【発明の効果】
【0011】
本発明は、
図1、20、23、26に示されるように、
電圧または電流の振幅が変化する音響信号を発生する音響信号源20と、
音響信号源20から与えられる音響信号の振幅の変化に対応して電圧の振幅を増幅して出力する電圧駆動型増幅器1と、
電圧駆動型増幅器1からの出力によって駆動され、駆動される信号の周波数に対応してインピーダンスが変化する第1の特性を有する第1スピーカー21:60a、61a:63:66a、67aと、
音響信号源20から与えられる音響信号の振幅の変化に対応して電流の振幅を増幅して出力する電流駆動型増幅器2と、
電流駆動型増幅器2からの出力によって駆動され、その駆動信号の周波数に対応してインピーダンスが変化する第2の特性を有し、この第2の特性は第1の特性に近似する第2スピーカー22:60b、61b:64:66b、67bとを含むことを特徴とする音響発生装置である。
【0012】
本発明によれば、第1および第2スピーカー21、22から出力される周波数特性が改善され、音場における、聴取者の聴覚で感じ取る合成された音圧が希望する周波数帯域にわたって平坦となるようにでき、音質が向上する。音響信号源20からの音響信号の電圧の振幅の変化に対応して電圧の振幅を増幅する電圧駆動型増幅器1によって、最低共振周波数f0と高域周波数でのインピーダンスが上昇する特性を有する第1スピーカー21を駆動し、前記音響信号の電圧の振幅の変化に対応して電流の振幅を増幅する電流駆動型増幅器2によって、第1スピーカー21と特性が近似した第2スピーカー22を駆動する。最低共振周波数f0と高域周波数において、第1スピーカー21の電圧駆動による音圧レベルの減少と、第2スピーカー22の電流駆動による音圧レベルの増加とが相殺、補完され、音場における広いまたは予め定める周波数帯域にわたって均一な音圧レベルを得ることができ、音質が向上される。スピーカーは、それを駆動する駆動信号の周波数に依存する音響パワーまたは音圧が変化する特性を有する。電圧駆動および電流駆動されるスピーカー21、22は、近似した構成であってもよく、たとえば同一の構成であってもよく、
図8のスピーカー6のように、たとえばコーン状などの振動部材81に、振動部材81の軸線を含む直線上に軸線を有する直円筒状のボビン83が固定され、このボビン83上に、インダクタンス成分となるボイスコイルである1または複数(
図8では2)のコイル71、72が巻回されて固定される。磁気回路84は、コイル71、72の電磁力によって音響信号の振幅に対応する音圧を発生するように振動部材81を変位駆動する。
【0013】
第1および第2スピーカー21、22は、音場における、聴取者の聴覚で感じ取る合成された音圧が希望する周波数帯域にわたって平坦となるように合成し、この希望する周波数帯域は、全周波数帯域であってもよいが、全周波数帯域が予め定める複数に分割された各周波数帯域毎の、たとえばウーハーまたはツイーターなどの各スピーカーであってもよい。
【0014】
以下の説明では、理解に不都合を生じないようにしつつ簡略化のために、参照符は、たとえば参照符60a、60bなどの添え字a、bなどを省略して数字60だけで総括的に示すことがある。対応する各部分には、同一の添え字を付し、たとえばウーハー60aに対応して、同一の添え字aを付してツイーター61aなどと示すことがある。
【0015】
電圧駆動型増幅器1によって、
図1の第1スピーカー21の他に、
図20のウーハー60a、ツイーター61a、
図23のツイーター63、
図26のウーハー66a、ツイーター67aも同様に駆動される。電流駆動型増幅器2によって、
図1の第2スピーカー22の他に、
図20のウーハー60b、ツイーター61b、
図23のツイーター64、
図26のウーハー66b、ツイーター67bも同様に駆動される。
【0016】
電圧駆動型増幅器1は、入力信号に対して出力はスピーカーの電気インピーダンスに関わらず電圧を増幅するものである。電圧駆動型増幅器1は、音響信号の入力電圧に比例した電圧を、全周波数帯域にわたって出力して負荷であるスピーカのボイスコイルなどに印加する。電流駆動型増幅器2は、入力信号に対して出力はスピーカーの電気インピーダンスに関わらず電流を増幅するものである。電流駆動型増幅器2は、音響信号の入力電圧に比例した電流を、全周波数帯域にわたって出力して負荷であるスピーカのボイスコイルなどに流す。
【0017】
音響信号源からの音響信号は、その電流の振幅が変化する信号であってもよい。
本発明は、
図8に示されるように、
(a)電圧または電流の振幅が変化する音響信号を発生する音響信号源20と、
(b)音響信号源20から与えられる音響信号の振幅の変化に対応して電圧の振幅を増幅して出力する電圧駆動型増幅器1と、
(c)音響信号源20から与えられる音響信号の振幅の変化に対応して電流の振幅を増幅して出力する電流駆動型増幅器2と、
(d)スピーカー6であって、
振動部材81と、
振動部材81に固定され、電圧駆動型増幅器1からの出力が与えられる第1コイル71と、
振動部材81に固定され、電流駆動型増幅器2からの出力が与えられる第2コイル72と、
第1および第2コイル71、72の電磁力によって音響信号の振幅に対応する音圧を発生するように振動部材81を変位駆動する磁気回路84とを備えるスピーカー6とを含むことを特徴とする音響発生装置である。
【0018】
本発明によれば、電圧駆動と電流駆動とを1台のスピーカー6で達成することができ、構成の小形化を図ることができる。
【0024】
参照符について、電圧駆動型増幅器1は、
図12〜14の具体的な回路23〜25によってそれぞれ実現されるとき、その実現される回路と同一の参照符で示すことがある。電流駆動型増幅器2は、
図15〜17の具体的な回路26〜28によってそれぞれ実現されるとき、その実現される回路と同一の参照符で示すことがある。音響発生装置では、たとえば
図12〜14の電圧駆動型増幅器23〜25の1つと、
図15〜17の電流駆動型増幅器26〜28の1つとが組み合されて使用される。電圧駆動型増幅器23〜25と電流駆動型増幅器26〜28の組合せが多少変わっても、例えば
図12の電圧駆動型増幅器23と
図16の電流駆動型増幅器26組合せや、本件明細書、図面に例示されていない多数のアンプでも、本発明の優れた効果が達成される。
【0025】
本発明は、
図12に示されるように、
電圧駆動型増幅器23は、非反転増幅回路によって実現され、この非反転増幅回路は、
(a)オペアンプ50であって、
音響信号源20から音響信号が与えられる非反転入力端子と、
反転入力端子と、
スピーカー21の一方の端子21aに接続される出力端子とを有するオペアンプ50と、
(b)出力端子と反転入力端子との間に接続される負帰還抵抗40と、
(c)反転入力端子と、スピーカー21の他方の端子21bおよび音響信号源20の共通電位との間に接続される分圧抵抗41とを有することを特徴とする。
【0026】
本発明は、
図13に示されるように、
電圧駆動型増幅器24は、反転増幅回路によって実現され、この反転増幅回路は、
(a)オペアンプ51であって、
非反転入力端子と、
反転入力端子と、
出力端子とを有するオペアンプ51と、
(b)音響信号源20から音響信号を反転入力端子に与える入力抵抗43と、
(c)出力端子と反転入力端子との間に接続される負帰還抵抗42とを有し、
(d)非反転入力端子とスピーカー21の一方の端子21aと音響信号源20の共通電位とが接続され、
(e)出力端子は、スピーカー21の他方の端子21bに接続されることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、電圧駆動型増幅器23、24を、オペアンプ50、51を用いて簡単な構成で実現できる。電圧駆動型増幅器23、24の出力を、たとえば縦続接続される追加的な増幅器で増幅してスピーカ21を、そのボイスコイルの両端子21a、21bに与えて駆動してもよい。
【0028】
本発明は、
図15に示されるように、
電流駆動型増幅器26は、
(a)オペアンプ53であって、
音響信号源20から音響信号が与えられる非反転入力端子と、
スピーカー22の一方の端子22aに接続される出力端子と
スピーカーの他方の端子22bに接続される反転入力端子とを有するオペアンプ53と、
(b)反転入力端子およびスピーカー22の他方の端子22bの接続点96と、音響信号源20の共通電位との間に接続される電流検知抵抗44とを有することを特徴とする。
【0029】
本発明は、
図16に示されるように、
電流駆動型増幅器27は、
(a)オペアンプ54であって、
音響信号源20の共通電位に接続される非反転入力端子と、
反転入力端子と、
出力端子とを有するオペアンプ54と、
(b)音響信号源20からの音響信号を反転入力端子に与える入力抵抗46と、
(c)反転入力端子とスピーカー22の一方の端子22aとの間に接続される負帰還抵抗47と、
(d)音響信号源20の共通電位とスピーカー22の他方の端子22bとの間に接続される電流検知抵抗45とを有し、
(e)出力端子は、スピーカー22の他方の端子22bに接続されることを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、電流駆動型増幅器26、27を、オペアンプ53、54を用いて簡単な構成で実現できる。電流駆動型増幅器26、27の出力を、たとえば縦続接続される追加的な増幅器で増幅してスピーカ22を、そのボイスコイルの両端子22a、22bに与えて駆動してもよい。
【0031】
本発明は、
図20、23、26に示されるように、
音響信号の予め定める周波数帯域を濾波するフイルター68、69が設けられ、
電圧駆動型増幅器1および電流駆動型増幅器2は、フイルター68、69によって濾波された前記周波数帯域で第1および第2スピーカー(
図20のウーハー60a、ツイーター61a、
図23のツイーター63、
図26のウーハー66a、ツイーター67a、および
図20のウーハー60b、ツイーター61b、
図23のツイーター64、
図26のウーハー66b、ツイーター67b)をそれぞれ駆動することを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、フイルターは、コイル、コンデンサなどを含むパッシブフイルターであってもよく、コイル、コンデンサなどの他にトランジスタなどの能動素子を含むアクティブフイルターであってもよく、これらのフイルターで周波数分割された複数の各周波数帯域毎に信号の増幅もできるチャンネルデバイダーなどであってもよい。
図1、8〜11における電圧駆動型増幅器1および電流駆動型増幅器2の出力または入力に、フイルターを介在してもよい。