(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220954
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】回転式内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 53/00 20060101AFI20171016BHJP
F02B 53/04 20060101ALI20171016BHJP
F16H 1/14 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
F02B53/00 C
F02B53/00 D
F02B53/04 F
F16H1/14
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-233821(P2016-233821)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-187015(P2017-187015A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】RU2016113127
(32)【優先日】2016年4月6日
(33)【優先権主張国】RU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516361392
【氏名又は名称】ゲイダロフ・アスケル・アスケロヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】ゲイダロフ・アスケル・アスケロヴィッチ
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭38−013101(JP,B1)
【文献】
英国特許出願公告第00936283(GB,A)
【文献】
国際公開第2014/046005(WO,A1)
【文献】
米国特許第03208437(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0255507(US,A1)
【文献】
米国特許第03809022(US,A)
【文献】
西独国特許出願公開第02034300(DE,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00091975(EP,A1)
【文献】
特開昭56−034993(JP,A)
【文献】
特許第4919963(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0120407(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第04036768(DE,A1)
【文献】
特表2002−515959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 53/00−04
F01C 3/00−04
F16H 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式内燃機関であって、
本体を備え、
前記本体は、それぞれL字型フラグメントである4つの部品からなり、
前記4つの部品が接続されると、平面視で外面にリブ及び内側に環状溝を有する2つの互いに垂直なリング状壁を形成し、
前記壁は、2つのトーラス状の通路を形成し、
各前記通路は、前記溝に沿って移動できる2つのロータを内包し、
各前記ロータは、前記ロータと溝表面との間にキャビティを形成する、ロータの外側又は内側に位置する長手方向ノッチを有して作製され、
前記キャビティは、前記壁の外側に位置するチャンバに接続され、
吸気及び排気窓は、前記ロータと前記溝表面との間の前記キャビティに連通して前記壁に作製され、
前記ロータは、連続的に係合した複数のギヤからなる回転同期の運動学的連鎖により相互接続され、
前記ロータのスピンを均等な回転速度で提供するために、前記ギヤのうちの第1のギヤは、一方の前記ロータと係合し、前記ギヤのうちの最後としての第2のギヤは、もう一方の前記ロータと強固に接続された出力シャフトに接続される
ことを特徴とする、前記回転式内燃機関。
【請求項2】
前記ロータのスピンを均等な回転速度で提供するための前記回転同期の運動学的連鎖は、前記第1及び第2のギヤと、前記第1及び第2のギヤに係合するダブルギヤとからなることを特徴とする、請求項1に記載の回転式内燃機関。
【請求項3】
前記吸気窓は、調整のために適合された円弧に沿って延長されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回転式内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学、特に機関構成に関し、そして広範な機構のための駆動源として適用し得る内燃機関(ICE)設計を検討する。
【背景技術】
【0002】
2つのロータが動く場合の可変容積形成の原理は、公知であり詳述されている。このタイプの設計の機械学の主要な問題は、ロータ同期システムである。最もよく知られた設計は、シャフト及びギヤを備える。同時に、シャフトの使用は、同期システムにおいて非常に望ましくなく、それはシャフト上の荷重を変更することによって最大シャフト回転をもたらすので、動作中のロータの衝突を回避するためにロータのセグメントを減少させる必要があり、これが寄生容積(parasitic volume)(以下に記載する)の増大につながるためである。さらに、多数の発明者がロータの「集中(convergence)」という方針に従っており、これは、シャフトの最小長さを保証するためのロータのスピンの非垂直平面によって達成される。同期システムにおけるギヤの最小化が最も重要であり、なぜなら、大きな直径を有し高周速で回転させるためのギヤの製造は、極めて困難であるか、又は機械工学技術の発展のこの段階では技術的に達成不可能でさえあるためである。このため、ロータの「直径」を削減しなければならず、これは、機関の「容積」の減少とその適用の制限を生じる。発明者等は、ロータの端面を十分に考慮しないことが多い。最大トルク伝達を提供するためとロータに対する横方向荷重を低減するために、ロータの端面は、対称に「テーパリング(tapered)」されるべきである。さらに、「テーパ長(taper length)」は、ロータ断面の最大径の半分であり、これは、ロータが回転トロイドの交点を滑らかに通過することを保証するであろう。一方のロータの「テーパ」がトロイド溝の交点に到達したとき、もう一方のロータの他のセクタが本体から出て、そして可変容積キャビティの密閉が失われる瞬間が本体内で起こり、それは、「寄生(parasitic)」と呼ばれる残存容積である。チャンバが断熱されていない場合、寄生容積の存在は熱力学的効率の低下をもたらし、寄生容積は機関の比容積のパフォーマンス(specific volume performance)を増大させ、これは設計パラメータを悪化させる。したがって、設計時に、寄生容積を低減する必要がある。しかし、同期システムにおけるロータのスピンの非垂直平面及び小直径シャフトはまさに、寄生容積の増大をもたらす。多数の設計は、設計の不均衡を増大させ、又はこの影響を軽減しようと試みたときに重み付け(weighting)につながる非対称ロータを含む。ある設計では、3つのディスクセグメントが示されているが、この設計は、交点数の増大による寄生容積の効率的増大により、機関の寸法を増大させるため、最適でない。この設計で使用される2セクタロータが最適なものではないと結論づけるのは、困難でない。
【0003】
2つのタイプのロータ同期システムが存在するが、これらは、ロータの大きな直径によるトルク取出しのタイプが異なり、本発明者は、これをベベル又はドームギヤを用いた外側係合ロータ(external engagement rotor)と呼ぶ。
【0004】
第一のタイプは、特許文献1(
図28)、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8に記載されている。全ての設計は、主要な欠点、すなわち外側係合ロータのギヤの高い周速を有する。ロータのスピンの非垂直平面が同様に多数の設計で使用されているが、これは効率を低下させる。
【0005】
第2のタイプは、特許文献9(
図23、24、33、F01C、1963年11月9日公開)に記載されている。この解決手段を従来技術とする。この解決手段は、回転内燃機関を開示し、上記回転内燃機関は、ピストン運動のための2つの通路をそれぞれ形成する環状溝を有する2つの管状交差部品からなる本体を備え、吸気及び排気窓が、環状溝のキャビティと連通して壁に作製され、上記管状部品は、係合されたギヤからなる回転同期の運動学的連鎖によって相互接続されることを特徴とする。同期システム(
図23、24、33)において、シャフトを有する設計が説明されている。
図23の同期システムは、2つのシャフトを備え、これらのうちの一方は、中間シャフトであり、もう一方は、ギヤの締結を目的としたものである。さらに、
図23のシステムは嵩高い。
図24の同期システムは、一つの中間シャフトしか含まないが、サイズ133のギヤを有し、これは第1のタイプにおいて使用されるものより有意に小さいものではなく、したがって、これは製造可能性の問題を解決しない。それにもかかわらず、設計は嵩高い。
図33に示されるシステムが特に興味深い。上記システムでは、ベベルギヤ及びピニオンが1つだけ使用されており、システムは小型であるが、これは極めて長い中間シャフト及びロータのスピンの非垂直平面を有し、これはシステムの効率を低下させる。中間シャフトの回転速度は、ロータの回転速度よりも数倍速く(ベベル又は円筒形ギヤは、K=2−3を有する)、これは、構成材料に対する要求を有意に増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許第936283号
【特許文献2】米国特許第3809022号
【特許文献3】独国特許第2034300号
【特許文献4】欧州特許第0091975号
【特許文献5】英国特許第2062105号
【特許文献6】英国特許第191007516号
【特許文献7】特許第3718219号
【特許文献8】米国特許第9253849号
【特許文献9】英国特許第936283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ロータ同期システムにおける、ロータの正確な配向及びロータのスピンの同期の保証並びにシャフトの排除による寄生容積の最小化によって、設計の簡素化に帰着する技術的成果を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的成果は、以下の事実によって達成される:回転式内燃機関(rotary internal combustion engine)は、本体を備え、上記本体は、それぞれL字型フラグメントである4つの部品からなり、上記4つの部品が接続されると、平面視で外面にリブ及び内側に環状溝を有する2つの互いに垂直なリング状壁を形成し、上記壁は2つの通路を形成し、各上記通路は、上記溝に沿って移動できる2つのトーラス状ロータ(torus−shaped rotor)を内包し、各トーラス状ロータは、前記ロータと溝表面との間にキャビティを形成する、ロータの外側又は内側に位置する長手方向ノッチを有して作製され、上記キャビティは、上記壁の外側に位置するチャンバに接続され、吸気及び排気窓は、上記ロータと上記溝表面との間の上記キャビティに連通して、上記壁に作製され、上記ロータは連続的に係合した複数のギヤからなる回転同期の運動学的連鎖により相互接続され、上記ギヤのうちの1つは一方のトーラス状ロータと係合し、上記ギヤのうちの最後のものは、もう一方のトーラス状ロータと強固に接続された出力シャフトに接続される。
【0009】
これらの特徴は、所望の技術的成果を達成するのに十分な必須の特徴の安定な組み合わせを形成するために必須であり、かつ相互に連結される。
【0010】
本発明を、具体的な実施形態によって例示する。しかし、これは、唯一の可能な実施形態ではなく、所望の技術的成果を達成するための可能性を実証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明によるICEの長手方向断面図である。
【
図4】
図4は、平面視で、大きな直径を有するロータを示す。
【
図5】
図5は、平面視で、小さな直径を有するロータを示す。
【
図7】
図7は、圧縮行程の終了/燃焼行程の開始を示す。
【
図8】
図8は、燃焼行程の終了/膨張行程の開始を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に従う同期システムを有するドームタイプの回転式ICE(吸気−圧縮−燃焼−膨張(膨張行程)−排気)の設計を検討する。
【0013】
一般に、回転式内燃機関は、本体を備え、上記本体は、それぞれL字型フラグメントである4つの部品からなり、上記4つの部品が接続されると、平面視で外面にリブ及び内側に環状溝を有する2つの互いに垂直なリング状壁を形成し、上記壁は2つの通路を形成し、各上記通路は、上記溝に沿って移動できる2つのトーラス状ロータを内包する。各トーラス状ロータは、前記ロータと溝表面との間にキャビティを形成する、ロータの外側又は内側に位置する長手方向ノッチを有して作製され、上記キャビティは、上記壁の外側に位置するチャンバに接続される。吸気及び排気窓は、上記ロータと上記溝表面との間の上記キャビティに連通して、上記壁に作製される。上記ロータは、連続的に係合した複数のギヤからなる回転同期の運動学的連鎖(kinematic chain)により相互接続され、トーラス状ロータのスピンを均等な回転速度で提供するために、上記ギヤのうちの1つは、一方のトーラス状ロータと係合し、上記ギヤのうちの最後のものは、もう一方のトーラス状ロータと強固に接続された出力シャフトに接続される。
【0015】
回転式ICEは、本体を備え、上記本体は、選択された補強リブ2を有する4つの象限(quadrant)1(以下、クォーター(quarter)と呼ぶ)を含み、上記象限1のうちの1つに、同期及び動力取出しシステムのダブルギヤ締結システム8が配設される。内側半径に沿った動力取出しを行うロータ3に対面するクォーターの側部は、外側半径に沿ってかつ中心において強固に接続され、外側の動力取出しを行うロータ4に対面するクォーターの側部は、内側半径に沿って強固に接続される。前記クォーターの側部は、具体的な検討実施態様では、ボルトで締められる。
【0016】
さらに、前記補強リブは、ガス圧によってロータを運動させることによって生成される有意な本体の変形が生起する可変容積チャンバ内の場所において前記本体を補強する。前記本体は、また、ロータ3及び4の回転のための垂直なキャビティ(ロータの外形に対して相補的なある外形を有する一定の形状のトロイダル溝)、並びに回転軸受(これらは、
図1においてロータ上の中空円の形態で示される)に対してロータスピン配向システムを締結するためのキャビティを含む。
図2に示すロータは、特定のクロス外形(profile)のトロイドであり、これは点C及びB付近の垂直平面において回転中に可変容積チャンバを形成し、これらは、膨張(膨張行程)、圧縮、排気及び充填チャンバである。2つの対称的な90°セグメントがロータ上に選択され、そして、前記ロータの端面は、スピン中にロータを横断するのを回避するために、ロータのクロス外形の幅の1/4を形成する母線に沿ってロータの長さに沿って対称的にテーパリングされる(テーパ形状は特定の外形を有する)。動作中の前記ロータによって形成される可変容積チャンバの密閉は、ロータの移動シール(moving seal)5、前記本体に沿った固定シール(fixed seal)6、及び前記ロータと本体との間の間隙内の動的シール(dynamic seal)によって提供される(しかし、Oリングによって提供される設計も可能である)。同期システムのギヤ7は、中心付近でロータ3上に固定され(
図3)、ギヤ7は回転軸受上に設置されたダブルギヤ8と係合し、ダブルギヤ8はギヤ9と係合し、ギヤ9もまた本体支持体10上の回転軸受上に設置され、本体支持体10は、薄肉ドーム11に強固に接続され、薄肉ドーム11は、ロータ4に強固に接続される。前記同期システムの組立図を
図3に示す。
【0017】
ギヤ7、8及び9は、前記ロータが均等な角速度でスピンすることを保証するように選択され、ギヤ8は、ギヤ7及び9の回転速度に等しいか又は近い速度で回転し、これは、上述のとおり、本設計の有意な利点である。ロータ3からの動力取出しが、ギヤ7、8及び9を通して提供され、ロータ4からの動力取出しは、ドーム11を通して提供される。前記同期システムのギヤは、本提案の設計のロータと同一の回転速度を有する。
【0018】
機械全体としてのICEからの動力取出しは、動力取出しフランジ12を通して提供される。前記機関は、支持体13上に設置される。前記機関は、点Cに関して対称に配置された2つの外部燃焼チャンバ14(
図1及び6〜8)を備え、外部燃焼チャンバ14の上には、ガソリン機関のための点火システム15又はディーゼル機関のための予熱システムが配備される。直接燃料噴射(
図1に示す)から、(ロータスピン側の点火チャンバの入り口の他端上の)層状給気分布を有する外部燃料噴射まで異なる燃料噴射システム16が可能である。
【0019】
前記本体の1つのクォーターに吸気窓17(2個)(
図1A)が配置され、他の端の1つのクォーターに排気窓18(2個)が配置される(ビューBはビューAに対応し、
図2の画像は180°回転しており、
図2にはその上に位置11、8、9、12、10がない)。ロータの位置をセンサ19から読み取ることによって、噴射及び点火システムを制御する(設置オプションのうちの1つが図示されている)。
【0020】
外側係合ロータギヤの高い周速からなる不都合は、本提案の設計ではドーム(dome)の使用によるギヤ直径の削減により排除される。
【0021】
前記機関は、始動装置によって始動される。前記ロータのスピンのキャビティが2点において交差することを理解するのは、容易である。燃焼チャンバ14は、一方の交点(
図2の点C)付近に直接配置され、吸気窓17及び排気窓18は、もう一方の交点(
図2の点B)付近に配設される。
【0022】
好ましい実施形態では、前記吸気窓は、(可変長Lを保証する可能性を有する)円弧状である。技術的に実行できる選択肢のうちの1つは、前記吸気窓の形成を規定する円弧に沿って配置される一定の個数の電磁弁を配設することであり、上記電磁弁の役割は、前記ロータがスピンするキャビティへの空気の供給及び流出を止め、これにより前記吸気窓の実長を変えることである。
【0023】
圧縮行程の開始が前記吸気窓の端部(ロータスピン用キャビティの交点から最も遠い点)で起こり、これが圧縮行程容積の減少と一部のエアバックのリターンにつながるという事実により、圧縮と膨張の行程容積との差は、幾何学的等価(geometrical equality)の場合に達成される。したがって、本発明は、可変長Lの前記吸気窓の延長形態によって、圧縮行程容積と膨張行程容積との差を得るという課題を解決することを目的とする。
【0024】
前記同期システム及び始動装置の回転方向は、ロータ3及び4のスピン方向を決定する。前記ロータが、スピンし、そして
図2に示す位置にあると想定すると、膨張行程の開始が左に示され(燃焼される空気燃料混合物(以下、AFM:air−fuel mixtureと呼ぶ)は垂直に移動する前記ロータの上側燃焼チャンバ内にある)、そして、圧縮行程の開始が右に示され、ここで圧縮行程の開始は、常に、前記ロータが延長された吸気窓全体を通過するまで延期されるという唯一の具体的な特徴を有し、これは前記膨張行程と比べて前記容積を削減し、前記排気行程及び吸気行程の開始は、その瞬間に、水平面の対向する交点において同様に起こる。前記排気ガスは、垂直平面内の排気窓18に移動して前記排気行程に備え、新鮮な空気は、吸気窓17から移動して前記圧縮行程に備える。100atmの圧力及び3000℃の温度におけるAFM燃焼のプロセスで生成されるガスは、垂直に移動する前記ロータの左の上側燃焼チャンバから膨張し始め、水平に移動する前記ロータの上方に有効動力を提供する。前記燃焼チャンバは、前記ロータのトロイダル状セグメント本体により動的に圧縮される。トルクは、前記ロータを作動させる同期及び動力取出しシステムを通して、別のロータに伝達される。垂直に移動する前記ロータが、ロータのスピンのキャビティの交点をほとんど通過し(
図6〜8)、水平に移動する前記ロータがこの点に近づいたとき、下側燃焼チャンバ内の圧力が、燃焼(AFM)に関する所望値に到達し、水平に移動する前記ロータが、垂直に移動するロータと同様に、その本体によって燃焼チャンバの動的シールを形成し、AFMが点火される。前記膨張行程は、垂直に移動する前記ロータの左に対して終了し、圧力が低下する。両方の前記ロータが
図8の位置まで移動し続ける間、AFMは、漏れを除けばほとんど一定の容積で燃焼する。続いて、前記プロセスは、別の前記ロータに移り、
図6から始まる全てが繰り返される。排気及び吸気は、ロータのスピンのキャビティの対向する交点付近で同一の方法で実施される。
【0025】
この機関は、以下の特徴を有する:
−中間シャフトが不在であり、ねじり振動に対する高い剛性があり、これはロータの配向の高い精度につながり、これはまた、寄生容積を低減し、したがって効率を上昇させる。
−加工性(ギヤの低い周速により最先端技術のギヤを製造することが可能となる)。
−携帯性(きわめて特有な特徴)。
−機関は摩擦軸受を用いずに設計される。
−機関はシリンダ壁に沿って摺動するピストンを用いずに設計され、というのは、ロータは十分に剛性であり、負荷により屈曲する平面を有し、これにより可変容積チャンバの動的シールを保証するための最小のクリアランスを提供できるためである。
−回転軸受の使用による、スピン用キャビティに対するロータの微細な配向。
−ガス分配システムがない。
−燃焼が略不変の容積(semipermanent volume)において実施される(動的シールを通した漏れはわずかである)。
−要素の往復運動がなく、回転運動のみが存在する。
−AFMのデトネーション燃焼における操作の可能性(これは、ICE回転速度を有意に増大させる)。
−設計要素の完全な断熱が可能である。
−ロータ及び他の設計要素の動的対称性。
−設計要素を加工できる(これらは最先端技術で製造される)。
−振動の低減:ICEの1回転は、4つの膨張行程である(従来の往復動型ICEは、2つの膨張行程である)。
−高いトルク、高い動力(作動ガスの全圧力がトルクに変換される)。
−高い効率。
【0026】
本設計の既存解決策とのもう1つの相違は、異なる容積の圧縮サイクル及び膨張行程を実施できることであり、これは、ICEのシステム物理分析に基づいた空気燃料混合物の完全な燃焼による、効率、並びに排出物、排気圧力及び温度の低減の大幅な増大をもたらす。この効果は、吸気口が孔からではなく可変長Lの前記円弧から提供されるという事実の結果として、圧縮行程の開始を(ロータの回転角度に沿って)「シフト」できるという事実により達成される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、産業上利用可能である。というのは、本発明は最新の内燃機関の製造に使用される材料及び技術を用いて作製できるためである。本願発明の属性は、他に類を見ないアセンブリ及び新規のロータスピン同期システムの使用である。