の要否判断を精度良くできる。
【0057】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記説明した電動車両は、1MOT型のEV(Electrical Vehicle)であるが、複数のモータジェネレータを搭載したEVであっても、少なくとも1つのモータジェネレータと共に内燃機関を搭載したHEV(Hybrid Electrical Vehicle)又はPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)であっても良い。
【0058】
本実施形態のVCU101は、高出力型バッテリES−Pの電圧Vpを昇圧するが、高容量型バッテリES−Eの電圧Veが高出力型バッテリES−Pの電圧Vpよりも低い場合、高出力型バッテリES−Pの電圧Vpを降圧するVCUが用いられる。また、双方向に昇降圧が可能なVCUを用いても良い。また、図8に示すように、高容量型バッテリES−E側にもVCU201を設けても良い。2つのVCUを設けることで、モータジェネレータ11及びPDU13に印加される電圧が高容量型バッテリES−Eに束縛されないため、効率が向上する。なお、図8のような2つのVCU101,201を有する構成であったとしても、いずれか一方のみのVCUで定電流制御は実行可能である。
【0059】
なお、図4に示したフローチャートにおいては、先に高容量型バッテリES−Eから高出力型バッテリES−Pへ放電(ステップS101)し、後に高出力型バッテリES−Pから高容量型バッテリES−Eに放電(ステップS105)しているが、この順番を逆にして、先に高出力型バッテリES−Pから高容量型バッテリES−Eへ放電し、後に高容量型バッテリES−Eから高出力型バッテリES−Pに放電しても良い。特に、高出力型バッテリES−Pは自身のSOCに応じて容量維持率に対する劣化影響度が大きくなるため、先に高出力型バッテリES−Pが放電を行うことで、高出力型バッテリES−Pの劣化影響度が閾値以上に大きくなる場合は、先に高出力型バッテリES−Pが充電を行うことが好ましい。同様に、先に高出力型バッテリES−Pが充電を行うことで、高出力型バッテリES−Pの劣化影響度が閾値以上に大きくなる場合は、先に高出力型バッテリES−Pが放電を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0060】
11 モータジェネレータ
13 PDU
100 蓄電装置
101 VCU
103e,103p 電流センサ
105p,105e 電圧センサ
107 スイッチ部
109 ECU
111e,111p 蓄電モジュール
ES−E 高容量型バッテリ
ES−P 高出力型バッテリ
MCe,MCp コンタクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10