【実施例】
【0053】
以下、実施形態に係る光学積層体を具体的に実施した実施例を説明する。
【0054】
(光学積層体の製造方法)
透光性基体として、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムを使用した。透光性基体上に、以下の光学機能層形成用塗工液を塗布し、乾燥(溶媒を揮発)させた後、塗膜を重合により硬化させることによって、光学機能層を形成した。
【0055】
[光学機能層形成用塗工液]
・基材樹脂:UV/EB硬化性樹脂 ライトアクリレートPE−3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート、共栄社化学株式会社製)、屈折率1.52
・樹脂粒子(有機フィラー):架橋スチレン単分散粒子 SX350H(綜研化学株式会社製) 平均粒径3.5μm、屈折率1.595
・コロイダルシリカ:オルガノシリカゾル MEK−ST−40(日産化学工業株式会社製) 平均粒径10〜15nm
・合成スメクタイト:ルーセンタイト SAN(コープケミカル株式会社製)
・フッ素系レベリング剤:メガファック F−471(DIC株式会社製) 0.1%
・溶剤:トルエン
【0056】
尚、樹脂粒子(有機フィラー)、第1の無機微粒子(コロイダルシリカ)及び第2の無機微粒子(合成スメクタイト)の光学機能層形成用塗工液への添加割合は以下の実施例及び比較例の説明で後述する。また、各成分の添加割合は、光学機能層形成用塗工液の全固形分質量に占める割合(質量%)である。ここで、光学機能層形成用塗工液の全固形分とは、溶剤を除く成分を指す。したがって、光学機能層形成用塗工液の全固形分中の樹脂粒子、第1の無機微粒子、第2の無機微粒子の配合割合(質量%)と、光学機能層形成用塗工液の硬化膜である光学機能層中の樹脂粒子、第1の無機微粒子、第2の無機微粒子の含有割合(質量%)とは等しい。
【0057】
光学積層体の透過像鮮明度、ヘイズ値、膜厚、光学機能層の最表面の凹凸形状の測定方法は以下の通りである。
【0058】
[透過像鮮明度]
透過像鮮明度は、JIS K7105に従い、写像性測定器(ICM−1T、スガ試験器株式会社製)を用いて、光学くし幅0.5mmで測定した。
【0059】
[ヘイズ値]
ヘイズ値は、JIS K7105に従い、ヘイズメーター(NDH2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。ここで、光学積層フィルムのヘイズ値を全ヘイズとした。また、光学積層フィルムの微細凹凸形状が設けられた表面に粘着剤付き透明性シートを貼り合わせて測定したヘイズ値から、粘着剤付き透明性シートのヘイズ値を引いた値を、内部ヘイズとした。尚、粘着材付き透明性シートとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)に、アクリル系粘着材(厚さ10μm)を塗布したものを用いた。
【0060】
[膜厚]
光学機能層の膜厚は、リニアゲージ(D−10HS、株式会社尾崎製作所製)を用いて測定した。
【0061】
<1.樹脂粒子と内部ヘイズとの関係>
まず、耐ギラツキ性及びコントラストの両方を良好とする内部ヘイズ(19〜40%)を得るために必要な樹脂粒子(有機フィラー)の添加量を調べた。樹脂粒子及び2種類の無機微粒子を表1に記載の添加量で添加した光学機能層形成用塗工液を調整し、上述した作製方法にしたがって光学積層体を作製した。作製した光学積層体の内部ヘイズを求めた。
【0062】
表1に、樹脂粒子及び2種類の無機微粒子の添加量と、得られた光学積層体の内部ヘイズの値を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
図4は、表1に記載の樹脂粒子(有機フィラー)の添加量と、得られた光学積層体の内部ヘイズとの関係をプロットしたグラフである。
図4に示す直線は、プロットから得られる回帰直線である。
【0065】
図4に示す回帰直線から、基材樹脂と樹脂粒子との屈折率差が0.075である場合、内部ヘイズの値を19〜40%とするためには、樹脂粒子の添加量を7〜15%とすれば良いことが分かる。
【0066】
<2.実施例1〜14、比較例1〜10>
次に、樹脂粒子及び2種類の無機微粒子を下記の表3に記載の添加量で添加した光学機能層形成用塗工液を用いて、実施例1〜14及び比較例1〜10に係る光学積層体を作製した。
【0067】
得られた実施例1〜12及び比較例1〜17に係る光学積層体のそれぞれについて、上述した試験方法により、ヘイズ値、透過像鮮明度及び膜厚を測定した。また、得られた光学機能層の最表面に存在する、凹凸高さが0.1μm以上である凸部分の数を次の方法により測定した。
【0068】
[凹凸高さが0.1μm以上である凸部分の数の測定方法]
光学機能層の最表面の凹凸形状は、非接触表面・層断面形状計測システム(測定装置:バートスキャンR3300FL−Lite−AC、解析ソフトウェア:VertScan4、株式会社菱化システム製)を用いて、光干渉方式により測定した。測定データを装置の解析ソフトウェアを用いて解析し、凹凸高さが0.1μm以上である凸部分の数を解析ソフトウェアで計測した。
【0069】
表2に、当該計測システムの測定条件及び解析条件を示す。
【0070】
【表2】
【0071】
防眩性、耐ギラツキ性、輝度比については、以下の評価方法にしたがって評価した。
【0072】
[防眩性の評価方法と評価基準]
防眩性は各実施例及び各比較例の光学積層体を透明な粘着層を介して黒色アクリル板(スミペックス960 住友化学株式会社製)に貼り合せた後、黒アクリル板の中心から垂直に50cm離れた場所より照度250lxの条件下で見た場合の自分の像(顔)の黒アクリル板への写り込みの有無を任意の100人の目視判定により評価した。評価結果は、写り込みを感じなかった人が70人以上の場合を「○」、30人以上70人未満の場合を「△」、30人未満の場合を「×」とした。
【0073】
[耐ギラツキ性の評価方法と評価基準]
耐ギラツキ性は、各実施例及び各比較例の光学積層体を透明な粘着層を介して液晶モニター(iPad3(第3世代) アップルインコーポレイテッド製、264ppi、「iPad」は登録商標)の画面表面に貼り合わせた後、液晶モニターを緑色表示状態にし、暗室下で画面表面の中心から垂直に50cm離れた場所より液晶モニターを見た場合のギラツキの有無を任意の100人の目視判定により評価した。評価結果は、ギラツキを感じなかった人が70人以上の場合を「○」、30人以上70人未満の場合を「△」、30人未満の場合を「×」とした。
【0074】
[輝度比の評価方法と評価基準]
輝度比は、各実施例及び各比較例の光学積層体と透光性基体を透明な粘着層を介して液晶モニター(iPad3(第3世代) アップルインコーポレイテッド製、264ppi、「iPad」は登録商標)の画面表面に貼り合わせた後、液晶モニターを白色表示状態にし、暗室下で画面表面の中心から垂直に70cm離れた場所より分光放射計(SU−UL1R 株式会社トプコン製)にて輝度を測定した。透光性基体の輝度を100%として、93%以上の場合を「○」、93%未満の場合を「×」とした。
【0075】
表3に、樹脂粒子及び2種類の無機微粒子の添加量と、得られた光学積層体の全ヘイズ、内部ヘイズ、透過像鮮明度及び膜厚の測定値と、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の測定面積1mm
2当たりの数と、耐ギラツキ性、防眩性及び輝度比の評価結果とを示す。
【0076】
【表3】
【0077】
また、
図5に、実施例1〜14及び比較例1〜10に係る光学積層体の透過像鮮明度と、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の測定面積1mm
2当たりの数とをプロットしたグラフを示す。
図5においては、実施例を黒丸でプロットし、比較例を×印でプロットしている。
【0078】
実施例1〜12に係る光学積層体の全ヘイズ(Y)及び内部ヘイズ(X)は、上述した条件式(1)〜(4)を全て満足し、透過像鮮明度も30〜70%の範囲内であり、更に、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の測定面積1mm
2当たりの数も600個以上であった。そのため、実施例1〜12に係る光学積層体は、耐ギラツキ性、防眩性及び輝度比のいずれも良好であった。
【0079】
これに対して、比較例1に係る光学積層体では、樹脂粒子の添加量が少な過ぎるため、内部ヘイズが19%未満となったことと、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の測定面積1mm
2当たりの数が600個未満になったこととにより、耐ギラツキ性が不十分であった。
【0080】
比較例2及び4に係る光学積層体では、第1の無機微粒子を添加していないことにより、樹脂粒子の凝集が抑制されず、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の測定面積1mm
2当たりの数が600個未満となった。この結果、耐ギラツキ性が悪化した。
【0081】
比較例3、5及び6に係る光学積層体では、透過像鮮明度が70%を超えたことにより、防眩性が不十分であった。
【0082】
比較例7〜10に係る光学積層体では、樹脂粒子の添加量が多すぎるため、内部ヘイズが40%を越え、輝度比(コントラスト)が悪化した。また、比較例7〜10に係る光学積層体では、外部ヘイズが57%を超えたことによって耐ギラツキ性も悪化した。
【0083】
図6は、実施例4、6及び比較例4に係る光学積層体を上述した非接触表面・層断面形状計測システムを用いて光干渉方式により測定し、光学機能層表面の凹凸形状を画像として出力したものである。より詳細には、
図6の左列に示す画像は、光学機能層表面の凹凸形状を3次元画像として出力したものであり、濃淡の濃い部分が基準面に対して凹凸が大きな部分に相当する。
図6の右列に示す画像は、光学機能層表面における、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の分布を示す画像であり、濃淡の濃い部分が、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分を表している。尚、
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、それぞれ、実施例6、実施例4及び比較例4に対応する。
【0084】
図6に示す画像を対比すると、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の単位面積当たりの数が増えると、各凸部分の面積が小さくなると共に凸部分の分布が均一化され、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の単位面積当たりの数が少なくなると、各凸部分の面積が大きくなるため、局所的に凹凸の大きな部分(
図6において色の濃い箇所)が多くなることが分かる。実施例1〜10に係る光学積層体では、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の数が測定面積1mm
2当たり600個以上であることによって、凸部分が局在化せずに均一に分布し、この結果、耐ギラツキ性が向上していると考えられる。
【0085】
表4に、実施例2〜8、13、比較例4及び7〜10に係る光学積層体の表面に形成された凸部分の面積分布と、平均面積とを示す。より詳細には、表4の数値は、上述した非接触表面・層断面形状計測システムを用いて光干渉方式により、所定の基準面積内に存在する高さ0.1μm以上の凸部分の面積を測定し、100μm
2の面積範囲毎に出現頻度を集計したものである。尚、表4における面積範囲の記載「a〜b」は、a以上b未満を意味する。例えば、面積範囲「0〜100」は、0以上100未満を意味する。また、表4の平均面積は、上述した非接触表面・層断面形状計測システムを用いて、高さ0.1μm以上の凸部分の面積及び個数を測定し、これらの測定値から算出したものである。
【0086】
【表4】
【0087】
表4に示すように、実施例2〜8及び13に係る光学積層体では、高さ0.1μm以上の凸部分の数のうち、100μm
2未満の面積を有する凸部の割合が65%以上である。これに対して、比較例4及び7〜10に係る光学積層体では、高さ0.1μm以上の凸部分の数のうち、100μm
2未満の面積を有する凸部の割合が65%未満である。表4に示した解析結果からも、凹凸高さが0.1μm以上の凸部分の単位面積当たりの数が増えると、各凸部分の面積が小さくなり、凸部分が均一に分布することが分かる。
【0088】
また、実施例2〜8及び13に係る光学積層体では、高さ0.1μm以上の凸部分の
数が測定面積1mm2当たり600個以上で、かつ、高さ0.1μm以上の凸部分の平均面積が500μm
2以下である。実施例2〜8及び13では、凸部分の平均サイズが小さくなったことによって、光学機能層表面の凹凸形状が精細になり、この結果、耐ギラツキ性が向上したと考えられる。これに対して、比較例4及び7〜10に係る光学積層体では、高さ0.1μm以上の凸部分の
数が測定面積1mm2当たり600個未満であって、高さ0.1μm以上の凸部分の平均面積が500μm
2を超えている。比較例4及び7〜10では、凸部分の平均サイズが大きく、単位面積当たりの凸部分の数も少なくなったことにより、光学機能層表面の凹凸形状が粗くなり、耐ギラツキ性が不十分であると考えられる。
【0089】
図7は、表3に示した実施例1〜14及び比較例1〜10における樹脂粒子の添加量と、コロイダルシリカの添加量とをプロットしたグラフである。
図7においても、実施例を黒丸でプロットし、比較例を×印でプロットしている。
【0090】
図7に示すように、実施例1〜14における樹脂粒子の添加量及びコロイダルシリカの添加量のプロットが、
図7の実線で示す直線以下の領域(ただし、横軸上を除く)であって、かつ、樹脂粒子の添加量が7〜15%である領域内にある場合に、200ppi以上の高精細な画像表示装置の防眩性フィルムとして用いた場合でも、耐ギラツキ性と防眩性とコントラストとの全てにおいて優れた性能を得られることが確認された。つまり、光学機能層形成用樹脂組成物中の樹脂粒子の含有量をA(%)とし、コロイダルシリカの含有量をB(%)としたとき、以下の条件式(5)及び(6)を同時に満足した場合に、耐ギラツキ性と防眩性とコントラストとの全てに優れることがわかった。以下の条件式(5)は、実施例2及び14における樹脂粒子の添加量及びコロイダルシリカの添加量のプロットの両方を通過する直線である。また、以下の条件式(6)は、
図4で説明したように、本実施例の構成において、内部ヘイズの値を19〜40%の範囲内とするために必要な条件である。
0<B≦0.5A−0.0225 ・・・(5)
7.0≦A≦15.0 ・・・(6)
【0091】
条件式(5)及び(6)を同時に満たさない場合、表3から分かるように、耐ギラツキ性、防眩性、コントラストのいずれかが悪化するため、200ppi以上の高精細な画像表示装置の防眩性フィルムとしての用途には適さなかった。
【0092】
以上説明したように、実施例1〜14に係る光学積層体は、200ppi以上の高精細な画像表示装置の防眩性フィルムとして用いた場合でも、耐ギラツキ性と防眩性耐とコントラストとの全てにおいて優れた性能を発揮できることが確認された。