(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機器筐体に対してヒンジ機構を介して回動可能に連結され、前記機器筐体に沿った収納位置と前記機器筐体から突出した起立位置とに回動可能なスタンドを備え、前記スタンドを前記起立位置に設定することで前記機器筐体を起立姿勢に保持可能な電子機器であって、
前記ヒンジ機構は、
軸方向一端側が前記スタンドに対して回転不能に連結されたスタンド連結軸と、
軸方向一端側が前記スタンド連結軸の軸方向他端側に連結されると共に軸方向他端側が前記機器筐体に連結され、操作スイッチが操作された場合に前記スタンド連結軸を所定角度相対回転させることで前記スタンドを前記機器筐体に対して所定角度回動させるものであって、前記スタンド連結軸を所定角度相対回転させた後は該スタンド連結軸と回転不能な連結状態となる中間筒部と、
前記機器筐体に対して固定され、所定の回転トルクを介して前記中間筒部の軸方向他端側と回転可能に連結される筐体固定部と、
を備え、前記操作スイッチの操作によって前記スタンドが前記機器筐体に対して所定角度回動した後は、前記中間筒部と前記筐体固定部との間の前記回転トルクが、前記中間筒部と回転不能な連結状態にある前記スタンド連結軸を介して前記スタンドの回動動作に作用することを特徴とする電子機器。
機器筐体に対してヒンジ機構を介して回動可能に連結され、前記機器筐体に沿った収納位置と前記機器筐体から突出した起立位置とに回動可能なスタンドを備え、前記スタンドを前記起立位置に設定することで前記機器筐体を起立姿勢に保持可能な電子機器であって、
前記ヒンジ機構は、
軸方向一端側が前記スタンドに対して回転不能に連結されたスタンド連結軸と、
軸方向一端側が前記スタンド連結軸の軸方向他端側に連結されると共に軸方向他端側が前記機器筐体に連結され、操作スイッチが操作された場合に前記スタンド連結軸を所定角度相対回転させることで前記スタンドを前記機器筐体に対して所定角度回動させる中間筒部と、
を備え、
前記スタンド連結軸は、軸方向他端側の外周面に係合羽根が突設され、前記軸方向一端側が前記スタンドに対して回転不能且つ軸方向に移動可能に連結されると共に、弾性部材によって軸方向他端側に向かって付勢され、
前記中間筒部は、前記スタンド連結軸の軸方向他端部が挿入される軸挿入穴が軸中心に沿って設けられ、軸方向他端側の外周面には前記軸挿入穴と連通した係合溝が周方向に複数並んで設けられると共に、該係合溝は前記スタンド連結軸の係合羽根を軸方向に向かって係脱可能であり、
前記操作スイッチは、前記係合溝に係合した状態で該係合溝を通って前記中間筒部の外径方向に突出した前記係合羽根の端面に当接可能に設けられると共に、前記機器筐体の外面に露出した操作部がスライド操作された場合に前記係合羽根を押圧することで前記スタンド連結軸を軸方向一方側に移動させるものであり、
前記ヒンジ機構では、前記操作スイッチの操作部がスライド操作された場合に、前記スタンド連結軸が前記弾性部材の付勢力に抗して軸方向一方側へと移動することで前記係合羽根が前記係合溝から離脱すると共に前記中間筒部に対して相対回転し、前記係合羽根が前記離脱した係合溝と隣接する別の係合溝に係合することを特徴とする電子機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成では、スタンドを電子機器の背面に回動可能に支持するヒンジには所定の回転トルクが付与されている。そこで、電子機器の背面に沿って収納された状態にあるスタンドを使用する際、使用者はスタンドの端部を指先や爪で引っ掛けてヒンジの回転トルクより大きな力を持って背面から引き起こす必要がある。このため、スタンドを使用する際には電子機器の背面を見ながらスタンドを起こすと共に、その回転トルクより大きな力で所望の角度位置まで開く必要があり、手間がかかる。また、例えば指の太い使用者や爪の短い使用者の場合はスタンドを容易に且つ円滑に起こすことができない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、容易に且つ円滑にスタンドを使用することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、機器筐体に対してヒンジ機構を介して回動可能に連結され、前記機器筐体に沿った収納位置と前記機器筐体から突出した起立位置とに回動可能なスタンドを備え、前記スタンドを前記起立位置に設定することで前記機器筐体を起立姿勢に保持可能な電子機器であって、前記ヒンジ機構は、軸方向一端側が前記スタンドに対して回転不能に連結されたスタンド連結軸と、軸方向一端側が前記スタンド連結軸の軸方向他端側に連結されると共に軸方向他端側が前記機器筐体に連結され、操作スイッチが操作された場合に前記スタンド連結軸を所定角度相対回転させることで前記スタンドを前記機器筐体に対して所定角度回動させる中間筒部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、スタンドを収納位置から起立位置に回動させる際には、操作スイッチを操作してスタンド連結軸を所定角度回転させる。そうするとスタンドがスタンド連結軸と同じ回転角度開き動作する。このため、この回転角度を例えば60度〜90度程度に設定しておくことで、スタンドを容易に且つ円滑に起立位置に回動させ、電子機器を起立姿勢に保持することができる。
【0009】
前記機器筐体に対して固定され、前記中間筒部の軸方向他端側が回転可能に連結される筐体固定部を備え、前記中間筒部と前記筐体固定部との間には所定の回転トルクが付与された構成であってもよい。そうすると、操作スイッチの操作によって所定角度回動させたスタンドを手動によって所望の開き角度まで円滑に回動させることができる。しかも、収納位置や起立位置にある状態のスタンドが人手等によって無理に回動させられそうになった場合であっても、スタンドに対する外力が設定された回転トルクを超えた場合にはスタンドが回動する。このため、各連結部分に過大な負荷が加えられてこれらが破損することが防止される。
【0010】
前記スタンド連結軸は、軸方向他端側の外周面に係合羽根が突設され、前記軸方向一端側が前記スタンドに対して回転不能且つ軸方向に移動可能に連結されると共に、弾性部材によって軸方向他端側に向かって付勢され、前記中間筒部は、前記スタンド連結軸の軸方向他端部が挿入される軸挿入穴が軸中心に沿って設けられ、軸方向他端側の外周面には前記軸挿入穴と連通した係合溝が周方向に複数並んで設けられると共に、該係合溝は前記スタンド連結軸の係合羽根を軸方向に向かって係脱可能であり、前記操作スイッチは、前記係合溝に係合した状態で該係合溝を通って前記中間筒部の外径方向に突出した前記係合羽根の端面に当接可能に設けられると共に、前記機器筐体の外面に露出した操作部がスライド操作された場合に前記係合羽根を押圧することで前記スタンド連結軸を軸方向一方側に移動させるものであり、前記ヒンジ機構では、前記操作スイッチの操作部がスライド操作された場合に、前記スタンド連結軸が前記弾性部材の付勢力に抗して軸方向一方側へと移動することで前記係合羽根が前記係合溝から離脱すると共に前記中間筒部に対して相対回転し、前記係合羽根が前記離脱した係合溝と隣接する別の係合溝に係合する構成であってもよい。そうすると、機械的な押圧、連結構造を用いた簡素な構成で、スタンドの自動的な開き動作を実現することができる。
【0011】
前記操作スイッチの前記係合羽根に対する当接面には、該当接面が前記係合羽根を押圧した場合に前記係合羽根と摺接して前記スタンド連結軸を回転させ、これにより前記スタンドを前記収納位置から前記起立位置に向かう開き方向に回動させるスイッチ傾斜面が設けられ、前記中間筒部の隣接する係合溝間の端面には、該端面に前記係合羽根が摺接した場合に前記スタンド連結軸を回転させ、これにより前記スタンドを前記開き方向に回動させる溝間傾斜面が設けられ、前記ヒンジ機構は、前記操作スイッチの操作部がスライド操作された場合に、前記係合溝から離脱した前記係合羽根が前記スイッチ傾斜面から前記溝間傾斜面へと連続的に摺接して前記別の係合溝に係合することで、前記スタンド連結軸が前記離脱した係合溝と前記別の係合溝との間に設けられた角度差の分だけ前記中間筒部に対して相対回転し、これにより前記スタンドが前記機器筐体に対して開き方向に回動する構成であってもよい。そうすると、機械的な押圧、連結構造を用いた簡素な構成で、スタンドを所望の角度だけ自動的に開き動作させることができる。
【0012】
前記係合羽根は、前記スタンド連結軸の軸方向他端側の外周面に周方向に複数並んで設けられると共に、該係合羽根の周方向での設置角度が前記中間筒部の外周面での前記係合溝の設置角度と一致しており、前記スタンドが収納位置にある状態で、1枚の係合羽根のみが前記係合溝から前記中間筒部の外径方向に突出して前記操作スイッチのスイッチ傾斜面と当接可能な高さ寸法を有する一方、他の係合羽根は前記係合溝と係合した状態で前記操作スイッチと当接しない高さ寸法を有する構成であってもよい。そうすると、操作スイッチによってスタンド連結軸を回転させる際、該操作スイッチで押圧している係合羽根以外の係合羽根が操作スイッチに干渉することがなく、円滑な回転動作が可能となる。また、例えばスタンドが起立位置にある状態で操作スイッチが操作された場合であってもスタンドが自動的に開き方向に回動することが防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スタンドを収納位置から起立位置に回動させる際には、操作スイッチを操作してスタンド連結軸を所定角度回転させる。そうするとスタンドがスタンド連結軸と同じ回転角度開き動作する。このため、この回転角度を例えば60度〜90度程度に設定しておくことで、スタンドを容易に且つ円滑に起立位置に回動させ、電子機器を起立姿勢に保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10を正面側から見た斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10の構成図であり、
図2(A)は、背面図、
図2(B)は、底面図である。
【0017】
本実施形態に係る電子機器10は、機器筐体12の背面12aに回動可能なスタンド14を備え、机等の上で起立姿勢に保持可能なタブレット型PCである。本発明は、タブレット型PCやスマートフォン、電子手帳等の携帯用情報機器の他、ディスプレイ装置や端末装置等、各種電子機器に利用可能である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、電子機器10は、機器筐体12の表面12bにタッチパネル式の液晶表示部からなるディスプレイ16を備える。機器筐体12は、背面12a側の樹脂製カバー部材と、表面12b側の樹脂製カバー部材とで薄い箱状に形成されている。機器筐体12の内部には、図示しない基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。以下では、
図1に示すように電子機器10のディスプレイ16を正面側から視認する使用者から見た方向で、幅方向左側を左側(一端側)、幅方向右側を右側(他端側)と呼んで説明する。
【0019】
本実施形態の場合、電子機器10の底部は左右方向に延在した円筒形状を有する。この円筒形状のうち、左右両端部を構成する左筒底部17L及び右筒底部17Rの底面が機器筐体12の底面12cとなる。これら左筒底部17Lと右筒底部17Rとの間となる部分にスタンド14が取り付けられている。
【0020】
スタンド14は、樹脂製の矩形薄板状部材であるスタンド板14aと、樹脂製の円筒形状に形成され、スタンド板14aを機器筐体12に対して回動可能に連結するための回動基部14bとを有する。回動基部14bは、左筒底部17Lと右筒底部17Rとの間に配置されると共に、これら左筒底部17L及び右筒底部17Rに対してヒンジ機構18L,18Rを介して回動可能に配設されている。これにより、スタンド14は機器筐体12に対してヒンジ機構18L,18Rを介して回動可能に連結されている。
【0021】
回動基部14bは左筒底部17L及び右筒底部17Rと略同一の外形形状を有し、これら左筒底部17L及び右筒底部17Rと共に電子機器10の底部として一体的な円筒形状の意匠を構成する。スタンド板14aは、不使用時には機器筐体12の背面12aに形成された矩形状の凹部19に収納しておくことができる(
図2(A)参照)。
【0022】
すなわちスタンド14は、凹部19に収納されて機器筐体12の背面12aに沿って略面一に形成される収納位置(
図2(A)参照)と、ヒンジ機構18L,18Rを介してスタンド板14aを背面12aから離間させる方向に回動させた起立位置とに回動可能である。スタンド14は、起立位置においてスタンド板14aが背面12aから大きく突出した状態となる。電子機器10は、この突出したスタンド板14aの先端部と機器筐体12の底面12cとを机等の上に着地させることで起立姿勢に保持することができる。
【0023】
本実施形態の場合、収納位置にあるスタンド14を所定の角度位置(例えば、60度位置)まで自動的に開き動作させる自動開動作装置20を一方のヒンジ機構18Rに設けている。
【0024】
そこで、次にヒンジ機構18Rの構成及び動作を説明する。
【0025】
図3は、一方のヒンジ機構18Rを上方から見た斜視図であり、
図4は、
図3に示すヒンジ機構18Rを下方から見た斜視図である。
【0026】
図3及び
図4に示すように、ヒンジ機構18Rは、スタンド連結軸22と、中間筒部24と、筐体固定部26と、操作スイッチ28とを有する自動開動作装置20を備える。これらスタンド連結軸22と中間筒部24と筐体固定部26とは、スタンド14の回動基部14b側から機器筐体12の右筒底部17Rに向かう軸線方向に沿って順に並んで配置されている。
【0027】
スタンド連結軸22は、スタンド14の回動基部14bの軸心に沿って設けられた細径棒状の連結軸部22aと、連結軸部22aの一方側(左側)の外周面に設けられたセレーション部22bと、連結軸部22aの他方側(右側)に設けられた歯車部22cとを有する。セレーション部22bを含む連結軸部22aの大部分はスタンド14の回動基部14bの内部に配設され、連結軸部22aの右端側及び歯車部22cは機器筐体12の右筒底部17Rの内部に配設されている。
【0028】
セレーション部22bは、連結軸部22aの外周面に周方向に複数並んで形成されて軸方向に延びた凸部である。セレーション部22bは、スタンド14の回動基部14bに設けられた軸方向の孔部に挿通される。この孔部の内周面には、周方向に複数並んで軸方向に延びた連結凹部30が形成されており、セレーション部22bは連結凹部30に対して軸方向に移動可能な状態で噛合している。これによりセレーション部22bと連結凹部30とはセレーション或いはスプラインと呼ばれる嵌合構造で連結され、スタンド連結軸22はスタンド14に対して回転不能且つ軸方向に移動可能に支持されている。
【0029】
スタンド連結軸22の軸方向左端部(一端部)、つまり連結軸部22aのセレーション部22bよりも左側となる位置には、フランジ22dを介してコイルばね(弾性部材)31が外挿されている。コイルばね31は、その一端が回動基部14bに支持され、その他端がフランジ22dに支持されている。これによりスタンド連結軸22は、コイルばね31によって軸方向右側(他方側)に付勢されている。
【0030】
歯車部22cは、連結軸部22aの右端部を拡径し、その外周面に周方向に複数並んで形成されて軸方向に延びた係合羽根32を突設したものである。本実施形態の場合、係合羽根32は歯車部22cの周方向に等間隔となる60度刻みで6枚設けられている。6枚の係合羽根32のうち、
図3に示すようにスタンド14が収納位置にある状態で下方を向いた係合羽根32aは、他の5枚の係合羽根32bよりも大きな突出高さを有し、操作スイッチ28の左側に対向配置されている。各係合羽根32の右側端面には傾斜面32cが設けられている(
図6を参照)。傾斜面32cは、軸方向右側に向かって次第にスタンド14の開き方向(電子機器12の背面12a側)へと傾斜した形状である。
【0031】
中間筒部24は、機器筐体12の右筒底部17Rの内部に回転可能に設けられている。中間筒部24は、その軸中心に沿って設けられ、スタンド連結軸22の歯車部22cが挿入される軸挿入穴24aと、軸方向左側の外周面に軸挿入穴24aと連通するように周方向に複数並んで形成された係合溝24bと、中間軸部24cとを有する。
【0032】
係合溝24bは、中間筒部24の左端面に開口して軸方向に延びた溝部である。本実施形態の場合、係合溝24bは中間筒部24の周方向に等間隔となる60度刻みで6個設けられている。換言すれば、中間筒部24は、中間軸部24cの外周面に周方向に沿って6枚の外周板24dを等間隔に設け、各外周板24d間の隙間を係合溝24bとし、各外周板24dの内周を軸挿入穴24aとしたものである。各外周板24dの左端面には溝間傾斜面34が設けられている。溝間傾斜面34は、軸方向右側に向かって次第にスタンド14の開き方向(電子機器12の背面12a側)へと傾斜した形状であり、係合羽根32の傾斜面32cと同一の傾斜方向に設定されている。各係合溝24bには、軸挿入穴24aに挿入されたスタンド連結軸22の歯車部22cの各係合羽根32が軸方向に挿抜可能に係合される。
【0033】
中間軸部24cは、各外周板24dを支持する筒状部分であって、その右端面には連結軸36が突設されている(
図6参照)。連結軸36は、筐体固定部26の軸孔26aに対して回転可能に嵌挿されている。連結軸36と軸孔26aとの間には所定の回転トルクが付与されている。
【0034】
筐体固定部26は、その左端面に開口した軸孔26aを有する筒体を有し、この筒体の外周面に機器筐体12に対する取付板26bが突設されている。これにより、筐体固定部26は右筒底部17Rの内部で機器筐体12に対して固定されている。軸孔26aは、上記のように中間筒部24の連結軸36を所定の回転トルクを介して回転可能に支承する軸受部である。
【0035】
操作スイッチ28は、ヒンジ機構18Rの自動開動作装置20を動作させるためのスイッチである。操作スイッチ28は、機器筐体12の右筒底部17Rに設けられ、中間筒部24から筐体固定部26に亘る部分の下方に左右方向にスライド可能に設けられている。操作スイッチ28は、直方体状のブロック形状であり、その下面に操作部28aが突設されている。操作部28aは、機器筐体12の底面12cに形成された開口から機器筐体12の外面に露出している(
図2(B)参照)。
【0036】
操作スイッチ28の上面側にはコイルばね38が設けられている(
図6も参照)。コイルばね38は、その一端が機器筐体12に支持され、その他端が操作スイッチ28に支持されている。これにより操作スイッチ28は、コイルばね38によってスタンド連結軸22から離間する方向(右側)に付勢されている。
【0037】
操作スイッチ28の左端面には略三角形状の切欠部が形成されると共に、該切欠部の端面はスイッチ傾斜面28bを成している(
図6も参照)。スイッチ傾斜面28bは、軸方向右側に向かって次第にスタンド14の開き方向(電子機器12の背面12a側)へと傾斜した形状であり、上記した傾斜面32c及び溝間傾斜面34と同一の傾斜方向に設定されている。
【0038】
なお、他方のヒンジ機構18Lは、例えばスタンド14の回動基部14bに固定された軸棒を筐体固定部26に対して回転自由に支承させ、スタンド14を機器筐体12に対して回動自由に連結した構成とすればよい。また、この際、スタンド14側の軸棒と筐体固定部26との間に、一方のヒンジ機構18Rの自動開動作装置20による一定角度のスタンド14の回動に要する回転力よりも小さい回転トルクを付与してもよい。勿論、ヒンジ機構18Lを自動開動作装置20を設けたヒンジ機構18Rと同一構造とし、両ヒンジ機構18L,18Rにそれぞれ操作スイッチ28を設け、或いは共通の操作スイッチ28を設けてもよい。
【0039】
次に、電子機器10のスタンド14を使用する動作を説明する。
【0040】
図5は、スタンド14の回動動作を模式的に示す側面断面図であり、
図5(A)は、スタンド14が収納位置にある状態を示す図であり、
図5(B)は、操作スイッチ28が操作され、自動開動作装置20によってスタンド14が所定角度まで開き動作した状態を示す図であり、
図5(C)は、スタンド14が起立位置にある状態を示す図である。また、
図6〜
図11は、ヒンジ機構18Rに設けた自動開動作装置20の動作を示す動作図であり、ヒンジ機構18Rを機器筐体12の底面12c側から見た構成図である。
【0041】
先ず、
図5(A)に示すようにスタンド14が収納位置にある状態では、
図6に示すようにスタンド連結軸22がコイルばね31の付勢力によって右側に移動した位置にある。この状態では、中間筒部24の軸挿入穴24aにスタンド連結軸22の歯車部22cが挿入され、各係合溝24bに各係合羽根32が係合している。また、コイルばね38の付勢力によって右側に退動した初期位置(オフ)に位置している操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28bと重なる係合溝24bには、突出高さの大きな係合羽根32aが係合している(
図3及び
図4も参照)。
【0042】
従って、各係合羽根32が各係合溝24bに係合しているため、スタンド連結軸22は中間筒部24に対して回転不能な状態で連結されている。この際、スタンド連結軸22はセレーション部22bを介してスタンド14と回転不能に連結されているため、スタンド14も中間筒部24に対して回転不能な状態で連結されていることになる。また、中間筒部24の連結軸36と機器筐体12側に固定された筐体固定部26の軸孔26aとの間には所定の回転トルクが付与されている。その結果、スタンド14は、がたつきなく安定した状態で収納位置に保持されている。
【0043】
なお、この収納位置でスタンド14を人手等によって無理に回動させようとした場合であっても、ある程度の外力では中間筒部24と筐体固定部26との間での回転トルクによってスタンド14が開くことはない。しかしながら、スタンド14に対する外力が中間筒部24と筐体固定部26との間での回転トルクを超えた場合にはスタンド14が起立位置に向かって開き動作することになる。このため、スタンド14とスタンド連結軸22との連結部分やスタンド連結軸22と中間筒部24との連結部分に過大な負荷が加えられてこれらが破損することが防止される。
【0044】
次に、収納位置にあるスタンド14を起立位置に回動させる際は、指先等によって操作部28aを押圧し、操作スイッチ28をコイルばね38の付勢力に抗して左側にスライド操作(オン)する。そうすると、
図7に示すように、左側にスライドした操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28bがスタンド連結軸22の係合羽根32aに当接し、コイルばね31の付勢力に抗してスタンド連結軸22を軸方向左側へと押圧して移動させる。
【0045】
図8に示すようにスタンド連結軸22が軸方向左側に移動した結果、操作スイッチ28によって押圧された係合羽根32a及び他の係合羽根32bが中間筒部24の各係合溝24bから離脱すると、スタンド連結軸22が回転自由な状態となる。このため、コイルばね31によって軸方向右側に付勢されているスタンド連結軸22は、係合羽根32aの傾斜面32cが操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28bに摺接しつつ、スイッチ傾斜面28bに沿って軸周りに若干回転する。このため、スタンド連結軸22と回転不能に連結されたスタンド14もスタンド連結軸22と共に若干回動する。つまり、
図8に示すスイッチ傾斜面28bによる係合羽根32の摺接方向は、スタンド14を収納位置から起立位置に向かう開き方向に回動させる方向に設定されている。
【0046】
続いて、
図9に示すように操作スイッチ28に対する押圧力を解除する。そうすると、操作スイッチ28はコイルばね38の付勢力によって右側にスライドして元の初期位置に戻る。その結果、操作スイッチ28による押圧力が開放されたスタンド連結軸22も再びコイルばね31の付勢力によって係合羽根32が係合溝24bに係合する軸方向右側に移動しようとする。ところが、スタンド連結軸22は上記したようにスイッチ傾斜面28bとの摺接作用下に若干回転している。このため、操作スイッチ28に対する押圧力を解除した際には、各係合羽根32が各係合溝24bに対して位置ずれしており、その傾斜面32cが各係合溝24b,24b間の外周板24dの溝間傾斜面34に対向した位置にある。
【0047】
従って、
図10に示すように、操作スイッチ28による押圧力が解除されたスタンド連結軸22は、コイルばね31の付勢力によって軸方向右側に移動し、今度は各係合羽根32の傾斜面32cが各外周板24dの溝間傾斜面34に摺接しつつ、スイッチ傾斜面28bに沿って軸周りに回転する。同時にスタンド14もスタンド連結軸22と共にさらに開き方向に回動する。
【0048】
最終的には、
図11に示すように、各係合羽根32が
図6に示す初期位置で係合していた各係合溝24bの隣りにある係合溝24bにそれぞれ係合し、スタンド連結軸22の回転が停止する。例えば、操作スイッチ28で押圧された係合羽根32aは、
図6に示す初期位置で係合していた係合溝24bの隣に設けられた係合溝24bに係合する。このため、スタンド連結軸22は係合溝24bの設置角度(本実施形態では60度)回転し、同時にスタンド14も収納位置から60度回動して
図5(B)に示す開き位置となる。
【0049】
そこで、使用者は
図5(B)に示すように60度開かれたスタンド14を手で開き方向に回動させ、中間筒部24と筐体固定部26との間での回転トルクに抗して所望の開き角度まで回動させる。これにより、スタンド14が
図5(C)に示す所望の起立位置に保持されるため、電子機器10を机面上等で所望の起立姿勢に自立させることができる。
【0050】
なお、このようにスタンド14で起立した状態の電子機器10が、例えば
図5(C)に示す起立角度よりもさらに寝た角度(
図5(C)中で機器筐体12が右側に倒れる方向)に向かって押圧された場合には、スタンド14とスタンド連結軸22との連結部分やスタンド連結軸22と中間筒部24との連結部分に過大な負荷が加えられる可能性がある。この点、当該電子機器10では、機器筐体12側と一体的に連結された筐体固定部26と、スタンド14側と一体的に連結されたスタンド連結軸22と連結された中間筒部24とを所定の回転トルクを介して回転可能に連結している。このため、起立した電子機器10に倒し方向の外力が加えられた場合であっても、筐体固定部26と中間筒部24との間に設定された回転トルクを超えた時点でスタンド14が閉じ方向に回動する。その結果、ヒンジ機構18Rの各連結部分に過大な負荷が加えられてこれらが破損することが防止される。
【0051】
一方、
図5(C)に示すように起立位置にあるスタンド14を収納位置へと収納する場合は、スタンド14を手で閉じ方向に回動させ、中間筒部24と筐体固定部26との間での回転トルクに抗して収納位置まで回動させればよい。そうすると、例えば
図11に示す状態にあるスタンド連結軸22が閉じ方向に回転するため、各係合羽根32に各係合溝24bが係合している中間筒部24も同時に回転する。なお、
図11に示す状態では、コイルばね38によって初期位置に戻っている操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28b側の端面と係合羽根32aの傾斜面32cとの間に軸方向の隙間が形成されているため、回転するスタンド連結軸22が操作スイッチ28に干渉することがない。そして、スタンド14が収納位置に戻った際には、係合羽根32aも再び
図6に示す操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28bと対向する初期位置に復帰するため、次回のスタンド14の開き動作も円滑に行うことが可能となる。
【0052】
なお、
図5(B)に示すスタンド14の開き角度で十分である場合は、その後の手動による開き動作は不要となる。換言すれば、係合羽根32及び係合溝24bの設置角度を適宜調整し、自動開動作装置20によるスタンド14の開き角度を所望の角度に設定しておけば、中間筒部24と筐体固定部26との間に回転トルクを付与せず、中間筒部24と筐体固定部26とを一体化した構成とすることもできる。但し、この構成の場合、スタンド14を閉じる際は、例えば操作スイッチ28とは別に、
図11に示すように隣の係合溝24bに移動している係合羽根32aを軸方向に押し戻してスタンド連結軸22の中間筒部24に対する相対回転を許容させるためのスイッチ等が必要となり、このスイッチを操作した状態でスタンド14を元に戻す必要がある。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10は、機器筐体12に対してヒンジ機構18L,18Rを介して回動可能に連結され、機器筐体12に沿った収納位置と機器筐体12から突出した起立位置とに回動可能なスタンド14を備え、スタンド14を起立位置に設定することで機器筐体12を起立姿勢に保持可能な構成である。そして、ヒンジ機構18Rは、軸方向一端側がスタンド14に対して回転不能に連結されたスタンド連結軸22と、軸方向一端側がスタンド連結軸22の軸方向他端側に連結されると共に軸方向他端側が機器筐体12に連結され、操作スイッチ28が操作された場合にスタンド連結軸22を所定角度相対回転させることでスタンド14を機器筐体12に対して所定角度回動させる中間筒部24とを備える。
【0054】
従って、スタンド14を収納位置から起立位置に回動させる際には、操作スイッチ28をスライド操作してスタンド連結軸22を所定角度回転させる。そうするとスタンド14がスタンド連結軸22と同じ回転角度開き動作する。このため、この回転角度を例えば60度〜90度程度に設定しておくことで、スタンド14を容易に且つ円滑に起立位置に回動させ、電子機器10を起立姿勢に保持することができる。
【0055】
当該電子機器10では、機器筐体12に対して固定され、中間筒部24の軸方向他端側が回転可能に連結される筐体固定部26を備え、中間筒部24と筐体固定部26との間には所定の回転トルクが付与されている。これにより、操作スイッチ28の操作によって所定角度回動させたスタンド14を手動によって所望の開き角度まで円滑に回動させることができる。しかも、収納位置や起立位置にあって中間筒部24とスタンド連結軸22とが回転不能な連結状態にあるスタンド14を人手等によって無理に回動させようとした場合であっても、スタンド14に対する外力が設定された回転トルクを超えた場合にはスタンド14が回動する。このため、各連結部分に過大な負荷が加えられてこれらが破損することが防止される。
【0056】
当該電子機器10では、スタンド連結軸22は、軸方向他端側の外周面に係合羽根32が突設され、軸方向一端側がスタンド14に対して回転不能且つ軸方向に移動可能に連結されると共に、コイルばね31によって軸方向他端側に向かって付勢されている。また、中間筒部24は、スタンド連結軸22の軸方向他端部が挿入される軸挿入穴24aが軸中心に沿って設けられ、軸方向他端側の外周面には軸挿入穴24aと連通した係合溝24bが周方向に複数並んで設けられると共に、係合溝24bはスタンド連結軸22の係合羽根32を軸方向に向かって係脱可能である。さらに、操作スイッチ28は、係合溝24bに係合した状態で係合溝24bを通って中間筒部24の外径方向に突出した係合羽根32aの端面に当接可能に設けられると共に、機器筐体12の外面に露出した操作部28aがスライド操作された場合に係合羽根32aを押圧することでスタンド連結軸22を軸方向一方側に移動させるものである。そして、ヒンジ機構18Rでは、操作スイッチ28の操作部28aがスライド操作された場合に、スタンド連結軸22がコイルばね31の付勢力に抗して軸方向一方側へと移動することで係合羽根32が係合溝24bから離脱すると共に中間筒部24に対して相対回転し、係合羽根32が離脱した係合溝24bと隣接する別の係合溝24bに係合する。これにより、機械的な押圧、連結構造を用いた簡素な構成で、スタンド14の自動的な開き動作を実現することができる。
【0057】
より具体的には、操作スイッチ28の係合羽根32aに対する当接面には、該当接面が係合羽根32aを押圧した場合に係合羽根32aと摺接してスタンド連結軸22を回転させ、これによりスタンド14を収納位置から起立位置に向かう開き方向に回動させるスイッチ傾斜面28bが設けられている。また、中間筒部24の隣接する係合溝24b,24b間の端面には、該端面に係合羽根32が摺接した場合にスタンド連結軸22を回転させ、これによりスタンド14を開き方向に回動させる溝間傾斜面34が設けられている。そして、ヒンジ機構18Rは、操作スイッチ28の操作部28aがスライド操作された場合に、係合溝24bから離脱した係合羽根32aがスイッチ傾斜面28bから溝間傾斜面34へと連続的に摺接し、同時に他の係合羽根32bが溝間傾斜面34に摺接し、各係合羽根32が別の係合溝24bに係合する。その結果、スタンド連結軸22が離脱した係合溝24bと別の係合溝24bとの間に設けられた角度差の分だけ中間筒部24に対して相対回転し、これによりスタンド14が機器筐体12に対して開き方向に同角度回動する。これにより、機械的な押圧、連結構造を用いた簡素な構成で、スタンド14を所望の角度だけ自動的に開き動作させることができる。
【0058】
当該電子機器10では、係合羽根32は、スタンド連結軸22の軸方向他端側の外周面に周方向に複数並んで設けられると共に、係合羽根32の周方向での設置角度が中間筒部24の外周面での係合溝24bの設置角度と一致しており、スタンド14が収納位置にある状態で、1枚の係合羽根32aのみが係合溝24bから中間筒部24の外径方向に突出して操作スイッチ28のスイッチ傾斜面28bと当接可能な高さ寸法を有する一方、他の係合羽根32bは係合溝24bと係合した状態で操作スイッチ28と当接しない高さ寸法を有する。これにより、操作スイッチ28によってスタンド連結軸22を回転させる際、該操作スイッチ28で押圧している係合羽根32a以外の係合羽根32bが操作スイッチ28に干渉することがなく、円滑な回転動作が可能となる。また、例えばスタンド14が起立位置にある状態で操作スイッチ28が操作された場合であってもスタンド14が自動的に開き方向に回動することが防止される。なお、全ての係合羽根32を係合羽根32aと同様に操作スイッチ28と当接可能な突出高さに構成してもよい。但し、この構成では、操作スイッチ28のスライド操作の都度、スタンド14が所定角度開き動作することになるため、ある程度以上スタンド14が開いた場合にスタンド連結軸22が回転しないためのストッパ等を設けるとよい。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0060】
例えば上記実施形態では、各係合羽根32と各係合溝24bとがそれぞれ等角度(60度刻み)で並設された構成を例示したが、この角度は等角度でなくてもよい。但し、この角度が等角度であると操作スイッチ28を操作した際のスタンド14の回動角度が毎回一定になるため、操作感が向上する。
【0061】
例えば上記実施形態では、機器筐体12の底面12c付近にヒンジ機構18L,18Rを配置した構成を例示したが、スタンド14の回動方向は他の方向であってもよい。例えばヒンジ機構18L,18Rを機器筐体12の中央付近に配置し、スタンド14を下方から上方に起こす回動方向に開閉する構成等であってもよい。