(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の積層鉄心において、前記かしめ突起は、略長方形状であり、前記積層鉄心の周方向に延びる短辺と前記積層鉄心の径方向に延びる長辺とを有することを特徴とする積層鉄心。
鉄心片の半径方向内側及び半径方向外側のいずれか一方又は双方の領域に形成されたかしめブロックによって複数の前記鉄心片をかしめ積層し、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを除去する積層鉄心の製造方法であって、
前記鉄心片の前記領域に、前記鉄心片の外形線を含み、前記かしめブロックの両側辺を形成する第1、第2の脇領域の打抜きを行う第1工程と、
前記第1、第2の脇領域の中央にかしめ突起を形成する第2工程と、
前記かしめブロックが前記鉄心片に接続される連結部をプッシュバック処理によって形成し、前記かしめブロックを前記鉄心片に分離可能に連結する第3工程と、
前記かしめブロックを備えた状態の前記鉄心片を打抜き形成して、前記かしめブロック付きの前記鉄心片をかしめ積層する第4工程と、
前記かしめブロックを半径方向に引っ張って積層された前記鉄心片から除去する第5工程と、を有し、
前記かしめブロックを備えた状態の前記鉄心片を打抜き形成する前に、前記かしめ突起が形成されるかしめ部より半径方向外側の領域に先抜き部を形成することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
中央に形成された軸孔に、該軸孔を跨ぐブリッジ片部が設けられた鉄心片を形成し、前記ブリッジ片部の半径方向外側領域にかしめブロックを作製して該鉄心片をかしめ積層し、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを除去する回転子鉄心からなる積層鉄心の製造方法であって、
前記ブリッジ片部の半径方向外側領域に、前記鉄心片の軸孔外形線を含み、前記かしめブロックの両側辺を形成する第1、第2の脇領域の打抜きを行う第1工程と、
前記第1、第2の脇領域の間にかしめ突起を形成する第2工程と、
前記かしめブロックが前記鉄心片に接続される連結部をプッシュバック処理によって形成し、前記かしめブロックを前記鉄心片に分離可能に連結する第3工程と、
前記ブリッジ片部の半径方向内側領域を打抜き除去した後、該鉄心片の外形を打抜き形成して、前記かしめブロック付きの前記鉄心片をかしめ積層する第4工程と、
前記かしめブロックを半径方向内側に引っ張って積層された前記鉄心片から除去する第5工程と、
を有することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
軸孔の半径方向内側の領域に分離可能に形成された複数のかしめブロックの連結部がそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を有し、複数の前記嵌合部の少なくとも一つが他の前記嵌合部とは異なる形状である鉄心片を、複数積層して形成された回転子鉄心からなる積層鉄心の製造方法であって、
前記鉄心片を転積して、前記複数のかしめブロックによってかしめ積層して、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを半径方向内側に引っ張って除去して前記嵌合部を露出させ、他の前記嵌合部と異なる形状の前記嵌合部が周方向に規則的にずれていることを確認して前記鉄心片が正しく転積されていることを検査することを特徴とする回転子鉄心からなる積層鉄心の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蝶型のかしめブロック121は、一方の羽形部122が、鉄心片120に形成された嵌合凹部123に嵌め合い固定されているため、かしめブロック121の鉄心片120からの除去は、かしめブロック121を鉄心片120の積層方向へスライドさせて行う必要がある。このため、取外す機構が複雑になり、時間も要するため、製造コストの上昇を招く。また、かしめブロック121のスライド時に、かしめブロック121との接触領域がスライド方向へめくれてしまい、製品不良が発生して製造コストの上昇を招く。特にこの現象は、積層方向端部の鉄心片で発生し、また、板厚が薄い鉄心片ほど発生率が高くなる。なお、特許文献1は、鉄心片120からのかしめブロック121の取外しを容易にするため、かしめブロック121と鉄心片120との接触領域に、複数の離脱用凹部124〜126を形成している。しかし、この場合、鉄心片の打抜きの工程が複雑になり、例えば、工程数が増加するため、金型のサイズを大きくする必要があり、製造コストの上昇を招く。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、かしめブロックが設けられた鉄心片を用いても、作業性よく経済的に製造可能な積層鉄心及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心は、所定形状の複数の鉄心片を積層して形成された回転子鉄心又は固定子鉄心からなる積層鉄心において、前記各鉄心片の半径方向内側及び半径方向外側のいずれか一方又は双方の領域に、半径方向に沿って取外し可能なかしめブロックを設けている。
【0007】
第1の発明に係る積層鉄心において、前記かしめブロックは、前記鉄心片から突出し、かしめ突起が形成されるかしめ部と、前記鉄心片の嵌合部に係合する連結部とを有していることが好ましい。ここで、前記連結部はプッシュバック処理により前記嵌合部に仮止めすることができる。なお、プッシュバック処理とは、鉄心片から連結部を一度完全に切り離した(切り曲げした)後、この切り離した連結部を鉄心片側に再度押し戻して(叩いて)平面状とする(押し戻した連結部とその周囲の嵌合部のレベルを一致させる)こと、あるいは、連結部を鉄心片から半抜きした後、この半抜きした連結部を鉄心片側に再度押し戻して(叩いて)平面状とする(押し戻した連結部とその周囲の鉄心片のレベルを一致させる)ことをいう。
【0008】
また、前記連結部は引き抜き方向に狭くなる等脚台形であって、前記連結部の半径方向の長さが0.5〜2mmであり、前記連結部の上辺より先側下辺が0.2mm以下の範囲で広くなっているのがよい。そして、前記連結部は引き抜き方向に広くなる等脚台形であって、前記連結部の半径方向の長さが0.5〜2mmであり、前記連結部の上辺より先側下辺が4mm以下の範囲で狭くなっているのがよい。
【0009】
第1の発明に係る積層鉄心において、前記かしめブロックの両側の前記鉄心片の外形線は、前記鉄心片の最終打抜き外形線に段を有して連結されているのがよい。
【0010】
前記目的に沿う第2の発明に係る積層鉄心の製造方法は、所定形状の複数の鉄心片を積層して回転子鉄心又は固定子鉄心を形成する積層鉄心の製造方法において、前記各鉄心片の半径方向内側及び半径方向外側のいずれか一方又は双方の領域に、半径方向に沿って取外し可能なかしめブロックを設け、前記鉄心片を前記かしめブロックを介して積層連結し、積層された前記鉄心片を治具に配置した後、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを半径方向に引っ張って除去し、積層された前記鉄心片を、樹脂、接着剤、及び、溶接のいずれか1以上で連結する。
【0011】
第2の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記かしめブロックは、かしめ突起が形成されるかしめ部と前記鉄心片の嵌合部に係合する連結部とを有し、前記連結部は、切り曲げ後又は半抜き後に叩いて平面状とするプッシュバック処理により、前記嵌合部に嵌合させていることが好ましい。
【0012】
ここで、前記連結部は引き抜き方向に狭くなる等脚台形であって、斜辺の角度をtan
−10.1以下にするのがよい。また、前記連結部は引き抜き方向に広くなる等脚台形であって、斜辺の角度をtan
−12以下にしてもよい。
【0013】
前記目的に沿う第3の発明に係る積層鉄心の製造方法は、鉄心片の半径方向内側及び半径方向外側のいずれか一方又は双方の領域に形成されたかしめブロックによって複数の前記鉄心片をかしめ積層し、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを除去した後、積層された前記鉄心片の固定処理を行う積層鉄心の製造方法であって、前記鉄心片の前記領域に、前記鉄心片の外形線を含み、前記かしめブロックの両側辺を形成する第1、第2の脇領域の打抜きを行う第1工程と、前記第1、第2の脇領域の中央にかしめ突起を形成する第2工程と、前記かしめブロックが前記鉄心片に接続される連結部をプッシュバック処理によって形成し、前記かしめブロックを前記鉄心片に分離可能に連結する第3工程と、前記かしめブロックを備えた状態の前記鉄心片を打抜き形成して、前記かしめブロック付きの前記鉄心片をかしめ積層する第4工程と、積層された前記鉄心片を治具に配置した後、前記かしめブロックを半径方向に引っ張って積層された前記鉄心片から除去する第5工程と、積層された前記鉄心片の固定処理を行う第6工程とを有している。
【0014】
第3の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記かしめブロックを備えた状態の前記鉄心片を打抜き形成する前に、前記かしめ突起が形成されるかしめ部より半径方向外側の領域に先抜き部を形成することが好ましい。
【0015】
前記目的に沿う第4の発明に係る積層鉄心の製造方法は、中央に形成された軸孔に、該軸孔を跨ぐブリッジ片部が設けられた鉄心片を形成し、前記ブリッジ片部の半径方向外側領域にかしめブロックを作製して該鉄心片をかしめ積層し、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを除去した後、積層された前記鉄心片の固定処理を行う回転子鉄心からなる積層鉄心の製造方法であって、前記ブリッジ片部の半径方向外側領域に、前記鉄心片の軸孔外形線を含み、前記かしめブロックの両側辺を形成する第1、第2の脇領域の打抜きを行う第1工程と、前記第1、第2の脇領域の間にかしめ突起を形成する第2工程と、前記かしめブロックが前記鉄心片に接続される連結部をプッシュバック処理によって形成し、前記かしめブロックを前記鉄心片に分離可能に連結する第3工程と、前記ブリッジ片部の半径方向内側領域を打抜き除去した後、該鉄心片の外形を打抜き形成して、前記かしめブロック付きの前記鉄心片をかしめ積層する第4工程と、前記かしめブロックを半径方向内側に引っ張って積層された前記鉄心片から除去する第5工程と、積層された前記鉄心片の固定処理を行う第6工程とを有している。
【0016】
前記目的に沿う第5の発明に係る積層鉄心の製造方法は、中央に軸孔が形成された鉄心片を、前記軸孔の半径方向内側の領域に分離可能に形成された複数のかしめブロックによってかしめ積層して治具に載せ、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを半径方向内側に引っ張って除去した後、積層された前記鉄心片の固定処理を行う。
【0017】
第5の発明に係る積層鉄心の製造方法において、最下部に位置する鉄心片を形成する条材の前記かしめブロックが形成される領域にかしめ孔を、第2枚目以降の鉄心片を形成する前記条材の前記かしめブロックが形成される領域にかしめ突起を形成する第1工程と、前記条材に前記かしめブロックが形成される領域を残して前記軸孔を形成する第2工程と、前記かしめブロックが前記鉄心片に接続される連結部をプッシュバック処理によって形成し、前記かしめブロックを前記鉄心片に分離可能に連結する第3工程と、前記鉄心片をかしめ積層して治具に搭載し、積層された前記鉄心片から前記かしめブロックを半径方向内側に引っ張って前記かしめブロックを除去する第4工程とを有することができる。
【0018】
上記積層鉄心において、かしめブロックの径方向に延びる面には、引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の掛止部が設けられていてもよい。
上記積層鉄心において、かしめブロックは、積層される鉄心片をかしめるかしめ部を有し、かしめ部は、短軸と短軸より長い長軸を有する扁平形状であって、長軸は引き抜き方向に沿って延びるかしめ突起を有していてもよい。
【0019】
上記各製造方法において、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめブロックの径方向に延びる辺に、引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の掛止部を形成してもよい。
上記製造方法において、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめ部にかしめ突起を、短軸と短軸より長い長軸を有する扁平形状であって、長軸が引き抜き方向に沿って延びるように形成してもよい。
上記各製造方法において、プッシュバック処理の際に、かしめブロックを構成するかしめ部の鉄心片側の根本部位に、径方向に延びる辺と周方向に延びる辺とを有する肩部を形成することが好ましい。
【0020】
上記積層鉄心において、
前記鉄心片は、複数の前記かしめブロックの連結部がそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を有し、
複数の前記嵌合部は少なくとも一つが他の前記嵌合部とは異なる形状であってもよい。
【0021】
上記積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片は、複数の前記かしめブロックの連結部がそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を有し、
複数の前記嵌合部は少なくとも一つが他の前記嵌合部とは異なる形状であり、
前記鉄心片を転積して前記鉄心片をかしめ積層し、前記かしめブロックを除去して前記嵌合部を露出させ、
他の前記嵌合部と異なる形状の前記嵌合部が周方向に規則的にずれていることを確認して前記鉄心片が正しく転積されていることを検査してもよい。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明に係る積層鉄心及び第2、第3の発明に係る積層鉄心の製造方法は、各鉄心片の半径方向内側及び/又は半径方向外側の領域に、半径方向に沿って取外し可能なかしめブロックを設けるので、従来よりも、かしめブロックの取外し機構を単純にできると共に、取外しに要する時間も短縮できるため、製造コストの低減が図れる。また、従来のように、かしめブロックとの接触領域がスライド方向へめくれるおそれもないため、これを防止するための打抜きの工程を増やす必要がなく、また、これに起因する製品不良も防止できるので、製造コストの低減が図れる。従って、かしめブロックが設けられた鉄心片を用いても、作業性よく経済的に製造可能な積層鉄心及びその製造方法を提供できる。
【0023】
特に、第2の発明に係る積層鉄心の製造方法は、積層された鉄心片を治具に配置した後、かしめブロックを半径方向に引っ張って除去し、樹脂、接着剤、及び、溶接のいずれか1以上で連結(固定処理)するので、積層された鉄心片からかしめブロックによって生じた応力を除去した状態で、かつ、積層された鉄心片が治具に倣って整列配置された状態で、積層した鉄心片を一体化できる。従って、積層鉄心の形状精度を向上できるため、良好な品質の積層鉄心を提供できる。
【0024】
第4、第5の発明に係る積層鉄心の製造方法は、回転子鉄心の中央に設ける軸孔内にかしめブロックを形成するので、かしめブロック形成用の打抜き加工やかしめブロックを積層された鉄心片から引っ張って除去する操作を行っても、鉄心片の外周側の形状精度の低下や変形を防止することができ、高精度の回転子鉄心を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2(A)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心10は、固定子鉄心(ステータ)であり、条材から打抜いて積層した所定形状の複数の鉄心片11の半径方向外側の領域に、半径方向(積層方向とは直交する方向、ここでは水平(横)方向)に沿って取外し可能なかしめブロック12を設けたものである。なお、製品本体となる積層鉄心10は、環状のヨーク部13と、その内側に形成される複数の磁極部14とを有し、ヨーク部13は、積層された複数の鉄心片11の環状のヨーク片部15により、また、磁極部14は、積層された複数の鉄心片11の磁極片部16により、それぞれ形成される。以下、詳しく説明する。
【0027】
積層鉄心10を構成する鉄心片11は、環状の一体構造のものである。なお、鉄心片は、複数の円弧状の鉄心片部を環状に連結できる分割構造のものや、複数の円弧状の鉄心片部の周方向の一部が連結部で繋がり、この連結部を折曲げて環状にできる構造のものでもよい。この鉄心片11は、厚みが、例えば、0.10〜0.5mm程度の電磁鋼板やアモルファス等からなる条材から打抜き形成されるものである。また、鉄心片11は、1枚の条材から打抜き形成されているが、条材を複数枚(例えば、2枚、更には3枚以上)重ねた状態のものから打抜いたものでもよい。
【0028】
積層方向に隣り合う鉄心片11同士は、ヨーク部13の積層方向に連通して形成された貫通孔(結合部)17に、樹脂(熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂)18を充填して連結しているが、積層鉄心の半径方向内側又は半径方向外側に、積層方向に連通して形成された凹部(結合部)に、樹脂を充填して連結することもできる。なお、これらの2以上を組み合わせることもできる。この貫通孔17は、積層鉄心10の周方向に等ピッチで、複数形成されている。また、鉄心片同士の連結には、上記した樹脂以外に、接着剤又は溶接を用いることもでき、更に、樹脂、接着剤、及び、溶接のいずれか2以上を併用することもできる。
【0029】
各鉄心片11の半径方向外側の領域、即ち、ヨーク片部15の半径方向外側の領域には、周方向に等ピッチで複数(ここでは、4個)のかしめブロック12が設けられている。なお、かしめブロック12は、説明の便宜上、
図1においては、積層鉄心10に取付けられた状態で示しているが、後述するように、鉄心片11同士を連結する前に取外される。このかしめブロック12は、かしめ突起19が形成されたかしめ部20を有している。ここで、かしめ部20は、例えば、平面視して矩形状となって、鉄心片11(ヨーク片部15)から突出して設けられ、幅方向(引き抜き方向に直交する方向)の両側には引き抜き治具を掛止する掛止部20aが引き抜き方向に沿って設けられている。
【0030】
なお、かしめ部は、鉄心片からのかしめブロックの取外しを容易にするためのものであり、この要件を満足できれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、
図3(A)に示すようにかしめ部20bに掛止部20aとは形状の異なる掛止部20cを設けたり、
図3(B)に示すようにかしめ部20dの中央部に孔20eを形成して掛止部20fの変形性を大きくして把持された際に外れ難くしたり、
図3(C)に示すようにかしめ部20gに掛止部20aとは位置の異なる掛止部20hを設けたり、引き抜き力が確実に伝達されるために、
図3(D)に示すようにかしめ部20iの両側に多段状の掛止部20jを設けたり、
図3(E)に示すようにかしめ部20kを平面視してT字状として、掛止部20aとは形状の異なる掛止部20mを設けたり、
図3(F)に示すようにかしめ部20nの先端部に、引き抜き方向に幅狭となる等脚台形状の掛止部20pを設けたりすることもできる。
【0031】
このように、かしめ部20に掛止部を設けることが好ましい。
図2(A)〜(C)および
図3(A)〜(F)に図示したように、掛止部は、鉄心片11の最終打ち抜き外径線25より外径側に設けられていることが好ましい。掛止部は、鉄心片11の最終打ち抜き外径線25から外径側に離間した位置に設けられていることが好ましい。掛止部の内径側の端部が、最終打ち抜き外径線25から外径側に離間していることが好ましい。
後述するかしめブロックの取外しをする際に、治具を掛止部に引掛けて、治具によりかしめブロックを引っ張る。掛止部が最終打ち抜き外径線25より外径側に位置していると、治具を掛止部に引掛ける際に、治具の先端が鉄心片11の外周面を傷つけにくい。
このように、掛止部が設けられたかしめ部20を含む鉄心片11を積層すると、かしめブロック12の径方向に延びる面に、かしめブロック12を引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の凹部が設けられる。
【0032】
図2に示したように、掛止部20aは、平面視で矩形状のかしめ部20の幅方向の両辺に、周方向に向かって凹んだ凹形状として設けられていることが好ましい。つまり、かしめ部20の引き抜き方向に延びる辺は、径方向の中央部にそれよりも内径側と外径側よりも低くなった段部を有している。凹形状の掛止部20aは開口部を大きく形成することができるので、治具を掛止部20aに進入させやすく、治具を掛止部20aに引掛けやすい。
【0033】
かしめ部20の中央位置に形成されるかしめ突起19は、半抜きかしめ又はVかしめ等からなる。なお、積層順番が1番目の鉄心片に設けられたかしめブロックのかしめ部に対しては、かしめ突起19が嵌入するかしめ孔(貫通孔)が形成されている。このかしめ突起19のサイズは、積層方向に隣り合う鉄心片11同士の相対位置がずれることなく、複数の鉄心片11を一体化できれば、特に限定されるものではなく、積層鉄心の仕様(鉄心片の外形寸法や積層枚数、重量等)によって種々変更できる。なお、Vかしめの場合は、一辺のサイズが0.5〜5mm程度(例えば、1mm×4mm)、かしめ深さが鉄心片の板厚で0.5〜2枚分程度(例えば、鉄心片1枚分)のものを使用できる。
【0034】
図示したように、かしめ突起19は、略長方形状に形成されている。かしめ突起19は、周方向に延びる短辺と、径方向に延びる長辺を有している。このように、かしめ突起19の長軸が引き抜く方向に延びている。かしめ突起19の引き抜き方向に対する強度が高いので、かしめブロック12を引き抜く際にかしめた箇所が外れにくい。なお、かしめ突起19は、長方形状に限らず、楕円などの扁平形状であってもよい。かしめ突起が短軸と、短軸より長い長軸とを有する扁平形状であって、長軸が引き抜き方向に沿って延びていることが好ましい。
【0035】
また、かしめブロック12は、ヨーク片部15の半径方向外側へ向けて開口する嵌合部21に係合する連結部22を有している。連結部22は、平面視して四角形(周方向の両側に位置する辺が平行)となって、かしめ部20の半径方向内側に連続して設けられて(連接して)おり、例えば、プッシュバック処理により嵌合部21に仮止めされている。具体的には、連結部22を鉄心片11のヨーク片部15から一度完全に切り離す(切り曲げする)か半抜きした後、この切り離すか半抜きした連結部22を再度押し戻して(叩いて)平面状とし、連結部22とその周囲のヨーク片部15のレベルを一致させている。
【0036】
この連結部22は、かしめ部20との連接部分の幅が、連結部22を形成する肩部23、24の長さに相当する分だけ、かしめ部20の幅より幅広となっている。なお、連結部22を形成する肩部23、24にそれぞれ連続する(かしめブロック12の両側に位置する)、鉄心片11の外形線36、38は、鉄心片11の最終打抜き外形線25に段26を有して連結されているが、この段はなくてもよい。この連結部22のサイズは、積層鉄心の仕様(鉄心片の外形寸法や積層枚数、重量等)によって種々変更できるが、例えば、半径方向の長さL1は0.5〜2mm(更には、上限を1.5mm)程度である。
【0037】
なお、
図2(A)において符号23、24で示したように、かしめ部20は肩部を有することが好ましい。肩部23、24は、かしめ部20の径方向に延びる辺と鉄心片11の最終打ち抜き外形線25とを接続する部位である。肩部23、24は、径方向に延びる辺と、鉄心片11の周方向に延びる段26に沿って延びる辺と、により構成されている。なお、この肩部23、24は、複数の鉄心片11を積層させると、径方向に延びる面と周方向に延びる面とを含むことになる。
【0038】
なお、かしめブロックは、半径方向に沿って取外し可能な構成であれば、
図2(B)、(C)に示す構成とすることもできる。
図2(B)に示すかしめブロック27は、連結部28が、引き抜き方向に狭くなる等脚台形であって、連結部28の半径方向の長さL2が0.5〜2mmであり、連結部28の基側(半径方向外側)上辺W1より先側(軸心側)下辺W2を、0を超え0.2mm以下(好ましくは0.15mm以下、例えば0.10mm程度)の範囲で広くしたものである。なお、ここでは、連結部28の両側に突出する、基側上辺W1に対する先側下辺W2の突出幅w1、w2を同等(w1とw2をそれぞれ、0.1mm以下、好ましくは0.075mm以下、例えば0.05mm程度)としている。このとき、斜辺29の半径方向に対する傾斜角度θ1をtan
−10.1以下(0度を超え5.8度以下、好ましくは4.3度以下、例えば、2.9度程度)にするのがよい。
【0039】
また、
図2(C)に示すかしめブロック30は、連結部31が、引き抜き方向に広くなる等脚台形であって、連結部31の半径方向の長さL3が0.5〜2mmであり、連結部31の基側上辺W3より先側下辺W4を、0を超え4mm以下(好ましくは3mm以下)の範囲で狭くしたものである。なお、ここでは、連結部31の両側に突出する、先側下辺W4に対する基側上辺W3の突出幅w3、w4を同等(w3とw4をそれぞれ、2mm以下、好ましくは1.5mm以下)としている。このとき、斜辺32の半径方向に対する傾斜角度θ2をtan
−12以下(0度を超え64度以下、好ましくは56度以下)にするのがよい。なお、
図2(C)に示すかしめブロック30は、
図2(A)に示すかしめブロック12に比べ、連結部31の先側が狭くなって、嵌合部から外れ易い形状となっているため、積層鉄心におけるかしめブロック30の保持力(嵌合部に対するかしめブロック30の係合力)が弱まる傾向にある。このため、例えば、かしめ部におけるかしめ突起の形成位置を、
図2(C)に示す位置よりも連結部側へ近づけることで(かしめ部の材料を連結部側へ移動させることで)、連結部の嵌合部に対する嵌合具合を高め、かしめブロックの保持力を高めることができる。
【0040】
上記した各連結部22、28、31の半径方向の長さL1〜L3、連結部28の基側上辺W1に対する先側下辺W2の突出幅(w1、w2)、及び、連結部31の先側下辺W4に対する基側上辺W3の突出幅(w3、w4)はそれぞれ、かしめブロックによる積層鉄心のかしめの効果、及び、かしめブロックを半径方向に沿って取外し可能か否かを検討した、種々の試験により得られた結果に基づいて設定している。
【0041】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心として、かしめブロックは、
図4に示すように、複数の鉄心片11aの半径方向内側の領域、即ち、ヨーク片部15aの半径方向内側の領域(隣り合う磁極片部16aの間)に、周方向に等ピッチで複数(ここでは、4個)設けることもできる。この場合、かしめブロック12aの引き抜き方向は、積層鉄心10aの軸心側となる。ここで、
図4に記載の各部材は、前記した
図1に記載の各部材と略同様の構成であるため、
図1の番号に「a」を付して、詳しい説明を省略している。また、かしめブロックは、鉄心片の半径方向内側と半径方向外側の双方の領域にそれぞれ、複数設けることもできる。
【0042】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。
厚みが、例えば、0.10〜0.5mm程度の電磁鋼板からなる条材33から、金型(図示しない)を用いて、
図5(A)〜(E)に示す順序で、複数の鉄心片11を打抜く。なお、従来の積層方向(ここでは鉛直(縦)方向)にスライドさせるかしめブロックでは、厚みが薄い鉄心片ほどスライド方向へのめくれの発生率が高くなることから、条材の厚みが0.2mm以下であれば、本発明の効果がより顕著になる。この鉄心片11の打抜きは、1枚の条材33から行うが、条材を複数枚(例えば、2枚、更には3枚以上)重ねた状態のものから、複数の鉄心片を同時に打抜いてもよい。
【0043】
まず、
図5(A)に示すように、条材33から打抜く予定の鉄心片11の半径方向外側の領域に、第1、第2の脇領域34、35の打抜きを行う。この第1の脇領域34は、
図2(A)に示す鉄心片11の一方の外形線36を含み、かしめブロック12の一方の側辺37(肩部23を含む)を形成し、第2の脇領域35は、
図2(A)に示す鉄心片11の他方の外形線38を含み、かしめブロック12の他方の側辺39(肩部24を含む)を形成する(以上、第1工程)。なお、第1、第2の脇領域34、35を形成する際に、かしめ部の凹形状の掛止部を形成することが好ましい。つまり、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめブロックの径方向に延びる辺に、かしめブロックを引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の掛止部を形成することが好ましい。複数の鉄心片11が積層されると、かしめブロック12の径方向に延びる面に、凹形状の掛止部が形成されることになる。
【0044】
次に、
図5(B)に示すように、第1、第2の脇領域34、35の打抜きを行った条材33であって、この第1、第2の脇領域34、35の中央位置に、半抜きかしめ又はVかしめ等からなるかしめ突起19を形成する。なお、積層順番が1番目の鉄心片に設けられたかしめブロックのかしめ部に対しては、かしめ突起19が嵌入するかしめ孔(貫通孔)を形成する(以上、第2工程)。なお、上記した第1工程と第2工程は、その順序を入れ替えてもよい。
なお、かしめブロック12となるかしめ部20を形成する際に、かしめ部20にかしめ突起19を、短軸と短軸より長い長軸を有する扁平形状であって、長軸が引き抜き方向に沿って延びるように形成することが好ましい。
【0045】
図5(C)に示すように、条材33から打抜く予定のかしめブロック12が鉄心片11に接続される連結部22を、前記したプッシュバック処理によって形成し、かしめブロック12を鉄心片11に分離可能に連結する。なお、連結部22の形成は、連結部22の両側を含む切断線40、41の半径方向外側部分がそれぞれ、第1、第2の脇領域34、35と重複するように行う。これにより、肩部23、24が形成され、後述する第5工程において、かしめブロック12の鉄心片11からの分離を確実に実施できる。このように、かしめブロック12を備えた状態の鉄心片11を打ち抜き形成する前に、かしめ部20に肩部23、24を形成することが好ましい。
より具体的には、
図5(C)に示したように、肩部23、24は、連結部22を形成する際に、かしめ部20の鉄心片11側の根本部位の周方向の寸法より大きな寸法を有する金型により、プッシュバック処理を行うことにより、かしめ部20に肩部23、24を形成することができる。このように、プッシュバック処理の際に、かしめブロック12を構成するかしめ部20の鉄心片11側の根本部位に、径方向に延びる辺と周方向に延びる辺とを有する肩部を形成することが望ましい。
【0046】
また、ここでは、鉄心片11の嵌合部21と連結部22との嵌合強度を調整することもできる。この調整方法としては、例えば、かしめブロックの種類、サイズ、深さ、向き、形成位置や、連結部の半径方向の長さ、連結部の斜辺の傾斜角度、等により、連結部両側に位置する鉄心片材料の連結部側への張出し量を調整する方法がある。また、連結部を叩いて、連結部材料の鉄心片側への張出し量を増やす方法もある(以上、第3工程)。
【0047】
図5(D)に示すように、かしめブロック12を備えた状態の鉄心片11を打抜き形成して、
図5(E)に示すように、かしめブロック12付きの鉄心片11をかしめ積層する。このとき、積層された複数の鉄心片11(積層鉄心10)は、積層されたかしめブロック12の連結部22により、積層連結(仮接合)される。なお、鉄心片11の形成は、
図2(A)に示す鉄心片11の最終打抜き外形線25が、第1、第2の脇領域34、35の幅方向両側の打抜き線42、43と交差するように行う。これにより、後述する第5工程において、かしめブロック12の鉄心片11からの分離を確実に実施できる(以上、第4工程)。
【0048】
次に、かしめブロック12の連結部22により積層連結した複数の鉄心片11を、
図6に示すように、搬送治具(治具の一例)44に載置する。搬送治具44は、略円形の載置台45と、その中央に設けられた芯材(ガイド部材)46とを有している。この芯材46は、上端部が面取りされているが、その他の部分は断面円形(断面多角形でもよい)となって、磁極部14の内側端部に当接している。これにより、
図6、
図7に示すように、積層された鉄心片11の軸心の位置決めができる。
【0049】
なお、載置台の上には、隣り合う磁極部14の間にあって磁極部14に当接し、載置台に対する積層鉄心の回止めを行う複数の位置決め部材を、対向配置することもできる。この位置決め部材を、上記した芯材の代わりに用いてもよく、また、芯材と併用することもできる。また、載置台45の周囲で、積層されたかしめブロック12の直下位置には、後述する、かしめブロック12除去後の積層された複数の鉄心片11同士の連結の際に使用可能な切欠き47が形成されているが、連結方法によっては、形成しなくてもよい。そして、上記した搬送治具では、芯材を用い、積層された鉄心片11を内径基準で位置決めしているが、ヨーク部13の外周面に当接する位置決め部材を用い、積層された鉄心片11を外径基準で位置決めすることもできる。
【0050】
続いて、
図7に示すように、積層され一体化したかしめブロック12を、鉄心片11の半径方向に引っ張って積層鉄心10から除去する。これにより、一体化したかしめブロック12によって拘束されていた各鉄心片11が解放され、芯材46に沿って鉄心片11が揃い、より精度の高い積層鉄心10となる(以上、第5工程)。
【0051】
そして、貫通孔17に樹脂18を充填して、複数の鉄心片11を積層方向に連結(固定処理)する。ここで、積層鉄心10の樹脂封止(樹脂接合)は、搬送治具44に積層鉄心10を載せた状態で、例えば、上型と下型の間に搬送し、積層鉄心10を挟持した後、貫通孔17に樹脂18を充填することで実施できる。なお、鉄心片同士の連結には、上記した樹脂以外に、接着剤又は溶接を用いることもでき、更に、樹脂、接着剤、及び、溶接のいずれか2以上を併用することもできる(以上、第6工程)。
【0052】
複数の鉄心片11を打抜く場合、第4工程においてかしめブロック12を備えた状態の鉄心片11を打抜き形成する前に、
図8(A)に示すように、かしめ突起19が形成されるかしめ部20より半径方向外側の領域に、かしめ部20の幅を超える、例えば、矩形状の先抜き部47aを形成するようにすることもできる。ここで、かしめ部20の幅を超えるとは、矩形状の先抜き部47aの半径方向内側の辺の長さが、かしめ部20の半径方向外側の先端部の幅を超えて、先抜き部47aの半径方向内側の両角部が第1、第2の脇領域34、35と重複する状態をいう。
【0053】
そして、
図8(B)に示すように、
図2(A)に示す鉄心片11の最終打抜き外形線25が、第1、第2の脇領域34、35の幅方向両側の打抜き線42、43と交差するように鉄心片11の打抜きを行うと、鉄心片11をダイ47b内に打抜くことができる。なお、鉄心片11の最終打抜きを行うパンチ47cでは、かしめ部20と接触する領域におけるパンチ47cの輪郭線47dが、かしめ部20の先端より半径方向内側に位置し、かしめブロック12を鉄心片11と連結した状態でダイ47b内に打抜かれるようにしている。
【0054】
先抜き部47aを形成することにより、鉄心片11の打抜き形成を行う前に、かしめ部20は条材33から分離して、鉄心片11(条材33)と連結部22を介して分離可能に連結する状態となっている。このため、かしめブロック12が連結された状態で鉄心片11をダイ47b内に打抜いても、かしめ部20に弾性回復現象が生じることがなく、かしめ部20の先端とダイ47bの内周との間の摩擦力が過剰になることを防止できる。その結果、鉄心片11と連結されたかしめブロック12をかしめ積層して積層鉄心10を形成した際に、かしめ部20の先端とダイ47bの内周との間の摩擦力により、鉄心片11からかしめ部20が外れることを防止でき、積層鉄心10の製造歩留りを向上させることができる。
【0055】
本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法は、回転子鉄心(ロータ)からなる積層鉄心の製造方法であって、
図9に示すように、中央に形成された軸孔50と、軸孔50の半径方向内側に突出して対向するキー片部51と、軸孔50の半径方向内側でキー片部51とは異なる角度位置の領域に対向して形成された、例えば、2つのかしめブロック52とを有する鉄心片53を作製してかしめ積層し、積層された鉄心片53からかしめブロック52を除去した後に、積層された鉄心片53の固定処理を行っている。なお、符号54は鉄心片53の軸孔外形線、符号55は鉄心片53の周方向に沿って形成され、回転子鉄心の磁石挿入部を構成する打抜き孔、符号56は鉄心片53の固定処理時に樹脂を注入する貫通部を構成する貫通孔である。以下、詳細に説明する。
【0056】
本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法で作製する鉄心片53は、
図10(A)〜(D)に示す作製過程で作製される。
図10(A)に示す第1工程では、条材57において、打抜き形成される鉄心片53の中央に設けられる軸孔50(
図10(D)参照)が形成される領域に、軸孔50の半径方向内側に突出して対向するキー片部51と、キー片部51に対して異なる角度位置に軸孔50を跨ぐブリッジ片部58が形成されるように、キー片部51の輪郭線、ブリッジ片部58の輪郭線、及び軸孔外形線54の一部から構成される打抜き輪郭線を有する対となる下孔59、60を打抜き形成し、次いで、ブリッジ片部58の半径方向外側領域に、軸孔外形線54を含みかしめブロック52の両側辺を形成する第1、第2の脇領域61、62の打抜きを行う。なお、ブリッジ片部58は、半径方向外側領域に、かしめブロック52の両側辺を形成する第1、第2の脇領域61、62が設けられた状態で形成することもできる。そして、
図10(B)に示す第2工程では、第1、第2の脇領域61、62の間、例えば、第1、第2の脇領域61、62の中央にかしめ突起63を形成する。
図10(A)に示すように、第1、第2の脇領域61、62を形成する際に、凹形状の掛止部を形成することが好ましい。つまり、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめブロックの径方向に延びる辺に、引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の掛止部を形成することが好ましい。
【0057】
ここで、かしめ突起63は、半抜きかしめ又はVかしめ等からなる。また、積層順番が1番目の鉄心片に設けられたかしめブロックの第1、第2の脇領域の中央には、かしめ突起63が嵌入するかしめ孔(貫通孔)を形成する。なお、上記した第1工程と第2工程は、その順序を入れ替えてもよく、更に、かしめ突起63(積層順番が1番目の鉄心片ではかしめ孔)の形成は、
図10(C)の第3工程において形成することもできる(即ち、鉄心片53の外形抜きが行われる前であれば、任意の工程でかしめ突起(かしめ孔)を形成することができる)。そして、積層順番が1番目の鉄心片については、かしめ孔の代わりに、かしめ突起63が嵌入するかしめ突起63を形成することもできる。
なお、図示したように、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめ部にかしめ突起63を、短軸と短軸より長い長軸を有する扁平形状であって、長軸が引き抜き方向に沿って延びるように形成することが好ましい。
【0058】
図10(C)に示す第3工程では、かしめブロック52が鉄心片53に接続される連結部64をプッシュバック処理によって形成し、かしめブロック52が鉄心片53(条材57)に分離可能に連結される状態とする。この第3工程において、
図10(C)に示したように、かしめ部に肩部23、24を形成することが好ましい。より具体的には、
図10(C)に示したように、肩部23、24は、連結部64を形成する際に、かしめ部20の鉄心片11側の根本部位の周方向の寸法より大きな寸法を有する金型により、プッシュバック処理を行うことにより、かしめ部20に肩部23、24を形成することができる。つまり、プッシュバック処理の際に、かしめブロック52を構成するかしめ部の鉄心片53側の根本部位に、径方向に延びる面と周方向に延びる面とを有する肩部23、24を形成することが好ましい。
次いで、
図10(D)に示す第4工程では、ブリッジ片部58の半径方向内側領域(ブリッジ片部58の両側に対向配置されるかしめ突起63(積層順番が1番目の鉄心片ではかしめ孔)より半径方向内側領域)を打抜き除去した後、鉄心片53の外形(外形線は図示せず)を打抜き形成して、かしめブロック52付きの鉄心片53をかしめ積層する。
【0059】
そして、第5工程でかしめブロック52を介して積層された鉄心片53を治具に配置した後、かしめブロック52を半径方向内側に引っ張って積層された鉄心片53から除去し、第6工程で積層された鉄心片53の固定処理を行う。ここで、積層された鉄心片53からかしめブロック52を除去する際に使用する治具は、例えば、積層された鉄心片53を支える載置台と、載置台に設けられ、積層された鉄心片53を外径基準で位置決めする位置決め部材と、位置決め後に積層された鉄心片53を押圧して載置台との間で挟持する上型から構成することができる。鉄心片53の固定処理で行われる積層鉄心の貫通部(積層された鉄心片53に形成された貫通孔56からなる貫通部)への樹脂の充填は、治具に積層鉄心を載せた状態で、例えば、上型と載置台で積層鉄心を挟持した状態で、貫通部に樹脂を充填することで実施できる。なお、鉄心片同士の連結には、樹脂の充填以外に、接着剤又は溶接を用いることもでき、更に、樹脂、接着剤、及び、溶接のいずれか2以上を併用することもできる。
【0060】
かしめブロック付きの鉄心片をかしめ積層した積層鉄心から、かしめブロックを積層方向(ここでは鉛直(縦)方向)にスライドさせて除去する従来の製造方法では、厚みが薄い鉄心片ほどスライド方向へのめくれの発生率が高くなることから、鉄心片53(条材57)の厚みが0.2mm以下であれば、本発明の効果はより顕著になる。また、鉄心片53の打抜きは、1枚の条材57から行うが、条材57を複数枚(例えば、2枚、更には3枚以上)重ねた状態のものから、複数の鉄心片を同時に打抜くこともできる。本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法では、かしめブロック52を、軸孔50の半径方向内側でキー片部51とは異なる角度位置の領域に形成し、鉄心片53のかしめ積層を行って積層鉄心を製造したが、
図11に示すように、かしめブロック65を、軸孔66の半径方向内側の領域に形成されたキー片部67の半径方向の内側部分に形成した鉄心片68を積層して積層鉄心を製造することもできる。
【0061】
本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法は、回転子鉄心からなる積層鉄心の製造方法であって、
図12(A)に示すように、厚みが、例えば、0.10〜0.5mm程度の電磁鋼板からなる条材69から金型(図示せず)を用いて、
図12(D)に示すように、中央に軸孔70が形成された鉄心片71を、軸孔70の半径方向内側の領域に分離可能に形成された複数のかしめブロック72(
図12(C)参照)によってかしめ積層して治具(図示せず)に載せ、積層された鉄心片71からかしめブロック72を半径方向内側に引っ張って除去した後、積層された鉄心片71の固定処理を行っている。なお、符号73は、軸孔70の軸孔外形線である。以下、詳細に説明する。
【0062】
本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法は、
図12(A)に示すように、最下部に位置する鉄心片71を形成する条材69のかしめブロック72が形成される領域ではかしめ孔、第2枚目以降の鉄心片71を形成する条材69のかしめブロック72が形成される領域ではかしめ突起からなるかしめ加工部74を形成する第1工程と、
図12(B)、
図13(A)に示すように、条材69にかしめブロック72が形成される領域を残して軸孔70を形成する、詳細には、鉄心片71の中央に設けられる軸孔70が形成される領域に、軸孔70の半径方向内側に突出して対向するかしめブロック72の幅方向の両側辺の輪郭線75、76と、かしめブロック72の先側の(輪郭線75、76の先端部を結ぶ)輪郭線77と、軸孔外形線73の一部から構成される打抜き輪郭線を有する下孔78を打抜き形成する第2工程とを有している。
図12(B)および
図13(A)に示すように、第2工程において、輪郭線75、76を加工する際に、凹形状の掛止部を形成することが好ましい。つまり、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめブロックの径方向に延びる辺に、引き抜く際の治具が進入可能な凹形状の掛止部を形成することが好ましい。
【0063】
また、本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法は、
図13(B)に示すように、かしめブロック72が鉄心片71に接続される連結部79をプッシュバック処理によって形成し(連結部79の輪郭線80と下孔78の輪郭線が繋がって軸孔70の軸孔輪郭線73が形成される)、
図12(C)、
図13(C)に示すように、かしめブロック72を鉄心片71に分離可能に連結する第3工程を有している。ここで、連結部79の輪郭線80と下孔78の輪郭線を繋げるためには、
図13(B)に示すように、連結部79の両側を含む切断線81、82が、下孔78の打抜き輪郭線と交差するように行う。これにより、かしめ部に肩部23、24が形成され、後述する第4工程において、かしめブロック72の鉄心片71からの分離を確実に実施できる。より具体的には、
図13(B)に示したように、肩部23、24は、連結部79を形成する際に、かしめ部20の鉄心片11側の根本部位の周方向の寸法より大きな寸法を有する金型により、プッシュバック処理を行うことにより、かしめ部20に肩部23、24を形成することができる。つまり、プッシュバック処理の際に、かしめブロック72を構成するかしめ部の鉄心片71側の根本部位に、径方向に延びる辺と周方向に延びる辺とを有する肩部23、24を形成することが好ましい。
【0064】
更に、本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法は、鉄心片71をかしめ積層して治具(図示せず)に搭載し、
図12(D)に示すように、積層された鉄心片71からかしめブロック72を半径方向内側に引っ張ってかしめブロック72を除去する第4工程を有している。そして、積層された鉄心片71の貫通部(図示せず)に樹脂を充填して、複数の鉄心片71を積層方向に連結(固定処理)することにより、積層鉄心が得られる。なお、本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法では、かしめ加工部74を第1工程で形成したが、かしめ加工部74の形成は、鉄心片71の外形抜きが行われる前であれば、任意の工程で行うことができる。
なお、かしめブロックとなるかしめ部を形成する際に、かしめ部にかしめ加工部74(かしめ突起の一例)を、短軸と短軸より長い長軸を有する扁平形状であって、長軸が引き抜き方向に沿って延びるように形成することが好ましい。
【0065】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の積層鉄心及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。前記実施の形態においては、本発明の積層鉄心及びその製造方法を、固定子鉄心の内側に回転子鉄心が隙間を有して配置されたインナーロータ型の固定子鉄心に適用した場合について説明したが、インナーロータ型の回転子鉄心に適用することも、また、固定子鉄心の外側に回転子鉄心が隙間を有して配置されるアウターロータ型の固定子鉄心や回転子鉄心に適用することもできる。更に、前記実施の形態においては、かしめブロックを積層鉄心から除去した後に、積層方向に隣り合う鉄心片同士の連結を行った場合について説明したが、まず、鉄心片同士の連結を行った後に、かしめブロックを積層鉄心から除去してもよい。
【0066】
図15は、本発明の変形例に係る積層鉄心100を示す斜視図である。
図16は、
図15に示した積層鉄心100を構成する鉄心片110に設けられた第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94の平面図である。
図16のうち、(A)〜(D)は第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94が鉄心片110に連結された状態を示し、(E)〜(H)は第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94が鉄心片110から除去された状態を示している。
【0067】
本変形例に係る積層鉄心100を構成する鉄心片110には、第一かしめブロック91、第二かしめブロック92、第三かしめブロック93、第四かしめブロック94、の4つのかしめブロック91〜94が設けられている。第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94は、鉄心片110の外周に設けられている。第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94は、鉄心片110の周方向に等間隔に設けられている。
【0068】
第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94は、それぞれ第一連結部101〜第四連結部104を有している。第一連結部101〜第四連結部104は、それぞれ鉄心片110の外周縁に設けられた第一嵌合部111〜第四嵌合部114に嵌合している。
【0069】
図16(A)に示した第一かしめブロック91は、先端が直線状の第一連結部101を有する。鉄心片110には、この第一連結部101が嵌合される第一嵌合部111が設けられている。この第一嵌合部111は、直線状の底部を有する凹部である。鉄心片110から第一かしめブロック91が除去されると、
図16(E)に示すように、第一嵌合部111が外部に露出される。
【0070】
図16(B)に示した第二かしめブロック92は、先端に一つの凹部が設けられた第二連結部102を有する。鉄心片110には、この第二連結部102が嵌合される第二嵌合部112が設けられている。この第二嵌合部112は、一つの凸部120を有している。鉄心片110から第二かしめブロック92が除去されると、
図16(F)に示すように、1つの凸部120を含む第二嵌合部112が外部に露出される。
【0071】
図16(C)に示した第三かしめブロック93は、先端に二つの凹部が設けられた第三連結部103を有する。この第三連結部103が嵌合される第三嵌合部113は、二つの凸部120を有している。鉄心片110から第三かしめブロック93が除去されると、
図16(G)に示すように、2つの凸部120を含む第三嵌合部113が外部に露出される。
【0072】
図16(D)に示した第四かしめブロック94は、先端に三つの凹部が設けられた第四連結部104を有する。この第四連結部104が嵌合される第四嵌合部114は、三つの凸部120を有している。鉄心片110から第四かしめブロック94が除去されると、
図16(H)に示すように、3つの凸部120を含む第四嵌合部114が外部に露出される。
【0073】
積層鉄心100は、上述したように、複数枚の鉄心片110を積層することにより得られる。このとき、条材の厚みの偏りを分散させるなどの目的で、鉄心片110を転積することがある。
本変形例においては、一枚目の鉄心片110の上に二枚目の鉄心片110を積層する際に、二枚目の鉄心片110を一枚目の鉄心片110に対して周方向に90度回転させた状態で積層する。次に、三枚目の鉄心片110を二枚目の鉄心片110の上に積層する際に、三枚目の鉄心片110を二枚目の鉄心片110に対して周方向に90度回転させた状態で積層する。このように、順次、n−1枚目の鉄心片110の上にn枚目の鉄心片110を積層する際に、n枚目の鉄心片110をn−1枚目の鉄心片110に対して周方向に回転させた状態で積層する。
【0074】
このように鉄心片110を転積して鉄心片110をかしめ積層した後、第一かしめブロック91〜第四かしめブロック94を径方向に引っ張って除去すると、鉄心片110の第一嵌合部111〜第四嵌合部114が外部に露出される。そこで、例えば第一嵌合部111に着目し、この第一嵌合部111が周方向に規則的にずれていることを確認することにより、鉄心片110が正しく転積されていることを検査することができる。
図15に示した例においては、図の上方から下方に向かって、第一嵌合部111が反時計回りに順序良くずれていれば、鉄心片110が正しく転積されていることになる。この検査は、人が目視で検査してもよいし、カメラなどによって機械で検査してもよい。
この検査工程は、貫通孔17に樹脂18を充填して、複数の鉄心片110を積層方向に連結(固定処理)する前に行うことが好ましい。
また、このように第一嵌合部111が周方向にずれていることを確認することにより、一枚の鉄心片110が周方向にどのくらいの角度ずらされて転積されているかを容易に把握することができる。
【0075】
あるいは、本変形例のように、第一嵌合部111〜第四嵌合部114のそれぞれの形状が互いに異なっている場合には、鉄心片110が正しく転積されていれば互いに異なる形状の第一嵌合部111〜第四嵌合部114が積層方向に規則的に並ぶ。
図15に示した例では、図の上方から下方に向かって、凸部なし、1つの凸部120、2つの凸部120、3つの凸部120が規則的に表れる。このため、異なる形状の第一嵌合部111〜第四嵌合部114が積層方向に規則的に並んでいるか否かによって、鉄心片110が正しく転積されているか否かを検査することができる。
【0076】
なお、図示しないが、複数のかしめブロックが互いに異なる形状であってもよい。複数の鉄心片110を転積する際に、かしめブロックの形状が異なれば、上述と同様の理由により、かしめブロックの異なる形状の部分が周方向に規則的に表れる。このため、鉄心片110を正しく転積しやすい。なお、かしめブロックの形状が他のかしめブロックと異ならせる部位は、治具によってかしめブロックを把持する際に邪魔にならないように、引き抜き方向の最も外側の辺に設けることが好ましい。
【0077】
なお、本変形例では、4つの第一嵌合部111〜第四嵌合部114が互いに異なる形状である例を説明したが、本発明はこれに限らない。少なくとも一つの嵌合部が他の嵌合部と異なる形状であれば、他の嵌合部と異なる形状の嵌合部が周方向に規則的にずれていることを確認して鉄心片110が正しく転積されていることを検査できる。また、嵌合部は4つに限られない。また、転積する際の回転角度は90度に限られない。
【0078】
また、上述の例では、第二嵌合部112〜第四嵌合部114をなす凹部に凸部が形成された形状を説明したが、嵌合部の形状は上述の例に限られない。嵌合部をなす凹部が凹部を有したり、切欠きを有したりしてもよい。あるいは、嵌合部自体が切欠き形状や凸部形状であってもよい。
【0079】
また、上述の例では、鉄心片を一枚ごとに転積する毎回転積の例を説明したが、これに限られず、鉄心片を複数枚ごとに転積するブロック転積を行ってもよい。
【0080】
本出願は、2014年11月14日出願の日本特許出願(特願2014-231647)および2015年10月14日出願の日本特許出願(特願2015-202570)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
積層鉄心10は、所定形状の複数の鉄心片11を積層して形成された固定子鉄心からなり、各鉄心片11に、半径方向に沿って取外し可能なかしめブロック12を設けている。積層鉄心10の製造方法は、各鉄心片11に半径方向に沿って取外し可能なかしめブロック12を設け、鉄心片11をかしめブロック12を介して積層連結して治具44に配置した後、この積層された鉄心片11からかしめブロック12を半径方向に引っ張って除去し、この積層された鉄心片11を樹脂18で連結する。