(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計測器は、前記汎用携帯端末から自身の前記保守情報に更新要求があった場合に、その更新要求に基づいて自身の前記保守情報を更新する保守情報更新手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の拡張現実感技術による計測器管理システム。
前記汎用携帯端末は、前記サーバ装置から取得した前記計測器の過去の計測データを表またはグラフの画像に変換し、前記表の画像または前記グラフの画像と前記識別標識の画像とを合成して前記表示装置に表示する過去データ表示手段を備えていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の拡張現実感技術による計測器管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている従来技術は、データセンタによる集中監視システムであるため、停電や災害等でデータセンタが使用不能になると、システム全体が使用不能になってしまう虞がある。
また特許文献2に開示されているような情報家電操作システムは、携帯端末は手軽に持ち運びできるものの、情報家電のステータス情報を情報家電のメモリやデータセンタ等に蓄積していないため、過去のステータス情報を取得することができない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、現地での作業者の負担を軽減可能であると共に、より高い利便性を有する拡張現実感技術による計測器管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明の一態様に係る拡張現実感技術による計測器管理システムは、屋外に設置された計測器と、前記計測器を識別するための識別標識と、表示装置、前記識別標識を撮像する撮像装置、ネットワークを介して前記計測器と通信する通信装置を有する汎用携帯端末とを備え、前記計測器は、計測データまたは自身の保守情報を前記汎用携帯端末からの要求に応じて選択し、それを機器情報として前記汎用携帯端末へ送信する機器情報送信手段を備え、前記汎用携帯端末は、撮像した前記識別標識に対応する計測器から前記機器情報を受信して画像に変換し、前記機器情報の画像と前記識別標識の画像とを合成して前記表示装置に表示する機器情報表示手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記汎用携帯端末は、前記撮像装置による前記識別標識の撮像方向に応じて、前記計測器に要求する情報を選択する情報選択手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記計測器は、前記汎用携帯端末から自身の前記保守情報に更新要求があった場合に、その更新要求に基づいて自身の前記保守情報を更新する保守情報更新手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記計測器は、前記汎用携帯端末のコンピュータで実行することにより前記機器情報表示手段を実現する機器情報表示プログラムをダウンロード可能な状態で保持し、前記汎用携帯端末は、前記計測器から前記機器情報表示プログラムをダウンロードするダウンロード手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、ネットワークを介して前記計測器及び前記汎用携帯端末と通信するサーバ装置をさらに備え、前記サーバ装置は、一定の周期で前記計測器から計測データを取得して蓄積する計測データ蓄積手段と、前記汎用携帯端末からの要求があった場合に、蓄積した過去の計測データを前記汎用携帯端末へ送信する過去データ送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記過去データ送信手段は、予め定められた期間における前記計測器の計測データを前記汎用携帯端末へ送信する手段を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記過去データ送信手段は、前記汎用携帯端末が要求した期間における前記計測器の計測データを前記汎用携帯端末へ送信する手段を含む、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記汎用携帯端末は、前記サーバ装置から取得した前記計測器の過去の計測データを表またはグラフの画像に変換し、前記表の画像または前記グラフの画像と前記識別標識の画像とを合成して前記表示装置に表示する過去データ表示手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記サーバ装置は、前記汎用携帯端末のコンピュータで実行することにより前記機器情報表示手段及び前記過去データ表示手段を実現する機器情報表示プログラムをダウンロード可能な状態で保持し、前記汎用携帯端末は、前記サーバ装置から前記機器情報表示プログラムをダウンロードするダウンロード手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記識別標識は、前記計測器の近傍に貼付されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記識別標識は、地図を表している地図体上の前記計測器が配設されている位置に配置されることを特徴とする。
【0019】
本発明の別の態様に係る計測器管理システムでは、前記識別標識は、対応する計測器の配置と同じ配置で配置図に貼付されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の別の態様に係るプログラムは、表示装置、計測器を識別するための識別標識を撮像する撮像装置、ネットワークを介して前記計測器と通信する通信装置を有する汎用携帯端末のコンピュータを、前記撮像装置によって撮像した前記識別標識に対応する計測器に対し、その計測器の計測データまたは保守情報を機器情報として選択して要求する機器情報要求手段、前記計測器から前記機器情報を受信して画像に変換し、前記機器情報の画像と前記識別標識の画像とを合成して前記表示装置に表示する機器情報表示手段として機能させる。
【0021】
本発明の別の態様に係るプログラムは、前記汎用携帯端末のコンピュータを、前記撮像装置による前記識別標識の撮像方向に応じて、前記計測器に要求する情報を選択する情報選択手段として機能させる。
【0022】
本発明の別の態様に係るプログラムは、前記汎用携帯端末のコンピュータを、サーバ装置から取得した前記計測器の過去の計測データを表またはグラフの画像に変換し、前記表の画像または前記グラフの画像と、前記識別標識の画像とを合成して前記表示装置に表示する過去データ表示手段として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る拡張現実感技術による計測器管理システムによれば、汎用携帯端末で識別標識を撮像し、撮像した識別標識に対応する計測器から受信した機器情報を画像に変換し、機器情報の画像と撮像した識別標識の画像とを合成して表示する。
これにより、作業者は汎用の携帯端末で計測器の点検を行うことができ、計測器が設置されている場所へ専用端末を持参する必要はないので、作業者の負担を軽減することができる。また、機器情報の画像と識別標識の画像とを合成して汎用携帯端末の表示装置に表示するので、データを直感的に把握しやすくなり、作業者の熟練度に関わらず容易にデータを把握することができる。さらに、作業者は計測器のデータをモニタするための専用端末や保守作業を行うための専用端末を作業内容に合わせて切り替える必要はなく、容易にデータのモニタや保守作業を行うことができる。また、計測器の種類毎に専用端末を準備する必要はないので、端末装置の導入費用を低減することができる。
【0024】
また、識別標識の撮像方向に応じて計測器に要求する情報を選択するので、作業者は容易に所望のデータを閲覧することが可能となる。
【0025】
また、計測器は汎用携帯端末から自身の保守情報に更新要求があった場合に、その更新要求に基づいて自身の保守情報を更新するので、計測器の保守情報を容易に更新することができる。
【0026】
さらに、汎用携帯端末は、自身のコンピュータで実行することにより機器情報表示手段を実現する機器情報表示プログラムを計測器からダウンロードすることができる。これにより計測器の保守作業や計測データを閲覧するための機器情報表示プログラムを汎用携帯端末にインストールし忘れても、現場で対応することが可能となる。また、事前に汎用携帯端末に機器情報表示プログラムをインストールする必要はなく、汎用携帯端末さえあれば、いつでも誰でも計測器のデータを取得することが可能となる。
【0027】
また、汎用携帯端末は、一定の周期で取得して蓄積された計測器の計測データをサーバ装置から取得できるので、データセンタ等を設ける必要はなく、維持管理に要する費用を低減することが可能になる。さらに、各計測器を分散管理することによって、データセンタの故障や停電等で計測器を管理できなくなるリスクが分散されるので、計測器管理システム全体の可用性を高めることができる。
【0028】
そして、汎用携帯端末は、サーバ装置に蓄積された過去の計測データのうち、予め定められた期間の過去データまたは汎用携帯端末が要求した期間の過去データを取得することができるので、容易に過去データを表示することができる。
【0029】
そして、汎用携帯端末は、サーバ装置から取得した過去の計測データを表またはグラフの画像に変換し、表の画像またはグラフの画像と識別標識の画像とを合成して表示するので、視認性をより向上させることが可能となる。
【0030】
また、汎用携帯端末は、自身のコンピュータで実行することにより機器情報表示手段を実現する機器情報表示プログラムをサーバ装置からダウンロードすることができる。これにより、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0031】
そして、識別標識は計測器の近傍に貼付されているので、計測器に対応する識別標識を識別することが容易になる。
【0032】
また、識別標識は地図を表している地図体上に、対応する計測器が配設されている位置に配置されるので、地図体上の識別標識全てを汎用携帯端末で撮像することによって、各位置における計測データを容易に閲覧することが可能となる。また、計測データをまとめて閲覧することによって、異常な箇所を見つけ易くなる。
【0033】
また、識別標識は、対応する計測器の配置と同じ配置で配置図に貼付されているので、例えば法面(切土や盛土により作られる人工的な斜面)に配置された複数の傾斜計等、計測器全体の計測データをまとめて表示することができるので、異常な箇所を見つけやすくなる。
【0034】
本発明に係るプログラムによれば、汎用携帯端末で撮像した識別標識に対応する計測器に対し、機器情報を選択して要求し、計測器から受信した機器情報を画像に変換し、機器情報の画像と撮像した識別標識の画像とを合成して表示する。
したがってこのプログラムを実行可能な汎用携帯端末を含む計測器管理システムにおいて、上述した本発明に係る計測器管理システムと同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る計測器管理システム1の概略図である計測器管理システム1は、汎用携帯端末2と、計測器3とを備えている。
図1は、計測器3の一例として河川の水位を計測する水位計を示している。
【0037】
汎用携帯端末2は、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。汎用携帯端末2は、後述するように計測器3に添付されたマーカを撮像する撮像部を備えている。
計測器3は、検出器31を備えており、検出器31が取得する計測データを汎用携帯端末2の要求に応じて送信するものである。計測器3の種類として、
図1に示す水位計の他に、例えば地表面の変位量を計測する伸縮計や、降水量を計測する雨量計等が挙げられる。
図2に示すように、計測器3には、個々の計測器3を識別するためのマーカ(識別標識)4が貼付されている。マーカ4は2次元コードパターンを有しており、この2次元コードパターンとはそれぞれを識別可能なパターンを有する図形である。マーカ4の2次元コードパターンは、例えば
図2に示すようにアルファベット、数字、図形等を並べたものでもよく、QRコード(登録商標)を用いてもよいが、計測器3は大抵野外に設置されるため、マーカ4の2次元コードパターンは多少汚れても識別可能なものとするのが好ましい。
【0038】
図3は、本発明の第1実施形態に係る計測器管理システム1の概略構成図である。計測器管理システム1は、汎用携帯端末2と、計測器3とを備え、汎用携帯端末2は、ネットワークNを介して計測器3と通信する。
汎用携帯端末2は、通信制御部21、撮像部(撮像装置)22、情報選択部(情報選択手段)23、機器情報表示部(機器情報表示手段)24、ダウンロード部(ダウンロード手段)25、マーカ対応テーブル26、表示装置27、及び入力部28を備えている。
【0039】
通信制御部21は、汎用携帯端末2と計測器3との通信を制御し、ネットワークNへ接続要求があった場合にネットワークNに接続する。撮像部22は、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ等のデジタルカメラである。撮像部22は、マーカ4を撮像して撮像画像を生成する。情報選択部23は、撮像部22で撮像したマーカ4の画像を射影変換して撮像方向を識別し、撮像されたマーカ4を識別して、マーカ対応テーブル26から撮像したマーカ4に対応する計測器3に接続するためのアドレス情報(例えば、IPアドレスやURL等)を取得する。
【0040】
機器情報表示部24は、計測器3から受信した機器情報を画像に変換し、変換した機器情報の画像と撮像部22で撮像したマーカ4の画像とを合成して汎用携帯端末2の表示装置27に表示する。計測器3から受信する機器情報とは、例えば計測器3の計測データや保守情報である。ダウンロード部25は、ネットワークNを介して計測器3に格納されているアプリケーション、つまり情報選択部23及び機器情報表示部24として機能する機器情報表示プログラムをダウンロードする。入力部28は、汎用携帯端末2の入力操作インタフェースを提供するものであり、例えば表示装置27に表示されたソフトウェアキーボードや、タッチパネル式の表示装置27等が挙げられる。入力部28を用いて表示装置27に表示された各画面を操作することで、後述するように画面遷移や保守情報の変更等を行うことができる。なお、汎用携帯端末2は上記以外の機能も備えているが、本実施形態では説明を省略する。
【0041】
計測器3は、検出器31及び処理装置32を備えている。処理装置32は、演算部33、保守情報記憶部34、アプリケーション格納部35、及び通信制御部36を備えている。また図示しないが、計測器3は、検出器31と処理装置32との間にアナログ−デジタル変換器を備えており、処理装置32はROMやRAM等のメモリも備えている。
検出器31で計測された計測データは、アナログ−デジタル変換器でデジタル信号に変換され、処理装置32に入力される。処理装置32は、計測データを演算部33に入力する。
【0042】
演算部33は、機器情報送信部(機器情報送信手段)331及び保守情報更新部(保守情報更新手段)332を有している。機器情報送信部331は、汎用携帯端末2の要求に応じて、検出器31で計測された計測データまたは計測器3の保守情報を選択し、通信制御部36を介して汎用携帯端末2へ送信する。計測器3の保守情報としては、例えば計測器3の機器時刻、通信状態、測定エラーの状況、稼働状態等が挙げられる。
【0043】
保守情報更新部332は、汎用携帯端末2から保守情報の更新要求があった場合に、ユーザが更新した保守情報に基づいて保守情報記憶部34に格納されている保守情報を更新する。アプリケーション格納部35は、汎用携帯端末2で情報選択部23、機器情報表示部24として機能する機器情報表示ソフトウェアを格納している。アプリケーション格納部35は、汎用携帯端末2から機器情報表示ソフトウェアをダウンロードする要求があった場合に、通信制御部36及びネットワークNを介して、汎用携帯端末2へ機器情報表示ソフトウェアを送信する。なお、機器情報表示ソフトウェアには、マーカ対応テーブル26を含むようにしてもよい。
【0044】
通信制御部36は、計測器3と汎用携帯端末2との間の通信を制御し、ネットワークNに常時接続している。
ネットワークNは、汎用携帯端末2と計測器3との通信が可能であれば特に限られない。
【0045】
このように構成された計測器管理システム1において、計測器3の機器情報を汎用携帯端末2に表示するには、以下のようにして行う。
(計測データの表示)
図4は、汎用携帯端末2が計測器3から計測データを取得するシーケンス図であり、このシーケンス図に基づいて以下に説明する。なお、以下に説明するシーケンス図では、汎用携帯端末2の通信制御部21及び計測器3の通信制御部36は省略しているが、汎用携帯端末2と計測器3との間の通信は、通信制御部21、36を介して行われているものとする。
【0046】
ステップS1では、ユーザが撮像部22を用いて計測器3に貼付されたマーカ4を撮像する。
図5(A)、(B)には、撮像部22で撮像したマーカ4の撮像画像の例を示している。
図5(A)はマーカ4を向かって左側から撮像した画像であり、
図5(B)はマーカ4を上側から撮像した画像である。
図5(A)はマーカ4を左側から撮像しているため、汎用携帯端末2の表示装置27に表示されているマーカ4の画像は、マーカ4の左側から右側に向かって、マーカ4の上辺と下辺との差が窄まっていくような台形形状に変形している。また
図5(B)はマーカ4を上側から撮像しているため、汎用携帯端末2の表示装置27に表示されているマーカ4の画像は、マーカ4の上側から下側に向かって、右辺と左辺との差が窄まっていくような台形形状に変形している。後述するように、ユーザはマーカ4の撮像方向を変えて撮像することにより、計測器3の種々の情報が選択可能となる。なお、本ステップでは、ユーザは
図5(A)に示す画像を撮像したものとする。
【0047】
ステップS2では、撮像部22は、ステップS1で撮像した撮像画像を情報選択部23へ送る。
ステップS3では、情報選択部23は、撮像部22から取得した撮像画像から撮像方向を識別する。詳しくは、情報選択部23は、
図5(A)に示すようにマーカ4と撮像部22との位置関係が斜めであった場合、撮像画像に対して射影変換を行い、撮像画像におけるマーカ4を
図2に示すような正面から見た画像に変換する。この射影変換は公知の射影変換を用いて行う。詳しくは、
図6に基づいて以下に説明する。
【0048】
図6は、変形したマーカの画像を射影変換する説明図である。変形したマーカ4の画像401は、
図5(A)に示した撮像画像におけるマーカ4の画像を示している。変形したマーカ4の画像401の4つの頂点411、412、413、414を、矩形のマーカ4の画像401aの4つの頂点411a、412a、413a、414aに射影変換する。具体的には、画像401の頂点411を画像401aの頂点411a、画像401の頂点412を画像401aの頂点412a、画像401の頂点413を画像401aの頂点413a、画像401の頂点414を画像401aの頂点414aとなるように射影変換することによって、マーカ4を正面から見た画像401aを得ることができる。これにより、撮像画像の撮像方向を識別することができる。
【0049】
図5(A)に示す画像は計測器3に向かって左側から撮像されているので、情報選択部23は、マーカ4の撮像方向を左側と識別し、取得するデータを選択する。本ステップでは、撮像画像が左側から撮像されている場合には計測器3の計測データが対応付けられているものとし、情報選択部23は計測データを選択する。このようにマーカ4の撮像方向に応じて計測器3に要求する情報を自動的に選択することができるので、ユーザは容易に所望のデータを閲覧することができる。
【0050】
ステップS4では、ステップS3で矩形に戻したマーカ4の画像から、マーカ4の2次元コードパターンを識別する。マーカ4の2次元コードパターンの識別は、例えばパターンマッチング、特徴点検出等を用いて行うようにしてもよい。
ステップS5では、ステップS4で識別したマーカ4の2次元コードパターンに基づいて、その2次元コードパターンに対応する計測器3を識別する。詳しくはマーカ4の2次元コードパターンの種類と、それに対応する計測器3との情報がマーカ対応テーブル26に設定されており、情報選択部23はマーカ対応テーブル26を参照してマーカ4に対応する計測器3を識別する。なお、計測器3の情報とは、それぞれの計測器3に接続するためのアドレス情報である。
【0051】
ステップS6では、情報選択部23は、計測器3の機器情報送信部331に計測データの要求を送信する。
ステップS7では、機器情報送信部331は、現在の計測データを検出器31から取得する。
ステップS8では、機器情報送信部331は、ステップS7で取得した計測データを情報選択部23へ送信する。
【0052】
ステップS9では、情報選択部23は、機器情報送信部331から受信した計測データを表示装置27へ表示するために、機器情報表示部24へ計測データの表示を要求する。
ステップS10では、機器情報表示部24は、情報選択部23から取得した計測器3の計測データを画像に変換する。本ステップでは、計測データを数値としてユーザが認識可能な画像に変換する。
【0053】
ステップS11では、機器情報表示部24は、ステップS10で変換した計測データの画像と、ステップS1で撮像した画像とを合成する。本ステップでは、ステップS1で撮像した画像のマーカ4の位置に、ステップS10で変換した計測データの画像が配置されるように合成するのが好ましい。
ステップS12では、ステップS11で合成した画像を表示装置27へ表示する。
図7は、計測器3の計測データを表示装置27に表示した画像の一例である。
図7に示すように、撮像したマーカ4に対応する計測器3の計測データが撮像画像に合成されて表示される。
【0054】
(保守情報の表示)
図8は、計測器3の保守情報を表示装置27に表示する処理を示すシーケンス図である。以下、計測器3の保守情報を表示装置27に表示する処理について、
図8に基づいて説明する。なお、以下に示すステップS21〜S25は、上述したステップS1〜S5と共通しているので、簡単に説明する。
【0055】
ステップS21では、ユーザが撮像部22を用いて計測器3に貼付されたマーカ4を撮像する。なお、本ステップでは
図5(B)に示すように、計測器3を上側から撮像したものとする。
ステップS22では、撮像部22は、ステップS21で撮像した撮像画像を情報選択部23へ送る。
【0056】
ステップS23では、情報選択部23は、撮像部22から取得した撮像画像の撮像方向を識別する。
図5(B)に示す撮像画像は計測器3の上側から撮像されているので、情報選択部23は撮像方向を上側と識別し、撮像方向と対応付けられた計測器3に要求するデータを選択する。本実施形態では、撮像画像が上側から撮像されている場合には計測器3の保守情報の要求が対応付けられ、本ステップでは、情報選択部23は計測データを選択する。
【0057】
ステップS24では、ステップS23で矩形に変換したマーカ4の画像から、マーカ4の2次元コードパターンを識別する。
ステップS25では、ステップS24で識別したマーカ4の2次元コードパターンに基づいて、その2次元コードパターンに対応する計測器3を識別する。
ステップS26では、情報選択部23は、計測器3の保守情報の要求を保守情報更新部332に送信する。
【0058】
ステップS27では、保守情報更新部332は、保守情報記憶部34から保守情報を取得する。
ステップS28では、保守情報更新部332は、ステップS27で取得した保守情報を情報選択部23へ送信する。
ステップS29では、情報選択部23は、ステップS28で受信した計測器3の保守情報を機器情報表示部24へ送り、表示装置27への保守情報の表示を要求する。
【0059】
ステップS30では、機器情報表示部24は、ステップS29で取得した計測器3の保守情報を画像に変換する。本ステップでは保守情報の種類に応じて画面遷移が可能となるように画像を生成してもよく、例えば
図9に示すように、現在の計測器3の作動状態を表す画像と、各種設定画面に遷移するための遷移ボタンの画像とを生成するようにしてもよい。
【0060】
ステップS31では、ステップS21で撮像した画像と、ステップS30で変換した保守情報の画像とを合成する。本ステップでは、少なくともステップS21で撮像した画像のマーカ4の位置に、ステップS30で変換した計測データの画像が配置されるように合成するのが好ましい。
【0061】
ステップS32では、機器情報表示部24は、ステップS31で合成した画像を表示装置27に表示する。
図9は、計測器3の保守情報を表示装置27に表示した画像の一例である。
図9に示すように、撮像したマーカ4に対応する計測器3の保守情報が撮像画像に合成されて表示される。表示装置27には計測器3の作動状態の他に、機器設定画面遷移ボタン41、及び通信設定画面遷移ボタン42が表示されている。ユーザは、機器設定画面遷移ボタン41、及び通信設定画面遷移ボタン42を操作することによって、計測器3の保守情報の設定を変更することができる。機器設定画面遷移ボタン41を操作することにより遷移する画面では、例えば機器時刻の設定を行うようにしてもよい。通信設定画面遷移ボタン42を操作することにより遷移する画面では、例えば通信状態を確認したり、測定状況を確認したり、通信設定の変更を行うようにしたりするようにしてもよい。なお、計測器3の保守情報の表示はこれに限られない。
このように、ユーザはマーカ4を異なる方向から撮像することにより、所望の機器情報、即ち計測データや保守情報を容易に閲覧することができる。
【0062】
(保守情報更新)
図10は、計測器3の保守情報を更新する処理を示すシーケンス図である。以下、計測器3の保守情報を更新する処理について
図10に基づいて説明する。
ステップS41では、ユーザは、汎用携帯端末2に表示されている保守情報を変更する。本ステップでは、例えばユーザは汎用携帯端末2の入力部28を利用して、表示装置27に表示されている保守情報を変更するようにしてもよい。
【0063】
ステップS42では、汎用携帯端末2は、保守情報更新部332へ保守情報の更新要求を送信する。本ステップでは、例えばユーザが表示装置27に表示されている更新ボタン等を入力部28で操作することによって、汎用携帯端末2から保守情報更新部332へ保守情報の更新を要求するようにしてもよい。また本ステップでは、ステップS41で変更された保守情報も保守情報更新部332へ送信される。
【0064】
ステップS43では、保守情報更新部332は、汎用携帯端末2から受信した変更後の保守情報で、保守情報記憶部34に格納されている保守情報を更新する。
ステップS44では、保守情報更新部332は、保守情報の更新が終了したことを汎用携帯端末2へ送信する。
【0065】
(アプリケーションのダウンロード)
図11は、計測器3からの計測データを汎用携帯端末2に表示したり、保守情報を表示したりするために必要なアプリケーション、即ち機器情報表示ソフトウェアを汎用携帯端末2にダウンロードする処理を示している。機器情報表示ソフトウェアのダウンロードは、ユーザが汎用携帯端末2に機器情報表示ソフトウェアをインストールせずに計測器3のある現場へ行ってしまった場合に行われる。以下、同図に基づいて説明する。
【0066】
ステップS51では、ダウンロード部25は、アプリケーション格納部35へ機器情報表示ソフトウェアの要求を送信する。
ステップS52では、アプリケーション格納部35は、ダウンロード部25から受信したアプリケーション要求に従って、機器情報表示ソフトウェアを自身から取得する。
ステップS53では、アプリケーション格納部35は、取得した機器情報表示ソフトウェアをダウンロード部25へ送信する。
【0067】
ステップS54では、ダウンロード部25は、アプリケーション格納部35から受信した機器情報表示ソフトウェアを汎用携帯端末2にインストールする。
これにより、ユーザが事前に汎用携帯端末2に機器情報表示ソフトウェアをインストールし忘れても、現場で対応することが可能となる。
【0068】
このように、本実施形態では、計測器管理システム1は汎用携帯端末2と計測器3とを備え、情報選択部23は、撮像部22でマーカ4を撮像した画像に基づいてマーカ4に対応する計測器3を識別し、計測器3から機器データを取得する。機器情報表示部24は、取得した機器データを画像に変換し、撮像した画像と合成して表示する。
これにより、ユーザは汎用携帯端末2を用いて計測器3の点検を行うことができ、計測器3が設置されている場所へ専用端末を持参する必要はないので、ユーザの負担を軽減することができる。
【0069】
また、計測器3から取得した機器データを拡張現実(AR)で汎用携帯端末2に表示するので、機器データを直感的に把握しやすくなり、ユーザの熟練度に関わらず容易にデータを把握することができる。
そして、ユーザは計測器3の計測データや保守情報をモニタするために、専用機器の接続を切り替えることなく、異なる方向から計測器3を撮像することによって撮像方向に対応した機器情報をモニタすることができる。従って簡易な操作で計測器3の機器情報をモニタすることができる。
さらに、計測器3の種類毎に専用の端末装置を準備する必要はないので、端末装置の導入費用を低減することが可能になる。
【0070】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る計測器管理システムについて以下に説明する。本実施形態では、上述した第1実施形態に対して、計測器3の計測データを蓄積するサーバ装置を備え、計測器3のアプリケーション格納部35をサーバ装置に備えた点が異なっており、その他の構成は共通しているので説明を省略する。
【0071】
図12は、本発明の第2実施形態に係る計測器管理システム100の概略図である。
図12に示すように、計測器管理システム100は、汎用携帯端末2、計測器300、及びサーバ装置5を備えている。
サーバ装置5は、複数の計測器300と通信可能な場所に設置され、各計測器300と通信してそれぞれの計測器300の計測データを蓄積し、各計測器300を管理している。サーバ装置5は、例えば1台のサーバ装置5で複数の計測器300を管理し、複数のサーバ装置5で多数の計測器300をそれぞれ管理する、つまり計測器300を分散管理するための装置である。このように、各計測器300をサーバ装置5で分散管理することによって、データセンタの故障や停電等で計測器300を管理できなくなるリスクが分散されるので、計測器管理システム100全体の可用性を高めることができる。
【0072】
サーバ装置5は、汎用携帯端末2と通信し、汎用携帯端末2からの要求に応じて自身に蓄積した計測器300の過去の計測データを送信する。なお、本実施形態では、汎用携帯端末2は1台の計測器300と通信するものとする。
本実施形態では、汎用携帯端末2は、計測器300が設置されている現地にいながら計測器300及びサーバ装置5と通信を行うものである。
【0073】
図13は、本実施形態に係る計測器管理システム100の概略構成図である。
計測器300は、検出器31及び処理装置32を備え、処理装置32は、演算部33、保守情報記憶部34、及び通信制御部36を備えている。
ネットワークNは、汎用携帯端末2、計測器300、及びサーバ装置5との間におけるそれぞれの通信が可能であれば特に限られない。
【0074】
サーバ装置5は、通信制御部51、計測データ蓄積部(過去データ蓄積手段)52、過去データ取得部(過去データ送信手段)53、データ記憶部54、アプリケーション格納部55、タイマ56、及び設定情報記憶部57を備えている。
【0075】
通信制御部51は、汎用携帯端末2及び複数の計測器300との通信を制御し、ネットワークNに常時接続している。計測データ蓄積部52には、計測器300から計測データを取得し、データ記憶部54に計測データを蓄積する。過去データ取得部53は、汎用携帯端末2からの要求に応じて、データ記憶部54から過去の計測データを取得し、汎用携帯端末2へ送信する。
【0076】
アプリケーション格納部55は、汎用携帯端末2で情報選択部23、機器情報表示部24として機能する機器情報表示ソフトウェアを格納している。汎用携帯端末2から機器情報表示ソフトウェアをダウンロードする要求があった場合に、通信制御部51、ネットワークNを介して汎用携帯端末2へ機器情報表示ソフトウェアを送信する。なお、機器情報表示ソフトウェアには、マーカ対応テーブル26を含むようにしてもよい。
【0077】
タイマ56は、設定情報記憶部57に保存されている観測周期を測定し、所定時間が経過すると計測データ蓄積部52に通知する。設定情報記憶部57には、検出器300の観測周期等の観測条件、計測データを取得する計測器300のそれぞれのIPアドレス等の情報、汎用携帯端末2から過去の計測データの取得要求があった場合の取得期間等の情報が保存されている。
【0078】
(計測データ蓄積)
図14は、サーバ装置5に計測データを蓄積する処理を示すシーケンス図である。以下、同図に基づいて、サーバ装置5が計測データを蓄積する処理について説明する。なお、以下に説明する処理は1台の計測器300と1台のサーバ装置5との間の処理を示すものであるが、サーバ装置5はそれぞれの計測器300と以下に示す処理を行うものとする。
【0079】
ステップS61では、タイマ56は、設定情報記憶部57に保存されている観測周期を計測すると、計測データ蓄積部52へ観測周期が経過したことを通知する。
ステップS62では、計測データ蓄積部52は、機器情報送信部331へ計測データの要求を送信する。
ステップS63では、機器情報送信部331は、計測データ蓄積部52からの要求を受信し、検出器31から計測データを取得する。
【0080】
ステップS64では、機器情報送信部331は、ステップS63で取得した計測データを計測データ蓄積部52へ送信する。
ステップS65では、計測データ蓄積部52は、機器情報送信部331から受信した計測データをデータ記憶部54へ保存する。
これにより、各計測器300の観測周期毎の計測データがデータ記憶部54に蓄積される。
【0081】
(過去の計測データ取得)
図15は、サーバ装置5に蓄積された過去の計測データを汎用携帯端末2に表示する処理を示すシーケンス図である。以下、同図に基づいて説明する。なお、以下に示すステップS72〜S75は、上述したステップS2〜S5と共通しているので、簡単に説明する。また、本実施形態では、計測器300の現在値の表示、及び保守情報の表示については上記第1実施形態と同様である。
【0082】
ステップS71では、ユーザが撮像部22を用いて計測器300に貼付されたマーカ4を撮像する。
図16は、本ステップで撮像したマーカ4の一例を示している。
図16に示すように、本ステップでは計測器300に向かって右側からマーカ4を撮像している。従って汎用携帯端末2に表示されるマーカ4の画像は、マーカ4の右側から左側に向かって上辺と下辺との差が窄まっていくような台形形状となる。
【0083】
ステップS72では、撮像部22は、ステップS71で撮像した画像を情報選択部23へ送る。
ステップS73では、情報選択部23は、ステップS72で撮像部22から取得した撮像画像に基づいて、撮像方向を識別する。本ステップで情報選択部23は、マーカ4の撮像方向を右側と識別し、取得するデータの種類を選択する。本実施形態では、マーカ4を右側から撮像した場合には計測器300の過去の計測データを選択するものとして説明する。
【0084】
ステップS74では、情報選択部23は、ステップS73で矩形に戻したマーカ4の画像から、マーカ4の2次元コードパターンを識別する。
ステップS75では、情報選択部23は、ステップS74で識別したマーカ4の2次元コードパターンに基づいて、その2次元コードパターンに対応する計測器300を識別する。
ステップS76では、情報選択部23は、過去データ取得部53へ過去の計測データの取得要求を送信する。
【0085】
ステップS77では、過去データ取得部53は、情報選択部24からの過去の計測データの取得要求を受信し、データ記憶部54から過去の計測データを取得する。詳しくは、過去データ取得部53は、情報選択部24からの要求を受信した時間から設定情報記憶部57に保存されている取得期間までさかのぼった期間の計測データをデータ記憶部54から取得するようにしてもよい。または、ステップS71〜S75の間で、ユーザが所望する期間を入力部28を用いて入力し、過去データ取得部53へ送信するようにしてもよい。この場合、過去データ取得部53は、情報選択部23から要求された期間の計測データをデータ記憶部54から取得する。
【0086】
ステップS78では、過去データ取得部53は、ステップS77で取得した過去の計測データを情報選択部23へ送信する。
ステップS79では、情報選択部23は、ステップS78で過去データ取得部53から受信した過去の計測データの表示を機器情報表示部24へ要求する。
ステップS80では、機器情報表示部24は、ステップS78で受信した過去の計測データを画像に変換する。詳しくは、機器情報表示部24は、過去の計測データを表またはグラフの画像に変換する。表またはグラフの何れの画像とするかは、計測データの種類に応じて予め定めていてもよいし、ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0087】
ステップS81では、機器情報表示部24は、ステップS80で変換した計測器300における過去の計測データの画像と、ステップS71で撮像した画像とを合成する。
ステップS82では、機器情報表示部24は、ステップS81で合成した画像を表示装置27に表示する。
図17は、撮像した画像と、グラフに変換した画像とを合成して表示装置27に表示した画像の一例である。
図17に示すように、撮像したマーカ4に対応する計測器300の過去の計測データが撮像画像に合成されて表示される。
【0088】
このように、本実施形態では、マーカ4の撮像方向に応じて、計測器300から計測データや保守情報を取得したり、サーバ装置5から過去の計測データを取得したりすることによって、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、過去の計測データをサーバ装置5から取得することによって、計測器300の計測データを集中管理するためのデータセンタを設ける必要はないので、維持管理に要するコストを低減することが可能になる。
【0089】
なお、上記第2実施形態では、サーバ装置5がアプリケーション格納部55を有しているが、アプリケーション格納部55は計測器300に備えられていてもよい。その場合、ユーザは、サーバ装置5、または計測器300のいずれかからでも機器情報表示ソフトウェアをダウンロードすることができる。
【0090】
<変形例>
次に、上記第2実施形態の変形例について以下に説明する。本変形例は、上記第2実施形態に対してネットワークNをインターネットとし、複数のマーカ4を地図や看板等に添付している点が異なっており、その他の構成については共通している。従って共通点の説明については省略する。
【0091】
図18は、平面に描画された地図(地図体)6に、各計測器300が設置されている場所の位置に各計測器300と対応するマーカ4を貼付した場合の一例を示す概略図である。
図18に示すように、地
図6には計測器300として例えば水位計を設置している河川が描かれており、計測器300が配置されている地
図6上の位置にそれぞれ対応するマーカ4が貼付されている。これら複数のマーカ4が貼付されている地
図6を、汎用携帯端末2を用いて計測データを選択する撮像方向から撮像すると、汎用携帯端末2はネットワークNを介してそれぞれの計測器300と通信する。そして
図19に示すように、各マーカ4に対応する計測器300の計測データが画像に変換され、撮像した画像と合成されて表示装置27に表示される。
【0092】
図20は、汎用携帯端末2に複数の計測データを表示する処理を示すシーケンス図である。詳しくは
図20に基づいて以下に説明する。
ステップS91では、ユーザが撮像部22を用いて
図18に示すような複数のマーカ4が貼付された地
図6を計測データを選択する撮像方向から撮像する。
ステップS92では、撮像部22は、ステップS91で撮像した画像を情報選択部23に送る。
【0093】
ステップS93では、情報選択部23は、撮像部21から取得した撮像画像に含まれている、それぞれのマーカ4に相当する画像を識別する。それぞれのマーカ4に相当する画像を識別するには、例えば特徴点検出等を用いて識別するようにしてもよい。本ステップでは、このようにそれぞれのマーカ4に相当する画像を識別し、撮像画像に含まれているマーカ4に相当する画像の数をカウントする。
【0094】
以下に述べるステップS94〜S99の処理は、ステップS93でカウントされたマーカ4に相当する画像の数だけ行われる。
ステップS94では、情報選択部23は、ステップS93で識別したマーカ4に相当する画像に基づいて撮像方向を識別し、取得するデータの種類を選択する。ステップS91では、計測データを選択する撮像方向からマーカ4を撮像しているので、本ステップでは計測器300の計測データを選択する。
【0095】
ステップS95では、情報選択部23は、ステップS94で矩形に戻したマーカ4の画像から、マーカ4の2次元コードパターンを識別する。
ステップS96では、情報選択部23は、ステップS95で識別したマーカ4の2次元コードパターンに基づいて、その2次元コードパターンに対応する計測器300を識別する。
【0096】
ステップS97では、情報選択部23は、機器情報送信部331へ計測データの取得を要求する。
ステップS98では、機器情報送信部331は、現在の計測データを検出器31から取得する。
ステップS99では、機器情報送信部331は、ステップS98で取得した計測データを情報選択部23へ送信する。
【0097】
ステップS100では、情報選択部23は、ステップS99で機器情報送信部331から受信した各計測器300の計測データの表示を機器情報表示部24へ要求する。
ステップS101では、機器情報表示部24は、各計測データを全て画像に変換する。
ステップS102では、機器情報表示部24は、ステップS101で変換した全ての計測データの画像と、ステップS91で撮像した画像とを合成する。ここで計測データの画像は、撮像画像において対応する各マーカ4の画像の位置にそれぞれ配置されるように合成される。
【0098】
ステップS103では、機器情報表示部24は、ステップS102で合成した画像を表示装置27に表示する。
図19に一例を示すように、撮像したマーカ4に対応するそれぞれの位置に、各マーカ4に対応する計測器300の計測データの画像が撮像画像に合成されて表示される。
【0099】
このように、計測器300が配置されている場所に対応する地
図6上の位置に複数のマーカ4を貼付することで、場所毎の各計測器300の計測データの変化を対比しながら容易に把握することが可能となる。また、ネットワークNとしてインターネットを用いることによって、遠隔地からでもマーカ4に対応する計測器3の機器情報を取得することが可能となる。なお、本変形例では平面に描画された地
図6を用いているが、地
図6は3次元の地形模型等を用いてもよい。
【0100】
他の変形例として、法面に設置された伸縮計を計測器300とし、法面における計測器300の計測データの表示について以下に述べる。
図21は、法面に設置された伸縮計の並びに合わせて、看板7にそれぞれの伸縮計に対応するマーカ4を貼付した場合の一例を示す概略図である。
【0101】
法面に伸縮計を設置する場合、一定の大きさの区画毎に1つの伸縮計が設置されるのが一般的である。従って法面の面積が大きくなるほど、設置される伸縮計の数も多くなる。また、伸縮計の場合、法面に設置されている伸縮計全体の計測データを取得して、法面のうちいずれの部分の変動が大きいかを各伸縮計の計測データを対比しながらモニタするのが好ましい。このため、
図21に示すように法面に配置された伸縮計に対応するマーカ4を看板(配置図)7に貼付し、例えば法面付近に看板7を設置しておくようにしてもよい。
【0102】
複数のマーカ4が貼付された看板7を、汎用携帯端末2を用いて計測データを選択する撮像方向から撮像すると、汎用携帯端末2はネットワークNを介してそれぞれの計測器300と通信する。そして
図22に示すように、それぞれのマーカ4に対応する計測器300の計測データが画像に変換され、撮像した画像と合成されて表示装置27に表示される。なお、本変形例における計測データの表示は、上述したように
図20に示した各ステップを実行することによって行われる。
【0103】
これにより、ユーザは必要なときに複数のマーカ4が貼付された看板7を撮像して、マーカ4に対応する複数の計測器300の計測データ全体を容易に把握することができる。また、ネットワークNとしてインターネットを用いることによって、遠隔地からでもそれぞれのマーカ4に対応する計測器300の機器情報を取得することが可能となる。なお、本変形例では看板7に複数のマーカ4を貼付するとしているが、複数のマーカ4を配置することができればこれに限られない。
【0104】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記各実施形態では、撮像方向として、マーカ4に向かって右側、左側、上側のそれぞれについて説明しているが、撮像方向はこれに限られるものではない。